俺はある問題に立ち塞がっていた…
(ヤベェ…)
冷や汗を隠しきれないほどの痛恨のミスをしてしまった。
(これは…まずい。)
そう、それは…
レポートの提出物である。
本部長が次の定例会議に使う資料制作をそれぞれの課長に任され、その中から良いのを選抜するのだが期間が結構あったせいか後回しにしているうちにやり忘れたのであった。
(ああああああ…)
【ミステイク】
それは会社ではやってはならない事
【人間生きてる以上失敗は必ずある】とよく後輩に言ったりする俺の名言だが、上の立場である俺がそんな所を後輩や部下に見られでもしたら示しがつかなくなる、それだけは避けなければ。
これがいつもの回されるどうでもいい仕事なら構わなかった。
けれど上である本部長の依頼なら話は変わってくるが、そんな事完璧に忘れてしまっていた。
期限は明日の正午まで...終わるか?
(終わった…もしダメだったなら謝ろう)
最悪、土下座からの斬首(クビ)も考えないとな
「どうしたんスか?顔が暗いっスよ!って相川さんは元から影が薄いからあんまし変わらないっスね。バスケ覚えれば幻のシッ◯スマンになれるっスよ。(笑)」
またいつもの様に茶化しから入るマイペースな男が首を突っ込んで来た。
「元晴…よく聞いたな、俺もう駄目かもしれん。」
(....うわぁ、これ真面目なやつだ…)
「何か悩みでもあるんスか?言ってみて下さいよ!」
「それは...いや、やっぱり何でもない。」
上の立場としてのプライドもあるし何より自分の忘れた仕事を後輩に手伝わすのも違う気がした。
「ここまで来たら頼って下さい!相川さんはオレらのチームのリーダーじゃないっスか!(ゲームの中だけど)」
「元晴...」
(お前って奴は…グスッ)
後輩に手伝わせる上司としてのプライド?そんなものその辺の悪魔にでもくれてやったわ。
俺は良い後輩を持ったと心の中で感動していた。今度何処かに連れて行ってやろう。
「この資料を明日までに提出しなきゃ行けないんだ。」
「どれどれ〜」(ペラペラ…)
「オレ今日合コンの予定があった気がするんで
帰ります!お疲れっス!」
前言撤回、お前は後輩じゃない、奴隷(クズ)だ。
(お前って奴は…イラッ)
まあ当てにするつもりも無かったからまあいいがちょっとムカついた。
「相川さん、良かったら手伝いますよ。」
二人で話してるのが聞こえたのかもう一人の
後輩白神も俺のとこに来た。
「ま、マジか!ありがとう。」
「いえいえ、どういたしまして。」
白神ちゃんはこの課には居なくてはならない天使の様な優しい笑顔、癒される〜、なんて事思いながらも仕事に取り掛かる。
何やら白神ちゃんが残って手伝ってくれるのを知ったのか急に態度を変え始めた。
「確か合コンは来月だったっスわ、オレも手伝いますよ!」
おや、手の平返しが専売特許の元晴が仲間になりたそうにこっちを見ている。
「お前なぁ〜…」
(まあ、人手は一人でも多い方がいい)
元晴が仲間になりました。
「よし、後少しで終わるな。」
二人のおかげで何とか日付けが変わる前に終わりそうなぐらいである。
「みんなお疲れ様、あとh」
「白神ちゃん、今の仕事終わったら一緒に
ご飯行かないっスか?奢るっスよ!」
何とこいつは俺の仕事の手伝いは建前で本当は白神ちゃんを誘うのが狙いか!
だが白神ちゃんも一筋縄では行かない。
「いえ、結構です。」
・・・・・・
「あ、そうっスか…」
あっさり振られた。
そんなやりとりをただ見ていた。
(白神ちゃんも他の子相手だと人見知りであんまり喋らないけど元晴相手だと何故か遠慮ないな、あいつ特有の接しやすさが裏目に出てんのかな、素を話せれる相手という点ではプラスなのかマイナスなのか)
(あとあいつも毎度の事ながら誘っては振られるな。)
そんな事を頭の中で思いながらもアイツの勝手のせいで悪くなった空気を何とかしたいと同時に何となく悟るこの流れ。
「わかった!手伝ってくれたお礼に晩飯奢ってやる、三人ならいいだろ。」
「それなら大丈夫です。」
「な、何故オレとはダメ何スか(泣)。」
(こいつもいい加減理解してもいい頃だけどなぁ…二人っきりだとまだ緊張するんだろきっと。)
「飯は人数が多い方が美味いって聞くだろ。」
「そうゆう事っスか!納得しました!」
(こいつは一生理解出来なさそうだな。)
「相川さん!オレ、あの店がいいんスけど!」
「白神ちゃんは何か食べたい物ある?」
「私は、何でも大丈夫です。」
「無視しないで欲しいっスー!!」
結局、話に盛り上がり書類はギリ間に合いましたとさ。