はい、と言う訳でケーキ屋に到着ゥ。おっ、あいてんじゃ~ん。お邪魔しまーす。はえ~、すっごい大きい……………いや、そうでもないわ(辛辣)
「あー、すいません。今日はもう……………って、火野か」
「よー、上杉。話は聞いてるか?」
「見学に来る奴がいるとは店長から聞いてたんだが……………お前なのは予想外だったな。お前も『みいちゃん』とか興味あるのか?」
「俺じゃなくて父さんの方なんだよなー。仕事があるからって代理でサイン貰ってこいと頼まれてさー」
「ああ、そういう事か」
と、そこへ店長が。
「君が火野君か。そう言えば前に店に来て大量にエクレアを注文してたね」
……………………この店長の声、エロい声・叫び声に定評がある事で有名なcv.鳥海〇輔やな。前に来て声を聞いた時からそんな気はしてたが、今もう一度聞いてハッキリと確信したぜ。
「おー、覚えててくれて光栄です。あと、うちの父親がすみません。ほんとはこう言うのダメなんじゃないですか?」
「まー、何か言われたら適当に誤魔化しておくからたぶん大丈夫。彼とは昔からの知り合いの友人でね。今回もそのよしみでOKした訳さ」
うちの父親、交友関係広すぎィ!
「ところで上杉も見て」
「誰も知らないから帰る」
知 っ て た。
「失礼します。今日はよろしくお願いします」
あ、スタッフーが来た。あ、その後ろには女優さん達が。うわー、キラキラしてんなー。可愛いオーラがで、出てますよ…………。
「わー、おいしそー!」
「よろしくお願いしまーす!」
「オッスお願いしまーす!(迫真)」
「ど、どうも……(早く帰ろ)」
そこへもう1人、遅れて入って来る人物が。
「よろしくお願いしまーす」
「オッスお願いしまーす!(迫真&2度目)」
おー、こちらも可愛いですね~。まるで一花姉さんのような……………………
「……………………なっ!?」
「…………………そっくりじゃねぇ!」
このセーラー服の女の子は一花姉さんで間違えねぇ!本人だ!マジでいたよ、さっきのは冗談だったのに!
「な、なんで………………あ!それにこの店って確か 」
「……………………店長。やっぱ見学して行きますわ。知ってる女優がいたんで」
と言う訳で、少し遠くから一花姉さんらが打ち合わせしているのを見守りなう。忙しそうなのでサインを貰うのは後にするとしよう。映画の撮影ってこんな感じなのか。生で見れるなんて中々出来ないレアな体験やなー。
「それにしても、冬休みの客入れ時に撮影なんてよく許可しましたね」
「あー、確かに」
「最近、向かいの糞パン屋にお客を取られていてね。もしこの映画が大ヒットすればファンが押し寄せる事間違いなし!取り敢えず撮影で使うパイに店名の入ったピックを差し込むんだ。上杉君、君も積極的にアピールするんだぞ」
「はえー、すっごいハングリー精神」
「逆に見習いたい……………」
良くも悪くも感心している間も準備は進み、遂に撮影開始となった。
「それではシーン37の4。アクション!」
どんなシーンなんだろう?普通に談笑シーンか?
「ここのケーキ屋さん一度来てみたかったのです〜」
「「 」」
取り敢えず言葉を失う教師2人の構図が完成。え、何これは…………(困惑)
「……………なんの映画だ、これ」
「ホラーって聞いてたけど」
「最近のホラー映画ってこんな感じなのかぁ……(しみじみ)」
「それ呪いのリプライだよ!」
「送られると死んじゃうっていう…………」
「う~ん。タマコには難しくて、よく分からないのです~。それよりもケーキを食べるのです~」
「これ配役間違ってるだろ……………」
「クックックッ……………!」
俺は面白過ぎて笑い声を噛み殺すのに超必死。マジで面白すぎんよ~。いやー、今日来て良かったわー。
「間違ってないよ。一花ちゃんは幅広い役を演じられる女優だと私は信じているよ」
デデドン!(絶望)
……………こ、この声はっ……………………!?
「久しぶりだね。Chu」
ヒッ……………やっぱりホモ(真偽不明)の社長!取り敢えず俺は上杉と位置交換。
「ど、どうした急に」
「こうする以外に他に方法があるだろうか、いやない(反語)」
「?」
上杉を間に置いて身代わりにしていると、いつの間にか撮影に一段落ついたのか休憩に入ったようだ。……………………おや、一花姉さんがこっち来た。
「ちょっと、2人とも来てもらえる?」
「「?」」
良く分からんが取り敢えず人気のない所まで連れて来られると、ドン、と2人まとめて壁に手をつく。これは俗に言う(?)ダブル壁ドンってやつか。
「どうした、たまこちゃん」
「壁ドンとか、ホラーじゃなくてラブコメかよ」
「……………2人とも、恥ずかしいから見ないでもらえるかな?」
「えー、いいじゃん別に。どうせ近い内に俺も含めた大勢の人に映画館で『ここのケーキ屋さん一度来てみたかったのです〜』とか『う~ん。タマコには難しくて、よく分からないのです~。それよりもケーキを食べるのです~』って見られるんだからよ」
「こ、こら!恥ずかしいから真似禁止!」
「お前、声真似が上手いな……」
出そうと思えば(王者の風格)
「そもそも、恥ずかしがるような役をやるなよ」
「皆には誤魔化してるけど。貯金が心許無くて。光熱費や食費って思ったより掛かるからね。だからどんな小さな仕事でも引き受けるって決めたの。あの子達のためにも私が頑張らなきゃ」
……………………。やっぱ彼女は5人のお姉さんなんだな。
「言っておくけど、やめろと言われても」
「その努力を否定はしない。それに、家庭教師を続けるチャンスを作ってくれた一花には感謝してる」
「そうだよ(便乗)」
「………!」
「だがこの仕事、まだ拘束の割に収入は少ないんじゃないのか?勉強に本腰入れなきゃいけない今は、女優業に拘らなくても良いと思うんだが」
「…………いいから言うこと聞いて!でないとこの写真を皆にばら撒くよ」
「………そ、その写真は…………!?」
上杉、驚愕。当然であろう、一花姉さんが見せたのはずっと前に消したはずの花火大会の写真なのだから。
「馬鹿な…………あの時目の前で消させた筈じゃ…………!?」
「今の便利な時代、バックアップとか言う便利な機能がありまして。『ラ○ュタは滅びぬ! 何度でも蘇るさ!』とか言う大佐の名言があるように、『写真も滅びぬ!何度でも蘇るさ!』って訳」
誰だよ大佐って、と言う上杉からの問いはスルー。
「く、くそ…………ただの寝顔なら勝手にしろなのに、こんな落書きされた顔を盾にされては敵わん…………」
「これで言うことを聞いてくれるようで何よりだね。皆にも内緒。お姉さんとの約束だぞ?ソウゴ君もね」
「あ、いいっすよ(快諾)」
と言う訳で次のシーンの撮影行くどー。はい、よーいスタート(棒読み)
「うーん、美味しいのですー」
一花姉さ……………………いや、たまこちゃんはパイを食べてそう言う。
「なーにがお姉さんだ。この姿をあいつらにも見せつけてやりたいぜ」
「ヒヒヒッ………………!」
相変わらず俺は笑いを堪えるのに必死。面白いからね、しょがないね。
「はい、カット!今のもいいけど、もう一パターンやってみようか」
「はい!」
……………あ、てことはパイがもう1つ必要になるな。
「…………お、あった」
辺りを見回して発見。気を利かせて、スタッフに渡す。
「これ使って、どうぞ」
「あ、すみません。ありがとうございます」
ふー、俺いい事したなー(自画自賛)と、心の中で呟きながら上杉の隣に戻る。
「スタンバイ出来ました!」
「よし、本番!」
よーい、アクションする直前だった。上杉がパイを見て口を開いたのは。
「……………ん?おい、あのパイピックが刺さってなくないか…………?」
「ん?………あぁ、そうだな」
「…………まずい、あれは俺が作った生っぽい失敗作だ…………」
…………………え?
「アクション!」
「「ま………」」
止めようとするも、時既にお寿司…………じゃなくて遅し。失敗作のパイが一花姉さんの口に入っていった。そして────────
「うーん、美味しいのです〜」
───────鬼がかった笑顔を浮かべた。本当にそのパイが美味しいかのように。上杉のパイが不味いのを一切悟らせない尊死級の笑顔だった。
正直──────少し感動した。
「いいねぇ!最高!」
「ありがとうございます!」
監督も大絶賛。そりゃそうだわな、と心の中で頷いていると上杉が立ち上がった。
「あれ、どったの?」
「もう充分見たから帰るんだよ。……………困った生徒だ。仕事を変えろだなんて言えなくなっちまった」
どうやら上杉も今の演技に何か思うところがあったらしい。勿論、良い意味で。つー訳で上杉は帰宅。さてさて、休憩中みたいだしちょっと一花姉さんに労いの言葉でも………………って、いないし。どこに行った?
「……………………ん?何か落ちてる」
何だこれ………………って、台本だ。しかも一花姉さんの。がさつ過ぎんだろ………(呆れ)
取り敢えず一花姉さんを探すと、すぐに見つかった。
「!」
俺の存在には気付かない程、集中して勉強していた。……………あ、間違えを見っけた。
「問5が間違ってんぞ」
「!……………はは、見られちゃったか。こう言うのは陰でやってるのがカッコいいのに」
「あー、分かるぜその気持ち。…………つーか、台本は読まなくて良いのか?台詞とか大丈夫なのか?」
「それはもう覚えたから大丈夫。序盤で呪い殺されて死ぬから、台詞が少ないんだよね」
あの四国のバイ〇ハザードもどきみたく、また序盤で退場かよ…………。
「そう言えば、ここのケーキ大丈夫なの?何か個性的な味がしたんだけど…………」
「あー、あれは上杉の作ったやつだから。奴が厨房に立つのはまだまだ先の話だな」
上杉も不定期で星奈さんにしごいて貰ってるんだけどねー。まだまだ足りないと言うことか。
「……………にしても、あのとんでもないパイを食べてのあの演技。上杉の奴も驚いてたな」
「そうなんだ。……………ソウゴ君は?」
「俺?勿論、あの迫真の演技には驚かされたよ。たまげたなぁ、って。何と言うか……………女優らしくなったな、うん。マジで少し感動した」
「!」
「将来はマジで大物女優になるかもな、前は冗談で言っていたハリウッドで名を轟かすよ………うな!?」
寝てるし!!人が折角ベタ褒めしてるのに!!激おこぷんぷん丸!(憤怒)
「ったく。…………じゃけん、この映画が公開されたら皆と見に行きましょうねー。そして一花姉さんの迫真の演技を是非とも見せてあげないと(使命感)……………まぁ、とにかくだ」
俺は一花姉さんの頭に手を置き、わしゃわしゃ撫でる。前回はからかい目的だったが、今回はリスペクトと労いを込めて。
「お疲れさん、一花」
「(…………こんな顔、見せられないよ)」
あぁ、ほんとに。どうして彼の言葉にはこんなにも心が満たされるような暖かさがあるのだろう。その言葉を1番言って欲しい人物が、欲しいタイミングで、スッと差し出す。
……………反則だよ、もう。
「(………三玖が彼を好きになる訳だね……………………)」
───────それを今更になって漸く理解したような気がした。
ちなみにこの映画、大ヒットとまでは行かなかったが男の幽霊が2人映ってるとかで一部の心霊マニアから聖地扱いされ、来客がほんのちょい増えたとか。そして総悟君はサインもしっかり貰って、『何でもして貰う券(1回限り)』をゲットしたとさ。めでたし、めでたし。
to be continue………
後日
店長「何か店内でこっくりさんとかやり出す輩が増えたんだけど……………」
総悟「その方面のマニアの名スポットになった訳ですかー」
店長「これで売り上げが落ちたら呪いのせいだね(断言)」
上杉「呪いのせいにするんですか………(呆れ)」
(呪いのせいで売り上げ減少とか)ないです。店の事を一から見直して、どうぞ(辛辣)
今日も読んでいただき、ありがとうございましたー。