236 雨
はーい
初任務開始でーす
がんばるぞー!
237 名無しの転生者
えっ何
238 名無しの転生者
急だな、おい
239 お嬢様隊員
同行してくれる先輩隊士は誰なのかしら?
240 名無しの転生者
そんなのいるのか?
241 名無しの転生者
いいなー
242 名無しの転生者
もうみんな便利な制度に慣れてきたな
驚きがないwww
243 雨
なんと!!!
ジャンジャカジャーン!!!
真菰!です!!!
244 名無しの転生者
なんだと!!!
許さん!!!!!
245 お嬢様隊員
それなら頼りになりそうね
246 雨
まぁ、一言目に致命傷負わない限り手助けはしないよって言われちゃったけどね
<<244 決めたの私じゃないし
247 名無しの転生者
へー
248 お嬢様隊員
そうなのね
私の時は情報収集くらいは手伝ってもらえたのだけど
249 雨
そうなの?
そこらへんはまだわかんない
250 名無しの転生者
そうなん
251 名無しの転生者
まぁガンバ
252 名無しの転生者
うん
ってああもう目的地ついた
情報集めてくるけどどこ行けばいいと思う?
<<260
253 名無しの転生者
急な安価
そして近い
254 名無しの転生者
それな
てか真菰に聞けよ
255 名無しの転生者
<<255 それだよ
256 名無しの転生者
まぁ無難にいくなら食事と一緒に店員に聞く
257 お嬢様隊員
私も他の選択肢はない気がするわ
258 名無しの転生者
真菰ちゃんに一票
259 名無しの転生者
手当たり次第に叫ぶ
260 名無しの転生者
食事
261 名無しの転生者
おっ、決まったな
262 名無しの転生者
ギリギリじゃん
263 名無しの転生者
ほんとだ
一個バカなの混ざってる
264 名無しの転生者
バカとはなんだバカとは
265 雨
バカでしょ
良かった食事で
266 お嬢様隊員
でしょう
腹が減っては戦は出来ぬというし一番いいと思うわ
267 名無しの転生者
だよね
268 雨
んー
真菰の同意も得られたんで食事しに行きます
269 名無しの転生者
おお
270 名無しの転生者
いってらー
271 元錆びたウサギ
初任務かー
油断すんなよ
272 名無しの転生者
あっひさしぶり
273 雨
ただいまー
美味しかったよ、ぷりぷりの天丼
274 ロブスターのやつ
いいなーおいしそう
275 お嬢様隊員
情報は手に入ったのかしら
276 名無しの転生者
大事なのは食レポじゃなくて情報だから
277 雨
ごめんごめん
ロブスターは今猫だったんだっけ二重にもうしわけない
情報は入ったよ、近所の山に入った人がいなくなってるんだってさ
熊呼ばわりしてたけど、連続してるからきっと鬼
278 名無しの転生者
そかそか
279 名無しの転生者
ガンバ―
280 元錆びたウサギ
油断大敵だぞ
281 雨
りょーかい
行ってくる
289 名無しの転生者
そろそろ終わったかねー
290 名無しの転生者
空振りかもよ
291 雨
たーだいま!
292 名無しの転生者
おっ無事か?
293 雨
もち
成りたての雑魚だったしね
ちょちょいのちょいですよ
294 ロブスターのやつ
おつかれ~
295 雨
うーん
楽勝だったし真菰に実力のお墨付きももらえたんだけどね…
296 お嬢様隊員
よかったじゃない
なにが問題なのかしら?
297 名無しの転生者
それな
298 名無しの転生者
何を言い淀んでるんだ?
299 雨
その…
ご神木っぽい木を折っちゃった…
てへっ
300 名無しの転生者
300ゲト
やったー!
301 名無しの転生者
<<300
やっとじゃん
おめでと
302 名無しの転生者
てか、雨は何してるんだよ
303 名無しの転生者
ご神木がカワイソw
304 元錆びたウサギ
まあまあ
初戦なんだし怪我してないなら大勝利だよ
305 雨
怪我はない! ドヤァ
真菰が隠呼んでくれたから、明日なんとかしてくれるってさ
306 名無しの転生者
よかったじゃん
307 名無しの転生者
さすが真菰ちゃん!!!
308 名無しの転生者
てか、お前てへっとかドヤァとかだいぶウザイぞ
309 雨
うるさいうるさいよ、もう!
藤の家着いたんでもう寝る!お休み!!
310 名無しの転生者
あちゃあ
怒っちゃった
311 名無しの転生者
おやすみー
* * * * *
淡い光が視界に差し込んだ。つまり朝、という訳だ。
「ぅうーん、あと五分……」
「相変わらず寝起き悪いね、雨依ちゃん。昨日頑張ったとは言えもうお昼だよ?」
微かに開いた視界の中に映るのは、よく知った先輩隊士。もう昼なの……?
「鬼殺隊士なんて昼夜逆転してなんぼなんじゃあないの?」
「だから寝てていいってわけじゃないよ。今日は隠呼んでるんだし、早く起きて」
「やだ」
布団がぬくぬくしてるんだもん。出れませーん。布団には出られなくする魔法がかかってると思う。まぁ、本当の魔法を知ってるんだけど。
べりっと勢いつけて布団をはがされた。寒ーい!
「もう、これ以上待ったらごはん食べる時間無くなるよ。このあと案内もしなきゃいけないでしょ」
「うーん。知ってるよ、もう起きますー」
「はいはい、早く起きて」
布団から抜け出たあとは、逆にしゃっきりと動きだす。てきぱきと着替えて、もう準備の終わっている真菰に追いつこうと急ぐ。
藤の家を待ち合わせ場所に使わせてもらっているから、朝……いや昼ごはんを食べてからもちょっと待たせてもらう。縁側で昨日の反省会――というか真菰による一方的なダメ出しをくらっていると、遠慮がちに声をかけられた。
「なぁ、僕を呼んだのって君たちだよね?」
「そうだよ、って慧一だったの⁉」
「そうだよ、呼んだの真菰だったのか」
私を置いて、二人で盛り上がる。なんだよー、もう。
てか、この隠の人見覚えがあるな。誰だっけ?
「あーっ! モブ顔お兄さん!!」
「えっ?」
「なになに? 知り合いなの?」
うわわわわっ、まずった。モブ顔呼びしちゃった。
「いや、あの、会ったのだいぶ前だから覚えてないって、きっと」
「えっいつ会ったっけ?」
「半年くらい前に会ったんですよ! 隠屋敷で、ほらっ千里の修行仲間だった」
「えぇっと、ああ! あの時の!」
合点がいったように、思いだしてくれた。
「そうですよ! あのクラゲくんの友達兼同期の九石雨依です」
「そうかそうか友達になってくれてるのか良かった。僕は永留慧一。よろしくね」
「慧一は私と同期なんだよ。半年前に隠に転向しちゃったけどね」
真菰が自慢そうに言う。それから、だいたい千里の話で盛り上がりつつ私が折っちゃったご神木っぽい木を目指して歩きだした。
名実ともに鬼殺隊士になったことを嚙みしめながら。
* * * * *
あの鬼殺隊士を取り逃がしたことがバレて、逃げ出したあの時と同じことが起こった。もういっそ死んでしまいたいほど、ただ痛くて痛くて苦しい時間。どうして私の身体は終わってくれないんだろう。血鬼術の痕が傷を治す為に蠢くのが、皮膚を虫が這うようで気持ち悪かった。
違うのはあの時みたいに食べることよりも暴力メインだったのと、ご飯を持ってくるしおりちゃんのタイミングで何日経ったのか分かることだけ。
最も1週間ってわかったことに何の意味もなかったけど。
ようやくご主人様のお仕置きが終わったらしい。
「あっ姉様? 大丈夫??」
あねさま? 私を姉様なんて呼ぶ人いなくない? 私一人っ子だよ。いや違う26番だ。でも27番以降なんていたっけ?
時系列の揃わないぼんやりした頭を持ち上げると、グレーアッシュの頭が見えた。そうだ。しおりちゃんだ。27番、いるよ。
「ああ、27番ちゃん。うん、だいじょうぶ。それより血、怖いでしょ。早く部屋に戻りなさい」
「わたしは平気だよ。ねぇ姉様ほんとに大丈夫?」
「平気よ」
大丈夫も大丈夫じゃないも何もない。私がご主人様の指示に従えなかったんだから、当たり前の帰結だろう。
しおりちゃんの差し出す服にのろのろと着替える。なんでいつも和風メイド服なんだろうか。白エプロンなんてすぐ血で汚れてしまうのに。
「ねぇ姉様。いつもああなの? 姉様が食べられてるの?」
おずおずと問うしおりちゃんに寒気がした。見せたことなかったのになんで。どうして。そうだ。そうだった。しおりちゃんがご飯を持ってきたんだから見えるに決まってる。
「ごめんね。ごめんね。怖かったよね。大丈夫。大丈夫よ。27番ちゃんは食べさせたりしないから」
「本当に…」
「本当よ。だいじょうぶ、貴方は食べさせないから」
「ねぇ姉様。ありがとう」
涙に潤んだ瞳がこちらに向く。
ふにゃり。
瞳が弧を描く。
「わたしは食べられるの、こわい。だから守ってくれてありがとう。今までも守ってくれてたんだね」
嗚呼、嗚呼、嬉しい。
嬉しい。
嬉しいなんて思ったのいつぶりだろう。
私は頑張っていたつもりだったけど、ずっと足りない気がしていた。いや、きっとまだ足りないけど、ちゃんと守ることは出来ていたんだ。嬉しい。
ぎゅっとしおりちゃんを抱きしめた。
「うん。うん。ありがとう! ありがとうって言ってくれてありがとう! 私、頑張るわ! 絶対に貴方を守ってみせる!!」
あの笑顔の為なら頑張る気力が幾らでも湧いてくる気がした。
それからの生活に劇的な変化なんてものはなかった。ただひたすらに血の匂いが満ち満ちた毎日だった。
変化といえば鬼殺隊が3人来たことだけ。2人は連続して、もう1人は少し間を開けていたとは思う。
もう私はご主人様に逆らうことなんて出来なかった。お仕置きは怖かったし、それがしおりちゃんに向くかも知れないと思うとさらに怖かった。それに死体を献上しなくちゃいけないから、もうあの時のようなことは出来なかった。
だから震える手を叱咤して、やるしか無かった。鬼の被害者を装って、それを見破られても怪我の治る身体を最大限利用すれば、私でも出来た。呆気なく出来てしまった。
私はもう引き返せない所に行ってしまったのを痛いほど実感しただけだった。
私の罪から逃げてはいけないと思った。絶対に。だって命は尊いものなんだ。前世の私が死ぬ前のように、当たり前に彼らを大事にする人がいた筈なんだ。私はあの平和な時代でそれを知っていた。だから逃げてはいけなかった。
あの時代の記憶は私のものだから、この行為に何の忌避も持たなくなったら私は私でいられなくなってしまうもの。もっともこんな状況で後生大事に自分なんて持っていても、大して意味無いかもしれないけど。
だから死体を献上する前にこっそり私物を自室の床下に隠した。深緑の羽織、ガラスのイヤリング、ポケットに入っていた御守り。酷いことをしてる自覚はあった。それでも終わりのない日々で罪から逃げない為の精一杯の行為だった。私は罪の象徴を手元に置いて置かなければ忘れてしまうような薄情者だから。
そうして本当の意味での変化が訪れたのは、四度目の初雪を見た日だった。