ドラゴンクエストⅧ 呪われし姫君と混血のジェミニ 作:レイ1020
時は今へ。現在の私は18歳になり、着々と王位継承へと近づいていた。継承は20歳になったらと聞かされているが、ぶっちゃけて言うなら、今王位を継いだとしても問題はないように思えた。今の私は18歳ながらも政務をこなしたり、国間での行事にも参加したり、国のことを任されていることが多かったからだ。女王陛下になるために今のうちに慣れておくべきと言う叔父様の意見だけど、意外と問題なくこなせていた。
これなら、問題なく王位を継ぐことができる・・・・・・だけどその前に、私にはやっておきたいことがあった。それを今、叔父様に伝えにきているところだった。
「世界を・・・・・・回ってみたい?しかも・・・・・・一人で?」
「はい!」
伝えた内容に、叔父様は難しい顔をした。当然か・・・・・・私は次期女王になる人だ。そんな大事な人が急に一人で世界を回ってみたいなどと言えばそれはそうなる。横にいる大臣も同じくだった。
「だめだ。お主は自分の立場というものを考えるべきだ・・・・・・」
「わかっています。ですが、これは昔から決めていたことなのです。王位を継ぐ前に一度、世界を自分の目で見てみたいって。”王になる者、世界を知らずしてなり得る者では無い!”そう叔父上は以前おっしゃいましたよね?ですのでこの機会を糧に私は王として成長してこようと思うのです・・・・・・どうしてもダメでしょうか?」
「・・・・・・」
叔父様はいまだに難しい顔のままだった。叔父様にとって私は家族。叔母様はすでに亡くなられ、お父様も亡くなられてるため、実質もう叔父様に家族と呼べる人は私とチャゴスしかいないんだ。そんな大事な家族を一人で送らせるというのはどうしても心配しちゃうよね・・・・・・。
「ご心配には及びません。決して危ないことをしに行くわけではありませんので。それに、叔父様は私の実力を知っていますよね?それでもまだ?」
「わかっている・・・・・・痛いほどにな・・・・・・」
さっきまでの難しい顔は消え去り、代わりに悲しげな顔をした叔父様。”あの時”のことは当然叔父様の耳にも入り、意気消沈した様子で自室に入っていった私を心配して政務を済ました後、きてくれたんだよね。当時の私は、まだ心が不安定だった為、誰でもいいからすがりたい気持ちでいっぱいだったんだ。だからこそ、部屋に入ってきた叔父様をみた途端に、涙腺が崩壊し、叔父様に抱きつくようにして泣いたんだ。
『お主のことは私が一番よく知っておる。大丈夫だ。お主がどのように思われようと、私はお主の味方であるぞ・・・・・・』
その言葉は今でも鮮明に思い出せる。その言葉があったから私は崩れずに今日まで生きてこれたんだ。だけど、その時から私はあまり人前で魔法を使ったり稽古をしなくなった。前のように畏怖の視線で見られることももちろんだけど、何より気が散るっていうことがあった為そうしたんだ。あとは・・・・・・そうだね。
「システィア・・・・・・前みたく、笑ってはくれぬのか?」
どこ悲しげにそう言う叔父様に私は首を傾げた。
「はい?私は毎度ではありませんが、叔父様には笑顔を見せているつもりですが?この前の国間での挨拶の時でも私は笑っていたでしょう?」
「そうではない。・・・・・・今のお主は、心の底から笑えておらぬ。表面だけが笑っているにすぎぬ。・・・・・・本当は、笑ってなどいたくないのであろう?女王になどなりたくないのであろう?」
「っ・・・・・・」
的をいたその発言に私は息をのんだ。正直図星だったからだ。確かに私はあの日からまともに笑ったことはあまりない。それに私とて、好きで政務などをやっているわけではない。国民の象徴になっているわけではない。でも・・・・・・やるしかなかったんだ。だって・・・・・・。
「確かにそうですね。ですが・・・・・・それが私の”定め”ですので、えり好みしている場合ではないのです」
「そうか・・・・・・」
目を瞑りつつ、また難しい顔をしながら何かを考え始めた叔父様。そして数分後・・・・・・。
「わかった。システィアよ、お主のその旅・・・・・・許可しよう」
「え!?ほ、本当・・・・・・い、いえ。それは本当ですか?」
叔父様のその答えに思わず素が出ちゃった私は慌てて元に戻し、改めて尋ねた。
「真だ。だが、条件がある。適度で良いが、手紙をよこすように。くどいが、お主は次期女王となる者だ。そのようなものに何かあればたまったものではないのだ。・・・・・・その条件を呑めるのであれば、許可しよう」
「・・・・・・分かりました。ではその条件で私は世界を回る・・・・・・それで良いですね?」
「うむ・・・・・・」
ようやくだけど、叔父様は首を縦に振ってくれた。そうと決まれば早速準備しないと!そう浮き足立つ気持ちで王の間を出ようとした私だったけど、出る直前に叔父様の方を向いた。そして・・・・・・。
「叔父様・・・・・・ありがと」
「!?・・・・・・ふっ、久方振りだな。お主のその笑顔を見たのは・・・・・・」
私は最後にそう言い残し、今度こそ王の間を出た。
旅の準備を終えた私は、再び王の間へと来ていた。旅の装いとしては、いつも来てるレースのシルクのドレスではなく、いかにも旅人と思える軽めの装いだった。腰近くまで伸ばした茶色の髪の毛は戦いの時邪魔になるかもと思い、ポニーテールで結い上げた。これだけ見れば、私が王女だなんて誰にも思われないと・・・・・・思う。
持ち物もそこまで多くはなく、ある程度の着替えと、路銀、食料、そして一振りの剣だけである。あとは旅先で調達していけばいいから大丈夫でしょ。
「忘れ物等はないな?」
「はい、問題ありません」
「殿下・・・・・・どうか、お気をつけて・・・・・・」
「ええ。・・・・・・では、行ってきます!」
そして私は叔父様と大臣に別れを告げると、静かに出て行った。城から出たあとも、国民の人たちは私には気づかずに素通りして行った。・・・・・・とは言っても今の私はフードを被ってるから気付かれないのも無理ないんだけどね・・・・・・。なんで被ってるかって?だって、こんな街中に次期女王になる私がいたら混乱が生じちゃうでしょ?だからかな。
そんなわけで門番の兵達にも話をつけ、私はようやくサザンビーク王国を出たのだった。
「さて・・・・・・まず行くのは・・・・・・やっぱりあそこかな?」
私の旅が・・・・・・今始まった。
キャラクター紹介
システィア・サザンビーク
本作の主人公であり、サザンビーク王国の次期女王。茶色の長い髪腰近くまで伸ばし、顔に輪郭やパーツなどは父であるエルトニオと母であるウィニアを足して割ったようなものとなっている。二人は元から顔が良かったため、システィアもまた整った顔つきになっている。その容姿に虜にされる男は少なく無いのだとか。
昔は明るく活発的な女の子で何事にも楽しそうに取り組んでいたが、とある出来事をきっかけに、あまり表情を顔に出すことが少なくなってしまった。王国の由緒正しい場所で育ったこともあり、旅先では自分の認識とは違うところに戸惑いを覚えるものの、それもまた勉強だと前向きに考えている。
自身の一人旅で世界を回るべく、サザンビークを飛び出し、さまざまな仲間たちと出会う。
戦闘は基本的に剣で戦い、時折り魔法で応戦する形。
装備
エルトリオの剣
旅人の服
守りのルビー
所持金 10000G