気にしてるのはワイが唯一やってるウマ娘のゲームが最近オワコンみたいな雰囲気になってる事ですかねぇ。まぁ、そうなったのは運営の悪手があったからなんで自業自得と片付けるのは容易いんだけどね。ただ、このままオワタになるのは勿体ないんで頑張ってもらいたいが。
まぁ、勢い戻らなかったら流石に見限るかもしれないんで、皆さんがやってるゲームで面白いのあったら感想で教えてください。
楓が研究所に来てから3ヶ月が経った。
「ふぁっきゅー!!」
「…………………急に何?」
論文を読んでいた楓が急に叫ぶのを、少女はうるさいと言いたげな表情を浮かべながら尋ねる。
「もうね!論文論文論文………………………そればっかで飽きた!マジで秋田県!」
「…………………………」
「………………今のは忘れてね」
すべってて草。
「………………………あっ、そうだ!ねぇ、このインナーはどう?似合ってる?」
少女はちらりと楓のインナーを見る。りんごにムキムキの手足と天使を思わせる羽が生えたキャラが載っていた。
「……………相変わらずダサい」
「のっぶ!?……………………おかしいなー、結構自信あったんだけど」
悲しいかな、彼女はファッションセンスが少し………………いや、大分ずれている。もはや手遅れの領域だ。
「何かこう……………もっと良い服は持ってないの?」
「生憎、私服は殆どこのブランドの服ばかりなんだよね。……………………そんなにこれダサい?」
「ダサい」
「即答ぅ…………………そこそこ有名なブランドなんだけどなぁ」
そこそこ有名と言うのはセンスがずれた商品を出す事で有名なブランドであるのだが、彼女はそれをよく分かっていない
「私がもといた研究所内でも同じことを言われたんだよねー」
「………………研究?」
少女は前にも彼女が自身が研究者である事を言っていたのを思い出した。何の研究を行っているのかについては、桐生のせいで聞けなかったが。
「そう、研究。私は『万能薬』に関する研究を行っているの。」
「…………万能薬」
楓が研究しているのは万能薬の研究だ。
万能薬とは、その語義上は『何にでも効く薬』ではあるが、薬学においてそのような薬の存在には否定的である。病気一般を取ってみても、様々な要因によって発生しており、その中には相反しあう理由で発生しているものも少なくないからだ。
だが、楓はその万能薬を生み出す為の研究に取り組んでいた。
「この世にないものを生み出そうとしているから大変だよ~。研究所でも色んな事に取り組んでは失敗してばかりの連続だったなぁ」
「……完成させられる見込みはあるの?」
「うーん………………………分からん!」
「………。見込みがないのによく続けられるね」
「まー、私の夢だからね」
「……………夢?」
少女の反復の言葉に楓は頷く。
「うん!万能薬で病気に苦しんでいる多くの人達を助ける!それが私の夢!薬学においてそのような薬の存在には否定的なのは分かってる。万能薬なんてものを作るのも超絶難しい事もね。けど、だからこそ、だよ。とても高い壁であるからこそ、やりがいがあるってものだから!」
この空間にいるのは2人。記憶がないとは言え、人の命を奪ってきた血塗られた
「…………………。私はあなたが羨ましい」
「へ?何で?」
「…………私には、もうそんな夢を持つ事は出来ないから」
「!……………それは」
バチッ!!
楓の言葉を遮るかのように少女の身体に電流が走る。
「くっ……………電流……………!」
「な、なにが…………!?」
『リラックスタイムは終わりだ、モルモット。拘束台に上がれ。実験再開だ』
慈悲のかけらもない桐生の声がスピーカーから流れる。安らぎの時間は常には続かない。この研究所にいる限り。
様々な液体等が機械の手によって少女の背中から注入されていく。その苦痛に表情は歪んでいるのだが、桐生には興味はない。興味あるのは成果のみである。
「主任、被験者の肉体が未知の変化を始めています」
「それで?」
「強大なパワーを秘めています。もし逆らわれたりしたら……………………と思いまして」
「もし奴が脱走を試みる場合、奴は楓を人質にとるだろう。あの拘束台は神………………いや、特注だから破壊は出来ないが、独房を仕切るアクリル板なら可能だろうからな。だが、こちらとしてはあの女がどうなるろうと興味ない。言わば、あの女はモルモットの邪心を図る捨て石だ」
自身の婚約者を人として見ず、ただの駒としか見なさない桐生に部下は流石に言葉を失った。横暴ではあるが人の心はあると思っていたからだ。
「そんなどうでも良い事よりも、実験は順調なのか?」
「え、あ……………はい、こちらにあるデータ通りです」
「ふむ……………………この調子ならフェイズ3の細胞の株分けや耐久性実験にも入れそうだな。至急手配しろ。俺は少し席を外す」
「は、はい」
桐生は部屋を出ると、エレベーターに乗り込む。階層ボタンで特定の数字を入力すると、エレベーターは横に動き始める。そうして数分後、彼しか知らない隠し部屋の中にいた。中には椅子と机、モニターしかない簡素な部屋である。『Sound only』と表示されている画面に向かって桐生は口を開く。
「ジョーカー
『111番目で漸くフェイズ3、か。まさか1年以上も掛かるとはな。お陰でこちらの計画も停滞が進んでいる』
「申し訳ありません。これまで試した110体のモルモットでは何故か適合出来なかったものでして。詳細な理由は不明ですが、この個体での実験が成功すればその理由も明確になるかと」
『……………………まぁ良い。こちらは目立った動きが出来ない状態だ。だから、わざわざ地球で我々の代わりに行ってもらっているのだ。文句は控えよう。だが、なるべく早く仕上げろ』
「はっ」
『…………それにしても、お前は何とも思わないのか?この非人道的な実験に加担していると言うのに』
その問いに対して桐生は残忍な笑みを浮かべながら答える。
「他人が死のうが苦しもうが、知ったことではないですね。どうでも良いの一言に尽きる。俺が興味あるのは、あなた方の代わりにこの実験を進める事に対する報酬となっている『人智を超えた知識』を手にし、地位と栄誉を手にする事のみですから」
『地位と名誉の為なら他人が死のうと苦しもうと構わないと言う訳か。まぁ、お前に限らずこの研究所にいるのは殆どお前と同じような奴らばかりだろうがな。クックッ……………………やはり人間は面白いものだな……………!』
地位と名誉に拘る桐生にジョーカーは面白いものを見たかのような声色で笑う。
『長話が過ぎたな。そろそろ標的の元に潜入捜査させている奴が来る時間だ。では、今後も進捗があり次第報告しろ』
「分かりました。それでは。………………クックッ。もうすぐだ。もうすぐ俺は人智を超えた知識を手に入れる。そうすれば、俺がこの世界研究者の中で……………………いや、全人類の頂点に立つ日も近いだろなぁ……………!ハハハハハハッ!!」
そう言って桐生は笑った。心の底から愉快そうに笑った。
ある日の夜
「……………………よーし、チェック終わり!はー、疲れた疲れた~」
チェックしたデータの送信を終えた楓は首を回してタブレットを机に置く。
「…………今日も論文を読むんだ」
「まーね。今はこれ位しか出来ないから。いつか研究を再開できる機会が来た時に困らないようにね。……………あぁ、そうだそうだ!ねぇ、今日のインナーはどう?結構可愛いと思うんだけど」
「ダサいとしか思わない」
「えー。可愛いでしょう、どう見ても」
きゅうりにムキムキの手足が生えたキャラのどこが可愛いのか、少なくとも少女は理解に苦しむ。まぁ、客観的に見ての可愛くはないだろうが。
「うーん、これもダメかぁ。一体どの服なら可愛いって言ってくれるのかなぁ……………………」
「先ずはそのブランドから離れた方が良いと思うのだけれど」
少女の言ってる事は正論としか言いようがない。
「持ってきた服の中にこのブランド以外の何かあったっけなー…………………逆にどんなのだと可愛いと思う?」
「………………研究所で過ごした記憶以外ない私に言われても分からない。ここであなたの着ているダサい服以外のものを見た事がないから」
「だ、ダサい……………」
「…………それよりも。私につけるとか言ってた名前はどうなったの?」
「……………………黙秘権ッ!」
「………………はぁ」
要はまだ思い付いていないと言う事である。それを聞いた少女はどこか不満そうな表情を浮かべる。
「……………そんなに時間が掛かるものなの?名前を考えるのって」
「私は子供はいないから、誰かの名前を考えた事なんてなくてね。何かこう、接してる内に良い感じのが思い付くかなー、なんて思ってたんだけど……………………人生はそう上手く行かないものですなぁ、なんて」
「……………………まぁ、急ぐ事でもないから別に良いのだけれど」
そう区切って少女はただ、と微笑を浮かべて続ける。
「あなたの服と同じように名づけのセンスはあるのかだけが不安」
「めっちゃストレートに言うね!?流石にお姉さん泣くよ!?」
ストレートな物言いにどこか不満そうな表情を見せる楓。そんな彼女を見てからかった張本人は無意識の内に薄く笑う。それを見た楓も笑みを浮かべる。
「ふふっ」
「……………?」
「あぁ、ごめんごめん。会って間もない頃よりも笑ってくれる回数が増えたなー、って」
「!…………………そっか。やっぱり、そういう事だったんだ」
少女は楓の言葉に何処か納得したかのように見えた。少なくとも楓には。
「……………………ねぇ、聞きたいことがあるのだけれど」
「おっ、良いよ!何でも答えるから遠慮なくカモン!」
「あなたは…………私を……………………ッ!!カハッ!!」
「えっ……………………」
突然、少女は苦しそうに胸を抑えると吐血する。突然の事に楓も一瞬言葉を失うが、すぐにアクリル板の傍まで駆け寄る。
「ど、どうしたの!?大丈夫!?」
「ゲホッ、ゲホッ!!」
「これはたぶんヤバいやつだ……………そうだ、連絡しないと!」
壁に備え付けられている内線電話から桐生らの研究チームへと連絡を取る。
「……………………あ、すみません!さっきから彼女が急に血を吐いて苦しみだして!」
『こちらでも確認していますが、桐生主任が放置して構わないとの事です』
「えっ……………………」
『想定内の拒絶反応なので死には至りません。以上です』
内線の電話は無慈悲にも切られた。何を言っても無駄だと楓は悟る。彼らは少女をモルモットとしか見ていないのだ。楓はアクリル板の方を振り返る。少女は未だに苦しそうに吐血していた。部屋には血が飛び散っており、アクリル板にも赤い跡が付いている。
「……………………………」
楓はアクリル板のすぐ傍まで行くと、膝をついて座り、ただ見守る。何も言わずにただ見守る。目と耳を塞ぎ、何も見ないし聞かない事も出来た。目を逸らしたくなるのも当たり前の光景だ。それをしても責められはしないだろう。
だが、彼女は目を逸らさず『見る』事を選んだ。そうするべきだと考えたからだ。
モルモットではなく
「…………ん……………………んんぅ……………………っ!?」
楓はいつの間にか自分が床に伏していた事に気づくと、慌てて体を起こす。
「やばっ、何で寝て……………………あっ」
「…………………」
目の前にはアクリル板越しに近くで自分を見つめる少女の姿があった。
「……………そうだ!体の方はもう大丈夫!?」
「大丈夫。今は安定したから何ともない」
「……良かったぁ………もうどうなるかと思ったよ……」
心底安心したように楓は息をつく。そんな楓を見ながら少女は口を開く。
「…………………ねぇ」
「へ?」
「もし、私があのまま死んでたらあなたはどう感じた?」
「え…………………き、急にどうしたの?」
「いいから答えて」
そうせがまれると、楓は考えるまでもなくすぐに答える。
「どうって……………………そりゃあ寂しいし、悲しいよ」
「…………………何故そう感じるの?」
「そりゃあ、私にとってあなたは友達って言うか……………娘みたいに感じてると言うか………………………まだ出会って1年も経ってない仲だし、あなたがどう思ってるかは分からないけど、とにかく私にとってはもう、あなたは大切な
「……………………そっか。それを聞いて漸く確信した」
「??」
どう言う事、と言いたげな表情の楓に少女は話始める。
「私はこの研究所内ではモルモット扱い。私を人間として見れくれる者はいない。だから、私が実験によって苦しもうと、倒れようとも誰も気にも掛けてくれなかった」
「……………………」
「……………………けど、あなたは違った。私の事を気に掛けてくれた。話し掛けてくれた。名前を考えてくれてる。倒れたら心配してくれた。無事を喜んでくれた。…………………あなたは私の事をモルモットじゃなくて
少女はそう言い切ると、少し間を置いて楓に尋ねる。
「……………私はこの先、実験がうまく行っている限りはどんどん人ならざる存在になっていくと思う。それでも…………………それでも、あなたは私を
そう問い掛ける少女は少し不安そうに楓には見えていた。その答えは考えるまでもなく決まっていた。
「当たり前だよ。この先どうなろうと、あなたは大切な人。それはずっと変わらないよ、絶対」
それを聞いた少女は今まで溜まっていた何かが決壊するかのように、涙が流れ出す。けど、溢れ出すその涙を拭おうともせずにこう言った。
「………ありがとう、楓」
初めて楓の名を呼び、初めて人前で、楓の前で笑った。その笑顔は楓にとって、決して忘れる事のない美しいものだった。
────────────楓が来てから1年が経過した。
「漸く最終フェイズも終わりが見えてきましたね、主任」
「そうだな。………………どうも、楓が来てからモルモットの調子が良いような気がするが、お前はどう思う?」
「えっと………………………そう、ですね。彼女の存在が実験の順調な進行に多少は貢献しているのではないかと。まぁ、データ上ではその証拠はありませんが」
「……………………まぁ、あいつにも少しは使い道があったと言う訳だな」
そう言い残して桐生は去る。部下は地雷を踏まなかった事に安堵し、息をつくのだった。
桐生は独房に近づくことはなくなり、安全な場所で指示を出すだけになった。律儀に命令を聞く楓は
拘束台も強化された事からも、少女がどんどん人ならぬ存在に変わっていくのも楓は分かっていた。だが、楓は余計な事は何も聞かない。彼女はただ─────────
「お疲れ様。少し休んだらバイタルチェックして…………………あとはいつもみたいにお話しよ?
─────────真っすぐに少女…………………否。星奈を見て、今日も平和に笑う。
「うん」
そんな彼女につられて星奈も小さく笑みを浮かべる。年相応の可愛らしい笑みだった。そして、視線を彼女の顔から下に落とす。
「…………………うん、いつも通り。ダサい」
「うっそ、自信ありの新作なんですけど!?」
インナーがダサいと言われて少し凹む楓を見て星奈はクスッと笑う。星奈は知った。見てもらえる事が嬉しい事を。そんな彼女はこの時点ではまだ知らない─────────
─────────この幸せな日々が間もなく終わってしまう事を。
to be continued……………
うーん、展開がちょっと早すぎるかなー、と思いつつも投稿完了。星奈さん………………じゃなくて、星奈ちゃんが楓と仲良くなっていく過程をもっと丁寧に描写すべきかなー、なんて思いもしたけどこれ以上伸ばしたら本編再開がさらに遠のいて飽きられそうだし、これくらいが丁度良いのかな。過去編よりも本編の方をはよやって欲しい人の方が多そうだし。
ここからは裏話。
星奈ちゃん本人は今回の話で気づくまで無自覚でしたが、星奈ちゃんの楓に対する好感度は初期の前回の出会った初期の頃から割と高めでした。そりゃあ、周りが自身を人間として見ないクズな研究者しかいない中で、自分を人として気に掛けてくれて、話し掛けてくれる奴がいたら好きにもなりますわ。俺でも楓を好きになる、ファッションセンス以外は。
そう言えば声優の和氣あず未さんがご結婚されたみたいですね。おめでとうございます。いやぁ、めでたいめでたい。いいですねぇ、結婚。いつか自分もするのかなぁ、なんて考えたり考えなかったり。
まぁ、そんな訳で本編も執筆途中なんでお楽しみに。