「ふぁ~………朝か。完全に寝坊したな」
時刻は8時を過ぎた所。いつもならこの時間はアニソンを2時間位ピアノで弾いてるか。
「まー、良いか。たまに寝坊すんのも。さーて、起きて上杉と作戦会……………ぎ?」
布団から出ようとして俺は気付いてしまった。
「……………。そ、そっか!これも夢か!そ、そうだよね!まさか俺と三玖がヤった後みたいに一緒に寝てるなんてあり得ないよな!まったく、ビックリするなー、アハハ!……………ゆ、夢だよね………?だから、自分で自分に平手打ちしても痛くないよね!?オラァ!!」
─────バチーン!!
「痛ァ!!……ってことは、夢じゃないのか…………」
冷静でいられたのもこの時までだった。俺の頭の中は混乱と興奮とかその他諸々で満タン。アドレナリンも大洪水だった。
「(オィィィィィ!!何で!?どゆこと!?何でいるの?!まさか……………昨日、俺は無意識の内にヤってしまったのかぁ!?)」
ま、マジでヤってしまったのか!?デンジャラスビーストモードは鎮まった筈じゃ!?
「(う、嘘だろ……………確か三玖は一花の部屋で四葉と一緒に寝てた筈じゃ…………連れ出してヤったってのか……………?)」
コンコン
「!?は、はいはい!今開けますよー!」
取り敢えず三玖には頭まで布団を被せる。どうしてこうなったのかはよく分からんが、こんなのを見られたらヤバい!取り敢えず今は隠すしか道はねぇ!!
「どうし……………ファッ!?」
あれ、三玖ゥ!?どうしてここ……………いや、待て。何か違うな。この三玖は──────
「い、五月でござるか…………?」
「……………分かるんですね。と言うか、ござる………?」
「そこは気にするな!………ま、まぁ多少はね?」
…………正直に言えば、三玖じゃない事しか分からなかった。誰なのかとか考えてられる程の余裕なんてねーわ!当てずっぽうで言ってみたら当たってたってだけの話だ。
「起きたか、火野。お前が1番寝てたぞ」
う、上杉か…………。
「………上杉もやられたのか?」
「いや、俺はもう起きてたからな。そこで五月が一花や二乃に髪型をいじられて三玖にされてるのも全部見ていただけだ」
「そ、そうなん『ゴソ…』だぁ!?」
「「?」」
「じ、じゃあ俺は着替えるんで失礼するぜ!アディオス!!」
「待て、今日の予『バタンッ!!』」
上杉の台詞を強制的に遮って俺は扉を勢いよく閉める。予定なんて後回しで良いんだよ、俺にとっては!!多少の不自然さは残ったが、何とかしのげたか………?いや、しのげたと信じたい。
「み、三玖さーん………」
小声で身体を揺らしながら三玖を起こす。
「………………ふぇ?」
「お、おはようございます………」
「お、おはよう………………え!?ソウ」
「シー!静かに!」
危ない危ない。ここで聞かれちゃゲームオーバーだった…………………。
「………………あ。そうだ、私…………トイレから戻って来たらこっちに…………そのままソウゴと一緒に………うぅ…………」
「そ、そう言う事だったのね…………」
いや、マジで良かったァ!どうやら俺はとんでもない事をヤらかして無かったようだ。取り敢えずは一安心。一安心したら一緒に寝た事実に悶えてる三玖の顔にキュンとしてきたわ。
「ご、ごめんね」
「あ、いや別に特に迷惑は掛けてないし………俺も迷惑とか顔とかに色々と(意味深)かけてなくて良かったわ………」
「?」
「な、何でもないよ」
…………よーし。漸く平常心に戻ってきた。頭も冴えてきたぜ。
「さてさて、三玖」
「?」
「元々一緒に寝てた一花姉さんとか三玖がいなくなった事に気付いてるじゃん?で、このまま2人で外に出たら色々と疑われて面倒じゃん?何があったと言うより、ナニがあった、って」
「た、確かに…………」
「なので、俺はイカしたアイデアを思い付いた。俺はこれから部屋を出て皆にさりげなーく近くにある図書館で勉強するように提案する。何とかして言葉巧みに図書館へ誘導させるから、皆が出て行ってから時間差で三玖もここから出て図書館で合流してくれる?それまでは待機って事で」
「わ、分かった……」
「まー、二乃とか五月はワンチャン行かないかもしれんが、見つかったら忘れ物取りに来たとかで誤魔化しておいてくれ。じゃ、俺は先に行くわ」
「あれ、ソウゴ君?着替えるんじゃなかったの?」
「いや、腹減ったんで朝ごはん食べてからにしようかなーって(三玖がいる前で着替えられるかっつーの!)…………あれ、俺の分は?」
「生憎だけど、あんたらの分のご飯の材料はないから」
二乃ェ……………。
「チッ、二乃の分際で生意気な………まぁ、言うと怒るだろうし黙っておこう」
「全部聞こえてるわよ!」
おっと、またもや心の声が洩れてしまったか。
「そう言えば、三玖がどこに行ったか知らない?私が起きたらいなくてさー」
「……あー、何か図書館行くとか言ってたけど………俺らも行く?」
「そうだね、たまには気分転換で別の場所で勉強しようかな。探しに行ってる四葉が帰ってきたら一緒に行こっと。2人はどうするの?」
「私は勿論パスよ」
「………私も家で自習するので」
つーか、上杉は五月にまだ謝ってないみたいだな。折角昨日、良い感じにセッティングしておいたのに。もう散々言ってるし、本人も言われなくても分かってるだろうから言わないけど。まぁ、図書館行きがすんなり決まったので良しとするか。
「三玖はどこにいるのかなー?」
「どこでしょうねー」
まぁ、三玖はまだ図書館にはいないのだが。
「……………なぁ、四葉」
「はい!何でしょうか、上杉さん?」
「もしもの話なんだが……………5人の誰かが成績不良で進学できなかったとしたら、どうする?」
「私ももう1回2年生をやります」
当然です、と言わんばかりの即答だな。
「…………まぁ、私が1番可能性が高いんですけどね。でも、上杉さんと火野さんがいればそんな心配ありませんね!」
おおぅ、俗に言う期待と言う名の
「…………フータロー君。私、うっかり筆箱忘れちゃった。私たちだけで先に始めてるから、忘れ物とってきてくれる?」
「……ああ。
無論、その忘れ物とは筆箱ではない。それ位は俺でも分かる。漸く決心がついたか。
「……………じゃ、2人はお先に席を取っておいてよ。俺は三玖を探してくるからさ」
「おっけー」
「了解です!」
2人が席の方へ行ったのを見送ると、俺は図書館のエントランス付近で待つ。待つこと数分、三玖が若干息を切らせてやって来た。
「お、来たか。誰かに遭遇した?」
「フータローに遭遇しかけたけど、隠れてやり過ごした」
「そっか……………一応聞くんだけど、どこか痛かったり、だるかったりとかしない?」
「?ないけど……………どうして?」
「いや、特に深い理由はないから気にしないで良いよ」
………と、口先では言っているが────実際はナニとは言わないが、してないかの最終確認だったりする。
「そ、それよりもだ。一花と四葉が待ってるから行こうか」
「う、うん……………ソウゴ」
「!?……………な、なに?」
え、まさか一緒に寝てしまった事で嫌われたとか────
「今日も勉強、教えてね?」
おっふ…………いや、良かったわー!嫌われたりしてたら病みルート突入する所だったわー。流石にヤンデレみたいなのにはなりたくない。Scho○l Daysみたいな展開はマジでごめんだから!死ぬのは誠だけで充分だから!
「もっちのろんよ!」
何だかんだで、今日も平和です。
to be continue……
蛇足だが、上杉と五月の方は何とかなったらしい。
上杉「蛇足って言うな!つーか、俺の所もカットせずに書けよ!」
上杉「俺のこの小説内での待遇改善を求める」
神様「要求は分かった。だが断る」
今日も読んでいただき、ありがとうございました。