海中―
早速皆と不知火の案内の元、暗い海の底へと移動していった。
深く体を沈めると、だんだんと海面から差し込む太陽の光が薄くなっていく。しばらくすると、そんな闇の中からほんのりとした青白い光が見えてきた。
不知火が言う。
―そろそろ見えてくるところだと思いますが
―む、確かに何かあるわね
伊168が言った。彼女の隣で泳ぐ伊13も続く。
―あれがコンピュータかな?
WARSは青白い光の方に集中し、ノーチラスの能力を一瞬発動させる。大規模な演算器であることが確認できた。
―ああ、そうで間違いないらしいぞ
伊13の疑問にWARSが答えた。不知火が言う。
―どうやら確認できたようですね。あと、そろそろこちらから通信するのも限界の距離になってきました。あとは指揮官さまの判断で行動してください。
―ありがとう不知火。助かったよ
―お礼の分は指揮官さまのお財布から頂戴しておきます
―え
―冗談です…ふふ…―
不知火が言い終わると同時に無線が切れた。
そして、アルバコアが言う。
―じゃあ、ちゃちゃっと終わらせて早く帰ろー
彼女は先行し皆の前に背中を見せた。
―まってアルバコア!コンピュータの周りにセイレーンがいる!
確かにセイレーンがいる。WARSもレーダーで量産型の潜水艦の反応を感じた。
U81の言葉にアルバコアはビクッと肩をはねさせる。
―ぅおっと…ほんとだほんとだ、へへへ
そう言って彼女はUターンして帰ってきた。同時にWARSが言う。
―セイレーン達はまだこちらに気づいていない。数も10隻だけだ
彼は”そして”と続ける。
―コンピュータが囲まれているから誤って攻撃しないように、こちらにおびき寄せてから戦闘を開始しよう
―了解っ
WARS達は行動を始める。そっと一番近くにいるセイレーンに寄っていった。すると、
―お、動き出したぞ
U81の通りWARS達が近づいたセイレーンが1隻、こちらに気づき警戒する。
―俺は先行して敵の後ろを取る。U81とイロハ、伊13とアルバコアは2手に分かれて挟み撃ちだ。確実に決めるぞ
WARSの作戦通りに動くKANSEN達、敵もそのまま見ているわけもなく早速攻撃を開始した。
―当たらないよ~ん
アルバコアはそう言いいつつ艤装を器用に動かし敵の魚雷を避けた。
いつもとは異なり砲撃や爆発の音など無いような戦場で、緊張などないような様子で皆は水中を駆けていく。WARSがセイレーンの後ろに回ると同時に、攻撃は始まった。
―今だ!
WARSが合図を出す。
―射角よーし、撃て~
―墜としてあげるわ!
―いくよっ
―サプライズ~
皆の挟み撃ちとWARSの追い打ちで敵の潜水艦は何の抵抗もできず破壊された。そんな光景を見てアルバコアが言う。
―ははーん、余裕余裕!
とはいえ敵はまだいる。伊13が周りを見渡して言う。
―みんな、まだいるよ!
今の戦闘でこちら側の居場所が特定されたようだ。周りからセイレーンが近づいているのが感知できる。
彼女は”指揮官、どうする?”と一言添えた。
―このまま伊13とアルバコアは右、U81とイロハは左の敵を撃破してくれ、俺は遊撃する!
KANSEN達は2人組で散開し、それぞれの敵へ攻撃に向かう。WARSは敵の隙を見て彼女たちの援護、そして10分もしないうちにすべてのセイレーンが撃破された。
レーダーにも他の反応はない。前回の戦闘のように見えない敵がいなければいいのだが。
そんな中、伊168が言う。
―ひとまず安心ね
―うん、でも警戒は解くなよ
―分かってるわよ
つんとした様子でWARSに答える彼女。しかしその目はしっかりと周囲を見渡していた。
十分周りに注意して進む一行はついにコンピュータの目前までたどり着いた。
―それにしても、すごくおっきいね~
アルバコアが言った。確かに今までに見たことがないほどの大きさだった。一戸建て1つ分くらいだ。
早速WARS NAUTILASはコンピュータのスキャンを開始した。
―どう?指揮官
伊13が訊いた。
―セイレーンの反応があるな
WARSが答えるとU81が言う。
―じゃあ、これの中にいるってこと?
―そうだ。今までとは違って実体がなく、コンピュータウイルスのようなセイレーンなんだろう
―そんなのどうやって倒すのよ?
伊168が言った。
―大丈夫だ。この形態ならこいつを防げる
WARSはそう言ってコンピュータに両手を付けた。そして能力を発動させる。相手も高度な技術でハッキングしているため時間はかかるが、これならこのセイレーンも消滅させられる。
そして、
―指揮官、新しいのが来たよ!
アルバコアが叫んだ。
―数はどれくらいだ
―20!
―多いな…
WARSは更に続ける。
―俺はここから手が離せない。みんな、出来るだけここから離れて戦闘してくれ。こちらが片付き次第、援護に行く!
―了解!
KANSENたちはWARSを背にして敵に向かっていく。戦闘の音はすぐに聞こえてきた。
―さっきみたいにぱっと終わらせるぞ~!
U81は言いながら魚雷を発射する。セイレーンに当たるが一撃では破壊できない。他の敵から放たれた魚雷が彼女に迫った。
―…!
―あぶないっ
伊13がぎりぎりのところで艤装事U81を押して難を逃した。
―大丈夫?
―うん。ありがと
魚雷がコンピュータの方に向かってしまう。しかしそれは伊168の雷撃で誘爆された。
―ふう、ちゃんと気をつけなさいよ
アルバコアが続く。
―セイレーンはこっち側に攻撃してくるから、魚雷は誘爆しなくちゃコンピュータに当たっちゃうね。めんどくさ~い
―どっちにしろ油断はできないわ。いきましょ
伊168の声と共に皆の攻撃が再開された。
敵の攻撃に負けず縦横無尽に泳ぎ回り、セイレーン達を破壊していく。
―みんな、もう少しだぞ!
U81の言う通り残りのセイレーンも片手で数えられる程になった。
―よし、決めるわ!
―これが…あたしのできるすべて!
―いけー!
4人が一斉に攻撃するとセイレーンは次々爆散していった。
―やったぞ!
U81に続き伊13が言う。
―それじゃあ、指揮官のところに戻ろう
― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
―これで…もう大丈夫だな
WARSはそうつぶやく。母港での明石の補助もあって無事にコンピュータに入っていたセイレーンを消滅させられた。
―指揮官ー!
―アルバコア、みんなも問題ないようだな
―相手の魚雷がそっちに行かないようにするのは大変だったけどね
そう言う伊168に続き伊13は、
―しっかり戦えたよ
―そうか、よくやったな。みんな
そしてアルバコアはWARSに寄りながら言う。
―しきかーん、後で肩もんで~!
―仕事が片付いたらな
WARSはそう答えると皆を見て更に続ける。
―それじゃあ、戻ろうか
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執務室―
―ふにゃぁん
執務室に帰ってきた翔一は、ふらふらと部屋に入ってくる明石の声を聞いた。同じく執務室にいるエンタープライズが言う。
―随分と疲れているようだな
―つかれるどころじゃないにゃん。指揮官が助けてくれるまで本当に母港が危なかったにゃ
明石の言葉に翔一は言う。
―でも明石と不知火がいなかったら取り返しのつかないことになっていたよ。ありがとう
彼は続ける。
―それにしても、そこまで疲れているとは…さっきの件だけの疲れじゃなさそうだぞ
明石はソファに横になり言う。
―ばれたかにゃ…実はノーチラスのために徹夜してたのにゃ。そんなときの今回のことにゃ…とっても大変だったにゃ…
彼女は目を閉じる。今にも寝そうだ。
―明石様、そんなところで寝ては風邪をひきますよ
ロイヤルの仕事から帰ってきていたベルファストはそう言って大きめのひざ掛けを明石にかける。
―ちょっと休ませてもらうにゃ
彼女はそう言った。
今日は朝から修羅場のような光景が見えたり、下手をしたら母港が乗っ取られそうになったり、バタバタの一日だった。
―指揮官肩もんで!!
部屋の扉が”バンッ”と開かれ、アルバコアが現れる。
とにかく、今日も平和が守れてよかったよかった。
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