もう言葉はいらない。どうぞ。
「…………うん。聞かせて?」
伝えたいことがあると言われた三玖はそう返す。それを聞いた総悟は、息を吐くと口を開く。
「俺さぁ…………肉体的には若いけど、人生2週目なんで中身結構おっさんなんだよな…………」
「うん」
「その……………別の世界から来てんすよね………」
「うん」
「要は結構特殊と言うか、異端な存在でぇ…………人生2週目なのに、大切な女の子を泣かせちゃうタ半端者なんだよな…………」
「…………………」
三玖は何も言わず、次の言葉を待つ。
「…………けど。今回の1件で思ったんだよ。人生2週目だろうと、異端な存在だろうと、半端者だろうと
三玖の事が大大大大大好きと言うことに!!」
「!」
溢れる想いを抑えられないとばかりに総悟は続ける。
「人生1週目の頃から好きだったけど、今はもっと好き!!将来は結婚したいし、子供も欲しいし、ずっとずっと一緒にいたいッ!!」
「だから……………俺と付き合ってくれませんか………?」
軽く息が上がっている総悟。彼の問いに三玖は瞳から大粒の涙を流しながら───────
「はい………よろしく………お願いします…………!」
総悟は三玖の側に近寄ると、涙を拭って顎をくいっとする。意図を察した三玖は静かに目を瞑る。
そして、2人は静かにした─────はじめてのチュウを。
33分後
「三玖………三玖………♥️」
「ソウゴ……ソウゴ………♥️」
ファーストキスから33分。バカップル2人はまだキスをしていた。相思相愛の2人にとってキスだけでもとんでもない快感。どこぞの恋愛モンスターの彼女がキスはシャブよりキマると言っていたが、まさにその通りの結果である。
「はぁ…………はぁ…………何か、こう………凄く凄い快感………大好きな人のキスがこれ程までに気持ち良いなんて…………!」
「ふー…………三玖」
「うん?」
「……………もう30分位して良い?」
「勿論(即答)」
「いや、いつまでしておるんじゃこのたわけどもが!!」
そんな大声のツッコミがバカップルの耳に無理矢理にでも入り込んできた。
「お、村正目が覚めたのか。良かった良かった……………じゃ、続きをしよ♥️」
「うん♥️」
「あほう、いい加減止まらんか!!わしはとっくに目覚めてたが、気を遣って待っていたと言うのに、まだわしを待たせる気か!!」
と、言うわけで2人は不本意だが仕方なくイチャイチャするのを辞めた。
「…………で、何?」
「(こやつ、不機嫌なのを隠そうともせず………)まぁ、良い。小僧、1つ答えよ。わしに肉体を授けたのはお主か?」
「とりまそんな認識で良んじゃね、知らんけど」
「ソウゴが頼んだから復活したようなものだし…………はぁ………」
あからさまに適当な対応だったり、落胆している始末である。まるで村正が悪いみたいな風潮。村正はキレた。
「いや、何でわしが全部悪いみたいな空気になっておるんじゃ!!もう良い、充分恋人としての時間は楽しめたじゃろう!!だったら、4ね!!(直球)」
「フアッ!?」
村正は飛び上がると、産み出した刀を手に総悟に襲いかかろうとする。
が
「何!?」
「ソウゴってバリアも貼れたんだね、流石はソウゴ」
「え、いや………………まぁ、俺だし!!(何も分かってない)」
謎の障壁で村正の攻撃は弾かれる。その後も何度も攻撃するが、攻撃は掠りもしない。
「お、楽しく遊んでるねー」
そこへ色々と後処理は済んだのか創真が戻ってきた。
「貴様…………こいつに何をした………!」
「そうだな。分かりやすく言えば、主従契約を結ばせた、と言ったところかな。ソウゴ君風に言えばサーヴァントとマスター的な」
「なるへそ」
「主従契約じゃと………………まさか」
「そう。君の身体はパスが繋がっているソウゴ君の生命エネルギーで維持されるように僕が仕組んだ。ちなみに、総悟君には何の影響も出ない。寿命も縮まないし、健康被害もない」
総悟「ほい、安心安全」
「さらに、ソウゴ君は勿論、彼が許可しない限り他人への攻撃は不可能。攻撃してもどうなるかはご存知の通り」
「何、じゃと………?」
「ちなみに、80km以上離れるとパスが繋がらなくなって、半日以内に消滅するから気をつけてねー」
それを聞いた村正は膝を着いて地面に座り込んで呆然とする。まぁ、殺したいと思っていた奴に生殺与奪を握られたのと同然だから無理もないだろう。
「と、言うわけで総悟君。彼女の事は君に任せたよ。君が修学旅行から帰ったら、君の妹って事になってるからね。仲良く暮らしたまえ」
「おう!……………はぁ!?妹!?俺の!?」
「これは君にしか出来ぬ事なのだよ。彼女を救ってあげるのさ」
「えー………いや、救うって…………逆に殺されそうになってるんだが…………まぁ、もう殺されんだろうけどよー………」
あんま乗り気じゃないように見える総悟に創真は小声でボソッと呟く。
「三玖からの好感度もアップするよ(適当)」
「…………………。ま、まぁ?流石にこんなロリに家がないのは流石にどうかと思うし?一応、一緒に戦って、助けられた事もあるし?借りを返す意味でも巻かせとけって!」
「(三玖が世界滅ぼしてとか言ったら秒でやりかねないチョロさだね)」
とは言え、一緒に暮らすとなると相手が相手ゆえに色々と面倒そうだが、まぁそれはさておき。
「さて……………総悟君」
「ん?」
「行ってら」
「は?何が」
総悟が尋ねるよりも前にその姿は創真によって消えた。
「よし…………あ、三玖さんは気にしないで。もう先に休んでれば?ホテルまでなら送るけど」
「いや、私の恋人が目の前で消えたのに気にするなと言う方が無理がある…………」
そりゃそうである。
「ま、悪いようにはしてないなら安心しなよ。気になるなら後で本人に聞けば良いし」
「……………確かに」
取り敢えず目の前の神が悪い人物ではないのは三玖も分かっていたので、取り敢えずこの件は一旦置いておくことにした。
「さて、ホテルに送るよ。えー、場所は何処だっけ。確か」
「あの、神様」
自身の言葉を遮った三玖を創真はチラッと見る。その表情は真剣なもので。それを見た創真は何を言いたいかすぐに察した。
「─────ほんとに君は総悟君の事が好きだねぇ」
「好きじゃない────大好き」
その返しが気に入ったのか、創真はニヤリと笑う。
「良いよ。その願い叶えてあげるよ────」
「ンアーッ!」
尻からダイナミックに着地し、総悟はクッソ汚い声を挙げる。
「痛すぎィ!!あんちくしょう、何の説明も無しに────頭にきますよ!!」
プリプリしながら辺りを確認すると、どうやら橋の上にいるようだった。
「何処だここ…………レインボーブリッジ?(適当)」
「いや、それ東京でしょ………」
ツッコミのした方を向くとら寝間着姿の一花がそこにいた。正直可愛いと総悟は思った。
「ウェッ!?何で一花姉さんがいんの!?」
「いや、私もよく分かってないんだけど………何か男の人に急にここに連れてこられて『3分間だけ待ってくれ』って言われたと思えば、ソウゴ君がいきなり何もない所から隣に落ちてきて…………」
「……………なるほどな」
総悟は大体察した。お節介をしてくれたものだとも思うが、まぁいずれ避けては通れぬ道だし、総悟は感謝しておくことにした。
「あと、『君の心配事はもう既に解決した』って言われたんだけど本当…………?」
「ああ、本当だ。今から詳しく説明する」
総悟は10分程掛けて全て説明した。前世があるとか、総司が前世の弟である事とか、諸々全てを。話すべきか迷ったが、巻き込んでしまった事を考えると話さないのは何だか気が引けたので全て話した。
信じがたい話ばかりだったであろうが、一花は最後まで黙って話を聞いていた。
「……………そっか」
全てを聞き終えると、一花はただ一言そう言った。
「別に全部信じて貰わなくても良いぜ。俺だってそんな話聞かされたら信じられねぇし」
「…………うん、正直言ってよく分からないと言うか、理解が追い付いてないと言うか…………けど、総悟君が話した事が嘘だとも思ってないよ」
「そりゃどもー」
「にしても、ソウゴ君が別の世界から転生してきて、しかもそこの世界では私達は漫画のキャラクター、かぁ……………そんな事もあるんだね。まるで小説の話みたい」
「それな。世界は無数にあるって訳だ。一花姉さんが闇落ちした世界線とかあんじゃね」
「……いやぁ、それは無いでしょ~(自分を省みると、もしかしたらそうなってたかも知れないんだよねー………)」
ここで一旦言葉は途切れて沈黙が流れる。2人の耳に聞こえるのは渡月橋の下を流れる川の音。お互い黙って川の景色を眺めているが、互いに言いたいことと聞きたいことは嫌と言うほど分かっていた。
「……………なぁ、一花」
故に総悟から切り出した。
「うん」
「……………ごめんな。俺、好きな人がいるんだ」
「………。三玖でしょ?」
「…………ああ」
「…………そっかあ」
一花はそう一言だけ呟くと、唐突に総悟の頭を撫でる。
「ありがとね、ソウゴ君。凄く言いづらかったのに、ちゃんと返事をしてくれて」
「………………こう言うのって普通俺がする側じゃね?」
「ふふーん、いつぞやのお返しだよ」
総悟は定期テストのお泊り会で一花の頭を撫でた事を思い出した。
「けど、1つだけ約束して。三玖を泣かせたりしないでよ?そして、絶対に幸せにしてあげて。じゃないと、許さないからね」
「勿論だ。三玖を泣かせる者は(規制音)して、さらに(規制音)して、とどめに(規制音)してやる。約束する」
「いや、そこまでは言ってないかな………」
しかも冗談に聞こえない辺り尚更一花は恐怖を感じていたのだが、それはさておき。
「おっ、何か身体が光だしたな。これは送還される前兆か、それとも無敵状態になったかのどちらかだな」
「たぶん前者じゃないかな………」
正解である。
「…………あー、そうだ。一花」
「うん?」
「……………君みたいな人にこんな俺を好きになってくれて光栄だ。ありがとうな」
そう言うと、総悟の姿は一瞬で消え去るのだった。
一花side
「…………こちらこそ、ソウゴ君に恋した事は私の人生にとって誇りみたいなものだよ」
誰もいなくなった渡月橋の上で私はそう呟く。そこへ神様こと創真さんが入れ替りで現れる。
「話しは終わった?」
「はい。………ついでに私の恋も終わりました」
「何とも反応に困る言い方するね………ま、良いや。このスイッチあげるよ。押せば任意のタイミングで君が泊まってるホテルに帰れるよ」
「いや、別に今すぐ戻してくれても…………」
「………皆の前じゃ泣けないでしょ。今なら誰もいないし。泣いたって良いんだよ、別に。それが人間ってもんでしょ」
そう言うと創真さんは再び消えて私だけが残された。
「……はは………やっぱ無理だなぁ……………」
決壊したかのように今まで我慢していた涙が溢れる。ほんとはソウゴ君に振られた時点で泣きそうだった。だけど、ソウゴ君を困らせたくなかったし、変な罪悪感も抱かせたくなかったし、後は変な意地でもあったのかもしれない。だから、必死に泣くのを我慢していた。
だけど、どうやら限界だったみたいだ。
「私じゃダメだったのが…………すっごく悔しい……………!!」
心に穴が空いたような気持ちだった。たぶん、もう埋まる事はないのかもしれない。恋をした人にしか味わえない傷と言うやつだろうか。胸が張り裂けそうで苦しい。
「……………けど」
変化球に逃げず、真っ直ぐに想いを伝える事ができた。自分がそう言う人になれたのは、ソウゴ君のお陰だ。だから、好きになった。恋をした。
だから、この恋に後悔はない。胸を張ってそう言える。
「すーっ…………………私は!ソウゴ君が好き!大好き────────っ!!」
誰もいないのを良い事に私は大きな声でそう叫んだ。
「………………よしっ」
吹っ切れた、とは言えないが、大きな声を出したからか、気持ちが楽になった気がした。もう少ししたら帰ろう。
明日は修学旅行2日目だ。
to be continued………………
やっとカップル成立!!おめでとう!!
一花姉さんは恐らく皆さんの予想通りだったと思いますが、個人的には原作の一花よりもこっちの一花の方がワイは好きです(この小説の作者だし)
さて、ずっとシリアスは前話で終わり。ここからは最後まで基本はラブギャグ路線で参ります。ぜってぇ見てくれよな。
さて、今日はコードギアス 奪還のロゼの最終幕の公開です。ネタバレしたらマジギレするのでやめてね(振りじゃないよ)
先週はデップー見て、今週はコードギアス、来週はぼざろ。山盛りやな!よっしゃ、頑張ろ!