三玖を愛する転生者の話   作:音速のノッブ

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今日で山場を用事面での山場を一通り越えました。ふー、しんどかった。これからは無理のないペースで投稿していきますのでよろしくおねがいします。


それと、お気に入り登録160人超え&評価バーに黄色が点灯しましたね!登録&高評価してくれた方、ありがとうございました。


『6人』じゃなくて『7人』で

「あれ、あいつどこにいるんだ?」

 

余裕と荷物を持って集合場所にやって来た俺氏。上杉と明日の肝試しの確認でもしとくかと思い立って探しているのだが、一向に見つからない。

 

「おっ、あそこにいるのは…………おーい、五月ー」

 

「火野君?どうかしたのですか?」

 

「ガリ勉星人を見なかった?」

 

「ガリ勉星人?…………ああ、上杉君ですか。そう言えば見てませんね。もうすぐ出発の時刻の筈ですが…………」

 

と、そこへ。

 

「ここにいたか、火野!」

 

「先生?どうしたんですか?」

 

「肝試しの事なんだが………お前1人でもいけるか?さっき、上杉から林間学校を休むとの連絡が来たんだが………」

 

「「!?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「らいは!生きてるか!」

 

本編では9話にして漸く初登場の上杉の父、勇也が焦り声をあげながら家のドアを開ける。

 

「親父、静かにしてくれ。らいはがまだ寝てる」

 

そこにいたのは自分の息子だった。本来なら林間学校のバスに乗っている筈なのだが………。

 

「看病してくれてたのか…………って、もう林間学校のバス出てんじゃないのか!?」

 

「そうか?どーでも良すぎて忘れてたぜ。まぁ、これで3日間勉強出来るな」

 

「……………風太郎。忘れ物だ」

 

「…………………」

 

風太郎は勇也から渡された付箋たっぷりのしおりを複雑そうな目で見る。

 

「早く帰ってやれなくて悪かったな。今からでも行ってこい」

 

「…………いや、でもバスはもう発車して「あー!お腹空いたー!」ら、らいは!?熱は………?」

 

「もう治った!」

 

ここで熱で倒れていたらいはが復活。もうピンピンしている。

 

「あれ、お兄ちゃん何でここにいるの?私はもう大丈夫だから、ほら早く行った行った!」

 

「俺の気遣い返せ!!…………いやだから、もうバスは行っちまったんだ。今からじゃどうにも」

 

「バスについてはもう大丈夫。何故って?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私が来た!!!

 

声がした方を3人が振り向くと、そこにいたのは身長2メートル超えの『平和の象徴』とされるNO.1ヒーローのオー〇マイト………………などでは当然なく、総悟だった。

 

「つーか鍵開けっぱでしたけど、泥棒とかに入られますよ?」

 

「おお、そういや閉めるの忘れてたな。だがまぁ、うちは貧乏だし盗む価値のあるもんなんて置いてないから、泥棒が来てもガッカリして帰るのが目に見えてるな!ガハハハ!」

 

「そう言う問題なんですかねぇ……(困惑)

…………って、それよりもだ。らいはちゃんは大丈夫?」

 

「うん!この通りピンピンしてるよ!」

 

「それならよし!行くぞ、馬鹿兄貴!じゃ、行ってきまーす!」

 

「行ってらっしゃーい!お土産話、楽しみにしてるねー!」

 

「気を付けて行けよー!」

 

「お、おい!?」

 

らいはと勇也の声を背中に受けながら荷物を持った風太郎は総悟に連行されて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま、待てよ火野!お前、バスは…………?」

 

「バス?あー、バスね。DETROIT SMASH(デトロイト・スマッシュ)で破壊してきた」

 

「は!?」

 

「まぁ、勿論嘘ですけど。………お前が来ないと肝試しで皆を怖がらせて愉☆悦する俺のプランの質が下がるからな」

 

「……………だが、今からどうやって」

 

「俺が何の考えもなくここに来たとでも思ったか?ほれ、代車なら既に用意済みだ」

 

「!」

 

上杉の目に映ったのは高級リムジン。そして───

 

「おそよー、フータロー君」

 

「ったく、何してんのよ」

 

「フータロー、やっと来た」

 

「こっちですよ、上杉さーん!」

 

「遅いですよ、上杉君」

 

────自分の生徒である五つ子達だった。

 

「お、お前ら…………」

 

「勘違いしないで貰える?別に私はあんたが休もうがどうでも良かったんだけど、こいつ(火野)がどーしてもって言うから仕方なくよ」

 

「ねー、聞いた三玖?もう完全に二乃の発言がツンデレそのものなんだけどー?」

 

「ソウゴの言う通り二乃はツンデレ」

 

「あんた達、聞こえてるわよ!!」

 

二乃がギャーギャー騒いでいるのを総悟が笑いながら軽く流しているのを見て上杉はやれやれ、と俯きながらため息をつく。だが、その俯いた顔には笑みが浮かんでいた。

 

「……………仕方ない、行くとするか。………おい、二乃と火野もそこまでにしろ。近所迷惑だ」

 

「しょうがねぇなぁ(悟空)」

 

「…………それもそうね。こんな下らない事で道草食ってないで、さっさと行くわよ」

 

と、言うわけで7人はリムジンに乗車。

 

「上杉さん、火野さん、乗り心地はどうですか?」

 

「ああ!ふわっふわだな!」

 

「俺んちの車と同じくらい良いですねー」

 

「それなら良かったです!それじゃあ、しゅっぱーつ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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───────遡ること約15分前。取り敢えず肝試しは1人で頼んだぞ、と声を掛けて先生は去っていく。その姿が見えなくなった瞬間、総悟は地面に膝をつく。

 

「そんな………上杉が来れないなんて………あいつがいないとダメなんだよ………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あいつがいないと、肝試しの時に皆を恐怖のどん底に突き落として怖がる姿を見て愉☆悦出来ないじゃないかー!!」

 

「ええ…………」

 

ドSな目的を聞いて五月は若干引く。

 

「…………ですが、怖がらせるだけなら火野君だけでも…………」

 

「違うんだよ、五月。先ず上杉が怖がらせて精神的に揺らがせた後に、俺がトドメを刺しに行く予定だったんだよ…………これじゃ怖さは半減だな…………」

 

「そ、そうなのですか………(よくよく考えれば、逆にこれはラッキーなのでは?肝試しの怖さが半減するようですし………)」

 

怖いのが苦手な五月にとっては上杉の欠席は少々嬉しい誤算のようだ。

 

「……………あ、そうだ。何なら、五月が肝試し手伝ってくんない?トゲ付きの鉄球を持ってメイド服姿で襲いかかるとか」

 

「ええ!?嫌ですよ!暗闇で待機してなくちゃいけないなんて無理です!!断固拒否します!!」

 

「ちぇ、弱虫!」

 

「弱虫で結構です!!」

 

「ぐぬぬぬぬぬ……………ヴっ!」

 

突然、火野は頭を押さえてしゃがみこむ。

 

「だ、大丈夫ですか?」

 

「な、何か………マイクのハウリング音みたいなのが頭に響いてきて………」

 

「は、ハウリングとは………?」

 

残念、知識不足のようだ。

 

『……………あ、あー…………悪い、ハウリング直ったかな?おーい、総悟君。聞こえるかーい?』

 

頭の中に響いてきた声。その声は総悟にとって聞き覚えのある声だった。

 

「(か、神様!?なんだよ、今それどころじゃないんだって)」

 

『まー、聞きなって。折角いい情報を提供しようとしてるんだから』

 

「(情報?)」

 

『上杉君が林間学校を休もうとしてる理由は、昨日熱で倒れたらいはちゃんを看病する為なんだ。でも、らいはちゃんの熱はもう完全に治って今は寝てるだけだから、上杉を連れ出してもOKって事よ!』

 

「(マジか!ほんとに良いんだな?)」

 

『この偉大な神様が言うのだから間違いない!』

 

「(よっしゃ!これで計画通りに行ける!…………あ、でもバスが出るまであと5分か………今から電話して来させるとかにしても確実に間に合わないだろうし…………俺の親は仕事に行ってるし、今日は星奈さんも有給で何処かに出掛けてるから、上杉を車で拾って貰ってバスに追い付いて貰うってのも無理だし…………)」

 

『そこはまぁ、隣にいる彼女の力を借りれば良いんじゃない?』

 

「(!………そう言うことか。サンキュー、神様。恩にきるぜ)」

 

『まぁ、僕も君らが肝試しで恐怖のどん底に突き落とすのを見たいから手を貸したまでの事さ。そんじゃ、後は頑張ってー!』

 

……………どうやら、神様も総悟と同じくドSの愉☆悦民族のようだ。

 

「ひ、火野君?具合が悪いなら先生に」

 

「いや、大丈夫。五月、悪いが1つ頼みがある。上杉を連れて行くぞ。どーせサボりだろうし」

 

「え、ええ!?(そ、そんなことされたら肝試しが本来の怖さに逆戻りじゃないですか!)」

 

「けど、今から奴の家に迎えに行くにしても、電話して来させるにしてもバスが確実に行っちまう。そこでだ…………あのリムジンを今から呼び出せない?」

 

「い、今からですか!?………で、出来なくはないかもしれませんが、しかし…………」

 

「(あとひと押し………!)ダメ元でも良いから!やるだけやってくれたら今度五月が食べたこともないようなカレーでも作るから!」

 

「!!(私が食べたこともないようなカレー………!?どんな味なのか是非食べてみたいですが…………しかし、肝試しの怖さが……………いえ、やはりここはカレーです!!)わ、分かりました。取り敢えずは連絡してみます」

 

五月の中で

 

カレー>>>>越えられない壁>>>>肝試し

 

になった瞬間である。

 

五月はすぐに電話を掛け、案外すぐに通話を終えて総悟の方を向く。

 

「構わないそうですよ。20分程で上杉君の家に着くそうです」

 

「よっしゃあ!マジで恩にきるぜ、五月!約束通り今度カレーを作るわ!じゃ、俺は先にあいつの家に行ってくるわ!」

 

「あ、ちょっと!?」

 

五月が止める間もなく総悟は去って行った。

 

「かなり仲良さげだったね~、五月ちゃん?」

 

「ひゃあ!?」

 

唐突に聞こえた後ろからの声に変な声を出す五月。振り返ると、一花、二乃、三玖、四葉が勢揃いしていた。

 

「き、聞いてたんですか…………?」

 

「……………最初らへんから聞いてた」

 

少し不満気に三玖が呟く。

 

「折角だから私達も上杉さん達と一緒に行こうよ!その方が絶対楽しいよ!」

 

「賛成」

 

「確かにそっちの方が楽しそうだし、そうしようか?」

 

「…………そうね。あいつらだけに私達の車を独占させるのも気にくわないし。五月、あんたはどうするの?」

 

「…………そうですね、皆が行くのでしたら私も行きます。先生にバスを見送ると言っておきますね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────こうした経緯で、7人で目的地へと向かう事になったのである。

 

「(この3日間を上杉さんの思い出の1ページに絶対にしてみせます!無論、火野さんもです!)」

 

「(…………この前のテストでお2人の必要性は感じましたが、私が理想とする教師像からはかけ離れています。…………まぁ、火野君は上杉君よりは良いですが。料理も美味しいですし。とにかく、この林間学校でお2人の家庭教師としての覚悟を見せて貰います)」

 

一方で四葉と五月にはそんな思惑があるのは誰も知らず、林間学校はまだ始まってすらいない─────。

 

to be continue…………




おまけ

総悟「(……でも正直言うと、五月にリ〇ロのレ〇の恰好して欲しかったけどなぁ‥‥)」

ちなみに、ごとぱずでメイド服姿の五つ子が見れます。猫耳メイドの三玖は可愛すぎんよー。

今日も駄文を読んでいただきありがとうございました。

次もぜってえ見てくれよな(悟空風)

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