三玖を愛する転生者の話   作:音速のノッブ

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最後の祭りが五月の場合 その1

1日目

 

「フアッ!?」

 

「は?学祭り中も1人で自習してる?」

 

五月から衝撃の宣言を受けた男2人。

 

「勉強ばっかで大丈夫か?友達いる?学校つまんあいなら相談乗るが?」

 

「うっせぶっ〇すぞ(金のボール掴み)」

 

「あなたにだけは言われたくなかった言葉です」

 

ダン〇ダンの流行りに乗ってゴールデンボールを攻撃されて悶える上杉は放置して(無慈悲)総悟は複雑そうな表情である。

 

「けど、折角の文化祭なんだしよぉ………………今の上杉は勿体ない婆さんやでホンマ」

 

「何を………………言ってるんだお前は………………(瀕死)」

 

「いえ、私は決めたんです!この問題集を終わらせるまではここを動かないと」

 

「………………たこ焼き」

 

「うっ」

 

「焼きそば」

 

「ううっ………………」

 

「からあげ、ソフトクリーム、ポップコーン、ターボババア、パンケーキ…………」

 

「ゆ、誘惑には乗りませんよ!と言うか、ターボババアってもはや食べものですらありませんよ!?」

 

何故かバレたかみたいな顔をする総悟。ムカつく顔をしていやがる。

 

「……………まぁ、五月がええならワイらは特に何も言わんが。せめて3時の約束には間に合わせてクレメンス」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誘惑に負けそうになりつつも、五月は勉強していた。食堂で食べ物を食べようとする罪なき輩を無言の圧力で追い払いつつ勉強をしていた。

 

「い、いけません………………勉強に集中しないと……………にしても、わざわざ食堂に来なくたっていいじゃないですか!」

 

まるで食堂に来る人たちが悪いかのような言葉。普段なら言わなそうな事だが、腹の減りすぎで頭がおかしくなったのかもしれない(名推理)

 

そして、また美味しい匂いの誘惑が五月を襲う。匂いのする方へ再び無言の圧力という名の領域展開(?)をしようとする五月だが、そこにいたのはわたあめを持った中年の男だった。

 

「いいねぇ、学園祭。懐かしい記憶が蘇って来るよ」

 

「!あなたは、無堂先生……………?」

 

「おっと、奇遇(・・)だね。君はこの前の特別講座に来ていた…………五月ちゃんだっけ?」

 

「は、はい。その節はお世話になりました」

 

「おや、こんな祭りの中勉強かね」

 

無堂は机の上のテキスト等をチラリと見てそう問いかける。

 

「えっと……………まぁ、はい…………」

 

「なんとストイックな!素晴らしい向上心!授業に参加する生徒が皆五月ちゃんだったら良いんだがね。昔、教師をしていてね…………………あ、そうだ。五月ちゃんも先生を目指しているって聞いたけど、それはどうして?」

 

「…………………正直、私は今まで勉強を避けてきました。ですが夢を見つけ、目標を定めてから学ぶことが楽しくなってきて…………………そんな風に私も誰かの支えになりたい…………………それが私の」

 

「感動した!何て健気で清らかなんだ!」

 

五月の言葉を遮るように無堂は涙を流しながら拍手する。ここで鋭い総悟がいれば無堂に対して違和感を感じたのかもしれない。だが、五月が感じたのは『救い』だった。

 

「…………少し、救われた気がします………………本当に私の夢は正しいのかと、今になってもそんな事ばかり考えてしまって……………生前、母が言っていた事があるんです。母は…………あ、実は母も学校の先生だったんです」

 

「知ってるよ」

 

「…………………え?」

 

無堂の言葉に五月は一瞬理解が追い付かず固まってしまう。

 

「僕は彼女の担任だったんだ。君は若い頃のお母さんそっくりだ。……………歪なほどにね」

 

無堂はそのまま言葉を続ける。

 

「君がお母さんの後を追っているだけなら、教師の道はお勧めしない。歪んだ愛執は自身を破滅へと導く。まるで呪いだ」

 

五月はいつかの下田の言葉を思い出す。下田は言っていた、『お嬢ちゃんはお母ちゃんになりたいだけなんじゃないか』、と。

 

「ち、違います!これは私の意思で」

 

「僕には無意識にそう思い込んでいるようにしか見えないけどね。それが呪いだ。その証拠に、君の想いに君自身が追い付いていない。心当たりはあるんじゃないかな?」

 

「…………………!」

 

五月は思い出す。いくら勉強しても上がらない模試の判定を。

 

「きついことを言ってすまない。でもね、僕は五月ちゃんにお母さんと同じ道をたどって欲しくないんだ」

 

「え…………………?」

 

「彼女は僕に憧れて似合わぬ教職の道へ進んだことを最後まで後悔していたよ」

 

「────────」

 

五月の脳裏に母の言葉が思い浮かぶ。目の前の男の言葉が正しいと裏付けるような事を口にしていた事を。

 

「す…………すみません、この後約束があるので…………失礼します…………」

 

「君にあった道は他にもあるはずだ。明日も来るよ。悩んでいるのならいつでも相談にのるからね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

15時15分

 

「ごめーん、二乃のダンス見れなかったよー」

 

「み、見なくていいわよ!」

 

「ほい、そんな人の為に8k画質の録画映像」

 

「見せてんじゃないわよ火野ォ!」

 

相も変わらず仲良くバカ騒ぎする総悟ら。そんな彼らを五月は黙って見つめていると、星奈と村正が近寄って来る。

 

「少しは息抜きできていますか?」

 

「からあげ食べるかしら?」

 

「食べます!(一瞬で消えるからあげ)……………まぁ、それなりには気分転換は出来ています。こうして皆でいると楽しいです」

 

そう言って笑顔を作る(・・)五月。一花と同じ血が流れているが故か。星奈と村正はどこか影がある事に気づけない。

 

「こんな大量の問題をよくこの短時間で終わらせたものね。凄いじゃない」

 

「総悟様も『負けず嫌いなのが五月の最大の強み』と仰っていましたが、その通りですね」

 

「……………ええ」

 

こうして五月の1日目は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2日目

 

竹林らが去った後、1人看板持ちをしていた五月は宣言通り再び現れた無堂と人気のない場所に来ていた。

 

「…………何の御用でしょうか」

 

「昨日はすまいね。赤の他人からあんなことを言われたら困惑するだけだろう」

 

「はぁ…………」

 

そして、無堂は衝撃の事実を述べる。

 

「君のお母さんは元教え子。さらに元同僚。…………………そして元妻だ」

 

「…………………!?」

 

即ち

 

「私は君のお父さんだ」

 

目の前の人物が血のつながりのある、実の父親。突然の事に動揺するのは無理もなかった。

 

「そんな…………私達が産まれる前に消息不明になっていたと聞いていますが…………………本当に無堂先生が………………?」

 

「ずっと会いたかったんだ。全国を回りながら君達の事を想っていた。そんな時。テレビに映る一花ちゃんを見つけた。調べてみたらここの近くの事務所に配属している事が分かってね。偶々近くの教室を訪れる機会があったから訪ねてみようと思っていたんだが、それよりも前に五月ちゃんと塾で出会ったんだ」

 

「…………み、皆を呼びま「今は五月ちゃんと話しているんだ」」

 

有無を言わさない迫力に五月は一瞬言葉を失う。

 

「君は進路について悩んでいるんだろう。聞かせてくれたじゃないか。今こそ父親としての義務を」

 

段々と五月は腹の底から怒りが込み上げてきた。そして、それをもう抑える気もしなかった。

 

「ふざけないでください!お母さんから聞いていました、お腹の中にいる子供が私達(五つ子)だと分かった途端姿を消したと!その時お母さんがどんな気持ちだったか…………………私は…………あなたを…………………!」

 

「ごめんなさい!」

 

突然、無堂は手を地面につけて頭を勢いよく叩きつける。

 

「なんて情けない、ずっと後悔していたんだ!当時の僕に甲斐性があればこんなに迷惑を掛けずにすんだのに!」

 

「…………………」

 

「君達の行く末を考えると、心が張り裂けそうな思いだった。私の罪は消えることはないが、許されるのであれば罪滅ぼしをさせて欲しい。今からでも父親として娘に出来ることをしたい」

 

「何を今更……………」

 

「君は亡くなった母親の幻影を追い続け、母親と同じ間違った歩を進めようとしている。父として到底見過ごすことが出来ない。君達への愛が僕を突き動かした!学校の先生が相応しくないということは君が一番よく分かっている筈だ。僕ならいくらでも違う道が用意してあげられる。君のお母さんも言っていたはずだ」

 

ただの戯言。そう切り捨てるのは容易い。しかし、五月の脳裏に尊敬する人物が遺した言葉がそれを邪魔していた。

 

『五月。あなたは私のように絶対ならないでください』

 

「…………………っ」

 

無堂が明日も来ると伝えて去った後、五月は暫くそのまま立ち尽くしていた。天気は快晴。だが、その太陽が五月を照らす事は無かった。

 

「…………火野君……私は………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

PM10:55

 

「……………は?」

 

上杉からの衝撃的な言葉に総悟は一瞬思考が止まった。隣の一花も衝撃を受けていた。

 

『親父が今日その姿を見たらしい。人込みが多くて接触は出来なかったみたいだがな』

 

「三玖達の実父が…………………?だが、何で五月と接触したと?」

 

『そいつは塾講師らしくてな。親父の知り合いが言うには、五月のバイト先の塾に来ていたらしい。断定はできないが、五月は接触していた可能性が高い』

 

「…………………そうか。分かった、明日俺が本人に話を聞く。お前は朝からたこ焼きのシフトだろ?別に2人も人員を割く必要はないしな」

 

『分かった。だが、必要なら俺にも連絡しろ。何かしらの役には立ってやるさ』

 

「了解」

 

そうして、上杉との通話は終わった。

 

「…………………こんな時にマジか」

 

「嘘…………何で………」

 

「…………あのさ、一花姉さんの実父はどういう経緯で消えたんだ?」

 

「えっと………………お母さんが言うには、私達がお母さんのお腹の中にいると分かった途端、姿を消したって…………」

 

「そうかそうか。……………とんだクズ野郎で良かったぜ、これでボロカス言っても罪悪感に胸を痛めなくて済む」

 

一花から見ると総悟の横顔は殺意で険しくなっていた。だが、すぐに表情を和らげると一花の方を向く。

 

「一花」

 

「うん」

 

「偶然にせよ必然にせよ、現れた以上はケリを付けるべきって事なのかもな」

 

「…………そうだね。私も同じことを考えてたよ」

 

「これは5人全員、そして皆のお父さんの問題だな。ほい、そんな訳で」

 

総悟は一花にスマホの画面を見せる。表示されていた総悟の電話帳に載っていた人物の名前に一花は少し驚く。

 

「ソウゴ君、いつの間に…………」

 

「ま、江端さんから聞いたんだけどな。なお、本人には無許可。電話帳以外の人間は着信されない設定になってなきゃ良いがな。あと、そもそも今の時間出るかどうか」

 

一ミリの躊躇もなく総悟はスピーカーモードで発信する。数コール後、通話状態になった。

 

『………もしもし』

 

「あー、どうも夜分にすみません。家庭教師の総悟です」

 

『…………何故私の電話番号を知っているかは今は目を瞑ろう。それで、わざわざこんな時間に掛けて来たということは、それなりの用なんだろうね』

 

「勿論」

 

総悟は取り敢えず事の経緯を詳しく説明する。

 

 

「……………そんな訳でマルオさん。明日、娘さん達とあなたの愛する妻をポイ捨てしたクソ野郎にお礼しに行きません?」

 

『…………………火野君。あんまり汚い言葉を使わない事をおすすめしよう。それに、既に私の予定表には予定が入っている』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同窓会(・・・)の予定がね』

 

それを聞いた総悟はニヤリと笑い、一花も嬉しそうな表情を浮かべる。

 

「そう来なくては。…………しかし、同窓会を開くタイミングはこちらでお任せさせてもらっても?5人全員の準備を整えるのに少し時間が必要な可能性が微レ存なので」

 

『…………分かった。君に任せよう。準備が整ったら連絡をしてくれ』

 

「了解です。では、明日」

 

そうして通話は終わった。

 

「(フハハハハハッ………何が目的で現れたは知らないが、もしクソな理由で俺の大切な人達を苦しめていようものなら…………………徹底的に叩きのめし、恐怖と恥を植え付け、皆の前でボロ雑巾のように捨ててやる……………!)」

 

「(ソウゴ君、めっちゃ悪い事を考えている顔してる……………まぁ、今回は相手が相手だから同情はしないけど)」

 

to be continued………




次回、ハゲ死す。デュエルスタンバイ!
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