アズールレーン~希望への航路~   作:ざぎねぅ

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4話 夜戦

翔一は、ネバダの激励によって暗い気持ちが和らいでいた。そんな事があった数日後のことである。

 

―おはようございます、指揮官様~

 

―うお…おはよう、赤城

 

今日の副秘書艦である赤城は執務室に来るなり、朝食をとりに食堂に行こうとする翔一の腕に引っ付いてくる。最近は秘書艦でなくても翔一のもとに来ることが多く、先日”自分の仕事は出来ているのか”と聞くと”指揮官様のためならどんな仕事でも一瞬で終わらせて見せますわ~…もちろん…あなたの周りにいる害虫の駆除だって…”と言ってきたこともあった。気に入られていること自体は、信頼関係が大切な戦いにおいて良い方向に向いてくれるからいいとして、その思いが強すぎるのは困ったものだと、いつも翔一は感じていた。まあ、仕事を投げて来ているのなら小言の一つでも言うところだが、自分のやることをしっかりやっているのならいいだろう。そんな彼女は今回、初めて副秘書艦になったのでテンションが上がっているようで、なかなか手を放してくれない。それに見かねたのか、翔一の専属メイドであるベルファストが口を開く。

 

―赤城様、ご主人様を慕っているのはよろしいのですが、いつまでもくっついているのはあまり良いとは思いません。ご主人様もお困りのご様子です

 

ベルファストの言葉もむなしく、聞く耳を持たない赤城は翔一にキスをする勢いで顔を近づける。

 

―指揮官様、今日は赤城が秘書艦になった記念すべき日…今夜は…ふふっ

 

なにか妙なことを言い出した赤城に翔一は警戒した。

 

―ま、まあいったん離れてくれ。朝食をとりに行くんだ

 

―そうですわ、今日は重桜の寮に来ませんこと?この赤城が真心を込めて朝食を作りましたの

 

純粋な善意を向けられた翔一は、その提案を受けることにする。エンタープライズとベルファストも一緒に来るように誘う。

 

―そうか、ならそうしようかな。そうだ、せっかくだからベルファストとエンタープライズにも来てもらっていいかな

 

―重桜のお料理はあまり頂いたことがないので、興味があります

 

―私も食べてみたいな

 

2人とも来てくれるらしい。赤城はというと…

 

―指揮官様のお願いでしたらいくらでもお聞きしますわ。指揮官様、私の料理、楽しみにしていてくださいませ

 

―ああ、楽しみにしてるよ

 

4人は早速、重桜寮に足を進めるのだった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

寮に着くと、赤城は少し広い部屋に翔一たちを案内した。部屋の中央に机がある。和室なのでもちろん床は畳だ。ベランダからは、広い海と重桜エリアが見渡せるようになっていた。食堂に行こうと歩いているKANSEN達も数人見える。

 

―それでは、少々お待ちください。いま持ってまいりますわ

 

赤城はそういうと、部屋を出ていく。

 

―ん?…指揮官か、珍しいな

 

赤城と入れ替わりで加賀が部屋に入ってきた。

 

―赤城が作った朝食を食べさせてもらうことになったんだ

 

―そうか、いつもは私が作っているんだが、今日の副秘書艦は姉さまだからな。指揮官に自分の料理を食べさせたかったのだろう

 

そういうと、机に向かい正座する。そしてエンタープライズがつぶやく。

 

―赤城の料理か…どんな味なのだろうか?

 

―姉さまの料理はおいしいぞ

 

―メイドの一人として、重桜料理の味を勉強させていただきますね

 

―ああ、よく味わって考えるといい

 

一時期はアズールレーンとレッドアクシズで分かれて活動していたことを思うと、こんな風に楽しそうに話しているところを見て、翔一は微笑ましい気持ちになった。少し話していると、赤城が戻ってくる。

 

―おまたせしました。指揮官様~

 

機嫌の良い赤城が大きいお盆を持って部屋に入ってくる。

 

―お、いよいよか

 

翔一がそういうと赤城は机にお椀を並べていく。白米、みそ汁、焼き魚と、一般的な重桜の朝ごはんという感じではあるが、とてもいい香りがしておいしそうだ。お椀を並べ終えると赤城が言う。

 

―さあ、召し上がれ

 

当然のごとく翔一の隣に座ってくるが、彼女の顔は少し不安そうだ。赤城以外が早速食べ始めると、彼女は翔一の反応をうかがう。

 

―指揮官様…どうでしょうか、お口にあいますか…?

 

おいしい。しかし赤城の料理は初めて食べるのだが、なぜか懐かしい感じがした。その思いに更けていると、赤城に声を掛けられたのでそれに答える。

 

―ああ、すごくおいしいよ

 

それを聞いた赤城は、ぱっと明るい顔になる。幸せそうな笑顔だ。

 

―よかった…これで赤城と指揮官様の未来は安泰ですわぁ

 

―え…

 

―ふふっ

 

そんなやり取りをしながら、楽しく朝食をとったのだった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

日中は特に事件もなく、いつもの事務仕事をこなしていた。四六時中赤城が密着していたので少しやりずらかったことはさておき、そろそろ夕焼けが見えてきそうな時間となり今日の仕事も終わりに近づいてきた。そんなとき、久しく聞くサイレンが鳴った。

 

―指揮官!

 

―ご主人様!

 

―指揮官様、行きましょう!

 

―よし、出撃だ!

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

今回の出撃メンバーは、主力に赤城、エンタープライズ、ビスマルク。前衛にベルファスト、プリンツオイゲン、足柄。そして潜水艦は伊13である。敵が出た地点に着く頃には、あたりは暗くなっていた。少し霞がかっていて、視界も悪い。特に注意して戦わなければならないだろう。

 

―みんな、頼むぞ!

 

翔一は以前までとは違っていた。今は、共に戦う仲間たちのことを信じている。だから無駄な不安などは感じない。皆を信じて指揮をとるだけだ。

 

―指揮官様!セイレーンの艦隊を発見しました!

 

―うん、それでは赤城とエンタープライズは攻撃機を発艦、ビスマルクは次の攻撃に備えてくれ。ベルファストと伊13は敵艦隊に接近、オイゲンと足柄はその援護だ!

 

―”了解!”

 

指揮の通りにKANSENたちが動く。しばらくすると肉眼で敵が確認できるようになった。その時、ビスマルクが言う。

 

―指揮官、射程圏内に入ったわ!どうする?

 

―先手必勝だ!撃ってくれ!

 

ドドン!という音とともに凄まじい威力の砲弾が連続で飛んでいく。それは見事に相手の艦隊を襲い、ダメージを与えていく。そこにすかさずベルファストと伊13の雷撃が突き刺さった。あっさりと敵の前衛が撃破されていく。しかし、その後方から新たな船が出現する。

 

―おお!ちょっと成長してるかなあ!

 

優勢になろうというところでピュリファイアーが出現した。

 

―ピュリファイアーか…

 

―お、元気ぃ?こっちの指揮官君!

 

ピュリファイアーの声が指揮艦操縦席のスピーカーから聞こえてきた。そして、この言葉にエンタープライズがつぶやく。

 

―こっちの…?どいうことだ

 

翔一はエンタープライズと全く同じことを思っていた。しかし、今そのことを考えてもどうしようもないと気持ちを切り替え指揮を続ける。

 

―ベルファスト、オイゲン、足柄!一斉射撃で敵の動きを止めてくれ!エンタープライズ、赤城!その隙に爆撃だ、一気に決めるぞ!伊13は一旦戻ってきてくれ!

 

これにより敵艦隊が一気に撃破されていく。しかし、

 

―ハハッ!そう簡単にはいかせないよ!

 

ピュリファイアーが言うと、直後に伊13が叫んだ。

 

―指揮官!海底から何か来るよ!……前回の出撃で出てきたヤツだ!

 

前回の敵、あの怪獣のようなものだ。だが翔一は怯まない。怪獣が激しい波を蹴立てて海上に出てきた。

 

―みんな!アイツの脇に回り込むんだ!

 

この指示は前回のような攻撃を受けないためだった。少なくとも以前は側面からの攻撃はなかった。

 

―ムダだよ!

 

ピュリファイアーがそう言うと、怪獣は後ろについている尾でKANSENたちを薙ぎ払おうとする。その尾がエンタープライズを襲うが、彼女は大きく跳躍し紙一重でよける。すると、そのまま戦闘機に乗り、翔一に言う。

 

―あぶないあぶない…指揮官!私はこのまま空から攻める!

 

―ああ!そのまま頼む!

 

怪獣は攻撃をよけられた反動で姿勢を崩している。あの巨体では立ちなおすのは少し時間がかかるだろう。このチャンスを逃さず指示を出す。

 

―みんな、この隙に攻撃だ!

 

海上と空、海中からの攻撃で、怪獣は今にも沈みそうになる。このまま倒せそうだ。これ見たピュリファイアーがつぶやく。

 

―うーん、こんなに弱くはないんだけどなぁ。もうちょっと力だしてもらおっかな

 

ピュリファイアーが怪獣の方に腕をかざすと、怪獣の動きが急に活発になった。その攻撃にKANSENたちが襲われる。

 

―くっ!

 

ベルファストが攻撃を受けると、翔一が叫ぶ。

 

―ベルファスト!

 

―これぐらい、なんともありません、ご主人様…

 

これを見たピュリファイアーが言う。

 

―よし!お前からヤッてあげる!

 

彼女が怪獣に指示を出すと、ベルファストにその尾が迫る。その時、翔一の心は静かに燃えた。

 

―…!

 

その瞬間、指揮艦が一瞬だけ金に輝いた。そこから、夜の暗闇を昼に変えるほどの輝きを帯びた砲撃が放たれた。次の時には、怪獣は消えていた。この現象にピュリファイアーが驚く。

 

―なに…これ…

 

これを見て翔一自身も驚いていた。なぜこんな力が発生したのか分からなかったのだ。

 

―ん~…これは帰るか…ちょっと聞いておきたいこともあるし

 

ピュリファイアーがそう言うと、残りの艦隊を連れてさっさと撤退していった。KANSENたちは、今まで見たことのない光景から、セイレーンが去った後も立ち尽くしていた。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

―あの時の光は何だったのでしょうか…?

 

指揮艦にKANSENたちが戻り、母港に戻っている最中、ベルファストがつぶやいた。それにエンタープライズが言う。

 

―あんな攻撃が指揮艦に出来たんだな…知らなかったよ

 

この言葉に翔一は答える。

 

―俺も出来るとは知らなかった…ただ、ベルファストが危ないと思ったら、勝手に…

 

―え…

 

翔一の言葉を聞き、ベルファストは顔を赤くした。そしてオイゲン、足柄、赤城が反応する。

 

―ふぅん…

 

―こ、これって…その…そういうこと、ですか!指揮官殿!?

 

―…!

 

赤城に至っては光の灯っていない目で翔一を見つめる。そして、翔一に腕を絡める。

 

―指揮官様~、これはひと時の気の迷いですわよねぇ。大丈夫です、指揮官様を迷惑させる虫はこの赤城が排除しますぅ。ふふふ

 

笑っているが、怖い。これにエンタープライズは、

 

―はは、相変わらずだな…

 

と、困った反応をした。そして、ビスマルクが言う。

 

―噂には聞いていたけど、思ったより大変そうね、指揮官…

 

そんな中、船は母港に帰っていった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

何もない暗い空間、そこにはセイレーンの中でも上位の個体が話をしていた。ピュリファイアーが報告する。戦っている時の映像を見ながら、

 

―あっちの指揮官君、変な力を発動していたよ

 

その言葉にタコの腕のような艤装をうごめかせるオブザーバーが続く。

 

―ありえないこともないわね、この現象は…ねぇ?

 

そういいながら、黒い鎧の方を向いた。

 

―…そうだな

 

呆れたような、無感情のような返しをした。その反応に、面白そうにピュリファイアーが言う。

 

―まぁだ何か思いでもあるの?

 

―…

 

彼女の悪意でもありそうな言葉に黒い鎧は黙る。そして間もなく口を開いた。

 

―今回も変わらなくやるさ…

 

―まあ、少しでも役に立ってくれればいいわ。あくまであなたはイレギュラーなんだから…

 

オブザーバーの言葉で、3人は話をやめた。




明石にゃ!ネタバレになるからこの文章は最後に読んでほしいにゃ!
今回も特に話すオリジナル設定は無いにゃん。でも、本編はなんだか伏線もりもりな感じだったんだけど分かったかにゃ?もうちょっとで話が大きく動くから待っててほしいにゃ!
それじゃ次回も見てにゃ!

感想もよかったらよろしくにゃ

続きはピクシブにもあるにゃ!
細かい設定、設定画はここ(ピクシブ)にゃ

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