魔法少女リリカルなのはStrikers~二つの翼を持つもの~   作:ジェナス

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ストックがなくなってきましたよ。


確認

 模擬戦を終え、政人となのはの2人はシャワーを浴びて汗を流すと六課のブリーフィングルームへと向かった。2人が入室するとそこには既にはやてとフェイトさらに赤髪の少女と桃髪の女性が政人となのはの模擬戦の映像を解析していた。

 

「あ、2人ともお疲れ様」

 

「うん、ありがと。はやてちゃん。ヴィータちゃんもシグナムさんもお久しぶりです」

 

「あの程度じゃ、疲れないけどな。互いに本気を出してなかったから。それとそちらの2人は?」

 

 見慣れぬ2人を見て政人がはやてに尋ねるとその2人は立ち上がり、敬礼をしながら名乗り出た。

 

「機動六課ライトニング分隊、副隊長、八神シグナム二等空尉だ。よろしく頼む」

 

「機動六課スターズ分隊、副隊長、八神ヴィータ二等空尉だ。足引っ張んじゃねぇぞ」

 

「アーリアセキュリティ社、A-01連隊第01特務小隊から出向してきた高槻政人大尉だ。ヴィータ二尉の上官に対してとは思えないような発言についてはスルーしてあげましょう」

 

「うんだと? やんのか?」

 

「俺のほうが上官になるんだ。図に乗るな」

 

「な!?」

 

 ヴィータの挑発に対して政人が皮肉を返すとヴィータは政人に掴み掛かったが政人はヴィータの喉元にコンバットナイフを突きつけた。

 

「!? 高槻大尉、ヴィータ二尉の言動は私が謝罪する。だからナイフを下ろしてくれへんか?」

 

「八神が言うなら仕方が無いな。二尉、俺が温厚な正確でよかったな。他の連隊の隊員に同じようなことをしてたら最低でも腕の一本か二本は持っていかれたか、最悪本物のナイフで切りつけられていたぞ」

 

 政人は自分から離れたヴィータの額をナイフの峰で軽く叩いた。その感触に違和感を覚えたヴィータは政人が握るナイフを奪い取りおもむろに刃を握り締めた。

 

「ヴィータ!」

 

「大丈夫だ。ラバーナイフだ」

 

 はやてがヴィータの名を叫ぶが、ヴィータは動じることなく、ナイフの正体を確かめるとそのまま政人に返した。

 

「ヴィータ二尉、ちょっとした挑発のつもりでも相手にとっては途轍もない侮辱になることがあるんだ。これからはそこん所を良く考えて挑発してくれよ。ただでさえA-01の連中は管理局を良く思っていない奴らがいるんだからな」

 

「す、すまなかったな」

 

「うん、良く出来ました」

 

「って! 撫でるな!」

 

 顔を真っ赤に染めて更には目線をそらしながら照れるように謝ったヴィータに対して政人が彼女の頭を撫でると、彼女は顔だけではなく全身を真っ赤に染めて政人に殴りかかった。

 

「ふっ、そのリーチで俺に届くとでも思ったか」

 

 だが、頭を撫でた手をそのままつっかえにして政人はヴィータの動きを制した。そして彼女が涙目にもなりながらただ両手を回し続けているだけの姿を他の4人は生暖かい目線で見守っていた。

 

「さて、話を戻すが。さっきも言ったようにうちの連中は局、とくに局の上層部やその上層部を妄信的に信じている奴らを毛嫌いしている。とは言っても、さっきは大多数の隊員がナイフや銃を向けるような事を言ったが、流石にそこまでするのは本当に極一部の訓練兵ぐらいだから、安心してくれ。とは言っても態度には気をつけるようにな」

 

 しばらくの間、ヴィータで遊んでいた政人だったが、いきなり目つきと口調を変えはやて達に向かい合った。

 

「理由は、上層部の腐敗、だけやないな」

 

「さすがはこんな特殊すぎる部隊を作ろうと考えた部隊長だな。一定以上の機密レベルを閲覧できる中隊長クラスならびに俺たち特務小隊の人間ははまさしくその通りだ」

 

 政人を包み込む空気が変わったのを感じ取った5人は真剣な目つきで政人の言葉の続きを待った。

 

「詳しくは言えないが、最高評議会の中枢で何か途轍もなく胸糞悪いことが行われているらしい。それが俺達が局を毛嫌いしている理由だ。ただ、この事を知っているのはさっきも言ったとおりA-01でも一部の人間だ。それ以外の人間は八神が言ったように上層部の腐敗を理由に毛嫌いしている」

 

「思った以上に深刻な状況になりそうやな」

 

「ああ、とはいえ八神達も必要以上にやばそうな案件には首を突っ込まないでほしい」

 

「了解した。皆もそれでええな」

 

 政人の要請に対しなのは、フェイト、ヴィータ、シグナムの4人は静かにうなずいた。すると、今度ははやてが机の上に置いてあったリモコンを手にして途中で止まっていた模擬戦の様子を再び最初から流し始めた。

 

「それじゃ、本題に入るけど。この映像を見てフェイトちゃん達はどう思う?」

 

「そうだね。戦闘機のパイロットをしているからかな? 空中戦機動はかなりのレベルに到達してるね。あのなのはが誘導弾を使ってるのに直撃どころかまったくかすりもしていないのがその証拠だよ。砲撃の射線上へも誘い込めてないみたいだし」

 

「ああ、だがこの宙返りはさすがに無茶だな。私達も攻撃を回避する為に飛行魔法を解除することはやるが、オーバーシュートを誘う為にわざわざ速度を落とすのは危険すぎる」

 

 フェイトの言葉に続いて丁度政人が宙返りを行ったところで映像を止めたヴィータが苦言を呈した。

 

「確かにそうだな。一歩間違えればバランスを崩して墜落若しくは距離を更に縮められて致命傷を受けることになる」

 

 今度はヴィータの言葉を補うようにシグナムが続いた。前線で共に戦う副隊長2人に自身の戦い方の危うさを指摘された政人は苦笑いをしていた。

 

「で、でも、その直後に私の誘導弾を全て落とされたのはびっくりしたよ。それに危険かもしれないけど確かにここで私がオーバーシュートしてさらに誘導弾を全て落とされてから形勢が逆転したのは事実なんだし」

 

 すぐさま政人のフォローを入れるなのはだったがそれでもヴィータの指摘は続いた。

 

「確かにそうかもしれないが、高槻は射撃、もしくは砲撃を選択するべき時に無理やり接近して近接格闘に持ち込んでいる。それは駄目だろ? どっかのバトルジャンキーみたいに近付いて斬るしか脳がないわけじゃないだろ?」

 

「い、いや。当たらずとも遠からずだな」

 

「どういうことだ?」

 

 政人の返答に対してヴィータは腕組みをして政人に問いかけた。だが、その疑問は他の4人も感じたらしく政人に視線を送った。

 

「俺、一対一での射撃能力はそこまで高くないんだ」

 

「は?」

 

「どういうこと?」

 

 政人は目の前に居る5人が全員首を傾けるのを見ると更に苦笑いを深めながら説明を続けた。

 

「そのままの意味だよ。インドア、アウトドア関係なく俺は一つの目標に対しての射撃能力はそこまで高くない。確かにA-01の隊員として恥ずかしくない程度には射撃能力はある。だが、射撃を専門にしている人間と比べると完全に月とすっぽん状態なんだよ」

 

「確かに、政人君が撃って来たのは私が誘導弾に囲まれているときか、自分に誘導弾が迫ってるときの迎撃だけだったね。でも、その殆どを迎撃成功していたよね。現に例の宙返りの途中での射撃でも倒立状態だったのに全弾命中してたし」

 

 唇に人差し指を当て考え込むなのはに対して政人は後頭部を右手でかきむしりながら補足説明をした。

 

「だから言っただろ? 一つの目標に対しては苦手だって。逆に複数目標に同時射撃を行うのは得意なんだよ」

 

 政人の言葉に5人全員がズッコけた。

 

「な、なんでまた」

 

「複数目標のほうがそれぞれの回避コースは制限されるし。どう狙えば当たるのかが分かりやすいんだよ」

 

「そ、そんな出鱈目な」

 

「あ、その気持ち分かるかも」

 

「分かるんか!?」

 

 政人の告白にヴィータは顔が引きつらせたが、なのはが同意するとはやてが突っ込みを入れた。近接格闘が主体もしくはそれだけのフェイトとシグナムは既に話についていけなくなりつつあった。

 

「うん、目標が複数あったほうが誘導弾の機動をイメージしやすいんだよね」

 

「なんや、私の常識が外れとるんか?」

 

「だいじょうぶだ。はやて、こいつ等がおかしいんだ」

 

 通常、単一目標のほうが未来位置も予測しやすいのだが、複数目標のほうが狙いやすいと言い出す管理局とアーリア社のエースの2人に対してヴィータとはやては頭痛を覚えていた。

 

「さて。まぁ、この2人に常識を求めることにはシグナムのそれと同じくらいに諦めるとしてやな、高槻君のポジションを決めよか。射撃については聞いたとり見たいやけど、無理にでも近接戦に持ち込もうとしたって事は近接戦が得意って事でええか?」

 

「少しばかり気になる言葉が出てきた気がするが。概ねその見解で間違いない。もっと言うと剣術が得意だな、徒手格闘も使うときはあるが基本的には部隊戦では敵の軍勢に突っ込むまでは高機動射撃、個人戦や敵の軍勢に突っ込んでからは剣術や一剣一銃(ガンエッジ)で戦っている。自分で言うのもなんだが完全に前衛向きだな。あっちでも部隊で動くときは突撃前衛だったからな」

 

「やはりそか? それなら、政人君のポジションはアウトドアでの任務なら戦闘機でのエアカバー、インドアでの任務では前衛を任せてええか?」

 

「了解、ちゃんと戦闘機での任務を与えてくれるとは思わなかったぜ。というより、今更だが八神たちが質量兵器を使う俺達に違和感を感じないのは驚きだな」

 

「確かに、他の部隊なら嫌煙されるかもしれへんけど、私達はしっかりとした知識を持っていて訓練もしっかりしているなら特殊部隊として設立してもええと考えとる」

 

 はやての言葉に政人は興味を持ったのか視線をするどくして彼女の言葉を待った。

 

「殆どの場合、質量兵器は命を奪うものと思われとるし、実際にそうや。現場に出る事の多い私やハラオウン執務官は、ソレを直接この目で見とる。だけど、質量兵器が使われるのは大抵AMFなどの魔力非結合空間や、つまりそれは」

 

「魔法が使えないもしくは魔法の使用が制限される状況であっても質量兵器はその威力を変えないって事になる」

 

 フェイトがはやての言葉に付け足して言葉を続ける。

 

「なら、今のアーリア社のように正しい知識としっかりとした訓練を受けた特殊部隊を編成すれば魔力非結合空間での作戦行動に対して大きな成果を得る事ができる」

 

「だが、それじゃ質量兵器完全否定派の根本的な意見《質量兵器は命を奪うもの》って言う反論は砕けないぞ」

 

 政人の試すかのような問いかけに答えたのはなのはだった。

 

「確かに政人君の言うとおりだね。でもソレは魔法に対しても言える事だよ。非殺傷設定だってビルを崩壊させて崩壊に巻き込むように追い込めば命を奪えるし、少し酷いけど拘束してノックアウト寸前の攻撃と回復を繰り返せば精神崩壊だって狙える。つまり魔法も質量兵器も何も変わらないし、大事なのはその《力》を使う人の心だって事だと思う」

 

「......それは、シグナム二尉やヴィータ二尉も同じ考えか?」

 

「ああ、私達も質量兵器の危険性と有用性は身を持って知っている」

 

「魔法も質量兵器も何も変わらねぇ、つか、自分の手を汚す覚悟が無い奴が名前も知らない誰かの命を護ろうなんて馬鹿げてる」

 

 政人の最後の確認とも取れる問いかけにシグナムとヴィータの二人が答えると、少し考えるように目を閉じると口を開いた。

 

「正直言って、安心した。八神達は《力》の危険性と有用性の二つを認識も理解もしているみたいだな。ただ魔法が使えない状況でも使えるからってだけで質量兵器を認めていたらキツイ映像を見てもらう所だったぞ」

 

「ふぅ、どうやら私達は政人君と一緒に戦う事ができそうやな」

 

「というよりキツイ映像っていったいどんな映像を見せるつもりだったんだよ」

 

「うん? 俺が任務で出たときの映像だ。部隊で動くときは特攻隊長みたいなポジションで動くからな。かなりキツイ映像だぞ。見てみるか?」

 

「い、いや、弾丸以外にもいろんなものが飛んでそうだから止めとくわ」

 

「《飛ぶ》と言うより《とb「それ以上は食事前には勘弁な」...すまん。つか、なのは、いつの間にお前はあんなえげつない考えをするようになったんだ?」

 

「じ、実際にしたことは無いからね。あくまでも例として挙げただけで、やるつもりもまったく無いからね」

 

「ふっ、冗談だ。では、八神部隊長、自分の出撃については六課司令部に一任します」

 

 慌てて弁明するなのはを見て政人は悪戯が成功した子供のような笑みを浮かべたが、それも一瞬ですぐさま表情を引き締めはやてに指揮権を託した。

 

「了解や、契約どおりに戦闘機でのスクランブルの時はコールサインをそのままヴォルメテウス、魔導士としての出動ではスターズに編入してもらう事でええか?」

 

「ああ、そういう契約だからな」

 

「う~ん、なんか契約って言葉を聴くと本当に高槻君が傭兵なんだなって思うわ」

 

「確かにね。見た目からはまったく想像が付かないけど」

 

「うん、普通に何処にでもいる優しいお兄ちゃんって感じだよね」

 

「お、俺ってそんなに貫禄無いのか?」

 

『お、お気になさらずに、マスター』

 

 3人娘の言葉に地味に傷ついていた政人とそんな彼を健気に慰めるデバイスの姿がそこにはあった。

 

 

 

 

 

 

 会議室でのポジション決めを終え、隊舎が夕日によって朱色に染め上げられる中、政人は屋上で、ある人物を待っていた。

 

「ようやく来たか」

 

 茜色に染まる空を見上げながら、政人は待っている人物がドアを開ける音を背中越しに聞くと振り返った。

 

「やっぱ、ここにいたんだね。政人君」

 

「俺の癖と言うか、習慣は知っているだろ? なのは」

 

 政人が振り返った先に居たのは海風で暴れる長いその髪を片手で押さえているなのはだった。

 

「昔はよくこうやって、2人で夕日を眺めたよね」

 

「ああ、確か高台にあった公園だったな。あそこはまだ残っているのか?」

 

「うん、でも私達、特に、はやてちゃんには少しつらい場所になっちゃったけどね」

 

「そうか」

 

 政人はなのはと短い会話を交わすとフェンスに背中を預けるように寄りかかった。なのはもそんな政人の隣まで来て政人とは逆向きになるようにフェンスに寄りかかった。

 

「あの約束、覚えてる?」

 

「二十歳になる前に必ず再会する。って奴か?」

 

「うん、正直管理局に入局するって決まったときには諦めていたんだけどね」

 

「訓練校に入った当初は入局しても休みをもらって地球に帰ることが出来るとは思ってたけど、アーリア社に入社が決まってからは完全に俺も諦めていた。でもまさかコッチで再会できるとは思わなかったけどな。お前がエースオブエースだなんて呼ばれているって知ったときはかなり驚いたぞ」

 

「そうだね。私もまさかこんな形で約束が果たされるとは思わなかった」

 

 互いに思いがけずに約束を果たすことになった事について2人は苦笑いを浮かべた。

 

「それでさ、いろいろ聞きたいことがあるんだ」

 

「俺が銃を取った理由か?」

 

 まるで最初から知っていたと言わんばかりに、政人が静かにつぶやくとなのはは肯定を表すかのように小さくうなずいた。

 

「俺が銃を取った理由は単純だよ。復讐だ」

 

「何があったの?」

 

 なのはの言葉に政人は少し驚きの表情を漏らした。

 

「否定はしないんだな」

 

「うん、だって子供の頃ちゃんとした理由が無かったら絶対に力を振るわなかった政人君が復讐って言うんだから、絶対に何か理由があるんでしょ?」

 

 俯く政人に対して彼の顔を覗き込んだなのはは更に疑問を投げかけた。

 

「言えない。これだけは俺の問題だ」

 

「で、でも」

 

「どんなに食い下がっても駄目だ!? こればかりは誰にも言うことは出来ない」

 

 政人は食い下がるなのはを怒鳴りながら遠ざけ、屋上を後にした。

 

なのはSide

 

 政人によって乱暴に閉められたドアを見つめながらなのはは静かに胸元に手を当てた。

 

「何があったの? 政人君」

 

『マスター』

 

「大丈夫だよ。レイジングハート、大丈夫」

 

 心配そうにレイジングハートがなのはに声をかけるが、なのははまるで自分に言い聞かせるかのように言葉を漏らした。

 

「何も出来なかった。小学生の時(あの頃)とはもう違うんだから」

 

なのはSide out

 

政人Side

 

 屋上を後にして、自身の部屋へと戻った政人はベッドに倒れこんだ。

 

『マスター、良かったのではないですか? 彼女になら話しても』

 

「あの時の事だけならな。だけどそこまで話したら確実になのはは抜け出せないところまで首を突っ込んでしまう。そうなったら、確実にアイツ等はぜったいになのはを消しに来る。俺はもう、仲間を、大切な人を失いたくない」

 

『それなら、マスターが護れば良いのでしょう?』

 

「俺にそんな力はまだないよ」

 

 烈風の言葉に政人は静かにつぶやいてそのまま眠りに付いた。 

 

 




この話のなのはさんはちょっと、S成分が多めの魔......おっと誰かが来たようだ。
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