12話 前途多難!開発艦ハーレム!!
朝、執務室―
翔一がWARSへと覚醒し数日、セイレーンが現れることはなく平和な日々が続いていた。
いつものように執務室で翔一は母港の運営業務を行っている。
―ご主人様、コーヒーをお入れ致しました
―ありがとう、ベル
ベルファストはカップを翔一の机に置く。彼女はこの母港の指揮官、翔一の専属メイドだ。普段翔一の身の回りのお世話を行っている。翔一が母港に来る前から、ロイヤル陣営のメイドたち「ロイヤルメイド隊」のメイド長として働いており、今は翔一のメイドも兼任している。
そんな彼女は執務室にいるもう一人のKANSEN、翔一の隣で作業するエンタープライズにもカップを渡す。
―エンタープライズ様も
―うん、ありがとう
エンタープライズは翔一の秘書艦として日々翔一の業務の手伝いを行っている。エンタープライズはコーヒーを一口飲むと言う。
―ふぅ、ベルファストの入れるコーヒーはいつもおいしいな。さすがメイド長だ
それにベルファストは微笑んだ。エンタープライズが続ける。
―そうだ指揮官、今日の副秘書艦は誰なんだ?
―今日は不知火のはず…まだ来てないけど、どうしたんだろうな。何か知っているかベル
ベルファストは少し考える様子をすると言う。
―…いえ、存じませんね…度々明石様のところにいるようですが、そこにいるのかもしれません
―そうか…
そういえば最近明石に会っていないなと翔一が思ったその時、執務室のドアが勢いよく開く。ドアの先には明石が息を切らして立っていた。
―な、なんだっ
驚いたエンタープライズがそう言った直後、明石は切羽詰まった調子で言う。
―指揮官!倉庫に来るにゃ!
執務室にいる3人は顔を見合わせる。そして明石についていくことにした。
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母港ドック、倉庫―
明石に連れられた翔一、ベルファスト、エンタープライズが倉庫に入っていく。中には不知火が立っていた。
―あ、指揮官…すみません、明石がいろいろとやっていたのでそちらに伺えませんでした
―ああ、明石から聞いたよ
翔一たちは明石から執務室に来た理由を聞いていた。明石が何かを作っている時に謎のキューブが出現したらしく、それを解析していくうちにそれは今までに建造されたことの無い、データだけ存在していたKANSENのキューブだったという。建造計画だけあったKANSEN、言わば「計画艦」である。試しにKANSENとして実体化させてみようとしたところ、本当に実体化してしまったため翔一に報告しに来たという事だった。
―それで…そのKANSENは…?
翔一が明石に問う。
―こっちにゃ
そう言いながら明石は倉庫の奥に案内する。するとそこには6人の見覚えのないKANSENたちが居た。
最初に話したのは赤く長い髪を持ったKANSENだった。勇ましく、戦士然とした雰囲気だ。
―お初にお目にかかる、私は戦艦・モナークだ。お前が指揮官だな、よろしく頼む
―よろしく…
翔一がそう答えると次はあずき色の髪のKANSENが言う。
―戦艦出雲、着任した。お前が指揮官か?あまり頼りにならなそうだが…
―お、おう
開口一番頼りに「ならなそう」と言われ少し怯む翔一、そんな翔一を包むように「ゆるふわ」な感じの声で、黒い衣装を身に着けたKANSENが言う。
―見ただけでそんなことを言ってはいけませんわ。ふふっ、こんにちは、ローンと言います
―…うん、よろしく
翔一は赤城や大鳳のような雰囲気をローンに感じ、一瞬返答が遅れてしまった。追撃するようにローンが言う。
―…?どうしたのですか、指揮官
―いやっ、なんでもないよ
ローンは”そうですかぁ…?”と言い残した。次に話したのは深い青色の髪のKANSENだ。
―伊吹と申します。まだ修行中の身ですが、よろしければ、何卒お使いください、主殿
―ああ、よろしくな
前の3人よりはクセがないのですんなりと言葉を返すことが出来た。そして落ち着いた声で、銀髪のKANSENが話す。
―会えて光栄だ。導く者よ。私はサン・ルイ、神の思し召しによりあなたの元に仕えるもの
サン・ルイはそう言って翔一に握手を求める。翔一はそれに応じて言う。
―よろしく
最後に話したのは綺麗な水色の髪のKANSENだ。少し高飛車?な感じで言う。
―私はロイヤル大型巡洋艦のネプチューンと申しますわ。うふふ、私のこと、忘れられなくして差し上げます♪
―うん、よろしく頼むよ
―はい、よろしくお願いします♪
全員の自己紹介が終わったところでネプチューンはベルファストの方をちらと見ると言う。
―あなたは…ここのメイドさん、ですね…?
―はい、初めまして。私はロイヤルのメイド隊、メイド長のベルファストと申します。現在はこの母港の指揮官にもお仕えしております
―あら、そうなのですね。いつかそのメイド長さんの力、見せて頂きますわ
そうネプチューンが言った後、モナークが話す。
―指揮官、早速力を試してみたいのだが、何かできないか?
―そうだな…エンタープライズ、今日はユニオンの戦闘演習があったよな
―ああ、あと1時間ほどで始まるぞ
そこでローンも言う。
―ふふっ、ちょうど私も戦いたいと思っていたところです。ぜひ私もその演習に参加したいのですがいいでしょうか指揮官?他の子たちも…ねぇ?
そう言いながらローンは他の開発艦たちを見まわした。
―修行の一環として、私もお願いしたいです
―我が刃を振るうときが、こんなに早く来るとはな
伊吹と出雲が言った。続いてサン・ルイとネプチューンが言う。
―指揮官に仕えるものとして、力を示そう
―まずは私の実力をお見せいたしますわ
そう言う開発艦たちに翔一は話す。
―よし、なら君たちとユニオンのKANSENたちで演習を行おう
―にゃにゃっ、みんなにこの子たちのことはどう説明するのにゃ?
明石が言うと不知火が答える。
―あなたが生み出したのですから、あなたが説明してください
倉庫にいる一同は、ユニオンエリアに歩を進めるのだった。
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ユニオンエリア―
ユニオンエリアに赴く前に、母港のKANSENたちに新たな仲間が出来たという報告を明石が行った。当然ながら母港全体は大騒ぎ。特に赤城などのKANSENは目を血走らせながら”何かおかしなことはされていませんか?”というような事を話してきた。その場には当然ローンがいたので翔一は胃を痛めることになったのだが、それはまた別のお話。
―さあ、ここがユニオンのKANSENたちが住まう場所だ。ようこそ、ユニオンエリアへ
エンタープライズが計画艦たちに言った。モダンな建物が立ち並ぶ中、爽やかな風が吹く。
伊吹がつぶやく。
―わあ、重桜の静かな景色とは一変して、ユニオンのそれはとても賑やかな感じなのですね
その言葉に翔一が聞く。
―生まれたばかりなのに、重桜の景色が分かるのか?
明石が答える。
―KANSENは人の思いから形を成しているにゃ。だからその記憶、伊吹のような重桜艦であれば重桜人の記憶が少しあるのにゃ
ローンがこれに付け足す。
―概念、と言うのでしょうか…そのようなものがそれぞれに宿っているのだと思いますよ
―そういうことか…俺はまだまだKANSENのことについて知らないことが多いな
翔一がそう言うと不知火が答える。
―このようなことも知らなかったとは、やはり大うつけですね指揮官さま。妾がこんど教えて差し上げます
辛辣な言いように翔一は苦笑いしてしまう。しかし、他のKANSENたちは後から不知火が付け足した言葉に翔一を思う気持ちを感じ、微笑むのだった。
ネプチューンが言う。
―少し見学していきたいと言いたいところですが、そろそろ時間ではないでしょうか?
エンタープライズは近くの広場にある時計を見て言う。
―ん、そうだな、海岸の方に行こうか
一行は海岸へ歩いて行った。
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ユニオンエリア、海岸―
―お、もう全員いるじゃないか
海岸に着くとエンタープライズは、もうそろっている今日の演習メンバーを見渡して言った。
その一人であるアルバコアが言う。
―うん!新しく母港に来た子たちが演習に来るってことで早く見たいと思ってね!
その言葉に伊吹が反応する。
―やっぱり私たち、注目されているのですね
モナークが言う。
―存在を認められているという事は悪いことではない。しかもそれが、会いたいというものなら尚更な
演習メンバーの1人、クリーブランドが気さくに言う。
―ふふっ、母港が少し賑やかになるな…私はクリーブランド。よろしく、6人とも!
伊吹は微笑み、言う。
―はい、よろしくお願いします
そして、クリーブランドの隣にいたホノルルが言う。
―なんだか、クセの強そうなのがいっぱい居そうね
その言葉に不思議そうな顔をしてローンが答える。
―クセ…ですか…?
ホノルルは軍帽のつばを下げながら言う。
―ええ、特にあなたは重桜の空母っぽい感じする
―…?
一瞬考え、海岸に来る前に翔一に押しかけていたKANSEN達を思い出した。
―ああ、あの子たち…確かに、私も似たようなところがあるのかもしれませんね。でも、妙なことを指揮官にしないように見ておかないと…ふっふふ…
ホノルルは少し面倒くさそうな顔をする。
―う…そういうところよ…
言い終わると、出雲が話す。
―早速だが、演習とやらはもうできるのか?
これにネバダが答える。
―ああ、バッチリ。いつでもできるぞ!
ネバダは続けて言う。
―それと指揮官。新しい私の力、しっかり見ておけよ!
ネバダは最近艤装を改修し、新しい姿となっていた。それを見た翔一が言う。
―うん、楽しみにしているよ
ネバダはニカッと笑った。そして、演習メンバーに言う。
―よし、みんな!海上に行くぞ!
いよいよ、新たな仲間たちとの力試しが始まる。
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海上―
今回の演習は予定になかった開発艦たちの介入で、急遽ユニオンのKANSENたち対開発艦たちという事になった。予定ではユニオン艦同士の演習だったため合計12人の人数がいたことから、人数差を考えてユニオン艦と開発艦の人数を均等にし、混成チーム同士で演習をするという事を考えた。しかし開発艦たちは相当自身があるようで、ユニオン艦対開発艦、つまり12対6で戦闘がしたいと申し出ていた。特にモナークは自分の力を気にしているようだった。
そんな中始まる演習でユニオン艦のメンバーは、
アルバコア、カヴァラ、エルドリッジ、ラフィー、ホノルル、クリーブランド、アラバマ、ネバダ(改)、エセックス、エンタープライズ
の12人である。
今回の演習のリーダーであるネバダの砲撃の轟音と共に演習が始まる。
―っしゃあ!相手の新人たちも本気だ、全力で行けぇ!
ドンという音でユニオンの皆は動き出した。最初に攻撃を始めたのは空母、エンタープライズとエセックスの2人だ。
―エセックス、まずは航空攻撃で相手の動きを止めるぞ!
―はい、エンタープライズ先輩!
2人の攻撃が開発艦たちに迫った。開発艦側は空母がいないのでその分不利であるが、爆撃や雷撃を受けるその前衛艦たちは鬱陶しそうにしながらも、負けずに水上を走っている。
―いきなりこのような数の航空攻撃を出すとは…しかし、私たちも簡単には食らいませんよ!
―ふふっ、むしろ最初からこのくらいの方が燃えますよ~
ネプチューンとローンが言うと、その後方から戦艦たちの主砲が鳴り響いた。
―はあ!
―受けてみろ
出雲とモナークの砲撃が、ユニオンの前衛艦たちを襲う。そして2人のスキルが発動し、更に弾幕が濃くなる。
―ぅああ!
―く…
ホノルルは放たれた砲撃に直撃、ラフィーは直撃は避けたが爆風に飲まれた。特にホノルルは後方に飛ばされ、相当のダメージを負った。
―あ、危ない!凄まじい威力だ…
間一髪で攻撃を避けたクリーブランドはその威力に怯む。
―一瞬の隙を突く!
しかし、目前に迫っていた伊吹が言いながら放った魚雷を、クリーブランドは受けてしまう。
―ぐああ!
そんな中、水中でひそかに開発艦たちの隙を伺う潜水艦2人が攻撃しようと動き出していた。アルバコアが言う。
―ね、カヴァラ。今魚雷を撃った重桜の子、挟み撃ちにしちゃお!
カヴァラが答える。
―うん、それじゃ、あたしが回り込むね!
カヴァラはアルバコアの前方に進み、伊吹に接近した。
―撃てる?アルバコア?
伊吹の真下を通り過ぎ、彼女を中間にしてアルバコアと向かい合ったカヴァラが言う。
―おっけー
アルバコアがそう答えると、2人は一斉に魚雷を発射する。
―そりゃ!
―はっしゃあ!
魚雷が伊吹に迫る。
―!?
それに気づいた伊吹は避けようとするが間に合わない。魚雷が当たろうとしたその時。
―あら、悪戯ですか~?
伊吹の下にシールドが現れた。その近くにはローンがいる。予想していなかった出来事にアルバコアが言う。
―わ!シールド使えるの!?
そしてローンは事もあろうか全速力でアルバコアの真上に位置取り、両手を彼女に伸ばした。
―アルバコア!避けて!
―な、なんじゃあ!?
―ふふ、お仕置きですよぉ
ローンはアルバコアの頭を両手でつかみ、海中から引きずり出した。衝撃的な出来事にアルバコアは叫ぶ。
―んぎゃあああ!なんでえええ!?
そのままアルバコアは投げ飛ばされる。
―そーれ!
そしてローンは飛んでいくアルバコアに向けて砲撃を行う。
―ぐふぉお!
弾は直撃し吹き飛ぶ勢いは更に増した。それを見たカヴァラはローンから逃げながら言う。
―あわわわ、何あれぇ…
―そこにいるんですかぁ?
―わあ!こっち来ないでえ!
ローンも逃がすまいとカヴァラを追いかける。しかし、
―ぶっ飛ばす…
アラバマが主砲を放った。ローンに直撃する。
―がっ!
いくら開発艦であっても戦艦の主砲を食らえばただでは済まない。ローンはカヴァラを負うのを止め、一旦下がった。
前衛たちの戦いを見てエンタープライズが言う。
―相手は生まれたばかりだが、かなりの実力があるようだな…
―そうですね、特に主力の攻撃力は凄まじいです
エセックスは攻撃機を発艦させながら言った。
航空攻撃を突破してきたネプチューンとサン・ルイがユニオンチームの前衛艦に攻撃を仕掛ける。
―手は抜きませんわよ!
―全力だ…!
2人の主砲、魚雷が入り乱れる。
―こっちだって負けてられないよ!
クリーブランドが攻撃を避けつつ、砲撃をする。しかし、2人の連続攻撃に回避の余裕がなくなってくる。その時、
―サポート、する…
ネプチューンとサン・ルイの脇から人魂のようなものが飛んできた。エルドリッジのスキルによる攻撃だ。
―きゃっ
―何だこれは…
エルドリッジの攻撃は、纏わりつくようにして2人にダメージを与える。その間に、前線に帰ってきたホノルルがクリーブランドを援護する。
―さっきはやられたけど、いくわよ!
―状況が悪いな…
―く…下がりましょうか…
集中砲火を受けた2人は体制を立て直すべく、退いていく。しかしネバダがそれを許さない。
―逃がさないぞ!
ネバダが主砲を放ち、その弾はネプチューンとサン・ルイに迫る。当たる寸前、ローンがその前に出る。
―こんなもの!
ローンがもう一度シールドを発生させる。完全に防ぎきれたわけではないが、3人はネバダの攻撃を耐えた。
―防がれたか………っ!
ネバダがそう言って間もなく、その前方からモナークの主砲攻撃が飛んできた。
―決める!
―ぐあ!
ネバダだけでなく、アラバマ、エセックス、エンタープライズにもその砲撃が迫る。
―うっ…
―…!
―くっ、直撃したらひとたまりもないぞ…!
そして”まだ終わりではないぞ”という出雲の攻撃も始まった。前衛にも弾が飛んでくる。出雲のスキルも相まってユニオンチームは余裕をなくす。
―みんな…まもる…
その時、エルドリッジのスキルが発動する。前衛艦たちは少しの間、受ける攻撃を無効化できるようになった。そこでラフィーが言う。
―一瞬だけ前に出る…!
そう言いながら全力で前方に向かい、開発艦の前衛たちに魚雷をぶつける。他のKANSENたちもそれに続いて砲撃をしていく。一方的に攻撃されるネプチューン、ローン、サン・ルイは後退を余儀なくされた。
―なかなか厄介ですね…
―ここまで私を傷つけるなんて…許せない…!
―もっと慎重にやらねば…
一方、開発艦の主力艦の方向へ何発か砲弾が飛んできていた。前衛たちの戦闘を集中して見ていた出雲とモナークにそれが迫る。
―危ない…!
紙一重で避けた出雲が言う。しかし、
―くっ…
モナークは避けきれず、砲弾に当たる。吹き飛びはしないものの、ダメージは小さくない。彼女は悔しそうに歯を食いしばった。
それを見たネバダは少しふらつきながら言う。
―ふっ、さっき攻撃を受ける寸前に放った主砲、効いたようだな…
一進一退の攻防は続き、結局勝負は決しなかった。いい意味で演習とは思えない激しい戦いに、それを見ていた翔一とベルファストはただただ驚いていた。
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海岸―
皆が海上から戻ってくると、翔一が言う。
―みんな、とても良い演習だったぞ。開発艦たちは人数的に不利な中、あれほどの結果が出せたのは見事だった
それに伊吹が微笑み答える。
―ありがとうございます、主殿
そんな中、どこからか嘆息が聞こえる。
―はああ…ひどい目に会ったよぉ
そう言うのは、ローンに頭を掴まれ投げられていたアルバコアだ。それにローンが続く。
―ふふっ、やり過ぎてしまったでしょうか…?でも、そのままもう一人の子も攻撃出来たら…あぁ…
ローンはなかなかの戦闘狂、というかサディスト(?)なようでアルバコアとは逆に楽しそうな様子をしている。
エンタープライズが言う。
―それにしても、開発艦たちは相当の実力があったな。これからの味方として、とても頼もしいよ
その言葉に自信ありげにネプチューンが言う。
―当然ですわ。史実で建造こそされていませんが、一流の性能で設計されましたものっ
エルドリッジが言う。
―でも…エルドリッジの攻撃で退いてた…
―そ、それはっ、変なのが飛んで来たら、誰でもそうしますわ!
伊吹とローンが続く。
―私も潜水艦の攻撃を見切れませんでした…しっかり修行を積まねば…
―あの時はシールドが間に合わなければ危ないところでしたね
そして出雲が言う。
―一瞬の過ちが死を招く。気を付けろ…
やり取りを見てサン・ルイが言う。
―油断は禁物、だな
KANSENたちの姿を見ながら、モナークは考えていた。演習が終了する少し前、モナークがネバダの放った砲撃を受けた時のことだ。あの時、ウェールズやヨークならどうだったのだろうか。素早く攻撃をかわして反撃にでも転じていたのだろうか。あのような攻撃をかわせなかった自分は劣っているのだろうか。考えれば考えるほど孤独を感じていった。
そんなモナークの様子に気づいたのは、ベルファストと翔一だけだった。
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応接間―
演習が一区切りすると、翔一は開発艦たちを連れて執務室近くの応接間に行った。もちろんベルファストとエンタープライズも一緒だ。明石と不知火もいる。
―演習、楽しかったです。指揮官
部屋に入って早速ローンが言う。
―良い腕試しになった。今回は機会が無かったが、この刃を振るう日も近いかもしれないな
そして、不意に伊吹が言う。
―あ、あの、野暮なことであれば申し訳ないのですが…主殿、ベルファスト殿とはどのようなご関係で?…演習の時とても近くで寄り添っていたようなので…
それを聞いてベルファストは頬をほんのり赤く染める。そして、ネプチューンが悪戯顔で反応する。
―あら、私よりもそのメイド長さんの方が良いという事ですか?
そして明石は少しにやけ顔で言う。
―そりゃあもう、この前なんかは身も心も一体化しちゃってたにゃ!
翔一は思わず叫ぶ。
―あ、明石!変な言い方をするな!
一体化というのは、翔一の体にベルファストの「記憶」の部分が入っていた時のことだ。このおかげで「ベルちゃん」の状態から今の状態に戻ることが出来た。もっとも、明石はその説明を吹っ飛ばし悪意があるような言い方だったが。
明石の言葉を聞き伊吹が顔を赤くした。
―なっ、そ、そのようなことがっ。わ、私はただ主殿にお仕えするためにいろいろと聞きたかっただけで!もも申し訳ございません!
出雲も頬を少し赤くし”ふんっ”と鼻を鳴らしてそっぽを向く。そしてローンは、
―ふふっ、指揮官~詳しく聞かせていただけますか~
彼女の言葉と光のない目で翔一は”やはり”と自分の勘を確信するのだった。モナークはというと、呆れたような顔をしてため息をついている。
一方エンタープライズは、
―し、指揮官…私が知らない間に…
彼女も彼女で勘違い(?)している。不知火は特に動じないが少しつぶやく。
―まあ、この状況も面白いですし、放っておきましょう
そんな中この状況をさらに熱するヒトが現れる。
―指揮官様!
ばんと開かれたドアの先には赤城が息を切らして立っている。
―げ、赤城……大鳳まで…!
よく周りを見れば窓を隔てた先に大鳳もいる。その顔は口だけは笑っていた。そして、
―姉さま!仕事を放り出さないでください!
赤城に振り回される加賀も大変そうだ。
ネプチューン、ローン、伊吹が翔一に迫る。
―指揮官様っ
―指揮官~
―あ、主殿!
”ああ、新しい仲間たちは入ってきたけど、どうなるんだこれ…”混沌とした空間で翔一はそう思い、前途多難な道を憂うのだった。
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