戦姫予測シンフォギア 〜未来へのREAL×EYEZ〜   作:絆蛙

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今回はライブ後の話です。ぶっちゃけこれで半分の予定だったのに一話使うとは思いませんでした。医者の話とかは昔見た記憶がある『Dr.DMAT』などのドラマからのイメージです。症状なども詳しくないので、可笑しくとも特に気にしないでください。

それにしても・・・遠いぜ!原作!いつ行けるんだろうね!原作前あまり飛ばさずにやると、やらないと行けないフラグ回収が多すぎる・・・アークゼロ早く出したい・・・。そして、お気づきでしょうか?さらっとタグ増えてます()
あと感想いつも書いてくれる人はありがとうございます!(今更)途中でちょっとサボろうみたいな思考にならないのはそういう感想や評価、お気に入りなどのお陰なのでとても有難いですし嬉しいです!

では、本編どうぞ!・・・それと、人によっては暗いと思うのでお気をつけを・・・



第九話 ワタシのこの気持ち(想い)はきっと---

 

テレビでニュースを見た私はすぐに両親を説得し、両親も同じ気持ちだったのか叔母さんの要件を終えた後に車で戻ってきた。

今は『()()()()()()』があった所の近くの病院の中で、今すぐ走って確かめに行きたい気持ちを抑える。

そして胸の中で高鳴る心臓の響きと同じくらいの速度で、早歩きで少しの間歩いた。

すると、手術室の目の前まで来た。

その近くには、響の両親たちが居る。その姿を確認した瞬間、私は我慢できなくなった。

 

「響は、響は無事なんですか!?」

 

病院だと言うのに、思わず大きな声で聞いてしまう。

 

「あ・・・未来ちゃん。それがまだ・・・」

 

私の姿に気づいた響のお父さん、洸さんが私を気遣ってくれてか、不安そうな表情を隠すように言ってきた。

 

「そう、ですか・・・」

 

そのことに、不安な気持ちが胸に広がる。

 

「・・・あれ?」

 

そして、()()を忘れている気がして周囲を見渡す。だけども、そこには何も無い。でも、何かが足りない気がして---すぐに気づいた。

それは、いつも無表情で無愛想にしてるけど、本当は他人を気遣える優しい男の子。私や響を何度も助けてくれた幼馴染で()()であるアルくんの姿がないことに。

 

「あ、あの---」

 

それに気づいた私は、私よりも早くにいた響の両親に聞こうと口を開こうとした。

 

「ッ!?」

 

その瞬間に、手術室のライトが消えたと思ったら少しして扉が開く。そこから一人の医者と思われる人が出てきた。

 

「ど、どうだったんですか!? 響は、響は無事なんですよね!?」

 

洸さんがこの場の誰よりも早く反応して近づき、遅れて私たちも反応して医者の人を見た。

私はアルくんのことにさらに不安になりながらも開こうとした口を閉じ、今は響のことについて聞くことに集中することにする。

そして胸の鼓動がさらに五月蝿くなるのを感じる。きっと不安で仕方がないから。私に出来るのは無事であることを祈るだけ・・・。

 

 

「焦る気持ちは分かりますが、落ち着いてください。まず、これだけは言っておきます。立花響さんの手術は無事終えました」

 

「本当ですか!? ・・・良かった・・・」

 

その言葉を聞いた瞬間、不安だった気持ちが少し晴れ、ほっと息を吐く。

洸さんたちも同じだったのか、先程の表情から一転して、ほっとした表情となった。

それはこの場の誰もが安心したと思う。

 

「もちろん、油断は許されない状況ではありますので、このまま経過を見ていきます」

 

「そうですか・・・。どうか、どうか響をよろしくお願いします・・・!」

 

その言葉に先程よりは安心出来たものの、表情が引き締まった。

 

「はい。ですが、目覚めるのには時間を要すると思います」

 

「でも、命に別状はないんですよね?」

 

「えぇ」

 

洸さんが聞いた言葉に、医者の人が頷いた。

 

「今はそれだけでも良いです。響ならきっと大丈夫ですから・・・」

 

それはきっと、響のお父さんだから言えた言葉なのかもしれない。

でも、私もそう信じるしかない。いつも無茶をする響なのだからきっと、今回も私たちの元に---

 

「・・・そうですか。それでは、実はもう一つお話があります。それは、立花響さんと一緒に運ばれてきた子なのですが・・・その子の方が不味い状況となっているんです」

 

「・・・え?」

 

その言葉に、物凄く()()()()を感じた。

だって、響と一緒に運ばれてきた子ってそれはきっと---

 

「彼のご両親は何処か分かりますか? 話さなければならないでしょう」

 

「それが・・・彼には両親は居ないんです・・・」

 

「そうでしたか・・・。ということは、知り合いなのですよね? なら、代わりに話しておきます」

 

「ま、待ってください・・・!」

 

頭が真っ白になりそうになるけれど、私は首を振って先々と進んでいく話を遮るように、慌ててそう言っていた。

 

「貴女は・・・」

 

「私は響の幼馴染で友達です・・・恐らく、その子も・・・」

 

不安がまた広がる。

でも、こんなこと考えるのはダメだと分かってるのに、叶うなら別の人であることを願ってしまう。

 

「そうでしたか・・・でも、子供に聞かせるのは・・・」

 

「お願いします。この子も同席させてあげてください」

 

医者の人が私を見て、悩む素振りを見せたが、洸さんが頭を下げてお願いしてくれた。

 

「お願いします・・・! 私は平気ですから・・・!」

 

だから私も同じように頭を下げてお願いする。

 

「・・・分かりました。ですが、覚悟はしておいて下さい」

 

「はい・・・それで、その子の名前って・・・アルくん、『アルト』って名前の男の子・・・ですか?」

 

ほんの少し悩んだ後にそう言われたため、頷いた私は早速本題へと入った。

 

「はい。彼を運んできた女性が『アルト』と名前を呼んでいたので、間違いないでしょう」

 

「そう・・・ですか・・・」

 

認めたくなかった。きっと彼なら、なんだかんだでひょっこりと現れる可能性もあったと思ってたから。

でも、洸さんの言葉で薄々と彼だということは分かっていた自分もいる。可能なら外れて欲しいと、願ってたから。

それにアルくんは響の両親と面識もあるし、響の両親も何処かアルくんを自分の子供ように歓迎していた。

当然、アルくんに両親が居ないのを知ってるから。

 

「それで、彼の容態なのですが・・・」

 

その言葉に、来た、と心の中で呟いて願う。

どうか、無事でありますように・・・と。

 

「・・・見てもらったほうが早いかも知れません。こちらに」

 

その言葉に、思わず顔を見合わせたが、案内してくれる医者の人たちに私たちはついて行く。

その間にも、あのライブの被災にあった人達なのか、治療されている姿やベッドに寝込んでいる姿も見える。

そして暫く歩いた後には、部屋の一番奥に付いた時に医者の人が立ち止まり、私たちを見つめた。

 

「今からお見せしますが、大声を出すのは控えてください」

 

医者の言葉に、私たちが頷いたのを確認したからかドアが開かれ、中に入る。

そこには---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベッドに仰向けに眠らされていて、見た感じではほとんど全身に包帯が巻かれているアルくんの姿があった。

それこそ、髪と顔以外巻かれており、顔には湿布やら絆創膏などの最低限としか貼られていなくて、額にはぐるぐると包帯が巻かれている。

病衣のせいで中は分からないけれど、少なくとも足と腕には巻かれていて、さらに人工呼吸器や栄養剤を注入する物だと思われるチューブや血液パックなど様々な物や、首にはギブスが巻かれていたり、目を閉じているその姿は、まるで死人のようで---

 

「未来ちゃん・・・?」

 

その姿を見た私は、足元が真っ暗になったかのように錯覚して、座り込んでしまった。

 

「・・・まず、運ばれた時には彼の肉体は既に()()()()の損傷が酷かったんです。無理矢理引き抜いたのか、それとも抜けてしまったのかは分かりませんが、刺さったモノを引き抜いたと思われる跡がありました」

 

何処か辛そうな面持ちで、医者の人がそう告げる。

 

「さらに、過剰な出血をしていましたが、それよりも彼の肉体はそれこそ、『人間のリミッター』の解放・・・いえ、()()()()()()()()()()()()()()()()全身の筋肉にダメージが残ってます。他にも、骨にヒビが入ってはいますが、こちらは特に後遺症もなく問題ないでしょう」

 

「ということは・・・」

 

「えぇ。一番の問題はそこではありません。頭を何度か強くぶつけてしまったのが原因なのか、意識が回復する様子もなく、昏睡状態となっています。もしかしたら、このまま永遠と目覚めることも無く・・・死ぬ可能性すら、有り得ます」

 

「なっ・・・!? 彼が、助かる可能性は・・・?」

 

話の内容が頭に入ってくる度に、頭の中が真っ白になって何も考えられなくなっていくのを感じる。

ただ考えられるのはその不運について。

なんで・・・なんでアルくんと響がそんな目に合わなくちゃ行けなかったの? 二人は何もしてない・・・ううん、それこそ何人も、何人もたくさんの人を助けて、たくさんの人を()()にして()()()きた。

いったい、二人が何をしたと言うの?なんでそんな目にあったの?どうしてこんなことになったの・・・?

・・・分かってる。本当は、原因は私。だって私がライブに誘わなければこんなことになることはなかった。いくらノイズが出るなんて予想出来なかったと言われても、結局、それは可能性の話。結果として二人が危険な目に合ったのは私のせい・・・。

 

「私も一人の医者です。出来るなら助かって欲しいと願っていますが・・・可能性としては、とてつもなく低いと思います。それこそ、二、三割もあるかどうか・・・。それに、意識が戻ってきても何処かしら身体機能に異常を来たしてしまう可能性すら有り得るでしょう。もちろん最善を尽くしましたが、ここまでの治療となると現在の医療技術では不可能なんです・・・」

 

返ってきた言葉は、希望を塗り潰すかのような残酷な言葉。医者の人も辛そうに言っていたため、本当に最善を尽くしたのだろうと分かる。

だけど私は、聞こえてくる度に胸の中で絶望が広がっていく。

 

「そんな・・・どうにも出来ないということですか・・・?」

 

「そうなります。でも、これだけは言わせてください。私も聞いた話なのでどうかは分かりませんが・・・例えどの結果になろうが彼は・・・()()()()()、なのかもしれません」

 

「・・・えっ? どういう、こと・・・ですか?」

 

胸中(きょうちゅう)に絶望が広がる中、医者の言葉に反応した私は自然と顔を上げて、そう聞いていた。

 

「さっきも言いましたが、これは聞いた話です。なんでも彼は、最後の最後まで彼女、立花響さんを守ってたらしいんです。彼を連れてきた女性が言うには天井が崩れて瓦礫に閉じ込められていたのに、発見した時には彼女を抱きしめて瓦礫から守っていた・・・と」

 

「あ・・・」

 

その言葉を聞いて、気づいた。あの地獄とも言えたであろう場所でも彼は私たちの『()()』であったのだと。また、守ってくれたのだろうと。

 

「なら、響が無事だったのって・・・?」

 

洸さんが驚いたような、罪悪感のような感情が混じったような表情で聞いていた。

 

「彼が守ったからこそ、これ以上の悪化がなかったのだと思います。もしかしたらそれが無ければ手遅れになってたかもしれません。・・・彼は本当に、凄い人間だと私は一人の人間として言わせてもらいます」

 

「っ・・・あの・・・アルくんと二人っきりにして貰っても・・・いいですか?」

 

その言葉を聞いた私は、堪えそうにない感情を必死に抑え込みながらこの場の人たちに頭を下げた。

 

「未来ちゃん・・・」

 

「・・・今はそうした方がいいでしょう。それに、ちょうど話したいこともありますから。ですが、もし彼の容態が悪くなったりしたならば、すぐに呼んでください」

 

「・・・はい。ありがとう、ございます・・・」

 

私の気持ちを含んでくれたのか、医者の人がそう言ってくれ、感謝の意味も込めて頭を下げたまま全員を見送った。

そして扉が閉まると、この場に居るのは目を閉じたまま寝たっきりのアルくんと私。

二人っきりにしてくれた。

 

「・・・アルくん」

 

私は彼に近づき、置いてあった椅子を近くに置いて座る。

 

「また、響を助けてくれたんだよね・・・? お陰で響、命に別状はないんだって。目覚めるって言ってたよ」

 

包帯で肌の見えない右手にそっと触れる。感じたのは柔らかい感触ではなく、ゴツゴツとした男の子の手。

 

「大丈夫・・・だよね? 戻ってきてくれるよね・・・?」

 

そんなことを言っても、当然何かが返ってくるわけでもなく、沈黙が訪れる。

 

「・・・っ」

 

苦しい。胸が締め付けられるように苦しくなる。現実を受け止めたくなくとも、受け止めないと行けない。

 

「・・・ごめんね。私のせいで・・・」

 

言っても、何も返ってくるわけじゃないと分かってるけども、自然と口に出していた。

もし目覚めていたとしても、彼は私のせいじゃなくて、興味無さそうに自分のせいだと言うのだろうという姿は容易に思い浮かぶ。

だからか、考えたくないのに、最悪の場合でさえ考えてしまう。もし、このまま目が覚めなかったら。もし、このまま彼がいなくなってしまったら。

それに、今の私の胸の気持ちを素直に明かすならそれはきっと---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「会いたい・・・また、話したい」

 

そう口にした瞬間、自分自身の手に()()()()()()()()()()

 

「ぁ---」

 

思わず頬に触れてみると、それは()。すぐに目元を拭いてみても、溢れてきて止まらなくなる。

 

「止まっ・・・らない・・・」

 

何度拭いても、涙は流れてくる。

その度に私の頭の中には彼の姿が浮かんできた。

アルくんの無愛想な姿。他人を気遣う姿。自分では優しくないと言うけれど、本当は優しい姿。手伝ったり、助けてくれる姿。不器用だけど誰かを笑顔にする姿。様々な姿が私の胸の中を締める。

なによりも---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の作った弁当を食べる姿や、私たちのためにわざわざ行動してくれて、私たちと話す姿。時々、とても優しい雰囲気や暖かい雰囲気を醸し出してたり・・・それに、遊びに行ったり買い物に連れていこうとしたら行きたくないって言っても、なんだかんだで最後まで付き合ってくれる。

そんな彼がどんなものよりも好きで、愛おしくて---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ---そう、だったんだ・・・」

 

思えば、()()()()だった。どうして今まで気づかなかったんだろう。どうして、今だったんだろう。なんで、今気づいちゃったんだろう・・・。なんで、失いそうになってからなんだろう・・・。

 

「わたしの・・・バカ」

 

いつも分かりにくくて、ぶっきらぼうだけど優しくて、無表情。普段は頭が良いのに、時々抜けてるところがある。

でも、興味が無さそうにしていても、誰かを助ける時には自分のことを考えずに、数に入れてない行動で助ける・・・そんな部分だけは心配。だけど、私はそんな()()()()が、とても愛おしくて・・・考えるだけで暖かくなって、熱くなって・・・掛け替えのないほど大切な存在で・・・私のこの気持ち(想い)はきっと---

 

 

 

 

 

 

 

 

()なのだと思う。私は、いつの間にか彼のことが()()()()()()()んだ---

 

 

 

 

 

 

 

 

もしかしたら、初めて会った時かもしれない。もしかしたら仲良くなってしばらくした時なのかもしれない。もしかしたら、相談した時や出掛けたり、お泊まりした時なのかもしれない。

でも、私も・・・きっと響も彼が傍に居ることが当たり前の日常になっていて、だからこのままずっと一緒に居るんだろう、そう思ってたのかも・・・。だって、きっと高校生になっても彼は私たちが願ったらなんだかんだで一緒に来てくれるから・・・。

私のこの思いはきっと、いつかの未来(みらい)に気づいた可能性はあるかもしれない・・・。

それでも、今気づいてしまった私には抑えれそうになくて---

 

「ぅ---ぁぁああああああああぁぁ・・・!!」

 

私は気がついたら、今日の響と彼の話を聞いて抑えていた感情を抑えれなくなり、彼の傍で声を出しながら泣いていた---

 

 





〇アルト
意識不明の重体。昏睡状態なう・・・。
『力の前借り』を『最小限』にしたアサルトでこれなので、普通のシャイニングなら後遺症は絶対残ってたと思う。実は協力を頼んだ理由はこれ。変身しなければ、そこまではならなかった。早く目覚めて・・・

〇立花響
原作通り。でもアルトが庇ってなかったらやばかった。
少なくとも、こちらは時間が掛かれど必ず目覚める。

〇小日向 未来
自分が誘ったせいで二人が重傷を負い、アルトに至っては『死ぬ』可能性すら高いために、めっちゃ辛い。
失ってしまいそうな幼馴染を見て、思い出が脳裏に過ぎり、いつの間にか惹かれて『恋心』を抱いていたことに気づく。だが、それは遅く・・・後悔も含めて泣いてしまった・・・。

〇立花洸
まだ良い人。響が無事で安心したけどアルトが重体となってるせいで喜べずに罪悪感さえある。

〇響の母親、祖母
名前は公式で不明。名前思いつかない。他は洸と同じ。

〇医者
外科医。ただの一般聖人名医ニキ。人の命はとても重たいものだと考えている。ちゃんと響の胸の傷について話はした。

(ゼロワン本編のじゃないけど)滅亡迅雷.netは?

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