このタグは林間学校編ともう少し先の巻の話で使われます。つまり使われるのは実質二回(の予定)。度合いで言えば林間学校編よりもう少し先のやつの方が断然シリアスです。
さて、それでは林間学校編開始です。
結びの伝説 Day1
総悟が上杉を連れてくるのを待っている間、一花は三玖に小声で話し掛ける。
『三玖。キャンプファイヤーの話、本当に私でいいの?』
『うん。私がその場しのぎで決めちゃったことだから』
『そっか。ならソウゴ君の相手をしてあげようかな』
ふと、三玖の脳裏に前田が言っていた事が思い返される。
─────相手を独り占めしたい。
『(………そんな事はしない。私達は五等分…………それに、一花なら心配ない)』
『(…………三玖が言うなら良いよね)』
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「暇だー……………」
大雪のせいで大渋滞が発生したので、1時間以上足止めをくらってる一行。『五つ子ゲーム』などをしていたが、長く続かず暇になった。
「二乃ー、何か面白い話しでもしてくれー。でなきゃ暇で死ぬー」
「じゃあ死になさい」
「ひでー」
二乃も暇すぎてか対応が雑。辛辣なのは変わらんが。
「じゃあ、ソウゴ君が面白い話をしてくれない?」
「えー……………じゃあ、こわーい怪談話でもするか」
「…………え?」
五月がマジで?みたいな顔をしているがスルーしてスタート。暗闇ではないが雰囲気だけでも出そうと懐中電灯で顔を下から照らしてスマホで怖い系のBGMを流す。
「あるところに女神を守る5人の少年がいたアル」
「何でアル…………?」
そこは気にするな、三玖さんよ。
「でも、あるとき女神は敵の矢に胸を射ぬかれて少年たちは女神の命を救うため敵の本拠地に乗り込むことになったアル」
ここでBGM切り替え。曲名はペガサス幻想 -PEGASUS FANTASY-(俺氏による再現)
「それから少年たちはクソ長え十二宮殿へ続く階段を延々と上り続けて夏休みも吹っ飛んだアル。終わり」
「かいだん違い!怪談話じゃなくて階段話じゃない!!」
「おお、二乃のツッコミにキレが戻ってきてホッとしたぜ」
「ホッ………」
五月が怪談話じゃなかったからかめっちゃホッとしてらァ。
「もー、折角怖い怪談話をしてくれるかと思ったのに」
一花姉さんは意外にも聞きたかったらしい。
「やるなら夜の暗闇でやった方が雰囲気的に面白いだろ。機会があったらとびきりのを話すと約束しよう。つーか怪談話よりも、映画でも見よーぜ。面白いのあるからよ」
この後、例のタブレットで1時間ほど(勿論この世界の)アニメ映画を見て過ごした。ちなみに、かなり好評だった。
「おおっ!いい感じだな!」
「はえー、すっごい大きい」
ドライバーの人が午後から用事で帰らなければならないと言うことで、俺らは近くの宿を急遽予約して泊まる事になった。まぁ、降ろされて目的地まで歩いていくのも無理がある距離なので妥当な判断だな。
「ねぇ、本当にこの旅館に泊まるの?こいつらと同じ部屋は嫌なんだけど!そもそも、4人部屋に7人って狭すぎでしょ!」
「団体のお客さんが急に入ったとかで一部屋しか空いてなかったんだもん。仕方ないよ」
「…………あ、外にもう一部屋あったわよ」
「犬小屋だろうが。俺らを殺す気か」
それで死んだら化けてでも出てやる。…………にしても、まさか男2人と女5人で一緒の部屋に泊まる事になるとはな。前世では絶対あり得なかったな、こんなシチュエーションは。
「よもやよもや、だな」
「見ろ、火野!窓から雪の綺麗な景色が眺めるぞ!」
「おー、すげ。にしても、お前いつもよりテンション高いな。まっ、林間学校だしそりゃそうか」
「旅館で外泊なんて久しいからな!今日は誰も俺を止められないぜ!ハッハッハ!」
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「女子、集合よ」
高笑いする上杉を見て二乃が他の4人に集合を掛ける。
「不本意だけど、ご覧の有り様よ。各自気をつけなさい」
「気をつけるって何を…………?」
「一晩同じ部屋で過ごすわけだから………あいつらも男だって事よ」
「大丈夫だって。俺は紳士だし、上杉は襲う度胸のないチキン野郎だから」
「分からないわよ。男ってのはいつ欲望を爆発させ……………って!何であんたがしれっと混ざってるのよ!」
二乃がビシッと指さすとそこにはあぐらをかいた総悟が。会話に自然に入ってきたものだから二乃も気づくのに一瞬遅れた。
「だって呼んだじゃん」
「あんたはお呼びじゃないわよ!」
「それよりも…………やらないか?」
「「「「「!?」」」」」
総悟のとんでもない(?)発言に5人は一斉に総悟から離れる。
「え、何で離れた…………上杉がトランプを持ってきたからやんないって事なんだけど………」
「………そ、そう……………って、紛らわしい言い方するんじゃないわよ!」
「……………あー、ヤるの方か。つまりユー達が想像してたのはセッ」
「シャラップ!!」
「すげぇ料理だな。タッパーに入れて持って帰りたい…………」
「帰る頃には腐ってるぞ…………にしても、こんなのを食べたら明日のカレーが見劣りしそうな希ガス」
「三玖、あんたの班のカレーを楽しみにしてるわ」
「うるさい、この前練習したから」
二乃の奴め……………それ以上言ってみろ。明日のお前の班のカレーにわさびとか辛子をぶち込んで悲惨な目に遭うぜ?班の奴等も巻き添えだな、可哀想に(無慈悲)
「そういえばキャンプファイヤーの伝説の詳細がわかりましたよ」
「そんなの関係ないわよ。そんな話したってしょうがないでしょ。どうせこの子たちに相手なんていないんだから。ま、伝説なんてどうでも良いけど」
……………あー、そう言えば。四葉と二乃の会話で思い出したが、俺は一花姉さんと踊る約束してたんだっけ?まぁ、三玖も伝説は非現実的って言ってたし、別に良いか。
………………………良いよね?
「あ、そうそう。この宿、温泉があるらしいよ。えーっと、確かここら辺に書いてたような…………え、混浴…………?」
「ファッ!?」
宿のパンフレットを見ていた一花姉さんから飛び出した衝撃発言。全米が震えたこと間違いなし。
「おおおおおお、落ち着け!とととと、取り敢えず温泉の源泉を皆で堀りに行くぞ!」
「先ずはあんたが落ち着きなさいよ!」
「源泉を堀りに行くなんて楽しそうですね!準備して皆で掘りに行きましょう!」
「いや、行かないわよ!?」
動揺しまくりの俺氏に源泉掘りにノリノリの四葉。場がカオスになりかけていたが、その後一花姉さんが温浴を読み間違えたのに気付いてカオス化は避けられた。
その後、上杉と温泉を満喫し部屋に戻ると5人はまだ戻って来てなかった。上杉はもう寝るらしいが、夜型人間の俺にとっては『まだまだこれからだぜヒャッハー!』的な感じなので、何をしようかなーと考えた結果、『押し入れに隠れて5人が帰ってきたら出てきて驚かすか』と言う結論に至った。そのまま10分位、狭さが妙に落ち着く押し入れで寝っ転がっていると扉が開いて5人が帰ってきた音がした。
「…………もう寝てるわね」
「皆平等にしたけど、多分する必要なかったかもねー」
「…………あれ?ソウゴは………?」
「ここでーす」
押し入れを勢いよく開けると5人はビクッと体を震わせて驚いた。予想通りの反応である。上杉が寝てなかったらもっとオーバーに行ったんだけどね。今回は省エネです。
「なんで押し入れなんかに入ってるのよ!」
「やることなくて暇だったからよ。こうなったら押し入れにでも入るしかないって結論に至るだろ」
「そうはならないと思いますが……………」
なるんですぅ。五月とは思考回路が良くも悪くも違うんですぅ。
「つーか、髪型変えたな。そういや、平等とか一花姉さんが言ってた気がするが………まぁ、んなことはどうでも良くてだ。上杉は寝ちまったが、全員揃ったし始めようじゃないか」
「始めるって………何を?」
「おいおい、鈍いな一花姉さん。今は夜。部屋は電気をつけてないから暗闇。
「………も、もしかして………?」
五月の顔が青ざめるのを尻目に俺は懐中電灯を取り出す。
「さぁ、諸君。お待たせしました。
階段話じゃなくてガチの怪談話をしようじゃないか……!」
to be continue………
そう言えば、暗殺教室の作者の最新作が連載開始しましたね。めっちゃ面白そう。期待大ですね。ファンサで前作キャラとか出てきませんかねぇ‥‥。いや、流石に時を超えて出てくることはないか(笑)
本日もこんな駄文を読んでくれてありがとうございました。