「……………………これがその方法か?自分だけ犠牲となってあの秘書官だけでも逃がそうと言う魂胆か?何とも感動的だな…………………………………だが、あの秘書官も我々の真実を知っている以上、始末する事には変わらない。お前の行為はあいつの命を数分生き長らえさせただけで、無意味でしかない」
「さぁ、どうかな?ほんとに無意味かどうか、試してみる?」
「…………俺はあの秘書官を始末しに行かせてもらう。あとは好きにしろ。……………………さらばだ、第1位」
その合図の瞬間、数字も持ち達の固有能力による攻撃が一斉に襲い掛かり、その猛攻故に第1位の姿が見えなくなった。それを確認した第2位は今度こそ第1位に興味を失ったようで、死体を確認する事もせずカノンを追ってその場から消えるのだった。
一方、カノンは第1位によってどこかの森に転送されていた。
「ここは…………………………森?何で私は………………………まさか………………………!?」
「そう、奴がここへお前を逃がしたのだ。愚かにも、な」
カノンが振り向くと、そこには浮遊する第2位の姿が。
「今頃、あいつは始末された頃合いだろう。後はお前を始末すれば、真実を知る者は誰もいなくなる訳だ」
「ッ……………………!」
それを聞いてカノンは一瞬泣きそうになるが、すぐに表情を引き締める。
「…………………………なら、そう簡単に死ぬわけには行きませんね。生きてこの真実を皆に公開します………………………第1位様もそれれを望んでる筈ですから」
「ならばどうする?何の固有能力も持たないお前が俺を倒すとでも?言っておくが、俺の固有能力は最強だ。模擬戦闘でも誰にも負けたこともないし、そもそも俺の固有能力は誰にも
「……………………そうですね。たぶん、私じゃあなたと戦っても勝てないでしょう」
そう言ってカノンは第2位に対して背を向ける。
「なので、選択肢は1つ──────────『逃げ』しかないですね!」
カノンは超高速で森林を駆け始める。第2位も追いながら複数の光弾を放つ。
「よっ!」
光弾が当たる直前にカノンはジャンプして木の枝に飛び移って回避した。
「ほう………………………少しはやるじゃないか。能無しかと思っていたが、どうやらそうではなかったらしいな…………………………ならば、これは避けれるかな?」
第2位は頭上に大きな光弾を放つ。上空で光弾は弾けたと思えば、一気に雨のように降り注ぐ。
「……………行けっ…………!」
自分を鼓舞するように呟いたカノンは木から飛び降りてさらに加速。光弾の雨を森に生えてる木や地形を利用しながらパルクールのようにアクロバティックな動きで避けていく。数分に及ぶ攻撃の雨が止んだが、カノンの身体には一切の傷はなかった。
「………………これは少し驚いたな。全て避けきるとは」
「生憎、私はずっと逃げていたものですからね。神聖術はそこまで得意ではないですけど、唯一得意だったのが身体能力の強化でしたから。逃げるにはこの上なく相性抜群です」
「確かにな。だが、逃げてばかりでは何も変わらないが?」
「いえ、それは違いますよ。身体能力の強化する術はそこまでエネルギーを使いませんが、攻撃系の術は身体能力の強化よりはエネルギーを消耗します。長期戦になればあなたの方が先にエネルギーが尽きる。そうなれば、私にも勝機があります。違いますか?」
「なるほど、確かにその通りだ。いかに数字持ちと言えども、エネルギーが尽きればお前でも倒せるかもしれんな。考えたものだな」
第2位はあっさりと認めて見せる。それがカノンには少し怪しく見えた。
「(この人、まだ全然余裕そうだ…………………………………恐らく、まだ固有能力を使ってないだろうしそりゃそうか。にしても、誰にも分からない固有能力って一体…………………?)」
「考え事とは感心してる場合なのかなァ!」
「!!」
考え事をしていたカノンだが、放たれた光弾は何とかギリギリで避けた。
「ッ………………………!危なかったぁ…………………………!」
「見事な反射神経だな…………………………良いだろう、ここまで耐えたご褒美だ。特別に固有能力を見せてやろう!」
「(来る!?あいつの動きに全身全霊で注目しろ!固有能力の正体を見破るんだ!そして逃げてみせるんだ!)」
そして、第2位は紫色のオーラをまとい、口を開く。
「固有能力、発動」
「…………………………え?」
カノンはいつの間にか地面に倒れていた。
「一体何が……………うぐっ…………………!」
脚や腕に、いや全身に痛みが走る。いつの間にかカノンの全身に穴が開いていて、そこから血が出ていた。痛みの余り叫びそうになるのを意地で抑え込むが、涙だけは我慢できなかった。
「いいねぇ、その苦悶に満ちた表情。俺は人が苦しんでいるのを見るのが大好きでね…………………………だが、まだ足りないねぇな!!」
「ガハッ…………………………!」
急降下してきた第2位の手刀がカノンの胸を貫く。致命傷を喰らったカノンは血を吐く。そんな彼女の首根っこを第2位は掴んで持ち上げる。
「くっ………………………そぉ…………………!」
抵抗しようとするが、腕や足に力が入らない。そうこうしてる内にカノンの意識が少しずつ遠のいて行く。
「どうせお前は死ぬからな。最後に俺の固有能力を教えてやるよ。俺の固有能力は『時間停止』だ。止まった時の中で動けるのはこの俺だけだ」
「…………なっ………………じゃあ、最初から勝ち目なんて……………………」
「そうだ、お前に勝ちめなんて最初から無かったんだよ!!だが、必死に逃げ回るお前を見ているのも少しは面白かったぞ、秘書官。だが、これでゲームセットだ」
万事休す。これほどまでにこの言葉が似合う状況は無いだろう。時間を操る能力の前では自分は無力でしかない事をカノンは痛感していた。
「(………ごめんなさい、第1位様……………………やっぱり私なんかじゃ敵う相手じゃなかったです…………弱いなりに頑張ったんだけど………悔しいなぁ………)
自分の弱さに対する悔しさと逃がしてくれた第1位への申し訳なさを思いながら、カノンの意識は暗闇に吞まれていった────────。
「いいや。ゲームはまだ終わってないよ」
意識が完全に消えようとした時だった。圧倒的な何かが私の身体に入り込んできたのは。
「(…………温かい…………それに、凄く安心する……これは………………)」
死にかけの私の身体を何かが包み込む。すると、身体中に空いていた傷が再生していく。いや、何と言うか…………『私』が、私の身体が
「良かった、間に合って。君を守りながらでは流石に僕も全力で戦えないからここに逃がしたんだが……………これは愚策だったな。すまなかったね」
「い、いえそんな!こうして生きてるんで、全然問題ないですよ!…………にしても、ご無事でなりよりです」
クリアになった視界には私を抱える第1位様がいた。とてもホッとした様子で、初めて見る表情だった。
「………ふむ、今回はあまり驚いてないようだね?」
「……………まぁ、何となく生きてるんじゃないかって気がしてました。私がそう信じたかっただけかもですけど……………っと」
改めて私の身体を見回す。身体に空いていた穴は勿論、服の穴まで完璧に治っていた。神界にも回復の術式はあるが、第1位様の使ったアレは回復と称するには不適だ。
『再生』と称するのが正解だろう。
「…………あれ、そう言えば第2位は?」
「君を掴んでいた腕を手刀で切断してアクセルキックで吹っ飛ばしたけど………………っと、噂をすれば」
第1位様の視線の先にはさっきと違ってボロボロな第2位の姿があった。ほんとに片腕がな…………あ、再生した。
「……………不意討ちとは卑怯だな。正々堂々と戦うことすらできないのか?」
「卑怯もラッキョウもあるかっての。真っ正面から殴りに行ったら君が気付くのが遅いだけだったと思うんですけど(煽り)」
「…………まぁ良い。しかし、どうやってあの場を潜り抜けた?奴らは俺には及ばなくとも数字持ちだ。数字持ち99人に対してお前が勝つ見込みはないと思っていたのだが?」
確かに……………普通に考えて99対1はどう考えても無理なのでは?
「まー、簡単に話すとね…………」
「は、ははははははは!!勝ったぞ!!我らの勝利だ!!」
「何とも呆気ない最期だったな!!」
「所詮はその程度だっ「確かに所詮はその程度だったね、
先の総攻撃で死んだ筈の第1位がいた。傷1つついておらず、余裕でピンピンしていた。そしてその右手には「剣」と言うには独特な形をしており、赤い光を放つ文様を備えた三つの円筒が連なるランスのような形状をしていた。
「まぁ、某先生みたいに
そして第2位がいないのに数秒で気が付いた。
「カノンの方に行ったか。すぐに探知するとは、腐っても数字持ちのNO2って訳か。じゃ、僕も行くか」
そう呟くと、3つの円筒が連なるランスの部分が回転を始め、周囲の風を魔力を伴う超高速回転で巻き込んで異常なまでに圧縮していく。
数字持ち達は本能で悟った。あの技を使わせてはならない、と。使われれば全て終わる、と。
「や、殺れ!奴を今すぐ」
「
そして無慈悲に放出され真空波の渦が解き放たれた。
「まぁ、そう言う訳で全員ノックアウトして、ついでにあの異空間破壊してここに来たって感じ☆」
「さらっと言ってますけどとんでもないことしてますよ!?」
異空間を破壊するにはとんでもない威力の術を行使しなくては不可能な筈。それを難なくやってしまうなんて……………やっぱり凄い、この人。
「あぁ、そうだ。ついでに君の部下は回収してあげたよ。ほれ」
第2位の隣に魔方陣が出現したと思えば、気絶してる数字持ち×99が出てきた。
「………やれやれ、使えない奴等だ。たった1人相手に全員返り討ちとはな」
うわぁ……………こいつ、最低だ。自分の部下に対してそんなことを言うなんて。クソ上司だ。
「だがまぁ……………ある意味好都合かも知れないな。何せ、この手で貴様を殺せるのだからなぁ!」
「へぇ。99人がかりでも殺せなかったのに?」
「俺をそいつらと一緒にするな!!お前にも俺の最強の固有能力を見せてやろう。まぁ、お前はどんな能力か分からずに死ぬがなぁ!!」
「!!第1位様、あいつの固有はじ」
「
遅かった。第1位様に伝えるよりも早く第2位は固有能力を発動し─────────時は止まった。
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停まった時の中で動けるのは第2位、ただ1人。ゆっくりと第1位に近づいていく。
「クハハハッ…………いかに強いと言えど、この時間停止能力の前では無力に等しいんだよ。何故なら、この停まった時の中で動けるのは俺だけなんだからなぁ…………!」
そして第1位の目の前に立つ。
「本来なら致命傷を負わせた後に能力を解除して苦しむ所を楽しみたい所だが……………奴の固有が分からない以上、解除するのは愚策。ここで殺すとしよう」
第2位は何もないところから召喚した剣を構える。狙うは第1位の首だ。
「じゃあな、第1位ィ!!安心しろ、秘書官もすぐに殺してやるからなぁ!!」
そして、剣を振り下ろした───────
───────が。
「悪いが、それはノーサンキューだね」
「んなっ!?」
首をはね飛ばす筈だった剣は一瞬で粉々に砕かれた。動けない筈の第1位の手によって。
「ほい、ギャリック砲」
「グホァ!?」
某ツンデレ王子の技が至近距離で直撃。第2位は木に叩きつけられ、地面に倒れる。時間停止も解除してしまった。
「時間停………………って、えぇ!?第2位が倒れてるし!何で!?」
「最強なんて言うから、どーせ時間停止とかそんな所だろうとは思ったよ。想定通りで草」
「(余裕過ぎて草生やしてる…………)」
カノンが引き気味な様子で心の中で呟いている中、地に伏していた第2位が苦悶に満ちた表情を浮かべながら立ち上がる。
「どう言うことだ……………何故止まった時の中で動ける!?あり得ない筈だ!!」
「残念ながら、時の止まった世界を認識出来るんでね。あと、良い事を教えてあげよう。時を止めれるのはお前だけの専売特許じゃない────『ザ・ワールド』」
その言葉を証明するかのように、第2位の背後に第1位は一瞬で移動する。
「なっ!?」
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄アッ!」
今度は
「で、どうする?君の最強(笑)の能力も通用しない。素直に降伏するのが身の為だと思うけど」
「…………ッ……………………どんな固有かは知らんが、時間操作が通用しなくともお前など殺してやる!!いでよ、聖剣ノヴァ!」
第2位の声に応じて、聖剣ノヴァと呼ばれた剣が現れる。何とも神々しい剣だった。
「あれは、聖剣ノヴァ!?確か太古の戦争で製造された神殺しの兵器で、強大な力を持つあまり封印されていると聞いていましたが、まさか第2位が所有していたなんて………………!」
「聖剣ノヴァねぇ。大したことなさそうだけど……………………………ま、聖剣には聖剣をって言うし(?)、こちらも聖剣で相手をしよう」
そして、地面を突き破って禍々しい力を感じさせる黒い影が現れる。その黒い影は第1位を覆い、白を基調としていた彼の服を黒く染める。第1位は静かに手を挙げ、現れた
「………………何とも禍々しい姿だな。それが正義の味方の姿か?」
「別に正義の味方を宣言した覚えはないね。さぁ、第2位。ケリをつけよう。今までのつけを支払う時だ。カノンは、そこで動かないでね。動いたら多分死ぬからね」
「は、はいっ!」
ノヴァに光の魔力が。エクスカリバーに闇の魔力が宿る。
「シッ!」
「ハァァァァァァ!」
そして次の瞬間、相反する聖剣がぶつかり合うのだった。
to be continued…………………
フラッシュの映画って面白いのかな?面白いなら、暇だったら見に行ってみるかぁ……………………。