三玖を愛する転生者の話   作:音速のノッブ

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花粉が……………花粉症が辛い…………。


勤労感謝ツアー 総悟の場合

「明日は勤労感謝の日………星奈さん、喜んでくれると良いけどなー」

 

いつも色々とお世話になっている星奈さん。趣味が読書なので、1週間前に面白そうな小説を調べてポチっとネット注文で買っておいた。既に品物は届いており、後は明日渡すだけ。

 

「明日、星奈さんは10時から上杉の家でらいはちゃんとクレープ作りをするらしいから、その時にサプライズで行って渡『~♪』……おっと、電話が。誰から………だ!?」

 

画面に出てきていたのは三玖の名前だった。ちょっと待って、電話に出る前に深呼吸を2回させて………………………………………………………よし。

 

「………もしもし?三玖、こんな夜にどったの?」

 

何か解けない問題でもあってそれを訊いてきたのかなー、なんて予想していたのだが──────

 

『ソウゴは明日って何か予定入ってる?』

 

「明日は午前中にいつもお世話になってる星奈さんにサプライズでプレゼントを渡す以外は特にないかなー」

 

『……じゃあ………明日、それが終わったら一緒に出掛けない?』

 

フアッ!?マジですか!

 

『明日は勤労感謝の日だから、いつもお世話になってるソウゴに何かお礼が出来ないかと思って……………』

 

ああ、なるほど…………。人からお礼をされるのは普通に嬉しいが、三玖からのお礼となると超スーパーウルトラダイナミックアルティメットメテオスターバースト(以下略)嬉しいッ!!

 

「……じゃあ、明日は何処かに出掛けよっか」

 

『!…い、良いの?』

 

「全然ええでー」

 

寧ろ大歓迎ですッ!!そもそも断る理由もないッ!!

 

「じゃあ、明日は10時半に駅の近くの公園に集合って事で良いか?」

 

『うん、大丈夫。それじゃあ、おやすみ』

 

こうして通話終了。通話が切れた瞬間、俺はベットにダイブして足をバタつかせる。

 

「アカン!!マジか!!明日、三玖とお出掛けやー!!今日寝れるかなー!!ヒャッハー!!ホワチャー!!」

 

以上、くっそうるさい咆哮をあげながら悶えて騒ぐ俺氏でした。ほんと楽しみすぎてよく寝れんかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(さ………誘えちゃった!明日は2人きりでデート………!今日、ちゃんと寝れるかな………?そうだ、寝る前に何処に行くか決めておかないと…………何処が良いんだろう?ソウゴが好きそうな所……………)」

 

後に聞いたのだが、咆哮はあげずともこちら(三玖)も同じくベットで足をバタつかせて悶えていたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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翌日AM10:20

 

「………ふー、着いた着いた」

 

どうやら公園には俺が1番乗りのようだな。三玖は………まだ来てないか。

 

「よし、来るまで昨日買った新刊のラノベを読むとすっかー」

 

それにしても、心地よい風が吹く公園のベンチに座りながら本を読むのも、たまには悪くないだろう。ヒュ~。

 

「さて…………………あれ、出だしの文見覚えあるぞ……………って、このラノベ最新巻じゃない!」

 

………三玖とお出掛けすることに気を取られて珍しいミスをしてしまったらしい。それほどお出掛けが楽しみすぎたのだな、俺は。

 

「やれやれ………しょうがない男だなー、総悟君は」

 

そう言いながらベンチの背もたれに深く寄っ掛かりながら延びをした。その拍子にベンチの足が地面から浮き──────―

 

「アラー!?」

 

どこぞのハンバーガーチェーン店のピエロ道化師のような声をあげながらベンチごと後ろに転倒した。公園にいた子供が笑っているような声が聞こえる気がするが、幻聴ってことにしておくZE☆。

 

「だ、大丈夫……?」

 

俺の顔を覗き込んできたのは俺を笑ってた子供―――――――――――などではなく。まぁ正直言うと子供であって欲しかったのだが、残念ながら覗き込んでいたのは三玖だった。

 

「…………どこから見てた?」

 

「…………叫びながらベンチごと倒れるところから」

 

………うん…………あのー……………俺は三玖に恥ずかしい醜態を見せやすい呪いでも掛けられてんの!?前回は藤〇竜也で、今回は某D社じゃない方のド〇ルド!!どんだけ三玖に恥ずかしい所を見せなきゃならんのだ!!マジで近いうちにお祓い行こうかな!!

 

「ふーっ…………………まーた、みっともない姿を見せちまったがこれは無かったって事でよろぴく………………それで、何処に行く?」

 

「………ソウゴって肩とかこってたり、疲れとか溜まってない?」

 

「んー…………確かに肩こりとか疲れはあるかもねー。まぁ、カテキョが原因と言うより漫画やアニメの見すぎなだけな気がするが………」

 

「(………やっぱり。予約して正解だった)………じゃあ、着いてきて」

 

何処に行くんだろう?肩こりとか疲れとか言ってたが…………温泉とかかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「ソウゴ、どう?気持ち良い?………あと、こっちは見ちゃダメだからね(………流石にちょっと………まだ無理………)」

 

「あ゛あ゛………効゛く゛う゛…………」

 

小さなランプの暖かい光が照らす部屋で私達はスパのマッサージを受けていた。ソウゴは初体験らしく中年男性のような声をあげていた。

 

「ああ……最高か………ここが全て遠き理想郷(アヴァロン)だったのかぁ…………グランドなクソ野郎のお兄さんが塔から手を振ってるよう……………」

 

ふふっ。よく分からない言葉が出てきたけど、喜んでくれてるのは伝わってきたので何より。

 

「…………三玖はここの会員だっけ?」

 

「うん。ここのスパはお気に入りなんだ」

 

「良いところを見つけたねぇ………あ゛あ゛……また来たいのう……………」

 

「(中年からさらに老けて、おじいさんみたいな口調になってる………)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、マジで疲れが取れたぁ!危うく途中で幽体離脱するかと思ったぜい!」

 

「良かった、喜んでくれて」

 

「マジでありがと!今ならマッハ20で上海まで行けそう………………お、もうお昼時かー。時間が経つのは早いことで」

 

お昼……………ソウゴはどんなご飯が好きなんだろう?それを尋ねてみると───────

 

「好きなご飯?んー……………正直に言うと、『美味しければ何でも良いネ!』的な感じでして」

 

……………なるほど。その点、五月と似てる気がする。じゃあ、昨日ネットで調べておいた男の子が好きそうなご飯とか、ここら辺のお店の評価を統合して決めた所に予定通り行こう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やって来たのはラーメン屋さん。私とソウゴは2人席に案内された。

 

「ほおー……………こんな所にラーメン屋さんがあったんだ。全然知らんかった。しかし、人気だねー」

 

「まだ開店してから2週間しか経ってないんだけど、口コミで広まって人気が凄く出たらしいよ」

 

「へー………五月とか開店初日に来てたりして」

 

「あり得そう」

 

そう言って2人で笑い合う。まぁ、後に本当に開店初日に来ていたことが判明するけど、それは別の話。私は醤油ラーメン、ソウゴは味噌ラーメンを注文した。届くまでの間、私達は雑談話に花を咲かせていた。

 

「もうすぐ11月が、と言うか今年が終わるねー」

 

「うん。今年は色々とあった」

 

学校を転校したり、ソウゴが家庭教師になったり…………あ、フータローもだった。林間学校も楽しかったな。楽しい思い出を沢山作れたし。

 

「あと1ヶ月でクリスマスか………クリスマス=性なる夜(ボソッ

 

「え?何か言った?」

 

「………何でもないですぞー (リア充爆破しろ!………なーんて、言えるのも今の内だったりして。三玖と付き合いだしたら言われる側になるもんなー……)」

 

何か言ってたような気がしたんだけど…………気のせい?

 

「クリスマスと言えば…………去年は南の島で弾丸冬忘れツアーだった」

 

「クリスマス感を微塵も感じないな………」

 

「一昨年は北の島で超ホワイトクリスマス」

 

「修行にでも行ったんか………」

 

「……………でも、場所とかはそこまで重要じゃない。お母さんが言ってた。『大切なのはどこにいるかじゃなく、5人でいること』って」

 

「5人でいること、か。良いこと言うじゃん、お母さん」

 

そこへ注文したラーメンが来たので、いただきますと手を合わせて私とソウゴも食べ始める。ラーメンはそこまで頻繁に食べないし、大好物と言うわけでもないけど、とても美味しかった。………ソウゴと一緒だからかな?

 

「うまい!うまい!うまい!うまい!うまい!うまい!うまい!うまい!うまい!うまい!うまい!うまい!…………ちなみに、今俺は12回言いました」

 

「そ、そうなんだ………」

 

ちゃんと数えてるんだ…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、美味しかった。替え玉を3つも頼んじゃったし、満足満足。でも、奢られちゃったけど良いの?流石に昼飯代位は全然払うけど…………?」

 

「今日は私の奢り。いつものお礼だからソウゴは奢られて良いの」

 

「……じゃあ、お言葉に甘えてごちになりまする!」

 

正直、私にとってはそこまでの出費じゃない。スパに昼飯の出費があったけど、財布の中はまだ全然潤ってる。よし、次のプランは───

 

「ソウゴは映画とか見に行く?」

 

「映画?まぁ、よく見に行くねー(主にアニメ映画をだけど)」

 

「じゃあ、これ見に行かない?一花が出てるんだって」

 

2週間前、一花から私達4人に映画の前売り券のチケットをくれた。『私も出てるし、絶対面白いから見に行ってみて!』って言ってたから少し気になってたし、そして映画デートも出来るから一石二鳥と思ってプランに組み込んでいた。

 

「へー、一花姉さんがか!そりゃ気になるね。名も無きモブなのかな?それとも物語の鍵を握る重要キャラ?」

 

「それは聞いてないから分からないけど…………どうなんだろう?」

 

一花も駆け出しとは言え、演技もかなり上手いし…………実力が認められてかなりの大役を任されてる可能性もあるかも?とにかく、見に行ってみよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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100分後

 

映画の上映が終わり、シアターに電気がつく。隣を見ると、三玖はハンカチを手に持っていた。少し泣けたのかな?

 

「どうだった、三玖?」

 

「ラスト15分の展開はとても感動して泣けて良かった。……………けど」

 

「…………一花姉さんは序盤であっさり死んだな。ゾンビになって仲間に撃たれ、そのまま瀬戸内海に落ちて退場。モブだったかぁ…………」

 

しかしこの映画─────内容は良かったけど、バ〇オハザードの臭いがプンプンしたぜ。俺の前世でこの映画をやったら、バ〇オハザードの劣化版とか叩かれてネットで炎上しそう(小並感)

 

「ソウゴは映画の本編では全然泣かなかったね。泣いてたの…………本編前のアニメ映画の予告でだったね」

 

「いやぁ、遂に完結かと思うとつい感極まってな………あんなヘタレだった主人公が立派に主人公やってたからよ…………」

 

本編ではなく本編上映前の予告で泣く男、総悟です。本編も後もう一押しで泣けたかもしれないんだけどなー。

 

「それと…………休日なのに、見に来てる人が俺と三玖しかいなかったね…………」

 

まぁ、それはそれで三玖と2人きりだし良かったんだけどネ!

 

「………言われてみれば確かに………今日、公開初日だからもっといると思ってたけど(…………まぁ、ソウゴと2人きりだったし良いけど………)」

 

……………他の映画館も調べてみたけど、結構がら空きですやん!一花姉さんが出てるんだし、もっとヒットして欲しいんだけどなぁ。新〇誠監督の『君〇名は』とか『天〇の子』位ヒットしないかなー。ワンチャン、口コミで大ヒットし……………いや、普通に考えてこの映画があの2つの作品レベルの大ヒットは絶対無理だと断言できるわ(無慈悲)

 

心のなかでそう結論付けていると、いつの間にか映画館の外に出ていた。もう夕方の4時か……………。

 

「三玖は時間とか大丈夫なの?もう夕方だけど」

 

「7時までに帰れば大丈夫。ソウゴは?家の用事とかがあるなら今日は解散にするけど………?」

 

「予定とか何もないから全然大丈夫」

 

「!……………そうだ。折角だし、ソウゴは何処か行きたいとかある?」

 

「俺が行きたいところ?」

 

「うん」

 

そーねぇ…………。

 

「あー…………電車で30分位の所なんだけど良いか?」

 

そう確認すると三玖はコクッと頷くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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電車+徒歩で移動すること30分。ソウゴが行きたい場所に到着した。

 

「ここは…………?」

 

「セントラルパークの広場」

 

「何でここを?……………ああ、もしかして聖地巡礼って言われてるやつ?」

 

「三玖のように勘の鋭い女は嫌いじゃないネ!」

 

思い付きで言ったら当たっちゃった。それからソウゴは色んな場所で写真をパシャパシャ撮っていた。何のアニメの聖地かは分からないけど、相当思い入れがあるのか時折懐かしむように風景を見つめていた。

 

「………なぁ、三玖。 良かったら一緒に写真撮らんか?」

 

「え?」

 

「ここだと名古屋テレビ塔をバックにいい写真が撮れそうだし……………ど、どうですかね?い、嫌なら別に全然断ってくれても」

 

「と、撮るっ!」

 

この後、沢山連写した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

折角だし名古屋テレビ塔から夜景でも見ようと言うことでお金を払って入場。スカイバルコニーでソウゴと夜景を眺めていた。

 

「ソウゴも知ってると思うけど、愛知県で有名な戦国武将に織田信長がいるでしょ?」

 

「ああ、ノッブね」

 

「の、ノッブ………?まるで信長と友達みたいな言い方だね……………えっと、何だっけ…………あ、思い出した。もし信長がこの夜景を見たら何て言うんだろうね」

 

「うーん…………『こんなキラキラしている町を見下ろしてたら敦盛したくなるのも是非もないよネ!』とか?」

 

「…………口調以外はあり得るかもね」

 

「いや、もしかしたら何処かの世界線にロリボディでそんな口調の女信長がいるかもしれないぞー?」

 

「とんでもない世界線………」

 

そんな信長がいたら色んな意味で凄い。

 

「……………そーいや、信長の残した名言にこんな言葉がある。『絶対は絶対にない』ってね。信長は無謀や不可能な事柄に対しても、最初から諦めたり、無駄だと考えたりはしなかったらしい」

 

「…………初耳。知らなかった。何だか悔しい」

 

「あはは…………信長が言いたいのは、『最初から無理や不可能は事は存在しない。存在してると思ってしまうのは自分が勝手に一線を引いているからで、諦めなければ道は開けるだろう』的な感じ?まぁ、あくまで総悟君の解釈だけどさ」

 

「………………」

 

………思い返せば、『私なんかじゃ勉強なんて無理だ』って私は勉強に対して一線を引いていたのかもしれない───────ソウゴに出会うまでは。

 

『1人が出来ることは全員出来る───── 一花も、二乃も、四葉も、五月も…………そして勿論三玖も!皆には100点の潜在能力があるって事だ』

 

そう言ってくれた(ソウゴ)がいたから、私は勉強を無理や不可能って一線を引いて諦めるのではなく、私にも出来るんじゃないかって諦めずに今も頑張れてるのかもしれない。

 

「さて、そろそろ時間も時間だし帰るとするか…………三玖、今日は楽しい時間をほんとありがとな」

 

「どういたしまして。私の方こそソウゴと出掛けられて凄く楽しかった。こちらこそありがとう」

 

───また一緒にどこか行こうね、私の初恋の人(ソウゴ)

 

to be continue………




はい、と言うわけで勤労感謝ツアー 総悟編でした。わざわざ総悟編って表記すると言うことは、勿論風太郎の場合もあります。お楽しみに。

ネタバレすると、原作とは殆ど展開が異なりますッ!

今日も読んでいただき誠に感謝!

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