暗闇に一筋の光が差し込む。
―ご主人様…
―ベル…
―私も一緒に見ていました、ご主人様の過去を…あなたの中で…
―そうか…
―でも、迷いはないようですね…
―ああ、俺は戦うよ。大切な仲間たちのために…せっかくこんな体をもって生まれたんだ。存分に使うよ…
―そうですか…ふふっ、心配はなさそうですね…
―うん、任せてくれ…
―はい……そろそろ時間のようです…
―ああ…
翔一はゆっくりと目を開けた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
翔一自室―
翔一は目を覚ますと、隣に小さい温もりを感じる。ベルファストだ。
―んぅ?…ごしゅじんさま…おはようございます…
翔一とほぼ同時に起きたのか、ベルファストは寝ぼけ眼で言った。
―おはよう、ベル
昨日、ベルファストがメイドの仕事を終え執務室に戻ってくると、疲れたのかしばらくして眠ってしまった。ぐっすりと眠っているので起こすのも悪いと思い、結局添い寝したというわけだ。
ベルファストが1つあくびをして言う。
―ふぁぁ…昨日は帰ってきてそのまま寝てしまったのですね
翔一はベッドを出ながら言う。
―うん…すまないね、俺もベッドに入ってしまって
ベルファストはにこっと笑うと言う。
―いえ、ご主人様がお望みなら、いつでも添い寝しますよ
ベルファストは続けて言う。
―今日の朝ごはんは私が作りますよっ
こうして今日も母港の1日が始まった。
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執務室―
ベルファストと朝食を食べ終えると、2人は今日の仕事の準備を始めた。ベルファストは昨日メイドの仕事を1日かけてメイド隊たちに教えてもらった事で、翔一の専属メイドとしてのスキルは戻っていた。このことから、今日からまた翔一の近くで仕事をするという事になった。
しばらくするとエンタープライズが来る。
―おはよう、指揮官、ベルファスト
―おはよう
―おはようございます、エンタープライズ様
エンタープライズはベルファストを見て言う。
―ベルファストは今日から指揮官の身の回りのお世話を再開するんだよな。メイド隊から聞いたよ
―はい、がんばりますっ
エンタープライズはベルファストの頭をなでながら言う。
―ふふっ、小さいベルファストは素直でかわいいな
ベルファストは少し身を震わせて答える。
―うぅ…くすぐったいです
翔一は2人を微笑ましそうに見つめた。
―よし、始めるか
翔一がそういうと今日の業務が始まった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
執務室、昼前―
ベルファストとエンタープライズの手伝いもあり、いつもより早く仕事が一段落ついた。一息ついていると赤城が来た。
―指揮官様~
ドアノブが回転し彼女が執務室に入ってくる。
―赤城か、今日は遅いんだな
いつも通りの展開というか、しかしいつもより少し遅いと思ってしまう自分に驚いた。そう思うほど彼女も翔一に近い存在となっていた。
そんな赤城はにへらっと笑い言う。
―私が来ることが待ち遠しかったのですね指揮官様、赤城はとっても嬉しいですわ~
―ははっ…
反応もいつも通りな赤城に翔一は苦笑いしてしまうが、どこか心地よい気持ちも抱いているのだった。
翔一は赤城を見てふと昨日のことを思い出した。天城のことについてだ。
―赤城
翔一が呼ぶと赤城は甘い声で答える。
―はぁい、指揮官様
―昨日のことについてなんだが、お前と加賀は何か天城と関係があるのか?「姉さま」と呼んでいたようだけど
一瞬困り顔をした赤城は、ぽつぽつと話し始めた。
―はい、天城姉さまは私の…私と加賀の姉にあたります
―そうか
彼女は一呼吸おいて続ける。
―…元々加賀は戦艦として生まれましたの。そして体があまり良くなかった天城姉さまは、軍縮条約の影響を受けて姉さま自身の体を加賀の改修のために使ったのです…
少し暗い顔をする赤城を内心心配するが、翔一が言う。
―そうして生まれたのが今の空母加賀か…
―はい…
―とすると、今はもう天城は…
―…
赤城は黙ってしまう。その表情からは、わずかな無念が伺えた。思わず翔一が言う。
―すまない…余計なことを
これに赤城は慌てた様子で言う。
―あ、い、いえ…私がこんな顔をしてしまうから…指揮官様にとっても大切な方なのに…
―いや、俺はいいんだ…俺は天城と一緒にいたのは幼い時だけだから…
暗い空気が漂う中で、それを払おうとエンタープライズが話す。
―こ、こんなに辛気臭い話はよくないぞっ。さあ指揮官、仕事だ仕事
エンタープライズの声を聞き、はっとした翔一が言う。
―そうだな、再開しようか
そして、早速ベルファストが言う。
―ご主人様、今日のお昼ご飯の後はロイヤルの演習のお手伝いですっ
そういった直後、ベルファストから”ぐぅ”と音がする。
―あ…
ベルファストは顔をほんのり赤く染めるとつぶやいた。すると赤城が言う。
―ふふっ。お昼は私が作りますわ
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ロイヤルエリア―
赤城が振舞った昼食を食べ終わり一旦彼女と別れた後、ロイヤル陣営の演習を手伝うため、エンタープライズとベルファストと共にロイヤルエリアに来ていた。
エリアに気てまず見えたのはエリザベスだった。
―来たわね下僕!
―おう、元気だなエリザベス
エリザベスは”ふふん”と鼻をならすと言う。
―当然よ。将来の婿に私の強さを見せてあげるんだから!
その言葉にエンタープライズが反応する。
―それは楽しみだな
―ロイヤルの優雅な戦い方、とくと見ておきなさい!
エリザベスがそう返すと、彼女は演習場所まで案内すると言うので翔一たちはそれについていった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ロイヤルエリア、海岸―
海岸に着くと、紫の短いポニーテールを揺らしながらジャベリンがやってきた。
―しきかーん!
ジャベリンが翔一たちの近くに来ると、エリザベスはジャベリンに言う。
―ジャベリン、準備はできたかしら?
―はい、もう始められますよっ
ジャベリンはそういいながら海の方を見る。そこにいるKANSENたちがこちらに向かってくる。
―ようこそおいでくださいました、誇らしきご主人様
まず口を開いたのはシリアスだった。
―久しぶりの演習の見学だ、しっかり見させてもらうよ
そしてエルフのような長い耳を持つKANSEN、セント―が言う。
―先輩たちのようになれるよう、頑張ります
イラストリアスが続く。
―ふふっ、これはしっかりお手本を見せてあげないとですね
そしてイラストイアスはユニコーンを見る。
―イラストリアス姉ちゃんには負けないよ
話しているKANSENたちを見て、翔一が言う。
―うん、やる気があるようで良いな
―あら、私も忘れてもらっちゃ困りますわ~、こ・ぶ・た・ちゃん
そういいながら翔一に寄るのはエイジャックスだ。それを見るリアンダーが言う。
―ほらほら、エイジャックス、指揮官様が困っていますわ
―いいんですのよ、この子豚ちゃんはいつも困ってるくらいが丁度いいんですから
二人の話を聞いていると長い金髪がたなびくのが見えた、ほんのりバラのにおいもする。オーロラだ。
―演習とはいえ戦うのは久しぶりです。指揮官さん、何か変なところがあれば、何でも言ってくださいね
―ああ、しっかり見るよ
そして、力強いウォースパイトの声が聞こえてきた。
―心配しなくても大丈夫よオーロラ、私もついているわ
―いざというときは私が相手の動きを止めますわ
そう言うのはフォーミダブルだ。
ウォースパイトが言う。
―さて、始めましょうか…陛下、ご準備はよろしいですね
―ええ、いつでも良いわ。みんな、海上に!
その声を聞き、ロイヤルのKANSENたちは海の方に歩いていく。
―ご主人様、今日は私も演習のメンバーなんですよっ
ベルファストがそう言う。
―そうなのか?
翔一の問いにシリアスが答える。
―はい、メイドのお仕事も覚えたので、今度は戦闘の方もという事だそうです
シリアスは続ける。
―とはいえ、メイド業務を1日でマスターしてしまうなんて、他のメイド達も驚いていました。さすがメイド長さんです
―この調子で記憶も取り戻してくれるといいな
翔一がそう言うとベルファストはにこっと笑顔になり答える。
―はいっ
すると海の方からエリザベスの声が聞こえた。
―2人ともー!早く来なさーい
こうして演習が始まるのだった。
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海上―
KANSENたちは2チームに分かれ、激しい攻防を行っている。メンバーはジャベリン、ベルファスト、シリアス、イラストリアス、セント―、エリザベスのチームとエイジャックス、リアンダー、オーロラ、フォーミダブル、ユニコーン、ウォースパイトのチームだ。
ウォースパイトから轟音と共に主砲が発射される。
―いくわよ!
ドドンと連続で放たれる砲撃であったが、ジャベリン、ベルファスト、シリアスの素早い回避で無駄に終わってしまう。
―簡単にはやられませんよ!
ジャベリンはそう言うと、相手の前衛艦に向けて魚雷を発射する。
―あ!
リアンダーはその魚雷を受ける。しかし、すぐさま相手を翻弄させようと行動する。
―く、これなら!
彼女は煙幕を散布し海上をそれで覆う。
―み、見えないです
―これでは攻撃できません…
ベルファストとシリアスが言った。
そこでセントーが叫ぶ。
―皆さん、すぐ煙幕から離れてください!
そういいながら攻撃機と戦闘機を発艦した。ベルファストとシリアス、ジャベリンが煙幕から出ると、爆撃と雷撃が開始された。
―わっ、煙幕の上から攻撃されていますわ
―これではどこから攻撃が来るか分かりませんね…
エイジャックスとリアンダーが言う。自らが出した煙幕があだとなってしまった。攻撃を食らってしまう。
―みんな、回復するよ
そういうユニコーンが航空攻撃を開始すると、エイジャックスとリアンダーが食らった攻撃のダメージが少し回復する。
―少し楽になりましたわ
―ええ、でも一旦退避しましょう
2人は煙幕を出ていく。後方で2人の援護をしていたオーロラが前に出て対空攻撃をする。しかし…
―セントーさん、やはり強いですね
エイジャックスとリアンダーも対空攻撃に加わったがそれでもなお攻撃を抑えられない。そこで、フォーミダブルが動く。
―行ってきてください!
攻撃機が発艦され、ジャベリン、ベルファスト、シリアスに近づくと、フォーミダブルのスキルで3人は身動きが取れなくなる。その隙に爆撃が開始された。激しい攻撃に見舞われる。
―くっ、このスキルはとても厄介です…
シリアスがそうこぼすと、イラストリアスが言う。
―大丈夫です、皆さん!
イラストリアスもすかさず航空攻撃を始め、そのスキルを発動させる。前衛の3人はシールドに覆われ、フォーミダブルの攻撃が無効化された。
―ありがとうございます、イラストリアス様
ベルファストがそう言うと同時にフォーミダブルのスキルが解除された。そしてエリザベスが砲撃を行う。
―さあ、受けてみなさい!
攻撃直後で次の行動に移るのが遅れたフォーミダブルは、その攻撃に当たり、軽く吹き飛んだ。
―くっ、わああ!
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海岸―
凄まじい攻防が繰り広げられるなか、それでも拮抗しているのに翔一は驚いた。
―個々の能力を最大限生かした戦い方だな、感心する…
エンタープライズが続く。
―ああ、ユニオンも見習わなければな
演習の様子を見てしばらくすると翔一たちの後ろから声が聞こえてきた。
―指揮官様!
―指揮官!
切羽詰まったような声に翔一とエンタープライズは振り向く。
―赤城、加賀、どうしたんだ
翔一がそう言うと加賀が答える。
―奴が来たぞ…!
翔一とエンタープライズは詳しく2人の話を聞いた。
委託をお願いしていたKANSENたちから、敵のWARSがこの母港に向かってきているという情報が入ったらしい。緊急で応援を出したが、今までのことからKANSENたちの攻撃を封じられることが考えられるため、翔一に指示を仰ぎに来たという事だ。
―迎撃するぞ
話を聞いた翔一はそう答える。その直後、黒い影が頭上を通過した。それは海上で止まり浮遊した。
そしてオイゲンとビスマルク、伊13が走ってきた。既に艤装を身に纏っている。
―指揮官、結構やばい状況よ
―もう攻撃が封じられているわ
―な、なにもできないよ
早々に攻撃も出来ない絶望的な状況に翔一はWARSを睨むことしかできなくなる。突然現れたそれに、演習を続けていたKANSENたちは混乱する。
―あ、あれは…!
エリザベスが言うとジャベリンも続いた。
―この前に見たセイレーン?…ですね…
そしてそのWARSが挑発的な態度で翔一に言う。
―ならないのか?この姿に
その声を聴いたシリアスが聞く。
―誇らしきご主人様…これは、どういう…
そして翔一に近づくWARSを前に、こちらに駆け付けたベルファストが翔一に言う。
―ご主人様、お下がりください
―いや、しかし…!
さっきまで演習をしていて少し疲れた様子のベルファストを見て心配した翔一はそう言う。しかし、腕を広げ自らを盾にする様子の彼女は、体は小さくとも勇ましい声音で言った。
―ご主人様は、このベルファストがお守りします!
この言葉を聞きWARSは苛立ちを覚えたように言う。
―ベルファスト…だと…?
翔一が言う。
―そうだ、ベルファストだ。コアの完全な破壊は出来ていなかったようでな、不完全な状態だが、復元できた
―なんだと…
WARSは睨みを利かせるようにベルファストの方を向くが、全く動じないその姿を他のKANSENたちも見た。そして…
―指揮官様は傷つけさせないわ!
―将来の婿を失うわけにいかないの!
赤城とエリザベスが叫んだ。
―私を更なる強さに導いてくれるかもしれないのでな
―もっと指揮官の力になりたいっ
加賀と伊13が続いた。
―指導者として、まだまだ教えなければならないこともあるわ
―もう少し素直になったら?ビスマルク、もっと指揮官と一緒に居たいって。私はそうよ、し・き・かん
ビスマルクとオイゲンも言う。そしてエンタープライズが言う。
―私は指揮官と共に、歩みたい…!
―みんな…
翔一はKANSENたちの思いを一身に受けて感歎を漏らした。それを見たWARSは…
―何故……お前ばかり…!
するといつの間にか海上に出ていた指揮艦から明石の声が響いた。
―明石を忘れちゃ困るにゃあああ!
それと同時に指揮艦から一発、砲撃が放たれる。しかしそれをWARSは片手の手の平で防いでしまった。そしてWARSは禍々しく黒いオーラを出しながら叫んだ。
―何故だぁ…
―人間の道具に媚びることしかできない!ゴミがあああああああああ!
そう言いながら翔一に殴り掛かる。ベルファストが防ぎにかかるがもう遅い。
―ご主人様!
しかし、翔一はWARSの拳を手の平で受けた。その姿はびくともしない。
―違うな…道具などではない…!
”俺の大切な…仲間たちだ…!”
その言葉は強く、深い力があった。翔一がそう叫んだ直後、指揮艦から合成音声が聞こえてくる。
”Warning warning this ship is about to be engaged. Get out of here immediately. ”
―にゃにゃ!また床がなくなっちゃうにゃ!
明石がそう言うのも束の間、更に音声が鳴り響く。
”WARS ENGAGED”
たちまち翔一の周りはキューブの青い光で覆われていく。以前の黒い靄のような禍々しいものではなかった。
―んにゃああああ!やっぱり落ちるにゃあああ!
光で覆われると同時に指揮艦がその場所から消えると、案の定明石は海に落ちていった。
光が消えていくと、先日に見た姿と同じだが色は全く違う、黒とは正反対の白いアーマーで身を纏った人型がそこに立っていた。その胸には、青く輝くキューブが見える。
そしてそのキューブからまた青い粒子が放出されると、それはベルファストを包んでいく。するとその姿はだんだんと大きくなっていった。
―ど、どういう事だ…!
これには敵のWARSも驚いた様子で後ろに下がった。
―ご主人様
青い粒子が消えると、そこには僅かに光を纏った元の姿を取り戻したベルファストが立っていた。その目は、金色に輝いている。
―ベル
―ふふっ、この姿はお久しぶりですね。しかし、お話はまた後で…!
―…ああ、行くぞ!
まず、翔一…いや、真のWARSは相手のWARSに全力で拳をぶつけた。
―ハァ…!
―ぐぉあ!
ガンッという音と共に吹き飛ぶ敵は、すかさずベルファストの砲撃の餌食となった。
―少々痛いですよ
全てのKANSENに攻撃権限を剥奪するコードを与えていた相手は、ベルファストが攻撃できることに驚いた。
―がっ!…なぜ攻撃できる!
―私の体はご主人様だけの命令に従えるようにアップデートしました。あなたの権限はもう通用しません!
砲撃の餌食になり、背中で海を滑っていく敵は、WARSが右手に出現させたレーザー砲の攻撃により更にダメージを負う。しかし敵もやられたままではない。即座に右手にレーザー砲を出現させ、後ろに飛びながらそれを撃つ。双方で交わされる攻撃の応酬。その中で敵の攻撃がWARSに当たる。
―くっ…
しかし動じずに前に進み、格闘戦に持ち込んだ。
―…!
遠くから見れば獣のように殴りあっているように見える。しかし白と黒の鎧の動きはさすが軍人と言うべきか、相手の動きを正確に把握し隙を狙って攻撃をしている。
―ご主人様!
―今だ、ベル!
そして、WARSとベルファストの匠なコンビネーションにより、初めの内はその攻撃の対応が出来ていた敵も余裕がなくなっていった。やがてWARSとベルファストの優勢となっていく。
2人の姿を見る赤城と加賀が言う。
―指揮官様ーーー頑張ってくださーい♡!
―強い思いが、新たな力を生んだか…
とうとう敵を追い詰めんとするWARSとベルファスト。WARSが言う。
―決めるぞ、ベル!
―はい!
とどめを刺そうとしたその時、黒い雲が一瞬にしてあたりを覆った。そこから、セイレーンが現れ、攻撃する。
―はあい、そこまでえええ!
―これ以上は少し困るわ
これにWARS、赤城が反応する。
―ピュリファイアーか…!
―オブザーバー…!
オブザーバーが言う。
―あら、久しぶりね、でも話してる暇はないの
ピュリファイアーが敵のWARSを見ながら続く。
―この子も結構あれちゃってるしね~、こんなに暴れがいのある場所に来たけど、残念
その敵のWARSはというと、黒い雲から出ている鎖のようなものにつながれ、身動きが取れない状態にあり、そして暴れていた。
―クソ、クソが!あああああ!
それを見た加賀とオイゲンが言う。
―あんな無様な姿が指揮官と同一人物とは思えんな
―ホントにね
最後にオブザーバーとピュリファイアーが言う。
―それじゃあね
―ばいばーい
セイレーンたちはそのまま黒い雲に覆われ、消えていった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
執務室―
一旦事件が片付き、落ち着きを取り戻した翔一たちは執務室に帰ってきていた。
―ふう、どうなる事かと思ったよ
エンタープライズがつぶやいた。
―一件落着って感じかしら?
続いてオイゲンが言うと、赤城が翔一に抱き着いた。
―ふふふっ、私たち2人の愛の力で指揮官様が新たな力を得ましたわ~
―そ、そうだな
―まあでも、今日くらいは少しの間だけ譲ってあげてもいいかしらね
そういいながら赤城は翔一から離れ、一時的に小さくなっていたが元の姿に戻ったベルファストの方を見た。
―ご主人様
―ん?
”ベルファスト、帰投いたしました”
ベルファストがそう言うと、明石が彼女に飛びついた。
―にゃああああ!やっとベルファストが戻ってきたにゃああああ!
―わあっ、明石様、あまり激しく抱き着かないでください
―嬉しいにゃああ!
そんな姿を見て、翔一は思わず噴き出した。
―ふっ…はははっ
翔一はこの母港に来てこのように笑ったことは無かった。その様子を見てKANSENたちは一瞬ぽかんとするが、その後には微笑んでいた。
ビスマルクが言う。
―ふふっ、指揮官、そんな風に笑えるのね
加賀が続く。
―まあ、この前の絶望したような顔よりは随分良くなったな
そして、伊13。
―大事なヒトが元に戻ったからね
翔一は皆の方を向いて話す。
―みんな…ありがとう
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
夕方、執務室―
セイレーンを退けたといっても仕事がなくなるわけではない。夕日が海に落ちそうになるころまで、翔一、ベルファスト、エンタープライズは今日の業務を消化していった。エンタープライズが言う。
―よし、今日はこんなものだな
―終わったか…いつもありがとな、エンタープライズ
―礼には及ばないよ、秘書艦として当然のことさっ
いつもより弾んだ声音で話すエンタープライズを見てベルファストが言う。
―少しうれしそうですね、エンタープライズ様。ご主人様と距離が近いからでしょうか?
実際に翔一と腕が触れそうなほどの距離で翔一の隣に座っていたエンタープライズは、慌てた様子をした。
―あ、そ、そういうことでは…
―ふふっ、照れているエンタープライズ様も可愛らしいです
ベルファストの言葉でエンタープライズはそっぽを向き顔を赤くする。
―そ、そうやってからかうベルファストは嫌いだぁ。もう一度小さくなればいいんだっ。そっちの方が素直で可愛かった。そうだろ、指揮官?
そう言うエンタープライズに翔一が答える。
―?…お前は可愛いと思うぞ
この言葉でエンタープライズは耳まで赤くなる。ベルファストも”あら…”とつぶやいた。
―もぅ…かえるぅ!
耐えかねたエンタープライズがスタスタと執務室を出て行ってしまう。
―あ、おい…
呼び止めようとする翔一だったがそれは叶わず、部屋のドアを出たときにはエンタープライズの走る後ろ姿が見えた。
―少々、やり過ぎてしまったようですね…
ベルファストはそう言いながら翔一の隣に寄る。そして、翔一の目をじっと見つめる。
―どうしたんだ?
―ご主人様…オルゴール、聞いていただけましたか?
翔一の誕生日の時にベルファストがくれたオルゴールのことだ。聞いたのはその日、ベルファストが消滅した日だ。その時の翔一は何も考えていない状態だったので、よく音色を覚えていない。
―聞いたよ…でも、よく覚えていない…
―それなら、一緒に聞きましょう…今…
―…自分で聞くのは、恥ずかしいんじゃなかったか?
―今は、あなたの近くに居たい…
翔一は自分の机の引き出しから、大事にしまってあったオルゴールを取り出した。それを持ちながら、部屋のソファーに2人で腰かける。そして、蓋を開けた。
儚くも、しっかりと存在を感じさせるその音色が2人を包み込んでいく。その音は、夕日が沈み月明かりが部屋を照らすまで続いた。
第一章「指揮官覚醒編」完
翔一が真のWARSになり幾日か経ったある日、薄暗い倉庫で動く緑の影があった。
―明石…また何か作ってるんですか
その姿を見た不知火が言った。
―そうにゃ、指揮官のあんな姿を見てしまえば工作艦の血が騒ぐのにゃ!
明石がそう言うと不知火が聞く。
―そうですか、あと、指揮艦がドックからなくなっているんですが…
重大な事を明石に教えるがその反応は薄い。
―だいじょぶにゃ、すぐに元に戻るにゃ。そして指揮艦はここにあるにゃ
明石はそう言いながら不知火に何かを見せる。
―は…?
―にゃふっふ~…完成したにゃあああああ!
勢いよく立ち上がる明石、その手にはごついブレスレット状のものが握られていた。
―うるさいですね…で、何ですかこれは
―これは指揮官を安全に変身させるアイテム…名付けて!WARSブレスにゃああああああ!
そしてこう続ける。
―変身するときに毎回指揮艦が消えてもらっちゃ困るのにゃ。それで何とかキューブで複製しようとしていじってたら、指揮艦にはいろんなシステムがあることが判明したのにゃ
―そうしたら、これができたと?
―そうにゃ
明石はルンルンとした様子で”これから執務室にいってくるにゃぁ”と言いながら倉庫の出口に向かっていく。そのとき、以前ベルファストを復元させた装置に淡く光が灯った。
―にゃ…?
―なんでしょうか?
光がなくなると、そこには6つのメンタルキューブがあった。
―解析してみるにゃ…
明石はそう言うと執務室に行くのをやめ、キューブの解析に取り掛かった。
ちなみに指揮艦は複製に成功していたらしく、その日の夕方には元の場所に戻っていた。
細かい設定、設定画はここ(ピクシブ)にゃ
感想もよかったらよろしくにゃ
どんな所がよかったですか?
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キャラ
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ストーリー
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文章(全体)
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文章(セリフ)
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文章(地の文)