総悟らが高校を卒業してから5年後
4月下旬
空港に降り立つ若手女優が1人。その名を中野一花と言う。
「いやぁ、相変わらずこの国は変わらないね………日本よ、私が帰ってきた!………なんてね」
「上杉君と二乃の結婚式の時も同じようなことを言ってましたね」
「La_victoire_est_à_moi(意訳:調子乗んな)」
そんな一花を出迎えたのは五月と総悟だった。ちなみに、車は火野家のものである。
「ソウゴ君、お迎えありがと~。にしても、何で五月ちゃんもここに?」
「私用で外出の用事があるって言うからな。一花姉さんを迎えにいくついでに送ってやろうと思っての」
「へー」
「ほら、お2人とも早くしないとお仕事にに遅れますよ」
「せやね。にしても、結婚式前日まで仕事とは人気者は辛いねー」
総悟は一花の荷物を車に収納して、2人を乗せて発進する。
「それにしても、お2人は本当に有名人になりましたね」
「一花姉さんは海外でも活躍する若手女優になったもんな」
「ソウゴ君とフータロー君のアドバイス通り、高校卒業後も英語の勉強をしていて良かったよ~」
「前に海外のメディア取材でちゃんと受け答えしていましたもんね。まぁ、イントネーションはまだまだですが」
教師となった五月からすればまだ改善の余地ありらしい。
「かかか、手厳しいことで。…………でもって、女優だけでなく声優としてもそこそこ有名になったもんな。ま、元々素質ありだったしな」
「あはは、お陰様で声優としてもそこそこ活躍させて貰ってるよ。まだ解禁前だから言えないけど、主役のオーディション受かったから楽しみにしててね。たぶん、ソウゴ君も結構好きな作品だと思うよ」
「おー、そいつは楽しみだな。期待しておくわ」
「私も楽しみにしておきます」
リアタイしなきゃと言う使命感を勝手に感じる総悟。もうTDNファンである。
「さぁ、と言う訳で今回は総監督を務めた火野総悟さんと主演を務めた中野一花さんにお越しいただきました!」
「火野総悟です。皆さんの顔を見る限り、楽しんでもらえたみたいで良かったです」
「中野一花です。今日は皆さん、お越しいただいてありがとうございます~」
MCに続いて挨拶する2人。五月を降ろした後、2人が来たのは映画館。ライブビューイングで全国生中継の舞台挨拶である。
「にしても、火野さんが総監督を務めた本作品が何と最速で興行収入100億突破ですよ!どうですか、今の感想は」
「そりゃ嬉しいですわ。大学生時代に作ってまだ数年の会社の社長としては、1つ大きな功績を残せたなと。感無量です」
「ありがとうございます。一花さんはいかがですか?」
振られた一花も口を開く。
「いやぁ、ほんとに凄いですよね。ここまで話題になるとは思ってなかったので。しかも、昔からの親友でもあるソウゴ君が総監督を務めた作品と言うのもあって、凄く嬉しいですね」
「お2人は雑誌のインタビューでも語ってましたが、高校時代からの親交があるんですよね?」
「そうなんですよ~。実は私、高校時代に告白したんですよね」
「ファッ!?」
黄色い歓声が響く中、総悟はびっくりドンキー(意味不明)である。
「いきなり爆弾発言をぶち込みやがる………ちな、事務所的にそこら辺の話はOKなん?」
「別にNGとかじゃないよ。ちゃんと社長にも確認済み」
「いやぁ、まさかの発言ですが火野さん、これは事実なんですか?」
「………まぁ、はい。高校の時に修学旅行で告られて振りました。全国の一花ファンから殺意を感じますが、裏を返せば冷静に考えると私がOKしなかったから皆さんにもワンチャンあるんでね。寧ろ私に感謝してください」
その発言に劇場内から笑いが起こる。流石のトーク力である。
「私も興味ありますが、あんまり深堀しすぎると時間がなくなりそうなので次の話題に行きましょうか」
「えー、私はもっとお話ししても良いですよー?」
「何で舞台挨拶で惚け話をせにゃあかんのや!映画の事を話すんだYO!」
「えー。じゃあ、この映画の興行収入が200億、300億、400億と大台を突破していく毎に舞台挨拶でこの話題をちょくちょく話そっか!」
「どんな特典商法じゃい!」
総悟side
まぁ、そんなこんなで舞台挨拶は大盛況で終了。一花は事務所に戻るという事で送り届けた後、暇なのでとある店に行くことにした。三玖も今日来ると言っていたけど、もういるのかね。店に入ったら連絡するか。
「いらっしゃ……………って、あんたか」
「悪かったな、あんたで。……………上杉と二乃の結婚式以来だな」
「ええ、2か月ぶりね」
ワイがやって来たのは二乃の店であるケーキ屋だった。
「どーよ最近は」
「最近はかなり調子いいわよ。特にあんたからのアドバイスも受けて実施したSNSでの宣伝がかなりバズってるわ」
「そいつは何よりで。じゃ、このタルト1つ」
「はいはい。あ、今回だけはお代は良いわよ。アドバイスのお礼とあんたの結婚祝いで」
何、だと………二乃が優しい……………!?明日の結婚式、大丈夫か……………?
「……………何か失礼な事でも考えてないかしら」
「(考えて)ないです(大嘘)」
「ふーん、どうだかね…………あ、ついでにこれも持っていて頂戴。3番テーブルね」
ん?ケーキが俺の以外にも3つ?……………あっ、ふーん(察し)
「へいへい。じゃ、がんばれよ」
「あんたに言われなくてもそのつもりだけど、どーも」
つー訳で持っていくと、やはりいたいのは顔見知りの3人だった。
「お待たせしましまし~」
「あ、火野さん!」
「ソウゴ、舞台挨拶お疲れ様」
「久しぶりだな」
四葉、三玖、そして上杉の3人だった。いやぁ、久しぶりだなおい。
「火野さん、先ずは興行収入100億突破おめでとうございます!私も初日に見ましたが、ほんとに良いアニメでした!」
「あんがとさん。四葉も元気そうでなによりで」
「はい、理学療法士として頑張っています!」
四葉は体育大卒業後は理学療法士になった。人を支えるという点では四葉らしい。他にもスポーツ系のボランティアでその運動能力を発揮させてるとか。
「上杉は地元の大手上場企業で働いてんだっけ」
「ああ。大変だが、やりがいを持ってやってる。それに給料がかなり良いしな!」
「そのお陰もあって借金も昨年で完済したもんな。あ、前にも言ったが嫌になったらうちに来い。ロロ雑巾(コード〇アス)のように扱ってやる」
「何だよロロ雑巾って……………ま、いざとなった時には考えておくわ」
どうやら暫くは来る気配はなさそうだが、まぁ二乃とも楽しくやっていると聞いているので何より。この前も結婚式で真面目にスピーチしたのが懐かしいな。二乃から『パパも来ていて記録に残るんだからマジでおふざけなしでやれ(意訳)』的な事を言われたから真面目君でやったのが懐かしい。二乃の面白い話をするver一応用意していたのだが残念。
「で、火野の方は聞くまでもなく順調そうだがそう言えば三玖はどうなんだ?」
「私もカフェ経営はかなり順調。最近もバイトの子をまた増やしたよ」
「俺の会社が入ってるビルの1階にあるからな。ちょっと煮詰まったときはそこに行って甘いものを補給する……………最高っス」
三者面談の時の宣言通り、三玖は俺の会社が入っているビルの1階でカフェを経営している。味も美味く、加えて三玖が美人過ぎてチョロい男等のリピーターが来てくれるので売り上げも良い感じらしい。ケーキ類は二乃の監修が入っているので、これも人気の秘訣かもしれん。
「いやぁ、ここまであっと言う間だったな、三玖」
「うん。大学1年生のクリスマスにソウゴから結婚のプロポーズをしてくれて、その後入籍して。大学2年生の後半からソウゴが会社を起業させたんだよね」
「ま、最初は下請けばっかだったけどな。でも、そこからどんどん大きな仕事も受け持てるようになって、大学4年次はガチで有名作品のアニメ化を版権元から依頼されたんだよなー」
「最初はネットとかでも散々な言われようだったけど、実力で下馬評を覆したのは私もスカッとした」
創業メンバーは大学の垣根も超えて俺が厳選した精鋭だ。面構えが違う。今も役員でありつつも現場でもその才を活かして貰っている。俺も社長でありながら結構現場仕事もやってる。やっぱアニメ作るのは楽しいんじゃ。
「ワイの人生、良くも悪くも色々とイベント続きだったが……………明日は遂に人生最大のイベントやな」
「うん。結婚式楽しみ」
うへへ、花嫁姿の三玖が待ち遠しいんじゃ………………。
「(俺と二乃の時もあったんだし、
「ぐぅ、その通りだけどたった2カ月で先輩面しおって……………まぁ、ここは素直にそうするか。俺は実家に戻るけど、三玖も来るか?」
「うん、元からその予定。結婚式前夜の夜を、ソウゴと一緒に静かに過ごしたい……//」
ヌッ(瀕死)
「はいはい、私の店でケーキ以上に甘い空気出してんじゃないわよ。ほら、明日の主役2人はさっさと帰って休んでなさい」
仕方ない、二乃がそう言うなら家でイチャイチャするとしよう。
「じゃ、諸君明日は4649」
「また明日ね」
つー訳で、明日の主役は退散。この後、うちの実家でイチャイチャしてたのはもう言うまでもない。
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翌日、総悟の目の前には5人の花嫁がいた。
「五つ子ゲーム、ファイナルだよ」
「愛があれば見分けられるよね」
「……………フッ。良いだろう、最後のゲームに付き合ってやる」
to be continued……………
次回、最終回『三玖を愛する転生者の話』