戦姫予測シンフォギア 〜未来へのREAL×EYEZ〜   作:絆蛙

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スーパーヒーロー戦記とかジオウ小説とか色々言いたいことはあるんですけど、長くなるのでやめておきます。
本題に入ると、今回はオリジナル回になります。というのも、セレナ出してるのに何もしなければ意味ありませんからね。二期に繋がるんじゃないかな・・・(瞬瞬必生精神なので何も後のことを考えていない)
ただひとつ、分かることはありました。---マシで感想ってかなりやる気に繋がってたのか。いや、言い訳させてもらうとっ! 勉強はしてましたよ? 他者の小説を読むという勉強を!
でもそのせいか、なんかまた書き方変わってんだよな・・・何故だ? 私的には今回の方が好きですけど()
ということでほんへ、どうぞ。





第十五話 ワタシのヒーロー

 

 

 

今日も私は朝食を作ったり、作りに行ったりします。

家事などは私の仕事で、シンさんは師匠の所にいるか、何処かに出掛けてますし。

愛乃姉さんはシンさんの傍にいつもいます。

・・・私も本当はシンさんについて行きたいのですが、我儘は言えません。

ただ昨日は珍しくシンさん一人で帰ってきて、疲れていたのかすぐに寝ていた。

私は洗濯などを済ませるとシンさんの傍に居ましたけど、シンさんって寝てる時は本当に無防備なんですよね。普段はかっこいいのに、寝顔は可愛いです。

ただ起きると私に一言掛けてから慌てて何処かに行く姿がありました。言ってくだされば、起こしたのですが・・・。

 

今日も今日とて、シンさんと愛乃姉さんは居ないです。学校なので、それは仕方がないです。

私は部屋の中などを掃除していると、テーブルに視線が行きました。

そこには、今朝作った弁当が置かれています。

・・・シンさん、忘れたみたいです。最近は色々な所に行ってるようなので、余裕がない、とか? 前だって師匠から錬金術に必要だからと何らかの動物っぽいものの毛皮を取ってきて欲しいとか頼まれてました。

私も錬金術は師匠から習ってますけど、最近なので勉強中であまり使えません。

 

とりあえず学校に届けるべきですよね・・・。忙しいならご飯は大事ですから。あまり一人で外出しないように言われてますけど、仕方がないと思います。

 

「よし!」

 

そうと決まれば、早速服を着替えます。

もちろん、外出用です。私はただでさえ身長が低いので少しでもアピールしないと妹みたいに思われそうです。大きくなったら、愛乃姉さんみたいになれるでしょうか。

愛乃姉さんは私にとって、血は繋がってないですがお姉さんです。可愛くて、綺麗で、素敵な女性。

シンさんのことになると周りが見えなくなったりしますけど、気持ちは分かります。ですけど、シンさんのことになると凄く可愛いんです。

でも普段は優しくて暖かくて、姉のような感じがするので愛乃姉さん。

積極的な所は私も参考にしたいです。

 

服を着替え終えて鞄を持ち、必要なものを入れると部屋を出て玄関に。

そして靴を履くと、家を出て鍵をしっかり閉める。

 

シンさん曰く、許可した知り合い以外が勝手に入ったらアークの力でどうなるか分からない。とよく分からないことを言ってましたが、念の為です。

 

それから以前教えられた学校への道に歩みを進める。

全く来たことがないため、新鮮さを感じて周囲を少し見渡しながら歩いていると何処か観光してるような気分になってくる。

 

「・・・あれ?」

 

しばらく歩くと、違和感を感じる。

慌てて周囲を見渡すと、学校が見えずに首を傾げる。

確か言われた場所はこっちだったような・・・? もしかしてこっち? それとも向こう? 

 

「・・・どうしよう」

 

道が分からなくて、迷子になりました。

とりあえず連絡しようと鞄に手を入れると、携帯が見つからない。

となると、家に置いてきたのだと理解して焦りが出てきた。

一応帰るためのテレポートジェムはあるけれど、こんなことに使ったら少し恥ずかしい。

周りにいる人に聞くのもありかと思っても、大人の人に聞く勇気は持てなかった。

それにシンさんからあまり知らない人に不用心に近づくなとも言われています。理由を聞けば、『アズやセレナは特に考えを持っていた方がいい』と言ってましたけど、よく分かりませんでした。

とにかく来た道を戻り、再び周囲を見渡す。それから別の道を歩き出してみると---

 

「わぷっ」

 

「あっ、ごめんなさい! 大丈夫? 怪我とかしてない?」

 

横路から出てきた女性とぶつかってしまう。

慌てて謝ろうとするより先に向こうから謝られてしまったので言い出しにくく、とりあえず怪我はしていない事を説明すると、安心したかのように息を吐いた。

 

「良かったぁ・・・。急に飛び出しちゃって、ごめんね」

 

「い、いえ。こちらこそごめんなさい」

 

二度も謝られてしまったので、私も謝る。

流石に相手に謝って貰うのは申し訳がない。いくら迷子に---なってたとはいえ。とりあえず公衆電話か何処かでシンさんに連絡しないと・・・。うぅ、力になるところが、迷惑を掛けることになりそうです。

 

「えっと・・・間違ってたらごめんね。もしかして、迷子かな? 良かったら私も一緒に探してあげる」

 

「あ・・・ちが---いえ、そのちょっと道がわからなくて・・・」

 

思わず見栄を貼りそうになり、すぐに修正する。

正直、今会ったばかりの人を頼るのはどうかと思うけど、シンさんに向かいに来て貰う訳にはいかないので素直に言うことにした。

それに、目の前にいる優しそうな女性の好意を無下には出来ないので、甘えることにする。

 

「それなら道案内してあげるよ。安心してね」

 

「あ、ありがとうございます。えっと---」

 

視線を合わせて優しく微笑んでくれる女性。

どうして親切にしてくれるのかな、という考えが過ぎるが、頭を振って考えを無くす。もしもの時は逃げるけど、親切な人にそれは失礼だったから考えないようにした。

そして感謝して礼を言おうとすると名前が分からないことに気づく。

 

「あ、私の名前は小日向未来。友達からはヒナだったり未来って呼ばれてるけど、好きに呼んでいいからね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

未来と名乗った女性の道案内でシンさんがいる学校に向かってる最中、私は嘘をつくことに罪悪感を感じつつ、本音も混ぜて話す。

 

「シアちゃんはこの街に初めて来たんだ」

 

「はい。今お世話になってる人の所にお弁当を届けようとして道が分からなくなっていたんです」

 

シンさん自身も偽名を使ってることから、知られるとなにかマズイのかと思った私は名前を聞かれた際に慌ててシアと名乗った。

シンさんの『シ』と愛乃姉さんの『ア』から借りた名前だけど私がセレナだってことは分からないと思う。

 

「偉いね」

 

「そうでしょうか・・・?」

 

私が偉いと言われたことに疑問で返すと、未来お姉さんは頷いてくれた。

流石に少し照れるので、笑顔で返す。

ちなみに今、手を握られた状態なので迷子の子供みたいに見えるかもしれない。

 

「あそこかな?」

 

「あっ、そうです!」

 

未来お姉さんが指を差すと、シンさんから聞いた特徴の校舎が見えて頷く。

時刻はそろそろ昼食の頃なので、間に合ってよかったと安心する。

そういえば未来お姉さんは学校大丈夫なのかと考えるが、昼前に終わったのかもしれない。

とにかくお礼を言うと、学校が違うので待ってるという未来お姉さんに頭を下げて入っていった---。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

自身をシアと名乗った少女をお世話になっている人がいるという学校へ届けた未来は、関係者ではないので入る訳にも行かずに()()()()()()()()として鞄に掛けている()()()()()()()に触れながら待っていた。

すると、騒がしくなったかと思えば唐突に静まり、未来お姉さんと呼ぶ声が聞こえて慌てて鞄の中に収納してから体を向ける。

 

「お待たせしました」

 

そこにはぺこりと頭を下げるシアの姿がある。

 

「しっかり届けられた?」

 

「はい!」

 

「そっか」

 

未来の疑問に嬉しそうに答えるシア。

未来は何処か自分自身と親友に似た感じがするシアに安堵しながら慈愛の籠った眼差しで見つめた。

 

「? あの、何か付いてますか?」

 

「あっ、ううん。なんでもないよ」

 

一瞬、未来は目の前にいる少女に自身を重ね、行方不明のままで想いすら伝えれない()の姿を考えたが、悟られないように首を振って密かに少女を応援しておくことにした。

 

「なら、いいのですが・・・」

 

とりあえず目的は達成したため、二人は今からどうするか相談する。

何処に行くか、それとも道が分かるところまで行くか、等など。

しかし時間的には昼食ときで、互いにお腹が空いてきていることを共有する。

すると未来が美味しくてよく食べに行くところがあるから行かないかと誘った。

シアは邪魔でならないなら、と承諾し、お店の名を聞く。

そのお店の名は『ふらわー』という名で、お好み焼き屋なのだという。商店街の一角にあるお店とのことで、二人は商店街へ向かうことにした。

 

「未来お姉さんはよく商店街に行くんですか?」

 

「うん。場所的にね」

 

「なるほど・・・」

 

他愛もない話をしていると、いつの間にか商店街へ辿り着いていた。

そのままお店へ向かい、それらしきものが見えてきた。

本来なら、お店の中でご飯を食べて、話して、解散になるはずだった。

 

 

 

 

 

 

---だが、それは突如として鳴り響く。

この地域全体に鳴り響きそうな程に高々と鳴り響く警報。

未来は全身を硬直させ、シアは理解できない様子でその音に驚愕していた。

 

「あの、この音は一体・・・?」

 

シアの純粋な問い。

それに対して未来はただシアの手を強く握り、そして駆け始めた。

 

「知らないの!? ノイズ警報だよ! はやくシェルターに逃げないと・・・!」

 

必死に手を引っ張ってシェルターに一緒に逃げようとする未来と慌ただしくシェルターに行こうとする周囲の人々を見て、シアは見渡す。

誰もが恐怖の対象であるノイズの出現に様々な感情を顕にしている。恐怖、絶望、怒り、焦燥、不安---。

そんな中、シアは悩んでいる暇はないと小さな声で謝り、未来の手を離した。

未来は突然手から温もりが無くなることで戸惑いの声を漏らす。すぐに振り向くと姿を見ることは出来たがシェルター目掛けて増えていく人混みの中に埋もれるようにして消えていき、シアは流されないように横路に姿を隠した。

 

「どうしましょう・・・」

 

人が一人も居なくなった商店街で、一人シア---セレナは考える。

渡されたシンフォギアを纏うことやファウストローブを纏えばノイズを倒すことは出来る。しかし、その際に出してしまう波長で影響を与えてしまうかもしれないと考えると考え無しに纏うことは出来ない。

そもそもの問題、自分にはノイズの位置が分からないために対処法がないことに気づく。

 

「・・・?」

 

結局振り出しに戻ったと思うと、ふと視界の隅に入ったのは炭。

風に漂うように視界に入ったそれを自然に追いかけていき---

 

『----』

 

数多くある炭の中を歩くノイズの姿がそこにあった。

色とりどりで様々な形状を持つノイズ。

ノイズもセレナがいることに気づいたのか、顔らしき箇所をセレナに向け---

 

「ッ!?」

 

紐状となったノイズが凄まじい速度でセレナに突撃する。

それを反応したセレナは即座に避けて胸元からペンダントを取り出し、触れる。

 

「・・・ダメ。出来ませんッ!」

 

セレナの胸に浮かぶ歌。それを口に出してしまえば、間違いなく目の前のノイズは倒せる。

だがセレナにその選択は出来ずに、ならば、と邪魔にならないよう胸元にペンダントを入れながら人々が逃げていった所に向かわせないように別方面へと走り、逃げようとする。

当然、ノイズは目の前の何も出来ない一人の少女を狙おうと追っていくが、セレナは計算のうちに入れながら商店街からノイズを引き付けて離れさせようとしていた。

その行動は誰から見ても、無茶で無謀な行動。一人の小さな少女がノイズ相手に逃げれるのであれば、誰も苦労はしない。

それでもセレナには戦うための手段を持ちながらも、纏うことは出来なかった。

そんな時、ギアがダメならファウストローブなら? と考える---が、シャトーの中にあることを思い出したセレナは使えないと判断し、己の体力が持つ限り諦めずに足を動かす。

同時に、ノイズに触れないように最大限に警戒しながらセレナは状況を打破するために思考していた。

ファウストローブはシンフォギアを元にしているため、アウフヴァッヘン波形が出てしまうとシンに説明されたことを思い出す。

だからこそ、シャトー内部かアークの力を持つシンが居なければ誤魔化すことも使うことも不可。何故なら、彼らが敵対関係にある組織に見つかってしまうから。

そして、ある物を使えば()()()()()()逃げることは可能だと理解していた。

だが、そうすれば自分を見失ったノイズは手当り次第に移動して、見つけ次第誰かを炭化させるのだろうということは想像に容易い。

しかしそれはそれで、自分の体力もあまり長くはなく---

 

「きゃああぁあぁぁ!」

 

「ッ!?」

 

いつの間にか路地から出てきたセレナは、小さな子供の声らしきものが耳に届く。

瞬時に足を止めてノイズの位置を確認。まだ距離があると理解すると周囲を探す。

 

「ひっ・・・」

 

周囲を見渡すと、お店の看板に隠れるように地面に座り込んでいる少女が居た。

ノイズが近くにいる恐怖からか、涙を流している。

何故一人で居るのか? 母親はいないのか? 他に家族は? などと言った思考がセレナの脳裏を一瞬だけ過ぎるが、考えてる暇もなくセレナは少女の手を取った。

 

「こっちです!」

 

「ぁぇ・・・!?」

 

セレナに引っ張られる形で、少女が足を動かす。

その時に気づかれたのかノイズが突撃してくるが、曲がり角のお陰で難を逃れる。

それでも追ってくることは予想出来るようでセレナは足を止めずに少女に声を掛けていた。

 

「大丈夫。絶対、貴女をお母さんの元に返しますから!」

 

「お、おねえちゃん・・・う、うん!」

 

「ッ---?」

 

一瞬。ほんの一瞬の出来事。

ほんの僅か、数秒にも満たない刹那。

遠いような、懐かしいような、昔のような、大切なような記憶が脳内を駆け巡った。

 

『----さん。私たち、どうなのかな・・・』

 

『大丈夫---には私が居るから・・・』

 

「おねえちゃん・・・?」

 

「ぁ・・・ごめんなさい。私は平気だから」

 

慌ててそんな場合ではないと頭を振り、浮かんだことを忘れる。

そしてセレナは走りながら背後を見る。

少女の後ろにもノイズは居なくて、周囲にも居ない。

 

(撒けた? それとも他のところに?) 

 

そんなふうに追ってこないノイズにセレナが疑問を抱くと、嫌な予感を感じ取って上空を見た。

 

「まさか、上ッ!?」

 

セレナは太陽を遮られ、夜でもないのに暗くなったのに違和感を感じるとノイズがプレスするように落下してくるのが見えた。

恐らく、家やマンションなどを使って回り込んできたのだと理解すると少女を抱いて横に飛ぶ。

ノイズによる一撃で地面は砕かれるがセレナたちは広い場所に出た---いや、出されたの方が正しい。

倒れてる少女を優しく起き上がらせると逃げようとするが、次々とノイズは囲むようにして逃げ場を防ぐ。

人間の身で触れられないことから、正面突破は不可。

周りは既に囲まれていて、そう遠くない時間にノイズは襲いかかってくるだろう。

 

「お、おねえちゃん。こわいよぉ・・・」

 

涙を貯め、セレナの裾を掴んでくっつく少女。

そんな少女を見て、セレナは迷うことも無く覚悟を決めて胸元のペンダントを取り出した。

 

「泣かないで。私が必ず助けますから・・・! ごめんなさい、シンさん・・・!

 

少女を安心させるように頭を撫でると、小声で謝ったセレナは力強く握りしめ、口ずさむ---

 

Seilien coffin airge---

 

「必要ない」

 

声が響く。

どこからとも無く響いた声。ノイズたちの足元を()()()()()が通り過ぎ、セレナたちの前方にいるノイズを拘束して次々と上空に縛り上げる。

見覚えのあるものにセレナは驚き、振り向いた。

 

「やっと追いついた。流石に監視カメラを全て消しながら追うのは苦労させられた」

 

やった犯人の声は間違いなくセレナたちの背後から聞こえた。

その主を探そうとするが、ノイズが邪魔で見えない。

ただひとつ、分かることはノイズは()()を見つけた。囲んだ獲物より愚かなことに近くに来た存在を優先し、セレナたちの背後にいたノイズたちは一斉に飛びかかった。

そのお陰で姿が見える。冬でもないのに黒いフード付きのパーカーを着こなし、フードで顔を隠している声からして男の声。

セレナは聞きなれている声に安心と喜びを含む表情を見せる。

 

「フィーネが操ってると考えたが、こんな使い方はしない。自然発生か? それとも、錬金術・・・? いや、()()()()はこんなことをするはずがない」

 

「お、おにいちゃん!」

 

災害であるノイズが迫っているというのに、何も行動せずに独り言を言う姿に少女がこれから訪れるであろう光景に目を閉じた。

 

「残念ながら、予測済みだ。ただの自然発生ならば興味はない」

 

まるで未来(みらい)でも一度見たかのように避けていき、片手を振るうと波動が発生して避けきれないノイズを吹き飛ばす。

 

()()()だと生身では倒せないか・・・」

 

「シンさん!」

 

普通は出来ないことを小声で呟いた男、シンは嬉しそうにセレナに名を呼ばれた。シンはセレナを見て、隣の少女を見ると目の前までノイズを吹き飛ばしながら行く。

 

「悪い、遅れた。・・・もう大丈夫だから、安心して欲しい」

 

セレナに一度目を向けてからしゃがんで少女に目を合わせて言う。

その時、警戒させないためかフードを外した。

フードが外れると顕になったのは年老いた訳でもないからか日本では珍しい綺麗な白髪の髪に、赤い瞳。整った顔。

フードを取ったシンは安心させるように笑いかけ、少女の頭を撫でた。

シンの素顔を見て固まっていた少女は撫でられて気がついたのか恐怖を感じていた表情から笑顔になり、こくりと頷くのを見たシンは立ち上がってセレナと少女を後ろに下げる。

そして腰には突如現れたドライバーが巻き付けられていた。

 

アークドライバー・・・

 

「変身」

 

慣れている動作なのか、彼はバックル上部のボタンを押す。その瞬間、赤い目玉のような部分が一瞬だけ強く発光した。

 

棘のような黒色のモノと赤いオーラがシンの前方に現れ、棘のようなモノが次第に黒い沼になって人型のナニカを作る。

周囲は血のような、雨のような、雪のように悪意の文字が飛び散り、直ちに全てが重なった。

 

オール・ゼロ・・・

 

現れたのは、人類に悪と認定された仮面ライダー。

その名を、仮面ライダーアークゼロ。

 

「すぐに終わらせる」

 

赤い瞳を輝かせ、向かってくるノイズに対して佇む。

何も行動しようとしないアークゼロをノイズは悍ましく感じることも恐怖を感じることも無く正面から突撃する。

アークゼロは一体のノイズを鷲掴みし、握りつぶす。そして次々と飛びかかってくるノイズに対して歩みを進め、蹂躙が始まった。

囲んだところでギリギリのところで避けられ、反撃を受ける。突如として現れたアタッシュアローから放たれる矢は、巨人型ノイズですらあっさりと貫く。

そう、ノイズは一度もアークゼロに触れることすら叶わない。例え偶然近くにいたノイズが、少女二人を狙ったところでアークゼロが先回しして消滅させるほどだ。

そして数秒持ったかすら分からないほど、短時間で殲滅させられた。

そもそも、いくら半減しているアークゼロといえど、本来のスペックは他ライダーを圧倒出来るほどのポテンシャルを秘めている。装者を相手にしても半分の力で余裕そうに戦えてることから言わずもがな。

さらに変身者によっても力量が変わり、彼はアークゼロの力をスペック以上に引き出せることからこの戦いは最初から決まりきった結果だった。

それを抜いたとしても、思考出来ないノイズでは勝つことなど不可能。もしノイズに思考する力、そして感情というものがあれば別だったかもしれない。

 

「セレナ。離れるぞ」

 

「あっ・・・はい」

 

人類にとって災害とまで言われているノイズですら蹂躙された惨状を見てか、セレナは苦笑いしながらも返事し、少女の頭を撫でてから離れることを伝える。

 

(こ、これで半分の力しか使えないと言っていたのが信じられない・・・。本来の力なら一体・・・?)

 

セレナにはそんな思いが浮かんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わって街中を歩く。

アークによる力で証拠や記録すら全部消したことから、誰もアークゼロの正体には気づけないしセレナたちのことも分からないだろう。

元々、アークというものは明らかなオーバーテクノロジーなAIが搭載されている力だ。ハッキングなんてお手の物だし、都市機能すら操るのは可能。

それをしないのは人類を見極めているのか、信じているのか、はたまた別の理由か---。

 

「シンさん。学校があるのにご迷惑を・・・」

 

「流石に普通はノイズは予想出来ないし迷惑ではない。セレナが無事なら来てよかったが・・・ギアの力は使わなかったのか」

 

現在、変身を解除してフードを再び被っているシンは背中に先程まで居た少女を背負っていた。

彼が高校生じゃなければ間違いなく事案だった。しかも、隣にいる少女はセレナで明らかに誰もが美少女と言うほどの容姿。

これがもし老いた人だったり、ちょっとアレな体型の人だったら誤解でも通報待ったナシである。だが傍からみれば、お似合いの夫婦か恋人に見えているかもしれない。シンの顔がフードで見えないから怪しくも見えてしまうが。

 

「あと少しで纏うところでしたけど・・・」

 

「・・・セレナが危険なら使ってくれ。もしもの時はオレがなんとかする。キャロルのやつともそういう契約だ」

 

「はい。それにしても、寝ちゃいましたね」

 

普段、アークゼロと戦っている面子が居たら拍子抜けしそうな優しく心配を含んだシンがセレナに言うと彼女は素直に頷いた。

自分を心配してのことだと理解してるからだろう。嬉しそうな表情をしつつ、誤魔化すように話題を変える。

 

「まだ幼い少女だからな。彼女の母親がいる場所は見つけた。名前だけでも分かれば、情報を探して衛星か国家のコンピューターにアクセスしたり何かで探ればいいだけだし」

 

「シンさん。さらっととんでもないこと言っているのに気づいてますか?」

 

全くもってその通りである。むしろ、今の会話を聞いたのがお偉いさんだったら椅子からひっくり返りでもしそうだった。

セキリュティの高いであろう場所を証拠も侵入した跡すらなく抜き取るな、と。

 

「悪用するわけじゃないし、良いだろう。・・・たぶんな。まぁ、どちらにせよ興味はない」

 

「でも確かに、何処にいるかは分かりませんし・・・今回ばかりは仕方がないですね」

 

はぁ、とセレナは困ったようにため息を吐く。

彼女は、アズほどシンの全てを最終的に肯定する訳では無い。悪いことすれば注意はするし、無理や無茶なことをすれば怒る。人間としては当然であり、むしろ文句や不満は言っても全肯定するアズが可笑しいだけなのだが。

 

「そうだな。この子は悪くないし、そもそも子供に罪はない。子供は大人の責任だ。だからオレはこの子を母親の元に送ってやりたい。子供というのは大人が良いように育てれば良くなるし悪くもなる。・・・()()()()()()と一緒だな」

 

「なるほど・・・。ところで、あの、ひゅーまぎあって?」

 

「いや・・・気にすることじゃないよ。それより、この子の記憶も消さないとな」

 

セレナが聞いた『ヒューマギア』という単語を誤魔化すようにセレナの頭を優しく撫で、シンは少女を見た。

セレナは少し恥ずかしげにするが、『記憶を消す』という言葉に少し暗い表情をする。

 

「やっぱり、するんですね・・・」

 

「何も、全部削除するわけじゃない。ノイズに一度襲われたことがあるという恐怖は時に力になるが、足枷にもなる。幼い子供に、それは荷が重い。トラウマにでもなられたら大変だしな」

 

「そうですけど・・・」

 

そうじゃないと言いたげにセレナはシンを見つめるが、彼は彼なりに少女のことを思ってのことだろうと二度目のため息を吐いた。

 

・・・いつになったら、自分のことを視野に入れてくれるのでしょう

 

「何か言ったか?」

 

「いえ・・・シンさんらしいなぁ、と」

 

クエスチョンマークを浮かべるシンにセレナは、なんでもないです、と言うとふと周囲を見渡す。

そして思い出すように聞いた。

 

「そういえば、愛乃姉さんは居ないんですね」

 

「あぁ、学校にいるよ。レイアかファラ、どちらかが護衛してるし問題ないはずだ。あそこの学校に実力者はいない」

 

「それなら安心です」

 

ほっと安心したように息を吐くセレナを横目に、シンはそろそろか、と呟くと眠っている少女を一度そっと降ろした。

シンは少女が倒れないように支えながら頭に手を置き、少ししてから起こさないように抱える。

 

「これで・・・いいか。もう少しだからセレナも頑張ってくれ」

 

「私は全然平気ですっ」

 

「・・・? それならいいが」

 

むっ、と拗ねるように顔を逸らすセレナを見て、シンは首を傾げるが気にせずに歩みを進める。

少しすると、ノイズによる警報も消えたからか周囲に徐々に人が増えていき、一人の女性が焦った様子で何かを探していた。

 

「・・・あの人か。悪いけど、話しかけてくれるか? オレが行っても警戒されそうだし」

 

「あぁ・・・フード被ってますもんね。分かりました」

 

「すまない」

 

申し訳なさそうにするシンを見て、くすっと納得しながら笑うとセレナは母親らしい人に話しかけた。

 

「あの、那由ちゃんのお母さん・・・で合っていますか?」

 

「ッ!? え、えぇ・・・どうしてうちの娘の名前を?」

 

「えっと・・・」

 

母親らしき人が驚いた様子を見せるが、セレナはチラリとシンに視線を移す。理解したように彼は少女・・・那由を既に起こしていたのか、立たせた。

 

「おにいちゃん・・・?」

 

「ほら、お母さんだ」

 

眠たげに目を擦る那由をシンは母親の方へ向かせ、背中を優しく押した。

 

「わっ・・・おかあさんっ!」

 

「那由・・・!」

 

シンに言われて気づいたのか、眠たげにしていた那由は母親の方へ飛び込み、母親は抱きしめた。

それを見ていたセレナは入る訳には行かないとシンの隣に立ち、顔を見上げる。

フードで隠れて見えないだろうが、下から見上げる形で見ているセレナには彼がどんな表情をしているのか読み取ることが出来た。

 

「今度は迷子にならないようにな。では、これで」

 

「一人だともしものことがあったら大変ですから、気をつけてくださいね」

 

()()()()()()と理解したセレナはシンに話を合わせ、那由に手を振りながら微笑んだ。

 

「うん! ありがとう。かっこいいおにいちゃんとやさしいおねえちゃん!」

 

「本当にありがとうございました・・・!」

 

母娘のお礼を背中に受けながら、二人は離れていく。

しばらくして姿が見えなくなると、シンは疑問に思ったのか首を傾げる。

 

「・・・ かっこいいお兄ちゃんって、誰だ?」

 

「シンさん・・・自分の評価って低いですよね」

 

「いや・・・正義の味方でもない奴をかっこいいって言わないだろう」

 

「那由ちゃんからしたら、正義の味方だとは思いますよ?」

 

セレナの言葉に、シンはどうだかな、と言うと空を見上げる。

空にある太陽は真上から少し斜めになっていることから、少しずつ昼ではなくなっていっているのだろう。

 

「セレナは昼食はまだなのか?」

 

「あ、はい。実は・・・」

 

「だったら、行くか」

 

シンは返事を聞くように見上げていた視線をセレナに移すと、目をパチパチと瞬きするが、聞いてるのだと理解すると花が咲くような笑顔でセレナは返事をする。

 

「はい! あの、その後は予定・・・ありますか?」

 

「特には・・・ないな」

 

「なら私、シンさんと色々なところを見て回りたいです。ダメでしょうか・・・?」

 

「いや、問題ない」

 

シンの返答にセレナは嬉しそうにしながら手を握る。

一瞬だけシンは呆けるが、迷わないようにか、と間違いなく違う答えを出して手を委ねた。

 

・・・私からすれば、私の正義の味方(ヒーロー)なんですからね

 

「・・・ん? 悪い。聞こえなかった」

 

「いえ。なんでもないですよ。それより、早くデートに行きましょう!」

 

周囲の音で掻き消されたからかシンはセレナの言葉が聞き取れなかったが、セレナは誤魔化すように笑って手を引っ張っていく。

シンは携帯でアズに終わったら先に帰るようにメールだけ送り、引っ張られる形で連れて行かれた。

 

(昼食を食べて、見て回るんじゃなかったか?)

 

世間では一般的にそれを『デート』とも言うのだが、シンは嬉しそうなセレナを見てフードを深く被りながら『まあ、いいか』と自分で勝手に納得することにした。

 

セレナァァアアアアアァアァ!!(大人セレナだとアルトくんの歳上になっちゃうので少女版)生存させるか

  • 生存させろ
  • (しなくて)いいです
  • アークの意志のままに・・・
  • アークワンはよ
  • (いっそヒロインにしても)ええんやで
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