夏休み終盤某日
総悟と上杉は五つ子とを総悟宅へ招集した。
「えー、と言う訳で。事前に予告してた通り第1回三者面談やりまーす」
なお、読者には事前予告はされてない模様
「て言うか、パパは?三者面談って言うから来ると思ってたけど」
「教師側が2人と生徒1人の3人の三者面談な。お父さんの方は江端さん経由で聞いたけど忙しいらしい」
医者だししょうがないね。
「大学・専門学校に進学、就職、留学……………自分のやりたい事に向けた進路をあるなし構わず正直にこの紙に書いてもろて。あくまで現時点でだからなー」
「書けた奴から火野の部屋に来てくれ」
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「さて、誰が最初に来るかなー」
「ま、一花辺りじゃないのか。あいつ、たぶん進学じゃなくて女優業に専念するだろ」
「確かにそれはある」
そんな事を話しているとノックの音が。
「失礼しまーす」
「はい、終了ですありがとうございましたー」
「まだ何言ってないよ!?」
2人の予想通り最初は一花だった。
「まぁ、予想は出来てるが取り敢えず見せてもらおうか」
一花は紙を上杉に渡す。それを総悟は横からチラ見。
「やっぱり私は進学しないでそのまま女優業に専念かなー」
「「………………」」
「え、何で2人とも何も言わないの…………?」
「いや………………逆に言う事がないって言うか…………」
「さっきお前について話していたからな。で、進路も思っていた通りのだったからな」
「あぁ、そうなんだ…………」
「「「…………………」」」
沈黙の部屋である。
「おい!これで終わったら一花姉さんだけ尺が短すぎるってあのホモ社長に怒られるぞ!」
「いや、それはないだろ…………あー……………一花は海外とかは視野に入れてるのか?」
「海外………?」
上杉の言葉に虚をつかれたようだった。
「いや、最近は海外で活躍する日本人女優とか多いんだろ?何か親父が好きな女優が海外の映画に出たとか話してたからな」
「なるほどな。で、海外って聞いて何か感じたか、一花姉さんよ」
一花は数十秒考える素振りを見せ、そして口を開く。
「………正直、考えた事もなかったけど…………もしかしたらあり得るのかな………?」
「そりゃ可能性は無限大だしね。……………なら、一花姉さんは英語関連の資格の勉強したら?」
「あー、何かそう言うのあるよね。合格とかじゃなくてスコアが出るやつ」
「別に受けるのは高校卒業してからとかいつでも良いからな。ま、英語勉強して損する事は無いし考えてみたら?勉強星人はどう思います?」
「俺もそれについては異論はない」
「うん、少し考えてみるよ。ありがとね、2人とも(……私が海外進出かぁ……………)」
次に来たのは五月だった。
「教育学部…………まぁ、そりゃそうか先生になるのが夢なら」
「ええ。先生になるには定番でしょう?」
「だだ……………中々偏差値が高いな」
「うっ」
上杉の指摘した通り問題はそこ。今の五月の学力に対して偏差値が追い付いていない。総悟は手元のパソコンで大学を調べてみる。
「ふむ……………そう言えば五月は何の先生になりたい?幼稚園?小学校?中学校?高校?」
「そうですね…………………私は高校の先生になりたいと考えています」
「で、やっぱ理科系の?」
「そうですね、得意科目ですから」
それを聞いた総悟は『うーん』と唸りながら左手でパソコンのキーボードを打ち、右手で上杉の手を掴んでツボを押す。
「おい、急にな痛い痛い痛い痛い痛い!!」
「ちょっと静かにしてろ、今考えてんだからさぁ」
「じゃあこれやめろ!(正論)」
そう言われて総悟は手を離した。
「(ん?何か目の疲れが取れたような………今のつぼ押しの効果か?)」
「あー、やっぱか。五月、理系の先生になるなら何も教育学部に拘らんでええぞ」
「へ?」
「工学部、理学部、農学部、薬学部等々………理系の教員免許ならこう言うとこでも取れるんやで。知ってた?」
「い、いえ。それは知りませんでした……」
総悟はパソコンを閉じて五月の目を見て話し始める。
「五月がどうしてもここの教育学部に行きたいなら無論全力でバックアップはするけど、恐らくこう言う学部を選択肢に入れることは頭にもなかっただろ。そこら辺も見てから結論を出すのも遅くないんじゃね?勉強星人はどう思う?」
「そうだな…………ま、寧ろ俺はそっちの方がいいと思うぞ。受験で理科の科目の点数の比重を高くしてる所もあるだろうからな。そっちの方が五月的にも有利だろ」
「……………確かにそうですね。分かりました、もう少し選択肢を考えてみます」
次は二乃である。
「私は無難に大学進学かしら。ま、特にやりたいことはないから楽そうな」
「ほい、経営学部に書き換え」
「勝手に人の進路変えんじゃないわよ!」
上からマッキーペンで塗り潰しかけていた総悟は仕方なくマッキーを後ろに放り投げる。放り投げたマッキーは筆箱の中にしっかりと入る。
「いや、二乃はやりたいことあるやろ。自分の店持つのが夢なんじゃ?」
「…………前に言ったでしょ。子供の頃の戯言よ」
「年齢的にまだ子供やろ(屁理屈) …………どう思うよ、フー君?」
「……………………」
「…………フー君?」
上杉は何故か二乃をじーっと見つめていた。総悟がもう一度呼ぶと漸く上杉は気付いたようだった。
「!……………悪い、少し考え事してた(…………やっぱ二乃じゃないのか……………?)」
「ふふん、私に見惚れてたんでしょ?良いわよ、満足行くまでくまなく見ても」
「ンンッ…………で、何の話だ?」
上杉は顔を赤くしながら咳払いして無理やり話題を変えた。
「二乃が自分の店経営したら面白そうじゃねって話」
「…………ただで奢ってくれるなら毎日行くぜ」
「こいつ……ほんま………」
「冗談だ。……………ま、俺はお前がどんな進路を取ろうと応援するだけだ。だが………まぁ………教師の立場抜きで個人的な事を言うなら………………二乃が作る料理は美味いから……アリだとは思うぜ……」
「!!…………………ま、まぁフー君がそこまで言うならもう少し考えておくわ」
その日の夜、二乃は経営が学べる大学をめっちゃ調べていたらしい。
「ほい、本命の三玖っ!上杉、お前はもう帰れ、消え失せろ(冷徹)」
「豹変し過ぎだろ!」
茶番はさておき。2人は紙を見る。
「経営の事が学べる学部じゃん。さっき二乃にも勧めたなー………………え。ちょっと待って、三玖ってお店経営が夢だったん!?(初耳)」
「うん」
何も知らない火野総悟さん(精神年齢おっさんレベル)
「ソウゴ、一花から聞いたけど将来は社長になって良い感じのビルの中に会社を構えるって聞いたけど本当?」
「そうだよ(肯定)」
「なら良し。私、そのビルの中でカフェをやりたい」
「フアッ!?」
ソウゴはびっくりし過ぎて机の上に立っていた()
「そして、ソウゴが仕事で疲れた時とかに来てリラックス出来るようなカフェにしたい。どう?」
「…………………」
総悟の妄想
『ぬーわん疲れたもおぉぉぉん!!』
『お疲れ様、あなた。はい、いつもの』
『Foo!↑三玖の作るものはこう…………最高やな!(語彙力)』
『あと少しだから頑張って。今日は金曜日だから帰ったら…………一緒に寝よ//』
『え、それって………』
『先にお風呂入って待ってるね//』
「うんっ!!良いっ!!!!最高すぎる!!!!」
「お前、マジで何を想像してた………」
上杉は何かを妄想していた総悟の顔が死ぬほどニヤニヤしていたのが頭に焼き付いていた。ちなみに、三玖も似た感じの事を妄想してたのは本人のみぞ知る。
「三玖っ!!絶対いい大学行こうな!!俺も頑張って凄い社長になる!!」
「うん、私も頑張る!」
「(まぁ、すんなり終わりそうだし良いか………)」
428秒後
「お、お待たせしました……………」
「よし、これはあの解法を使って……………」
「国内ランカー総悟様を舐めるなよ、このクソチーターが!…………………ほい、ざまぁ!チート使ってもお前ら何かに負ける俺ちゃんじゃないんじゃ!」
「私が遅すぎて勉強やゲームしてる!」
さらに42.8秒後。
「遅かったのー。お陰でチータをボコってドン勝ちしてもうた」
「遅かったな、暇すぎて勉強してたぜ。で、四葉の進路は………………」
渡された紙を見て上杉は固まる。それを見た総悟もチラリと見る。
「…………いや、空白!」
「すみません!すみません!頭を絞って考えたんだすけど、思いつきませんでした…………」
「何か将来の夢とかないのか?」
「…………………。今は、特にないですねアハハ………………」
上杉の問いに四葉の顔がほんの一瞬曇ったのを野獣の眼光の総悟は見逃さなかった。
「(今は、って事は昔はあったんだろうな……………大方、お母さんが亡くなった事で無くなっちまったって所かねー……………)」
「まぁ、お前は身体能力は高いからな。それを活かせる職とかあれば良いが……………」
「ジムのトレーナー、体育教師、インストラクター……………とかか」
「うーん………………」
どうやらあんまりピンと来てなさそうだった。
「…………………ふむ。取り敢えず四葉」
「は、はいっ!」
「この紙は返しておく。切っ掛けは何でも良いから、やりたい事が見つかったら書いて出せ。猶予は今年一杯。それでも見つからなかったらそん時はまた面談だな。とりま、今回はそんな感じで良いか上杉?」
「俺もそれで構わない」
「わっ、分かりました!」
「ふー、おつかれさん。ま、四葉以外は進路の方向性は大雑把には定まったな」
「ああ。……………にしても」
「ん?」
「…………高校生活も終わりが見えてきたな」
「……………………」
総悟にとって2度目の高校生活。1度目と比べて最高に充実していた。それが、間もなく終わる。
「少し寂しいが…………終わりがあるからこそかけがえのないものなのかもな」
「そうかもな。………………火野」
「あ?」
「残りもよろしく頼む」
上杉はそう言うと手を差し出す。総悟はそれを見てチョキを出した。
「俺の勝ち。何で負けたか、明日まで考えておいてください。ほな(HDK)」
「ほんとブレない野郎だ……………」
そう言いつつも、こんなやり取りも悪い気はしないと上杉は思うのだった。そして、リビングの方に帰ると村正が五つ子達に可愛がられていた。なお、村正については都合の良い感じに説明済みである。
「村正ちゃん可愛いね~。お姉さんがよしよししてあげるよ~」
「はわわっ……………偶には三玖や兄上以外から撫でられるのも悪くないわね……………」
「…………ねぇ。あんた、自分の事兄上って呼ぶように言いつけとかしてるわけ?」
「(そんな事して)ないです(マジトーン)」
「兄上だったり、お兄ちゃんだったり、その日の気分で結構変わってる。私は村正のお母さん的な存在だから詳しい(ドヤ顔)」
「ええっ、てことは……………もしや火野さんと三玖って結婚してるんですか!?」
「ま、まだ学生なのに結婚だなんて早すぎます!」
「してるわけないだろ、この早とちり45シスターズ」
呆れ気味に返していると、村正は総悟の方に駆け寄る。
「お、お兄ちゃん……………頭…………………」
「ほいほい」
「♪」
撫でられてご満悦の村正。同じく妹がいる上杉も何だか見ている内に撫でたくなってきた。
「折角だから俺も撫でてやるか」
「あ?〇すぞ、アホ毛野郎が」
「いや何で!?」
上杉だけ当たりが厳しくて腹を抱えて草を生やす総悟。
「いや、別に俺何もしてないよな!?何で俺だけ総悟みたいな事言われるんだよ!?」
「何でって、お兄ちゃんが上杉は今みたいな感じの扱いで良いって言ってたから」
「ま、多少はね(意味不明)」
「やっぱお前のせいか!てか、何が多少はだよ!」
「……………なんだァ…………人の家の教育方針にケチつける気かァ…………?」
「貴様…………兄上が悪いと申すか…………!?」
そして、2人揃って。
「「○すぞ、ガリ勉野郎」」
「お前らほんとは血の繋がりあるだろ!」
この後、超美味しいチャーハンをご馳走したら一瞬で許された。
to be continued……
四葉だけ進路未定。本編か幕間かは未定ですが、四葉の進路についてもしっかりと答えをだす話はします。何故か漫画の本編では四葉の進路は言及されてなかったですけど、何か最近映画館でやってるアニメのHP見たら四葉の進路が初めて明言されてましたね。
『何で漫画の本編でそれを言わんのや……他の姉妹ははっきりしてたのに…………自宅からチャリで来ましたとかよりも、先ずは進路について言及してくれYO!』と思わなくもないですが、まぁ良いや。作者は三玖推しだし。とりま、理学療法士について調べよっと。
では、また次のお話で。次はたぶん本編に戻ります。