世界は常に不条理で無関心だ
俺は気付けば新たな世界で生を受けていた。
名前はシャドウ・F・バロン、六歳だ。
FはフェンリルのFだそうだ。
神殺しの力を受け取った俺に神喰いとは皮肉なもんだ。
と思っていたときもあった。
しかし、このベルカと呼ばれた世界にはフェンリルをはじめ俺の世界にあったような神話というものが存在しない。
つまり、フェンリルという名はあのノイズが故意的に付けたということだろう。
それはさておき、俺は深夜誰もが眠りについたであろう時間に一人森に来ていた。
六歳の子供が出歩く時間ではないので誰にも見つからないように街を出るのは中々冷々するものであった。
何故こんな時間に森に居るのかといえば、未だに自分の力の全てを把握してはいないからだ。
現在きちんと発動できる『神滅具』は三つ。
赤龍帝の籠手、白龍皇の光翼、黄昏の聖槍の三つだけだ。
しかも、その三つとも、神器の保護を受けてようやく使えているようなものなのでちゃんと自分のものにしたいからだ。
『今代の相棒は随分真面目だな。』
『そうだな、これだけ頑張っているのなら、後一月程で禁手に至るかもな。』
『あぁ、シャドウ様、素敵です。』
上から赤龍帝の籠手に封印されているドライグ、
白龍皇の光翼に封印されているアルビオン、
黄昏の聖槍に封印されている神メイビスである。
なんか、メイビスの声からは危険なオーラを感じる。
今日ここに来たのは新たな『神滅具』の力を発現させようと思ったからだ。
今回目覚めさせるのは獅子
文字通り眠れる獅子を起こすのだ。
「いけるかなぁ?」
『無論だ。』
『シャドウならいけるさ。』
『シャドウ様、頑張ってください。』
どうしても不安になってしまい、一人呟くが、過保護な俺の相棒達が励ましてくれる。
『レグルスは主には忠実です。
シャドウ様をマスターとして認めれば、必ず力になってくれるはずです。』
そうだな、メイビスの言うとおりだ。
不安になっても仕方ない。
「考えるより、まずは行動だ。」
やるぞ!と心の中でしっかり意気込み
「我、『神滅具』の力を持ちしシャドウ・F・バロンが汝の枷を解き放つ。
来い、『獅子王の戦斧(レグルス・ネメア)』!!」
俺の手に何か握れる感覚があった。
そこにあったのは獅子の顔が付いた黄金色の斧。
「これが『獅子王の戦斧』!?」
驚いた。何が一番驚いたって、この斧重さを感じない。
まるで羽を持っているようだ。
『あなた様が今代の主でございますか?』
斧の顔の部分が動き俺に話しかける。
「ああ、俺が主のシャドウ・F・バロンだ。」
『では、シャドウ様と呼ばせていただきます。
私はレグルスと申します。
気軽にレグルスとお呼びください。
それでは、私の能力を説明させていただきます。
私の力は大きく分けて二つ、一つは飛び道具からシャドウ様の身を守ります。もう一つは私の使い方を完全に修得された後のはなしなのですが、大地を砕く程の力を出すことができます。』
「へぇー、そうなのか。凄いな、レグルス。」
俺はレグルスの話にに夢中になっており、背後から近づいていた気配に一瞬遅れてしまった。
「わぁー!凄いです。何ですか!そのかっこいい斧!?」
背後にいたのは鮮やかな紅と翠のオッドアイの元気な同い年ぐらいの少女。
その時の俺はこれが運命の出会いだなんて微塵も思っていなかった。
そうこれが俺と聖王女のオリヴィエの初めての出会いだった。
ここから正史とは違う物語が始まる。
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