VSヒュドラ
オルクス地下迷宮を降りて行き、悠里達は特に苦戦する事もなく最下層まで進んだ。
無理もない。
原作の四倍の戦力に加えて、原作知識を持つ悠里がいるのだ。
更にはチート能力を解禁したので偵察能力はバグったレベルや感知能力を持ったオリ主でもなければ彼を超えられる者はいない。
そしてハジメとユエのコンビよりも早く悠里達は此処へと降り立った。
「さて、準備は良いか?」
「うん。皆、準備OKだよ」
悠里はドンナーよりも強い兵器、原作で言うシュラーゲン(ハジメはこの世界でも作った)だ。
ショットガン(弾はスラッグ弾)タイプのSG-01。アサルトライフル型のサラマンダー。
サブマシンガン型のSM-03
因みにネーミングはサラマンダーがハジメでSGだのSMだのは悠里のネーミングだ。
それを、シュラーゲンはハジメが、ショットガンは悠里が、アサルトライフルとサブマシンガンは香織と恵里が持った。
「さて、最終確認だ。ヒュドラの特徴は?」
「1.六つの首を持ち、其々が特殊能力を持つ」
「2.赤い紋様は炎、白頭は回復、緑は風、黄色の紋様は防御、青頭は氷、黒い文様は精神の力を使う!」
「3.それらを倒しても7つ目の頭が現れ、光線を放つ」
「よしっ!もしかしたら俺の知らない能力が出た時は高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変に行くぞ!」
悠里の言葉に皆、オオっ!と叫ぶ。
そして、最後の階段を降りる。
その階層は、無数の強大な柱に支えられた広大な空間だった。柱の一本一本が直径五メートルはあり、一つ一つに螺旋模様と木の蔓が巻きついたような彫刻が彫られている。柱の並びは規則正しく一定間隔で並んでいる。天井までは三十メートルはありそうだ。地面も荒れたところはなく平らで綺麗なものである。どこか荘厳さを感じさせる空間だった。
その光景に見惚れていた面々は頭を振り、頬を叩き気を切り替える。
そして二百メートル先に大きな扉が見える。
「アレが反逆者の住処か……」
メルドが小さく呟く。
彼の心は迷っていた。
教会を信じる心と、悠里を信じる心
この二つがメルドを迷わしていた。
今は良い、しかし…彼等が本格的に神に叛逆するとなると……
メルドの心は揺れていた。
しかし、今は王国へと戻る為に揺れる心を殺した。
最後の柱を越えると魔法陣が現れる。
「よしっ!皆は手順通りに散開。谷口とアレーティアは魔法用意!坂上!アレーティアの足兼魔力タンク役は任せた!」
「応っ!」「任せて!」「ん、任された」
アレーティア。彼女の心境も原作とは違った。
悠里の言葉……完全には信じきれない(証拠の物品が取り出せない為)。
しかし、封印されるその日まで優しかった叔父が、急に裏切ったよりかは信じられた……いや、信じたかった。
そして、もしもエヒトルジュエが国を滅ぼし、叔父の肉体をその眷属が使っているのが真実ならば……
坂上の身体を掴む手に力がこもる。
「安心しろ。俺が守ってやる!」
龍太郎はアレーティアの手を握る。
彼は原作通りにアレーティアに一目惚れをした。
この世界ではハジメとはイチャイチャしていないので彼女に猛アピールしていたが、
努力をしたからと言って報われるとは限らない。
寧ろ彼女は暑苦しいタイプは苦手だった。
頑張れ坂上龍太郎。
ヒュドラが現れる。
悠里の情報通りに六つの首を抱えて、
僕達は事前に聞かされていた通りに現れた直後のヒュドラの白、黄、黒の首をシュラーゲンやサラマンダー等で攻撃する。
魔法と四方向からの十字銃撃で白、黄、黒の内、白と黒を倒した。
「よっしゃ!」
悠里が歓声をあげるが、まだまだヒュドラの首は
「豪撃!!」
メルドさんの一撃がヒュドラの黄頭の首を刎ね飛ばす。
これで、三つ!
坂上くんもアレーティアさんに血を吸われながら走っている。
此れにより、大火力の魔法を連発してくれる。
それにより残りの首はアレーティアさん達に攻撃をするが、
「ティアラんは鈴が守る!」
谷口さんが聖絶で二人を守る。
一見問題ないように見えるけど、坂上くんの血液量も限りがあるから可能な限り早く終わらせないと……
そんな中、悠里は頭ひとつ抜けている。
空中でショットガンを撃ちながらヒュドラの気を逸らしつつ、メルドさんが一撃を放てる様にフォローしている。
アレが悠里の言っていた第三のチートの能力、
しかも本来の戦闘スタイルから離れている筈なのに……あそこ迄強いだなんて、
程なくして全ての首を撃ち抜いた僕達は散開しつつ、最後の首が顕現してから集中砲火で倒した。
「呆気ないね……」
「一応言っておくが……原作では人数が少なく、知識も無かった故に、ハジメの右眼は義眼になってたからな……」
「うんうん。怪我しないのが一番だよ!」
「そうだね……私の出番がないのは残念だけど……」
「問題ない……」
「んじゃ、さっさと神代魔法を手に入れようぜ!」
「うむ!そこからライセン対峡谷へと出れば国へと戻れる!」
「んじゃ、行きますか……」
僕達は緊張の糸を解いた。解いてしまった。
だから気づかなかった。
ヒュドラの口から小さな……本当に小さな光が放たれ中村さんの胸を貫こうとしていたのに、
気づいた時には、悠里が中村さんを突き飛ばし突き飛ばした右腕が光に貫かれ弾け飛んでいた。
「えっ……あ、ああ、うわあああああああ!!!」
中村さんの叫び声だけが、唯々響いた。
「わ……悪りぃが回復くれぇ……めちゃくちゃ痛え……」
驚く事に悠里は脂汗を大量にかきながらも極めて冷静だった。
「大丈夫なの!?」
「な、訳あるか……めちゃくちゃ痛えんだよ。
それにヒュドラをやっておかねえと……」
悠里の言葉に僕たちはハッとする。
ハジメは直ぐにシュラーゲンを連射しヒュドラの首を完全に破壊した。
「さて、これで扉が開くはずだ」
悠里は腕を失ったと言うのに本当に冷静だった。
神水を飲み、傷は癒えたとしても、そのショックを意図もしない。
「ほれ、中村も行くぞ」
悠里は恵里の手を掴むと、扉へと向かって行く。
そして彼等が見たものは……
原作知識有りで八人いたら圧勝ですね。
そして悠里、義手フラグ