3日目
「五月が来てない?」
「そ。最終日だってのに何してんだか…………」
「昨日からずっと部屋に籠ってる」
「…………………」
二乃、三玖の言葉を聞いて総悟は確信した。何かあったことを。
「(ちっ………………案内した時に、知っていれば何かしら手を打てたかもしれないってのに…………………」
「そうか、どうりで探してもいないわけだ。折角会いに来たのに…………………」
「(!?)」
総悟の後ろからソフトクリームを持った無堂が現れた。
「(このハゲ…………………よくもまぁ堂々と姿を現したもんだな……………しかし)」
ぶちのめしたいのは山々だが、総悟は堪える。まだその時ではないからだ。やるからには、5人揃ってから。
「(けど、軽く確かめるか……………)確か無堂先生でしたっけ……………五月に何か言いました?(小声)」
それを聞いた無堂は何故かニッと笑った。
「怖いなぁ、アイスあげるから許して」
「いらないです、(三玖のなら食うけど)誰が食うんですか(ハゲ)人の食いかけを(即答)」
「ははは、それもそうか。別に、ただ現実を教えただけだよ。それが僕の務めだからね。出直すよ、バイバイ」
そう言って無堂は去って行った。
「(ソフトクリームで釣ろうとするとか馬鹿じゃねぇの……………しかし、テメェの底は知れたぜ)三玖、悪いがこれを本部に届けてくれるか?用事が出来た。取り敢えず、あのおっさんの事はこの後来る一花から聞いてくれ」
「分かった」
「なら、これを持って行きなさい」
二乃が差し出したのはマンションのカードキーだった。
「何だ、三玖から借りようとしてたのに……………まぁ、二乃のなら無くしても問題ないからええか」
「無くしたら再発行の費用はあんたの給料から天引きするようにパパに言っておくわよ」
「そいつはごめん被るね。…………2人とも、ここの事は任せたわ」
「ええ、早く行きなさい」
「ソウゴ、五月をお願い」
警察に捕まらない範囲で単車をぶっ飛ばし、総悟はマンションに到着。
「どうも、泥棒でーす」
そんな事を言いながら部屋に入ると、五月がリビングで勉強していた。総悟は五月の隣の椅子に座る。
「…………なーんて面してんだ。らしくねぇ」
「………火野君…………こんな事意味ないと言うのに…………私は何をしているのでしょう……………」
「………何言われたか知らないが、あんなおっさんの言う事をなんで気にすんな。今すぐ忘れちまえ。頭の容量の無駄だ」
「いいえ、そうじゃないんです…………」
総悟の言葉を遮って五月は続ける。
「……………お母さんも、言っていたんです」
───────あなたは私のようには絶対にならないでください、と。
「それなのに、諦めきれない……………未だに先生を………お母さんを目指してしまっている…………………そう願う私は間違っているのでしょうか?」
「んなわけねぇだろ!」
大声で、そして全力で否定する総悟の言葉に五月はビクッと肩を震わせて総悟の方を向く。
「お母さんを目指す?良いじゃねぇか、それの何が悪いってんだ!五月が見つけた夢なんだろ!だったら、他人の戯言になんて耳を貸してんじゃねぇぜ!黙って夢に向かって跳ぶんだよ!」
「…………本当に私の夢なんでしょうか……………私はお母さんになりたいだけ。以前、ある人に言われたことがあります…………」
「………五月は役割としての母親を目指してるんじゃねぇだろ?誰よりもその後姿に憧れて、自分もああなりたいと思ったから母の背中を追い掛けてる…………なら、母親に憧れて、同じ先生の道を志す事が間違いな訳がねぇだろ!あのハゲがその道を否定しても、俺が肯定してやる!」
「……………!」
「それに、母親のようになりたいだけが先生になりたい理由じゃねぇだろ?前に言ってたろ、姉妹に教えて感謝された時、とても嬉しくてやり甲斐も感じた。その気持ちを大切にしたいと。………俺は前に五月が母親に囚われてんのかと思った事があった。けど、その言葉聞いて安心したよ。母親の代わり、役割になりたいからじゃない。囚われてる訳でもない。五月本人の意思でその『夢』を見つけたんだ、ってな。あの言葉は嘘だったのか?」
「う、嘘じゃないです!姉妹に教えて感謝された時に感じた気持ちは本当です!」
「じゃあ別に良いじゃねぇか。先生を目指す、目指すからには母親のような先生を目指す。五月の夢を簡単に言えば、そういう事だろ?つーか、逃げ出したあの腰抜けのハゲよりも五月の方が零奈さんの事知ってんだろ?思い返してみろ、母親がどんな人だったか。そんでもって、そんな母親のような先生を目指したいか…………答えは簡単やろ」
そう促された五月は改めて思い返す。自分の母親がどんな人だったか。
「お母さんは…………優しくて、凛々しくて………私の理想の姿で……………私は!お母さんのような先生になりたい!呪いではなく、これは私のれっきとした意志です!」
「よう言うた!それでこそ男や!(イニ義893)……あ、間違えた。それでこそ五月や」
良い感じの場面で謎の言い間違いをする総悟。でも、それが何だかありがたくて五月はクスッと笑った。
「ふふっ…………私、良いことを思い付きました」
「んあ?」
「勉強、教えてください」
「当たり前だよなぁ?(教師の鑑)」
「……………しかしだ。その前に片付けるべき事があるってはっきり分かんだね(迫真) ……………乗り込むか?」
「ええ。…………私、あの人に会いに行きます」
それを聞いて総悟はニヤリと笑う。そしてスマホでメッセージを打つ。件名は『同窓会開催のお知らせ』とある。
「学校までバイクで送ってやらぁ。40秒で支度しな!(ラ○ュタ)」
「いや流石に無理です………(当然)」
「クゥーン・・・(犬かな?)」
1時間後、学校
五月は移動中の会話を思い出す。
『火野君。今回の件ですが、手出しは無用でお願いいたします』
『…………………。それはあれか、家族の問題だから的な理由か?』
『はい。お察しが早くて助かります。上杉君にもそう伝えておいてください』
『………………』
そして、五月は休憩所に座っていた無堂の背中に話し掛ける。
「こんにちは無堂先生。五月です」
「……………まさか五月ちゃんの方から来てくれるとはね。僕の言葉に耳を傾けてくれるようになった、という事かな?」
その問いには答えず、五月は言葉を続ける。
「…………無堂先生。学校の先生になりたいという夢が間違っているのなら私はどうすれば良いのでしょうか?」
「君は今もお母さんの幻影に憑りつかれている。五月ちゃんが五月ちゃんらしくあってほしい。その手助けがしたいんだ。学校の先生でなければ何でもいい。お母さんと同じ道を歩まないでくれ」
無堂は気付かない。足元の地面が一瞬だけ
「……………何故急に現れたのですか?」
「離れていた時もずっと気にしていたさ。罪の意識に苦しみながらね。そして、この血が引き合わせてくれた。愛する娘への挽回のチャンスを」
「父親?笑わせんな!」
「……………君達は」
その言葉とともに現れたのは上杉父と下田だった。
「どーも、センセイご無沙汰」
「ま、用があるのは私らじゃないんだけどな」
「………………無堂先生。お元気そうで」
「中野君…………」
現れたのはマルオだった。
「そうか……………君にも謝るきっかけが出来て良かった。君には苦労を掛けたからね。すまなかった」
「いえ、むしろ感謝しています。あなたの無責任な行いが僕と娘達を引き合わせてくれたのですから」
「…………………。こと責任に関しては君も果たせていないように見えるがね。現に、五月ちゃんは君ではなく僕の所に来た」
「……………五月君が?」
マルオがそう問うとチャンスタイムとばかりに無堂は攻勢に出る。
「ああ、心中察するよ。親失格の烙印をおされたようなものだ。よければ僕が教えよう、本当の父親のあり方を」
「何を言っているのですか。ここい五月君はいない。いるのは三玖君だ」
そして、本物の五月が柱の陰から姿を現す。
「………………騙してすみません。私はこちらです。しかし、こうなることは分かっていました」
「ソウゴ君の予想通りにね」
現れた一花も静かにそう告げる。後ろには他の姉妹も揃っていた。
「それがどうした、ただ間違えていただけで……………」
「愛があれば私達を見分けられる。母の言葉です」
それを聞いた無堂は表情を歪めて喚き散らす。
「また彼女の話か!いい加減にしろ!そんな妄言、いつまで信じてるんだ!今すぐ忘れなさい。お母さんだってそういう筈だ!思い出してごらん、お母さんがなんて言ってたか『…………コロス』そうだ、コロ……………は?」
突如、辺りにドスの聞いた声が響き渡る。
『コロ…………ス………コロ……………スゾ………クソ…………ハゲ………………』
「なっ………だ、誰だ!AGA治療しても治らない私の頭部を馬鹿にして!隠れてないで出てこい!それに私は父親で、これは家族の問題だ!部外者は口出しするな!」
『テメェ…………ガ…………………ダレ…………………ダロウト……………ッ』
突如、周囲のガラスが一斉に割れる。全員の上空だけいきなり雲が暗くなり、雷鳴が轟く。な〇う系小説にもない、ビックリの急展開だ。
「な、なんだ!?」
「………………無堂先生。あなたは2つミスを犯した」
変装を解いた三玖がそう告げる。
「1つ目は、今更になって私達…………五月の前に現れた事」
「そして、2つ目は」
「オレハ、イツキノセンセイダ……………ッッッ」
「私達の先生を本気で怒らせた事」
突如として、無堂の足首が掴まれる。思わず無堂が足元を見ると、地面から手を出して自身を殺意が漏れまくっているクッソ怖い笑顔で見ている男がいた。
「ぎゃあああああああああああああ!!!」
思わず無堂もクッソ情けない悲鳴とともに飛び退いて尻もちを着く。そして、地面から完全に姿を現したのは総悟だった。全身がどす黒いオーラで包まれている。
「ダイジナセイトヲナカサレテ……………ダマッテルワケネェダロウガ…………ッッ」
「な、なんだこいつは!?化け物か?!」
「違う、私の彼氏。今すぐ訂正しないと〇す」
もはや初期の頃の面影はどこに行ったのかと言いたくなる暴言を吐く三玖。まぁ、大事な彼氏を化け物呼ばわりされたからね、しょうがないね。
「コロ……………ス…………………シュウカンシ二……………モラス………!」
「それだけは勘弁してくれ!!!」
くっそ情けない声とともに土下座する無堂。五月に土下座した時よりも真剣そうに見える。しかし、総悟は止まらずゆっくり近づく。
「今の総悟はお訂殺モード。私の声しか届かない。このままじゃ本当にここに墓が立つかも。…………………ま、ソウゴを化け物呼ばわるする人だし別に良いけど(冷徹)」
「何か良く分かんないけど良くない良くない!三玖、そんな事したらソウゴ君が豚箱いきだから!会えなくなっちゃうよ!?」
「…………それは良くない。ソウゴ、一旦ストップ」
「しょうがねぇな(悟空)」
一瞬でどす黒いオーラを収める総悟。なんだこいつ。
「ふぅ、セーフ…………ほら、五月。続けて」
「え、あ……………………はい」
今一戸惑いを隠せないが、三玖に促されて五月は続ける。
「……………無堂先生。確かに、お母さんが後悔を口にしていた事は覚えています」
「そ、そうだ!君のお母さんは間違った!だから、君はそうなる『んなわけねぇだろ』…………なっ」
人が変わったかのような荒い言葉を受けた無堂は言葉を失った。
「…………火野君みたいに言うならこんな感じでしょうか」
「(俺だったらもっと放送禁止用語使うけどな)」
「たとえ、お母さんが本当に自分の人生を否定しても、それを私は否定します。全てをなげうって尽くしてくれた母の姿をちゃんと見てきました。……………あんなに優しい人の人生が間違っていただなんて、私が言わせません!!」
それを聞いた総悟は満足そうにニヤリと笑う。他の姉妹もその言葉を肯定するように頷く。
「子供が知ったような口を……………」
「……フハハハハハッ………………何言ってんだこのハゲは。笑っちまいますよ、ねぇマルオさん」
「……………笑いはしないが、火野君と考えている事は一緒だ」
「……………どういうことだ」
総悟とマルオにそう問いかける無堂に先手に総悟から口撃を開始する。
「知ったような口ぶりだけどよぉ…………あんたが知ってるのは、教師、もしくは生徒としての零奈さんよ。母親としての彼女事を何も分かっちゃいねぇさ。だって、つい最近まで逃げてたもんなぁ?」
「彼女の想いが裏切られ、見捨てられて傷ついたのは事実。しかし、彼女が子供たちにどれほど希望を見出したのかをあなたは知らない」
「「お前/あなたに零奈さん/彼女を語る資格はねぇんだよ/ない」」
教師と父親から殺意の籠った言葉に無堂は圧倒されて思わず後ずさりする。
「……………五月君。僕は君が信じた方へ進むことを望む。きっとお母さんも同じ想いだろう」
「っ……………はい。ありがとうございます、お父さん」
そして、ついに決着の時を迎える。
「無堂先生、最後まであなたからお母さんへの謝罪の言葉はありませんでしたね。私はあなたを許さない。罪滅ぼしの駒になるつもりはありません。あなたがお母さんから解放される日は永遠に来ないでしょう」
「っ……………折角僕が
再び総悟の怒りお訂殺モードがONになり、無堂は先程の恐怖の再来に反射的に逃げようとして足を絡ませて転ぶ。
「俺は知ってるぞ、貴様が五月に何を言ったかなァ………とある
「違う、そ、それは現実を教えようと」
「見える世界は人の数だけ存在してんだよ。この場では世界と言うより、現実と言う方が適してるか………………お前の中の現実を人に無理矢理押し付けて、自分勝手な理由で五月の夢を否定してんじゃねぇ!!」
無堂が何を言おうと一蹴する総悟。容赦はしない。自分の大切な生徒を泣かせた奴は、と言う想いが言葉に籠っていた。
「それにあんた、父親として罪滅ぼししたいとか言ってたんだよなぁ?なら、何で謝んねぇんだ?今までほったらかしにして、辛い想いをさせて悪かったって。目の前にはずっとお前の娘達が全員いたのによぉ?どうして真っ先に五月らに謝罪の言葉が出てこないんだぁ?」
「そ、それは…………っ」
非常に痛い所を付かれ、黙り込んでしまう無堂。それを見た総悟は少しため息をついて、チェックメイトに掛かる。
「傲慢にして自己中な小心者。無堂先生、それがあんただ。この際教師にしてはアホなあんたでも分かるようにはっきり言ってやるよ………………お前に父親の資格はない!!マルオさんの方が断然父親だ!!事実は1つだけだ…………お前は五月達を、父親の資格を自ら捨てたんだよ!!とうの昔にな!!」
「くっ…………」
「そう言う訳で、お前の出る幕はもうねぇ。2度と俺達の前に姿を現すな。次俺達の前に姿を現してみろ。文〇砲で社会的に死ぬだけじゃすまねぇ」
「俺がテメェを殺してやるよ」
脅しではなく、本当に有言実行するような気迫が言葉にはあった。完全に人を殺めた事があるような(何だかんだで死ななかったけど殺した事はある)眼で無堂を見下ろす総悟。無堂のズボンの股の部分が液体で濡れていく。
「そう言う事だ。………何ぼざっとしてんだ。さっさと消え失せろ」
「う…………………うわあああああああああああああああああああ!」
そしてついに耐え切れなくなったように情けない悲鳴をあげ、何度も転びながら走り去って行った。
「ふん、雑魚が。トゥイッターでレスバで負けたことないこの総悟君を怒らせたのが運の尽きってもんよ。あの小便たらしのビビりよう、2度と来ねぇだろうな。そんな勇気もないやろ」
実際、無堂は総悟らの前に2度と現れる事はなかった。総悟によって与えられた殺気と恐怖に死ぬまで囚われる事になったのだが、それは彼等は知る事は無い。
「ふー……………じゃ、文化祭楽しむか!(切り替え速度∞)」
「いや、何事もなかったかのように進めてんじゃないわよ!!」
二乃のツッコミは正論でしかない。
「別にツッコまれるようなことしてなくないか?(阿呆発言)」
「一帯の窓ガラス割ったり、天気を変えたり、オーラを纏って地面から出てくるのを大したこととは言わないわよ!!」
「………………いや、愛の力があれば誰でもいけるやろ」
「あんただけよ!」
愛の力で何でも出来ちゃうのは総悟を除けば、あとは某恋愛モンスターくらいだろう。
「まーまー、ええやん。ハゲをぶちのめして、めでたしめでたしで。ほな、ワイはこの辺で」
「待ちたまえ総悟君」
去ろうとする総悟の肩に手が置かれる。手の主はマルオだ。
「さっき三玖君が気になる事を言っていたね…………君が彼氏だと。どう言うことかな?(親バカの威圧)」
「………………あれ、言ってなかったっけ三玖?」
「…………ああ、そう言えばまだ言ってなかったね」
圧倒的呑気ッ…………!
「まぁ……………はい、三玖とお付き合いさせて貰ってます。(ちなみに、別れろと言われても別れる気は)ないです(彼女大好き男の威圧)」
「コクコク(後方彼女面)」
マルオ以上に圧倒的威圧ッ…………!マルオ、内心冷や汗ッ!
「ま、文化祭中だし今はいいじゃねーかマルオ。総悟の事だ、後でちゃんと説明するだろうしよ」
「おっ、そうですな(肯定)」
「…………………」
上杉父にもそう言われてマルオは黙り込む。確かに総悟は色々と良く分からない行動を取ったりもするが、さっきの無堂への啖呵や今までの行動を鑑みれば悪い人物ではない事は分かっていた。
「…………………総悟君。今度、三玖君との関係性をちゃんと聞かせてくれ」
「了解です部長(?)」
「………………では、私は失礼する」
「待てよマルオ!折角だから店でも回って行こうぜ!」
「上杉、僕を気安く名前で呼ぶな」
「相変わらずだな、お前ら…………じゃあな、お嬢ちゃんら!」
スルースキルのあるマルオ、そして大人組は騒がしく去って行った。
「さて…………………五月」
「は、はい?」
総悟は真剣な目で五月の方を向く。
「悪かったな、乱入して。五月を泣かせたあのハゲをどうしても許せなくてな。ついやっちまった」
「……………いいえ、お礼を言うのはこちらの方です。私達の事を想って自分の事のように怒ってくれて……………正直、嬉しかったです」
「あらそう?そいつはなにより。加減したとはいえ、やりすぎてドン引きされたかと思ったがそれは良かった」
「いや、あれで加減してたの!?」
「あはは………ソウゴ君があれよりも加減してなかったらどうなってたんだろうね…………」
「まぁ軽く死んでたんじゃない(適当)」
「三玖、本当に火野さんそっくりになったね…………」
三玖の性格云々はさておき
「さーて、俺は仕事に戻るか。そろそろ片付けの仕事の時間な希ガス。じゃ、あとは適当にブラブラ楽しめよなー」
そう言って総悟は足早に去って行った。
「はぁ……………あいつには色々と驚かされてきたけど、今回は度が過ぎてるわよ」
「ソウゴ君が味方で良かったよー、ほんと」
「まぁ、私の彼氏だし」
「三玖、そう言う問題ではないと思いますが……………」
「地面から出てきて、ガラス割って何かオーラ―出してたけど……………あれ、そう言えば割れたガラスとかどうするんだろ」
「「「「……………確かに」」」」
四葉の指摘で言葉がハモる4人。足早に去ったのはこの処理から逃げる為なのかもしれない。5人は改めて現場の方を見返してみる…………………が。
「…………………あれれ?」
「何ともない………?」
四葉と五月の言葉通り、ガラス等はいつの間にか修復されており何事もなかったかのように綺麗になっていた。
「ああ…………………何か頭が痛くなってきた……………」
色々とありすぎて二乃は頭を抱える始末。そして、一花と三玖は大体察していた。
「「(……………たぶん、どこかから見ていたんだろうなぁ)」」
「流石、ネットでの喧嘩に強い総悟君だ。人がここまで口でボコボコにされるのを見るのは愉悦極まりない(愉悦部)情報をタレコミする価値はあったね」
神様は屋上からたこ焼きを食べながらそう呟く。
「しかし、恋太郎にだいぶ似てきたような……………その内、都道府県を徒歩で回ったりしなきゃ良いけど…………100カノアニメ2期面白いから見て欲しいなー………さて」
たこ焼きを食べ終わると神様は後ろを振り返る。事の顛末を見ていたのは彼だけではない。もう1人の観測者、中野零奈に神様は語り掛ける。
「あなたの人生が間違っていない、ね…………………悪いが僕はそうは思わない。元夫の人間性を見抜けずに逃げられて貧しい生活を娘達にさせ、そして言葉足らずな持論が四葉を拗らせた。人間は間違う生き物とは言え、言葉足らずと人の見る目のなさが招いたものは無視するには大きすぎた。客観的に見ても、大きな間違いだ」
「……………ええ、その通りです」
零奈は素直に神様の指摘を受け入れる。
「しかし…………彼女達、いい顔してるじゃないか。あなたのこれまでの選択があったから、彼女達はあんなにも立派に成長した。1つでも違う選択をしていればこうはならなかったかもしれない。…………そう考えると悪い気はしないね」
「…………そうかもしれません」
そして、零奈の身体が粒子となって消え始める。それを創真は静かに見守る。
「………………もう良いんです?」
「ええ。最後に娘達の成長が見られました。これで、もう思い残す事はありません。機会を与えてくれたあなたには感謝しています。母親として娘を守らせてくれて。成長を見させてくれて」
「どういたしまして。ま、後はあの世から見守ってあげてくださいな」
「ええ、そうさせてもらいます………………」
そして、零奈の姿は完全にこの世から消えた。
「………………母親って生き物は大変だね、ほんと。全世界の母親を尊敬するよ、ほんと」
敬意を込めるようにそう言うと神様も一瞬で消え去るのだった。
総悟side
余ってた仕事をぐだぐだ片付けようとしていたら何か五月が手伝うとの事なので、遠慮せず手伝って貰う事にした。
「火野君、ありがとうございます」
「あーはん?」
「お母さんがいなくなってからその寂しさを埋める為にお母さんに成り代ろうとして………………いつの間にか自分とお母さんの境界線が曖昧になってしまい、自分の夢にまでも自信が持てなくなってしまいました」
「………でも、今は違うだろ」
「はい!…………私、お母さんを忘れなくていいんですね」
そう言う五月の顔は晴れやかなものだった。この晴れやかな笑顔を見れただけでも、地面で待機してた価値があったものだ。マジで死ぬかと思った。やはり、俺はあの恋〇郎にはまだ及ばんな。もっと努力しなきゃ(決心)
「教えてくれたのはあなたです。ありがとうございます」
「!?」
え、何か顔が…………!?と、思いきや五月はワイの隣を通り抜ける。
「あ、いつの間にか空がこんなに暗くなっていますよ。もう冬ですねー」
…………………。何かあらぬ想像をした自分が恥ずかしくなってきた。
「……………よし、責任取って死にまちゅ(責任感の申し子)」
「急にどうしたんですか!?…………ともかく、私の理想の教師像はお母さんのまま…………です………………が………………」
おや、五月の様子が…………六月に進化するのか(ポケ〇ン脳)
「で、なんす?」
「え、えっと………つまり、火野君」
「君だって私の理想なんだよ。それだけ聞いて欲しかったの」
…………………え。何、それは(困惑)………あ、五月の頭が爆発した(幻覚)
「遂に頭がイカれたか…………後で脳外科の病院連れて行かなきゃ(使命感)」
「至って正常だよ!!ほ、ほら母脱却と言う事で………何か変でしょうか、って戻っちゃいます!」
……………まぁ、冷静に脳内再生してみれば正直破壊力はあった。三玖には及ばんが可愛い。
「うん…………まぁ、その感想としてはですね……………三玖には及ばないが二乃よりも可愛い………………んだけど、取り敢えずいい病院紹介するわ。診てもらって、どうぞ」
「もう!私は別に何も問題はありま……………問題ないから!」
to be continued…………
総悟(お訂殺モード)
総悟のガチでブチキレモード。この間、一切の攻撃が通用しないし、人外レベルの力を発揮する。三玖が止めなきゃ無堂は地面に刺さっていた…………………かもしれない。
ちなみに、初回発動は三玖と買い物デート中に三玖と一緒に買ったものをひったくられた際。無論、ひったくり犯は秒速で総悟に捕まり、捕まらない範囲で悲惨な目にあわされてポリスに捕まったのは言うまでもない。
神様が零奈さんへの台詞だけ聞くとただの性格の悪い奴に見える不思議。まぁ、言ってる事はおおむね間違ってないけど。と言うか、当時は私も同じことを思ってました。
えー、ストックがなくなったので次の話は暫くお待ちを。予定としては上杉の恋についてケリを付ける予定。構成はまだ考え中。
では、また次回。ほい逃走。