ありふれた転生者は世界最高   作:TNKエース

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此処からはある意味恵里ポジのオリキャラ出します。


お粗末な悪意の末路

お粗末な悪意の末路

 

光輝の……否、騎士を含む皆が信じられなかった。

 

ハジメを始めとして、悠里、香織、恵里、鈴、龍太郎、メルドの七名が奈落へと落ちていくのを、

 

その中で、最も信じられなかったのが、

 

檜山だった。

 

何で?何で?何で?何で?何で香織が落ちていくんだ?

 

檜山は何で自分が中村を突き落としたのかが分からなかった。

無意識、無意識的に檜山は香織を除き、ハジメを掴もうとしていて、香織のすぐ後ろにいた恵里を突き飛ばした。

 

後は、見ての通り、恵里が香織を巻き込み、鈴が掴むも力が足りず、龍太郎とメルドがフォローに入ったが、足場が崩れて皆落ちた。

 

俺は悪くない!俺は悪くない!俺は悪くない!悪いのは全部南雲だ!

檜山は必死に自己弁護していく。

 

しかし、それよりも早く檜山を殴り飛ばした男がいた。

光輝である。

誰よりも早く、憤怒に満ちた眼で檜山を殴り飛ばし、檜山に変則的なマウントポジションを取った。

 

「お前が!お前が!お前がぁ!!」

 

光輝は怒りに任せて檜山の顔を殴っていく。

時折、折れた歯が拳に突き刺さるが、光輝は意にも介さずに殴る。

 

「光輝!ダメ!!」

 

それを止めたのは雫だ。

 

「止めないでくれ!雫ぅ!!コイツだけはぁ!!」

 

光輝は雫を力任せに振り解こうとするが、

 

「コイツなんかの為に、貴方が人殺しをする必要なんかない!」

 

「そうだ!仲間を殺そうとする男が神の使徒である訳がない!!」

 

騎士達もメルドを殺した檜山を怒りの眼で見ていた。

 

「………そうだな。行こう」

 

光輝は檜山から離れ、階段を登っていく。

 

しかしその足取りは重く、光輝自身も足に鉛の枷が有るかの様に感じられた。

 

光輝に続いてクラスメイト達も続々と階段へ上がって、最後に近藤達が上がろうとすると、

 

「た……たすけ………」

 

檜山が友に助けを求めようとするが、

 

ピシッ!

 

ぺっ!

 

「死ね!」

 

近藤に中指を立てられ、中野に唾を吐きかけられ、斎藤に死ねと言われ、去ってしまった。

 

何で!なんでだよぉ!!!

 

檜山は心の中で叫ぶ。

自分が悪いとは一切考えずに、

 

 

 

 

 

クラスメイト達は気が滅入る程の長い階段を休み休み登っていく。

俺達は戻れるのか?

と不安が心を蝕むが、道は一直線しかないので進むしか無い。

 

無言で突き進むと上方に魔法陣が書かれた大きな壁が現れた。

 

アランは魔法陣に刻まれた式通りに一言の詠唱をして魔力を流し込む。

すると、まるで忍者屋敷の隠し扉のように扉がクルリと回転し奥の部屋へと道を開いた。

 

扉を潜ると、そこは元の二十階層の部屋だった。

 

「帰ってきたの?」

 

「戻ったのか!」

 

「帰れた……帰れたよぉ……」

 

クラスメイト達が次々と安堵の息を漏らす。

もはや皆クタクタで、光輝や雫でさえへたり込む程だ。

 

「皆さん!休みたい気持ちは分かりますが、気持ちを切り替えて下さい!

此処からは最短距離で上の階へと向かいます!」

 

生徒達はもう少し休ませろと思ったが、永山が

 

「行くぞ……」

 

言葉少なめに立ち上がる。

 

彼等は渋々と疲れた心と身体に鞭を入れ、ヨロヨロと立ち上がる。

 

道中の道を最短距離で進み、要約一階の正面門に辿り着いた。

 

此処を通ったのは少し前なのに、もう随分昔のことのように感じられた。

 

今度こそ本当に安堵の表情で外に出て行く生徒達。正面門の広場で大の字になって倒れ込む生徒もいる。一様に生き残ったことを喜び合っているようだ。

 

アランは受付に罠のことを伝え、今回の事を報告しなければならないと思い、痛む頭を押さえた。

 

その後、クラスメイト達は宿に戻ると、全員がベットの中に飛び込むと同時に泥のように眠ってしまった。

 

騎士達もだ。

 

今回の件は余りにも心と身体が消耗しすぎて皆夢の国へと逃避してしまった。

 

 

 

 

 

ホルアドの正面門・深夜

 

カツリ、カツリ、と閉められた門を剣で破壊する男がいた。

装備自体は上等そうだが、血と泥と尿によって浮浪者のような雰囲気を醸し出している。

 

檜山だ。

 

あの六十五階層から生き残り、悠里がくれた医療ポーチで応急処置をしてから階段を剣を支えにして登って行った。

 

記憶を頼りに階層を上がり、閉じられた門を破壊して出てきたのだ。

 

途中で何度も魔物に襲われたった一人で立ち向かい、傷だらけの身体が更に傷だらけになった。

 

暫く、出口付近で休むと腹が鳴る。

疲れていても腹が減る。檜山は近くの屋台を見渡すが、既に誰も居らず、何か無いかと探す。

何もなく、檜山は仕方なくその場を去った。

 

途中で酔っ払いから金をスッて路地裏付近の安酒場で飯を食う。

 

酒場にいた者達は喧嘩に負けたのだと考え、気にしてはいなかった。

 

路地裏で檜山の心の中の鎮火した筈の憎悪の焔が燃え始める。

 

「クソクソクソクソ!!何で皆わかってくれねーんだ!全部全部南雲が悪いってのによ!!」

 

本来の歴史とは違い、この世界では荒れていた。

何故なら,すでに彼の中では南雲ハジメが悪い!と言う頭天之河になっていたからだ。

 

一応は善意の天之河と違い檜山の場合は100%自身の都合であるが、

 

「おいおい、どうなってんだ?」

 

男の声が聞こえる。

 

「ハジメと知らない奴が居ないのは奈落に落ちたからだとして分かる。香織、恵里、鈴が居ないのも、まぁ分かる。メルドと脳筋が居ないのは何でだ?」

 

男は落ちた仲間の事を知っているかの様な口ぶりだ。

 

「何だテメェは?」

 

「アン!お前、誰に舐めた口を聞いてる?殺すぞ!」

 

男から放たれる殺気に檜山は怯む。

 

「何で転生したってのに召喚枠じゃねえんだか……」

 

男はやれやれと言わんばかりに溜息をつく。

 

「じゃ、死ねよ」

 

男は貫手……に似た構えを取ると、

 

腕が伸びた。

 

檜山はえっ?ルフィ?と呆気に取られた次の瞬間、首を刎ねられた。

 

「忍手“暗刃”ブッ殺した!」

 

檜山は信じられないまま絶命する。

 

「ハジメの奴が居ればとりあえずは香織達も生き残れるだろう。

此処は、魔人族に接触して……そこから……グフフっ」

 

男は下卑た笑みを浮かべるとその場から消え去った。

 

残されたのは殺された檜山の首と身体だけだった。

 

 




卑劣山アウトーー!
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