ドラゴンクエストⅧ 呪われし姫君と混血のジェミニ 作:レイ1020
「・・・・・・ようやく来たか。そろそろ来る頃だと思っておったわい」
無事に水晶玉を見つけた私たちは、洞窟を出てトロデ王達と合流した後、すぐにトラペッタへと戻りルイネロさんとユリマさんの家に赴いていた。ルイネロさんは驚いた顔をするかなって思っていたけどそんなことは無く、まるで私たちが水晶玉を見つけてくることを予想していたかの様な振る舞いを見せていた。
「どうやらユリマに頼まれた物を見つけてきた様だな・・・・・・」
「すごいですね?さすがは占い師ルイネロさんだ・・・・・・」
「腐ってもこのルイネロ、それぐらいのことであればわかるわい。この玉がただのガラス玉であってもな・・・・・・」
そう言うルイネロさんは久しぶりに見る自分の水晶玉を見ても、何の反応も示さなかった。むしろ”余計なことをするな”とでも言いたげな視線を私たちにぶつけてくるだけだった。
「だが無駄なことよ。いくら本物の水晶を持ってこようとまた捨てるのみ!わしが水晶を捨てたのはとある理由があったからだが・・・・・・まぁ今はそれは良い。その事についてはユリマも知らん事だからな」
「おっさん・・・・・・なに言ってるでがす?」
「・・・・・・気にするな。とにかくだ!わしは一度その水晶を手放したのだ!もはやわしに持つ資格などない!その水晶玉をよこせ!今度は二度と拾って来れぬよう、粉々に砕き割ってくれるわ!」
「待って!お父さん!」
ルイネロさんが、私の持ってる水晶玉を破壊しようと手を伸ばしたところで今まで家の奥にいたユリマさんが割って入ってきた。
「私、もう知ってるから!ずっと前から・・・・・・。何で水晶を捨てたのか・・・・・・知ってるから・・・・・・」
「ユリマ・・・・・・お前・・・・・・。じゃあ自分の本当の親のことを?」
「・・・・・・うん」
静かに頷くユリマさん。・・・・・・本当の両親っていうことは、ルイネロさんはユリマさんの本当のお父さんでは無いってこと?・・・・・・それが本当なら彼女の両親はいったい・・・・・・?
「でもね?私、お父さんのせいで両親が死んだなんて思ってないよ?」
「・・・・・・どうしてだ?そこまで知っていながら何故そう思えるのだ?このわしを恨んでもおかしくは無いぞ?」
「両親が・・・・・・死んだ?」
彼女の両親が既に他界していると知った途端、何故か彼女を私と重ねてしまっていた。・・・・・・私もユリマさんのように両親を亡くしていて、今までずっと叔父様に育てられてきたんだ。彼女もまた、悲しいことを経験してきたんだ・・・・・・。
「ううん。お父さんはただ占いをしただけだもん。私はよく知らないけど、お父さんの占いって凄かったんでしょ?・・・・・・だからどこに逃げたかも分からない私の両親のこともあっさりと当ててしまったんだよね?」
「・・・・・・あの頃のわしは有頂点だったんじゃよ。自分に占えないものはないとな。それもあってか、わしは占えるものはかたっぱしから占ったもんじゃ。自分のことばかり考えて頼んでくる者が善人か悪人か・・・・・・そんなことすら考えなかった・・・・・・」
「もういいの・・・・・・もういいのよ。だってお父さんは一人ぼっちになった赤ちゃんの私のことを育ててくれたじゃない。・・・・・・私、見てみたいな。高名だった頃の・・・・・・自信に満ちていた頃のお父さんの姿を・・・・・・」
「ユリマ・・・・・・ありがとう・・・・・・」
二人はそのまま抱きしめ合い、お互いに静かに涙をこぼしていた。二人はこの時、初めてちゃんとした家族になれたのかも知れない。・・・・・・私たちはその微笑ましい光景を、静かに眺めているのであった。
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「んぅ・・・・・・ん?・・・・・・ふわぁ・・・・・・」
「おはよう。起きた?」
「エイト?おはよう・・・・・・」
翌日、起きた私は既に起きていたエイトに挨拶をしながら髪型を整えていた。今私たちがいるのはルイネロさんとユリマさんの家だ。あの後、ルイネロさんとユリマさんが、水晶玉を見つけてきてくれたお礼と言うことでここで宿泊することを許してくれたんだ。疲れていたこともあってお言葉に甘える事にした私たちは、そのまま眠りにつき、今に至ると言うわけだ。ちなみにヤンガスは今もいびきをかいて寝ていた。
ヤンガスはそのまま寝かせておいて、私たちは一階に降りて見るとそこには今までのガラス玉とは違い、私たちが見つけてきた水晶玉を目の前に置いて黙祷をしているルイネロさんの姿があった。
「「おはようございます」」
「やっと起きてきたか。もう昼だぞ?この時間まで寝込むとは・・・・・・相当に疲れておったのであろう。・・・・・・む?もう一人の者はどうした?」
「まだ寝てますよ」
「そうか。ともかくお前達には礼を言わねばならんな。お前達が持ち帰った水晶もこの通り収まる位置に収まったぞ。さて・・・・・・さっそくだが占ってやろう」
そう言うと、ルイネロさんは両手を水晶玉へとかざし、集中した。
「・・・・・・こうやって真剣に占うのはいつ以来であろうな。これもお前達のおかげじゃ・・・・・・・・・・・・・・・・・・む!?こ、これはどうしたことかっ!?見えるぞ!見えるぞ!道化師のような男が”南の関所”を破っていったらしい!どうやら奴がマスター・ライラスを手にかけた張本人のようじゃの」
「道化師・・・・・・エイト?」
「ああ、間違いないな・・・・・・」
「こやつは・・・・・・確か・・・・・・いや、だいぶ感じが違っているが、その昔ライラスの弟子であった・・・・・・・・・・・・・・・・・・ド、ドルマゲス!」
「な、なんだってっ!!?」
ルイネロさんがそう叫ぶと、今まで寝ていたはずのヤンガスがドタドタと階段を勢いよく駆け下りてきて、水晶玉を凝視した。
「兄貴!姉貴!ドルマゲスっていやぁ、お二人とトロデのおっさんが追っていた性悪魔法使いの名前じゃっ!?」
「ヤンガス・・・・・・階段は静かに降りてきなよ・・・・・・迷惑になるでしょ?」
「す、すいやせん!・・・・・・で、その先はもっと詳しく分からねえのかよ!?」
私の注意を聞いてるのか聞いてないのか分からない謝罪をしたヤンガスは、そのままルイネロさんに続きを促した。
「・・・・・・残念じゃがわしが占えるのはここまでのようじゃ。申し訳ないのう・・・・・・」
「十分ですよ。とにかくドルマゲスは南へと向かったんですよね?それだけ分かっただけでもありがたいです」
「そうか。お前達には世話になったからのう。力になれたのであれば何よりだ。今後何か占って欲しければいつでも訪ねてくるがよい。いつでも力になるぞい」
「ありがとうございます。では私たちはそろそろ・・・・・・」
私たちは、そろそろトロデ王達の元へ戻ろうと家を後にしようとしていた。だが、エイトとヤンガスが外に出たところで私だけが何故かルイネロさんに呼び止められた。
「シシリーと言ったか?」
「?はい、そうですが?」
「お主・・・・・・なにやら隠し事をしておるな?」
「っ!?・・・・・・え、えっと・・・・・・」
ルイネロさんの突拍子もないその言葉に口籠ってしまう私。その様子を見ていたルイネロさんは高々と笑いながら言った。
「はっはっは!その様子では図星か。・・・・・・隠し事も良いが、いつまでも隠し切れるとは思わぬことだ。いずれ話すときがきっと来る。・・・・・・そのことを決して忘れるでないぞ?」
「・・・・・・はい」
そのルイネロさんの言葉を胸に刻みつけた私は今度こそ家を後にした。エイト達から何をしていたのかって聞かれたけど、適当にはぐらかしておいた・・・・・・。・・・・・・ルイネロさんの言った通り、いずれこの二人やトロデ王達にも伝えるときが来るのかも知れない。私の正体のことを・・・・・・。いつになるかは分からないけど、そのときが来るまでは私は今の自分を演じようと思っている。仲間のために・・・・・・。
私は、その決意を胸に新たなる地へと足を踏み入れるのだった・・・・・・。
トラペッタ編終了です!
次回からリーザス村編に入ります!