奈落へと落ちる者達
先日の討論でメルドがオルクスへと向かうのを伝え忘れたメルド。
原作より慌ただしくオルクスへと向かう事となった。
その最中で、昼食をとる事にしたが、
「「「「うおおおおおっ!!」」」」
男達は出された昼食に歓喜する。
その料理の名は、
カップラーメン(異世界仕様)
王城で作られた鳥ガラスープに昆布と塩、魚醤に大蒜などを加えて作られた返しを混ぜ合わせ、麺はパスタ用の小麦粉に卵とアルカリを加え、流石に手述べは出来なかったので、パスタマシンで作り上げた。
具は炒めた玉葱っぽいのと、ローストビーフっぽいものを乗せて、魔法にて急速冷凍し、真空にしたガラス容器で水分を抜く。
出来れば発泡スチロールが一番だが、石油自体がまだ見つかってないので、木製の器を使っている。
「ほぉ、これは美味いな」
メルドはフォークを使いながら麺を器用に啜っていく。
「ええ、スープが少し濃いですが、前線で戦う兵達なら、むしろ丁度いいですね」
「しかも、湯をかけて3分で出来ますからね。
量産さえできれば嬉しいですね」
騎士達には好評だ。
しかし、
「ん〜、イマイチかなぁ」
「コシがねぇよ。コシが」
「スープもちょっと臭みが……」
異世界組には不評だった。
「まぁ、こっちは料理の素人だ。茹でてスープを溶かす程度なら兎も角、一から作れってのはちとキツい」
「まあ、仕方ないよな。此処には醤油も味噌もないし」
「まぁ、後の味付けはコックに任せておこうぜ」
そして、食後は悠里は異世界組と話をする事にした。
「へぇ〜、如月くん。音楽聴くのが趣味なんだ」
「まあな、最近じゃ魔王とかが好みかな」
「魔王って、厨二臭え」
悠里が魔王の名を出したら檜山が厨二臭いと笑う。
「何を言っているんだ?魔王はクラシックの名曲だぞ」
「へっ?」
「俺の言った魔王はシューベルトの代表作だぞ」
悠里の言葉に檜山はあー、クソと呟いて去っていった。
オルクスへと到着。
夕食を終えると悠里は救急ポーチを皆に渡す。
天之河や檜山はそんな物は要らないと言うが、緊急事態用なので全員が持つ事をメルドは指示を出した。
尚、中身は包帯、ガーゼ、消毒用アルコール、ピンセットである。
そして、その夜は静かに眠りについた。
そして、ハジメは白崎に護ってと言い、それを檜山は見ていた。
悠里は自分用の小遣いで飲み物を飲みながらオルクス地下迷宮を見る。
「(此処でオスカー・オルクスとミレディ・ライセンが出会い、仲間になった。ありふれ零始まりの場所)」
悠里は自分の装備を確認する。
鎖帷子、良し。長巻、良し。爆薬、良し。リピット、良し。
行くか!
悠里達は迷宮へと入っていく。
さて、地下迷宮だが、特に原作と違うのは、雫の武器が悠里謹製の日本刀と
ハジメの武器がドンナー、メルド達の予備の武器が着脱剣になっているぐらいか、
着脱剣(制式版)るろうに剣心に出てくる雅桐刀の形状を刀では無く、片刃剣の形に打った物だ。
雅桐刀自体は硬い鋼の筒に粘りある鋼を挿入し、叩くと言う数打ち専門の作り方だ。
無論鍛造なので鋳造の剣に比べれば量産には向かないが、腐っても日本刀をベースにした着脱剣は生中な剣とは比べ物にならない程だ。
メルド達も優れた剣に驚き、そして問題の20階層では、
光輝がロックマウントに天翔閃を放ち、グランツ鉱石を檜山が触れた事により65階層に転移される。
悠里は心の中で此処からが本番だ。と思った。
転移されたのは、手すりの無い大きく長い石橋の上だった。
皆は周囲を見渡すとベヒモスが魔法陣から出現する。
――まさか……ベヒモス……なのか……
「撤退だ!!向こうに上へと上がる階段がある!!」
ベヒモスを見るや否や悠里は大声で叫ぶ。
「我先に行くな!連携して!骸骨軍団を迎撃しつつ撤退しろ!!」
悠里の言葉に脳味噌が追いついてきた永山達は皆を鼓舞していく。
「よし!アラン!生徒達を率いてトラウムソルジャーを突破しろ!
カイル、イヴァン、ベイル! 全力で障壁を張れ!ヤツを食い止めるぞ!」
メルドは部下達に指示を出して、自分は殿を勤めんとベヒモスに立ち向かう。
しかし、
「待って下さい、メルドさん! 俺達もやります! あの恐竜みたいなヤツが一番ヤバイでしょう! 俺達も……」
「馬鹿野郎!あれが本当にベヒモスなら、今のお前達では無理だ!ヤツは六十五階層の魔物。かつて、“最強”と言わしめた冒険者をして歯が立たなかった化け物だ!
さっさと行け!私はお前達を死なせるわけにはいかないんだ!」
鬼気迫るメルドに一瞬怯む天之河、しかし、「メルドさんを置いてはいけない!」と踏みとどまった。
メルドは光輝を説得しようとしたが、ベヒモスは関係ないと言わんばかりに突撃してくる。
「「「全ての敵意と悪意を拒絶する、神の子らに絶対の守りを、ここは聖域なりて、神敵を通さず――〝聖絶〟!!」」」
騎士団は聖絶を使いベヒモスの突進を防ぐ。
だが、聖絶とぶつかった轟音は生徒達は鼓舞され僅かに戻った理性が恐怖心で塗りつぶされる。
「うわああああ!!」
誰かが連携もなく、唯々階段に向かって突撃する。
「やめろ!!」
悠里の叫びも虚しく、我も我もと駆け出していく。
しかし、前方にいるトラウムソルジャーの群れがそれを許さない。
ザクッ!
「ぐわあああああぁっ!!」
誰かが切られ、悲鳴を上げる。
軽傷だが、痛みに耐性のない彼にとっては耐えきれずに悲鳴を上げてしまった。
それを聞き、更に恐怖からの混乱が深まる。
「狼狽えるな!!」
怒声が響き渡る。
ドォン!!
その次にトラウムソルジャー達の方で爆発が起こり、連鎖的に転んでいく。
「狼狽えるな!!落ち着いて訓練を思いだせば生還できる!!」
悠里は叫ぶ。我ながら無いなと思いながら……
前衛は少し落ち着きを取り戻し後衛の壁になる。
後衛は少しは安全な状況になり、前衛の為にトラウムソルジャーへ攻撃を開始した。
しかし、背後から迫り来るベヒモスに気を取られ、いつ破られるか皆気が気でなかった。
悠里は俯瞰的に戦場を見ていたが、一手……いや、二手足りない。
ぶっちゃげだ話。光輝の火力とハジメの足止めだ。
「ちっ」
悠里はベヒモスに向かって走る。
それに気づいたアランの静止を振り切り、悠里は叫ぶ。
「天之河ぁ!!」
「はっ?如月!?何をしに来た!!」
「ベヒモスの足止めるから!向こうの骸骨頼んだ!!」
そのままメルド達の隣をすり抜け、
現時点で唯一。悠里の使える魔法を発動した。
「錬っ成っ!!」
悠里はベヒモスの足周りを錬成し拘束する。
しかし、
「ちぃっ!」
その拘束はすぐに外される。
原作と違い頭が拘束されていないからだ。
悠里は次策を実行する。
ポイっ
悠里の投げたそれをベヒモスは口に含んでしまうと、
ボフンっ!
ベヒモスの口内は爆発し、暴れ出す。
「うおおおおっ!!」
ベヒモスに喰わせたのは爆弾だ。
流石のベヒモスも口の中で爆発を受ければ痛みで暴れまくる。
「もう一丁錬成っ!!」
暴れまくるベヒモスの動きが鈍ったところに悠里は頭毎拘束していく。
だが、足りない。悠里の魔力は原作のハジメの約1.5倍(錬成ばかり鍛えていたので魔力だけ高い)
それでも暴れ狂うベヒモスを拘束し続けるのは無理があった。
「クソっ!持つのか!?」
悠里は天之河の現時点での戦力を信じているが、彼等が階段までどれだけの時間がかかるのかは分からなかった。
「錬成っ!!」
隣で聞き慣れた声が聞こえた。
「ハジメっ!?どうして此処に!?」
ハジメだった。悠里と同じように錬成にてベヒモスを足止めしていた。
「悠里こそ!無理をしすぎだよ!一人でベヒモスを足止めしようだなんて!」
「合理的判断だ!全員が生存するにはベヒモスの足止めと骸骨共への突破力の二つが必要だ!
突破力には天之河が必要で、足止めは錬成師の俺かお前か、土術師の野村ぐらいしか無理で!説明してる暇は無かった!」
「それでも着いてこいって言ってくれたら、僕は着いていったよ!」
「馬鹿か!ラボメン二人とも居なくなったらラボが機能しなくなるだろ!!」
「悠里には言われたくないよ!」
二人は口喧嘩しながら更にベヒモスへの拘束を強めていく。
「坊主共!!」
メルドの声が聞こえる。
二人は後ろを振り向くと、皆が魔法を放つ準備をしていた。
「よしっ!ハジメ!」
「うん!」
二人は最後に錬成してベヒモスの全身を固める。
そして反転し、
「「うおおおおおっ!」」
一気に駆け出す。一秒でも早く、遠くへ、
そして放たれる数々の魔法。それを悠里は見た。
檜山の放った魔法が此方に向かってくるのを、
「ハジメっ!」
悠里はハジメの首根っこを引っ掴む。
「ぐえっ!」
ハジメが苦しむがそれを無視、
ハジメの前方に魔法が打つかる。
「卑劣山がぁ!」
再び前進する悠里達。
しかし、タイムリミットだった。
足場が崩れる。
再び駆け出す二人……しかし、走る速度よりも橋が崩れる速度の方が早く、二人は落ちてしまうだろう。
悠里は仕方ないと思い。
ハジメを引っ掴んで、
「唸れ!火事場の馬鹿力ぁ!!」
思いっきり投げ飛ばした。
そして、落ちていく……悠里は冷静に自分が投げたハジメの軌跡を計算していく。
『この角度と距離なら何とか足りるな』
と奈落へと落ちながら信じられない物を見た。
檜山が白崎と中村を落としたのを
「くっそがあああああ!!!」
クソクソクソクソ
檜山は2日前から不機嫌だった。
無能にくんれんつけてやったら(正確には暴力事件を起こした)反省室に閉じ込められるわ(残当)。
白崎香織が無能が好きだとか、あり得ない事が起こって、一か八かで告白したら振られた(残当)
何で白崎は南雲程度を好きになったんだ?
そうだ奴は魔人族と結託して
と、頭天之河な考えに至った。
そして、本人は正義と思ってハジメを攻撃するも、悠里に邪魔され、落ちると思ったら、悠里がハジメを投げ飛ばした。
白崎を筆頭にクラスメイト達がハジメの手を取ろうとする。
檜山は何でだと何度も自問自答する。
あり得ない!あり得ない!と考えながら遂には、
ドンッ!
「えっ?」
白崎の後ろにいた中村を押してしまった。
その影響で中村は奈落へと落ちていく。
白崎香織を巻き込みながら、
「「「「えっ?」」」」
全員が理解できなかった………いや、
「エリリン!カオリン!」
二人の友人である谷口鈴が手を伸ばして、掴む。
しかし、彼女の力では女二人分の体重を支えることはできなかった。彼女も落ちていく…………が、
「谷口!!」「鈴!!」
メルドと龍太郎が間に合った。二人はは鈴の手を掴み、三人を持ち上げようと踏ん張る。
パワーの有る二人ならハジメも巻き込んで持ち上げられるだろう。
だが、
パキリッ!
踏み込んだ足場が耐えきれずに崩れる。
「なっ?」
「龍太郎!メルドさん!」
光輝は手を伸ばすが、彼の手は虚空をすり抜けただけで、幼馴染達は奈落へと落ちていった。
「あ……あああ…あああぁぁぁぁぁ!!!」「くっそがあああああ!!!」
悠里の怒声と光輝の嘆きが辺りに響いていった。
坂上龍太郎及びメルド・ロギンス奈落in
多分誰もやった事がないと思う。