アズールレーン~希望への航路~   作:ざぎねぅ

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14話 頑張れ!駆逐艦!! file1

母港、演習場―

 

 

今日は朝から鉄血の演習だ。目を見渡せば、波を立てて駆けまわり模擬弾を放つKANSENたちが見える。そんな中で翔一もWARSにエンゲージし、セイレーンとの戦いに備えるため皆の演習に混ざっていた。

 

―はぁ!

 

いつの間にか前衛艦隊を突破し主力艦隊に迫ったWARSが突き出した拳は、今回の演習相手の旗艦、ビスマルクに向かっていた。

 

―…!?

 

彼女はすんでのところでその拳を平手ではじく。普段戦場で格闘戦にはなりにくい。そんな慣れない戦い方にビスマルクは一瞬体制を崩した。

 

―やはり真っ先に私を狙ってくるのね

 

そう言いながら副砲を撃つが、WARSはそれを予想していたのか砲弾は避けられた。続けてWARSが言う。

 

―ああ、今回のルールは旗艦を墜とせば良いだけだからな。それにお前の指揮はどんな時でも適格だから、こちらにとっては脅威だ。一気に片を付ける…!

 

WARSは瞬時に左手に出現させたレールガンを放つ。しかし、発射された弾はビスマルクの主砲攻撃によって打ち消され、光となって消えた。彼女は後方にステップし、WARSから距離を取る。

 

―そう来るのは予想していたわ

 

―…駄目だったか

 

遠距離攻撃が主のKANSENたちが得意としない接近戦から、不意に放たれる遠距離武器の攻撃を交えれば簡単に勝てると考えていたが、さすが鉄血の指導者だ。そんなことは想定していたらしい。

しかしそれだけでは諦めない。WARSはビスマルクに再び接近し半ば無理やりその腕を掴んだ。

 

―これならどうだ…!今だツェッペリン!

 

―っな…!

 

ビスマルクが驚くのも束の間、WARSはツェッペリンの名を呼びながらビスマルクを真上に投げた。

それを見ながら後方でツェッペリンがつぶやく。

 

―ふん、よくこんな作戦を考えたものだな

 

そして宙に投げ出されたビスマルクが見たのは、ツェッペリンが出した艦載機だった。気づいたときには、爆撃や銃撃の雨に打たれていた。

 

―くっ…

 

流石に空中では身じろぎはできてもしっかりと回避行動はとれず、そのままビスマルクは海に落ちていった。もちろん模擬弾の雨なので特段痛みはないが、実弾が当たっていればただでは済まないダメージだっただろう。

バシャンと音を立てた海から、ゆっくりと大の字に手足を広げたビスマルクが浮上してきた。

 

―はあ…あんなのありかしら…

 

―ははっ、何にしろ今日は俺たちのチームが勝ちってことでいいかな

 

WARSはビスマルクに手を差し伸べす。まさか投げられるとは思っていなかったビスマルクは苦笑しながらも”ええ、そうね”と言ってその手を握り、立ち上がった。彼女は改めてKANSENたちに演習終了の音声通信を送る。

 

 ”みんな、演習終了よ”

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

海岸―

 

 

演習を終えて、KANSENたちは海上から海岸に戻っていた。

 

―お疲れ様でした。ご主人様

 

―お疲れ様、指揮官。良く戦えていたぞ

 

―お疲れにゃ

 

翔一と共に演習場に来ていたベルファストとエンタープライズ、明石が彼を迎える。

 

―ありがとう3人とも

 

翔一がそう返すと、明石はひょこひょこと彼に近づいて言う。

 

―それで指揮官、新しいWARSブレスの使い心地はどうだったかにゃ?

 

―問題なかったぞ。でも、以前とは変身した時の姿が違っていたようだな

 

―うん、少しディテールをつけてみたにゃ

 

翔一は前回のセイレーン出現時にWARSとして戦った。戦闘後WARSブレスは故障し、明石が新しくブレスを作っていた。その時にエンゲージ後の姿を変えたようだ。

”とにかく不具合がなくてよかったにゃ”と続けた明石は安心した顔をする。

 

―それにしても、あんな作戦を立てるなんて、驚きましたよ指揮官

 

演習に参加していたローンが言う。

 

―個々の得意分野は活かさないとな

 

そう言う翔一にニーミが話す。

 

―でも、実戦では無理しないでくださいね

 

少し話を続け、皆で集まり演習の反省を行った後解散し、KANSENたちはそれぞれ寮に帰っていった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

―執務室

 

 

執務室に戻った翔一とエンタープライズ、ベルファストは一休みしていた。

今日の副秘書艦はビスマルクだ。同じく力を抜いている彼女はベルファストが入れたコーヒーを飲みながら言う。

 

―指揮官、今日はどんな予定なの?

 

机につき、帽子を脱いでいた翔一が答える。

 

―諸々の報告書の作成とか、資金周りのこととか、そのくらいだな。セイレーンでも現れなければだが

 

―そうか

 

ビスマルクが短く言うと、執務室の扉がノックされる。

 

―どうぞ

 

翔一が入室を促すと、開かれた扉から見えたのは明石だった。

 

―ちょっとニュースを伝えに来たにゃん

 

―ニュース…?

 

明石の言葉にエンタープライズが言うと、明石が続ける。

 

―そうにゃ

 

彼女は”腕を出してにゃ”と、翔一に近づく。

 

―なんだなんだ、怪しい実験か…?

 

不敵な笑みを浮かべながら歩いてくる明石に、翔一は若干眉を顰めた。しかし明石は心外と言いたげな表情で言う。

 

―ちがうにゃ!これは母港の戦力増強のための大事なものなのにゃ!

 

―そうなのか?

 

ベルファストが言う。

 

―戦力増強と言うのは、具体的にはどのようなものでしょうか

 

明石は”にゃふん”と自慢げに鼻を鳴らし説明を始める。

 

―今からやるのはWARSのアップデートにゃ

 

―アップデート、ですか

 

―そうにゃ。このデータをブレスに送れば新しい姿にフォームチェンジ出来るにゃ!その名も、WARS ACHILLES(アキレス)にゃ!

 

明石はポケットからデータが入っているというカードを取り出し、翔一たちに見せる。

続いてビスマルクが問う。

 

―演習の時の姿とは違うの?

 

―いつものと少し違ってトゲトゲした感じの姿にゃ

 

明石はカードを持つ手とは逆の手に小型のホログラフィーを持った。そこから「WARS ACHILLES」が映し出された。

 

 

【挿絵表示】

 

 

”形が変わるだけじゃないにゃ”と続けると更に説明を加える。

 

―しっかり能力も変わるにゃ。これは、駆逐艦より速く航行が可能になるのにゃ

 

―おお、そりゃすごい力だな

 

―デメリットもあるにゃ。速くなる代わりに格闘能力と射撃攻撃力は低くなるにゃ…

 

少し困り顔でそう言ったが”でも!”と続ける。

 

―10秒だけWARSの通常フォームと同じ力で、かつ669ノットで航行できるスペシャルな能力もあるんだにゃ!この能力は1回のエンゲージで1回しか使えないから使うタイミングは十分考えてにゃ

 

―669ノット…つまり音速か

 

翔一が言った。そして今までのセイレーンとの戦闘を思い出す。セイレーンでもそのような速さで迫ってくるようなタイプはいなかった。少しの間であっても脅威の機動力が得られることは、こちら側にとって大きなメリットだろう。

 

―ということで、左腕を出してほしいにゃ

 

明石はカードをひらひらと動かして言った。

 

―おう

 

翔一は左腕を差し出し、WARSブレスを出現させた。

 

―それじゃいくにゃ

 

明石がカードをブレスにかざす。カードは光となりWARSブレスに吸い込まれていった。

 

―これだけでいいのか?

 

特に何の操作もなく終わった作業に、思わず翔一はそう言った。

 

―んにゃ、これで完了にゃ。アキレスになる時はブレスの舵を回転させて、画面に駆逐艦のマークを表示させればいいにゃ

 

―わかった。ありがとな明石

 

”ふふっ”と明石が微笑む。明石の用事は終わったようで”それじゃ、指揮官”と言いながらドアに向かっていく。明石がドアノブに手を伸ばしたとき、また執務室のドアがノックされた。

 

―誰かにゃ?

 

そう言って明石はドアを開けるとそこにはツェッペリンが立っていた。彼女の登場にビスマルクが言う。

 

―ツェッペリンじゃない、どうしたの?

 

―明石に用があってな。探していたところだが、ちょうどいい

 

ツェッペリンの言葉に、明石は思い出したように言う。

 

―あれの事かにゃ?今から呼びに行こうと思っていたところにゃ

 

―あれってなんだ?

 

翔一が問う。

 

―まだ秘密にゃ

 

―そうか

 

少し前の赤城といい、今のツェッペリンのことといい、空母が明石に呼び出されているが、一体なにをしているのだろうか。しかし当の明石にはぐらかされてしまったので、考えるのはやめた。

再び明石が部屋を出ようとすると、母港にけたたましくサイレンが鳴り響いた。エンタープライズとベルファストが言う。

 

―セイレーンか!

 

―行きましょう、ご主人様…!

 

翔一が立ち上がる。

 

―ああ、出撃だ!

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

海上―

 

 

翔一たちはセイレーン出現の警報を受け海上に出た。そろそろ出現ポイントに到達するころだ。出撃艦はエンタープライズとツェッペリン、ビスマルク、ベルファスト、ニーミ、綾波、ラフィー、ジャベリンだ。明石は指揮艦に待機している。

空母2人には艦載機で索敵してもらっていた。

 

―エンタープライズ、ツェッペリン、見えるか?

 

翔一はブリッジから、海を走る2人に聞いた。

 

―私はまだだ。ツェッペリン、君はどうだい?

 

―私も見えない……いや、来たぞ…!

 

ツェッペリンの艦載機から、指揮艦に敵の位置情報が送られてきた。相手は量産型セイレーン、その数は多くも少なくもないといった様子だ。

 

―よし、行ってくる

 

―行ってらっしゃいにゃ

 

翔一はブリッジから出るところを明石に見送られる。そして、甲板の最先端に走り出した。左腕を構えてWARSブレスを出現させ、舵を回す。

 

―エンゲージ!!

 

叫びながら、空に跳んだ。翔一は光となってセイレーン艦隊の方へ飛んでいく。それを見て駆逐艦のKANSENたちが話す。

 

―あ!やっと指揮官が変身した姿を生で見れるよ、綾波ちゃん!

 

―楽しみです

 

―あの姿の指揮官、とっても強いのよ

 

―鬼神の力よりもですか?ニーミ

 

―そ、それはわからないけど…

 

―指揮官、ぴかぴか

 

ラフィーは光の玉となって飛んでくる翔一が気になるようだ。

セイレーン艦隊が肉眼でも確認できるようになった頃、KANSENたちの前にWARSが降り立った。

 

 ”WARS ENGAGED”

 

エンゲージ完了の音声と共に立ち上がったその姿は太陽に照らされ輝いていた。

 

―やっぱり指揮官ぴかぴか、かっこいい

 

どうやら、WARSの姿をラフィーはお気に召したようだ。

WARSを見つめる駆逐艦たちを、彼は一瞥すると言う。

 

―行くぞみんな。まずエンタープライズとツェッペリンはこのまま航空攻撃!

 

―”了解!”

 

空母の2人はWARSの指揮と同時に、出していた艦載機のスピードを上げた。

 

―私たちはどうすれば良いですか、指揮官!

 

ジャベリンが問う。

 

―駆逐艦たちは俺と共に敵艦隊に近づくぞ。ベルは先に前方に行って煙幕を撒いてくれ

 

―”了解!(です!)”

 

―承知いたしました

 

ベルファストはいつもと同じく凛とした声と共に、しかしそれを置いていきそうな速さで走り出した。全速だ。

 

―煙幕を敵が超えたと同時に雷撃で足止め、その間にビスマルクは主砲で撃滅だ!

 

―了解…!

 

一通り指示を出したWARSは、駆逐艦4人とセイレーン艦隊に近づいていく。しばらくして、ベルファストの煙幕が張られた。この間にも、上空でバラバラとプロペラを唸らせるエンタープライズとツェッペリンの艦載機が爆撃、雷撃を繰り広げている。

 

―今だ!

 

しばらくして煙幕から敵の鼻先が見えたその時、攻撃の合図を叫んだ。WARSは右手にビーム砲を顕現させ、放つ。そして、

 

―行きます!

 

―それ!

 

―鬼神の一撃、です…!

 

―はっしゃー

 

駆逐艦たちがが同時に魚雷を出した。それが敵に突き刺さっていくとビスマルクの主砲攻撃が行わる。

 

―沈みなさい!

 

皆の攻撃は少しずつ、しかし確実に敵の数を減らしていった。

それでも負けじと攻撃を返すセイレーン艦隊も劣勢になる頃、空が割れた。

 

―やはりこの程度で苦戦はしないのね

 

割れた空から現れたのは、背後にエイの形をした艤装を携えたセイレーン、テスターだった。当然、彼女の登場にKANSENたちは警戒する。

 

―ふふ、今日はお前たちにプレゼントだ

 

―プレゼント…?

 

WARSがそう言うと、テスターは続ける。

 

―そう、ちゃんと遊んであげてね

 

彼女は右手に赤黒いキューブを出現させた。それを見たエンタープライズは驚く。

 

―なんだあれは!

 

そしてキューブは海面に、赤黒い粒子となって飛んでいく。それはだんだんとヒトの形を構築していった。

 

―見たことのないタイプだな…

 

ツェッペリンが言ったように、そのセイレーンはテスターのように黄色ではなく、ところどころに赤い模様があった。そして拳から肘までを覆うグローブを付けている。

棒立ちする赤いセイレーンにテスターが言う。

 

―さあ行きなさい、”ファイター”!

 

命令されたとき、ファイターと呼ばれたセイレーンは無表情で迫ってきた。それが身に着ける細身の艤装、その主砲がこちらに向く。

 

―一旦距離を取るんだ!

 

WARSが言い終わると同時にKANSENたちは散開しファイターから離れる。そして、決して強い威力ではないが、照準の外れたビームが足元に降ってきた。テスターはそんな状況を楽しそうに眺めている。

このまま止まっているわけにはいかなかった。量産型もすべて撃破したわけではない、そちらの対処もしなければ。瞬時に指示を出す。

 

―ラフィー、ニーミ、ジャベリンは残りのセイレーンの処理に当たってくれ!

 

―”はい!”

 

―エンタープライズ、ツェッペリン、ビスマルクは今の3人と共に戦ってくれ!ベルと綾波は俺とこいつの相手だ!

 

―”了解!(です!)”

 

WARSは新たに左手にレールガンを出現させ、ファイターに弾を放った。しかし、

 

―弾かれた…!

 

レールガンの弾は凄まじい威力と速度がある。しかしそれは、ファイターのグローブに目にもとまらぬ速さで弾かれたのだ。一瞬怯むが諦めない。今度は間合いを詰め格闘攻撃を繰り出した。

 

”ガンッ”

 

装甲を殴る音が聞こえた時、

 

ーぅぐお…!

 

WARSは背中で海面を滑り、転がり、吹き飛んでいった。彼の拳がファイターに突き刺さる瞬間、ファイターはWARSよりも速く、その拳を当てたのだ。レールガンの弾をも弾く、固く強い拳の攻撃は、戦意喪失しそうなほどの威力だった。

 

―ご主人様!!

 

ファイターのもとに到着したベルファストが声を荒げた。そして、艤装をファイターに向け榴弾を数発放つ。

 

―…

 

しかしこれもまた、氷のように冷たい顔をしたファイターの拳によって明後日の方向に跳弾し、その後方で爆発した。

 

―な、なんですかぁ。このセイレーン…!

 

ジャベリンは弱気になりながらも連続で砲弾を放ち、そして魚雷を撃つ。だが無駄だった。魚雷はひらりとかわされ、放たれた弾は弾かれる。

明らかな苦戦だったがその時、指揮艦から明石が声を上げる。

 

―指揮官!アキレスになるにゃ!!

 

そうだ、新しい力を手に入れた事を忘れていた。WARSは崩れた体制を立て直し、ブレスを構え、舵を回した。ブレスについている画面が駆逐艦のマークを表示した。

 

 ”ACHILLES DEFORMATION”

 

今までの姿が、とがった形状へと変わっていく。さて、反撃の時間だ。

WARSの姿を見てテスターが言う。

 

―ほう、そんなことも出来たのか…面白い

 

そんな彼女のこともよそに、WARSは全力でファイターに向かっていった。

しかし、

 

―…!?

 

WARSはファイターの真横を通り抜け、勢い余って倒れ、ゴロゴロと海面を転がった。

 

―あ!指揮官!

 

ジャベリンが心配の声をかけたが、ファイターはものともせずWARSを掴み、そして殴る。

 

―がっ…!

 

またもや海を滑るWARS。彼は何が起こっているのか分からなかった。

 

―ま、まさか!アキレスの速さに指揮官がついていけてないにゃ!自分の力に振り回されてるにゃ!

 

―く、そういうことか…

 

明石の言葉を理解したものの、もう一度ファイターに向かっていくがやはりうまく移動できずに転げる。そのたびに殴られ吹き飛ぶ始末だ。

 

―指揮官!

 

ジャベリンはそんなWARSを見て彼に駆け寄るがファイターはそれを許さない。ジャベリンの目の前に立ちはだかり、その腹に拳を打ち付けた。

 

―ぐぅ…!

 

ジャベリンは凄まじい威力の攻撃に苦悶の表情を浮かべた。彼女の近くにいたベルファストは吹き飛ぶジャベリンを後ろから抱きかかえる。

 

―ジャベリン様…!

 

―うぅ…ありがとう、ございます……ベルファストさん…

 

―ふっふふ、これでは指揮官も名ばかりね

 

終始傍観のテスターはWARSを見てそう言った。

一方、量産型セイレーンを殲滅したビスマルクたちがファイターの方に近づいていた。

 

―指揮官、援護するわ!

 

ビスマルクはそう言いながらファイターに主砲を放った。ファイターは黙って防御姿勢を取りる。ファイターを中心にして大きく爆発が起こった。

 

―…

 

爆発時の煙が晴れるが、そこにいたのはやはり何食わぬ顔をしたファイターだった。

 

―これでもダメなの…!?

 

ビスマルクが驚くのも当然だ。戦艦の主砲を正面から受けてなお立っているのだから。

そこに、エンタープライズとツェッペリンが到着する。

 

―タフなようだな!

 

―己の終焉を待つがいい

 

2人の艦載機が機関砲を放ちながらファイターに迫ったが、これも1発1発をとてつもない速さで弾いていった。

 

―だったら、爆撃だ!

 

―食らえ…!

 

多くの艦載機による爆撃が始まる。爆弾の雨にはさすがに耐えられないだろう。煙が晴れるとそこにファイターは立っていたがしかし、グローブ以外の体には所どころ破損しているところが見られた。

これを見たテスターがつぶやく。

 

―爆発はあまり得意じゃないようね…

 

更に彼女はWARSたちを一瞥して言う。

 

―今はこれくらいで良いかしら。戻るわよ

 

そう言ってテスターは手を前にかざすと、ファイターが赤黒い粒子となって彼女の手に向かっていき、はじめのようにキューブとなった。

 

―それじゃあ、また会いましょ…

 

WARSたちは何も言えないまま、テスターは再び割れた空に戻っていった。

 

―くっ…駄目だったか…!

 

WARSは海面を叩いた。KANSENたちも、あのセイレーンの圧倒的強さを前にして何も言うことは出来なかった。




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