戦姫予測シンフォギア 〜未来へのREAL×EYEZ〜   作:絆蛙

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エボルトさんが出ると感想が普段より貰えるので嫉妬しちゃう。もっと感想やらお気に入りやら評価くれても・・・ええんやで?(欲張り)

えーということでですね、明かされます。色々。主にラスト。
あと、シンフォギア原作とは違う展開になっておりますので、ご了承ください。まあ、アークゼロとエボルト、セレナやらアズなどが関わってるから歴史変わらんと可笑しいし・・・ね?
ではでは、本編どうぞ!あ!評価下さった方、本っ当にありがとうございました!




第九話 ソレゾレの戦い---そして、絶唱

 

 

 

 

---時は、数時間前に遡る。

 

「やっと完成か・・・。ゼアの力さえ使えれば、簡単に出来るのにな」

 

彼、アークゼロに変身するシンの目の前にあるのは、ベルトらしき物とプログライズキー。そして何らかの注射器だった。

 

「アークさま。時間よ?」

 

すると、時間を確認してきたのか、長髪の黒髪に赤いメッシュが入ってる少女---アズが傍に寄りかかる。

 

「あぁ、時間か。ちょうどいいな・・・『フィーネ』の手伝いに行くか」

 

「私、行きたくないんだけど・・・嫌いだし」

 

「そう言うな。装者を強くするのに扱いやすいしオレもフィーネのやつも互いに仲間だとは思ってないからな。利害の一致・・・利用し合う仲って感じか」

 

「まぁ・・・アークさまが良いなら良いけど」

 

シンの言葉にアズはむむ、と悩ましい唸り声をあげ、諦めたように腕を絡める。

それを気にした様子を見せず、シンは苦笑いをしながらアズの頭を優しく撫でた。

 

「オレの()()通りなら今日が一番やりやすい。だから、アズには仕事を頼みたいんだ。これをあるヤツに渡してくれ・・・知り合いなんだろ?」

 

シンは目の前にあるベルトらしきものとプログライズキーをアズに差し出した。

 

「・・・これ、アークさまが使うものじゃないんだ。私は良いけど、本当にいいの? たぶん、アークさまの敵になるよ? アイツとは幼い頃に少し話した程度だけどアークさまの敵になるのは想像に容易いんだもの」

 

受け取ったアズは、シンの顔を覗き込むようにしながら首を傾げて見つめる。その瞳は、『本当に渡していいのか』と問い掛けているようだった。

 

「その程度なら問題ない。心配しなくとも、きっとアズが望む未来(みらい)にはなる・・・もう二度と、一人になることはない」

 

「ん・・・そうよね。ふふ、アークさまが居てくれるなら、私は何でもいいけどっ」

 

シンが優しそうな表情でアズを撫でていると、彼女は嬉しそうに、それでいて幸せそうな笑みを浮かべて立ち上がった。そして、スカートを叩くとしっかりと受け取ったものを収納する。

 

「っと、アズはちょっと待っててくれ---セレナ」

 

少し待つように言うと、シンは立ち上がって別室の聞かないように気遣ってか、離れた箇所にいる橙色がかかった茶髪の少女---セレナに話しかけた。

 

「は、はい!? シンさん、私、何か悪いことでも---」

 

突然話しかけられ、セレナは驚いて何かしたのかと申し訳なさそうな表情をするが、シンが苦笑いしているのを見て、関係ないと判断したのか首を傾げた。

 

「いや、アズについて行ってあげて欲しい。簡単にいえば、護衛。アズにはギアを纏う力はないけど、セレナにはあるだろ? あくまで守るだけでいいから。ただ、もしもの時はこっちも使っていい」

 

そう言って、彼は()()()()()をセレナの首にそっと掛ける。

それは間違いなく---()()()()()()()()()()()()()()だ。

 

「えっ? これって・・・」

 

「アガートラームと呼ばれるシンフォギアだ。きっと、力になってくれる。ただし、あくまでそれを使うのは最終手段。基本的にはファウストローブを纏ってくれ」

 

「アガートラーム・・・?」

 

淡々と説明するシンの言葉に、何処かで聞いたことがある単語が含まれてたのか、うーん? と首を傾げるセレナにシンがしゃがんで顔を合わせると、手を握った。

 

「ふぇ!? し、シンさん!? あ、あの・・・っ」

 

「一つ言うなら、無理はするな。もし戦うことになったとして、戦いたくないなら戦わなくていい。逃げるってのは悪いことではないんだ。セレナは人間だろ? 機械ならともかく、人間は命はひとつしかない。だから、命がある方が大切だ。・・・例外はあるが」

 

「・・・はい。私、頑張りますね!」

 

「あぁ」

 

再び、優しい表情へなったシンは素直なセレナを一度撫でる。それを気持ち良さそうにセレナは撫でられていたが、だからこそ気づかなかった。

---シンが何処か、安心したような表情になったことに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

---時刻は現在。

 

そんなこんなでアークゼロの姿で合流した彼は、ネフシュタンを纏う少女について行くことになった。

あくまで、目的の手伝いとして---

 

 

 

「---へぇ・・・その反応から察するに、あんた達はこの鎧の出自を知ってんだ?」

 

「・・・嗚呼。その鎧の事、あたし達はよぉぉぉく知っているさ。なぁ、翼」

 

「えぇ、その通りよ・・・。二年前の不始末で奪われたもの・・・私の、いえ・・・私達の不手際で失われた多くの命。それを一時だって忘れられるものかッ!」

 

二人が構える槍と刀のアームドギア、それを握る手に力が込められる。ネフシュタンの鎧は『アビス』にて厳重管理の元保管されているデュランダルと同じ、完全聖遺物の一つ。そして、二年前のあの日に消失、行方不明となっていたものだ。

あの惨劇によって、多くの罪なき人々の命が奪われた。

その後、惨劇を生き延びた生還者達がメディアの憶測によるバッシングを受けた事も当然ながら知り、罪は今も尚、彼女達の肩に重くのしかかっている。例えそれが、()()()()()()()()()()とはいえ、バッシングを受けたことには変わりはない。

だからこそ、罪を背負いながらも、今までこうしてノイズと戦ってきた。例え、自分達の存在が政府によって隠蔽されようとも。今を生きる人々に理解が届かなくても。

 

「・・・一つ問わせて貰おう。貴様らの目的はなんだ? まさか、自首しに来た訳でも、その鎧を返しに来たなどといった生ぬるい話ではないのだろう?」

 

アークゼロとネフシュタンを纏う少女。その二人に対して、防人となった翼は刀を向ける。

 

「ハッ、流石に分かるか。そうだ、アタシの目的はコイツをあんたらに返しに来た訳じゃねぇ。ソイツだよ」

 

何も答えるつもりのない無言のアークゼロはともかく、ネフシュタンの少女は嘲笑を浮かべた後、とある人物に答えだと言わんばかりに指を指し示す。ネフシュタンの少女が指を向けた先には---

 

「えっ? 私・・・?」

 

響が居た。突然の名指しで困惑する響を置いて、話は進む。

 

「何故、立花を狙っている・・・?」

 

「さぁな。アタシはコイツと協力して連れて来いって言われただけだ。それ以上の事は分からねぇよ。コイツの目的もな」

 

聞かれたことに律儀に話す少女は、アークゼロを親指で指差しながら答えていく。そんな少女に指差されても尚、アークゼロは無言で何の動作も取らない。

 

「話は終わったか」

 

しかし、突如としてアークゼロが声を発する。何の感情も込められていない、作業をする機械の如く。

ただし---そこから放たれた威圧感に、即座にこの場の誰もが臨戦態勢となる。味方であろうネフシュタンの少女ですら。

そんな緊迫な空気の中、今にもちょっとした触発で戦いの開幕が開かれるはずの均衡を破った少女が一人、この場にいた。

 

「ちょ、ちょっと待ってくださいッ! 奏さんも翼さんも、相手は同じ人間なんですよッ!? 同じ人間なら、話し合えばきっと---」

 

「「戦場(いくさば)で何を馬鹿な事をッ!」」

 

「---ッ!?」

 

人間同士で戦う所を見たくない、その一心で割って入った響は何故か声を揃えたネフシュタンの少女と翼に怒鳴られ、その身体を強ばらせる。

ちなみに、エボルはその姿を見て『やれやれ』と両手を振りながら強引に響を下がらせ、アークゼロは興味が無いのか、視線をエボルに向けるのみで反応をしない。

 

「・・・ハモったな」

 

「・・・ハモったわね」

 

先程の一言が被った事により一瞬だけ気が緩んだものの、互いに表情はすぐに戦闘時のものへと切り替わる。

そして話は終わりと言わんばかりに奏の足が地面を砕き、翼が続くように前へ出る。奏は右にいるネフシュタンの少女に、翼はアークゼロへと向かっていくが---

 

「お前に用はない」

 

「何っ!?」

 

アークゼロは攻撃を仕掛けに来た翼を軽々と避けると、ネフシュタンの少女に投げつけ、無視してエボルの元へと歩んでいく。

 

「チッ、おいッ! なんでアタシに投げた!?」

 

「・・・・・・」

 

ネフシュタンを纏う少女が飛んできた翼を避けながら文句を言うが、返事はない。

無視されたからか翼も翼で何処か怒りを込めた瞳でアークゼロを見つめるが、斬りにかからないのは奏のお陰だろう。

 

「あんたの仲間じゃないのかい?」

 

「違ぇよ。さっきも言ったが、協力しろと言われただけでアタシは何が目的なのか知らない。---本当にどいつもこいつも、アタシをイラつかせるッ!」

 

イラついた様子のネフシュタンの少女から放たれたのは、鞭。

その鞭の挙動は生き物と見間違えるくらいに不規則であり、反応した二人は紙一重で躱すも二撃目、三撃目が迫る。

エボルの強さを知る二人は、今はアークゼロよりも優先するべきは少女と判断したのか長年培われてきたコンビネーションで最小限に抑える。

そんな二人のコンビネーションを厄介だと感じたのか、少女が翼に向かって飛んで蹴りを放ち、奏が割って入って庇った。

---瞬間、とてつもない衝撃が奏を襲い、彼女を一気に数メートル先まで吹き飛ばした。

 

「奏ッ!?」

 

翼が心配する声を上げた。その視線の先には、二、三回とまるでボールのように弾み、近くの木の幹に背中から叩きつけられる奏。

すぐに起き上がることが出来たからか、翼は即座にネフシュタン少女に視線を変え、空中に飛んだ。

何故なら、鞭が飛んできたからだ。

攻撃を回避した翼は、空中で一回転して体の向きを変え、蒼い雷のようなものを剣に纏う。

 

蒼ノ一閃

 

翼から放たれたのは、強力な斬撃。明らかに生半可な相手ではあっさりとやられる一撃を、ネフシュタンの少女は不敵な笑みを浮かべ、軽々と斬撃を弾いた。

僅かに翼が驚きの表情を顕にさせるが、隙を埋めるように復帰した奏がネフシュタンの少女に槍を振り降ろす。

しかし、その攻撃をバックステップで避け、翼が着地したタイミングで二人は同時攻撃で少女に仕掛ける。

流石に同時攻撃は分が悪いはずなのだが---鞭による薙ぎ払いで二人を纏めて弾く。

 

「これが完全聖遺物のポテンシャル・・・!?」

 

「ネフシュタンだけの力だと思わないでくれよッ!」

 

翼の驚愕に反応した少女が、鞭を再び振るう。

その攻撃は簡単に避けられるが、隙が出来る。

 

「お前はコイツらの相手でもしてなッ!」

 

ネフシュタンの少女が響に視線を向けると、何かを取り出した。それは、杖のような不思議な形状をしたもの。それが光を放つと、そこからノイズが現れて響を取り囲む。

それだけで、この場にいる二人---いや、三人を除いて衝撃が走った。

 

「ノイズが・・・操られてる?」

 

「それがこの『ソロモンの杖』の力なんだよ! 雑魚は雑魚と戯れてなッ!!」

 

そう叫ぶネフシュタンの少女だが、すぐに体勢を立て直した奏と翼に接近を許す。

 

「「戦いの途中で余所見とは・・・随分と余裕があるんだなッ!!」」

 

「のぼせ上がるな、人気者共ッ! このアタシがあんた達に負ける訳がねぇからだ!」

 

再び、攻防一体の戦いを繰り広げる三人。

その一方で、現れたノイズを不慣れな動きで少しずつ響は倒していた。しかし、如何せん数が多い。

そんな時だった---

 

 

 

 

 

 

 

『アイススチーム・・・!』

 

機械から発せられた音が響き、響の周囲に居たノイズが氷を纏った剣撃によって炭化させられる。

 

「惣一おじさん!」

 

「ふぅ・・・危なかったなァ。で、お前さんは見てるだけか?」

 

周囲のノイズを片付けたエボルは、何もしないアークゼロを見つめる。

 

「・・・相手なら全力でする。お前が厄介なのには変わりないが、()()は別にある」

 

「へぇ・・・目的ってのは?」

 

「教えると思うか?」

 

「それもそうだ」

 

まるで旧友と話すように語る二人だが、当然ながらそんな関係ではない。

---瞬間、エボルが駆け出し、アークゼロが一歩も動かずに拳を突き出した。火花が散り、拳とスチームブレードと呼ばれる片手剣が衝突したのだ。

次に放たれたのは、冷気。アークゼロの拳を凍らすかの如く冷気が襲いかかるが、アークゼロは焦ることもせずに赤黒いオーラを拳に纏い、片手でスチームブレードを()()()

 

「はっ? おいおい、マジかァ!」

 

流石に予想外だったのか、驚きの様子を見せるエボル。しかし、あっさりと胸に向かって放たれた拳を叩き落とし、距離を引き離す姿は流石だろう。

 

「前戦った時とは別物じゃねぇか。騙してたってか?」

 

「・・・本来の力を引き出せないだけだ」

 

「へぇ・・・?」

 

興味深そうにアークゼロを見つめるエボル。しかし、油断をしていない。

その時だった。

 

「隙ありってな!」

 

使う暇が出来たのか、ネフシュタンの少女がソロモンの杖を響の傍に召喚し---瞬く間にダチョウのようなノイズが粘液で響を拘束した。

 

「こっちを忘れて貰っては困るなッ!」

 

「ちっ・・・!」

 

すぐに立ち向かう奏と翼の攻撃に、苛立ちを感じてるのか荒々しく防いでは反撃していくネフシュタンの少女。勝負は明らかに互角だった。

 

「ああーッ!? ・・・まぁいいかァ」

 

「えっ!? ちょ、惣一おじさん!?」

 

「大人しくしといてくれ。こういうのも経験ってやつだ」

 

アークゼロの相手をしてる間に拘束された響を見て、エボルはあちゃーと仰ぐが、ノイズがそれ以上何もしないのを見たからか慌てる響にヒラヒラと手を振った。

 

「それで? 目的は?」

 

「語る必要はない---すぐに判明する。私の予測通りならば、な」

 

「そうかい・・・だったら、素顔でも見させて貰おうか!」

 

新たに生成したのか、再びスチームブレードを構えて突撃していくエボル。

そんなエボル相手にアークゼロもアタッシュカリバーのブレードモードで受け止め、エボルの横腹を蹴り、吹き飛ばした。

 

「うおっ・・・なるほどなァ。これは分が悪いか?」

 

「・・・・・・」

 

アークゼロは特に動かず、ただただ不気味にエボルを見つめるが、ふと響に視線を移すとアタッシュカリバーを消してアタッシュアローに変え、矢を放つ動作をした。

 

『フルボトル!』

 

『スチームアタック!』

 

矢を放たれた瞬間、響の前に現れた()()()()()()()()が矢を防ぐ。

原因は、トランスチームガンと呼ばれる銃を手に持つエボルが防いだからだ。

 

「・・・やはり、面倒だ」

 

アークゼロが何処か心底面倒そうに視線を変え、瞬時にエボルの懐へ入る。

 

「おっ!?」

 

反応したエボルが片手で拳を受け止めるが、威力が高いのかエボルの足元が僅かに地面から離れる。すると、一度拳を引いたアークゼロが再び拳を突き出して右、左、右、左とガトリングの如く連打を与える。

次第に受け止めきれなくなったのか、エボルが吹っ飛んだ。

 

「やるねェ・・・俺が戦ってきた中でも、お前さんは上位に入るな」

 

すぐに復帰したエボルだったが、ダメージは通っていたのか胸辺りを摩っている。

 

「無駄に硬いようだな」

 

「生憎、そう簡単に負けると顔向け出来なくなるやつが居るんでね」

 

『ライフルモード!』

 

『フルボトル!』

 

何処からともなく、青いボトルのようなものを取り出したエボルがトランスチームガンとスチームブレードを合体させてライフルモードに。

そこにフルボトルと呼ばれるものをスロットに挿入すると、引き金を引いた。

 

『スチームアタック!』

 

放たれたのは、大砲。『戦車(タンク)』のような砲撃が、アークゼロに迫る。そんな砲撃に対し、アークゼロは手を翳すだけ。

それだけで、あっさりと打ち消された。

 

「それだけだと思うなよ?」

 

エボルの声が聞こえると、赤い光弾が放たれる。それを腹に受けたアークゼロだったが、ダメージに堪えるように腹を抑え、アタッシュカリバーを手に瞬時に斬りかかり---

 

「・・・時間切れだな」

 

アークゼロが呟いた瞬間、エボルはアタッシュカリバーを握り締めていた。

 

「・・・そういうことかァ。お前、制限か何か付けられているな?」

 

「・・・」

 

何かに気づき、納得した様子のエボルが、アークゼロへ声を掛ける。

その問いには、図星と言わんばかりに返事をしない。

 

「沈黙は肯定ってやつだ。さっきの全力を引き出せないという発言、それはどう考えても()()()している」

 

「・・・そうだとして、お前に何が出来る?」

 

強まる力。エボルが握り締めているはずの手は、あまりにもの威力に火花が出ているほどに。

 

「まァ・・・すぐに倒すことは不可能だろうなァ。だが見た感じ、()()されていて、これだろう? そして時間切れと全力で相手するという言葉。()()()()()()実力が()()()()()()()()()、違うか?」

 

「・・・そうだ、それが()()()()()()()()出せる()()()()。お前も同じだろ? それが全力である筈がない。だが、何故わかった?」

 

アークゼロが武器を消して距離を離すと、今までの機械的な状態から少し認めるような感情の乗った言葉が発せられた。

 

「速度や威力が突如下がれば、バカでも分かる。後はお前の言葉さえ整理すれば、それがブラフじゃないこともな」

 

自身が全力かどうかは答えず、エボルは問いかけに答える。

アークゼロはそんな姿を見て確信したように顎を引くが、言葉に出すことは無かった。

 

「そうか」

 

ただ一つ、呟かれた言葉は感情の込められていない言葉。

 

「さて、どうする? 正直、お前の方が不利だと思うが?」

 

「・・・前提を書き換え、結論を予測し直した」

 

「何?」

 

感情の込められていない言葉を気にせず、聞いて返ってきた言葉は、理解に苦しむ言葉。

エボルは中で怪訝そうな表情をしているのか、発言の意味を見抜こうと見つめる。

 

『" Progrise key confirmed. Ready to utilize." 』

 

しかし、アークゼロはいつの間にか作成したのか手にしていたアタッシュカリバーに()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を挿し込んでいた。

 

シャイニングホッパーズアビリティ!

 

アークゼロの禍々しさを現す黒い肉体などには不釣り合いな光り輝くエネルギーを、稲妻の如くアタッシュカリバーが纏う。

 

シャイニングカバンストラッシュ!

 

アークゼロがトリガーのようなものを押した瞬間、光の斬撃が複数エボルへと向かった。

 

コブラ!

 

『スチームショット!』

 

それに気づいたエボルは、即座に手に待つライフルモードとした武器にコブラエボルボトルをスロットに挿し込み、トリガーを放つことで相殺する。

 

「んん?」

 

しかし、その際の爆風が消えると、アークゼロの姿は何処にもなく---

 

「・・・仕方がないかァ」

 

諦めたようにため息を吐くと、後ろを見ずに響を拘束していた二体のノイズに撃ち、炭化させた。

その時だった---

 

 

 

 

 

 

 

 

『---Gatrandis babel ziggurat edenal』

 

「・・・歌?」

 

呆然としている響の耳に、懐かしい歌が聞こえたのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆

 

 

少し時は遡り---

 

「なぁ・・・再生って狡くないか?」

 

「あれが、ネフシュタンの能力見たいね・・・」

 

奏と翼は二人がかりでネフシュタンの鎧を纏う少女と戦っていた。しかし、向こうは傷などが再生しており、此方は傷がつく一方。

何よりも、翼はともかく奏には()()()()という概念がある。

正式な装者ではない奏は『LiNKER』と呼ばれる制御薬にて無理矢理引き上げている。だからこそ、二年前よりも融合係数が上がってるとはいえ、時間があることに変わりはなかった。

そして翼も翼で、体力の限界が近かった。

当たり前だ、少女にはノイズを呼び出せる『ソロモンの杖』があるのだから。この二人にノイズは無視することなど、出来はしない。

 

「悪いが、そろそろ終わらせてもらうぜ?」

 

だが、少女も少女で()()という力に負担がないという訳では無かった。

その為、少女は終わらせようと鞭の先に白い玉に黒い稲妻があるエネルギーを集めている。

 

「こうなったら、()()を使うしか・・・」

 

「奏? アレって・・・まさか!? それなら私の方が---ッ!」

 

少女が力を貯めていることに気づくと、奏は小さな声で呟く。

それを理解した翼は、自分の方がマシだと引き受けようとするが、奏は首を横に振る。

 

「翼は今倒れたらダメだ。響の面倒を見ないとだし、残るのは限られた中でしか戦えないあたしより翼の方がいい。大丈夫だって、今なら死ぬことはないしさ」

 

「でも・・・」

 

「それとも、あたしを信じられないか? 死ぬためにやるわけじゃないんだ・・・まだ、翼と歌いたいしな」

 

奏から翼に向けられた瞳は、真剣な(まなこ)。ただし、その瞳の中には『死ぬ』覚悟など一切なかった。そこに込められているのは、信頼と覚悟。

 

「・・・」

 

それを受け止めた翼は、心配と躊躇い---だが、時間が無いことは理解してたのか、渋々と頷いて少女の方向へ向くと、小刀を持つ。

そんな姿に、奏は微笑む。感謝するように。

 

「覚悟は決まったか? だったら、これでおしまいだッ!」

 

NIRVANA GEDON

 

放たれるのは、巨大なエネルギー弾。そこに込められているエネルギーはかなりのものだと言うことは想像出来る。

それを前にして槍を構える奏の前に、翼が出ると大型の剣へと変えて剣腹で受け止める。

 

「ちょっせぇ!」

 

受け止めている翼に対し、ネフシュタンの鎧を纏う少女は押し込むようにもう一発放つ。受け止めきれないと即座に理解した翼は奏に視線を向け、奏が跳躍した。

同時に爆発が起こり、翼は吹き飛んでいくが信頼してるのか、奏が振り向くことはなく---

 

「ッ!?」

 

ネフシュタン鎧の纏う少女が驚き、鞭を()()()()()()()横に薙ぎ払う。

何故なら、吹き飛ぶ寸前に翼が小刀を投げていたからだ。三本投げたうち、二本はどこかへ弾かれ、一本はネフシュタンを纏う少女の後ろに弾かれた。

 

「ハッ、無駄だ! あんたもこれで---ッ?」

 

「気がついたみたいだな!」

 

奏がネフシュタンを纏う少女の前に着地すると、ネフシュタンを纏う少女は攻撃のチャンスがある奏に攻撃をしない---いや、出来なかった。

 

「なっ・・・動けねぇ・・・!?」

 

それに気づいた少女はハッ、と気づき、ふと後ろを見ると先ほど弾いたはずの小刀が地面に刺さり、少女の影を刺していた。

 

影縫い

 

「こんなもんでアタシの動きを・・・けど、封じたとしてたった一人で何が出来るッ!?」

 

「確かに、その通りだ。だから決着を付けようか---空が覆われる前に」

 

鎧がある限り、少女を追い詰めることは出来ない。

奏もそれは理解出来ており、ゆっくりとだが、歩みを進めた。

 

「まさか、お前・・・絶唱を・・・!? そんなことしたら、お前もタダでは---」

 

『---Gatrandis babel ziggurat edenal』

 

武器を向けず、歩んでくる姿から察したのか顔を驚愕に染める少女の言葉に返事せず、奏は歌う。

 

『Emustolronzen fine el baral zizzl---』

 

慌てるように手を動かし、ソロモンの杖を手にした少女は杖からノイズを生み出す。

 

『Gatrandis babel ziggurat edenal---』

 

しかし、奏は警戒するように槍を構えるだけで、歌うことをやめなかった。

その間に少女はなんとか抜け出そうと足を必死に動かそうするが、小刀が取れることは無い。

 

「く、クソッ! どうすれば・・・!?」

 

瞬間、焦るように動こうとしていた少女は驚く。

何故なら、赤黒いエネルギーが抑えていた小刀を何処かへ吹き飛ばしたのだから。

奏もそれに気づいたのか、周囲を即座に見渡し---少女と同じく犯人に驚きながらも最後の詠唱を、歌った。

 

『Emustolronzen fine el zizzl---』

 

「いけ」

 

「お前ッ!? 今まで・・・ッ」

 

少女を庇うように降り立ったのは、仮面を纏い、禍々しさだけを感じさせる---アークゼロだ。

急に助けられ、理解出来ないといった表情をする少女に対し、機械的に呟かれた『いけ』という言葉。逃げろ、という意味を込められているのに気づいたのか少女は、言いたいことを我慢するように歯軋りをしながら、言われた通りに飛んでいく。

 

「ぐっ・・・!?」

 

一方で、奏が歌い切ったのは、絶唱。奥の手と言える諸刃の剣であり、発動条件が完了した奏の肉体をバックファイアが襲いかかり、口元から血を流していた。

当然、少女が逃げていくのが見えた奏は負荷に耐えながらアークゼロを睨み、槍を向けた。

そこから放たれるのは、竜巻と炎。二つの性質が融合し、凄まじい威力を物語るように周囲のノイズが衝撃波だけで炭化する。

それを見たアークゼロは、悪意のオーラを身に纏いながら突っ込み、奏は槍を振り下ろす。そしてアークゼロは、()()()()()()()

 

「っ・・・予測通りの、結論だ」

 

「なっ・・・お前。何を---ッ!?」

 

瞬間、竜巻と炎だけではなく、絶唱によるエネルギー波が周囲を巻き込み、アークゼロは手を伸ばして---エネルギー波と共に何処かへ吹き飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

---そこに残ったのは、唖然とした表情をする奏のみであり、彼女は槍を地面に刺して倒れ込む。

 

「う・・・はっ!? 奏ッ!」

 

すると、衝撃波で目覚めたのか起き上がった翼は慌てて奏の傍に寄る。

 

「奏、奏・・・! 大丈夫!?」

 

「あ、あぁ・・・なんとか」

 

体を揺すられると、()()()()()があるが、意識がある奏は返事しつつ困惑した表情をしていた。

 

「良かった・・・! 絶唱は歌わなかったんだ・・・」

 

「いや、あたしは---」

 

歌ったはず、と発言しようとしたが、心配するような明るい声が響く。

奏たちが視線を移すと、駆け寄ってくる響と歩いてきたエボルが居た。

 

「奏さん! 翼さん!」

 

「・・・」

 

響が奏と翼を心配して話してる中、まるで、思考するかのようにアークゼロが吹き飛んで行った場所を見つめるエボル。

 

「アイツ、まさか奏を---?」

 

何かに気づき、小さな声で呟かれたエボルの声は風に乗って消えた---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆

 

 

「ガハッ!? うっ・・・いっ・・・つつ」

 

先ほど奏の絶唱をまともに受け、シンは木に体を思い切り打ち付けていた。そこに彼を守るための装甲も、仮面もない。

 

「げほ・・・あぁ、これやったかもなぁ・・・」

 

軽く口から血を吐きつつ、彼は苦笑いをしながら背中を木に預けた。

 

「---見つけましたッ!」

 

痛みでか空を見上げていたシンは暫くすると、可愛いらしい声が響いて視線を横に向けた。

そこには、ほっとした表情で見つめるセレナの姿があった。身に纏っているものは、シンフォギアに近い。

 

「・・・終わったのか?」

 

「はい。愛乃姉さんも少ししたら来ると思いますけど、何事もなく終わりました」

 

「そうか」

 

心配していたのか、息を吐いたシンにセレナは笑みを浮かべ---固まった。

 

「・・・ん?」

 

シンが気づくと、首を傾げる。セレナの表情はみるみる笑顔から無表情へ変わっていき---物凄い速度でシンに近づいた。

・・・彼ですら見えないレベルで。

 

「け、怪我してるじゃないですか! また、無茶したんですか・・・!?」

 

「・・・あー、言ってなかったか。それを込みで実行したんだが」

 

「聞いてないですよっ!? どうしてそこまで---ん」

 

セレナの表情がだんだんと悲しそうな表情へとなっていくが、シンはセレナを撫で、少しふらつきながら立ち上がった。

 

「・・・オレは()()()なモノだからな。ヤツを抑えるために本来の力を使うと、こうなることくらい予測済みだ。だが、オレは天羽奏に絶唱を使()()()()()()があった。・・・後は---」

 

「大丈夫よ、成功したみたい」

 

セレナに今更ながら話していると、シンの言葉を遮っていつの間にか現れたアズが報告する。

 

「・・・絶唱の負荷は?」

 

「最小限って感じ? 次からは酷いだろうけど・・・使っても、正式な装者と同じくらいで済むと思う。・・・アークさまのこと以外、全然知らないから分からないけど」

 

「そうか。なら、良い」

 

アズの報告を聞いて頷いたシンは、気づかれないようにエボルの攻撃を受けた腹を自然と抑えた。

しかし、血が付着してるのは誤魔化せないようで、にっこりとした笑顔をアズはシンに向ける。

 

「・・・アークさま、それよりも無理しないでって言ったよね?」

 

「・・・」

 

思わず無言となるが、シンは目を逸らすのみ。その先にはセレナか居たのだが、普段も優しい彼女ですら、じーっと非難を込めた瞳で見つめている。

 

「・・・私、アークさまの為なら、何でもするけど無茶はしないで? あと、他の女に色目を使うのもダメ。さっきの行動、理解はしてるけど今も嫉妬しちゃってるのよ? アークさまは自分の為だけに生きてくれたら良いのに、誰かの為に行動しなくていいの。・・・何があっても私だけは死んでも傍に居るのに。・・・じゃないと、どうせアークさまはいつか、居なくなっちゃうじゃない・・・

 

アズは何処か、悲しみに溢れるような、怒りや不安・・・といった様々な表情を浮かべる。

 

「・・・何か、悪い」

 

「・・・分かってくれたらいいの。うん、じゃあ行こっか。アークさま、セレナ」

 

「シンさん、私もしっ---怒ってますからね?」

 

「・・・今度埋め合わせするから、勘弁してくれ」

 

いくら人類の敵と言えど、変身さえしなければ錬金術師のような特異な力が僅かに使える人間。

だが、怒らせた女性にはやはり敵わないらしく、シンは先に行く二人を見つめる。

そんな彼の足元には黒い沼と悪意の文字が浮かんでいた。

 

「・・・好意、か。オレには受ける資格など---」

 

「アークさま?」

 

「シンさん、もしかしてお怪我が・・・?」

 

止まったシンを心配してか、二人が駆け寄る。

足元の沼と悪意の文字を消したシンは首を横に振り、歩みを進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆

 

 

---ある山奥にある豪邸ともいえる場所に、少女は居た。

赤いドレスに身を包む白髪の女の子だ。彼女こそ、ネフシュタンの鎧を纏っていた少女。

 

「フィーネは?」

 

そんな彼女は、近くにいる存在に話しかける。

 

「居ないよ。まだ戻ってきてないんだと思う。それより・・・クリス。大丈夫だった?」

 

「あたしがあんな奴らに負けるかよ」

 

彼女の名前は、クリス。『雪音クリス』という名前。

そんな少女を心配する男の声があるが、彼女はそっぽ向いて答える。

しかし、その態度を取る彼女に男は安心したように息を吐いた。

 

「よかった」

 

「そっちは平気だったのか? 何かに襲われたりとか---」

 

「してないよ、大丈夫。心配してくれてありがとう」

 

「う・・・そ、それならいいんだよッ」

 

照れているのか、顔を赤めたクリスはズカズカと奥へ歩みを進めていく。

そんなクリスに、男はあはは、と無邪気さを含む表情で笑っていた。

 

「・・・どうしたら、いいんだろうな」

 

ふと無表情へと変わると、男は懐から二つのアイテムを取り出す

それは、()()()と---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、何やってんだ? 先行ってるぞ---()

 

「あぁ、ごめん! 今行く!」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だった。

クリスに呼ばれ、返事した男---迅は隠すように懐に収納し、彼女に追いつく。

 

 

 






〇偽名:亜無威 (アムイ) (シン)
本名:アーク(?)
補足:本来の力=アークゼロの本来のスペックやら力。しかし、切れると半減状態からより弱体化する。直で受けたのでシンフォギアの絶唱で変身解除された。


〇偽名:鶴嶋(ツルシマ)愛乃(アイ)
本名:アズ
ちょーっと不穏になってきた気がする。何気に彼女が一、二を争うイレギュラーかもしれない。でもヤンデレ要素あんま出してねぇな・・・もっと出したいぜ

〇セレナ・カデンツヴァナ・イヴ
(シンくんの名誉の為に言うと、利用されてるわけでは)ないです。
詳しくは一期終わったら分かると思う。
でも、シンくんが見えないスピードとかバケモンだぜ?コイツ・・・。ついでに現在アガートラーム有り

〇立花響
エボルトォ!に見捨てられた子

〇天羽奏
絶唱の負荷が何故しょぼかったのかは次回分かる。
絶唱技はオリジナル

〇風鳴翼
頑張ったけど、此方では絶唱は発動しなかった。少しは読者様を騙せたかな?

〇エボルト
エボルトォォォオオオオオォォ!!(いつもの)
一人だけ何やら、気づいた様子。流石に2%だと二回戦目で、その上本来のスペック持ちアーク様には(カタログで負けてるし)押される。

セレナァァアアアアアァアァ!!(大人セレナだとアルトくんの歳上になっちゃうので少女版)生存させるか

  • 生存させろ
  • (しなくて)いいです
  • アークの意志のままに・・・
  • アークワンはよ
  • (いっそヒロインにしても)ええんやで
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