魔法少女リリカルなのはStrikers~二つの翼を持つもの~ 作:ジェナス
『やっぱりそうか。しっかりと背中を押してやれよ。教導官』
「言われなくても。そっちこそちゃんと制空権握ってよね」
『任せておけ。通信終了』
政人との通信を終えたなのはは一度新人達を見渡した。
{レイジングハート、マッハキャリバー達から皆の心拍数を貰ってそれを私の網膜に投影して}
{了解しました}
レイジングハートに指示を出すと数秒後、マッハキャリバー達から送られてきたデータがなのはの網膜に映し出された。
{スターズとエリオは心拍数が上がっているけど、このぐらいなら問題ない。でも、やっぱキャロだけが緊張しすぎてる。やっぱ、彼女の生い立ちが原因かな?}
新人達から送られてきたデータを見た後なのはは静かに立ち上がりキャロの前までくると彼女の目線にあわせるようにしゃがんだ。
「キャロ、そんなに緊張しなくてもいいんだよ」
「え?」
なのはは不安そうに自分を見つめ返すキャロの顔を両手で優しく包み込んだ。
「離れていても通信でつながってるし、1人じゃないからピンチの時だって助けてあげる」
「は、はい」
それでも不安を消せないキャロになのははさらに優しく彼女に話しかけた。
「キャロはまだ力が怖いのかな?」
「......は、はい。傷つけるんじゃないかと思うと」
少し間を空けて頷いたキャロをなのはは彼女の胸に優しく抱きしめて静かに続けた。
「確かにそうかもしれないね。でもね、キャロ? キャロは私や政人君達の力が怖いかな?」
「い、いいえ」
「でも政人君の力も私達の力も人を傷つける力だよね」
「は、はい」
いまいちなのはが言いたち事が分からないキャロになのはは安心させるように彼女の頭を撫ではじめた。
「でも怖くは感じない。それはね、そこに心があるからなんだよ」
「心、ですか?」
「うん、確かに政人君が使っている装備や力の本質は人を傷つける力だよ。でもねソレは私のもスバルのもティアのもエリオのもキャロの力だって使い方を間違えれば変わらない」
「はい」
「でもその力は私達自身でコントロールできる。つまり力が誰かを傷つけるんじゃないの。その力をただ闇雲に振るう人が傷つけるんだよ。力をどうやって使うのかはキャロ自身の心で見つけることが出来るんだよ」
「私自身が」
「うん、そうだよ。キャロなら大丈夫。キャロが自分やフリードの事を信じてあげて、何のために使いたいかをしっかり自覚できればキャロの力は皆を癒す優しい力になるから」
「はい!」
最後にキャロの目を見つめながらなのはは彼女の手を強く握った。そして、手を握られたキャロの目には迷いは消えていた。
『こちらヴォルメテウス01、現場空域に限着。警戒行動に入る』
再びなのはが立ち上がると部隊間通信を通して政人が現場空域に到着した事がしらされた。
「こちらヴォルメテウス01。現在、問題の列車は速度50ノットを維持、コントロールは完全にガジェットに掌握されている模様」
政人はモノレールの上空を旋回しながら烈風が観測したデータを六課の司令室へと報告していた。
「レリックの反応がある重要貨物室への突入は確認されていないが、それも時間の問題かと思われる」
『了解しました。FWチームが到着まであと数分です。そのまま監視を......サーチャーに感あり!』
現場空域で待機を命じようとした六課司令部だが現場を担当する地上部隊が散布したサーチャーが何かを捕らえたようだった。
「烈風、スキャンレンジをミディアムへ以降」
『了解』
サーチャーに反応があった事を知った政人は旋回高度を僅かに上げさらにはレーダースキャンの距離を中距離モードへと変更させた。するとHMDの隅に表示させたレーダーにはこちらへと向かってくる機影がはっきりと映し出された。
「レーダーコンタクト、方位180度、距離170マイルIFF応答無し」
『こちらのサーチャーでも捕らえています。機種はガジェットⅡ型、航空タイプです。迎撃行動を許可します』
「了解。烈風、Master ARM ON」
政人は更に高度を上げながら機首方位を敵機編隊へと向けると安全装置を解除し、スロットルをミリタリー出力の位置まで押し込んだ。
『ロングアーチ03、ライトニング01、現場まであとどのくらいですか?』
『こちらロングアーチ03。あと、5分ってところっすね』
『こちらライトニング01。あと3分ぐらいでヘリと合流できると思います』
現着までの時間を確認した司令室はヘリ内にいるなのはへと指示を出した。
『スターズ01は外へ出てスターズF、ライトニングFが列車へ突入するまでヘリの直援をお願いします。ライトニング01もヘリと合流後、ヘリの直援に回ってください。突入後は列車上空で警戒態勢に入ってください』
{グリフィス良い判断だ。新人達も育てる事ができるし、万が一の時にもなのは達がすぐに援護に回れる}
なのはとフェイトへの指示を聞いていた政人は敵機編隊へと向かいながらも現状を自分なりに纏めていた。
『Master Target Engage』
「Volmeteus01 Glint Glint」
敵機がミサイルの射程距離に入った事を烈風が伝えると、政人は敵機編隊の前衛の数機をロックオンすると専用の発射コールと共にミサイルの発射ボタンを押した。
ボタンが押されると機体下部に搭載されているウェポンベイの扉が開き、その中から油圧式のパイロンが迫り出し中型のミサイル《SALINE05》が2発発射された。発射後ノスフェラトは2発のSALINE05に搭載されているレーダーが敵機をロックオンした事を確認する敵機編隊の後方を取る為に大きく右旋回を行った。
『分裂まで3、2、1、Now!』
敵機までの距離が一定距離まで縮まるとSALINE05の外板がパージされ8発の赤外線誘導ミサイルが発射された。合計16発の小型ミサイルは全弾命中し16機だけではなくその直ぐ近くで編隊飛行を行っていたガジェットまでも巻き込み現場空域へと向かっていた殆どのガジェットを撃墜した。
『全弾命中、密集形態だったため巻き込まれる形で殆どの敵機を撃墜した模様です』
「了解、残りは機銃で片付ける。サポート頼む」
『了解しました』
敵機編隊が壊滅した事を知った政人は編隊の後ろを取ると残った政人は残ったガジェットを1機ずつ機銃でしとめていった。
『Radar contact. また、お客さんのようですね』
「だな、ADMMM stand by!」
『Roger』
第一陣のガジェット達を全て撃墜した直後、サーチャーが別のガジェットの編隊を捕らえた事をデータリンクで知った烈風が政人に伝えると、政人は新たに接近してくるガジェット編隊へ向け上昇旋回を開始した。そしてレーダー上で自機を表すマークとガジェット編隊の影が重なる直前に政人は機体を反転させ、垂直降下に入った。
『Launcher1 Launcher2 Lock on』
「Volmeteus01 Drive Drive」
烈風がガジェット編隊をロックオンしたと宣言すると、政人が再び専用の発射コールと共に発射ボタンを押した。すると今度は機体上部にあるウェポンベイのハッチが開きそれぞれのウェポンベイからVLS(垂直発射システム)方式のランチャーが出現し、そこから左右合計12発の超小型ミサイルが発射された。ランチャーから飛び出すように発射されたミサイル達はまるで魚の群れが一斉に方向を変えるように向きを変え、真下を飛行しているガジェット達へと向かって行った。そして、ミサイルが発射された事を確認した政人は力一杯操縦桿を引いた。
『G limitter level 1 release』
急激な機首上げにより通常のGスーツの能力ではブラックアウト(失神)する可能性が高いと判断した烈風がリミッターを解除し、魔法によって政人本人のG耐性を上昇させた。そして、無事機体が水平を取り戻すとその後方で全てのミサイルが着弾し、ガジェット編隊を消滅させた。
「ふぅ~。ありがとう、烈風」
『マスターなら大丈夫かと思いましたが、万が一がありますからね』
「さすがは俺の相棒だな。ってまだ来るのかよ」
高いGから開放された政人は溜息をつきながらも再び列車の上空警備に戻ろうとしたのだが、再び列車へと迫る複数の機影をサーチャーが捉え、データリンク越しに方位と速度がHMDに表示された。
『ええ、おそらく1機でこちらに向かってくるのが本命でしょうね』
「だな。司令室、方位350から接近中のアンノウンへの対処に集中したい、良いか?」
『許可します。スターズ01とライトニング01の2人は残りのガジェットの迎撃をお願いします』
『Stars01 Roger』
『Lightning01 Roger』
「Volmeteus01 Roger. 烈風、Gリミッターレベル1解除を維持、このまま迎撃行動に入る」
その中でも1機で接近してくる機影を接近速度、更には飛行高度から戦闘機もしく戦闘機並みの性能を持つ新型のガジェットと判断した政人はガジェットⅡ型の対処をなのはとフェイトに任せ、G耐性を上昇させた状態のまま迎え撃つ事にした。
前回更新してから、もう1年近くたってしまいました。本当に申し訳ありません。