アズールレーン~希望への航路~   作:ざぎねぅ

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20話 力を振るうとき file3

~METAフィールド~

 

 

 赤い空に黒い雲。見上げる暇もない状況でもそれが分かるほど、地獄のような景色は遥か遠くまで続いていた。

 

―いったいどれだけの数がいるんだ…!

 

 WARSとローンが海上から消えてしばらくした頃。エンタープライズが気付いた時には、一人でこの妙な空間にいた。周囲に感じるのは敵艦だけ。味方KAN-SEN一隻も感じられない。もちろん肉眼でもだ。

 

―………終わりだ…!

 

 弓を引き、艦載機を発艦させる。バラバラとプロペラの音を響かせながら勇ましく敵に向かっていく艦載機は、もう幾度目かも分からない程見た。そして、そんな小さな使い達が弾丸を発射するたびに、魚雷を落とすたびに、爆弾を落とすたびに、海から火が噴き出る。そんな火を消しながらゆっくりと沈んでいくセイレーン艦は、こちらを深海の奥に引きずり込むように手招きしている気もする。ただの兵器を破壊しただけなのに、あの黒い船体から、砲から、怨嗟が聞こえるようだった。しかしそれでも戦い続けていれば、相手の砲弾も、戦闘機も、魚雷も減っていく。そして、

 

―はあ…はあ…

 

 恐怖を覚える。

 

―はあ…はあ…はあ…

 

 敵にではない。

 

―はあ……はあ…………

 

 こんな状況で独りで戦い続けて、傷一つ付かずに敵を蹂躙している自分にだ。

 

―………

 

 どれ程の時間戦い続けていたのか、遂に、見える敵は全て破壊した。全てだ。

 

―………

 

 首を回せばどこを見ても、炎に包まれて動くこともない敵艦があった。

 

―………

 

 どこを向いても火の匂いしかしない。

 

―………

 

 生温く粘ついた空気が肺を満たす。気持ち悪い。嘔吐(ヒト)の真似事でもしたくなる程に。しかし、まだ考える。

 

―……うぅ…

 

 次はいつ現れる。どこに、数は、どの艦種だ。

 

―…うぅぅ……

 

 待っていてはダメか。しかしレーダーに反応はない。

 

―……………

 

 

 

 それなら探しに行こうか。

 

 

 

―…うぅ……

 

 脳裏によぎった思いを否定するように、小さく呻いた。

 

―あぁ……何のために…

 

 つぶやく。

 

―…はぁ……

 

 何とか落ち着こうと深呼吸する。ため息にも近いそれは、己の不安を吐き出すまでの効果はなかった。

 

―………

 

 ココロはただ、破壊することに支配されつつあった。少しでも気を抜けば、自分が自分でなくなってしまうような気がする。

 

―………

 

 母港にいるときは”ヒト”として暮らしているのに、たちまち戦場に出れば”破壊の道具(この様)”だ。兵器なのだからそれでいいと言うのなら、それまでなのかもしれないが、そんなココロの底の考えに納得はできなかった。それとも、結局使う者(指揮官)が近くに居ないならこんなものなのだろうか。

 

―………

 

 彼がそばにいてくれれば、何も問題ないと思っていた。

 

―………

 

 しかしいつからだろうか。段々と不安が募っていった。

 

―………

 

 そして気付いた時には、彼の拳が目の前にあった。

 

―………

 

 ”人”である彼であっても、力を手に入れればただの兵器として心を支配されてしまうのかと絶望に近い感情を覚えた。

 

―………

 

 別の事情があって暴走していたのは知ってる。しかし怖かった。自分もあんな風になるかもしれないことを。

 

―………

 

 ココロを無くし、ただ何かを殺す”物”となるかもしれないことを。

 

―………

 

 しかし、

 

―………

 

 海原の中心でココロを失う恐怖を内に秘めても尚、敵を求めていた。

 

―………

 

 生温い風は、炎に焼かれた船の死の匂いは、未だに柔らかく肌を撫でている。そんな空気に誘われるように、恐らく効果のないレーダーの感を確かめる。

 その時、

 

―ぇ…なんで……

 

 感じたのは敵ではなかった。それはKAN-SENの情報だった。しかしその位置は確実に、今まで沈めてきた船と重なっていた。ぽつり、ぽつりと、その反応は増えていった。

 

―…ぁ……ぁぁ…

 

 それを意識した瞬間、船の形が変わった。目に映ったのは大破した、いや、炎と弾丸に犯され”崩れた”KAN-SEN達だった。

 

―なんでぇ……

 

 段々とKAN-SEN達の姿が鮮明になっていく。

 

―ぁぁぁ……

 

 エルドリッジには足がなかった。ニコラスには腕がなかった。ベイリーの胸は抉られていた。ハムマンの目はなくなっていた。ラフィーの顔は変わり果てていた。

 

―……ぁぁ

 

 この空間に飛ばされてから今まで見えていたのはセイレーンの幻覚だったのか。本当に戦っていたのは大切な仲間達で、そして全て殺してしまったのか。

 

―ぁぁぁ……な…んで…

 

 何故こうなってしまったんだと唇を震わせるしかなかった。元々あるのかどうかも分からない望みが絶たれた時、エンタープライズの耳元で囁くヒトがいた。

 

―あぁ…ついにやってしまったんですね、エンタープライズさん…

 

―ろ……ん…?

 

 柔らかな彼女の声はエンタープライズの疑念となるばかりで、癒しにはならなかった。

 

―はい、ローンです

 

 振り向くと見えるのは美しい微笑みだった。彼女の表情は今のエンタープライズにとってはやはり良い効果を生むどころか、不安を加速させる。そして暗黒にも感じるローンの黒い衣装に気圧され目を背けると、追い打つように彼女の艤装が視界を襲う。

 

―どうしたんですか…?

 

 ローンの言葉と同時に、その艤装は”ゴウ”と鳴くように唸りながら首を振り、エンタープライズへ口を向けた。

 

―…ぅ……

 

 驚いてびくりと肩が跳ねてしまう。息を荒げ、いよいよ何も言えなくなる。するとローンは再びエンタープライズの背後に立った。彼女はその耳元に口付けるように顔を寄せて囁く。

 

―あの子達…よぉく見てみてください…ふふっ…

 

 あの子達。エンタープライズが破壊したKAN-SEN達のことだ。ローンの言う通り彼女達に目を向けると、夢か幻か、崩れたヒト型が一人、また一人と立ち上がっていくのが見えた。

 そして、ローンは恍惚な表情で妖しく両手を頬に当て、嫌に色気のある声音で言う。

 

―まだ相手は立ち上がれるようですよ。こちらに凄まじい殺気を向けています。あんな目を向けられたら私、あぁ…ゾクゾクします…全部壊したくなっちゃうんです…

 

 ローンは今にも絶頂に至るように体をくねらせた。全身が狂気に包まれる感覚がするがしかし、本当に恐ろしかったのは、立ち上がってくるKAN-SEN達の表情だった。ゆっくりとこちらに向かってくる彼女達は、悪意、恐怖、憤怒、憎悪、絶望、殺意。あらゆる負の感情が寄せ集まった凄まじい威圧が、エンタープライズを襲ったのだ。

 

―ぁ…あぁ……

 

 また声が漏れる。

 何も考えずに戦闘を行った結果がこれだ。大事な仲間を傷つけ、そしてその怨念が全身を襲うのだ。体の外から受けたそんな空気は、胸の最奥で絶大な後悔に変換されて、全身に溢れ出した。とどまらない不安はやがてエンタープライズの膝をがくがくと震わせる。

 そんな彼女の思いを知ってか知らずか、ローンは優しく言う。

 

―でも、今日は我慢します。だって貴方……本当は"壊したい"んでしょ?

 

―ち、ちがっ…

 

 ローンの言葉に反射的に否定する。しかし、

 

―知ってますよ、私…あなたの"壊したい"気持ち…ふっ…ふふふ…

 

―違う…ちがうちがう!

 

 再び、必死に否定する。しかしもう一つ、ローンは誘うように言う。彼女は恐ろしいほどに細く長い、紅の三日月を口に浮かばせた。

 

―さあ、もっと壊しましょう…体をぐちゃぐちゃにされてもなお哀れにもこちらに向かってくる……鉄屑を…

 

 殺してしまったKAN-SEN達はもう目前だった。そして、ローンの顔がエンタープライズの真正面に迫る。

 

―そして最後に壊れるのは…

 

 ローンの瞳の奥深くに、恐怖に歪んだ自らの顔が映った。

 

―ぅぅぅぅぅぅぁぁぁぁぁあああああああ!

 

 いつもは深い紫の瞳が、今は黄金に輝きだす。

 

―あああぁぁぁあああぁあぁあぁああああああああ!!

 

 もう嫌だ。こんな思い。誰か。

 

―うあああああああああああああああああああああああああああああ!!!

 

 

 

 助けてくれ。

 

 

 

 ”エンタープライズ!!”

 

 

 

 真っ白に包まれていく意識の中に最後に現れたのは、それよりも白く、力強い人影だった。

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

~鏡面海域~

 

 

 WARSが海中に潜ってから直後のこと。

 

―主が居なくなればこんなものかぁ!?

 

 雄叫びが響く。テスターは一騎当千とまでいかずとも、小隊レベルであればなんてことなく戦闘できるらしい。しかしKAN-SEN達は攻撃の避けに徹底しているようで、何とか持ち堪えているようだった。それを証明するように、彼女達の損傷はさほど減少していなかった。

 しかし良い運は長くは続かないものである。

 

―ぁあ!

 

 リノが被弾する。爆発による、体を叩き割るような衝撃と熱を全身に纏う。彼女はその勢いに身を任せるように吹き飛び、やがてばしゃりと水面に波紋を作った。

 

―リノ様!

 

―だ、大丈夫だよ。ベルファスト…

 

 振り向いたベルファストにリノはゆっくりと顔を見せる。少し口角を上げて問題ないことを知らせているが、彼女の目には隠し切れない疲労が見えていた。

 深い呼吸を繰り返す彼女にテスターは言う。

 

―もう戦えないのか?

 

 その言葉にリノは目を吊り上げると、砲を放った。しかし当然の如くテスターは弾く。やはりかというようにリノは表情を歪ませた。そして疲労に耐えられず膝を着くと、表情のない声音がリノを包む。

 

―…逃げても良いんだぞ

 

―そんな事しない!

 

 リノは叫ぶ。しかしテスターは否定するように再び砲を構え、放った。あっと言う暇もない、目では追えない一瞬の内に、弾がリノの足を穿つ。

 

―ぅあ!

 

 その場で転げる彼女を見届け、一呼吸おいてテスターは言う。

 

―…なぜそこまで傷付きながらも戦う。勝てもしないのに

 

 そんな言葉に闘志か屈辱か、体を震わせるとリノは立ち上がった。

 

―ただ指揮官を、私のヒーローを助けたいだけ!

 

 テスターはわざとらしくあたりをゆっくりと見回す。

 

―その”ヒーロー”に無理をさせたのはお前達のようだが

 

―っ…

 

 何も言えなかった。確かに彼女の言った通りだろうから。皮肉にも彼女の一言が、自分たちがKAN-SENであることを強く思い起こさせた。本来兵器であるKAN-SEN達の役割はセイレーンの殲滅である。今はどうだろうか。強力なセイレーンを相手に手も足も出せないそれどころか、これまでの幾多の戦闘の中、最優先で守らなければならなかったはずの指揮官を窮地に追い込んでしまっている。いくら敵が強いとはいえだった。

 しかしそれでも何とか時間だけでも稼ごうと、必死にテスターの攻撃を避け続けたが、

 

―そろそろ回避に徹するのも厳しいと分かっているんじゃないか?

 

 その通りだった。メンタルキューブが無尽蔵にエネルギーを取り出せるものとはいえ、ダメージによりその体積が減れば当然最大出力は低くなる。そして兵器と言えどKAN-SEN達はヒトの”カンジョウ”を持つ。こうもどうしようもない状況が長引けば、士気も低くなっていくのだ。

 

 やっぱり”彼”が居ないと駄目なのか。

 

 いけないと思いながらも一瞬、皆の脳裏にそんな気持ちがよぎった。言葉で発することはないがしかし、テレパシーでも通じたかのようにテスターが言い放つ。

 

―今からでも”ヒーロー”とやらを引きずり出してくればいい

 

―…

 

 リノは、いやKAN-SEN達はやはり何も言えず、歯を食いしばるしかなかった。もし引きずり出すなんて事が出来たとしても多分、数瞬後に彼は”変わって”しまう。

 リノがその先の状況を想像するよりも先に、テスターが言う。

 

―怖いのか?…”アレ”に殴られるのが

 

 あの時の光景が蘇る。WARSの拳がストレンジャーの胸を無残に貫いていた。

 凄まじい力を振るう彼を見て初めの内は安心した。喜びさえ覚えた。しかし人類にとっては敵であるセイレーンとはいえ、彼女達も同じヒトの姿をしているのだ。それ故にKAN-SEN達はあの時の状況に、どうとも言えない気持ちも抱いていた。

 

―……確かにあの時、指揮官が怖く見えた

 

 リノからの驚くほど素直な吐露。周りのKAN-SEN達は表情には出さないが驚きを覚えた。しかし、リノの思いはそれだけではなかったようだ。

 

―でも…それよりもっと不安になった!

 

 不安の中で、彼女は掴んだものがあったのだ。

 

―この前も!今も!苦しんでいる指揮官を見て、助けたいと思った!

 

―リノが出来る事…!リノがやりたいことは!!

 

―ちょっとでも指揮官の助けになる事!…リノはそのために戦う!!

 

―だから今は、指揮官を待つ!!

 

 そんな言葉にテスターは鼻を鳴らす。そして再び構えようとした時、

 

―ええ、こんなところで戦えなくなってしまえば、従者失格です

 

 と、ベルファスト。そして後方の指揮艦から戻る影。

 

―ふぅ、補給も完了したことですし、煩わしい虫を駆除しましょう

 

 ローンだ。テスターを見下すようなその目には少しの狂気と苛立ちが宿っていた。そして今度は、気付いたように赤城が言葉を紡ぐ。

 

―そ、そうだわ…私も…指揮官様のために…!

 

 KAN-SEN達はリノの決意に乗るように、テスターに追い詰められた体を次々と立て直し、構えだした。テスターはその景色を面白そうに眺める。

 

―ふっ…まだやれるか…

 

 そして、そんな言葉の裏でモナークは加賀に言う。

 

―皆の思いは定まったようだな…お前はどうだ…加賀?

 

 彼女は腕を組むと、目を細めテスターを見据えた。

 

―私は既に彼の強さを認めている。後は信じるのみだ…!

 

―ふっ…どうやら同じ思いのようだ

 

 モナークは静かに、しかし力強く賛同すると、一斉に主砲をテスターに向けた。そしてそれを知ってか知らずか、その砲口の先にいるヒトは声を上げる。

 

―ならば来い!感情の兵器共!

 

 そしてもう一つ付け加えた。

 

―どこまで耐えられるか見ていてやる!

 

 その声が大海原に響くと誰からともなく、艤装を唸らせた。

 

――――――――――――――――――――

 

~海中~

 

 

 深く暗い海に沈み続けるWARSは、冷たい海水に包まれながらも灼熱に犯されていた。

 

―ぐぅぅ…ぐぁぁぁ!

 

 凄まじい苦しみの中で、未だ脳裏に薄く張られている意識を引きずり出す。

 

 ”みんなが…俺のために戦ってくれている……”

 

 思い返せばいつもそうだったと感じる。いくら人間を遥かに超越し、そしてKAN-SENをも凌駕できるほどの力を持っていても、彼女達が居なければここまで戦ってくることは出来なかっただろう。皆が居なければ遅かれ、いや早いうちに心を忘れ、遍く物を破滅に導く”兵器ですらない破壊者”となっていたかもしれない。

 翔一は一度失敗を犯した。指揮官としてKAN-SEN達をまとめ上げなければならない立場で、その意味をいつしか放り捨てていたのだから。その罰を与えられるように、WARSの全身の熱は更に激しくなる。

 

―ぐぁああああ…!

 

 海上の彼女達にはあまり聞かせたくない、情けない声が出る。

 

 ”しかし…俺も……俺も…”

 

 それでもと、翔一は願うように思うがやはり苦しいものは苦しい。喉が勝手に震える。

 

―くぅ…ぅぉぁああ…!

 

 しかしそれでもだ。海の中の煉獄に身を置いてもなお忘れることはない、強く固めた決意があった。

 

 ”お前達のために…!愛する者を守るために…!!”

 

 それでも愛する者の為に戦いたいのだ。

 

―がっ…ぁぁああああ!

 

 だからと言って、苦しみが止むこともない。

 

―ぅぁぁ…

 

 呻き声さえ薄れていく。意識を強く持とうとしても体がそれを拒絶する。両手で持っていた強い思いは、遂に小指一本に引っ掛けられた。重さ故に心の底に落ちようとするその決意は、その存在感さえも己の中で消えかけていく。ならばせめてもう少し、あと少しだけでも保てるように祈るだけしかなかった。

 

―ぅ…ぁぁぁ…

 

 段々と感覚がなくなっていく。力が抜けたのか、海水を掴むようにもがいていた腕と拳が広がっている。今まで海中に潜っていた体が、己の意識の欠落によって浮かび上がっていった。もはや見えるのは、少しずつ近づいてくるほんの少しの光だけだった。もう水面(みなも)の揺らぎさえ認知できない。

 

 ”こんな…ところで……”

 

 最後にそう思った時には、顔は海面から出ていた。WARSの目に白と紺の人型が映る。

 

―ご主人様…!

 

 彼の周囲の海水は沸騰し、激しく湯気を出ていた。更に体からは陽炎が立ち昇っている。彼の体の状態を考えれば、当然と言えば当然の出来事ではあったがそれでも不気味さを覚えるものだった。

 

―し、指揮官!…大丈夫なの!?

 

―…

 

 反応はなかった。彼の体が彼の意識を離れて暴れだすのも時間の問題なのだろう。KAN-SEN達は彼の状況を察する。

 

 WARSはゆっくりと立ち上がった。そして虚しく、終わりを告げるように合成音声が鳴り響いた。

 

 ”Destroy weapons within WARS's attack range…”(WARSの攻撃範囲内の兵器を破壊します)

 

 その時、

 

―しきかぁああああん!

 

 ”…!”

 

 誰かの叫び声がWARS(翔一)の脳を一瞬覚ました。

 ノイズがかかったような視界に、たなびく緑の髪が映り込む。こちらに飛び込んできているのか、その姿はだんだんと大きくなっていった。明石か。遂にやってくれたのか。

 しかし、瞬間。WARSの右拳が振り上がった。砲弾のように一直線に飛ぶ拳が明石に迫った。

 

 ”ガキンッ…!”

 

 明石が聞いたのは、自身を貫いた音ではなかった。代わりに見えたのはWARSの目に写る、己の真横を取り過ぎる弾。WARSの後ろからは、明石に向かってテスターの砲弾が迫っていたのだ。しかしそれはWARSに逸らされて今、緑の髪を凪ぐだけにとどまった。

 KAN-SEN達には思いもよらぬ出来事だった。WARSは最後の力で一瞬の時間を稼ぎ、最大の希望を皆に見せたのだ。これで大丈夫。明石はそう思うと、知らずして気合の叫びを漏らしていた。

 

―んにゃああああああ!!

 

 彼女の手には、いつもWARSの新形態を翔一に与えるときのカードが握られていた。彼女の拳は今、WARSの胸、彼のむき出しのメンタルキューブを殴るように飛び出した。そしてカードが彼のキューブを打つ。すると一瞬、彼の体が光に包まれた。それから一呼吸もないうちに、WARSは爆発するように周囲に蒸気を発生させた。凄まじい勢いに明石は吹き飛ぶ。

 

―ふにゃあああぁぁぁぁ!

 

 その光景に、加賀が声を荒げた。

 

―明石…!

 

 明石は水切りの石のようにぱちゃんぱちゃんと跳ねて転がっていく。

 

―んにゃっ…んにゃっ…んにゃぁぁぁぁっ

 

 二度、三度と背を海面に打つたびに喉を震わせていた。しかし、さほどの時間もなく明石の体に落ち着きが取り戻される。彼女は両手両足で海面を押して立ち上がる。顔を上げて、瞳を向けるのは、当然”彼”の方だ。その方向に意識を向けるのは明石だけではない。特にリノは神妙な面持ちを浮かべていた。

 

―指揮官…

 

 先ほどの明石の行動から、恐らく彼にWARSのアップデートを行うことは出来たのだろうと考える。テスターは霧に包まれるWARSの姿を伺ってつぶやいた。

 

―何だ…?

 

 しかし、KAN-SEN達はテスターなどそっちのけでWARSの方を覗いていた。知りたいのだ。あの霧に包まれた体が吉報を伝えるのかそれとも、終わりの始まりを告げるのかを。

 ふわりと、霧の中から光る黄色い目が見えた。

 

―あ、あれは…!

 

 明石がそう言うと間もなく、だんだんと彼に纏わりついた霧が晴れていく。

 

―ご主人様…

 

 ベルファストの希望と憂いが入り混じった気持ちが彼を包む。

 モナーク、赤城、加賀は、じっと彼の無事を祈って見つめた。

 

―…

 

 ローンは静かに彼を呼んだ。

 

―指揮官…

 

 そして霧は晴れる。最初に見えたのは”煙突”だった。

 それを意味するのは、”あの姿”を制御化に置くことの成功である。

 

―指揮官…やった、指揮官!!

 

 リノが飛び上がる。

 すると、彼は動作確認でもするかのように両腕、両足、背、横顎に着く”廃熱機関(煙突)”を思い切り吹かした。

 

 ”シュゥウウウウウウウ!!”

 

 凄まじい音。水分を熱いフライパンに落としたどころではない、大量の海水をマグマに放り込んでも鳴ることはないような蒸気の音が、KAN-SEN達の鼓膜を躍らせた。

 気高く、強く、大海原にそびえ立つその姿はまさに強大だった。遂に”彼”が、

 

 

 

 ”MIGHTY DEFORMATION”

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 ”WARS MIGHTY”が誕生した。

 

 

 

―ほう、廃熱ね…

 

 テスターは興味深そうな声音で言う。

 

 

 

―本来、お前は前線で戦う必要はない。なぜ命の危険を冒してまで戦う?

 

 彼女の時に間髪入れることはなくWARSは答える。

 

―失いたくないからだ。自分自身を、大切な者達を!

 

 正直本当は、未だに戦うのは怖い。しかし、実際に死ぬような思いをしてきたからこそ、彼女達の辛さが分かった。見ていることしかできない以前のような立場には戻りたくなかった。もしそうなったら、もしかしたら戦いの辛さを忘れて、彼女達を戦いの道具としてしか見られなくなってしまうかもしれないから。それに何より、彼女達が真に幸せに生きることが出来るように、少しでも早く彼女達が戦う事のない平和な世界を作りたかった。

 しかしテスターは問う。

 

―そう言う割には、以前は自分で捨てるような真似をしていたようだが

 

 確かに彼女の言う通りだ。WARSの脳裏に薄く、突き出した拳に吹き飛ばされていくエンタープライズの姿が過り、己の放った言葉が耳をつんざく。

 

 ”駄目だ、戻ってろ!”

 

 ”お前じゃ無理だ”

 

 ”駄目だ、来るな…それでは…それではいけないんだ。俺が皆を…”

 

 あの時、自らの力だけを求め、仲間を否定するにも近い行動をとった。しかしそれでは駄目だった。一人では必ず限界が来る。だからあんな暴走を引き起こし、自分も周囲も傷つけたのだ。それであれば解決の答えは単純。自分一人だけで戦おうとしない事だった。それは同時に、”皆を信じる”ということだった。一人で理想を掲げるだけでは誰にも伝わらず、いつか道を外れ暴れだす。しかし、皆を信じて協力するからこそ、大きな力と絆が生まれるのだ。

 翔一はそのことに気付いたからこそ、未だこうして最前線に立とうとするのだ。WARSはゆっくりと構えながら言う。

 

―それでも戦う!共に行く者達への思いを、忘れることの無いように!

 

 すると、テスターは彼に無感情で言う。

 

―そう…本気でそう思うのならいい……しかしっ…

 

―その力を満足に振るえるようになったようだし、こちらも相応に出迎えなければな!

 

 テスターはそう言って両腕を広げると、彼女の後方から数多の量産型セイレーンが空間を割って出てきた。一体どれ程こちらに迫っているのだろうか。駆逐艦、巡洋艦、戦艦、空母。数えきれないおびただしい量の船が目前にあった。しかし、先程までならもう絶望しかなかった光景が、今では力試しの場にすら思えてくる。

 WARSは叫んだ。

 

―みんな!一緒に戦ってくれ!!

 

―”はい!”

 

 WARSの声で、皆が一斉に動き出した。

 

―道は俺が開く!

 

 まずはWARSが目の前に蠢く駆逐艦を、両肩の12門の砲で撃ち砕く。

 

 ズダン!!

 

 シュゥウウウウ!!

 

 弾が撃ちだされると同時にエネルギーの余り(熱損失)が全身の煙突から放出される。凄まじい勢いで噴出する蒸気は、砲撃の反作用を殺した。そうして数秒もしない内に敵の懐に入り込んだ砲弾は大爆発を引き起こし、数多の駆逐艦を撃沈させる。言葉通り、敵艦の編隊に大きく穴を開け作られた道にベルファスト、リノ、ローンが流れ込む。同時に加賀と赤城の爆撃機がベルファスト達の頭上を通り過ぎた。

 

―爆撃で更に数を減らす!頭を守れ!

 

 加賀が言う。そしてローンは、

 

―私が防ぎます!

 

 そう言って、自分自身はもちろんベルファストとリノの頭上にシールドを出現させた。直後、彼女達の行く先に構えていたセイレーン艦に爆弾が投下され、炎の嵐が吹き荒れた。過ぎ去ればそこには、ただの瓦礫となした船達が横になっていた。

 空母二人の援護によって、もうひと段階先に進んだベルファスト達は魚雷を放つ。

 

―行っけえ!

 

 リノが叫ぶ傍らで、ベルファストも魚雷を発射。そして、左右に迫るセイレーン艦に2発、3発と弾を撃ち込みながら言う。

 

―皆様、先ほどより量産型の耐久性が落ちているようです

 

 彼女に加賀は同意する。

 

―確かにそうらしいな。指揮官と合流する前までは、敵艦一隻に集中爆撃を行ってやっと落とせるほどだったのに

 

 加賀に続いて、モナークはテスターを睨みつつ言う。

 

―雑魚に時間をかけるのも惜しい。手早く済ませるぞ

 

 そのとき彼女に数発か敵艦の集中砲撃が迫った。

 

―…!

 

 戦艦故、急激な旋回で全ての攻撃をかわすまでには至らなかったがしかし、軽く腕を振るい弾を1発、はじいて落とした。一瞬鬱陶しそうな表情を見せたが、すぐに今の一撃を分析する。

 

―攻撃性能はそのままのようだ。前衛艦は特に気を付けろ

 

―とはいえ、ただ慎重に動かなくてはならないのは…

 

 そう言って、今まで皆に展開していたシールドを解くと、ローンに敵からの熱い砲弾が送られてきた。しかし彼女はその弾に手を伸ばす。そして、

 

―やはり退屈です……ねぇ!!

 

 掴んだ。砲弾を。

 

―ぇえ!?

 

―なっ…ローン様っ…

 

 リノとベルファストがぎょっとした目をローンに向けるのを傍目に、彼女は掴んだ弾をその手の中で握りつぶす。手の中で爆発が起きて、彼女の全身が黒い煙に包まれる。爆発で吹き飛ぶ影はどこにも見当たらない。すると、

 

―これでも、私も計画艦なので

 

 そう言って、にこりと微笑む彼女が煙の中から姿を現した。ベルファストは一瞬だけほっと胸を撫で下ろすが、そうしている間にも敵の動きは止まらない。早速ローンはWARSに提案(お願い)する。

 

―指揮官、もっと前に出ても良いですか?モナークさんの言う通り手早く済ませた方が良いと思います

 

 冷静な声音でそう言いうが、彼女のギラリと妖しく輝く目には、標的を破壊するというKAN-SENとしては本能めいたものを感じさせた。しかし、補給を受ける前の状態と比べればむしろ心強い。

 

―分かった。だが相手の数はまだ数えきれない程いる。面制圧を怠るなよ

 

 WARSはそう言いながら、深く頷く。彼の光る目がより一層輝いた。

 

―はい…ふふっ、なんだか力が湧いてくるような気がします

 

 ローンはその言葉の直後、豹変する。

 

―これで心置きなく狩れる!

 

 やはり彼女の中には計り知れない戦闘狂のようなココロがあるのだろう。彼女はベルファストとリノを置いて飛び出す。

 

―ベル、リノ!ローンの支援を!主力艦は前衛の左右にいる敵を残らず撃破!!

 

―”はい!”

 

 そうして、次々と放たれる味方の砲弾の音は皆を鼓舞するように大海に響く。しかし、敵艦隊の陰に隠れて何もしないものもいるようだ。テスターは楽し気に、こちら側を観察するように動いているのだ。

 

―ちょろちょろと逃げ回りおって…!

 

 加賀が目尻を上げてテスターを睨む。射程距離内に十分に入ってはいるが、彼女はゆらゆらと低空飛行を続け、KAN-SEN達の的とならないように、量産型の陰に隠れ続けていた。量産型を出現させて以降、まともに戦闘に参加しないテスターはずっと逃げに徹している。たとえ爆撃しようともかわされ、少しの打撃を与えることも許してくれなかった。

 しかしKAN-SEN達の動きは、大量の敵艦を前にしても普段より良いもので、次々と量産型を破壊していく。皆はココロと体に徐々に余裕を持っていった。

 そんな時、モナークがWARSの隣に立った。彼女は彼の隣で2発、3発と砲を放つ。1発撃つ度に一隻の敵艦が海の藻屑となっていく。

 

―どうしたモナーク

 

 WARSはちらと彼女を見て様子を伺った。

 

―いや、お前のココロが良くなったようで、安心してつい、こちらに来てしまった

 

―安心した…か

 

 そう言うと、脳裏に前回の戦いで薄れていた記憶が少し蘇った。

 

 ”指揮官…思い出せ…!”

 

 ”お前が愛する者たちを…!”

 

―俺はお前からも叱られたんだったな。しかしそのおかげで、今もこうして立っていられる

 

―思い出せたんだ。俺が戦う理由を

 

 WARSは言いながら敵の密集地帯に砲を放つ。

 

―ふっ…しっかりと芯を持てたのなら、それでいい。それでこそ私の愛する者だ。そして…

 

 モナークはWARSから離れて、そして誰にも聞こえないように、口の中で言う。

 

 ”私の憧れだ”

 

 当然、音声通信は切っていた。

 

―ん、何か言ったか?

 

 WARSはそう訊くが、モナークは柔らかな表情で返す。

 

―いや、空耳ではないか?

 

―そうか

 

 短く言葉を交わす。離れていくモナークを見送ると、次の行動に移ろうと皆に通信を送る。

 

―まとめて片を付けたい。みんな、指示したポイントに敵を引き付けてくれ

 

 始めと比べて敵の数は相当減った。そろそろと思い、指示を出す。座標はWARSから見て右奥。

 

―”了解!”

 

 まずはWARS含め、主力艦達は敵編隊の先頭に砲撃と爆撃を集中させる。

 

―ベル!今だ!!

 

―はい!

 

 攻撃によって一瞬動きを抑制した敵艦隊と、WARS達を挟んだ場所に壁をするように、ベルファストは煙幕を散布した。彼女を先頭にして敵艦隊を通り過ぎていくリノとローンが位置情報で分かる。そのまま彼女達は何もせずにポイントに向かっていった。煙幕で、WARS含め主力艦の位置を隠された量産型は、一斉にベルファスト達の方向に行先を転換した。肉眼では見えないが、レーダーで量産型が指定ポイントに向かっていくのを感じる。

 

―よし、そのままもう少しだ

 

 そして遂に、設定したポイントにセイレーン艦隊が到達した。WARSは叫ぶ。

 

―ベル、リノ、ローン!全速力で離脱しながら雷撃!

 

―主力艦は全弾発射と爆撃!

 

―”了解!”

 

 一瞬のタイミングを置いて、凄まじい量の砲弾と爆弾、魚雷が群れを成すように敵艦隊に迫っていく。やがて起こった連続する大爆発は、飽和攻撃にも見える程だ。いつの間にかセイレーンの編隊から離れていたテスターが、その光景を眺めていた。

 

―このレベルの量産型を大した時間をかけずに殲滅とは…

 

 そしてWARSに語り掛ける。

 

―それにお前の態度といい、やはり…

 

―なんだ…?

 

 WARSの細い目がテスターに向くと、彼女の携えた砲がベルファストを向いた。

 

―…!

 

 瞬間、目にも留まらぬ砲弾がベルファストに襲い掛かる。しかし回避は間に合わないか。

 ベルファストは咄嗟に両腕を十字に構える。

 

 ”ガキンッ!”

 

―くっ……ん…?

 

 当たればひとたまりもないような弾はしかし、音の割には彼女の腕を破裂させるどころか、強く叩いた程度の衝撃しか彼女に与えなかった。何かと思い、つい腕をちらと見てもガントレットには特に外傷は見当たらなかった。なんのことなしにテスターの攻撃を弾き飛ばしたことに驚くが、今は細かいことを気にする暇もない。

 テスターはまたWARSに言い放つように、声を弾ませた。

 

―やはりそういう機能をしていたかっ…!

 

 WARSは不思議に思っていた。他の人型セイレーンもそうではあったが彼女達は時折、意味深長なことを言う。しかもこちら側に語り掛けるように。特に今回はそのような言葉が多くあるが、やはり今は深く考える時間は無い。考えるより、体を動かした。

 

―お前の相手は俺だ!

 

 1発、ゴングを鳴らすように弾を放つとテスターに向かって波を蹴立てて走り出した。しかしテスターは一目散に逃げる。

 

―新しいデータがもっと取れそうだからな!まだ沈むわけにはいかないんだよ!!

 

 そんな言葉も何のその。WARSは何発もの砲弾を放ちながら、そしてそのたびに廃熱の蒸気を全身から吹き出させながらテスターに接近する。そして遂にWARSの砲弾がテスターの背後を掴む。

 

―くそっ…!

 

 テスターは寸でのところで砲弾を避けた。当たりどころが悪ければ一撃で沈んでも不思議ではないが、彼女はWARS MIGHTYの榴弾の特性を思い出す。

 

 ”まずいっ”

 

 そう言う前にWARSが叫ぶ。

 

―避けても無駄だ!

 

 砲弾は爆発した。しかし本来、球状に広がるはずの爆発はその形を成そうとせず、すべてのエネルギーがテスターの方向へ一気に噴き出した。テスターは衝撃に耐えられず吹き飛び、海面に転げ、滑っていく。今まで纏っていた装甲は大きく損傷していた。

 

―ぐぅっ…!!

 

 そんな彼女の姿を見ながらWARSはつぶやく。

 

―爆発指向性可変榴弾か…

 

 ”爆発指向性可変榴弾”

 

 WARS MIGHTYとして覚醒する前の段階で、感覚で知り得ていたこの能力に明石は名付けたのだろう。能力の効果は読んで字のごとく。普段、KAN-SEN達が使用する榴弾では為し得ない、爆発時のエネルギーの方向を変化させられる特徴がある。エネルギーが集束することで強力な破壊力を得るだけでなく、WARS MIGHTYの強大な攻撃力向上の影響で、今までのWARSとは常軌を逸した威力となるのだ。

 

―もう一撃…!!

 

 そう言ってもう一発、肩から砲弾を放つと今度はテスターに直撃。彼女は糸の切れた操り人形のように宙を舞った。

 

―くぅああああ!

 

 その体に辛うじて残っていた装甲は跡形もなく、代わりに黒のスーツ姿に戻っていた。スーツと言っても、大きなダメージ故に完全な修復が出来ないのか、ところどころ穴があった。そんな状態で、彼女は背で海を駆けながらもWARSに言う。

 

―…ぐ…うぅ………ふ…ふっふふ…やはりバカには出来ないわね…貴方は…

 

 そんな言葉にWARSは冷たく返した。

 

―もういいだろう。エンタープライズを返せ

 

 エンタープライズは未だ時空の壁を隔ててWARSの目に映っていた。そして彼女は亡霊のようにWARS達の周囲で駆け回っていた。

 悲痛な表情の彼女を瞳に映すリノは、WARSに同調する。

 

―そうだよっ、早くエンタープライズを返してっ

 

 当のテスターは体勢を立て直そうと片膝を着くが、そのまま俯く。そして、何やら嬉しそうに口角を上げた。

 

―ふふっ…やはりこの枝…いや、幹は…

 

 彼女はそう呟くと、胸の前に手をかざした。

 

―希望…か…

 

 そうして何かを掴むようにその拳を握ると、今度はもう一度広げながらWARSの方へ手の平を向けた。光の弾がゆっくりとWARSに向かう。

 

―これは…

 

 WARSの疑問にテスターは答える。

 

―鍵だ。”お前”なら使える

 

 その言葉と共に、WARSの胸の前に迫っていた光が突然、彼の胸の中に入った。

 

―…!

 

 突然”鍵”を渡されたがしかし、彼には使い方が分かった。何故かは分からないが、もう何度もこの能力を使っているかのように鍵の開け方が脳に流れ込んできた。どういうことなのだろうか。テスターがいる場所に顔を向ける。しかしその時には、彼女はWARS達の前から消えていた。少なくとも、皆のレーダーに感知はなかった。

 

―指揮官、エンタープライズが…!

 

 突然、リノが焦ったように言った。WARSはリノの目線の先を見る。しかし主力艦として戦っていた故、エンタープライズの姿は豆粒だ。

 

―主力艦は現在地で待機…!

 

―”了解”

 

 WARSは赤城、加賀、モナークに言うと急いでエンタープライズの見える先へ向かった。しかし彼女のもとまでは大した時間も掛からなかった。WARSは彼女をはっきりと目にする。彼女の瞳は黄金に輝いていた。更に彼女の様子は、

 

―エンタープライズっ…

 

 明らかにおかしかった。まるで目覚めたまま悪夢を見ているような表情で、恐らく叫びをあげているのだ。時空の壁に阻まれて、声までは聞こえない。

 そして、彼女の隣に佇むのはローン。もちろん味方ではない。本物のローンはといえば、偽物を恐ろしい目で睨んでいた。

 

―ニセモノォ…!

 

 獣かと感じてしまうような彼女の声は、今にも暴れだしそうな身の震えと共に放り出された。本物の方を見て思わず口走る。

 

―ローンっ…どうしたんだ

 

 普段と比べても異常な様子を見せた彼女にWARSは若干驚く。そんな中、ベルファストは彼に言う。

 

―ご主人様、今はエンタープライズ様をっ

 

 そして彼女は一言付け加える。

 

―彼女の様子がおかしいのも、ローン様の偽物が原因のようですし…

 

 今度はモナークが遠方から通信を送ってくる。

 

―しかし指揮官、先程テスターから渡された鍵とやらは使えるのか

 

 それについては問題ないことが、鍵を持った時に分かっている。とはいえ時空の壁を開けるなど初めてすることだ。焦るような声音でWARSは返す。

 

―ああっ…大丈夫だ!

 

 テスターから渡された”鍵”に意識を集中させる。そして、先ほど流れ込んできた感覚を伝った。

 

―…!

 

 すると、WARSとエンタープライズの間に光の壁が現れた。自分の身長程の高さの長方形の光の壁はやがて、扉のように開かれた。その奥には、

 

―うあああああああああああああああああああああああああああああ!!!

 

 怯え切った表情で泣き叫んだエンタープライズがはっきりと見えた。彼女の声が聞こえた瞬間、体が動く。

 

―エンタープライズ!!

 

 飛び出して、扉を超えて、腕を伸ばし、手を掴む。

 

―…!

 

 そのまま思い切り引き寄せると、強く抱きしめながら扉を出た。

 

―ぁ……しきかん…

 

 小さく小さく、安心したような声が聞こえる。彼女の顔を見た。

 

―エンタープライズ…

 

 彼女の目はゆっくりと閉じられ、その全身からは力が抜けていく。自然と、彼女にぐったりと身を預けられた。彼女を抱きかかえると一呼吸おいて、光の扉の奥を覗く。すると、エンタープライズと共に見えていたローンの偽物が、こちらをぽかんとした顔で見つめていた。

 

―しき、かん…?

 

 WARSは彼女の姿を見て黙ってしまう。時空の壁を隔てずに見るローンは、分かってはいたが本物と瓜二つだ。

 

―…

 

 そして一瞬の時の後、彼女は気付いたようにこちらを睨み突撃してきた。狭い、光の扉に向かって走ってくる。

 

―っ…!!

 

 そのとき、

 

 ”ズガンッ!!”

 

 WARSの背後から砲弾が飛んできた。それは彼の肩の横を通り越し、ローン(偽物)の額を激突した。

 

―がっ!

 

 彼女は仰け反るが、後ろに倒れるのは耐えて瞬時に体勢を整えた。やがて見えた彼女の目は吊り上がり、WARSより後ろを睨みつけていた。何かと思い振り返ると、

 

―私の姿で勝手なことをするなんて…許さない!!

 

 ”ダンッダンッダンッダン!”

 

―くぉ…!

 

 ローンの追い打ちは止まらない。無慈悲に撃ち続けられる弾に、ローン(偽物)はまともに声も出せずに

 

―死ねぇ!!

 

 ”ダンッダンッダンッダン!”

 

 ローンの放つ砲弾の轟音が響くたびに、ローン(偽物)の胸は抉れていく。

 彼女を構成しているのはブラックキューブなのだろう。黒い粒子を胸の中心から吹き出させながら彼女は遂に倒れた。

 

―…

 

 彼女の体は動かない。コアであるキューブを破壊されたことで機能が停止したようだ。そんな光景を見て、翔一は己が暴走した時のKAN-SEN達の気持ちが今、真に分かった気がした。

 

―指揮官、扉を閉じましょう

 

 ローンは言う。

 

―あ、ああ。そうだな

 

 歯切れ悪く返すと、再び”鍵”に集中して扉を閉じた。しかしそれから棒立ちしているわけにもいかない。WARSはMIGHTYからWARS AETHERにフォームチェンジして、皆に指示を出す。

 

 ”AETHER DEFORMATION”

 

―これより帰還する。周囲の警戒をしつつ指揮艦に戻るぞ

 

―”了解”

 

 WARS AETHERなら、通常より広範囲かつ優れた性能の探知が行える。もしセイレーンが奇襲を企んでいても対応できるだろう。

 

 結局、それは杞憂に終わった。

 

――――――――――――――――――――

 

~母港、医務室~

 

 

 無事に母港に帰還した翔一たちは一度解散した。今は皆それぞれの場所で休んでいるだろう。そして翔一はといえば、帰港した際にヴェスタルに運ばれたエンタープライズを追って、医務室の外で待機していた。彼はベンチに座り、隣に付き添う従者に言う。

 

―悪いな、ベル。疲れているだろうに

 

 そう言うが彼の目にも疲労の色が見えていた。そんな表情を瞳に映してベルファストは言う。

 

―いえ、ご心配には及びません。

 

 そして彼女は”それに”と続ける。

 

―私も、エンタープライズ様が心配です……あんな表情、見たことがありませんし…

 

 語尾に近づくたびに小さくなっていく声が、彼女の日頃の堂々とした態度を崩していた。

 

―ああ…そうだな…

 

 ベルファストの言う”表情”は今でも鮮明に思い出せる。エンタープライズを”METAフィールド”と呼ばれる場所から救出する時の彼女の表情だ。翔一でも、いや、ヨークタウンやホーネットですら彼女の絶望と恐怖に満ちた顔を見たことはないだろう。

 

―指揮官、入ってい良いわよ

 

 後ろから声が聞こえる。振り向けば、今までエンタープライズの体の状況を診ていたヴェスタルが、部屋の扉を開けてこちらを伺っていた。

 

―ベル、行こう

 

―はい

 

 腰を上げながら短いやり取りを終えて、二人はヴェスタルに続いて医務室に入っていく。

 

―エンタープライズちゃん、今は寝てるわ…特に外傷は見られなかったんだけど…その…

 

 どうやら寝ているだけ、というわけではないようだ。

 

―どうしたんだ

 

 一言、短く聞いてみるとヴェスタルは若干言葉を詰まらせた。

 

―うん…えっとね…

 

 言い辛そうな様子はすぐに消え、しかし少しの不安を顔に残しながら言う。

 

―心理的なショックが大きくて、スリープモードになってしまってるの…

 

―スリープモードか…

 

 スリープモード。翔一がこの現象を知ったのは母港に来てからだった。それは、KAN-SENのメンタルキューブにシステム的な異常が発生した時に起こる現象だ。滅多なことでは起きる事ではないが、この状態になってしまうと自然に目覚めるのはいつになるか分からないという。

 ”メンタル”キューブという事もあって、KAN-SEN達は個々の”カンジョウ”によって兵器としての機能を上下させることもある。そのカンジョウを司る機関が異常を発生してしまうと今のエンタープライズのように、強制シャットダウンされたように眠ってしまうのだ。

 

―指揮官、どうする?

 

 ヴェスタルはもう一言付け加える。

 

―どうしてもと言うなら…

 

 その言葉に翔一は間髪入れずに答えた。

 

―いや、再起動はしなくていい

 

 KAN-SEN達はセイレーンを破壊する兵器として戦うという使命がある以上、人類としては勝手に眠られてしまっては困る。そのため、専用の信号をそのKAN-SENに送ることで今にも目覚めさせるシステムはある。

 しかしそれは望まない、疲労も溜まっていることだろうし、体だけでも休んでほしいと思う。何より、そんなことをしてエンタープライズの精神に更に負荷がかかるようなことがあれば、深く悔やむことにもなろう。皆を守るために戦うという事を思い出せたのに、それをまた自ら破ることにもなる。

 翔一はヴェスタルの目をちらと見る。

 

―…そう、なら寝かせてあげましょう

 

 彼女の声は、少し安心したような色をしていた。

 そして翔一はベルファストを見て言う。

 

―ベル、一旦戻ろうか

 

―はい…

 

 彼女を連れて数歩進み、部屋の扉を出る前に振り向いた。

 

―ヴェスタル、エンタープライズを頼む

 

―ええ、大丈夫。信じて頂戴

 

 彼女は微笑みを返した。

 

――――――――――――――――――――

 

~翌日、執務室~

 

 

 朝日というには少し上りすぎた太陽が、翔一の背を照らしていた。いつもと変わらない風景の中で執務机について、特段変化のない事務仕事のためにモニターとにらめっこする。違う事と言えば、普段いるはずのエンタープライズの代わりに、モナークがその役をしていることだ。

 眩しい純白の軍服から伸びた色白の手がこちらに差し出される。その手には紙の如く薄いコンピューター、フィルムタブレットが握られていた。

 

―指揮官、前回の戦闘の報告書をまとめた。確認してくれ

 

 机越しに、彼女からタブレット受け取る。

 

―ん、ありがとう

 

 幾度も見てきた表紙をスライドさせて次のページを表示させる。数回続けていくと、昨日の時点のKAN-SEN達の損傷状況が記されていた。その中の一つに、当然エンタープライズの情報もある。

 

====================

 

 USS Enterprise,CV6

 

 Degree of dama(損傷度)ge : Mild(軽度)

 

 Remarks(備考) : Sleep mode(スリープモード) (Due to an abnormality in the mental cube(メンタルキューブの異常による))

 

====================

 

 彼女は、まだ目覚めないという。

 

―…

 

 手は止まり、表示されるページを変えずに見つめてしまう。

 

―…

 

 彼女への心配は拭えないが、自分の表情だけでも変化させないように意識した。この場(執務室)だけならまだしも、外で”指揮官”として己の不安を見せてしまえば、KAN-SEN達の士気にも関わるからだ。しかし、そんな彼の気を見破ってしまうのが、彼を愛する者の勘なのだ。

 

―指揮官、思い詰めるのは良くないぞ

 

―バレてしまうか…

 

―ああ、バレバレだ

 

 モナークはそう言いながら、そっと翔一の傍によった。翔一が真正面に彼女の顔を見ると、彼女の優しい表情が近づいてきた。

 

―んっ…

 

 ”ちゅっ”と額から音が聞こえる。なんとなく察してはいたが、彼女は気を使ってくれたのだ。

 

―これで安心できるかは分からないが、少しでもお前の気が紛れればそれでいい

 

 彼女の優しい表情が目に入る。頬に熱を感じた。気持ちはとても嬉しいし、男としても嬉しいから。

 そんな時、ドアがノックされる。

 

―ご主人様、よろしいでしょうか

 

 ベルファストだ。

 

―どうぞ

 

 そう答えると、扉が開く。彼女はワゴンと共に部屋に入ってくる。乗っているのはコーヒーと紅茶。

 

―ご主人様、コーヒーでございます

 

―ありがとう、ベル

 

 ソーサーに乗ったカップが翔一の前に置かれる。音はたたない。美しい所作は緩むことなく、モナークにも差し出された。

 

―紅茶でございます、モナーク様

 

―ありがとう

 

 熱いコーヒーと紅茶には既にミルクが注がれている。一つ口をつけると、舌に馴染んだ味が柔らかく広がる。ベルファストの作った味が翔一の心まで暖かくした。少し頬が緩む。小さな感情の動きではあったが、そんなささやかな表情の変化にも気付くのが、同じく彼を愛する者である。

 

―ふふっ…ご主人様の心は少しでも安らいだでしょうか

 

 こちらに微笑みを向ける。彼女の表情にこちらも軽く頷いて微笑んでしまった。本当に、KAN-SEN達がいるからこそ今まで生きていけたことを感じる。

 

―本当に、みんなには助けられてるよ。ありがとう

 

 あらためて言葉にして、二人に伝えた。

 

―ありがたきお言葉です。ご主人様

 

―お前の為なら、如何なることでもするつもりだ

 

 二人の温かい気を全身に感じ、いよいよ心が前に向かった時、もう一度ドアが鳴る。

 

―指揮官、居るか?

 

 そして聞こえてくる籠った声に、翔一とベルファスト、モナークは目を一瞬見合わせた。翔一は席を立ち、ドアの前に足を向けた。ノブに手をかけて開けると、エンタープライズが立っていた。彼女は翔一と目が合うなり両手を後ろに組んで、恥ずかしそうに目を逸らす。帽子は乱暴に被ったのか、若干ずれていた。

 

―昨日の戦闘中に…知らぬ間に眠ってしまったようだ。迷惑をかけたな…すまない指揮官

 

―いや、そんなことはない、こうやって無事でいてくれたことが何より良いことなんだ

 

 そして、声を落としながら付け加える。

 

―それに迷惑をかけたというなら…俺が…一番……

 

 僅かに残る記憶をたどる。自らが突き出した拳の先に、エンタープライズの姿が見えた。再び翔一の表情は沈む。

 しかしそんな彼に、エンタープライズは短く提案した。

 

―指揮官、少し…外に出ないか?

 

―ん、ああ…

 

 翔一は振り向いてベルファストとモナークに目を向ける。二人からは優しく頷かれる。

 

―行こうか

 

 エンタープライズにそう言う。

 

―うん…

 

 彼女は帽子をかぶり直し背を向けた。翔一はその背を追うのだった。

 

――――――――――――――――――――

 

~海岸~

 

 

 翔一とエンタープライズは、広大な海の前に立っていた。太陽の光に刺されて熱を持った砂浜は、靴を履いていてもなお、二人の足を焼いている。

 

―…

 

―…

 

 二人は何を考えているのか、どちらから話すでもなく、ただ黙って前だけを見つめていた。

 

―…

 

―…

 

 そんな空気に耐えられず、翔一は何とか言葉を紡ぐ。

 

―良い…天気だな

 

 横目にエンタープライズを据えると、真っ直ぐに空を見る彼女が映った。彼女は短く答える。

 

―ああ…

 

 会話は打ち切られたようにぷつりと途切れ、再び静かな空気が二人を包んだ。

 

―…

 

―…

 

 心地の良い風とさざ波の音がいくつか耳をくすぐると、エンタープライズは小さく、胸の内を零した。

 

―私は自分の力が、いや…KAN-SEN達の力がこの先どうなるのか、不安になったんだ…

 

 そう言ったきり、彼女は俯く。そして、今度は翔一が口を開く。悔やむような気持ちが彼の喉を震わせた。

 

―………お前をそんな気にさせてしまったのは…俺のせいだ…

 

 それから翔一の声音は一気に沈んだ。

 

―俺はWARSになってから、この力にのみ込まれようとしていたんだ

 

―初めの頃はどうってことはなかった。一時的にとはいえベルを失い、その影響もあってかしばらくは、みんなを守るためにこの力を使おうとしていたんだ…

 

―でもそのうち…力に溺れて、それを振るう意味を忘れてしまっていた

 

―その力で(ストレンジャー)を倒すことはできた。でも俺は…お前を…

 

 翔一は握った右の拳を見る。しかし、意外にも彼の拳には温かく、エンタープライズの手が差し伸べられた。

 

―いいんだ、指揮官

 

 彼女はそう言って、翔一の拳を下から、包み込むように握った。

 

―確かに、あの時の指揮官に恐怖を覚えた。でも前回の出撃で…あの場所から助けられた時に感じたんだ…大きな力を持ちながらも、それを振るうための温かい気持ちを…強い意志を…

 

 エンタープライズは彼の拳を広げた。そしてその掌を両手で優しく握ると、海を背にして、彼を導くように引いていった。彼女は恥ずかしそうに微笑むと言う。

 

―指揮官、ちょっと…飛んでみないか…?

 

 エンタープライズの周囲がほんの少し青く光ると、彼女の体に艤装がつく。

 

―わかった

 

 翔一はWARSに変身する。

 

 ”WARS AETHER ENGAGED”

 

 一歩、右足で砂浜を踏んでからは速かった。ふわりと体が浮いて、それからは天使に導かれるようにエンタープライズの体を追いかけた。

 十数秒か経ったとき、彼女は翔一を抱きしめた。勢い余って、ツイストするように二人の体が二回、三回と回転する。

 

―どうしたんだ?

 

 エンタープライズは”ふふっ”と微笑むと、WARSの側頭部、翔一の耳のあたりに唇を近づけて囁く。

 

―貴方は私に…希望を見せてくれたんだ

 

―希望…?

 

―そうだ…ヒトの形をしただけの兵器でも…”心”を持てるかもしれないという希望だ…

 

 彼女は”ぎゅっ”と彼を抱きしめる腕を強くする。

 

―指揮官、私は貴方のようになりたい

 

―俺のように?

 

―ああ、そうだ

 

 彼女は、日記の内容を楽しそうに誰かに話すように続ける。

 

―今日の朝、目覚めたときに、窓から青い空が見えたんだ

 

―その時気付いたんだ…なんで青空を見ると安心するんだろうかって…

 

 彼女は抱きしめる力を緩めて、翔一の顔を覗く。

 

―この美しい景色が、大好きなんだ…

 

 そして、少し頬を染めて言う。

 

―だから貴方のように、私はこの群青の海と空を守りたい

 

 エンタープライズはただ、不安を感じることなく思い切り飛べる青空が欲しかった。そして気付いたのだ。エンタープライズはこの海と空を守りたいという事に。そしてと翔一と同じように、自分も守るために戦いたいと気付いたのだ。だから、

 

―指揮官…私を連れて行ってくれ……この青空があるなら、どこでもいい

 

 彼と共に歩み、この広大な空の素晴らしさをもっと知りたい。

 

―私は…貴方と共に行きたい…それが今の、私の願いだ

 

 グレイゴーストの曇った表情に少しだけ、晴れ間が見えた。




 前回の投稿から、半年以上過ぎたにゃ。すごく時間が経ってしまったけど、引き続き読んでくれた人、初めて読んでくれた人、ありがとにゃ。

 さて、今回は遂に指揮官の新フォーム”WARS MIGHTY”が登場したにゃ!前回の、指揮官の”強い思い”故にメンタルキューブが発現させた中途半端なフォーム(暴走フォーム)を克服できたにゃ。母港のみんなには廃熱機関を考えた明石を褒めて欲しいにゃ!あと廃熱機関のデザインを考えてくれたリノにも感謝にゃ!

 それじゃ、次回もよろしくにゃ!そして、この物語はいよいよ後半に入っていくにゃ!!

※あとWARS MIGHTYにフォームチェンジした時の挿絵だけど、鏡面海域にいるはずなのに青空になってるにゃ。ミスしたにゃ。でもそこは、皆の不安がなくなった的な”表現”として、ここはひとつ許してほしいにゃ


WARSの設定についてはここ(ピクシブ)を見てにゃ
細かい設定、設定画はここ(ピクシブ)にゃ
感想もよかったらよろしくにゃ

この物語とは別時空の母港で繰り広げられるオムニバス小説があるから、そっちもぜひ読んでにゃ!

 あと、アンケートにも答えてくれると嬉しいにゃ!

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