ドラゴンクエストⅧ 呪われし姫君と混血のジェミニ 作:レイ1020
ポルトリンクに戻ってきた私たちは、ある程度の準備をした後ゼシカさんが待つ船に戻ってきていた。
「準備はもう良いのかしら?それならそろそろ出発したいところなんだけど・・・・・・その前に一ついいかしら?」
「「「?」」」
ゼシカさんのどこか真剣見を帯びた声に私たちも少し気を引き締めた。
「あなた達もドルマゲスを追ってるんでしょ?それなら、旅の目的も同じことなんだし・・・・・・わたしをあなた達の仲間にしてくれないかしら?こう見えてわたしって魔法使いの卵なのよ。きっと役に立つわよ?」
「仲間か・・・・・・良いんじゃないかな?旅の仲間が増えるならこれほど心強いことはないし」
「私も良いと思う」
「お二人がそう言うんであれば・・・・・・アッシも賛成でがす」
「ありがと。これからよろしくね!」
こうして、ゼシカさんが私たちの新たな仲間となった。旅は道連れって言葉はよく聞くけど、まさにこれだね。私たちはそのままゼシカさんとともに船へと乗り込み、改めて向こう岸へと渡るのだった(トロデ王達のことを危うく忘れそうになったことは・・・・・・気にしないでおこう)。
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船が港を出た後、私はエイトやヤンガス達とは離れ、一人甲板で海を眺めていた。海を眺めたこともあまりなかったから、こうして海を眺めているだけでも十分心が和む。だから私にとってはご褒美以外の何ものでもなかった。城の中にこもっていたんだから海を見れないのは至極当たり前のことなんだけどね(好きでこもってたわけじゃないけど・・・・・・)。
「一人で何してるの?」
「ん?ああ、ゼシカさん。いえ、ちょっと家を眺めていただけです」
そんな私のところにゼシカさんがやってきた。こうして二人で話すのは初めてかな?
「そうだったの。それよりも、そんなにかしこまった喋り方しなくて良いわよ?歳もあまり変わんないみたいだし、おんなじ女の子同士、仲良くしたいわ。わたしのこともゼシカで良いわ」
「・・・・・・わかった。それでゼシカ?私に何か用?」
「用って言うか、少し貴女とも喋っておきたいと思ってね?さっきエイトとヤンガスとも話したんだけど、どうにも男どもの友情話見たいのはわたしにも理解できなくてね・・・・・・」
「あはは・・・・・・それは納得かも・・・・・・」
ゼシカさんは多分だけど、私たちとヤンガスの出会いを聞いたんだなと思った。ヤンガスとはトロデーン城を出た先の橋であったんだけど、その時金目のもんを出せとか恐喝してきてそれにトロデ王が激怒して挑発したんだけど・・・・・・。それが原因でヤンガスにも火がついてしまったみたいで私たちに襲いかかってきたんだよね。それでその攻撃が私たちではなく、橋の方へむいてしまったが為に、橋が壊れ、ヤンガスは絶体絶命の状態に陥ってしまったわけ。すでに橋を渡っていたトロデ王達は無視しようとしていたが、私とエイトは、さすがに見過ごせないとヤンガスを引っ張り上げることにした。それで、命を助けられたとヤンガスから深い深いお礼を言われ、そこからヤンガスは私たちのお供ということで旅についてくるようになったって言うわけ。・・・・・・いまだに何でそうなったかは女の私には理解出来てなかった。
「シシリーはどうして旅に同行してるの?わたしたちと同じようにドルマゲスを追ってるから?」
「私は元々、旅をしていたの。それでその時にトロデ王のお城にたまたま訪れていてね?運良く助かった私は、旅のついでということでトロデ王達に力を貸してるの」
「ふ〜ん?貴女も苦労してるのね。・・・・・・ん〜、でもやっぱり思うのよね?」
「?何が?」
「シシリーをどこかで見たことあるってこと。しかも村で・・・・・・」
「・・・・・・」
し、しつこいな。確かに私はリーザス村には来たことあったけど、あの時はゼシカには会ってないはず。滞在時間も短かったしね・・・・・・。なのにゼシカは何で・・・・・・。
「あ〜やっぱり今はやめておきましょう?今は違うこと話しておきたいし!」
「そ、そうね。そうしよっか」
結局その話はそれ以上進展せずに、別の話題へとシフトチェンジした。・・・・・・正直助かった。
その後しばらくして、ようやく船は船着場に到着した。そこには船から輸送されてくる物資などがたくさん置かれていたりして一種の物置き場みたいになっていた。
「どうやらついたようじゃな。それじゃあわしとミーティアは先に外で待っておるからな」
トロデ王達は船がつくと同時に船着場の外へと出ていった。また騒がれても厄介だからね。賢明な判断だ。
「それで、ドルマゲスはどこに向かったのかしら?」
「わからないけど、近くにマイエラ修道院っていう場所があるみたいなんだ。とりあえずそこに行ってみて何か情報を掴もう」
「修道院か・・・・・・」
「ん?どうかしたんでげすか姉貴?」
「何でもない」
私が少し苦い顔をしたのは単にあまり修道院のことを好いていなかったからだ。というのも、小さい頃にサザンビークの近くにある修道院に行った時に、私が無作動な振る舞いを見せてしまったことが原因ですごく怒られたっていう経験があるからなんだけどね・・・・・・。それにそこの空気はどことなく固くて居心地が悪かったのは今でも鮮明に思い出せる。だから、その時からあまり私は修道院には近づかないようにしてたんだよね。
それでも行くしかないようなので、私は渋々了承することにした。軽く装備を整えた後、トロデ王達が待つ外へと私たちは向かうのだった・・・・・・。