原作が五等分の花嫁なのに原作要素が一ミリもない小説はこちらです。
「…………………ん………………………んん…………………ふわぁー……………………」
カノンは目を擦りながら大きく伸びをする。どうやらここは家のようだ。
「いやぁ、昨日は楽しかったなぁ…………………あんなにはっちゃけたの久しぶりだよ~。いやぁ、お酒の力って凄いもんですねぇ………………………あ、そう言えば第1位様が運んでくれたのかな?お礼を言わなきゃね。さっ、準備準備っと」
朝食を召し上がって身だしなみを整えて準備万端。カノンは家を飛び出してすぐに職場に到着した。
「おはようございま………………………やばばばばばばーー!!!何ですかこれは!?えぇ!?」
カノンは驚愕した。昨日のパーティーで使った第1位の部屋がボロボロだからである。天井には穴が開いてそこから日の光が差し、窓ガラスは全壊、置いていたインテリアはボロボロ、壁には大きな穴が開いていた。ボロボロのソファーに寝そべっている第1位がカノンの方を向く。
「おー、おはようカノン。二日酔いとかは大丈夫か?身体はだるくない?」
「え?まぁ、身体はなんともないですけど…………………………って、そんな事よりも!何ですかこれ!?まさか………………………私が知らない内に暴れて!?すみません、許してください!何でもしますから!」
「もし暴れたらとっくに僕が何とかしてるよ。自分で言うのも自慢んみたいでアレだけど、強いし」
「あっ、確かに…………………じゃあ、昨日は一体何が………………?」
「─────敵襲だよ」
予想もしてなかった言葉にカノンは一瞬言葉を失った。
「どうやら、僕を気に食わない連中がとうとう動き出したらしいね。君が酔いつぶれて寝てる間に5人から敵襲を受けたねー」
「サラッととんでもない事を言ってますけど、大丈夫ですか!?お怪我は!?」
「落ち着きなって、ノーダメだよ。全員撃退した。捕まえれりゃなお良かったんだが、逃げ足だけは早くてね」
それを聞いてほっとしたカノンは胸をなでおろす。
「良かったぁ…………………いや、よくよく考えたら全然よくないですね…………………………第1位様が戦っている最中に秘書官である私は酔いつぶれて爆睡してたなんて…………………………うぅ…………………………」
「そう落ち込むなっての。昨日のパーティー中は業務時間外だからな気にすんな」
「うぅ、第1位様はお優しいですね……………………お酒のように体に染みます…………………あっ、今私うまいこと言いましたね~」
「…………そうだね(適当)」
割と適当に返事されてるが、カノンはそれに気づかない。それにしても、と表情を引き締める。
「第1位様を狙うような刺客ですか………………………うーん、一体誰なんでしょうね?ここ最近の第1位様に対する神界人での支持率は絶好調ですし、一体誰がそんな事を…………………………?」
「いるじゃん、僕を恨んでそうな奴らが」
「んー……………………そんな奴らなんていましたっけ?」
「今も進行形で職務放棄してる奴らがいるじゃん」
「………………………あっ!もしかして他の数字持ちですね!最近、彼ら抜きでも余裕で仕事が成り立ってたんですっかり忘れてました!」
カノンに遠回しに他の数字持ちを要らないもの扱いされているが、実際にその通りである。反逆を予想していた第1位が人工知能などを投入したお陰で現在も仕事は余裕で進められている為、『もうこの2人だけで良いんじゃないかな』みたいな状況になっている。
「フッ、君も中々言うようになったじゃないか。まぁ、彼らがいなくても成り立っているとは言え、数字持ちなんだからいるべきなんだけどね」
「…………………やっぱり、人間の文化を導入した事や神界全体の人間に対する評価が変わってきた事が原因ですよね?」
「多分ね。まったく、やれやれだ」
面倒事が増えた事が憂鬱な第1位は大きなため息をつく。
「ええっと………………………それで、どうしますか?一先ず、他の数字持ちと話し合いでも設けますか?」
「………………君は彼らがそれに応じると思うのかい?口より先に手を出してきた奴らが?」
「………………いえ、絶対応じないでしょうね」
もうこの時点で交渉の余地は無かった。で、あれば戦う以外に道は無い。
「じゃあ、話は決まりだな」
「ですね!じゃあ、先ずは作戦とか立てないとですね。まずは……………………」
「あー、待った待った。それについては既にもうを考えてある」
「おー、流石ですね!正直、こういう考え事とか苦手だし、めんどくさいので助かります!」
「君、よく秘書官になれたよね………………」
少し呆れ気味で呟く第1位だが、まぁ良いやと切り替える。
「じゃあ、カノン」
「はい!」
「君に──────────
1ヶ月の有給休暇を授けよう!」
「はい!…………………はい?」
カノンside
「あっという間に来てしまった………………地球に……………………………」
私カノン!有給貰って地球に来たよ!やったね!
…………………………まぁ、本当は秘書官なんだから第1位様と一緒に戦うのが当たり前だと思うよ、そりゃあ。けど、私はびっくりするほど弱いからね。だから、第1位様は戦いに巻き込まれないように配慮してくれたのだろう。私としても、足手まといと言うか足枷になるのも嫌なので異論はない。
『これお金とか必需品ね。それと、連絡機能を備えたブレスレット。…………………このブレスレットだけは肌身離さず持っててね、マジで』
最後だけ真面目な口調で言われた後に、日本と言う国の東京にあっという間に飛ばされました。にしても、そんなにこのブレスレットが大事なんですかね?よく分からないけど。
「第1位様が戦っているのに、私だけ休むのも気が引けるんですけど…………………………………まぁ、でも折角有給貰って地球に来たんですし、楽しまなきゃ逆にダメですよね!よーし、こうなったテンション上げていきますよー!」
スカイツリーにて
「スカイツリーの展望台にとうちゃーく!……………………って、曇ってて何も見えないし!そりゃ人も少ないですわ!くっそぉ………………………こうなったら、お土産を全爆買いする!」
ワイン専門店
「高っ!ロマネコンティってこんな高いのかぁ……………………………うーん、流石に今のままじゃ買えないし…………………………………あっ、そうだ。無いなら増やせば良いんだ…………………(悪魔の笑み)」
競馬場
「やっ…………………………やったァァァァ!貰った全資金ぶっぱしたのが100倍以上になって返ってきたァァァァァ!天才か、私はッ!これならロマネコンティも余裕で買える!待っててね、ロマネコンティ!」
滞在先のホテルにて
「むにゃ………………もう飲めましぇん……………(酔い潰れ)へへっ、明日は何をしましょうかねぇ…………お金はあるんですから、もっとぱーっと使ってやりますよぉ…………」
「……………………と、言う訳で滞在1日目からフルスロットルで行った結果、3日で資金を使い果たしまして……………」
『ちょっと何言ってるか分かんない』
わずか滞在3日。その間に私は貰った滞在資金を全て使い果たしていました。これは…………………典型的なダメ人間と言う奴ですね(名推理)
「何か、こう………………………弾けちゃったんですよ……………………………競馬で一発当てた辺りからですかね…………………………」
『取り敢えず、君は結婚したらお金の管理は夫の方に任した方が良いと言う事が分かったよ。そして、大量の始末書が必要だと言う事もね☆』
「始末書は嫌です……………始末書は嫌です…………」
『そんな『スリザリンは嫌だ』みたいに言ってもダメです(無慈悲)』
うぅ……………………有給でお休み中に始末書を書くことが確定してしまうなんて…………………不覚です………………!
『まったく…………………………必要最低限は振り込んどくから、次もまた競馬とか豪遊したら命綱なしで富士山の火口に飛び込んでもらうからね?(脅し)』
「はい!もうしません!次は固いレースにだけ賭けま『は?(威圧)』い、今のは冗談ですよ、ほんとに!神に誓って冗談です!」
『ふん、どうだかね…………………』
「そっ、そう言えば第1位様の方は大丈夫ですか?」
これ以上この話題に触れられたくないので咄嗟に話題を変えました。
『あれから毎日襲撃来てるけど、何だかんだで全部撃退してるよ。つーか、丁度今も戦ってる最中』
「へー、そうだんですか……………………………って、今も!?」
『そそ。剣飛ばしてる最中』
やんばー!!え、じゃあ今まで私と話しながら戦ってたって事!?何か凄ッ!
『……………あっ、消えやがった。今日はあっさりしてたな。『逃げるな卑怯者!逃げるなァァァァ!!』って某長男なら言ってたわ』
「某長男って名前の人がいるんですか?(天然ボケ)」
『そんな名前の人いてたまるか…………………あぁ、そうだ。カノン、君のおじいちゃんの日記って今もあるのかい?』
「?……………あの日記は
『さぁ、それはどうだろう?元数字持ちって事は頭が良かったはずだ。何かが巧妙に隠されてるかもしれないよ?』
んー………………第1位様はそう言うけど、それは無い気がする。あの日記は何度も読んだが、特に隠しギミックはない。本当にただの日記だ。
「まぁ、調べ分は構わないのでお好きにどうぞ。私の家の倉庫に置いてあるので。ちなみに、その地下倉庫はひいおじいちゃんのものを私がそのまま貰ったやつです」
『へー、そうなんだ。オッケー、ありがとさん。じゃ、早速調べ事するんでここら辺で』
「あっ、はい分かりました。それでは失礼しまーす!」
こうして通話は終わった。私はベットにだいぶして一息つく。
「ふぅ……………………そう言えば、おじいちゃんの事って第1位様に話してたっけ(酔ってたので覚えてない)………………………まぁ良っか!にしても、おじいちゃんかぁ……………………事故がなかったら、今も生きてたのかなぁ…………」
おじいちゃんは私が小さい頃に爆発事故で亡くなった。その事故で半数以上の数字持ちが亡くなっており、当時は神界が激震したらしい。他の数字持ちの人達によって調査は行われたそうだけど、原因は不明で結局調査は打ち切りになった。私はどうも両親とは反りが合わなかったので、おじいちゃん子だった。だから、おじいちゃんが亡くなった時は心に穴が開いたような感覚で、立ち直るまでにかなりの時間が掛かった。
「………………………って、しんみりしてもしょうがないよね!さっ、ビールでも飲もっと!…………………………この前のロマネコンティと比べると、随分安くなっちゃったなぁ……………………はぁ、ロマネコンティちゃんが恋しい……………………………」
1日で全部飲まないで、少しは残しておくべきだったかなぁ…………………………。
そこからさらに時間は飛んで有給最終日。私は既にほろ酔い状態。
「はー、何だかんだで今日で地球滞在最後ですかぁ…………何かさみしいな~…………」
どう言う訳か分からないが、毎日のように続いていた2週間前から第1位様に対する攻撃がピタリと止んだらしい。それから何も起こらなかったのもあって諦めたと判断したのか、予定通り私は帰る事になった。
「毎日のように戦っていた第1位様には申し訳ないけど、何だかんだで良いリフレッシュになって楽しかったな~。色んな所に行けたし、美味しいものもたくさん食べれたし、道に迷ったりしたら助けてくれる親切な人もいたし…………………………………なーにが『自分達よりも弱く、尊敬するに値しない愚かな生物』だっての!全然そんな事ないじゃん。これを最初に広めた奴は節穴過ぎだっての」
もしくは、ちゃんと調べもせず適当な偏見で広めたんでしょうね。馬鹿を通り越して愚かですよ、全く。
「まっ、そんな事はさておき………………………今日で地球とはおさらばですからね。今日の夜ご飯は少し奮発して高級なお弁当を買っちゃった!まぁ、第1位様も許してくれる!………………………たぶん」
『まぁ、これくらいなら許してやんよ(寛大)』or『また始末書書くんか?お?(威圧)』のどちらなのだろうか…………………………いや、もう今日は考えるのは良そう。始末書案件でも明日の私が何とかしてくれる。
「さーて、いたたきま『コンコン』……………………はーい、今開けまーす」
内心では『いい感じの所で水を差すかのように邪魔しやがってェ…………………』と悪態をつきながらドアを開けた。
それが私の意識はぷっつりと途切れた。
調べ物をしに出掛けていた第1位が帰ってくると、机に写真伏せて置いてあった。
「………………………………」
写真の裏にはとある座標の情報と時間の記載が。そして、肝心の写真の内容は──────────
十字架に磔にされているカノンが写っていた。
to be continued…………………