国は青ブタの視聴を義務化する法律を作ると良いと思う()
カノンside
「ん…………ううん……………………………………………は?」
目を覚ました時には私は大広間の中で十字架に縛り付けられていた。いや、なにこの状況?
「目を覚ましましたか」
「……………………………」
そこにいるのは第2位だけではない。他の数字持ち達も殆どが揃っていた。
「…………………………あぁ、なるほど。私はあなた方に攫われたんですね。人質ってやつですか」
「察しが良くて助かるよ。すまないね、カノン君。用が済んだら解放するさ。本当はこのような手荒な手段は用いたくなかったのだがね」
「…………第1位様を殺そうとして、散々手荒な真似をしている癖によくそんな事が言えますね」
「貴様、たかが秘書官の分際で生意気な!」
誰かが攻撃しようとするが、それを第2位が止める。
「君は少し勘違いしている。君は我々が行っている事を悪だと思っているが、それは早合点だ」
「………………どう言う意味ですか?」
「我々は神界を
「…………………いえ、その通りですね」
別にそれは否定しない。確かに第1位様によって良い方向にこの世界は変わった。人間の文化がこの神界にも溢れた。
「それが何か問題でもあるんですか?」
「この神聖なる神界が汚されてしまっているんだ。問題しかないだろう?」
「………既に殆どの神界人は人間の文化を受け入れていますが?」
「彼らは奴に騙されているのさ。恐らく洗脳でもされているのだろう、哀れなものだ。そもそもの話、カノン君。人間と言うのは我々と違って優れた知性も身体能力なく、尊敬にすら値しない愚かな種族だ。そんな低能な奴らが作り出した文化など、果たして我々に必要かい?私はそうは思わな─────────」
「…………………………………」
まだ何か喋っているが、私は何も聞いていなかった。どうでもよすぎた。第2位が喋ってるのを遮るように私は口を開く。
「1つ聞きたいことがあるんですけど」
「……………………………何かな?」
「あなたは………………………人間と会ったり喋ったりした事はあるんですか?人間の文化に触れてみたりした事はあるんですか?」
「何を聞くかと思えば…………………………言ったはずだ、人間と言うのは我々と違って優れた知性も身体能力なく、尊敬にすら値しない愚かな種族。そんな低能な奴らと会話は勿論、作り出した文化になど触れたくもないね」
…………………………あぁ、やはりか。
「あぁ………………………そうですか、これでよく分かりました」
「そうかそうか。我々が行っている事が正しいと理解してくれた、と言う事で受け取って良いんだね?」
「えぇ、そうですね
あんたが第2位の割には馬鹿って事が良く分かりました」
その言葉に大広間が冷え切るのが良く分かった。
───────後から振り返ってみれば私はとんでもない事を言ったと思っている。酔っていたのもあって、馬鹿正直に言ってしまったのだろう。お酒って怖いね。
「確かに、人間は我々よりも身体能力や知能では劣ってるかもしれないですよ。私、ここ1カ月くらいは人間と接してたんで。けど、何も見ないで尊敬に値しないとかって決めつけるのは飛躍しすぎじゃないですか」
「…………………………………」
第2位は黙っていた。
「実際に人間と話してみたり文化に触れてみて、それで尊敬に値しないって言うならまだ分からなくもないんですけど……………………………それすらしないで、人間は尊敬するに値しないー、とか…………………………………馬鹿だなー、って感想しか思い浮かばないんですけどね?」
「…………………………………」
「と言うか、思ったんですけど………………………さっき
「……………………へぇ」
それを聞いた第2位のまとう雰囲気がガラッと変わった。先ほどまで胡散臭いように感じていた紳士のような雰囲気が消えた。これが本性だろう。
「てっきりビビるかと思っていたが……………あっちで何かの影響を受けたのもあるだろうが、中々口が達者だな。それに鋭い所もある。遊んでやろうかと思ったが……………生憎時間がなくて、な!」
「がはっ……………!」
一瞬で目の前に来たかと思えば、腹部に拳が深くめり込む。途端に意識が遠のいていく。
「お遊びは後に取っておこう。メインディッシュを始末してからゆっくりと楽しんでやるから、な」
第2位らは大広間を出て別室に入る。そこは神界をリアルタイムで監視できる部屋だった。部屋のあちこちに神界の様子が写し出されている。
「奴は今どこにいる?」
「不明です。奴は完全に姿を消しています。逃げたのかも知れませんが、どうしますか?」
「構わん。それよりも、対神奇襲兵器『天の矛』の最終調整はどうだ?」
「調整は完璧に済んでおります。……………ですが、第2位様。奴は指定された場所に来ますかね?」
「唯一、最初から自分の味方でいてくれたあいつを奴は見殺しには出来ないだろう。人間と言うのは情を捨てきれない奴らしいからな。元人間の奴も確実に来るだろう」
彼等の作戦は至ってシンプルだ。指定した場所に第1位をおびき寄せた後、神界から数億光年離れている場所に設置された『天の矛』から放たれるエネルギー照射で跡形もなく抹殺しようとしているのだ。
「奴は案外あなどれないからな。念の為『天の矛』まで持ち出す羽目になったが、まぁ良かろう。奴の最期を盛大に看取ってやろうじゃねぇか」
そう言って第2位は笑った。冷酷で、残忍な笑みを浮かべて。
全ての準備を終えた第2位らは先ほどまでいた大広間に戻ってくる。いつからか意識を取り戻していたのか、カノンが首を上げる。
「よぉ、待たせたな秘書官」
「…………………!」
「さっきと変わらない敵意を向けてくるか…………………………………だが、さっきと違って怯えや恐怖も見えるな?」
「………………そりゃあ、まぁ…………どうせ私も後で殺す気でしょうし」
「ほう、察しが良いな。だが、俺達への忠誠を誓うなら命は助けてやっても良いが?」
「生憎ですが、私が忠誠を誓ってるのはあの人だけですので。どうせ死ぬので言ってやりますけど……………………誰がいなくても問題のないお前らなんかの元で働くか、バーカ!!」
あながち間違いではない事を言われ、場が殺気立つが第2位にはその様子はなく、やれやれとため息をつく。
「………………全く、お前もお前の祖父も変わり者だな。揃いも揃って、人間に肩入れするとは」
「!?」
「何で俺がお前の祖父を知っているかって?簡単な話さ。俺とお前の祖父はかつて
カノンはその言葉に目を大きく見開く。そんな表情が愉快でたまらないと言った風に第2位らは笑う。
「事故で地球に行ってからあいつは変わっちまったな。人間の文化や人間自体に愛着を持ち始めた。奴を発端に他の数字持ちも影響を持ち始めた。あぁ、本当に不愉快でしかなかったな。今も思い出すだけで反吐が出るぜ」
「っ……………………!」
「おいおい、怒るのはまだ早いぜ?冥途の土産に良い事を教えてやるんだからよ……………お前の祖父が死んだ事故の調査で爆発の原因は分からず、原因不明と処理されたが……………………………本当原因が分かってないとでも思ったか?」
「!!」
「そもそもの話、調査何て行われてねぇ。原因なんて
「……………まさか………………………」
「そう!!お前の想像通りだ!!
お前の祖父を殺したのは俺と言う訳だ!!ア"ーッハーッハーッハーッハッ!!!ア"ーッハーッハーッハーッハッ!!!」
狂ったかのように高らかに笑う第2位。彼とは対称的にカノンは茫然としていた。思考が鈍り、頭が真っ白になる。
「手口は今からやろうとしている事と同じさ。適当な理由であいつや他にターゲットにしていた奴らを呼び出し、そこを『天の矛』の照射で跡形もなく消し去った、って訳さ。俺は近くでその瞬間を見ていたが、傑作だったな。何が起こっているのかも分からず消え去るのを見るのはな!!ハーッハーッハーッハッ!!」
「…………………んで」
カノンの瞳からは涙が零れていた。
「何で…………おじいちゃんを………………何でおじいちゃんを殺したんだよ!!」
「何で?人間に肩入れし始めたあいつが気に食わなかったのもあるが、単純に邪魔になると思ったからな。俺たちの正しい世界を作る計画に賛同しなさそうな奴は事前に消しておくに限るだろう?それだけの事だ」
「そんな理由で、私の………………………私のおじいいちゃん達を殺したのか!?ふざけるな…………………………ふざけるなよぉ!!」
「いい表情だ!もっと楽しみたい所だが…………………………どうやらメインディッシュが来たらしい」
そう呟くと目の前に映像が浮かび上がる。その映像に映っているのはただ1人。
「第1位様!!」
「やはり来たか!やはりこいつを見捨てられないだろう!優しい奴だ………………………だが、それが仇となるのさ!」
「ダメ…………このままじゃ『天の矛』が……………逃げて、第1位様!逃げて!!」
届くはずもない。だが、カノンは叫ばずにはいられなかった。だって、彼は一緒に夢を叶えた仲間だから。
「さらばだ第1位……………『天の矛』、照射!」
第2位が合図した瞬間、映像上の第1位にまばゆい光が降り注ぐ。画面が暫く乱れていたが、やがて映像が回復する。そこに映っていたのは地面が抉れている映像、そして先ほどまで第1位がいた場所には何もなかった。
第2位はもう興味を失ったのか、再びカノンの方へ視線を向ける。
「さぁて、デザートの時間だ………………………心だけでなく、体にも苦痛と絶望を叩きこんでやるよ。じっくりと、なぁ……………………」
下劣な笑みを浮かべながら近寄る第2位ら。これから何が起こるのかはカノンも分かっていた。これから起こる事を想像すると震えが止まらなかったし、泣き叫びたかった。そうしてしまった方が楽になれたかもしれない。でも─────
「(……………………私の運命ももはやこれまで…………けど、せめてあの人の秘書官として…………最後の瞬間まで堂々とするんだ…………………それが秘書官としての私のプライド!)」
─────────彼女はもう逃げるだけの女の子ではなかったのだった。
「フッ、初めて会った時よりも良い表情をするようになったじゃあないか、カノン。流石は僕の秘書だ」
カノンが首を上げる。第2位らも上げる。重力に逆らって天井に立っている人物が1人。
「なっ、おま」
「『普通のパンチ』」
喋る時間も与えず、第2位の目の前に瞬間移動したかと思えば文字通り某禿げた最強ヒーローの『普通のパンチ』を顔面に叩きこむ。『普通のパンチ』を喰らった第2位は高速回転しながら部屋を突き破ってダイナミック退出して行った。他の数字持ち達は誰1人この急展開についていけず、ただ突っ立っていた。そんな彼らに目もくれず、十字架を軽く蹴って粉々に破壊すると、落ちてきたカノンをお姫様抱っこで受け止める。
「あ……………………え????」
「すまなかったね、カノン。君を危険な目に合わせないようにしたのにも関わらず、危険な目に合わせてしまった。このお詫びは後でちゃんとさせて貰うよ」
「や……………………やばーーー!!」
その人物─────────つい先ほど死んだはずの第1位を見てカノンは驚きながらも、嬉しそうに叫ぶのだった。
to be continued………………
おや、数字持ちからメッセージが……………………え?今からでも入れる保険はないか?
そんなのないんで、第1位は命懸けで、死ぬ気で何とかしろ。つーか、死ね(直球)