では、どうぞ
「さて、お主が知りたいであろう事はこれで全部じゃ」
「……………なるほど。俺は俺とその家族をぶっ殺そうとしているヤベー奴の誘惑に釣られてしまったらしい」
ほんの少しだけ後悔の色が見える総悟に村正は笑いかける。
「貴様の言う所の『あいつ』を殺す。その為ならこの妖刀村正が手を貸してやろう。安心しろ、手を組むならば
「全然安心できないんだが。………………話聞いてて思ったけど、何で今俺を殺そうとしない?ここで死ねば精神的には死んだも同然なんだろ?そしたらあんたの目的が果たされるってのに」
「なんじゃ、そんな事か。まぁ、あの小僧を殺す為と言うのもあるが…………どうせ殺るなら、精神だけでなく肉体的にも苦しめた方が愉しいじゃろ?」
「……………うん、聞かなきゃ良かったわ」
とは言え、協力すれば今は殺される事はないと言う事は本当だと総悟は何となく確信した。
「さて、どうする?わしと手を組むか?」
「…………………」
タイムリミットまで猶予がそこまである訳でもない。もう悩んでいる時間もなかった。総悟は頷く。
「……………分かった。一時休戦と行こうじゃねぇか(黙って殺されるつもりもないし、俺の親を殺させる訳にもいかねぇが…………………今は三玖を助ける為には手を組むしか道がないのは明らかだからな)」
そう言うと総悟は手を差し出す。
「くっくっく、それで良い。貴様らはあの小僧を殺した後じゃ。それまでは一時的な共闘とするかのう」
村正は差し出された手を握る。こうして一時的に歪な同盟関係が結ばれた。
総悟side
その後、あの空間から出た俺は右手に刀を持って自室に向けて歩いていた。
「……………ところであんたの事は何と呼べば良い?村正ちゃん?」
『村正で良い。ところで貴様はどこに向かっておる?』
「自分の部屋だよ。使えそうなものに幾つか心当たりがあるからな」
そう話している間に到着。幸い、俺の部屋は特に被害はなかった。自室に入って刀を机の上に置くと、自室の物置から例の物を見つける。
「あったあった」
『木刀か』
いつぞやのお泊りで持って行った洞爺湖と書かれている木刀を物置から3本全て取り出す。
「これ、使えるか?」
『その木刀にわしの力を流し込んで強化して使えば通常の刀と同じ殺傷能力を発揮できるじゃろう。わしも数百年前に試した事がある』
「へー、まんまFa○eの強化術じゃん」
『は?』
よく分かってなさそうな村正だが、まぁ説明しても混乱するだけだし面倒だから説明はしない。
「…………使えそうなやつはやっぱ木刀くらいか。ま、こんな事態は想定してなかったからこれがあるだけでも良しとするか。……………あー、そうだ。村正に聞いておきたい事があるんだけど」
『何じゃ?』
「村正の特殊能力についてとか力の源について。何が出来るのかとかは把握しておきたいし」
『…………ふむ。まぁ良かろう』
俺が自分の椅子に腰を下ろすと村正は詳細を語り始める。
『わしの力の源は自分で生み出す事も出来るが少しばかり効率が悪い。だから、先程お主にやったみたいに人から
「…………生命力って言うと、つまり寿命って認識で良いのか?」
『その認識で構わん。そうじゃな…………貴様の場合、わしの力を常に最大限用いた戦闘を30分を行えばほぼ確実に死ぬじゃろうな』
「…………………」
……………つまり、村正の本気、常時最大出力での戦闘を行えるのは30分間がタイムリミットという事か。
『後はさっきも言ったが、物にわしの力を流し込めば武器として使える。それが例え木の棒でもな。ただ、それにも限界はあるがのう』
これは使えそうな能力だな。
『後は身体能力や視力、聴力、嗅覚の強化じゃな』
これは確実に使える能力だ。
『最後に武器を創り出す能力じゃな』
「武器を?」
『うむ。だが、何でも作り出せる訳ではない。わしがその武器の構造等を正確に把握してなければならないのが条件じゃ』
「へー。何が創り出せるんだ?」
『刀、槍、弓、後は火縄銃と言った所かのう。ま、わしは刀しか使った事は無いから扱えはせんが』
「…………火縄銃、か」
最初の3つは俺も上手く扱える気はしないが、火縄銃だったらワンチャン使えるんでは?
「………………いや、そういやあれって弾とか火薬の装填作業を行わにゃいかんだったな。撃ち終わったら毎回その作業するんだったな…………じゃ、ふつーにその隙に殺されるな」
『ああ、その点は心配ないぞ。わしが火縄銃を創り出せば既に火薬や弾は装填されていて、引き金を引けばいつでも撃たれる状態になっておるからのう』
「いや、初撃はすぐ撃ててもその後にリロードしなきゃ使えんでしょうが」
『りろーど?』
「…………弾とか火薬を装填する作業の事」
『そのりろーどとやらをする必要はない。1発撃ったらその火縄銃は捨ててすぐに新しいものを創り出せば良いのじゃからな』
「なるほどな」
それだったらいけるか。銃とか撃った経験はないけど、まぁ近距離でなら高確率で当てられるだろう。
『ああ、ちなみにじゃが。創り出したものは自由自在に扱う事が出来る。例えば、宙に浮かして自由自在に操れる』
「!…………ちなみに、火縄銃を創り出した場合はそれを宙に浮かした状態で操れて、発射も任意で行えるか?」
『勿論じゃ。…………………なるほど、貴様の考えが読めたぞ。確かにそれは面白い戦いが出来そうじゃ。面白い事を考える奴じゃな』
「ん。…………………よし、能力とかについては大体分かった。で、後は三玖を助け出す方法だ。あいつと殺りあう前に三玖を助け出して安全な場所に避難させたいんだが…………………」
ここまで言ってふと思った。村正は三玖の事を何とも思っていないのだろう。村正の目的はあくまであいつを殺す事。だから、三玖を助け出す事などに同意してくれるとは思えなかった。そう考えながら刀の方をチラリと見ながらどう説得すべきかと考えていると、村正から怪訝な声が飛んでくる。
『…………何じゃその目は。それで、避難させたいから何じゃ?』
「あ、え?」
続きを促すような反応が意外過ぎて少し戸惑ってしまう。それを感じ取ったのか、村正が心象結界内ではあきれ顔を浮かべているであろう様子で言う。
『………ま、確かにお主の思う通りわしの目的はあの小僧を殺すことじゃ。別に人質がどうなろうと知ったことではない、と言いたいところじゃが…………どうもあの女は何故か無性に気になるのでな』
まさか、
『………何を考えているのかは知らぬが、兎に角あの女を助けるのなら協力してやっても良い。それだけの事じゃ』
「お、おう。そりゃ…………どうも」
何で三玖が気になるのかはよく分からないが、協力してくれるならそれに越したことはない。気を取り直して、俺はスマホで指定されているビルの画像を村正に見せる。
「ここが来るように指定された場所。この広場に三玖もいる筈なんだが、たぶんこの近くかもしくは一緒にあいつもいる可能性が高い」
『普通に考えたらそれはそうじゃろうな』
「で、だ。流石に三玖を守りながらじゃ全力で戦えない。だから、どうにか奇襲して三玖を確保した後に安全な場所に避難させてから戦闘に臨みたいんだが…………………生憎、この広場は屋上で要は高度が高い」
『となれば、地上から上がって行くのでは見つかって奇襲にならない可能性が高いのう。…………なるほど、わしに何か案がないか聞こうと思ったわけか』
察しがよろしいようで。
『ふむ………………完璧な奇襲を行うのであれば、この広場のさらに上空から仕掛けるしか他にないように思えるのう……………問題はどうやってこの広場の上空まで行くかじゃな』
「村正の力で何かぴゅーんと飛べないのか?」
『それが出来たらとっくに言っておる』
それも………そうか……………………。
「はぁ…………………」
『聞いて損したとでも言いたげなため息を人の前でしおって………………腹の立つ男じゃな…………………』
「喋る刀は人じゃねーだろうが。…………………まぁ、実を言うと上空から奇襲する案は無くはないんだけどな」
それを聞いた村正は『は?』と声を出す。その反応も当然と言えば当然か。
『何故それを早く言わんのじゃ、お主は』
「だって、超過激な案と言うか………普通に犯罪になるし……………………」
『ふん、これから人を1人殺そうとするのに何を躊躇しておる。あの女をどうしても助けたいんじゃろ?だったら、もう倫理だの規則などに縛られている段階ではない事くらい分かっているじゃろう?』
「……………」
…………………認めるのは無性に癪だが、確かに村正の言う通りだ。もう倫理とか犯罪であるとかに拘ってもいられない、三玖を助ける為にも。…………………腹を括らねばならない。
「……………村正、準備したら出るぞ。肝心の案は移動しながら説明する」
『分かった』
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三玖side
夢を見ていた。とても奇妙な夢を。それは、総悟が漫画を読んでいる夢。
『やっぱ可愛すぎィ!見てるだけでストレスが吹き飛ぶってハッキリわかんだね。いやー、でも上杉が羨ましすぎて殺意が湧いてイラっとするからプラマイゼロか』
………………え?今、フータローの名前が出て来た……………?いや、上杉としか言ってないから偶々?
『そういや、五つ子が生まれる確率って4000万回の出産で1回あるレベルの話何だっけ。そう考えると零奈さんは運が良いとも言えるな』
…………………今度はお母さんの名前?これは…………………本当に偶然なの?
『しかし、これが漫画の世界の話なのがな~。実際にいたら良いのにな、特に推し
「…………………え?」
ふと、漫画の表紙が目が行く。漫画のタイトルに書いてあったのは『五等分の花嫁』。そして、そこに写っているのは────────
「わた、し?」
「ッ!?」
目が覚めるとそこは屋上広場だった。どうやらもう夕方に近づいているようだった。
「はぁ…………はぁ………………今のは…………………夢…………………?」
心臓の音がうるさい。何とも嫌な夢だった。夢の中でソウゴは私の事を漫画の中のキャラクターとして扱っていた。あれが現実な訳が無い。実際のソウゴはそんな人ではない。
「だから、さっきのは全部嘘…………………って君は思ってるんでしょ?」
「!?」
声のした方を向くと、そこにはピエロのマスクを被っている男の人がいた。それを見て私は意識を失っていて、誰かにさらわれた事を思い出す。尤も、犯人は十中八九目の前にいる人物であるだろうが。
「悪かったね、さっきは手荒な真似をして。でも、君と2人きりで話をしてみたくてね」
「……………………………」
「まるで僕と話す事なんてない、とでも言いたげな目だけど…………………これなら、少しは興味が湧くんじゃないかな?」
そう言って私の目の前でピエロのマスクを外して素顔を露にする。その素顔を見た時、私の目は大きく見開かれたのを感じた。何故なら
「ソウ、ゴ…………………?」
目の前にいる人物はソウゴと瓜二つだった。まるで、私たちの幼少期の頃みたいに。
「自己紹介しとくと、僕の名は火野 総司。総悟の
「弟…………?ソウゴは1人っ子な筈………………」
「まぁ、正確には
前の世界……………?
「さっきの夢覚えてる?あれを見せたのは僕の力さ。だけど、あれは夢じゃない…………………実際の出来事だよ。その証拠に、ほら実物」
「っ!?」
そう言って見せられたのは先程の夢で出てきた漫画だった。
「五等分の花嫁。2000万部を突破し、アニメ化もされたラブコメ漫画。主人公は上杉風太郎。ヒロインは君達5つ子で、その内の1人が君だよ、中野三玖」
そう言って総司が見せてきたページには『私』がいた。頭をハンマーで殴られたかのような衝撃を受ける。
「勿論、
「この世界………………?」
「平行世界って言葉くらい聞いた事あるだろ?馬鹿でも分かるように言うと、この世界とは別の世界が存在してるってやつ。僕と兄さんはこことは別の世界から来たんだよ」
「は…………………?」
何を言っているんだ、と正直思った。仮に話が本当だとしても矛盾などは見受けられないし辻褄は合うかもしれないが、ソウゴが別の世界から来たなんて言う事は到底信じられなかった。
「ま、別に僕の言葉が信じられないならそれでも良いよ。後で本人が来たらすぐ分かる事だからさ」
嘘を言っているようには見えなかった。まるで、勝利を確信しているかのような口調だった。
「それで、だ。君はこう思ってるだろう。僕が何を目的としているのかと」
「…………………」
私の心の中を見透かすように自信満々に言っているが、普通に誰でも思う事なのではと思ったが口には出さないのが賢明だと思って黙っておく。
「僕の目的は…………………総悟をぶっ殺す事さ」
「…………………え?」
「高校生だった時、僕は詐欺で借金を背負わされた。少しでも助けて欲しくて僕は兄さんに助けを求めたのに、あいつは俺を見捨てたのさ!そして、高校にも行けなくなって今までずっとクソみたいな生活してたのに、弟を見捨てたクソ野郎は大学に行っただけでなく、自分の好きな漫画の世界で幸せな第二の人生を送ってますなんて…………………そんなの許せる訳ないよねぇ!?」
「っ……………!」
先程までのどこか無邪気な様子から一変、豹変した総司から漏れ出す殺気に体が震えだす。…………口には出さないが原因は元を辿れば自分だと言うのに、逆恨みでしかない。けど、今ので確信した。恐らくこの人が今まで言っていた事は本当だ。でなければ、こんなにも恐ろしい殺気を抱くとは思えない。
「だから、あいつから大切なものを奪って精神的にも肉体的にも苦しめた上で殺す!僕にした事を後悔させてやるのさ!…………………それで、だ」
そう語った総司の目が私の方を向く。……………嫌な予感がした。
「ここでのあいつやお前らの生活の一部を眺めた上で考えたんだ。あいつを精神的に追い詰めるにはどんな手段が良いかって。…………………で、考えた結果がこれさ」
「!?」
次の瞬間、私の身体が宙に浮いたかと思えばそのまま総司の目の前まで動かされる。目の前に来て止まると総司は私の口を片手で覆う。
「恐らくあいつは君を助けに来る筈だよ。見捨てる事なんて出来ないような甘ちゃんだからね!まぁ、たぶん死ぬ覚悟で来るんだろうね。
…………………自分の命を懸けて来たのに、助けようと思ってた相手が記憶喪失の廃人と化してたら面白いとは思わない?」
====================
総司の言っている事を理解した瞬間、三玖の全身に悪寒が走る。さっきまでも自分がどうなるのか恐くて泣く寸前だったが、それを聞いて一気に涙が溢れてくる。これまで姉妹の皆と分かち合ってきた喜びも、悲しみも。そして、総悟との思い出も、伝えたいと思っていたこの想いも。それら全てが無になるのだ。
「事前に聞かされてると恐ろしいでしょ?前に別の人間で同じような事をしてみても同じ反応だったよ。惨めったらしく泣き叫ぶからうるさくてね。だから、今みたいに口を塞いでるんだけど正解だね」
「────!!────────!!」
怖くないわけがない。ただ死ぬのではなく、私の中から大切なものが全て奪われて死人も同然になるのだ。ある意味、死ぬよりもたちが悪い。
「あいつの目の前でやるかどうか迷ったけど、まぁこっちの方があいつにはダメージが大きいだろうね!」
「────────!!」
「はいはい、うるさいなー。………………じゃあ、おやすみ」
紫色に輝く総司の目を三玖が見た瞬間、その目から視線を外すことが出来なくなる。そして、幼少期からの今に至るまでの思い出が頭に浮かんでは消えて行く。
「(嫌だ………………まだ、何も出来てないのに…………想いも伝えられ…………………………誰に、何を伝えるんだっけ?………………………と言うか、何で泣いてるんだっけ……………………)」
総司の手を引きはがそうとしていた手がぶらりと下がる。その目にはもう光は無く虚ろな目をしていた。それを見た総司は手を離すと、三玖の身体は地面に倒れ伏す。そして、三玖の頭から青い三角形状の結晶が抽出される。
「ふぅん、こいつの『記憶の結晶』は三角形か。これを戻せば復活する事を伝えてあいつの目の前で破壊してやろうかな!」
悪意に満ちた笑みを浮かべると、総司は懐からスマホを取り出してとあるコマンドを入力する。
「さぁ、兄さん。大事な女が待ってるよ────────変わり果てた姿で」
そう呟きながらスマホをとあるコマンドを実行するタップすると、京都駅を覆うように結界が形成されていくのだった────────。
服も全て新しいものに着替え、総悟は木刀と村正を差す。準備を終えた総悟の携帯に着信が入る。相手は一花だった。
「どうした?」
『ソウゴ君、テレビをつけるかスマホでSNSのトレンドを見て!』
言われるがままに総悟はテレビを着けると、一瞬で一花が電話をしてきた訳を理解した。
「…………京都駅を中心に謎の結界、ね」
『私の方でも少し調べてみたんだけど、SNSの書き込みに京都駅にいた筈なのにいつの間にか離れた場所に来ていたとか、結界内に入っても気づいたらその外に出てるとか……………これって』
「人払い、と言った所か。…………………あいつの仕業と見るのが正解だな。邪魔を入れさせずにじっくりと楽しむつもりらしい。で、何か先生から通達でもあったか」
『まだない。たぶん、先生たちも対応混乱してるのかも…………………それよりも、今は家にいるんだよね?新幹線を含めて京都駅に向かう交通網が全部止まってるみたいなんだけど、このままじゃ』
「ああ、それは問題ない」
一花の言いたい事を察した総悟は遮ってそう断言する。
『え、問題ないってどう言う…………………?』
「悪いが、詳しく説明してる時間もあまりない。とにかく、俺の事は心配すんな。一花は自分と他の皆を守る事だけ考えろ。取り敢えず、皆と宿泊先のホテルの方に向かえ。あそこは京都駅から結構離れてるから恐らく安全だ。俺と三玖については…………………まぁ、適当に誤魔化しといてくれ。無茶ぶりで悪いが」
『う、うん。分かった……………』
「………じゃ」
そう言って通話は終わる。総悟はスマホをしまうと自室の窓を開けて飛び降りると外の地面に着地する。
「すげ、2階から飛び降りても痛くも痒くもねぇ」
『これが身体能力強化の賜物じゃ。さて…………………では行くとするかのう』
「ああ」
総悟は再び京都に向かう。大切な人を助ける為に。過去に残した因縁に決着をつける為に────────。
??side
『幽霊ってのは現世になにか未練があったりすると肉体は滅んでも精神だけはあり続けようとする、なんてよくドラマとかでもよく見るけど…………………ま、確かにあなたは未練しかないだろうね。大切な五つ子達の晴れ姿も見る事が叶わず、幼い彼女らを置いて去ってしまうなんて』
『ええ。母であるならば当然です。………………それで、あなたは幽霊を駆除する霊媒師ですか?』
『霊媒師が空から舞い降りると思っているなら、ラノベか漫画も見すぎだと思いますよ。本気でそう思っているなら、いい病院でも紹介しましょうか?』
『…………そうですね。幽霊を診察出来る医者がいるなら是非あってみたいものです』
それを聞いた彼は面白そうに笑みを浮かべた後、真剣な表情を浮かべる。本題に入ろうとしている事がすぐに分かった。
『………………もし、あなたの娘さんが何らかの危機に巻き込まれるかもしれない、って言ったらどうします?幽霊だからと諦めますか?』
『………………………』
『……………聞かずとも、その目を見れば答えは明らかだね。詳細について話すのと………………守る為の力を授けるとしよう』
───────そんな会話があった日から今日に至るまで、私は三玖を中心に娘たちを見守っていた。そして、彼の言っていた危機に一花、そして三玖は巻き込まれた。
『一点だけ忠告しよう。この力は長くは行使できない。だから、焦って行使しない事だ。使うべきタイミングは、聡明なあなたなら分かると僕は思うけどね』
…………………その言葉が無ければ、今頃私は激情に任せて力を行使していたかもしれない。彼の忠告には感謝しなければならない。…………………ただ、この事態に陥っていると言う事は彼はもう存在していない可能性が高く、お礼を言う事が恐らく出来ないのがとても惜しまれるが。
しかし、今は感傷に浸っている場合ではない。
to be continued…………………
最後のは一体誰なんだ(すっとぼけ)