戦姫予測シンフォギア 〜未来へのREAL×EYEZ〜 作:絆蛙
エボルト視点が思ったより長引いたぜ・・・彼がこの世界に来た経緯やらアルトくんに対してどう思ってたのかとか色々書いてたからね。仕方がないね。
あと本っ当に評価やらお気に入り登録、感想ありがとうございます!見る度に目から鱗ですよ、本当。
では、本編どぞ!
俺が
俺が
キルバスを倒した俺は力を蓄えるために地球を去ったはずなのだが、何の偶然かこの世界に来ていた。
宇宙で
最初は戦兎たちのいる地球かと思ったが、ノイズとかいう存在が居たり年代が違ったり、仮面ライダーの情報が何処にもなかったりと---つまり、別の世界に来たと理解した。
最初は地球を滅ぼす・・・のもありだとは思った。だが、ビルドのような仮面ライダーが居ないとも限らないし情報が少ないのに動くのは悪手だ。
まずは情報を集める必要があると思っていると、お人好しなじいさんが俺を拾い、俺の正体を見たくせに家に住ませてくれた。
当然、そんなことに今更毒されたりはしないが、人間を舐めるという認識はもうしていない。そのじいさんは結局程なくして寿命で死に、経営していた喫茶店を死ぬ直前に俺に譲った。
実際に最初は消そうか迷ったが、今回は俺は何もしていない。アイツらに関わったせいなのか、それともじいさんの善意にやられたのか・・・その辺は分からないがな。
その後、喫茶店を譲り受けた俺は情報を集めつつ旧世界と同じように喫茶店をやって過ごし、久しぶりの地球を何年も堪能していた。
ノイズという脅威はライダーシステムで対応が可能だと試したし、この地球を滅ぼすかどうかは、いつでも出来るから後回しにしてたってのもある。
だが、もしこのまま何にも価値もなく、醜い世界だったのであれば、俺は自身の力を蓄えるための犠牲としてすぐに滅ぼしてただろう---
それは突然の出来事だった。何気ない日常ではあるが、俺からしたら運命の出会いとも言える。
ある時、小学生くらいの一人の男の子が入ってきた。何処か機械のような感情のない表情で座り、無機質な瞳は人にとっては恐怖を感じかねない。そんな瞳で俺を見つめてきた。
『・・・コーヒーを、一つ』
『はいよ』
落ち着いたような声で注文してくる。それだけで冷やかしではなく、客だと理解する。そしてコーヒーだけ評判の低い俺のコーヒーを、ソイツは頼んできた。評価が高い喫茶店をしていたじいさんにも辛辣な評判を頂いたコーヒーだ。・・・俺はブラックホールのような黒々とした色を目指してるだけなのにな。
『砂糖は?』
『いい』
何処か子供とは思えない姿に少し凝視するが、ソイツは無感情のまま何も言わない。ただ視線に気づいてるのか、首を傾げるだけだ。
なるほど、演じてた頃の俺に似ている・・・と思った。だが、決定的に違うのは表情などを演じることが出来た俺だが、コイツは
『そうか』
何はともあれ、注文されたなら出すのが店主としての役目。俺は今日もブラックホールのような黒々とした色に満足しつつもソイツにコーヒーを差し出す。
『・・・』
すると、ソイツは暫く見つめた後、コーヒーを手に取って飲んだ。期待半分で見つつも、先の展開はおおよそ予想出来るため、布巾を用意していると---
『・・・美味い』
『は?』
予想外の言葉に、思わず声が漏れたがソイツの表情を見つめる。からかってるのであれば、何かアクションがあるはず。
しかし、ソイツは特にアクションを起こすことも無くぐびぐびと飲んでいる。
もしかして、今度こそ完璧に出来たのではないか---? そう思って俺も自身に淹れて飲んだ。
---不味かった。誰だろうか、こんな苦いものを作ったのは。
作った本人である俺ですらそう思ってると、いつの間にか飲み干したソイツは、コーヒーを置いて一言言った。
『おかわり』と。不思議なヤツだと思った。俺から見ても人間だが、何処か普通の人間に見えない。
何より、俺のコーヒーが本当に美味いのか何杯も飲む姿は気に入った。人間なのに感情が無いのがよくわからないが、ソイツ曰く
名前は『アルト』というのだとか。自分からはあまり話しかけて来ないが、質問を返したら律儀に返す。そんな人間だ。
しかし、どうにも腑に落ちない。普通、人間というのは何らかのトラブルにでも遭わない限り、感情というものは生まれた時から必ず持ち合わせる。それこそ、表情筋が硬いなどの人間は別だが、アルトはその領域などでは収まらない。
正直、人間ではない機械か人形だと言われても違和感はないだろう。
『・・・あんたは』
『ん?』
そう考えてると、何処か悩むような
『あんたを、どう呼べばいい』
『あぁ、自己紹介してなかったな』
雰囲気でだいたい察することができるのか、と理解した俺はじいさんにも名乗った時の名前を名乗った。
『石動惣一。ここのnascitaのマスターだ。好きに呼んでくれて構わないよ』
『なら、マスター』
『なんだ?』
旧世界での憑依先の名前を借りると---というか、姿は擬態とはいえ石動惣一まんまだが、アルトはマスターと俺のことを呼んできた。
『・・・また来る』
『客なら誰でも歓迎だ』
律儀にまた来ると報告してきたアルトは、お金をちょうど置いて店を出ていった。
これが、俺とアルトの始まりだ。この時はまさか、長い付き合いになるとは思わなかったが・・・その日から来る度に色々と話した。ある時は普段の生活。ある時は幼馴染を連れてきたため、三人と会話。ある時はアルトの行動を見たり、ある時はやけにボロボロになってくる。
まあ、ボロボロになってる点は聞けば、動物やら人を庇った怪我らしい。
それを聞いた俺は、気になった。
だから聞いたんだ。『お前はなんで見返りがない人助けをするのか---』と。
すると、ソイツは何と答えたと思う? 簡単だ。
『・・・理由は、ない。見返りは、必要あるのか?』
と。まるで人助けが当然だと言うように。見返りなど求める必要があるのかと。確信した。アルトは間違いなく
だからこそ、コイツも同じように資格があると感じた。
あぁ---面白い。本当に面白い。
仮面ライダーってのはどいつもこいつも基本的には
だからそうありたい。こうしたい、と言った行動をするし怒りに呑まれたりすることもある。でもアルトには感情はない。ない上で、誰かのために行動出来る。しかも、心の底からそう思ってる。自身がどうなるかなど迷うこともなく、だ。悪く言うのであれば、自身を勘定に入れてない人間---つまり、自分の命など関係なく、他人のために自己犠牲をする人間なのだが---。
本当にコイツは俺を楽しませてくれる。予想外の行動に出たり言葉を発したり、妙に鋭い、など本当に色々だ。そんな行動には期待出来るだろう。
だからこそ、辞めた。この地球を滅ぼすことは完全に辞めた。俺はコイツの行く先を見ようと思った。コイツはいつか何か大きなことをする。それこそ、桐生戦兎と万丈龍我でさえなし得なかったかナニカか、全く別のナニカを---
そしてアルトや響ちゃん、未来ちゃんと知り合ってから何年も経った。すっかりと仲良しとも言える仲となり、常連と化してくれてる三人と話したりした日常を過ごしていると、
アルトは響ちゃんを庇い続け、生死を彷徨ったらしい。
聞いた限りでは、あの状態から目覚めるなどほぼほぼ不可能だ。だが、アルトに死なれるとコーヒー飲むやつが居なくなるし、響ちゃんたちも面白いが、アルトが死ぬとより面白さが減る。そのため、寄生して復活するように活性化させてやろう---と思っていたら、やはり予想を超えて目覚めた。しかも、
脳にダメージを受けてたはずだから後遺症がない方がおかしい。でも、ない。そもそも何故、あの場で生き残れた?『予測』能力は高いらしいが、永遠と避けるのは不可能に近いだろう。
そして日々が続く。来る度にボロボロになっているアルトと話しながら質問をした。『何故反撃しないのか』と。
ボロボロになってたのは、バッシングの影響で虐められてたらしいが、それでもアルトならば反撃すれば返り討ちは可能だ。
『必要ない』
だが、返ってくる言葉はそれだ。痛めつければ相手が恐怖を感じることは理解しているはずなのに、それだった。
まあ、未来ちゃんや響ちゃんに被害が行くってのもあったのだろう。
結局、アルトは一度も抵抗することはなかった---
ある雨の日を迎えた。もはや肉体は限界が近いと言えるくらいボロボロとなっているアルトは何処か悩んだ末に答えを見つけ出したような覚悟した目をしていた。
『悪い。・・・けど、あんたに頼みたいことがあったんだ』
『・・・どうした?』
そう言ったアルトの瞳を見ると、揺らぎようの無い覚悟を決めた瞳をしている。だから頼みは受けるかどうかは別として、聞くことにはした。
『まず、あんたに言うことは全部、あの二人には秘密にして・・・欲しい』
『響ちゃんと未来ちゃんか?』
『ああ』
『理由は?』
『心配かけたくない』
『・・・分かった。じゃあ話してくれ』
二人に内緒で俺にわざわざ頼みに来ることならば、きっと良くないことなのだろう。だが俺は止めない。コイツの行く末がどうなろうが俺は見守るだけだ。自分の道は自分自身で道を切り開いて運命を決めて貰わなければ困る。俺が決めた結末とコイツ自身が決めた結末。どっちの方が面白いのかなんて明白だ。
『じゃあ、まず---』
アルトから話されたことは三つ。まず、アルトが『仮面ライダーゼロワン』に変身する仮面ライダーだということ。病院を脱走していた姿は稀に見ていたし、予想出来たお陰か、すっと入ってきた。
もちろん、少しは驚いたが。同時に生き残れた理由にも納得。
そして二つ目。もう長くないということ。原因は分からないが、日に日に自身の
なにより、本題の三つ目---
『頼む。俺は、長くない。これ以上は、守れない・・・だけど、見捨てることも出来ない』
見捨てるというのは、二人だけじゃなくて生存者のことも含まれてるのだろう。アルトが悪いという訳では無いのに、何故か庇うために全てを引き受けようとする。
その時思った。---それはただの一介の人間がやるべき事ではない、と。だが、覚悟はヒシヒシと伝わってくる。例えその頼みを聞かなくとも、行動には移すだろう。
『アルトくん・・・後悔はしないんだな?』
『ああ』
即答だった。店を出る前、返事も待たずに出ようとするアルトに聞けば、迷うことの無い即答だ。間違いなく、俺が取り込んだ時の戦兎や万丈のように自分自身を犠牲にするだろう。その行動が褒められることでなくとも。誰に感謝されることがなくとも---アルトはやはり、
『何故なら』
『ん?』
止まって振り向いたアルトが言葉を一度区切る。
『あんたになら、任せられる。例えあんたが
『・・・・・・』
続きを紡いだアルトの口からは、明らかに
流石の俺も姿を見られてないのにその言葉には大いに驚いた。
『だから、マスターの場所も、アイツらの居場所も、俺が全て守る。
その間にも喋り続け、アルトは店を出ていった。それ以降、アルトが来ることはなく、響ちゃんと未来ちゃんから聞いた限り消息不明となったらしい---ただ、何をしたかまでは分からないが、生存者のバッシングを消し去ったからか、あの時の言葉通りに俺や二人の居場所を守ってみせた---。
「まったく、なにをしてるのかねぇ・・・」
シンフォギアと呼ばれるノイズとの対抗手段で戦ってる装者三人。女性にしか纏えないものらしいが、それを纏う三人・・・ツヴァイウィングの天羽奏、風鳴翼。そして、立花響。その三人と敵対している相手は
「やれやれ・・・」
戦況を見る限り圧倒的だった。黒の仮面ライダーは一度もダメージを受けることなく、まるで子供でも相手するかのように余裕に戦っている。おそらく半分の力すら出していないだろう。だからこそ、このままでは間違いなく敗北だ。
それを見ながら俺は、手回し式のレバーに円盤型のパーツの付いた派手なカラーリングの機械---『エボルドライバー』を腰に宛てがう。
『エボルドライバー!』
久しぶりの感覚に懐かしさを感じながらも赤色で、コブラの刻印がある『コブラエボルボトル』と刻印がライダーズクレストで黒色の『ライダーエボルボトル』を俺は取り出し、惑星のマークがあるキャップを横から正面に固定した。
そしてコブラエボルボトルを右に挿し、ライダーエボルボトルを左に挿し込む。
『コブラ!ライダーシステム!』『エボリューション!』
レバーを回すと、EVライドビルダーからハーフボディが靄のかかったような状態で形成される。
それを見ながら胸元にクロスするように両手を持っていって重ね、指を広げる。同時に腰を落として重心を低くした。
『Are You Ready?』
「変身」
胸元からゆったりと両手を広げ、そのときには前後からハーフボディが重なる。
『コブラ!コブラ!エボルコブラ!』
『フッハッハッハッハッハッハ!』
そして俺は、本来の姿である『仮面ライダーエボル』へと変身を果たす。
「さぁーって・・・行くかァ」
これからオレがやることを、仮に戦兎や万丈が見たらどんな反応をするのか。怪しまれるか、それとも---まァ、どちらでもいい。どちらにせよ、オレの取る行動の反応をいつかは見たいもんだなァ・・・それは楽しみにしておくとしよう。
変身をし終えた後に、そんな考えが脳内に浮かんでいたら黒の仮面ライダーが巨大なエネルギー弾を形成しているのが見えた。
なので、オレは思考を遮ると即座に飛んで行く。
そして---
「ソイツは困るなァ・・・」
三人の装者に直撃する前に着地と共に、エネルギー弾を此方からも放って相殺した。
「なんだと・・・?お前は一体---」
「あんたは・・・」
「よっ、二課の装者たちと---仮面ライダー?」
情報を調べてた時に知った特異災害対策機動部二課の装者たちと正体や目的などの
しかし装者たちの方は向かずに、黒の仮面ライダーの方を見る。
何故なら頼み---いや、
「だ、誰・・・?」
後ろから響の声が聞こえ、名乗ってないことに気づいた。彼女に警戒されるのは面倒臭いことになるだろう。
「---仮面ライダーエボル。フェーズ1」
だからこそ、自己紹介も兼ねてオレはそう名乗った---
◆◆◆
赤色の瞳を輝かせたアークゼロと呼ばれる仮面ライダー。そして、先ほど突然現れたコブラの仮面ライダー・・・いや、仮面ライダーエボルは互いに動かず、相手の動きを見てるだけだった。
否、正確には
そんな膠着状態が続いている中、最初に動き出したのは---
「---お前は何者だ・・・?」
アークゼロの方だった。突如現れたからか、エボルに質問をしている。
「お前さんと同じ仮面ライダーだ。それに、名乗るなら先に名乗るってのが常識だろう?」
「・・・アークゼロ」
「そいつがお前さんの名前か・・・なるほどねェ」
戦いではなく、会話をする二人。そんな二人の姿を見てエボルの後ろにいる装者は行動が出来ない。それはそうだろう。見た感じでは、エボルは明らかに自分たちを守った。だが、それだけで味方とは言い切れないのも事実。身元や目的が分からない以上、下手に動くより傍観が一番なのである。
しかし、会話をする二人だって会話をするためだけにいるのでは無い。奏と翼は戦ってきた経験のお陰か、会話はしているが互いに隙を探っていると理解していた。その通り、アークゼロとエボルは互いに行動に移せる隙を探している。
「あ、あの、エボル・・・さん? どうして・・・」
だが、響はまだ本格的に戦うのは初めてで、今回が初陣と言える。よく分からない空気に思わず言葉が漏れた。
「ん? あぁ〜その辺は後だ。今は---」
顔を響に向けたエボルは聞かれたことに答え、
それを捉えたアークゼロは即座にアタッシュアローから矢を放った。
「コイツとの話し合いがあるんでね」
しかし、隙を付いたはずの攻撃をあっさりとエボルは掴み、矢を握り潰す。その間に近づいていたアークゼロはアタッシュアローを振り翳すが、エボルは体を横に逸らして固く握った拳をアークゼロの胸辺りを狙って突き出した。
「その程度は---」
それでも、あっさりと食らうものならば強者とは言えまい。見てから瞬時に回避して見せたアークゼロが、エボルに反撃の足蹴りを放つ。その攻撃をエボルが避け、左から拳を向かわせた。その攻撃をアークゼロが逸らし、アタッシュアローを横に振るう。エボルは刃を手で掴み取り、投げようとした。それに気づいたアークゼロが一瞬でアタッシュアローを消すと、距離を引き離す。
そんな中、距離を離されたにも関わらず、冷静に見ていたエボルの手にはいつの間にか銃がある。拳銃型のものだ。
炸裂音が響く。真紅の炎を纏った弾丸がアークゼロに向かい、アークゼロは受け止めずに体を逸らして避けた。その瞬間、アークゼロの後ろで爆発が起こる。一体どれだけの威力が込められていたのか分かるだろう。
「次はこっちからやらせてもらおうか!」
エボルの声と共に、エボルが赤いオーラを身にまとって瞬時にアークゼロに近づいた。高速移動と呼ばれるものだ。
懐に入ったエボルから放たれるのは、銃弾。ゼロ距離から放たれたそれを何発も受けたアークゼロが後退るが、離れる直前にエボルに向かって指先からビームのような光線を放っていた。
エボルがそれに気づくと回避しようとし---後ろを見た瞬間、受け止める判断をする。
お陰で互いに距離が再び離された。
「・・・なるほど、お前は
「・・・・・・」
何かに気づいた様子を見せたアークゼロに、エボルが黙り込む。
「だが、今ので分かった。お前は
赤い瞳をより強く輝かせたアークゼロがベルトの上部を押そうとし---上空から飛んできた
その時、とてつもない亀裂と一緒に周囲のアスファルトが一気に砕け散る。
「今のを躱すかッ!」
そこに居たのは、地面に拳を突き出したままアークゼロの方に顔を向けたのは赤いカッターシャツを着て、筋骨隆々な大柄の男性---二課の司令である風鳴弦十郎である。
「叔父さま!?」
「弦十郎のダンナ!? うわぁ・・・」
「す、すごい・・・」
突然現れた自身の組織の司令である弦十郎の姿を見て、翼と奏は驚き、奏に至ってはやっぱりかぁ、みたいな感じで頬を引き攣らせており、響はあまりにもの光景に目が点になっていた。
「言ったはずだ。不意打ちだろうが、お前たちの思考は読めて---ッ!」
最後まで言わず、途中で何かに気づいたアークゼロが周囲を見渡した。
逃げたのか、それとも隠れているのか。どちらかと考えたアークゼロは警戒し続け---
『Ready Go!』
真後ろから気配を感じ取り、アークゼロが即座に振り向きと共に、拳をぶつけようとする。
「結論を---ッ!?」
しかし、エボルはその拳を真横に移動することで回避し、アークゼロが突如驚愕して困惑したような様子を見せ、硬直した。
明らかな隙。それを逃すエボルではなかった。
エボルが足元に星座早見盤を模したフィールドを発生させ、エネルギーを右足に収束させる。
『エボルテックフィニッシュ!』
「しま・・・!?」
気づいた後には既に遅く、右足から放たれた強力な蹴りがアークゼロに直撃し、とてつもない速度で飛んでいく。
『チャオ!』
「一旦引くぞ」
「む? 君は---」
「話は後だ」
それを見ずに、装者と男性に近づいたエボルは長く話すつもりがないのか最小限のことだけを言い、銃から煙を巻き起こしてその場から姿を消した---
◆◆
一方で、吹き飛ばされたアークゼロ---シンは人気のない場所で夜空を見上げながら倒れていた。
「---あ、見つけた。アークさま・・・大丈夫?」
程なくして、乱れた息を整えながら心底心配、と言った様子でアズが慌ててシンを抱き起こしていた。しかし、シンは沈黙しながら困惑したような、混乱したような表情をする。
「アークさま? もしかして怪我を---」
「---いや、ごめん。大丈夫だ」
不安そうな表情となったアズの頭を撫でると、シンは座り込む。
「・・・何かあったの?」
「・・・さっきの奴、予測出来なかった。違うな、
「それって・・・あの仮面ライダーみたいなの?」
「あぁ」
見ていたのか、アズがそれらしき存在を口に出すと、シンが頷いた。
「オレの予測では、あの後装者たちは動けないくらいのダメージは入るはずだった。あの男が途中で来ることは知っていたが、エボル・・・と言ったか。ソイツの存在だけは予測になかった」
「アークさまの予測にない存在? それは有り得なさそうだけど・・・
「事実、有り得たしアズでも知らないなら、オレも知らないな。それに最後の一撃もそうだ。あの時、予測して回避しようとしたら---」
「出来なかったというわけね・・・それで動きが止まったんだ」
再び、アズの言葉にシンが頷く。
「理由は分かってるの?」
「理由はわかってる。ついでに
「思い出したの部分が気になるけど・・・うん、厄介ね」
シンはため息を吐き、その姿を見ながらスカートを抑えてアズが隣に座り込む。そんなアズにシンは気にせずに手を空に伸ばした。
「
「それは良いけど・・・今はダメ」
「ん?」
伸ばした腕の手の甲を額に当て、夜空を見ながら悩むような素振りをしていたシンの手をアズが重ねる。
何かと思ったのかシンが視線を向けた瞬間、シンの体は横に倒れさせられ---膝枕をされていた。
「アズ?」
突然のことであっさりと倒されたシンがアズを見つめる。そんなシンをアズが愛おしそうに見つめ、頭を撫でていた。
「今はゆっくりしてて。問題はないと思うけどダメージはあるだろうから」
「・・・そう、だな。じゃあ、後は頼む」
「うん、任せて。アークさま♡」
右腕を自然と抑えたシンは、目を閉じる。そんなシンの頭をアズが撫でていると、シンは少しして眠りについた。
「---私がやることは変わらないけど、もしもの時は私が守るから。安心してね? アークさま。貴方は私にとって
アズはシンの額に掛かってる髪を優しく分けると、額に口付けをし、携帯を取り出して電話を掛ける。
『あ、セレナ? 私だけど。位置情報送るからちょっと来てくれない? 流石に私一人ではアークさまをここから連れて帰るのは難しいから・・・うん、お願い』
電話を終えると、携帯を戻したアズはただひたすらに頭を撫でながら、シンの顔と夜空を見ていた---
◆◆
エボルと共に、二課へと戻ってきた風鳴弦十郎と装者たち三人は、明らかに怪しいエボルと向き合っていた。
「まず、彼女らを助けてくれたことに感謝をするべきだな。ありがとう。それで君のことについて聞きたいんだが・・・」
「そうだな・・・なら、こっちの方が話しやすいか」
弦十郎の言葉を聞いたエボルは自身のベルトにあるボトルを引き抜く。すると、長身の男性---石動惣一が現れた。
「えっ!? 惣一さん!?」
「わぁ、本当だ! なんで!?」
その姿を見た瞬間、よく通っている響と未来は見知った姿に驚きを顕にしていた。
「あら? 知り合いなのかしら?」
「は、はい・・・『nascita』って喫茶店をやってる店主なんですけど・・・」
「まっ、自己紹介は必要かね。俺は石動惣一。みんなは基本的にマスターって呼ぶが、好きに呼んでくれ」
惣一が自己紹介をすると、二課の面々は理解して貰うためか各々自己紹介をしていった。
「それで、マスターは何処でその力を? アークゼロと互角に渡り合っていたが・・・」
「ん? あー・・・なんだ。偶然拾ったんだよ。ノイズも倒せるみたいだけど、かなり昔に拾ったものだから何にも分からないし覚えちゃいない」
早速、と言わんばかりに本題に入った弦十郎に惣一が全く分からない、と言う風に両手を広げてやれやれと振っていた。
「ノイズを・・・? どういう---そうだ、だったらちょーっと貸してくれなぁい? 心配しなくとも、壊したりはしないから、ね? いいでしょう?」
が、そんなことを言えば当然、天才である彼女が反応しないはずもなく、視線をベルトに向けながら聞いていた。
「いやいや、早速会ったばかりの人に貸してくれと言われて貸すやつは居ないんじゃないの? 俺はあんたらのことを全然知らないしな。響ちゃんと未来ちゃんについては結構話したりしてるから分かってることは多いけど・・・響ちゃんがあんなことをしてたとは思わなかったけどね」
「私も惣一さんがあんな姿になれるとか知りませんでしたよ? 私がこうなったのは昨日ですし・・・」
「それはまた、唐突だな」
腰に巻かれてるベルトを取られる前に懐に隠した惣一が響から聞いたことに苦笑いをする。
しかし、すぐに纏う雰囲気が変わった。
「まぁ、このまま雑談するのもありだが・・・本題は違うだろう? ダンナ。あんた達は俺に何を要求したい?」
一直線に向けられる惣一の視線。そこに居るのは、二課の司令である弦十郎。正面から受け止めた弦十郎は惣一の言葉を理解したのか頷いた。
「そうだな。我々のことは話すが、一般の人や誰かに言いふらすのはやめて欲しい。そしてマスターに言いたいのは我々に協力してくれないか、ということだ」
真剣な顔で弦十郎が協力を要請する。
しかし、そう言われても目的などは不明だろう。だからこそ先ほどの三人が纏っていたのがシンフォギアと呼ばれるモノで、それがなければ現状ノイズに対抗手段がないこと、特定の人間でしか纏えなく、子供に頼ることをしなければならない申し訳なさと共に様々なことを語っていた。
何より、人を救うためには手が足りなく、我々はそのために力を使いたいと。
「マスター。我々がノイズ相手に出来ることは裏方作業などしかない。戦える力があるからと頼るのは本当に申し訳ないのだが、出来るのであれば---」
頼む、と頭を下げようとした弦十郎の肩を惣一が叩く。
「ダンナ、心配しなさんな。元々逃げることも出来たのにあんた達と接触したのはそのつもりだからだ。
気づかれないように響と未来に視線を送った惣一だが、すぐに視線を弦十郎に戻す。
「ということは、我々に協力してくれるということでいいのか?」
「もちろん。あ、でも喫茶店の営業は続けさせてくれよ?」
顔を上げた弦十郎が期待を込めたように見つめると、惣一は頷くが、おちゃらけた言動を取る。
「それはもちろんだ。協力を要請したからとはいえ、マスターの生活を奪う訳では無いからな」
「じゃ、これで成立ってわけだ。よろしく頼むぜ? ダンナ」
「ああ。こちらこそ」
惣一の出した手を弦十郎が握り、弦十郎を含め、二課のメンバーたちが次々と現在の状況と装者たちのことの話をした---
「失礼します」
そんな中、話が区切りが着いたタイミングで、一人の二課のメンバーと思われきし人が入ってくる。
「ん?」
「あれ・・・?」
「知らない人だね」
三人を覗いた人達は、来たかといった様子を見せるが、初めて見た響と未来、惣一は首を傾げるしかない。
「あー、お三方はまだ知らないんだっけ?」
「昨日は居なかったから、仕方がないと思う」
気づいた奏がそう言うと、補足するように翼が続きを話した。
「そういえばそうだったな。彼女は我々二課の技術顧問だ」
「初めまして。技術顧問の『亡』です。よろしくお願いします」
丁寧なお辞儀と言葉遣いをしながら、亡と名乗る。それに釣られるように三人も自己紹介をした。
「亡くんは何でも知り合いを探してるらしくてね、技術顧問として働いてくれてる代わりに我々も探しているってわけだ」
「・・・その話は今はいいかと。それより『
「そうか・・・それは良かった」
アレと呼ばれたものに弦十郎だけではなく、二課のメンバーたち全員が安堵の息を吐く。
それが何か分からないからか、惣一が代表して聞くことにした。
「アレって?」
「そこは私が説明させて貰うわ」
了子から語られたのは、『ギャラルホルン』と呼ばれる二課が保有する完全聖遺物のことだった。
ギャラルホルンには2つの似て非なる世界を繋ぐ力を持つが、人間が世界間を移動するためにはシンフォギアを纏う必要がある。つまり、並行世界と自分たちが今いる世界を繋げるための鍵ということだ。暴走が起きればどんなことが起こるか分からないため、空いている時間があれば確認してるとのこと。
「そんなものが・・・」
「なるほどなぁ・・・って響ちゃん、大丈夫か!?」
「全然分かりません・・・」
あはは、と苦笑いする響に了子が暴走したら危険だけど普段は安全なモノだということを簡単に伝えている。
「そういえば、新しい仮面ライダーと装者が現れたそうですが」
そんな二人を他所に、思い出したかのように亡が口に出す。
「うむ、ガングニールを纏う立花響くんと仮面ライダーエボルと言う仮面ライダーに変身するらしい---」
「石動惣一だ。喫茶店をやってるからマスターって呼んでくれても構わないけどな」
「そうですか。もう一つのガングニール・・・それに
「ゼロワン?」
亡の言ったゼロワンと言う存在を知らないため、いつの間にか戻ってきていた響が聞く。未来も知らないようで、視線が集まっていた。惣一は何となく視線を向けている。
「あたしらの方が知ってるかな。響には思い出させちゃって悪いんだけどさ、二年前のライブに突如として現れた仮面ライダーがそのゼロワンってわけ。あたしが絶唱・・・簡単に言えば諸刃の剣といえる奥の手のことだけど、それを使おうとした時に現れたんだ」
「二年前・・・」
「響・・・。あっ、その方は今は居ないんですか・・・?」
心配といった表情で響を未来が見るが、一度も見てないことに気づいて居ないのかと聞いていた。
「ある時から突如として姿を消した。私と奏は何度かゼロワンと共闘することが多かったけど、暫くは見たことがない」
「それじゃあ、アークゼロってのはゼロワンと同じようなもんかねぇ?」
「そこは分からないけど、明らかに行動が違うわね」
「アークゼロって何を目的なのか分かってないんだよね。さっきだって本当かどうか分からないし」
「まあ、その分ゼロワンは人を守ってたようだったけど」
画像やら情報を出していた友里と藤尭が了子の言葉を補足するように呟く。
「僕たちでも探れてきれてないので未だに謎の存在です」
「兎に角、だ。そうだとしても俺たちのやることは変わらない。---っと。もうこんな時間か・・・今日は何も無いから解散してくれ。特に、響くんや未来くん、翼は学校もあるからな」
「じゃ、俺も店に戻るか・・・」
言っておきたい情報は全て話したからか、弦十郎の言葉でお開きとなり、寮へと戻っていく者や、学生組が帰る中、惣一も帰ろうとしていた。
「あぁ、マスター。もし遠いならば我々の方で拠点となる家を用意しておくが・・・」
「いや、その言葉だけで十分さ。じゃあな」
「そうか。なら困ったことがあったら何か言ってくれ」
「その時はそうさせてもらうよ」
惣一は歩きながら手を後ろで振り、その場から去っていった---
「アークゼロ・・・か。最後の俺の一撃。あの一瞬でガードするとはなァ・・・。もしかしたら
帰り道、惣一が取り出したモノは石化しているナニカの
「それにしたって・・・アルトのやつ、この展開を予想してたのか? 敵に回るつもりはなかったが、つくづく敵に回したくないやつだよ。・・・全く、何処に行ったのやら。死んでなけりゃいいんだがなぁ」
小声で独り言を呟いていた惣一は、死んでたら楽しみが減るし、と付け加えた後にお店へと戻って行った。
偽名:
本名:アーク(?)
記憶繧貞叙繧戻したら縺励>縺特に変わっ縺溘%縺ィ縺ッ縺ェ縺みたいだ。なので、影?ゥ縺ッ縺ェいだろう。
偽名:
本名:アズ
想定よりもメインヒロインしてるよ・・・アーク様が怪我したのではないかと心配。
エボルト
エボルトォォオオオォォオォオオォォ!!
ま さ か の 味 方 ル ー ト
キルバス撃破後。
アルトは感情がない点で似てるようで似てなく、戦兎たちに近い心持ちをしているので期待している。お気に入りらしい。
アークゼロ戦は互いに全力を出していない(スペック半減状態VS2%)
二次創作特有の弱体化&トリガー石化中
亡
ゼロワン本編の亡ではないため、並行世界(この世界)の亡。
便宜上三人称では『彼女』。
風鳴弦十郎
OTONA代表。
アークゼロの行動に危険を感じたから仕方なく不意打ちで攻撃。地面がやばい事になってる。
ギャラルホルン
完全聖遺物。
ゲームの
アルト/百合の間に挟まった男
最後の最後で行った行動により、アークゼロが予測不可能となっていた。現在は(響たち視点だと)消息不明。
セレナァァアアアアアァアァ!!(大人セレナだとアルトくんの歳上になっちゃうので少女版)生存させるか
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生存させろ
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(しなくて)いいです
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アークの意志のままに・・・
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アークワンはよ
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(いっそヒロインにしても)ええんやで