トリオで生き抜け! 鬼滅世界   作:緑燕

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そのよん

495 名無しの転生者

雨ちゃん来ないねー

 

496 名無しの転生者

あいつスレ主の自覚あるのか?

 

497 名無しの転生者

ないんじゃね

 

498 ロブスターのやつ

心配だよね

 

499 名無しの転生者

ほんと来ないなー

 

500 雨

500ゲト

久しぶり〜

 

501 名無しの転生者

ってうわ

 

502 名無しの転生者

ちゃっかりキリ番持ってきやがって

 

503 名無しの転生者

今まで何してたんだよお前!

 

504 名無しの転生者

んー

修行とお勉強

一向にくずし字が読めない

 

505 名無しの転生者

あー

くずし字は読めるもんじゃないな

現代人には

 

506 栗花落のお兄ちゃん

何?

勉強教わってるん

 

507 雨

そうそう

孤児院、勉強も教えてるみたい

灰谷さんに何故頭はいいと言うにこれだけ読めないんだって怒られてる

 

508 名無しの転生者

灰谷さんって…炎の人か

 

509 名無しの転生者

てかそういう情報は共有せい

馬鹿!

 

510 名無しの転生者

今どんだけ時間たったのよ

 

511 名無しの転生者

修行の経過は??

 

512 名無しの転生者

千里くんの闇が気になる

 

513 雨

えーっと今はこの前から半年くらいかな 13歳になりました

修行の経過としては、岩と炎は使えないけど水派生は6割、風派生は4割くらいの威力で使えることがわかったよ

千里の闇?? 知らんけど?

あっお兄さんに会ったわ、お母さんが大嫌いらしい

 

514 名無しの転生者

長い!!

 

515 名無しの転生者

顔出せよ

 

516 名無しの転生者

報連相だっつったろ

 

517 元錆びたウサギ

まあまあ、特筆することがなかったのかもしれないし

 

518 雨

うわーん

元さびうさありがとう!!

そう!その通り!

毎日修行と勉強しかしてなかったもん

 

519 名無しの転生者

じゃあなんで今日は顔だしたの?

 

520 雨

あっそれね

今日ようやく、派生呼吸とかの資料室見る許可が出たからそれの実況でもと思って

 

521 名無しの転生者

おっ

 

522 名無しの転生者

今まで見れなかったのか

 

523 雨

あーでも文字を実況するのめんどくさい

後でまとめて送るわ

 

524 名無しの転生者

んー?できる雨ちゃん

 

525 名無しの転生者

心配だわー

 

526 雨

失敬な

原作に出てない派生あげるくらいできるわ

 

527 名無しの転生者

そお?

 

528 ロブスターのやつ

頑張れー

 

529 名無しの転生者

扇の歴史見てこいよ

170年前がキーポイントの可能性あるからな

 

530 名無しの転生者

そうそう

隠屋敷の歴史なんかも見れたら見てこいよ

 

531 雨

りょーかい

行ってくるね〜

 

 

 

 

 

 

 

548 雨

現代仮名遣いが恋しい…

 

549 名無しの転生者

おかえり!

って何言ってんだ

 

550 名無しの転生者

日本語なだけいいだろ

 

551 名無しの転生者

それな

 

552 雨

何だよ!

他の言語圏なら体が覚えてるじゃんか!ちょっと認識とズレてるくらいがキツいんだよ!

 

553 元錆びたウサギ

それはちょっとわかる

 

554 名無しの転生者

それより報告はよ

 

555 雨

んー了解

過去10年の派生は岩派生の鋼と、水派生の雲しかないっぽい

雲の使い手は絶滅したらしい

岩系列は使えないから残念

 

私のことも派生とは違うけど珍しいから、隊士になったら記録つけられるだろうねって言われた

 

556 名無しの転生者

雲って零士さんの同期の?

 

557 名無しの転生者

確かそうだったな

 

558 名無しの転生者

死んでんのか…

 

559 名無しの転生者

まあ死亡率くっそ高い世界だから諦めい

 

560 雨

ちょっと零士さんに聞いちゃって気まずかったわー

 

561 名無しの転生者

それはやめたげろ

 

562 名無しの転生者

地雷を踏みに行くな

 

563 雨

もう半年前の会話なんて覚えてないもん

しょうがないじゃないか

 

564 名無しの転生者

ああー雨にとっては半年前なんだっけか

 

565 名無しの転生者

それはしょうがない

 

566 名無しの転生者

豚切るけど扇は?

 

567 名無しの転生者

てか扇の基礎情報教えろよ

 

568 雨

ええー

型の説明まではせんでいい?

結構特徴的な呼吸だから、特徴だけで

 

569 名無しの転生者

まー妥協点だな

 

570 ロブスターのやつ

うんうん

 

571 雨

みんな辛辣!!偉そう!

何様なん???

ロブスターだけが癒しなんだけど

 

572 名無しの転生者

いいからさっさと書けよ

 

573 雨

もう!! 書くよ! 書きますよ

書けばいいんでしょ

 

短刀と刀の二刀流、短刀は投擲もする

機動力が高めで1人ヒットアンドアウェイができるようなやつ

サポートにも向いてる分、攻撃力はちょっと低め

ちな風派生

 

私は刀だけでできる型しか習ってない

 

574 名無しの転生者

へー

 

575 名無しの転生者

結構優秀な感じだな

 

576 名無しの転生者

使い手選びそう…

 

577 雨

それな

かなり器用じゃないとできないよ、コレ

 

578 名無しの転生者

見てきた情報は?

 

579 雨

りょ

約170年前に作られたやつ

初代扇柱の辻宮さんが初代隠統括と協力して作ったらしい

今までで扇柱は4人だって、みんな辻宮さん

でも使い手自体は辻宮以外にもいるらしい 事実私もちょっとだけとはいえ使えるしね

ちな、辻宮さんが扇子屋さんだったから扇って名前にしたらしいよ

 

580 名無しの転生者

初代隠統括!!

こいつが怪しいんじゃないか?改変した候補としては

 

581 名無しの転生者

それな

 

582 名無しの転生者

俺らの予想合ってたか!!

 

583 名無しの転生者

170年前何が合ったのか調べろ

 

584 雨

まってまって!

まだ隊士になってない人が見れる資料は少ないんだって!

今日だって最近まで残ってる派生の資料しか見せて貰えなかったんだよ

 

585 名無しの転生者

そこを何とか!!

 

586 雨

無理だって!

入隊前から問題起こしたくないよ

 

587 名無しの転生者

ええー

 

588 名無しの転生者

じゃあ早く隊士になれ

 

589 名無しの転生者

それだ!!!

 

590 元錆びたウサギ

みんなちょっと落ち着け

まずは目的を整理しよう

焦って隊士になっても無駄死にするだけだ リマセラしたいならかまわんが

 

591 名無しの転生者

えっイケメン

 

592 名無しの転生者

これで錆兎やってたとか

 

593 名無しの転生者

いや惚れちゃうでしょ

 

594 元錆びたウサギ

それは原作錆兎の顔がいいだけだろう

それはいいから雨、お前はどのくらいの優先度で謎解きしたいんだ?

救済とどっちが上だ

 

595 名無しの転生者

この謙遜具合よ

 

596 名無しの転生者

そこにシビれる

 

597 名無しの転生者

憧れるぅ!

 

598 名無しの転生者

<<596,597

ハイハイ

結婚せえ

 

599 名無しの転生者

えっするなら元さびうさがいい

 

600 雨

<<599 諦めな

そりゃあ救済の方が上よ 約束したもん

謎解きは暇つぶしと、万が一鬼陣営の戦力が原作と変わってたら困るなと思って

 

601 元錆びたウサギ

<<599 しないぞ

そうか、なら急がずまずは修行を優先した方がいいと思う

情報は隊士になれば見れる確率があるんだろ?

 

602 名無しの転生者

暇つぶしかよ

って思ったけどちゃんと考えてた

 

603 名無しの転生者

雨ちゃんアホの子のイメージあるのにまあまあ考えてるよな

 

604 雨

だから!!!

バカにしやがってお前ら!

 

605 ロブスターのやつ

まぁまぁ

落ち着いて(꒪˙꒳˙꒪ )

 

606 雨

ロブスター!癒し〜

 

607 名無しの転生者

かわいいな

 

608 ロブスターのやつ

今猫だからな!

 

609 名無しの転生者

(ズレてる)

 

610 名無しの転生者

(天然だ)

 

611 名無しの転生者

(何この生き物)

 

612 名無しの転生者

(ロブスターという名の猫だろ)

 

613 名無しの転生者

wwwwww

 

614 雨

はいはいかわいいかわいい

今1度目的を確認したところで、170年前何が合ったかを念頭に起きつつ、修行を頑張る

資料は隊士になったら見たいなって感じでいい?

 

615 名無しの転生者

ああ

 

616 名無しの転生者

いいぞー

 

617 元錆びたウサギ

雨の意思が一番大事だからな

頑張れよ

 

618 雨

ありがとう

ってえぇkds

 

619 名無しの転生者

どした?

 

620 名無しの転生者

大丈夫か?

 

621 名無しの転生者

鬼か?

 

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 

 半年が経ちました。毎日勉強と修行しかしてなかったけどね。さすがにスレに連絡しないと怒られるかなー。うん、連絡しよ。

 時間開けてしまったことからくる気まずい思いと葛藤しつつ決意した。

 

 

 やっぱ予想どおり怒られたな。うん、でも報告するようなことなかったからしょうがないよね。

「雨依! 行くぞー」

「はーい、楽しみ! 零士さん今日の許可とってくれてありがとうございます!」

「いやいや、遅くなってごめんな」

 隊士でもないのに頼んで貰えただけありがたいですって、なんて雑談しつつ隠屋敷に向かう。孤児院そのものは敷地内でも結構端っこにあるから、まあまあの距離があるみたい。

 

 到着!! 結構埃っぽい倉庫だ。現世と違ってハウスダストアレルギーはないけど、それでもくしゃみがでる。

「くしゅん!」

「ハハッ大丈夫かーぶへっくしょん!!」

 私より盛大なくしゃみ。漫画ですか? って漫画の中だったわ。

「あはは……。埃っぽいなー掃除しろ、掃除」

 でっかいくしゃみした零士さんが誤魔化すように言う。

 それにしても部屋の壁三方が棚の他に大きな棚が四つもあるってここは図書室かい。いや、あるの和綴と巻物だから郷土資料室とかか?

「んーっと、見ていいのはこの区間らしいな」

 そう言って指さしたのは左奥の一角。

「えっ全部呼吸の資料じゃないんですか?」

「なんか知らんけど、今も使い手が残ってるのがこの区画らしいよ。雨依はまだ隊士じゃないし、過去の資料とか、今の隊内の詳しい情報は見ちゃダメなんだと」

「ああー、そうなんですね。じゃあ扇と最近のだけ見ようかな」

「すまんな」

「いやいや、見れるだけありがたいですって」

 そう言って資料を引き出す。2個だけ置いてあった机に広げてメモをとる。……あっ漢文訓読体じゃん。読み取れないことはないけどさぁ、疲れる、無理。現代仮名遣い早く来てくれ。

 そうして、うんうん唸りつつ鉛筆を走らせ始めた。

 

 

 

 ひとつ大きく伸びをして資料室を後にする。スー、ハー、埃っぽいところから出たからか空気が美味しい。

「欲しい情報は合ったか?」

「うーん……。今覚えた型以上に増やすのは、難しそうだなってことくらいしか分かんなかったかな」

「そうか、力になれなくてごめんな」

「いやいや、そんなことないよ! ぶっちゃけここで稽古つけて貰えただけでも破格なんですよ」

 いやぁー、零士さんちょっと謙虚が過ぎるよ。ほんと。今の状態だけでもありがたいものはありがたいんですよ。

「でもこれで…」

 なにか零士さんが言いかけたけど止まる。

「あの孤児院で教師をしている方ですか?」

 ネイビーの瞳が印象的な、だけどtheモブみたいな顔立ちの人が声をかけてきた。挙げた右手の白い包帯がひらめく。隊服じゃないけど隊士なのかな?

「急にすみません。僕、3年前までお世話になってた者です。隠屋敷に用が合ったんですけどせっかくだから顔出そうと思って。今行ったら忙しいですか?」

「そうなの?」

「はい」

「うーん。大丈夫じゃないかな多分。俺らも帰る所だし一緒に行くか」

「いいんですか?」

「いいよいいよ。なっ雨依」

「いいですよー」

 そうやって帰り道をてくてくと進んでいった。

 そういえば零士さんが言いかけたのはなんだったんだろう? まあ今は別にいいか。

「そういえば今日って千里来てますか」

「ん? 今日は来れないって言ってたな。なんか用でも合ったのか?」

 問答をBGMに千里の様子を思い出す。みょんみょんした2本のアホ毛に、手合わせの様子。昨日も結局10:10で引き分けだったんだよな。歳下の癖に生意気だぞ。強いのはいい事だけど。

「あっいえ、大したことじゃないので。ただ元気かなって心配になっただけで」

「どうせ元気でしょ。昨日だって済ました顔で最後の手合わせに勝ちやがったし、まあ勝率は引き分けだったけど」

「えっ、なぁ君、千里とどういう関係なの?」

「修行仲間だよ。なっ?」

 私に聞いてるのに何故か答えちゃう零士さん。まぁいっか、こういう人だし。

「そーですよ」

「じゃあ仲いいのか?」

「んーまぁ孤児院にいる子供で言えば仲いい方だと思いますよ。強いし生意気だなーとは常々思ってますけど」

「そうなのか。よかったよかった」

 ほっとしたように息をつくモブ顔お兄さん。ついでに零士さんも同じようなことしてるんだが、貴方は何に安心してるんです?

「お兄さんは千里の知り合いなんですか?」

「千里とも知り合いだけど、彼の兄の同期だったんだ。千里は誰とも積極的に関わろうとはしてなかったから心配してたんだよ」

「えっ私会ったことあるよ。千里のお兄さん」

 なんだか苦笑いしてるモブ顔お兄さん。もしかして、同期は一番上のお兄さんだったのかな。悪いことしたし、話を変えようと思って口を開く。

「それに千里ってそんなキャラだっけ? グイグイいけばすぐ流されるでしょ」

「きゃら?」

 あちゃー、しまった。また横文字出しちゃった。矯正するのは無理そうだからもう変人扱いでもいいや、なんて思う。

「雨依はよく変なこと言うから気にすんな。宇宙人だ宇宙人」

 ちょっと零士さんどういうことですかね。変人は良くても宇宙人はダメ。私、スレでも現実でもバカにされなきゃいけない理由なんてあるか? 抗議する権利があるはずだと思い、口を開く。

「ちょいちょい零士さん、宇宙人はさすがに酷くないですか」

「あー、すまんすまん。でどういう意味なんだ」

 ぜんっぜん効いてない。扱いが不当だ。遺憾の意を表明する!

「性格って意味ですよ! 千里ってクラゲみたいに流されてる系男子でしょ」

「海月かぁ。確かに」

 ふふっとモブ顔お兄さんが笑う。

「でもだから心配だったんだよ。引っ張ってくれる子がいるみたいで安心したよ」

「まぁ歳上なんで、任せてくださいな」

「そうなんだ。よろしく頼むよ」

「はい!」

 お兄さんと話してる時に零士さんが何かをぶつぶつ言ってる気配があった。でも、まぁ知らない! 宇宙人扱いする人は気にしてあげないもんね。ぷいっと心の中で顔を背けた。

「あっもう着いたね。君はどうする?」

「じゃあ僕は久世さん達の所に行きます。ありがとうございました」

「いえいえ」

「じゃあねー」

 

 ぶんぶんと手を振って分かれたあと、思いたって零士さんに向き直る。

「そういえばさー、さっき言おうとしてたのなんだったの? ほら、資料室出てすぐに言いかけてたアレ」

「いやぁー、もうこれでここでやること終わっただろ? だからもうお別れなのかって寂しくなったんだよ」

「えっ」

「えっ」

 えぇぇぇぇぇぇ!!

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 

629 名無しの転生者

心配だな

 

630 雨

大丈夫

生きてる

てか怪我もしてない

びっくりしただけ

 

631 名無しの転生者

おお

 

632 名無しの転生者

生きてた

 

633 名無しの転生者

てっきりリマセラったのかと

 

634 名無しの転生者

よかったよかった

 

635 元錆びたウサギ

心配したぞ

 

636 ロブスターのやつ

ねえ、さっきからリマセラって何の隠語?

 

637 名無しの転生者

<<636 死ぬことだぞ

 

638 ロブスターのやつ

ひぇ

 

639 栗花落のお兄ちゃん

でなんだったん?

 

640 雨

雷の来ていいよって育手決まりしだい、ここ出るんだって私

 

641 名無しの転生者

へー

 

642 名無しの転生者

よかったじゃん

 

643 名無しの転生者

てかそれそんなにびっくりすることか??

 

644 名無しの転生者

それな

大袈裟

 

645 雨

もう!!

びっくりしたんだってば!

 

646 名無しの転生者

いやー正直もっと大事なのかと

 

647 元錆びたウサギ

まあまあ無事だったんだからよかったじゃないか

 

648 名無しの転生者

まーよかったけどさー

 

649 ロブスターのやつ

心配したよ〜

 

650 雨

ごめんね

ロブスター

 

651 名無しの転生者

おいまて俺らには?

 

652 雨

もうしわけ

 

653 名無しの転生者

まーよし

 

654 名無しの転生者

 

655 名無しの転生者

及第点

 

656 雨

お前らは私の先生か!?

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 そうして私が身動きさえ取らずに、考え込んでいた内にご主人様が新しい住居を見つけたようだった。山の中にポツンと建ったびっくりするくらい古めかしい一軒家で、留守なのかと思ったら壁が血だらけで、私たちがご主人様に食べられるための部屋がフラッシュバックして固まってしまった。

 

 ご主人様は何かをぶつぶつと腹ただしげに呟きながら、私を部屋に放り込んで柱に縛り付けた。何か粗相でもしてしまったのかと怯えていたけど、苛立ちは今は私には向いて居ないようでひとまず安心した。

「そこから動くな」

「はい! わかりました」

 声は裏返ったけども、条件反射のように返事が口から滑り落ちた。何が何だか分からないけど、私にできるのは言われた通りに動かないことだけだった。

 

 

 本当にそう?

 

 

 ご主人様が私を縛っていったって事はまだテリトリーが出来あがってなくて、離れて逃げることが出来るんじゃないのかな。この先を想像したら恐ろしかった。平穏な痛みが程遠い日々を知ってしまったから、この先を生き抜くことが出来るなんて到底到底思えなかった。

 私は激昴したご主人様を知らなかったから甘く見ていたのだ。一かバチか逃げた方がいいと思ってしまったのだ。

 

 縛ったっていったって、この家に放置されていた朽ちかけた縄だったから、10分くらい藻掻いたらなんとか抜け出すことが出来た。

 ドカドカと部屋の前を通り過ぎ、家を出ていくご主人様。そぉーっとそぉーっと様子を見たら山を下って行くのが見えたから、こっそりと反対方向へ駆け出した。

 木が茂ってる部分まで辿り着いたら、姉様たちに戦闘技術の一環として教わったパルクールの要領で木から木へ飛び移る。足跡を残さないように気をつけつつ急ぐ。急ぐ。一心不乱に駆け抜けた。

 

 ドン!!!

 

 勢いよくぶつかった。木から転げ落ちてドシンと無様に地面に落ちる。痛い。

 見上げても何もなかった。なのに見えない壁に隔たれて1歩も先に進めなかった。嘘でしょう。呆然として暫く経ったあと、右に左に壁の切れ目を探した。なかった。

 そうか。これが『ご主人様の家からだいたい100m以上は離れることが出来ない』か。私自身は家から遠くまで行ったことが無かったから知らなかった。

 

 無理だ。無理じゃん。逃げられない。そう悟った時、背筋の凍る声が響いた。

「おい! 26番!! どこ行きやがった!」

 咄嗟に逃げようとして、落ち葉を踏んづけて音を出してしまった。ヤバい! どうしよう!?

「見つけたぞ。よくも逃げやがって!クッソ!クソが!お前はずっと従順だったろうが!」

「ひっ」

 悲鳴にも成らない音が漏れた。ごめんなさい!ごめんなさい! って叫ぶ私を、どんどん乱雑に引きずって行く。あちこち木や岩に容赦なくぶつかった。

 私の思考は綿あめよりも甘くてスカスカなものだったのだと痛感した。

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