単眼娘の地球観光記   作:Waru fon Sandwich

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第2話

 こちら宇宙船ノイエフェリックス号。ただいま大気圏突入中。さっきまで地球を映していたモニターは圧縮空気の影響で、目に悪い輝きを放ち始めたので電源を消してもらった。この船のおかげかそれとも宇宙服のおかげか知らないけど私自身にGはそんなにかからない。デナルーシの技術力様様だね。

暇すぎて独り言でも言いたくなるが不慮の事故で舌噛んで死にたくないので故郷の歴史と地球との接触について頭の中で復習することにした。

 

 惑星デナルーシ。地球と同じ青く輝く星。地球と違うことがあるとすればデナルーシは銀河航路上の要所ということで、それ故にまだ剣と弓くらいしかないときから異星人との争いが起こっていたってことかな。

そんな頃から戦争してなんで絶滅しなかったか?って思うかも知れないけど銀河には種の根絶や正統性のない戦争を絶対許さない種族「トパトロイル人」がいて、それに度々助けてもらってたからさ。

 異星人との争いのお陰というかせいというか、着陸している宇宙船(と秘密裏に捕縛した船内の技術者)から得た技術でデナルーシ人の科学力は変則的かつ飛躍的な発展をした。普通なら地球と同じ進歩をしていくんだけどデナルーシの場合は弓からアサルトライフル、荷馬車から大型トラック、ピッケルからレーダーと採掘機と変わっていったのだ。

 デナルーシにも様々な国があったが異星人という共通の外敵が出来たことで惑星単位の挙国一致体制を築くことが出来たかためデナルーシでは富国強兵が順調に進んだ。

 そして三百年、二度目の技術黄金期が終わりデナルーシは国内の発展に大成功し、自国防衛用の宇宙艦隊が創設されるまでになると異星人と貿易をしながらデナルーシのある恒星系「デナン」の要塞化や周辺の航路を探索、デナンや他の恒星で無人かつ入植可能な星を探すこと四十年、航続距離の拡大によってデナルーシ人は6つの恒星系を越えて地球を発見したのさ。

 デナルーシ人は地球が有人惑星であること、この恒星は銀河の端に存在し他の航路が無いことを知ると地球の文明を保護することを決めた。そうして地球は我々の先祖に見守られながらピラミッドを造り幾度と戦争を繰り返し今日に至るってわけさ。だいぶ長くなったね。

 

 そんな感じでちょいと揺れる船内で暇をしていると音声ナビが地球の成層圏に到着した旨を伝え、船の揺れはゆっくりと治まっていった。

 安心した私はシートベルトを外そうとするがジョイント部分がガッチリとホールドされていて外すことが出来ない。オートロックがまだ活きているか経年劣化でジョイント部分が固着されたのか、後者だったら嫌だねぇとしか言えないね。まあ固着だったらチェレンナが助けてくれるからいいか。

 とりあえずまだ退屈するみたいだから椅子の横に収納している本を取り出す。月で買ったマンガ「ギャラクティック・ライダース」の最新刊を手に取って読む。このマンガは銀河を守る7人の男女の物語でデナルーシでは男女問わず大人気の作品さ。私はこれをロースクールの頃から読んでいる。特に773刊の賢いアイリーンが捕らわれた6人を救うために知恵と勇気を総動員する回が大好きでこの船の自室に飾ってるくらいさ。私もアイリーンに憧れてたくさん勉強をやったし他文明に興味を持つようになった。アイリーンは私にとって先生みたいなもんさ。

 

 私がマンガに集中しているうちにこの船は見事海に着水し、チェレンナは出した紅茶を飲んでもらえずしょんぼりとし、一つの通信文が入ってきた。それをチェレンナがモニターに表示し読み上げる。

『えーっとなになに、『地球にようこそアニータさん。お迎えは明日の6時半頃に到着予定なのでそれまで待機してください。追伸、この通信文への返答はいらないよ。みんな寝てるからね。』だって。どうする』

「んー、じゃあ地球に来て最初にしたかったことをやるよ。」

『最初にしたかったことって?』チェレンナが訪ねる。

「『寝る』さ。じゃ、そういうことでおやすみチェレンナ。」そういって手を振りながら自室に向かう。後ろからはチェレンナとおやすみなさいと言う声が聞こえた。

 地球の重力に若干の重みを感じながら自室に到着すると寝間着に着替えてベッドに入り、久しぶりの重力でやはり身体が疲れているのか睡魔が有無を言わさず襲いかかってきた。

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