三玖を愛する転生者の話   作:音速のノッブ

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最後の試験 case五月

『私は……あの時の気持ちを大切にしたい──────』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フンフフーン♪」

 

「朝からやけにご機嫌だな」

 

「昨日見に行ったアニメ映画が最高だったからな。ほら、前に五月が気になってたサマーなんちゃらの100倍面白いって言ったじゃん?まぁ、そのサマーなんちゃら見てないけど」

 

「見てないなら本当に100倍面白いかは分からないだろ」

 

「…………マジレスはやめてくれよ(切実)」

 

そんな下らない会話をしている内にアパートに到着。ピンポーンすると

 

「待っていました、火野君!上杉君!」

 

バァン(大破)させそうな勢いでドアが開かれると、そこにいたのは五月。

 

「今日もビシバシやってください!そして確かめてください!試験突破には一体何が必要なのかを!」

 

「お、おう………」

 

「アッハイ(気合いが超入ってんなー)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1月14日

 

「───五月がいねぇ!前にビシバシぜひやってくださいとか確かめてくださいとか言ってたのに……………ふざけんな!(声だけ迫真) 」

 

「ソウゴ、落ち着いて…………」

 

三玖がそう言うので落ち着くけども(チョロい言うな)………………五月はマジでどこに行ったん?

 

「ったく、今日は折角の日曜日だってのに……………誰か知ってる奴はいないのか?」

 

上杉の質問を受けて口を開いたのは二乃。

 

「五月はアレよ。今日は『あの日』なのよ」

 

……………………あっ(察し)『せ』から始まって『り』で終わるやつの日ね……………………まぁ、それならしょうがない。よし、じゃあ今日は五月抜きで授業を

 

「あ?『あの日』ってなんだよ!ハッキリ言えよ!」

 

えぇ………(ドン引き)ノーデリカシーと書いて上杉風太郎。上杉風太郎と書いてノーデリカシーと読むってはっきり分かんだね(確信)

 

「お前さ上杉さぁ……………小中学生の頃保健の授業でその方面の事について習わなかったわけ?ちゃんと習ってたらすぐに察すると思うんですが、それは」

 

「保健の授業は後ろの席だったのを良い事に5教科の内職をしてたからな」

 

おー、真面目……………じゃねぇ!不真面目!ちゃんと先生の話を聞けよ!あ、ちなみに俺は実技の動画(意味深)を見て保健の勉強をしてました()

 

「言っておくけど、火野が想像してるのじゃないわよ」

 

「え、そうなの?」

 

「今日は母親の命日なのよ」

 

あー、なるほど。あれ、でもそれなら皆は何故行かずに五月だけ……………………待てよ。まさかマルオ氏には5人の愛人がいて、そしてそれぞれに子供がいてその子供と言うのが……………………。

 

「5人の女性と関係を持つとか……………俺、あの人に説教して来るわ。腐った性根に喝を入れてくれる(憤怒)」

 

「あんた深読みし過ぎ。今日は月命日ってやつよ」

 

「え?……………あぁ、そうなんだ。二乃さぁ、そう言うのはもっと早く言ってくれよなー。頼むよ~」

 

後5秒言うのが遅ければドアをバァン!(大破)させて飛び出してましたよー。

 

「お母さんが亡くなったのは8月14日で、その日に皆一緒に行ってるんだけど」

 

「五月は毎月お墓参りに行ってるの。あの子は律儀だから。今度ソウゴとフータローも時間があればお線香あげて」

 

「りょーかい」

 

……………………そう言えば、前に五月は『お母さんの代わりになる』とか言ってたっけ。これは最近になってふと思った事なのだが

 

「(俺の見当違いならそれで良いんだが、五月はずっと母親の背中を追っているって言うか……………………囚われてような気がするんだよなぁ……………………)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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遊園地からの帰り道

 

「えー、遊び過ぎてクタクタでしょうが、ここでお知らせです」

 

皆が駅で電車を待っていると、突然総悟がそんな事を言い出す。

 

「どうしたのですか、急に改まって」

 

「まー、色々とあって。良いお知らせと悪いお知らせの2つがあるんだけど、三玖はどちらから聞きたい?」

 

「…………じゃあ、悪い方から」

 

オッケー、と答えるとソウゴは真剣な表情を浮かべる。

 

「悪いお知らせとしてはですね………………総悟君の財布の中身が5円になってしまった事です」

 

「そりゃそんだけ買えばそうなるわよ」

 

二乃の正論なツッコミが炸裂。総悟の両手にはお土産が大量に詰まっている袋が4つ。合計で36850円。その内の8割は総悟が好きなアニメとのコラボグッズである。

 

「まったく、真剣な表情を浮かべるもんだから何を言うのかと思って身構えて損したわ」

 

「それで、良い知らせの方は?」

 

三玖に促され、良い知らせの方も総悟は発表する。

 

「良い知らせはですね……………明日から家庭教師の体制を3人体制に変更しまーすって事」

 

「「「「「?」」」」」

 

疑問符を浮かべる5人。総悟の言葉を上杉が引き継ぐ。

 

「自分が得意な科目を他の姉妹に教えるんだ。そうすれば俺達がいない時も互いに高め合える。そうして全員の学力を引き上げていく……………………即ち、お前らも先生になる。だから3人体制って訳だ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2月14日

 

三玖から場所を聞いて上杉と一緒に彼女等のお母さんのお墓がある霊園へ。ちにみに、来る前にお線香とお花を上杉と半額ずつ出しあって購入した。

 

「着いたは良いが…………これだけお墓の数が多いと探すのに一苦労だな」

 

「いや、その心配はないだろ」

 

だって恐らくいるだろうし…………………あ、ほら

 

「見っけた」

 

「本当に毎月いるんだな」

 

「火野君に上杉君………?どうしてここに?」

 

「三玖達から聞いてな。俺らもお墓参りに来たんだ。ちゃんとお花とお線香も買ってきたぜ」

 

と言う訳で、俺と上杉もお花とお線香をあげた後、お墓の前で手を合わせる。全て終わるまで五月は黙って後ろに立っていた。

 

「ありがとうございます、2人とも。わざわざお墓参りに来てくれて」

 

「どういたしまして。……………そう言えば、3人の家庭教師大作戦(俺氏命名)はどんな感じよ」

 

「かなり良い傾向にあります。教わること以上に教えることで咀嚼できることもあるんですね。もっと早くやるべきでした」

 

まぁ、俺的にはやりたい気持ちはかなり前からあったけど、皆の実力的にはまだ時期尚早だったからな。そろそろ良いかなー、って思い始めたのはつい最近の話。

 

「………俺らなんかいらないと言いたいのか?」

 

「違いますよ、上杉君。貴方達に教えられた事を噛んでいるのですよ。感謝してます」

 

あらあら、嬉しいお言葉を頂戴したよーん。

 

「教えた相手にお礼を言われるのはどんな気分ですか?」

 

「なんだよ、恩着せがましいな」

 

「そりゃあ嬉しいに決まってるね。上杉はクールぶってるが、本当は子供みたいに泣きそうになる程嬉しいと思うんですけど(名推理)」

 

「べ、別にそんなことねーよ!」

 

あ、そっぽ向いた。

 

「なんだよ上杉、嬉しそうじゃねーかよ~」

 

「上杉君、少し笑ってますよ?」

 

「……………………………………………ま、まぁ少しはな」

 

あー、ほら。やっぱ嬉しいんですねぇ。

 

「私もです。私も姉妹に教えて感謝された時、とても嬉しく……………やり甲斐も感じました。私は………あの時の気持ちを大切にしたい─────」

 

……………たぶん、それは母親の代わりになりたいからじゃない。囚われてる訳でもない。

 

五月本人の意思で──────────その『夢』を見つけたんだな。

 

「私は─────先生を目指します」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後

 

「とっとっと、トイレにレッツラゴ~♪」

 

「あ、火野君。今よろしいですか?」

 

くっそ酷くて聞く価値が一切ない歌詞を口ずさみながら廊下を歩く総悟に五月が話し掛ける。

 

「トイレに行く途中だったけど良いよ。手短によろしくー」

 

「では手短に………………全科目赤点回避出来ました!合計224点です!」

 

中野五月 合計224点

 

「いいねェ、おめっとさん!上杉にはもう言った?」

 

「はい、既に報告済みです」

 

「そうか。じゃ、五月も上杉のバイト先に行って先に合流してくれない?一花姉さんが席取ってるだろうし」

 

「上杉君のバイト先に、ですか?…………?」

 

「そそ。まだ全員の結果は知らないんだけど、俺と上杉は5人全員赤点回避出来てると予想しててな。なので、上杉のバイト先で祝賀会のスイーツパーティーをやろうと思ってまして」

 

「スイーツですか!?」

 

食べ物が絡んだ瞬間、五月のテンションが通常に5倍に跳ね上がる。

 

「こうしてはいられませんね……………では、私は教室に戻って身支度を整えた後に先に行って注文しておきますね!」

 

「気が早すぎィ!………………ま、いいけど。じゃ、また後で」

 

「……………火野君」

 

「?」

 

「火野君と上杉君がいなければ……………恐らく今の私たちはなかったでしょう。ですから、改めて感謝を。ありがとうございました」

 

「…………………。何か……………アニメとか漫画の最終回みたいな雰囲気……………え、もしかして俺ら今日でクビなの?死ぬの?」

 

「何でクビ=死なんですか…………安心してください。クビなんて話はありませんよ」

 

「そ、そうか。よくよく考えたら俺らは皆が卒業させるまでが仕事だからそりゃクビにはならんわな。あー、良かった良かった…………」

 

超絶安心する総悟に対して、五月はスッと手を差し出す。

 

「火野君。これからもよろしくお願いしますね」

 

「………はいよ。任されたぜ」

 

夕陽が差し込む教室の廊下で2人は握手を交わすのだった。

 

to be continue……………




一花 240点
二乃 ???点
三玖 ???点
四葉 184点
五月 224点


ご愛読ありがとうございました!作者の次回作にはご期待しないでください!











総悟「………………いや、何終わろうとしてんだよ!?まだ最終回じゃなぇからな!(取り敢えず俺と三玖が結ばれるまでは終われねぇんだよ!)」

五月「しかも次回作にご期待下さいじゃなくて、期待しないでくださいになってますし……………まぁ、今回の話が妙に最終回みたいな雰囲気が少し漂っていたのは否定しませんが…………」

総悟「どっちかって言うと『俺達の戦いはこれからだ!』みたいな感じがしたような」

五月「ちょっと、打ち切りにありがちな定番文句はやめてください!本当にいつか打ち切りになったらどうするんですか!」




まぁ、今のところは打ち切る予定はないです。この作品の執筆は楽しいので。

今日も読んでいただきありがとうございました!

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