ありふれた転生者は世界最高   作:TNKエース

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サブタイトルはDr.stoneっぽく


発明の時間

発明の時間

 

翌日の朝、城の一室にて幾人もの老若男女が集まっている。

 

「んじゃ、この工房『ラボラトリー』の始動を宣言するに当たって、自己紹介をすっか」

 

俺は周りを見渡し、

 

右端の初老の男性を見る。

 

「でしたら私めから、私の名は「あ〜、敬語は結構だ。普通の口調で頼むわ」……だったらいつも通りで行こう。ワシの名はゲルト・ロギンス。

先代の騎士団団長をしておった。

今では見ての通り……この有様よ!」

 

ゲルトはズボンの裾を上げるとそこから足の代わりに木の棒が見える。

 

俺が国王に頼んだ事の一つ。実践経験のある人材の派遣だ。

無論、前線には一人でも多くの兵士が必要。故に負傷で前線に出られない人材を頼んだ。

 

それがまさかメルド団長の親父さんだとは思わなかった。

 

続いて、

 

「リエッタと申します。国王陛下より皆様のお世話を命じられました」

 

「カルネと申します。ラボラトリーに必要な物資の調達はお任せください」

 

「リンクと申します。雑用や新武器のテストはお任せください!」

 

メイドのリエッタ、物資管理のカルネ、新兵のリンク。

彼等にはサポートをしてもらう。

 

そして、ご意見番とサポートと続いて、

 

「錬成師のエレンです」

 

「同じく錬成師のアイザックです」

 

「錬金術師のアイディーです」

 

「鍛冶屋のクライフだ」

 

「大工のアンデルセンだ」

 

生産チーム。

 

最後に

 

「サブリーダーを務めさせてもらう南雲ハジメです。皆さんよろしくお願いします」

 

「そんで、俺がラボラトリーの所長を務める如月悠里だ。

此処じゃあ、前線で戦う兵士の為の装備を異世界の知識と此処にいる全員の知恵と発想で作っていく。

何か質問はあるか?」

 

「装備とは一体どの様な物を作るつもりだ?」

 

ゲルトの質問は皆の総意だった。

 

「其れはこれから考えるが、先ず武器と防具だ。

ゲルト。アンタは戦場で仲間が死ぬ時、どんな時が多い?」

 

俺の言葉にゲルトは少し考え、

 

「特に多いのが乱戦中の横からの不意打ちと武器を失った時だな……ワシの足も愛剣が壊された時にやられた物だ」

 

「じゃあ、先ずは武器だな……

リンク、カルネ。お前らは表の鎧を着込んで武器を持ってこい」

 

「「かしこまりました!」」

 

十五分後、鉄の兜に革と鉄で出来た部分鎧と籠手。革製のズボンと革の靴。

詳しく言うなら兜はバイクのヘルメットの様に被ってからベルトで止め、顔の部分以外を覆うシンプルな形。

鎧は滑した革を服状にした物に肩と胸の部分は鉄で補強されている。内臓を守る腹部や股間は動きやすさを考慮してか、練り革(膠等で固められた頑丈な革)で補強されている。

ズボンは滑した革のみで靴は膝下まで有るブーツの様なタイプだ。

 

次に武器だ。主に長槍と弓矢、腰にはショートソードとロングソード。左手には盾だ。

 

基本的に前衛の兵士は長槍と乱戦用の小型盾とショートソード。

又はロングソードに盾、

リンクは着ていないが重装用の鎧も有りそちらは大楯やランスもあるそうだ。

尚、重装鎧のコストは一般兵の十倍以上するそうだがな、

次に後衛の兵士。此方は通常の鎧の左半身を重ねた練り革で補強した弓兵だ。

予備兵装にショートソードを所持している。

弓はロングボウにショートボウそしてクロスボウである。

 

因みに、ファンタジー小説で弓よりも優秀と言われるクロスボウだが、

実際にはそんな事はない。

連射速度は低い(一分間に二、三発程度)

威力は普通の弓とそう変わらない(仮に弓力30kgの弓を75cm引いたのと、弓力150kgのクロスボウをテコなどで15cm引いた弓のエネルギー量は同じ)

利点としては狙い安く(弓よりも遥かに手ブレが少ない)訓練も容易で有る為に簡単に兵士を増やす事が出来る。

 

閑話休題

 

「んじゃ、作る物だが……第一に可能な限り迅速に前線に支給出来る様な武器の開発。

第二に地球産兵器の開発。

第三に其れらの必要な材料の調達や機材の作成だ」

 

俺は指を一つずつ立てながらやるべき大まかな事を数える。

 

「武器開発と機材の作成は俺がやるから、ハジメは兵器の開発を頼むわ」

 

「うん。分かったよ」

 

「うし、じゃあ武器の開発だが……」

 

俺たちの会議は続き、一週間で幾つもの武器が作られた。

 

 

 

 

 

「此れが、ラボラトリーの作り出した武器か………」

 

「はっ、ご説明いたします。

試作型着脱式片手剣。

此方は刀身が壊れた時や魔物の肉や骨で抜けなくなった時に、柄の方を操作するとギミックが発動し……刀身が外れます。

そして、新しい刀身を差し込めば……そのまま戦い続けられます」

 

着脱式片手剣を操作して新しい刀身を差し込むと、軍部の人間は感嘆の声をあげる。

この武器は戦力自体は上がらないが、武器がなくなった後の隙を可能な限り無くし、継戦能力を高めたものだ。

 

「続きましてはウォーワゴンです」

 

俺は荷車を見せる。

 

今回は城内を動くために小型のを用意したが、戦場では馬に運ばせてもいいだろう。

 

「此方は人の背丈程の荷車に可動式麻布歪曲装甲を重ねました。

この可動式麻布歪曲装甲(かどうしきまふわいきょくそうこう)は麻布を重ね、固定してやる事で矢に対する防御壁を軽量・簡単・安く仕上げる事が出来ました」

 

原理的には内側に貼られた麻布に矢が刺さり、破られた麻布は動きながら矢の進行方向を乱し、第二の麻布その威力を殺す。

第二の麻布?

ああ、麻布を壁に固定して反対側を滑らかな丸棒にかける事により、第一の麻布がさっき言った通りに矢の進行方向を動きながら乱す。

 

そして動いていると言う事は、反対側も動き、動きながら矢は当たり、動く麻布に威力を完全に殺される。

 

が、

 

「うむぅ……」

 

今度は感嘆の声は無く少し唸るだけだ。

 

「ウォーワゴンはお気に召されなかったご様子。

では、次に概念的最強のクロスボウのご紹介致しましょう」

 

今度は大型のクロスボウを取り出す。

 

「此方のクロスボウは弓力150kg、パワーストローク75cm、これは通常のクロスボウの五倍の威力を誇ります」

 

「しかし、そのクロスボウの威力はすごいが、引くにはどうするつもりだ?」

 

将軍は疑問を口にする。

 

「其れは……こう使います!」

 

俺は添え付けの腰掛けとパイポットを用意して横に寝そべる。

 

そしてクロスボウの弓に足をかけて、背筋と足の力で一気に引く!

 

「おぉ!!それなら引けるか!」

 

「しかし、此れでは野戦で扱うには難しくはないか?」

 

「いや、それなら砦で使えば……」

 

流石は神様に魔人族の殲滅を命じられているだけあって何も分からない無能はそうはいない様だ。

 

俺は説明を終え、次の発明の為の準備をした。

 

 

 

 

 

さて、

 

先程説明会でしたのは武器開発で、機材は一切含まれていない。

 

俺は怪しいアレな顔と自覚しながら次の発明に向かう。

 

 

 

 

 

その夜

 

夕食を終えた勇者一行

 

「よぉ。お前ら……」

 

「うおっ、何だ如月か?何の用だ!?」

 

俺を確認すると檜山は喚き出す。

 

「あぁ、頑張るお前らに差し入れを持ってきたんだがな……」

 

俺の言葉にリンクがやや小さめの樽を刺激を与えない様に持ってくる。

 

そして樽に添え付けられた蛇口から泡立つ黒い液体をグラスに注ぎ込んだ。

 

「ほらよ」

 

「あん?だよ!?これ……」

 

檜山は最初は突っぱねようとしたが、スンスンと匂いを嗅ぐと、まさかと思い一口飲んだ。

そしてそのままゴクリゴクリと飲み干す。

 

「ぷっはー!コイツはコーラじゃねぇか!!」

 

檜山の言葉に野郎どもは「何っ!?」と騒ぎ出し我先にとコーラを入れて飲む。

 

「美味え!」「コーラだ。地球の味……」「どうやって手に入れたんだよ!?」

 

「あぁ、作っただけだ」

 

「「「「はっ?」」」」

 

「どうやってだよ!?」

 

「んなもん、炭酸水に潰したパクチーの様な香草にライムの様な柑橘類を皮ごと潰したのとカラメル化させた蜂蜜を混ぜるだけで出来んだよ」

 

俺の言葉に全員が驚く。

 

檜山は「マジかよ」と呟く。

 

「パクチーだって!?」

 

 

 

 

 

しかし、勇者こと、天之河光輝は

 

「皆飲むんじゃない!」

 

コーラを飲む皆を静止した。

 

「はぁ?何でだよ!?」

 

流石の言葉に檜山達子悪党組が光輝に詰め寄る。

 

「パクチーなんて、人間の食べる物じゃないからだ!」

 

しかし、帰ってきたのは斜め上の発言だ。

 

「「「「……………」」」」

 

皆、空いた口が塞がらなかった。

 

「………光輝、貴方……パクチーが嫌いだったのね……」

 

流石の幼馴染である雫も、天之河がパクチー嫌いなのは知らなかった。

 

「そうだ!あんなのを美味そうに食べるなんて信じられない!!」

 

クラスメイト達は光輝がパクチー嫌いなのは分かったが……美味いコーラを飲んでいる最中にそんな事を言われると少し腹が立つ。

ので、無視してコーラを飲み続けた。

檜山達や永山達も続いて飲む。

 

「美味い!」「こんなに美味いのに飲めないなんてな!」「勿体ねえな!」

 

グラスに入れては飲み、次の人間が入れては飲む。

そう大きくない樽は直ぐに空になってしまった。

 

「もうおわりかぁ〜」「もっと欲し……いや飲みすぎたな……」「ってか私達全然飲んでないんだけど……」

 

「ああ、女子にはこっちが好みかなと思って用意しておいた」

 

そういうと、リンクは氷の入った桶とガラスの器、そして匙を持ってきた。

 

悠里は桶の中に手を突っ込むと中から革袋を出した。

 

そしてそれを器の中に注ぎ込んだ。

 

それは白く、甘く、冷たい、

 

「ソフト……クリーム?」「何で?此処に?」

 

「どうぞ、召し上がれ」

 

女子達は匙と器を手に取りソフトクリームを掬い、それを口に含むと……

 

美味しい……

 

誰かが呟く。

 

「美味しいよ!このソフトクリーム!」「本当っ!どうやって作ったの!?」「そうよ!牛乳や砂糖ならともかく、バニラエッセンスは無かったはずよ!」

 

女子達が騒ぐが悠里は落ち着いて、

 

「月桂樹から作っただけだ」

 

「「「「「はっ!?」」」」」

 

言い放った言葉を理解できない女子達

 

「簡単に言えば、月桂樹のエキスを水酸化ナトリウムで煮込んでオゾンにブクブクすりゃ、月桂樹からバニラエッセンスが力づくで作れんだよ」

 

彼女達は信じられなかったが……実際目の前にバニラの香りがするソフトクリームが有る。

つまり、それが事実だ。

 

「嘘をつくな!!月桂樹からバニラが取れるわけ無いだろう!!」

 

そして天之河は無知から悠里を責めるが、

 

「いえ、それ出来ます……ですが……」

 

「……えっ?」

 

教師である畑山愛子の言葉に止まってしまう。

 

「水酸化ナトリウムは塩水を電気分解すれば出来ますし、その電気も強力な磁石が有れば作れます。オゾンも電気が有れば用意できます。

これは皆さんがまだ習っていないので知らなくても当然ですが……「ああ〜、安全には気をつけてますんで……ご安心を安全確認は徹底してますんで……」それなら、良いんですが……」

 

天之河の所為で白けた空気は戻らずコーラとソフトクリームの試食会はそのまま終わってしまった。

 

 




最強のクロスボウ(出典:ふかふかダンジョン攻略記)
作中キャラクロスの持つ大型クロスボウ。
最大射程300m程の個人装備の弓としては破格の射程。
ただし、取り回しがクソで重くてデカいので冒険者には不向きだが、クロスは軽々と使っている。


オリジナル設定
天之河光輝のパクチー嫌い……どうでしょうか?次回はイジメと公開討論をやってみます。
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