三玖を愛する転生者の話   作:音速のノッブ

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…………………………………えー、お久しぶりです。何とか生きてました。

まぁ、理由はアレです。忙しすぎてヤバい。以上です。

ブラック通り越してダークレベルの忙しさです。はー……………………こんなペースで終るのかねぇ。

個人的に未完のままで放り出したくないんです。始めたからには完結させたい主義なので。なので、基本的に執筆を辞める気はありません。…………………………まぁ、一切更新されなくなったら書く気失せるレベルの何かがあったと思ってく察してださい。

さぁ、そんなわけで本編をどうぞ。…………………………………そもそも皆、前回のお話覚えてる?










迫る黒い影

模試から約1ヶ月後。

 

「旦那様、先月行われた全国模試の結果が届きました」

 

「ご苦労。それで、結果は?」

 

「お嬢様方は個人差はあれど前年より大幅に成績を伸ばしております。勿論お嬢様方の努力があっての事ですが、お2人による家庭教師は大成功と言えるでしょう」

 

「………………………」

 

マルオは無言でタブレットをスクロールさせる。

 

「武田様は全国8位の快挙。………………………そして上杉様は驚異の全国3位でした。旦那様にとっては残念な報告となるかもしれませんが、彼の宣言通りとなりました」

 

「……………………おかしな答案だね。前四科目はノーミスの満点だが、最後の科目のラスト数問だけ白紙で提出とは」

 

「火野様からの報告によれば、突然気を失うように寝てしまったと。試験勉強で根を詰めすぎていたのかもしれません。しかし、もし全問解いていたとしたら…」

 

「さて、ね。そんなこと考えても、仕方ないよ。……………………と言うか、江端は火野君と連絡先を交換していたのかい?」

 

「えぇ、去年の12月頃の諸々(家出作戦)で連絡を取る為に交換していました。そして、当の火野様ですが──────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何と全国1位でございます

 

「………………武田君と上杉君を倒すと宣言していたとは言え、まさか全国の頂点に立つかぁ……………マジかぁ……………(語彙力喪失)」

 

別に総悟は上杉のように勉強熱心と言う訳ではない。学校のテストレベルならいざ知らず、全国模試レベルにもなると凡ミスの1つや2つ程度はしたりする事もあってオール満点は今までなかった(それでも学校内では1位だったが)。

 

だがしかし、『武田にイラッとしたから』と言う不純と言えば不純かもしれない動機とは言えガチモードになった結果、宣言通り武田や上杉だけではなく全国の猛者も蹴散らして頂点に立ったのである。YDK(やればできる子)と書いて総悟と読むのだ。

 

「僕でも学生時代は全国模試1位なんてとった事はなかったのに、本当に凄いなぁ…………………」

 

「彼は旦那様よりも頭が良いのかもしれませんな、ほほほ」

 

「………………………いやいや、江端。そう決めつけるのは時期早々だよ。だって、そもそも時代が違うし?僕らの頃は模試とかの難易度も(以下略)」

 

江端はちょっとした冗談のつもりで言ったのだが、プライドが高い少し残念な大人であるマルオにはそれが伝わらなかった模様。

 

結局、目的地に着くまでマルオのマシンガントークは続くのであった。ちなみに、江端が途中から聞いているふりをして適当に受け流していたのは誰も知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君達が10位以内に入ったとしても僕は勝つつもりでいた。8位というのは願ってもない順位だったよ。しかしまさか、その上をいかれるとはね………………………見事としか言いようがないね」

 

「そう………(適当)」

 

「上杉君は3位、そして火野君は全国1位おめでとう」

 

「どもー(適当)」

 

「ところでもうすぐ」

 

「ちょっと待て。何で俺はこんな昼間からお前とブランコを漕いでるんだ」

 

ブランコの柱に寄っ掛かりながらスマホで漫画を読みながら武田に適当に返している総悟。そして上杉は先ほどから疑問に思っていた事を漸く口にする。

 

「ははっ、昨日の敵は今日の友!これが青春なのかもしれないね」

 

「こんな昼間からキッズ達に混じって公園でブランコを漕いでるのが青春とは草を通り越して芝生える。つーか、我々を呼び出したマルオさんはまだなんですかねぇ。早くしないと武田君を焼き土下座させたくなっちゃうぜ(カ○ジ)」

 

「や、やめたまえそんな物騒な事を言うのは!冗談何だろうが、一瞬熱々の鉄板の上で焼かれながら土下座する自分を想像して鳥肌が立ったじゃないか!」

 

「あははー。……………………そういや上杉から聞いたぜ武田君よ。君、悪魔の誘惑を拒んだそうじゃないか。ちょっと見直したで」

 

「……………あぁ、模試の模範解答の話かい?当然さ、不正で手に入れた結果何て何の意味もないからね☆」

 

「ふーん…………………………お前を〇す(ヒ〇ロ)」

 

「急に何で!?」

 

まぁ実際に〇す事はなく、それから暫くして公園に似合わぬ高級車が停まる。そこから出てきたのはマルオだった。

 

「待たせてすまないね。少し長話をし過ぎて喉が渇いたものだから、コンビニに寄って飲み物を買っていたのでね」

 

「(やっぱ医者って大変なんやなー………………)」

 

実際はその長話に医者の要素は一ミリも絡んだないのだが総悟は知る由もない。

 

「まずは武田君、8位おめでとう。出来の良い息子を持ててお父さんも嬉しいだろう。医師を目指してると聞いたが、良かったら僕の病院に……」

 

「申し訳ありません。光栄な話ではありますが、僕の進路についてはもう少し考えたいと思っています」

 

「そうかい。良い返事を期待しているよ。……………次に火野君」

 

「はい」

 

「まさか全国1位を取るとはね。これには素直に驚かされたよ。おめでとう」

 

「ありがとうございます」

 

「………………………さて、上杉君。全国3位おめでとう。君は宣言通り全国10位以内をやってのけたと言う訳だ」

 

「ど、どうも………………」

 

「君は以前、『この仕事は俺たちにしか出来ない自負がある』と言っていたが、その通りかもしれないな。…………………………報酬は相場の5倍で、アットホームな職場。家庭教師を2人雇用したいと思っていてね。上杉君に火野君、やるかい?」

 

「!……………勿論!言われなくてもやるつもりだったんですから、給料が貰えるなら願ったり叶ったりです!」

 

「何で断る必要があるんですか(正論?)…………………………………勿論、やらせていただきますとも」

 

『《朗報》ワイ将軍、再び家庭教師の雇用が決定ww』のタイトルのスレが総悟の脳内に建てられ、同時に完全勝利BGMのUNI〇ORNが流れる。そんな状況はマルオは知らず、言葉を続ける。

 

「では、当初の予定通り卒業まで」

 

「あ、その事なんですけど。成績だけで言えばたぶん卒業だけなら問題ないです」

 

「『大丈夫だ、問題ない(イー〇ック)』みたいな感じなんですよね。別にボコボコに負けて時間が巻き戻るフラグとかではなくて」

 

「………………そうかい」

 

マルオは総悟のよく分からない例えには突っこまない事にした。聡明だ。

 

「それでいいと思っていましたが、五月の話と武田の話を聞いて思い直しました。次の道を見つけてこその卒業!あいつらの夢を見つけてやりたいと思っています」

 

「ほー………………………奇遇だねー、俺も似たようなこと考えてた」

 

「………随分な変わりようだね、上杉君。就任直後の流されるまま嫌々こなしていた君とは思えないが」

 

「し、知っていたんですか…………………」

 

「そりゃ、初日の電話でのやり取りを聞いてれば誰でも分かるだろ。あの頃が懐かしいね~。あの時、お前が無理とか言い出しそうだったから、ゴールデンボール(意味深)を掴んでノックダウンさせたっけ。良い思い出だね?」

 

「少なくとも俺にとっては良い思いでじゃないけどな!?失言しそうになった俺にも非はあるけど!」

 

「………………(何となく距離を取る武田)」

 

「(………その光景を想像しただけで鳥肌が………)ま、まぁ間違ってる訳でもないし、どんな方針を取ろうと構わないさ。だが、君達はあくまで家庭教師だ。娘達には紳士的に接してくれると信じているよ。良いね?(威圧)」

 

「も、勿論です!俺は一線を引いてますよ!俺はね!なっ、火野!」

 

「………………さぁ?」

 

「おい、何か誤解を生むような反応は止めろ!いや、ほんとに一線は引いてますから!神に誓って!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5分後

 

「ふー、良い乗り心地だったねぇ」

 

「き、緊張したぜ…………………」

 

アパートまで載せて行った貰った総悟と上杉。総悟はリラックスしてたようだが、上杉はマルオがいるのもあってか緊張した模様。

 

「ひ、火野君に上杉君!?あの、今の車って…………………?」

 

「お、五月。喜べ、ワイらは再び雇用される事になったぞー。や っ た ぜ」

 

「えっ、そうなんですか!それは良かったですね!」

 

「Foo!気持ち~。嬉しさのあまり上杉もさっき公園で暴れて子供にドン引きされてたしな」

 

「暴れてないわ!…………………あとの4人はいないのか?」

 

「いえ、今日は皆家にいますよ」

 

と、言う訳でアパートの扉を開けると。

 

「うわっ、汚っ!」

 

「何をやってるんだ、お前ら?」

 

「あ、火野さんに上杉さん!今、大掃除してたんですよ!」

 

「主に一花とか一花とか一花とかの荷物をね」

 

「………そういや、この前Gが出て俺が素手で捕まえる羽目になったのもほぼ確実に中野一花って奴の仕業だしなァ……今でも覚えてるぜ、あの感触をよォ………(憤怒)」

 

「いや、ほんとそれは申し訳ない……………」

 

余談だが、Gが出た日の仕事帰りの一花は帰って早々、4人から強制的に荷物のある程度の片づけをさせられたらしい。

 

「ね!アロマ使った?」

 

「え?」

 

「ほら、誕生日プレゼントであげたやつよ!」

 

「…………あー、アロマね。うんうん、アロマか。良いよな、アロマ。人を選ぶけど俺はうまいと思うぜ」

 

「絶対使ってない奴の反応だな」

 

「もう!ちゃんと教えるから使いなさいよね!」

 

「つーか、そもそもアロマってなんだ?」

 

「小学生にでも分かるように言うと、何かリラックス出来るいい匂いがするやつだな」

 

「……………………もしかして、アロマを使いながら火野のプレゼントのホットアイマスクを使えば最高なんじゃ?」

 

「最高っす(確信)」

 

上杉は早めに教えてもらおうと誓うのだった。そうすれば勉強の疲れも取れて、さらに勉強が出来るからである(勉強星人)

 

「私の千羽鶴はどうでしたかー?」

 

「あぁ、お前よくあんなに鶴を作っ……………………あー、今日は試験の反省会も出来なさそうだし、俺は帰るわ」

 

「えっ、もう?」

 

「少しくらいゆっくりしていってくださいよー」

 

二乃と四葉はそう言うが、結局上杉は帰って行った。

 

「ソウゴはどうするの?」

 

「んー……………………帰っても特にやることないしなー……………………片付けでも手伝おうか?」

 

「あら、それは助かるわね。またGが出た時にも助かるし」

 

「俺に取らせるのは確定なのか……………(困惑)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幸いにしてGも出ることなく、片づけは1時間も経たずに終わった。

 

「ふー、大分片付いた………………………………あとはこの箱を……………………あれ、この箱って何だろう?見覚えないけど……………………四葉、これ誰のか知ってる?」

 

「!………………そ、それ私のだよ~。もう着ない服を捨てようと思ってたんだ~。よいしょっと」

 

「いらないものは捨てなよー、って私が言えた口でもないんだけどね……………………ん?」

 

ふと、四葉が持っていた箱から何かがひらりと落ちるのが見えた。

 

「あれ、何か落ち……………………え?」

 

それは小学生の男女2人組が映っている写真。その写真に映っている2人を一花は知っていた。もっとも、男の方は去年の林間学校の時点でもしかして、とは思っていたのだが。

 

「…………やっぱりそうだったんだ………四葉とフータロー君は6年前に─────────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………もう去年の話なんだっけ」

 

今でもあの日の事は鮮明に覚えている。訣別の日だ。あの訣別が無ければ上杉さんも私も前には進めなかった。あれは必要な事だった。

 

……………………筈なのに。

 

「……………それじゃあいつまで経っても四葉は幸せになれない(救われない)ぞ…………………………どうして火野さんの言葉がずっと消えてくれないんだろうね……………………………」

 

私が上杉さんと過去に会っていた事が火野さんにバレた日に、告げられた言葉。あの言葉がずっと私の頭の中で消えない。何故なのだろうか。

 

私が幸せになれない?違う、そんな事は無い。姉妹の皆が幸せになってくれることが私の幸せだ。

 

「……………だから今の私は幸せ。うん、幸せだよ」

 

私は段ボール箱をゴミ袋に入れるのだった。

 

────後から考えてみれば、この時私は自分に言い聞かせるよに呟いて無理矢理(・・・・)納得しようとしていただけだったのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

===============

 

時は春休みの旅行最終日にまで遡る。

 

「ぬわああああん疲れたも」

 

「おかえりんご」

 

「おおおおおおおおん!?」

 

家に帰って久しぶりに自室に帰還すると神様がいた。しかも服とか結構ボロボロなんだが、大丈夫なんかこの神様…………………。

 

「問題が片付いたようで何よりだね。神は何でも知っているのさ」

 

「あー、何かそんな気がしてたわ。…………………そっちもここに来てるって事は賊は捕まったって事でおk?」

 

「………だったら良かったんだけどね」

 

神はため息をつくと俺の椅子に腰かける。

 

「ほんのちょい警戒を緩めた隙に自爆させられて有力な情報は得られなかったよ。長時間の追い掛けっこをしていたから、なんて言い訳はするつもりはないけどね」

 

「…………………でもさ、神様なら蘇生とか出来るんじゃないのか?ド〇クエで言えばザオリクみたいなやつで」

 

「それが出来るならとっくにやっているさ。僕を狙ってくる刺客は揃って追い込まれたり捕まったりすると特殊な自爆魔術で命を絶つんだが、一度それをされるとありとあらゆる蘇生手段が機能しないんだよね」

 

「じゃあ、特殊な自爆をさせないようにさせないといけないのか」

 

「その通り。これまでもその自爆をされる前に封じ込めて刺客を捕らえる事は何度も成功してはいるんだが、誰も口を割らないで、どんなに警戒していてもそれを掻い潜って全員自爆して死んでる」

 

「……………正気じゃないな」

 

俺の素直な感想に神様も『まったくだよ』と同意する。

 

「僕は刺客を束ねるボスが存在していると考えている。刺客を自爆させるようにしているのも、自分へと辿り着かせたくないのも理由に入っているのだろう。大本を叩かなければ、いつまでも終わらないだろうね」

 

「なんつーか、その…………………………………災難だな。こんな言葉しか咄嗟に出なくて悪いが」

 

「構わないよ。…………………()にも似たような事があってね。そんときはさっさと片付けて暫くは平和だったんだが、まーた狙われるようになってね。やれやれ……………………っと、君も旅行で疲れてるだろうし、そろそろ本題に移ろう。簡単に言うと、僕は暫く君の所に顔を出せなくなるよ。理由は何となく分かるだろうけど、本腰をいれて元凶の捕縛に専念したいからね。暫くは休み返上だよ」

 

「………………………」

 

……………………どうやら、俺はこの神の事が予想以上に好きだったらしい。何か普通に寂しく感じる。

 

「………………いや、僕はホモじゃないんで無理っす」

 

「人の心を読むな!そう言う意味じゃなくて友達的な感じだわ!」

 

「はいはい、分かってるよ。まぁ、そんな訳で暫く会えなくなるわけだが、君のタブレットとかのアプデとかメンテナンスは普通にやるから安心して欲しい。僕じゃなくて第2位(・・・)が来てやってくれるよ」

 

第2位、か………………そういやこの人(第1位)以外の神界人に会ったことないな。少し興味ある。

 

「彼女は普通に信頼のおける良い人だから安心してくれていいよ。次の月末に来る予定だからよろしく」

 

しかも女の人らしい。…………ますます興味が湧いてきた(正直者)

 

「おk……………………てか、それなら俺の予定が空いてる日を教えた方が良いんじゃ?」

 

「安心しろ、君の予定がない暇そうな日にこっちから天井を突き破って勝手に来るから」

 

「勝手に来るのは良いけど普通にドアから入れ(命令形)」

 

「はいはい。じゃあ、またな」

 

神様はいつも通り音もなく消えた。それがいつも通りなのが逆に寂しく感じた………………少しだけだが。

 

「……………荷物整理すっか」

 

そう呟くと旅行の荷物の整理を始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《東京》

 

「………………11秒かぁ」

 

土砂降りの東京の人気のない路地裏。右手に銃を持ち、フードを被った男がスマホのタイマーに表示されていタイムを見て呟く。

 

「僕としては10秒は切りたかったけど………………………まぁ、今はこんなもんかな~」

 

そう呟いて男はスマホを仕舞うと、目先の震えながら地面に腰を抜かして座り込んでいる不良の方を見る。

 

「おいおい、いつまで震えてんだい?男ならしゃきっとしないと?」

 

「…あ………あ……………………あ……………あぁ…………」

 

男の問いに不良は何も返せない。まぁ、当然であろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

血まみれの死体が10個(・・・・・・・・・・・・)転がっているのだから。

 

「まぁ、あいつ(・・・)能力(・・)はまだ完全には定着してないから不完全って言ってたからな。あと1ヶ月ちょいもすれば完全に使いこなせるようになるらしいし、そうなれば10秒以内に殺すのも容易いな…………………」

 

「……………なっ、何なんだよお前っ…………………………………!?」

 

「…………………はぁ?」

 

絞り出すように出した不良の問いに男はめんどくさそうに目を向ける。

 

「なっ、何で……………………こいつらを……………………仲間を殺したんだよ………………!?」

 

「何でって……………まぁ、実験台に丁度良さそうって言うか……………暇潰し(・・・)と言うか」

 

不良は絶句する。そして再び身体が震えだす。暇潰し感覚で人を殺しておいて何ともなさそうな表所を浮かべている目の前の悪魔に恐怖したのだ。

 

「おっ……………俺も殺すのか……!?」

 

「……………………………………………」

 

男は何も言わずに男を見つめる。不良はその視線から目を外せずにいた。外せば殺される気がしたからだ。数秒に過ぎない時間が不良にとっては長い時間に感じた後、男はつまらなさそうな表情を浮かべる。

 

「……………この事を何も言わないなら、お前だけは見逃しても良いよ。どうだい、約束できるかな?」

 

「あ、あぁ!!約束する!!警察にも誰にも言わねぇ!!だから助けてくれ!!」

 

男は地面に頭を擦り付けて命を請う。その光景に男は一瞬だけ愉悦の表情を浮かべると、すぐに口を開く。

 

「いやぁ、素晴らしいね!土下座までするとは!よし、君は助けよう!」

 

男の陽気な声を聞いて僅かでも希望を見出したのか、男が期待の籠った表情で顔を上げると

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんて言うわけないでしょ」

 

次の瞬間、乾いた銃声が鳴り響いて死体がもう1つ増えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後、その男はとある廃ビルの屋上にいた。どこからか聞こえるサイレンの音を聞き流しながら呟く。

 

「大好きな漫画の世界(・・・・・)は十分に楽しんだでしょ、総悟………………………いや、兄さん(・・・)。冥途の土産として、僕が受けた屈辱以上の圧倒的な絶望と苦痛をプレゼントするから…………………………………今から1ヶ月後に会うのが楽しみだね!」

 

狂喜が入り混じる楽しそうな笑みを浮かべる男─────────総悟の前世にて()だった男が何故かこの世界に潜んでいるのだった─────────。

 

黒き影は迫る。少し先の未来で、京都に。

 

to be continued…………




唐突のちよっとした新キャラ紹介

???

東京に潜む総悟の前世における弟。存在自体はかなり序盤から匂わせていた。どういうわけかこの世界に潜んでいる。何者からか何かしらの能力を与えられている。その目的は総悟への復讐。彼が復讐を狙う理由とは……………………?

第2位(真名:不明)

第1位の部下。性別は女性。神界人の新キャラ。第1位からは信頼されており、総悟とはいずれ会うことになる。

はいっ、と言うわけで修学旅行編…………………………………って、なるのを楽しみにしてた方には申し訳ない。本編は暫くお預け。まぁ、まだ構成が決まり切ってないのでね。繋ぎとして、ここからは事前に予告していたスピンオフです。

第1弾は本編ではあまり出番がない神様のお話。タイトルは安直に『Past of God』です。あと、事前に予告してた内容があったと思うんですが………………………アレは嘘だ。色々と考えたら内容はがらりと変わった。なので、アレは忘れて(懇願)

第2弾が星奈さんの過去編。タイトルは予告通り『星の誕生』です。

第3弾は…………………………今のところは分からんです。もしかしたら村正ちゃんの過去をやるかもしんないし、やらないかもしれない。いずれはやるんですけど、第2弾が終わって、本編構想がまだ終わってなかったら第3弾もやる感じで。

それでは、またお会いしましょう。………………………あー、やることありすぎてめんどい。

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