学園祭OPライブ終了後
「二乃、お前の生き様、確かに見届けたぜ………………」
「げっ」
「は?労いに来たのに何すか(キレ気味)」
純粋に(?)労いの言葉を掛けに来たのに二乃には顔をしかめられる総悟。どんまい!いや、日ごろの行い
「あ、いや…………………あんたの事だから、何か弄りに来たのかと早とちりしただけよ。悪いわね」
「あぁ、別に良いんだけど…………………ま、弄り目的もあるけどな」
「やっぱりか!」
謝り損である。
「ふむ…………………やはり、星野ア〇が最強か」
「いや、誰よ」
「金輪際現れない、完璧かつ究極のアイドル。ま、気にすんな。次元が違うから」
「いや、別に気にしてないわよ。じゃ、私は着替えするからもう行くわ」
「あぁ、ちょっと待った。本題がまだある」
総悟がそう言うといつになく真剣な表情を浮かべる。流石に二乃もそれを感じ取ったのか、総悟の方を向く。
「二乃、お前に頼みがある。正確には、許可が欲しい」
「……………何よ、許可って」
「8k画質で取ったライブ映像、屋台で売りに出して良いか?」
「誰が許可出すか!」
なお、許可が出てたらライブ映像の売り上げ分は総悟個人で横領するつもりだった模様。
そんないつものコント()もありつつ、午後に突入。二乃は自由時間に謎解きゲームを友達と遊んでいた。
「二乃は15時に約束があるんだっけ?」
「そうよ。けど、これだけはどうしても解きたいわ。でなきゃ私の中の火野(イマジナリー)に馬鹿にされて腹立つわ」
イマジナリー火野「これくらいのなぞなぞも解けないんすかww」
「(これ、一周回って仲いいんじゃないの…………?)あ、そう言えば私も同じ時間に親が来るんだよね」
「あー、私の家族も学校にもういるみたい。でも、このまま3人でいても」
「ダメよ!折角来てくれたんだから、少しでも長くいてあげなさい!」
「え、でも」
「私の事は良いから!ほら、早く行きなさい!」
「……………うん、分かった」
「ありがと二乃。気を付けてね」
「はいはい」
そうして友達を見送り、独りになった二乃。周りには親子で回っている学生もちらほらいるのが見えて、二乃の気分は少し落ち込む。
「(結局来て無さそうだったし……………アイドルの仕事なんて受けるんじゃなかったわ。火野に弄りのネタを提供しただけじゃない…………)」
「この問題を解けば良いのか?」
「!?」
いきなり現れたのは風太郎だった。
「フ、フー君…………………なんでここに……………」
「もうすぐ約束の15時だからね」
四葉もピョコっと現れる。数分後には上杉が爆速で謎を解き、3人は謎解きゲームエリアを後にした。なお、四葉は最後の最後まで分からなかった模様。
「つーか、いつまでそんな目立つ格好してんだよ」
「だって……………見て欲しかったんだもの」
「!」
思わず上杉が二乃を見ると、少し頬赤らめた二乃を見てすぐ目をそらしてしまう。自身の頬もほんのり赤くなっているのに気が付かない。
「あのオープニングセレモニーは本当は私がやるべきだったんですが、二乃が引き受けてくれたんです」
「あんたは仕事引き受けすぎなのよ。演劇部もしてたらしいじゃない」
「あはは………やれるかなーって…………でも、お陰で公演は大成功だったよ」
「ま、陸上部の時みたいにならないように
「…………………え?」
「…………へ?」
二乃が四葉の顔を見ると、何故かその顔が僅かに引きつっていた。
「え、私何かまずいこと言った…………?」
「いや、特段そんな事は言ってなかったが」
「………………あ、あー!いえ、少しぼーっとしてただけです!うん、余裕を持ってやってるから大丈夫だと思う…………」
「そう?」
少し気になりはしたが、本人がそう言っている以上、二乃は一先ずこの話は打ち止めにする事にした。
「にしても、二乃は何であの仕事を引き受けた?ただの姉妹馬鹿か、アイドルでも目指してるのか?」
「理由は前者のもあるけど…………………舞台の上からなら客席が見渡せると思ったのよ。…………………って、誰が姉妹馬鹿よ!」
「火野じゃないとワンテンポ遅れるな。やはり、火野と二乃のペアがベストか」
「誰がツッコミ役よ!」
※誰もツッコミ役とは言ってません
「てか、今のどういうことだ?」
「実は私達、お父さんに招待状を送ったんです」
「影も形もなかったけどね。ま、ダメ元だったから気にしてないけど」
「ま、もしかしたら途中から来てるかもしれねーぞ。教室で火野の用事済ませたら屋台の方でも見に行くか」
解散したのち、二乃と上杉は屋台のゾーンに来ていた。
「くそっ、いねーな」
「…………………」
「………………。直電すっか」
「それはやめて!」
二乃の表情に陰りがあるのが見えた上杉は直電しようとするがすぐに止められる。総悟なら強行していただろうが。
「大丈夫!もういいの…………………元から期待何てしてないから」
「…………お前だって、勇気を出して招待状を送ったんだろ。納得できるのかよ」
「…………………」
上杉の言葉を受けて二乃は黙り込んでしまう。と、そこへ。
「おー、いたぞらいは」
「親父!それにらいはも」
「もー、お兄ちゃんなにしてたの?」
「どうせ勉強の事でも考えてたんやろ(適当)」
別方向から一花の見送りを終えた総悟もやって来た。
「えーっと、君は……………五つ子の……………えー……………」
「二乃さんだよ、次女の」
「ダメみたいですね(諦め)」
「今言おうとしてたんだよ!」
らいはに先を越され、総悟には諦められる始末の上杉父は五つ子と言えば、と話を続ける。
「マルオの奴もう帰ったのか?」
「……………ほう?」
「父なら来てませんが…………?」
「この前あいつの部屋に行った時にここの手紙が置いてあったんだよ。だから来てると思ったんだが」
「へー、そうなんや。ワイは見なかったが…………………やはり、二乃のライブ映像を強行販売するべきだったか……………」
「いや、待った。そんな事よりも………………親父たち知り合いだったのかよ!?」
『そんな事よりもだと……………?』と何故かキレ気味に呟く総悟をスルーして上杉は驚いていた。
「あいつとは学生ん時からの腐れ縁よ。俺はバリバリのアウトローで、あちうは学年トップの生徒会長だったな。奴とはよく対立したぜ」
「イメージしやすスギィ!」
「よくそんな関係で仕事を引き受けられたな」
「ガハハ、半ば強引にな!それに俺らを繋ぎとめたのは先…………………いや、これ以上はマルオの奴から聞きな」
「もしかしてお母さん…………?」
「へー、零奈さんの生徒だったんですねぇ」
総悟の言葉に上杉父は同意するように、そして懐かしむように呟く。
「良い女だったぜー、うちの嫁さんの次にな」
「直接聞くもなにも本人がいないんだが」
「ま、安心しろよ若人よ。俺も人生経験長いから何となく分かるけど、父親ってのは中々めんどくせー生き物なんだよ。知らんけど(矛盾)」
「総悟の言う通りだ。あいつ自身のめんどくささも加わって2倍めんどくせーんだが…………………お嬢ちゃん達が心を開いて行ったように、あいつも少しずつ歩み寄っている筈だぜ」
適当だが何故か説得力のあるようなないような総悟と上杉父の言葉を受けて上杉は分かった、と続ける。
「だがこのまま来なければ、俺が直接文句言いに行ってやる」
「フー君………うん、信じて待ってみるわ」
「そして、またクビになると…………(予言)」
「おい、不吉な事を言うのはやめろ!行く時に躊躇するだろ!」
「いや、2日目終わったんですけど…………………」
が・・・・・駄目っ・・・・・!マルオ、姿現さずっ…………………!来たのは二乃と三玖のバイト先の店長。がっかりしたとは言っていない。
「(はぁ……何を期待してるのかしら………………馬鹿みたい…………)」
「え、何?」
「かっけー」
「誰だろー?」
「?」
ふと、二乃は周りが騒がしい事に気が付く。
「きっと武田君よカッコいい~」
「いや、前田じゃない?」
そして、バイクに乗って来た人物はバイザーを上げる。
「もうただ待つのも飽きてきた。二乃、ついて来い。こっちから乗り込むぞ」
残念、上杉でした。
「……………もういいわよ」
「え?」
「招待状は読んだのにパパは来なかった。私達の事なんて微塵も「それは違いますよ、二乃さん」…………星奈さん?」
そこにやって来たのは星奈。ついでに村正もいた。
「私は知っていますよ。マルオさんもマルオさんで内心悩んでいた事も。そして、あがこうとしている事を。だから、微塵も気に掛けてないなんて言わないであげて下さい。ね?」
「そうよ。不器用と無関心をはき違えてはだめよ、二乃。彼が無関心ならあなた達は今、ここにいなかったかもしれない。でしょ?」
「……………知ってるか?俺達に対する警戒心、めちゃくちゃ怖ぇーぞ。あれが父親の目ってやつなんだろうな。お前たちへの愛ゆえに出来る目だ。……………だから文句を言ってやる。お前らめんどくせーってな」
「マルオさんも上杉君には言われたくないと思いますが………(苦笑)」
「兄上から聞く限りお主もだいぶめんどくさいと思うが(直球)」
「すいません、少しは俺にもカッコつけさせてくれませんかね(切実)」
と、そこへ放送部の生徒がやって来る。
「上杉君、例の人見つけたよ。たぶんこの人なんじゃないかな」
放送部の生徒はタブレットの映像を再生する。そこにはマルオがインタビューを受けていた。
「パパ………来てたの………………?」
「サンキュー。やっぱ親父の言う通りだったか。………………どうする二乃?」
「…………フー君。パパの所に連れてって!」
「ああ。任せとけ」
上杉と二乃はバイクに乗るとすぐに発進。それを星奈と村正は見送った。
「さて………………私達もそろそろ帰りますか」
「そうね、そろそろ…………………っ!」
村正の脳裏に総悟の顔が浮かんだ。何があったのかは分からない。ただ、自分の助けを求めているのは察知した。
「……………お兄ちゃんが呼んでる」
「あ、ちょ!?」
人目を気にせず村正は一瞬で消え去る。星奈も急いで追い掛けるのだった。
病院内にて
「ぬわああん疲れたもおおおおおおん(マナーモード)」
「…………………火野君。君はいつまでここにいるつもりだい」
何故か病院にいた総悟とマルオが病院内を並んで歩いていた。異様な光景である。
「いや、何かここにいたら面白そうな事がありそうだなーって(ニュー〇イプの勘)」
「…………病院で面白い事などないと思うが」
「どうですかねぇ。例えば、病院内でパンケーキ屋が出張できたりして(予言)」
「…………………」
マルオは何も言わず足を進め、自室に入ると2人の人物がいた。
「どうも。お借りしてた娘さんを返しに来ました」
「…………………」
「ほらぁ、言ったじゃないすか。あ、ちなみに(特に裏工作はして)ないです」
上杉の姿を見てチラリとこちらを見るマルオに総悟はニヤリと笑う。
「おっ、見てくださいよマルオさんさんさんさん。パンケーキ屋やってますねぇ!」
言われてみれば、二乃がパンケーキを作っていた。
「(パンケーキ…………にしても、何故3回も多く『さん』を付けたんだ……………?)」
「食べてやってください。学校に来ていたのは知っています」
「そうだよ(便乗)」
男2人の言葉を聞きながらマルオは過去の事を思い出していた。生前の零奈が入院中に自分にパンケーキをごちそうすると言ってくれた事を。零奈が退院した後、実際にパンケーキを食べた事を。そのパンケーキがとても美味しかったことを。
「この生地は三玖が作ったの。あんなに料理が下手っぴだったあの子が。三玖だけじゃなくて、私達全員がずっと大きくなったわ。その成長を見ていて欲しいの、お父さん」
「…………………」
マルオは何も言わずにフォークを手に取る。そして、口に運んだ。
「(!………………あの時と何も変わらない味だ………………漸く分かった。私は避けていたのか。受け入れがたいあの人の死を………君達から距離を置く事で…………だが)この味…………君たちは逃げずに向き合っていたんだね」
懐かしい味が最後の一押しだった。逃げていた自分から変わる為に。向き合う為の最後の一押しをしてくれた。
「二乃。また作ってくれるかい?次は……………家族皆で食べよう」
「「!」」
二乃と上杉は顔を見合わせて喜ぶ。二乃は嬉しさのあまり涙を浮かべていた。
「きゅ、急に何よ!」
「おっ、ツンデレ来るか?」
「違うわよ!……………でも、そうね。今度は皆で食べましょ。きっと喜ぶわ」
「良かったな二乃、じゃあ俺はトイレに」
「待ちたまえ上杉君。これは君の計画かい?」
「違います」
「そうだよ(肯定)」
「そうよ、彼がここまで連れて来てくれたの」
面倒事になりそうなことを第六感で感じた上杉は逃げようとするが失敗。そして、二乃と総悟に計画をバラされるた。なお、総悟は適当に便乗しただけの模様。
「…………………それは、家庭教師の範疇を超えていると思うのだが」
「(やっぱ親バカじゃねーか!)」
「親バカで草(ド直球)」
「(こいつ、言いやがった!)」
「…………って、上杉が言ってました(擦り付け)」
「おい!(…………いやまぁ、確かに今心の中では言ったが!)」
「……………しかし、それは私にはできなかった事だ。君と総悟君に頼んで良かったと心から思う。不出来だが、親として君達が娘たちとの関係を真剣に考えてくれる事を願おう」
「勿論ですばい」
総悟が代表してそう返事する。口調はふざけ気味だが、その目は真剣そのものだった。
上杉と二乃が去ったあと、総悟はまだ滞在していた。早く帰って欲しいマルオの雰囲気はあえて読まない。
「マルオさんは明日は来るんですか?」
「…………仕事終わりに行こうと思ってはいる。……何もないならそれで良いのだが」
「へ?」
「いや、
「そう言われると気になるんですよねぇ…………ま、取り敢えず明日来るんでしたら好都合。金持ちパワーでうちのたこ焼きを全部買い占めて貰いますか(暗黒微笑)」
「…………む。これは二乃が使っていたものだね」
取り敢えずスルーしたマルオは二乃の忘れ物に気が付く。なお、総悟の今のは冗談である。
「ほんの数十秒前に出たばかりなんで今なら近くにいるんでは?」
「ふむ、確かに」
と、言うわけで忘れ物を持ったマルオと総悟は部屋を出る。
「忘れ物だよ」
「危ねッー!」
「……………あっ(察し)」
総悟は察した。二乃が恋する乙女的な表情でキス待ちしてそうな顔見て察した。
「?……何をしているんだい?」
「ちょっと滑っちゃいまして!もう帰ります!」
「ああ、そうするといい」
「………ちっ、あと少しだったのに」
二乃の呟きを地獄耳でキャッチした総悟。そのまま二乃の近くへ。
「お前さ二乃さぁ…………」
二乃side
「ギリギリセーフ…………二乃、大丈夫だったか?…………ん?」
私はフー君をそのまま引き寄せてその唇を塞いだ。
『こう言うときにツンデレと言う名の第1の刃じゃなくて、第2の刃を使うべきってはっきりわかんだね(迫真)』
私の第2の刃。即ち、アグレッシブさだ。火野に言われるのも何か複雑だけど、今回は素直に感謝ね。
「やっぱ恋は攻めてこそね」
赤面するフー君に私はそう言いはなったのだった。
「ん?今なんと………」
「………ねぇ、お父さん。これだけは言っておきたかったの」
この先、私達姉妹がどうなろうとも。この恋がいかなる結末を迎えても私の気持ちは変わらない。
「フー君を家庭教師に選んでくれてありがと!」
総悟「(いや、俺は?)」
to be continued………
この後、『いや、俺は?』としつこく絡んで、何だかんだで(病院内なので静かにしつつ)取っ組み合いになったそうです。お前ら仲が良いな………。
次は四葉です。