漸く二乃まで来ました。それではどうぞ。
『あり得ない……………あり得ないわ。私があいつの事を好きだなんて…………………絶対に認めない』
お化け屋敷 in遊園地
「ったく、お前が遅いから出るのに時間が掛かったじゃねーか」
「う、うるさいわね!」
余裕そうに私の前を歩く上杉。その姿が一瞬林間学校での
それにしても何で私がこいつと一緒にお化け屋敷に入る羽目に………………原因は明確で、火野が『折角だからペア組んでお化け屋敷入ろーぜ』とか言い出したせいだ。ちなみにペアの組み合わせは『火野・星奈さん・三玖』、『四葉・
漸くお化け屋敷から出ると、皆勢ぞろいしていた。私たちが最後に入ったのだから当然ではあるが。
「おー、やっと来た。意外と時間掛かってたなー」
「二乃がビビりまくるもんだから中々進まなくてな」
「お、乙女はこう言うのに弱いのよ!皆だって怖かったに決まってるでしょ!」
「余裕っす(ドヤ顔)」
「富士〇ハイランドにあるお化け屋敷レベルじゃないと私は怖くないですね」
「林間学校のソウゴの方がもっと怖かった」
「同じく私もです…………うぅ、あの緑の顔を思い出しただけで鳥肌が立ってきました………………」
「あはは、あれのお陰で耐性ついたのかなー?」
「らいはちゃんと一緒だったので大丈夫でした!」
「私も四葉さんと一緒だったから怖くなかったー!」
…………………マジか。
「やった、1人で出来た!」
「ま、あんたにしたらかなり良いと思うわ」
「うん、自分でもそう思う。これでソウゴも喜んでくれる筈……………………!」
嬉しそうに出来たチョコを見ながら語る三玖─────────
『シュークリームを作ろうと思うんだ!』
─────────今度はホテルで
「っ!…………思い出させないで………」
「え?何か言った?」
「………………何も言ってないわ。それよりも、さっさと片付けて寝ましょ」
時と場所は飛んで上杉のバイト先のケーキ屋。自ら席取りを志願した一花姉さんは無事に席を確保し終わり、皆が来るのをコーヒーを飲みながら待っていた。
そしてきっかり5分後
「あ、五月ちゃーん!こっちだよー」
先ずやって来たのは、(一花は知る由もないが)通常の歩行速度の3倍でやってきた赤い彗星五月である。
「一花、火野君から聞きましたよ!合格したんですね!」
「うん、合格したよ。五月ちゃんはどうだった?」
「私も合格しました!合計で224点です!一花の方は点数はどうでしたか?」
「私は確か240点かな」
「と言う事は、今のところ一花が一番じゃないですか!」
「…………そうなの?」
「一花の点数が1番高いですよ」
「あっ、そうなんだ……………………………取り敢えず何か飲み物でも頼んだら?」
「それもそうですね。えーっと…………………」
メニューに夢中になっている間、五月は一花が一瞬だけ不敵な表情を浮かべたのに気付かなかった。
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それから五月ちゃんと待っていると、次にやって来たのは四葉とフータロー君。四葉の結果は合格だった。
「四葉、おめでとー!」
「やりましたね、四葉!」
「えへへ。合計184点でギリギリだったけど、何とか合格出来て良かったよー」
「お前が1番危なかったが、何とか合格出来て俺もホッとしたぜ……………………ところで、火野はまだ来てないのか?」
─────ドキッ。
フータロー君の口から彼の名前が出てきただけで胸が高鳴った。
「火野君はまだ来てませんよ」
「そう言えば来てませんね。さっき電話で私に早く来るよう言っていたので、てっきりもういるものかと思ってましたが。一花、何か知らない?」
「………うん、知らないかな………………」
私は上の空で返事する。今の私はソウゴ君がどこにいるとかよりも別の事を考えていた。
「(三玖を応援していた気持ちに偽りはない、筈………………けど、もし今回のテストで私が1番だったら……………私が告白しても良いのかな………………?)」
自問自答を繰り返す私。正直、これはテストの問題を解くよりも頭を悩ませる問題だった。
──────そして悩んでいる内に彼は来てしまった。
「待たせたな(ス〇ーク)」
「あ、火野君。それに三玖も一緒ですか。随分遅かったですね?」
「…………………スッ(無言で漫画雑誌と単行本を見せる総悟)」
「…………………スッ(無言で抹茶ソーダを見せる三玖)」
「ああ、なるほど…………(察し)」
そんな会話を上の空で聞きながら、私はフラッと立ち上がってそのままソウゴ君の元へ向かう。ソウゴ君の姿を見たら悩むのがどうにも馬鹿らしくなってしまった。
───────もう告白してしまおう。
そう決めた。二乃と三玖の点数がまだ判明してないのだけれど、そんな事は頭から抜けていた。いや、後から考えれば私が1番だろうと根拠もなく決めつけて自分に言い聞かせていたのかも知れない。彼に近づくに比例して心臓がバクバク音を鳴らす。
そして
「…………ソウゴく「あ、一花姉さん。ちょっと三玖の隣に並んでくれる?」へ?……………あ、うん…………?」
意図が分からないまま言われた通り三玖の隣に並ぶ。ソウゴ君は咳払いすると、皆の方を向いて口を開く。
「えー、皆さん。速報です。
現時点で一花姉さんと三玖が2人とも同点で1番でーす!」
……………………え?
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「(
そんな事を考えていると、久しぶりに見る黒いリムジンが路肩に止まり、ドアが開いてパパが出てきた。
「帰って来たんだね二乃君」
「パパ、その君付けやめて」
「悪かったね二乃く…………に、二乃。…………先程赤点回避の連絡をもらったよ。君達は見事7人でやり遂げたわけだ。おめでとう(僕は娘の名前を呼ぶくらいで何を緊張しているんだ………落ち着け落ち着け…………)」
「あ、ありがとう」
「どうやら上杉君と火野君を認めざるを得ないようだ。だから明日からはこの家」
「あいつらとはもう会わない!…………それと、もう少し新しい家にいることにしたわ」
「(……………え)」
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「すごーい!三玖、やったね!」
「おめでとうございます、三玖!」
「………うん、ありがとう」
同点とは言え1位だったのだが、三玖は心中複雑そうだった。それに気付いたのは一花のみ。
「…………………」
「どーした姉さん?三玖の方を見つめて」
総悟が一花の顔を覗き込む。
「!?………その、やっぱり三玖は流石だなー、って」
「そーだな。……………にしても、二乃はどーこに行ったんですかねぇー。もう学校にはいなかったから、てっきり誰かが祝賀会の事を二乃に話していて、もうここにいるのかと思ってたが」
「電話しようか?」
一花がそう提案した所で総悟のスマホに着信。相手は星奈さんからだった。
「もしもし、どうかしましたか星奈さん?何か緊急事態ですか?」
『いえ、緊急事態と言う訳でもないのですが……………先ほど私が買い物から帰ってる最中に二乃さんと会いまして』
「え、二乃と!?」
総悟の驚きの声に皆注目する。総悟はスマホをスピーカーモードにしてテーブルに置く。
『ええ。それでテスト結果の紙を渡されたのと急ぎの伝言を頼まれまして………………伝言は『おめでとう。あんたらは用済みよ』、だそうです。本人から伝えてくれと言われたので言いますが、二乃さんの合計点は209点。全科目で赤点回避出来てました』
中野二乃 209点
「Foo!↑………喜べ、少年少女達。全員赤点回避の夢は漸く叶った」
「「「「やったぁ!」」」」
声を上げて喜ぶ二乃を除く五つ子達。上杉もホッとした様子を見せる。
「つーか用済みって………………卒業させるのが我々の仕事なんだから、まだ全然用済みじゃないと思うんですが………………これもうわかんねぇな(疑問)」
クエスチョンマークを浮かべる総悟。すると横から上杉が電話越しに星奈に問い掛ける。
「星奈さん、二乃がどこに行ったか分かりますか?」
『例のマンションの前です。何故か私に伝言やテストを預けたりと、いつもと様子が変だったので何かあるんじゃないかと少し心配になりまして。訊いても言ってくれなさそうな女の勘がしたのでこっそり後を追ってたんですよね。今も少し離れた場所から見てるんですが、誰かと待ち合わせでもしてるんでしょうか?もしかしてマルオさんですかね?』
「……………………まぁ、とにかく赤点回避の祝賀会は全員参加なので、今から二乃を迎えに行きます」
『では、私はもういなくても大丈夫そうですかね?』
「そうですね。何かいつもすいませんね、星奈さん」
『総悟様が謝る必要はありませんよ、私が勝手にやった事ですので。それでは、祝賀会楽しんでくださいね。あ、それと赤点回避おめでとうございます』
祝いの言葉を残したのちに星奈との通話は終わった。そこに話しを聞いてたのか店長がやってくる。
「上杉君。もうすぐバイトの時間だからバイク使って良いよ」
「!どうも。じゃ、行ってくる」
店長からパスされたキーを受け取った上杉は店の駐車場に止めてあるバイクに跨るとすぐに発進させて行った。
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今の家でもう暫く暮らす事を告げてもパパは相変わらずの仏頂面。怒ってるのか、驚いてるのか、悲しんでるのかもよく分からない。本当に何も思ってないのかしら。
「試験前に5人で決めたの。一花だけに負担はかけない、私も働くわ」
「…………それは」
「正しくないのは承知の上。自立なんてしたつもりもないわ。でもあの生活が私達を変えてくれそうな気がする。少しだけ前に進めた気がするの」
「……理解できないね。前に進むなんて抽象的な言葉になんの説得力も無い。君達の新しい家とやらも見させてもらったが、僕にはむしろ逆戻りに見えるね」
言ってくれるじゃない……………………まぁ、確かにそれは否定出来ないかもだけど。
「五年前を忘れたわけではあるまい。もうあんな苦しい生活は嫌だろう?だからマンションに戻っ」
次の瞬間、バイクのエンジン音が聞こえてくると同時にまばゆい光が私達を照らす。そこに現れたのは───────
「情報通りだな。祝賀会に行くぞ、二乃」
「う、上杉!?な、何でここに……………?」
「だから赤点回避の祝賀会をやるからお前を迎えに来たんだよ。俺はバイトもあるから早く乗ってくれ」
「二乃、君が行こうとしてるのは茨の道だ。うまくいく訳がない。後悔する日が必ず訪れるだろう。だからこっちに来なさい」
まさに板挟みと言う言葉がお似合いの状況。…………それにしても
「(茨の道、ね…………)」
……………………仮にそうだとしても、
「パパ、私達を見てて。……………それと、5年前を『苦しい生活』の一言で片づけないで。確かにママとの生活は大変な事沢山あったけど、それと同じくらい楽しい事も沢山あったから………………上杉、行って!」
「お、おう。え、えーっと…………お父さん。娘さんを頂いていきます…………?」
そして私と上杉を乗せたバイクは走り出した。高揚した気持ちを乗せて。
「江端。めでたいことに娘たちが全員試験を突破したらしい。………僕は笑えているだろうか」
「勿論でございます」
「そうか……………………当然だね、僕は父親なのだから(…………帰ってくると思っていたのだが私が失言したばかりに…………いや、それ以前に今まで距離置いてたのとかがダメだったのかなぁ……………………春休みに少しでも距離を縮める為に家族旅行でも提案してみようか…………………けど、承諾してくれるかどうか……………………いざ誘って断られると意外と凹む気がするし……………………どうしたものか……………………)」
「ねぇ、星奈さんから聞いてないの?伝言を頼んだんだけど」
「あぁ、聞いたぞ。お前らを無事に卒業させるまでが俺達の仕事だから全然まだ用済みじゃないだろ。火野も不思議そうだったぞ」
「…………………はぁ。そうね。そうだったわね……………って言うか、このバイク」
「店長に借りた。前に免許持ってるって言ったろ」
「そう言えばそんな話もあったわね……………あんた、バイクがびっくりする程に似合わないわね」
「安心しろ、自覚はある。それと、知ってるかもしれないが他の4人も試験合格した」
「えっ、なに!?風で聞こえない!………あっ、これのこと?」
「あ!やめろ!見んな!」
上杉風太郎 合計459点。
「!………あんた……」
「…………一生の不覚だ。マジで恥ずい」
「……………
「………オール満点だ。火野にも負けちまった」
火野総悟 合計500点
「……………私たちのせい?」
「違ぇーよ。そんな事は良いから飛ばすぞ。しっかり捕まってろ」
そう言われた二乃は笑みを浮かべながら上杉にしっかり捕まる───────が。何故かそこまでスピードは上がってない。
「……………………ちょっと、飛ばすんじゃなかったの?スピード遅すぎない?」
「仕方ないだろ、後ろに重いのを抱えて走ってるんだからな」
「はぁー!?重いって誰に向かって言ってんのよ!………………まったく、相変わらずデリカシーのなさは一級品ね…………」
「…………………」
「まったく嫌になるわ…………けど、あんたはずっとそうだったわね……………ほんと最低最悪」
「…………………」
「あとは……………………そうね」
「好きよ。あんたのこと」
to be continue……………
前回の予言(?)通りシン・エヴァの興行収入100億行きましたね。おめでとう(パチパチ)
今日で終映なのでラストで見てきます。特典まだあるかなー?ちなみにこれで4回目です。
今日も読んでいただきありがとうございました!この次もサービスサービスゥ!