落ちていった者達
「ぷはぁ!!」
俺は水の中から這い出る。
「あのクソ野郎!マジでぶっ殺す!!」
最低限の服を脱いで水を絞る。
濡れた服はマジモンの死の装束だ。帰化熱で体温を奪い取り、人を容易く殺す。
原作でもハジメが服を乾かしていた様に絞った後は地面に火を灯す。
辺りを見渡す。
原作ではハジメ一人だったから分からなかったが……どうやら別々に此処に降りてきたか?
それとも……
嫌な考えを頭を振って吹き飛ばす。
先ずはハジメと合流して二尾狼と神結晶を手に入れよう。
そうしなければこの真のオルクス地下大迷宮で生きて降りられない。
服が完全に乾いた事を確認して、俺はハジメを探しにいく。
出来ればハジメは他の面々と一緒だと良いのだが、
キャアアアアアァァァ!
少し歩くと女の悲鳴が聞こえた。
白崎辺りか?と走り出す。
そこで見たのは二尾狼に襲われそうになっている中村恵里だった。
「助けて光輝くん助けて光輝くん助けて光輝くん助けてくん助けて光輝くん助けて光輝くん助けて光輝くん」
見過ごそう。
アイツは原作で多くの命を奪っている。
ハジメがボッチなのもアイツのせいだろうし、
見過ごした方が…………
見過……ごした……
……………………
あ〜〜!クソっ!!
見過ごせねえ!此処で見過ごしたら、俺は……卑劣山の同類になっちまう!
俺は爆弾(奈落用にビニール袋で口を塞いでいたのを使用)に火をつけ、
「喰らえっ!」
二尾狼に向かって投げつけた。
ドォン!
「ギャイン!」
怯んだ!今だぁ!
俺は長巻を振るい
二尾狼の首を断ち切ろうと振るう。
しかし、二尾狼の首は硬く、半ば食い込んだだけだ。
「力点!支点!作用点!」
てこの原理で食い込んだまま持ち上げ、そのまま叩きつける。
叩きつけられた二尾狼は首を刎ねられ絶命した。
死亡確認。
「大丈夫か?」
「へっ?ああ、うん。大丈夫だよ」
俺は中村の様子を確認する。
服が焦げているな、二尾狼にやられたのだろう。
後、股間部が濡れているのは見なかった事にしよう。
「……………!!見るな!!」
杖を投げられる。痛い。
「此処で武器を手放すなよな」
俺は杖を取ろうとすると、嫌な気配を感じた。
ヤベェ!ヤベェ!
杖を取り中村に荒っぽく渡すと、即座に第二のチートスキルを発動、
「
俺の周りに俺と同じ装備をした1メートル程度の人形(木の様なタイプではなく、どちらかと言うとぬいぐるみ的な)が三体現れる。
「行け!」
「「「イエッサー」」」
人形達は統率の取れた動きで嫌な気配のする方向へと向かった。
「逃げるぞ!」
俺は中村の手を左手で掴み、駆け出そうとするが、
「ちょっ!ちょっと待ってよ!今の人形は何だい!?それに逃げるったて何処に?」
中村が抵抗する。
「話は後だ!早く……やられた!!」
人形とのリンクが切れた。
しかも想定通りの最悪だ!
「一体【ドシンっ!】えっ?」
クソっ!もう来やがった。
逃走は無理、ハジメに習って錬成で逃げるしか……
ブンッ!
来た!風爪!
地面の抉れ方から軌道を計算!
避けられ……ない!中村を抱えた状態では!
最低限のダメージにしないと、
俺は可能な限り避けようと回避を続ける。
やばい、この軌道だと足が……
足だと動けなくなる。詰んだ。
錬成でガード出来るか?そもそも手がついてないから錬成できない。無理、
着弾まで後一秒弱
「“聖絶”!!」
俺達の前方に魔力の壁が作られ、風爪が弾かれる。
「エリリン!如月くん!」
「二人は下がってろ!」
後ろを確認すると、障壁を張る谷口と、爪熊に向かって走っている坂上が見えた。
「逃げろ!お前じゃ無理だ!」
俺は壁を錬成しながら叫ぶ。
今は一分一秒が惜しい。
逃げろ!逃げろ!と本能が叫ぶ。
人が一人何とか入れる程度の入り口を作り、直ぐに奥まで続けていく。
「皆、こっちへ入れ!!」
「応っ!!」
流石に爪熊の相手はキツかったのか坂上は傷だらけだ。
「谷口!坂上のフォローを!」
「任せて!全ての敵意と悪意を拒絶する、神の子らに絶対の守りを、ここは聖域なりて、神敵を通さず――〝聖絶〟!」
坂上と爪熊の間を埋めるように障壁が張られ、一気に逃げ出す坂上、
全員が穴に入ると入り口を塞ぎ、壁を更に錬成していく。
最後に空気穴を用意してから俺は一息ついた。
「ふぅ…ふぅ」
残っていた最後の魔力回復薬を飲む。
坂上の方も医療ポーチから消毒薬を取り出して応急処置を進めていた。
ってか、手慣れてるな、
「これから、どうするの?」
谷口が絶望的な声で聞く。
無理もない。
普通なら、錬成師の俺、結界師の谷口、死霊術が使えない(笑)死霊術師、そして頼りの拳士の坂上は先の爪熊に敗北した。
坂上も勝てなかった事を理解している為か無言だ。
中村に至っては二度と天之河に会えない為に絶望しているで……あれ、何か、チラチラこっちを見てるんですけど……えっ?もしかして、ハジメを投げ飛ばしたのが原因だから惨たらしく殺そうと考えているの?
ヤバい!!!
早く打開案を提出しないと!
殺される!!!
無論、悠里の考えは完全に外れていた。
一言で言うなら、彼女は悠里に惚れていた。
正確に言うなら依存対象を光輝から悠里に切り替わったとも言える。
そもそも彼女が光輝を好きになったのは光輝が俺が守ってやると言って、騒いで児童相談所騒ぎになった。それを彼女は光輝が守ってくれたと信じ込み好きになった。
しかし、それは間違いだった。
彼女が求めていたのは自分を守ってくれる人だったのだ。
そして………これは後にしておこう。
賢明な読者なら分かるだろうが……
そして恵里の好意は自分を守ってくれなかった光輝から、悠里へと切り替わった。
閑話休題
悠里は鉱物鑑定を使いタウル鉱石、燃焼石を手に入れ、そして、前もって作っておいたドンナー用のバレルの中の模型(事前にハジメに量産の一手と言って用意しておいた)からバレルを作り出し、グリップにはポーチの革を使い、撃鉄や弾倉を次々と錬成していく。
その早さは悠里も驚く程の早さで作られていく。
ガチャガチャと結合しパーツを作り上げる。
悠里製ドンナーが完成する。
途中で空気穴やシェルターの拡張も進めると、
おいおいと悠里は呟く。
神結晶があった。
しかも、神水を滴らせる程のだ。
一抱え程の大きさもあるそれは、漫画版で見たそれよりもはるかに大きいだろう。
御都合主義此処に極まれり、
悠里は神水を口に含む。正直な話衛生面とかどうなっているんだと思うが、今は緊急事態の為に口に含む。
身体の疲労感が消え、魔力が充実していくのを感じる悠里、
原作の知識を書物の知識の様に語り、龍太郎が口に含むと傷が治っていった。
その後は、ドンナーの弾丸を作り上げ、悠里は少しだけ外に出て行った。
一方その頃、
ハジメと香織は一緒の場所に落ちていた。
その後は互いの無事を確認しつつ服を香織の魔法で乾かした。
その後は二尾狼や蹴りウサギを見て、早く皆と合流しないと、と考えていると
ハジメは咄嗟にドンナーを発砲し、頭部に命中するが、絶命に至らず。
爪熊の頭部に傷をつけるだけに至った。
爪熊はハジメを餌から敵へと認識を切り替える。
「ガアアアアアアアアアア!!!」
咆哮。それは二人にとっては死への誘いに等しかった。
香織の股間からは黄色いシミを作らせ、ハジメも脚や手を震えさせながらドンナーを構えるので精一杯だった。
ドシドシドシドシ!
爪熊が此方に向かってくる。
ハジメはドンナーを発砲するも弾は見当違いの方向へと飛んでいって、次弾を撃とうとするも、爪熊の爪が此方に迫ってくる。
「うおおおおおおっ!!」
そこに銃声を聞き駆けつけたメルドが剣で防いだ。
「無事か?二人とも!」
メルドは爪熊の左腕を斬り、蹴り飛ばす。
流石メルド団長である。
もしも、これが光輝なら逆にやられていたであろう。
「グルルルルルル!」
爪熊が血の吹き出る腕を抑えながら唸る。
爪熊VSメルドの戦いは、
メルドが勝った。
「ハァ!ハァ!」
しかし、メルドは想定以上の戦闘能力を持つ爪熊にボロボロだ。
鎧には深い傷が付き、剣は刃毀れしている。
もしも、もう一度爪熊と戦うとなったら、やられるのはメルドだ。
香織はメルドの体力を回復させる。
「しかし、此処は一体何処なんだ?」
メルドは自分も知らない場所に不安になる。
「オルクスのさらに地下としか……」
とりあえず三人は爪熊を殺した場所から離れた場所に仮拠点の穴を掘り、そこを中心として残りの面々を探す事にした。
一日が経過した。
食える物がなかった。
落ちてきた水場から水を得て、煮沸消毒してから飲む事で腹を誤魔化した。
二日目が経過した。拡張作業中に水を滴らせる石を発見。
メルドの知識から神結晶と神水と判明する。
空腹を紛らす為にドンナーの増産と弾をタウル鉱石と燃焼石で作り上げる。
三日目、水と神水で生存している。
仲間は見つからなかった。
四日目…………
悠里はドンナーで二尾狼と蹴りウサギを射殺して、腕のない爪熊の死体。悠里はメルド団長が倒したと推定し、腕だけを持って帰った。
とりあえず石焼きにして、塩をかける(落ちる事を想定して用意しておいた)
毒見で悠里が一番先に食べ、無事?に白髪になって力を得た。
食わなければ死ぬ。
そんな思いに皆魔物を喰らい力を得た。
全員が白髪になり、鈴、恵里もドンナーを所持した。
それから探す事に四日してやっと残りの三人を見つけた。
死体で……
なんて事はなく、普通にばったりと出会った。
驚きはしたが皆喜び合い、後にハジメ達も魔物肉を食べ苦しみ、力を得て……真オルクス地下大迷宮を探索を開始した。
第二のチート能力
「人形遣い」
出典:魔法少女プリティベルのミク
正確には本家とは違うが、ベースとして使っている。
自分の姿を模した人形(可愛らしいぬいぐるみの様なイメージ)を作り出す能力。
本人の約半分程度の身体能力と全ての技能を使える。
最大数∞に生成する事が出来るが一度に作れる数には限度が有る。
最大の能力は人形同士で人形を作れる事と、ラグ無しの通信機能(木星程の距離でも通信可能)