日曜は家庭教師の仕事はなく、要はお休みと言うやつである。と、言うわけで朝っぱらからこの世界オリジナルのアニメの主題歌を耳コピしてピアノでひたすら弾く男、総悟です。オーディエンスは星奈さんただ1人。日曜日は星奈さんはお休みなのだが、親の出張が長引いて家に不在なので臨時で来てくれた。
「朝から好きなアニソンをピアノを弾くとか、スゲーッ爽やかな気分だぜ。新しいパンツをはいたばかりの正月元旦の朝のよーによォ~~~~~~~~~~~~ッ」
「何とも独特で面白い言い回しですね……………そして、それを思い付くのも流石です」
「と、どうも…………」
まぁ、俺が考えたんじゃなくてジ◯ジ◯の奇妙な冒険(第4部)の名言からパクリ輸入しただけなので誉められても素直に喜べないんですけどね。本当に流石なのは原作者の荒◯先生である。
「それだけの才能を持ちながらもピアノのコンクールに出たりしないのも勿体無い気もしますね」
「俺は別にコンクールで賞を取るとかに興味は無いですよ。ただ、アニソンをピアノで弾きたいだけですわ。さーて、次は何の曲を弾こうかな」
スマホで何か弾き応えのある曲を調べていると、インターホンの鳴る音がした。星奈さんがいち早く応答する。
「はい……………ああ、三玖さんですか」
「ぬぁに!?」
三玖が来ているだと!?家庭教師のない日に、わざわざこの家に!!
「総悟様に渡すものが?分かりました。少しお待ちくださいね。………聞いての通りです。私はお茶を用意するので総悟様はお迎」
「行ってきますッ!!」
星奈さんが言い終わるのを待てずに、俺は勢いよく部屋を飛び出して行った。
「ふむ………………もしや三玖さんの事が…………これは楽しみですね」
星奈さんがそんな事を呟いていたのは当時の俺は知るよしもなかった。
「はぁ……………はぁ………………や、やぁ…………三玖……………」
「だ、大丈夫………?息切れしてるけど…………」
そりゃ嬉しさとかで爆走しちゃったからネ!2回くらい同じ通路を通った気もしたけど、多分気のせいだな!
「外で立ち話するのも悪いし…………入って、どうぞ」
「じゃあ…………お邪魔します」
「十 悔い改めて 十(ボソッ)」
「え?何か言った?」
「ん?言ってないよ」
と言うわけで、三玖を連れて先程の部屋に戻って椅子に座らせる。ピアノの上に置いてたスマホとヘッドフォンを片付けていると、三玖が話し掛けてくれた。
「ピアノを弾いてたの?」
「あぁ。休日のモーニングルーティンと言うやつだ」
「凄い…………ソウゴは何でも出来るんだね」
「俺は完璧人間じゃない。俺にだって出来ないことはあるさ」
──────君の心を盗むとか、ね………………少なくとも今は。
いつかどこぞの警部の名台詞のように『奴はとんでもないものを盗んで行きました。
「……………あ!そのヘッドフォン………」
「ん?ああ、三玖の使ってるのと一緒だね。趣味が合いますなー」
そうなんです、俺の使ってるヘッドフォンは三玖のと一緒のなんですよねー。発売当日に即購入した思い出がある。傷が付いたら嫌なので、学校には持っていかずに家でしか使わないとヘッドフォンを買った電気屋の店員に誓ってる。
「お茶をお持ちしました」
星奈さんが温かいお茶を持って来た。それを3人で堪能しつつ、三玖が本題に入る。
「はい、これ。ソウゴの家庭教師のお給料」
「初給料ですね、総悟様」
「初給料と言うのは何か感慨深いな」
まぁでも、2回しか行ってないし諭吉×1かなー、なんて予想しながら中身を確認する。中から出てきたのは……………………諭吉×5だった。
「…………………あのー、三玖さん。諭吉が4人、じゃなくて4枚多い気が……………何かの手違いなんじゃ…………」
「手違いじゃない。1人5000円を5人分。それが2日分で計5万円。全部ソウゴのもの」
ま、マジ!?5万円あればゲーム機とソフトを買ってもお釣りは来るし、ラノベや漫画も何冊買える事やらじゃねぇか………………………いや待て。でも冷静に考えるとなぁ……………。
「……………受け取れないな」
「え?」
「俺はこの額に見合う程の勉強を教えられてないし、成果も出してない」
流石にこんな大金を受け取るのは気が引けた。俺は前世で色々とあってお金の価値やありがたみを痛感している。大した事もしてないのにこんな大金を貰うのはおこがましいにも程があると思ったのだ。
「そんな事ないと思う」
「え?」
「うまく言葉では言えないけど、ソウゴとフータローは私達5人の何かを変えつつある。それだけでも充分な成果だと私は思う」
「…………………」
「だから、返金は受け付けない。自由に使って」
「三玖がそこまで言うなら……………」
しかし、5万円か。何に使うかね……………。
「………………やっぱゲームに課金?」
「「……………………」」
「じ、冗談だから!流石に5万円をぶち込む程の廃課金じゃないから!」
星奈さんのみならず三玖からも呆れの視線が突き刺さった気がするので慌てて撤回。
……………まぁ、1万円位はぶち込むかもしれないけど……………。
その後、何やら予定でもあるのか三玖は帰って行った。そして星奈さんも何か頼んでおいたものを取りに行く予定があるらしく1時間前に出掛けて行った。取りに行くその何かについては『秘密です』と言って教えてくれなかったが。なので、現在家には俺1人だ。
「…………………ん?へー、今日は祭りがあるのか。そういや、この時期にいつも花火も打ち上げられてたような」
スマホでネットニュースを見ていると地元のニュース欄にてそんな記事を見つけた。
「ま、行かないけど。人混み苦手だし。家でアニメとか漫画見てた方が有意義だし」
「君は相変わらずのインドア派だね」
出ました、神様。
「全く、口には出さなかったが祭りがやってるのに君は毎年家で漫画やアニメとかでゴロゴロして。折角なんだしお祭りに行って来なさいよ。僕は君を引きこもりに育てたつもりはないぞ」
「別にあんたは育ての親じゃないでしょーが……………祭りとか関係なく、俺は人混みが多いところが苦手なんだよ」
「なら、人混みが苦手と言うのがどうでも良くなるほどのスペシャル情報を教えてあげよう」
スペシャル情報だぁ?
「勝手に教える分には構わないけど、多分俺の意思は変わらないぜ」
「今日のお祭りに三玖が来ると言っても?」
「行きますねぇ!」
人混みが嫌いと言ったな。あれは嘘だ。ちょろい?うっせぇ、ぶっ○すぞ。
「星奈さんに家から会場までの案内をお願いして、彼女に付いて行けばすぐ会えるよ。そんじゃ、あでぃおす!」
「ただいま戻りました」
神様が消えるのと同タイミングで、後ろから星奈さんの声が掛かる。
「あ、戻ってきたんですね。用事は終わっ……………た………」
振り返った俺は言葉を失う。何故なら星奈さんの姿は可愛らしい浴衣姿で髪飾りもつけてとても綺麗な姿だったからだ。
「どうでしょうか?似合っていますか?」
「えっと……………その、似合いすぎて語彙力が3歳児レベルに低下しました」
「ふふっ、それは良かったです」
何だこの美しき天使は……………危うく悩殺される所だった。危ない危ない。
「もしかして、今日のお祭り用のですか?」
「その通りです。奮発してレンタルしました」
「…………俺も来年行く時はレンタルしようかな」
「……………おや?その口振りから察するに今日の祭りに行く気満々のようですね。誘う手間が省けましたが……………休日はほとんど家で過ごすインドア派の総悟様が外出に積極的となると急に雨が降って中止にならないか心配になりますね」
失礼な!
身支度を済ませた俺と星奈さんは家を出た。そして神様に言われた通り会場までの案内をお願いし、承諾した星奈さんに俺は付いて行った。
(取り敢えず言われた通りにしたが……………これで会えるのか?)
半信半疑だったが、それはすぐに確信へと変わった。ゲーセンの近くに見知った顔である三玖も含めた五つ子と上杉兄妹の7人がいたからだ。
「あれ、上杉?お前が休日に勉強せず外出なんて珍しい。何してんの?」
「火野!丁度良かった。こいつら宿題もせずに祭「あ、火野さんと星奈さんだ!お二人もお祭りに行くんですか?」…………ら、らいは?」
上杉を遮って妹のらいはちゃんが話し掛けてくる。いやー、いつ見ても可愛い妹だ。上杉が羨ましい。
「うん、そうだよー」
「じゃあ、火野さん達も私達と一緒にお祭りに行こー!」
「ま、待て!こいつらの宿題が終」
「ダメ?」
「……………も、もちろん良いさ………」
相変わらず妹には弱いな。シスコンだからね、しょうがないね。
じゃけん、祭りに行きましょうね~。
to be continue………
今日も読んでいただきありがとうございました!
幕間の物語のその2とキャラ設定は執筆中ですので、もう暫くお待ちを!