戦姫予測シンフォギア 〜未来へのREAL×EYEZ〜   作:絆蛙

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二日目です。リバイス面白かったですね。これは不味い。ゼロワンロスのお陰で書けてる俺がリバイスに塗り潰される可能性が出てきた・・・問題はどれだけ早く四期まで行けるかが勝負だ。
でも、きりしら出てきたらやる気は出そう。


第十九話 繋いだ手だけが紡ぐもの

 

 

 

廃墟と化した部屋を借り、夜を明かせた二人は昼くらいの時間帯にフィーネの屋敷にやってきていた。

クリスと迅、二人は中へ入ると、驚きで立ち止まる。

 

「どうなってやがるんだ・・・!?」

 

「酷い有様だ・・・これは、米国の部隊兵士?」

 

ガラスは割れ、壁や置いてあった機械や装飾品すら壊されている。

複数の人が血だらけとなって倒れている---いや死んでいた。

死体となった中を二人は歩いていくが、突如として入り口方面から足音を感じ取る。

ほぼ反射的に迅がクリスを後ろにしてプログライズキーを握るが、視線の先に居たのは赤いカッターシャツを着用している筋肉隆々の男性、二課の司令である風鳴弦十郎だった。

その後ろにはサングラスを掛け、黒いスーツを着た者たちが拳銃を手に持っていた。

その者たちが次々へとクリスたちに向かっていく。

 

「ち、違う! アタシらじゃない! やったのは---」

 

「やるしかないのか・・・!?」

 

プログライズキーを強く握りしめ、迅がまさに変身しようとした時---黒いスーツを着た者たちは迅やクリスを通り過ぎ、米国兵士に近づいていった。

捕まえに来たのではないかと思っていたクリスと迅は困惑すると、弦十郎がクリスたちに近寄る。

 

「誰もお前たちがやったなど疑ってはいない。全ては君たちや俺たちの傍にいた彼女の仕業だ」

 

「やっぱり、フィーネが・・・」

 

弦十郎の言葉を聞いた迅は真っ先に思い浮かんだ存在の名を上げると、弦十郎が顔を向ける。

迅はまだ安心するのは早いと警戒を含めた視線を送る。しかしそんな視線を向けられた弦十郎は苦笑いするだけだった。

 

「君が迅くん・・・で合っているだろうか? 亡くんから話は聞いている。彼女もずっと君を探していたようだからな」

 

「そうか・・・だけど、あんたはなんでここに?」

 

僅かに警戒心を解いた迅の言葉に弦十郎が一度頷くと、今度は視線をクリスに向けた。

 

「ヴァイオリン奏者、雪音雅律とその妻、声楽家のソネット・M・雪音が難民救済のNGO活動中に戦火に巻き込まれて死亡したのが8年前。残った一人娘も行方不明となった」

 

「・・・・・・」

 

弦十郎が突然話し出したことにクリスは無言となるが、迅は気づいたようで心配するような視線をクリスに向けていた。

 

「その後、国連軍のバル・ベルデ介入によって事態は急転する。現地の組織に捕らわれていた娘は発見され、保護。日本に移送されることとなった」

 

「ふん、よく調べているじゃねぇか。そういう詮索、反吐が出る」

 

聞いていたクリスが鼻で笑い、睨みつけるように見つめる。

しかし弦十郎は気にした様子を見せなかった。

 

「当時の俺たちは適合者を探すために音楽界のサラブレットに注目していてね。天涯孤独となった君の身元引受先として手を上げたのさ」

 

続く言葉を紡ぎながら、だが、と一つ息を入れて区切ると弦十郎が再び口を開く。

 

「君が帰国直後には消息不明。俺たちも慌てたよ。二課からも相当数の捜査員が駆り出されたが、この件に関わった者の多くが死亡、あるいは行方不明という最悪の結末で幕を引くことになった。俺はその子を救いたかった。引き受けた仕事をやり遂げるのは、大人の務めだからな」

 

「はっ、大人の務めと来たか! 余計なこと以外いつも何もしてない大人が偉そうにッ!」

 

吐き捨てるような物言いのクリスに弦十郎が沈黙する。

そんな時、『風鳴司令!』と呼ぶ声が聞こえる。

その声に全員の視線が一つの死体へ向けられた。そこに貼られている紙には『I LoVE YoU SAYoNARA』という言葉---

 

「・・・あれ? 見にくいけど何か糸のようなものが---」

 

「あぁ、それだけじゃねぇ。辺りに張り巡らされてるみたいだ」

 

「まさか・・・ッ!?」

 

ふと気づいたように迅とクリスが口に出したこと。

その言葉の真意を聞こうとした弦十郎が何かに気づいたように声を張り上げる。

視線の先には、既に紙を剥がそうとしている姿。

 

「全員ッ! 今すぐ伏せろッ!!」

 

「何かが起きるッ! クリス!」

 

距離がある弦十郎やクリスたちにも届くほどの大きさの糸が切れる音。

弦十郎は忠告し、迅はクリスがギアを纏うのは時間が掛かるため間に合わないと判断して押し倒すように倒れさせる。

瞬間、凄まじい轟音と爆発があちらこちらから発生した---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

爆発による煙が消えると、部屋全体が明るくなった---いや、天井そのものが消えていた。

ただでさえボロボロだった部屋は壁すら無くなり、所々は天井が崩れたのもあって瓦礫に埋もれたり積もったりしている。

なによりも異質なのは、巨大な天井の破片と思われしきものをクリスと迅を守るように片手で受け止めている弦十郎の姿だった。

 

「うっ・・・どうなってやがるんだよ!?」

 

「衝撃は発勁でかき消した」

 

「そうじゃねぇよ!」

 

「ほ、本当に人間・・・?」

 

クリスを守ろうとしていた迅だったが、無事だったことに安堵---するわけではなく、弦十郎の言葉を聞いて頬を引き攣らせることしか出来なかった。

---全くもって意味がわからない。

少なくとも、風鳴弦十郎という規格外の存在をよく知らないクリスと迅は心の中でそう呟くしかなかった。

 

「・・・なんで、なんでアタシらを守ったんだ?」

 

「俺が君らを守ったのは、お前らよか少しばかり大人だからだ。例え君たちがギアを纏えたり変身出来たりしたとしてもな」

 

考えるのをやめて一度冷静になったクリスは立ち上がると疑問をぶつける。

その疑問に弦十郎は『大人だから』という理由を述べた。そのことにクリスは僅かに怒りの形相を浮かべる。

 

「大人だからだと!? いいか、アタシは大人が嫌いだ! 死んだパパとママも大嫌いだ! とんだ夢想家で臆病者! アタシはあいつらと違う! 戦地で難民救済? 歌で世界を救う? いい大人が夢なんか見てるんじゃねえよ!」

 

「大人が夢を、ねぇ・・・」

 

「本当に戦争を無くしたいのなら、戦う意思と力を持つ奴を片っ端からぶっ潰していけばいい! それが一番合理的で現実的だ!」

 

会話に入れない迅だったが、クリスの言葉に思うことがあったのか渋い表情をする。

冷静な彼だからこそ、以前のようにやったとしても何も変わらないのだろうと察したのかもしれない。

そもそもの問題、仮に戦争を無くせるとしたらある人物と似たようなことをしなければならないかもしれないだろう---ただし、その人物はあくまで戦争を無くす訳ではなく誰かのために()()()()()()()()()()だけだが。

 

「そいつがお前の流儀か。なら訊くが、そのやり方でお前は戦いを無くせたのか?」

 

「それは・・・」

 

クリスが言い淀む。

迅は予想通りといった表情しか出来ないが、周囲の警戒だけはして見守ることにしていた。

 

「そうじゃない。大人だからこそ、夢を見るんだ。大人になったら背も伸びるし力も強くなる。財布の中の小遣いだってちったぁ増える。子供の頃はただ見るだけだった夢も、大人になったら叶えるチャンスが大きくなる。夢を見る意味が大きくなる。お前の親はただ夢を見に戦場に行ったのか? 違うな。歌で世界を平和にするっていう夢を叶えるため、自ら望んでこの世の地獄に踏み込んだんじゃないのか?」

 

「なんで、そんなことを・・・」

 

「お前に見せたかったんだろう。夢は叶えられるという揺るがない『現実』をな。お前が嫌いと吐き捨てた両親は、きっとお前のことを本当に大切に想っていたんだろうな」

 

そのセリフを聞いたクリスが堪えるように涙ぐむと、弦十郎の力強い手で引き寄せられて分厚い板に顔を埋める。

それによって決壊してしまったのか年相応に涙を流し始めた。

そんなクリスを太陽の光が差し込み、何者かがクリスを祝福するように照らしていた。

傍に居た迅は柔らかく微笑むと、少し複雑な表情をしながらも間違いなく救ってみせた弦十郎を見て、誰かを思い出すように遠い場所を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

爆発で瓦礫の山と化した部屋をあらかた捜索した黒服たちは、慌ただしく乗ってきたであろう車に乗っていく。

そんな中、弦十郎とクリス、迅は最後まで対面していた。

 

「やっぱりアタシらは・・・」

 

「一緒には来られないか?」

 

「ごめんだけど、まだ・・・無理そう」

 

元々、迅はクリスのために行動していたのもあるし二課には亡がいるためそこまで気にはしていない。

しかしクリスのことを考えると整理も必要だろうとクリスを見ながら、迅が答える。

 

「そうか・・・。今はまだ、君たちはそれぞれひとりひとりの道を進んでいるかもしれない。だが、その道はいつか俺たちの道と合流すると信じている」

 

「今まで戦ってきた者同士が一緒になれると言うのか? 世慣れた大人がそんな綺麗事を言えるのかよ?」

 

「本当ひねくれてるなぁ・・・」

 

「クリスはいつもそうだから」

 

苦笑いする弦十郎に迅が肯定すると、クリスはキッと睨む。

ごめんごめん、と迅が謝ると、ふと弦十郎がクリスに何かを投げた。

 

「うわっ、これは通信機・・・?」

 

「それがあれば限度額内なら公共機関にも乗れるし買い物もできる。便利だぞ」

 

渡した後に、そんな便利なものを仲間でもない存在に渡したことにクリスは僅かに呆れる。

一方で弦十郎は車に乗り込んでエンジンをかけていた。

そんな弦十郎に、クリスは例え望んでなかったとはいえ、借りを返すために声をかけた。

 

「カ・ディンギル!」

 

「ん?」

 

「フィーネが言ってたヤツだよ。僕らは教えられてないから分からないけど、もう完成しているみたいなことを言っていた・・・はずだ」

 

貸し借りを無くすためにもクリスが提供したのは唯一持っている情報。

迅がクリスの言葉に続いて説明すると弦十郎が反芻するように呟く。

 

「後手に回るのは終いだ。こちらから打って出てやる」

 

弦十郎が真剣な表情でそう言い、車列を率いて去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弦十郎が本部へ戻ると、最近顔を出していなかった石動惣一が手に持つコーヒーを飲みながら声をかけた。

 

「よっ! ダンナ。久しぶりだが、後で少し時間を貰えるか?」

 

「マスターか。久しぶりだな。時間? それは構わないが・・・先に収穫があったから伝えておきたい」

 

「はいよ。じゃ、後で話しますかね」

 

急いで話すことではないのか弦十郎から離れて椅子に座ってコーヒーを飲み始める惣一。

ちなみにだが、缶コーヒーである。喫茶店の店主としてそれはいいのだろうか。

 

『ダンナ、何かあったのか?』

 

通信が繋がったのか、奏と翼、響の声が聞こえるが雑談に入る前にか奏が要件を聞こうとする。

 

「収穫があった。・・・了子くんは?」

 

弦十郎が話そうとしたところで、一人連絡も繋がってないことに気づくと友里が答える。

 

「まだ出勤していません。朝から連絡不通でして・・・」

 

「そうか・・・」

 

弦十郎が何処か考えるように顎元に手をやるが、その間にも明るい声が響く。

 

『了子さんなら大丈夫だと思いますよ。だって、私を守ってくれましたしドカーンとやってくれますよ!』

 

『いや、戦闘訓練も碌に受講していない櫻井女史にそのようなことは・・・』

 

『え? 師匠や了子さんって人間離れした特技とか持っているんじゃないんですか?』

 

『あぁ、ダンナはともかく了子さんにそんなものはなかったはずだよ。少なくともアタシらは知らない』

 

缶コーヒーを飲みながら口を出さずに成り行きを見守っていた惣一が一人目を鋭くする。

その近くでは亡も居るが、違和感を感じ取ったのか僅かに眉を寄せて首を傾げていた。

 

『やぁっと繋がったぁ。ごめんね、寝坊しちゃったんだけど、通信機の調子が良く無くて』

 

少しして新しく聞こえてきた声は、確かに櫻井了子の声だ。

しかし弦十郎も惣一と同じく瞳を鋭くしながら声だけの通信に返答する。

 

「無事か、了子くん、そっちに何も問題は?』

 

『寝坊してゴミは出せなかったけど、何かあったの?』

 

『良かったぁ』

 

『流石に寝すぎだぞ、了子さん・・・』

 

安心するような響の声と苦笑いする奏の姿がある。

惣一はさらっと立ち上がりながら缶コーヒーを飲み終え、会話を聞くことに集中し始めた。

 

『ならば良い。それより、聞きたい事がある』

 

『せっかちね。何かしら?』

 

「・・・・カ・ディンギル。これが意味することは?」

 

真剣に尋ねる弦十郎。

数瞬の間の後、了子からの答えが返ってきた。

 

『・・・『カ・ディンギル』とは古代シュメールの言葉で『高みの存在』。転じて、天を仰ぐほどの巨大な塔を意味しているわね』

 

「何者かがそんな塔を建造していたとして、何故俺たちは見過ごしてきたのだ? だがまぁ、ようやく掴んだ敵の尻尾。このまま情報を集めれば、勝利も同然だ。相手の隙に、こちらの全力を叩き込むんだ。最終決戦、仕掛けるからには仕損じるな」

 

それぞれの承諾する返事が聞こえると通信が消えた。

 

「・・・別名、バベルの塔だったか。まさかこの知識が役に立つとはねぇ」

 

会話を聞いていた惣一が小さく呟いた声は、誰にも聞こえなかった---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「些末な事でも構わん、カ・ディンギルに関する情報を搔き集めろ」

 

何かを知ってそうな惣一について気づかず、二課では『カ・ディンギル』なる塔の事について、職員全員が全力で情報を搔き集めていた。

だが、突如として警報が鳴り響く。

それはノイズ発生のアラートである。

 

「どうした!?」

 

「飛行タイプのノイズが大型ノイズが一度に三体・・・いえ、もう一体出現!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆

 

「今は人を襲うというよりも、ただ移動していると・・・はい。はい」

 

翼と奏が先に向かったという連絡を受けた響は傍に居た未来に視線を向ける。

 

「響、大丈夫なの?」

 

「平気。私と翼さんや奏さんも居るし、惣一おじさんもいる。だから未来は学校に戻って。いざとなったら地下のシェルターを解放して、この辺の人たちを避難させないといけない。未来にはそれを手伝ってもらいたいんだ」

 

「う、うん分かった」

 

仮にノイズが出たとしたら、誘導役の人が居た方がより安全に避難することが出来る。

何も分からないままよりも、指示を出す者がいた方が従いやすいものだ。特にノイズとなれば、触れたら終わりなのだから。

 

「ごめんね、巻き込んじゃって」

 

「ううん、巻き込まれたなんて思っていないよ。私がリディアンに戻るのは、響がどんなに遠くに行ったとしても、ちゃんと戻ってこられるように、響の居場所、帰る場所を守ってあげる事でもあるんだから」

 

「私の、帰る場所・・・」

 

響は未来に意表を突かれたかのように呆気に取られる。

 

「そう、だから行って。私も響のように、()()()()大切なものを守れるくらいに強くなるから」

 

ほんの僅かに後悔が含まれている言葉。

しかし安心させるように微笑む未来に響はゆっくりと歩み寄って手を取る。

 

「小日向未来は、私()()にとっての『ひだまり』なの。未来がとてもあったかい所で、私()()が絶対帰ってくる所。これまでもそうだし、これからもそう! だから私は絶対に帰ってくるッ!」

 

そう、自信満々で言いきって見せる響。

その『たち』というのはきっと■■■■■■という意味なのは彼女たちのみしか知らないだろう。

 

「響・・・」

 

「それに大切な約束がまだまだ果たせてないからねッ! じゃあ、行ってくるよ!」

 

未来に見送られ、響はその場から走り去る。

しかし何処に行けばいいか分からないのは明白で、通信機を取り出そうとした響に二課の方から連絡が入った。

 

『ノイズ進路経路に関する最新情報だ。計四体の大型ノイズは、四方から東京スカイタワーへ向かって侵攻している!」

 

そう言われても、ここからの距離では走って向かったとしても間に合わせることは不可能---という響の思考を読んだように、ふと上空からけたたましい風切り音が聞こえてきた。

響が見上げて見れば、そこには---

 

『なんともならない事をなんとかするのが、俺たちの仕事だ』

 

ヘリがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

「カ・ディンギルが塔を意味するのであれば、スカイタワーはまさに、そのものじゃないでしょうか?」

 

「スカイタワーには、俺たち二課が活動時に使用している映像や交信と言った電波情報を統括・制御する役割も備わっている・・・。とにかく三人とも、頼んだぞ」

 

通信が切れたからか、弦十郎に惣一が小声で声をかける。

 

「ダンナ。話したいことはあったが、どうやら気づいてるようだから必要ないだろ? 櫻井了子のことだ」

 

「あぁ・・・信じたくはなかったがな」

 

「ま、それは今はどうしよう出来ない。ダンナに任せるとするよ。それで俺はどうする? 罠だと分かっているが、俺も行った方がいいか?」

 

周囲を気遣って小声にしたらしいが、もう必要ないと分かると惣一は弦十郎に聞く。

響や翼と奏の協力に行った方がいいのか、ということだろう。

 

「・・・いや、マスターには残っていて欲しい。向こうには、協力な助っ人がいる」

 

「そうか。分かった」

 

弦十郎はもしものことを考え、惣一に待機させることにすると惣一は分かっていたことなのか笑みを浮かべて素直に頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

Croitzal ronzell gungnir zizz(人と死しても、戦士と生きる)---』

 

 

Imyuteus amenohabakiri tron(羽撃きは鋭く、風切る如く)---』

 

 

響よりも先にヘリで到着した奏と翼はそれぞれのギアを纏い、空中にいる飛行機型の巨大ノイズに対して竜巻と斬撃を放つが、他のノイズによって威力が削がれて消滅する。

 

「翼と二人で戦うのも久しぶりだな」

 

「えぇ。けれど、頼もしい仲間がまだ居る。私たちは到着するまでに出来る限り数を減らそう」

 

頷き合った二人は早速ノイズを倒していくが、一体の飛行機型の巨大ノイズならともかく、複数いるせいで倒す速度よりも増える速度の方が早い。

となれば、飛行機型の巨大ノイズを倒す手段を探すしかなく---

 

「相手に頭上を取られるのが、ここまで立ち回りにくいとは・・・!」

 

「こうなったらヘリで・・・なっ!?」

 

言いかけた奏の目の前で、今しがた自分たちを運んでくれたヘリがノイズの攻撃を受けて爆発し、火の玉となって落下していく。

 

『---Balwisyall Nescell gungnir tron(喪失までのカウントダウン)

 

周囲に歌が聞こえると、先程爆発したヘリから響が着地して操縦者を地上へ降ろした。

爆発する直前、シンフォギアを纏いながら救出したのだ。

 

「響! ナイスタイミング!」

 

「お待たせしました!」

 

早速襲ってくるノイズを殴り飛ばした響は、奏と翼に合流する。

しかし合流した後にノイズが時間をくれるはずがなく、ノイズが襲いかかってきて、それぞれの得物で倒す。

それが次々と来て数を減らしているはずなのに、減っているように感じない。

 

「空飛ぶノイズ・・・どうすれば・・・」

 

「臆するな立花。防人が後ずされば、それだけ戦線が後退するという事だ」

 

「せめて周りのノイズが居なければな・・・」

 

奏の言う通り、今も数を増やしている飛行機型の大型ノイズ。

襲いかかってくるノイズを倒しても、上空の敵への攻撃は出来ないのが現状だ。

それが出来なければ、疲れというものがあるこちらがジリ貧になる。

そしてあれこれ考えている間に、鳥型ノイズが槍状となって向かってきた。

一先ずはそれに対処しようとした三人だが、未然に終わった。

なぜなら---

 

 

 

 

 

 

 

フライングファルコン!

 

Break Down・・・

 

何処からか低音声のようなものが聞こえたかと思えば、三人の背後から鳥の羽のようなものと銃弾が向かってきていたノイズを一気に殲滅したからに他ならない。

思わず三人が振り返ると、そこには見慣れた少女とアーマーカラーがシルバーの人型の鳥のような姿をしている仮面の戦士がそこに居た。

 

「コイツがピーチクパーチクうるさいからちょっと出張ってきただけ。それに勘違いするなよ。お前たちの助っ人になったつもりはねえ!」

 

「まぁ、素直じゃないだけで助っ人なんだけどね」

 

「おい!」

 

クリスが顔を赤めながら迅に文句を言うが、言われてしまったものは否定出来ずに顔を逸らした。

 

『そうだ。第2号聖遺物『イチイバル』を纏う戦士、雪音クリスと仮面の戦士、仮面ライダー迅だ』

 

「クリスちゃーんっ! 分かり合えるって信じてたよ!」

 

「この馬鹿ッ! アタシの話を聞いてなかったのかよ!」

 

クリスが抱きついてきた響を引き離す。

すると、翼と奏も近づいてきた。

 

「とりあえず今は連携してノイズを・・・!」

 

「勝手にやらせてもらう! 邪魔だけはすんなよな!」

 

「あ、おい!? まったく、どうしてみんなこうなるのかね・・・」

 

「ごめんね、クリスは素直になれないから。でも賢い子だから今のクリスならきっと、言葉の全てを理解出来るはずだよ」

 

クリスが一人アームドギアを展開してノイズと戦いに行く。

その姿を見ながらそう一言だけ残した迅は空中からクリスの援護に向かった。

 

「・・・とにかく私たちは地上のノイズを倒しましょう」

 

翼の言葉に頷くと、三人は地上のノイズを殲滅すべく次々と薙ぎ払っていく。

空中のノイズも迅が可能な空中戦とクリスのガトリングによる攻撃で瞬く間に減らしていくのだが---

 

「うわ!?」

 

「あ!?」

 

一旦退いて態勢を立て直そうとした翼の背中に、同じく敵をより多く捕捉するために下がっていたクリスの背中が当たる。

 

「何しやがる! すっこんでな!」

 

「貴女こそいい加減にして。この場は貴女一人の戦場(いくさば)じゃないわ」

 

「・・・確かにアタシたちが争う理由なんてないのかもな。だからって、争わない理由もあるものかよ。アタシらはこの間までやりあってたんだぞ。そう簡単に、人と人が---」

 

そんな言葉をぶつける中、クリスの手を包み込む温もりがあった。

そこに割り込んできたのは、響。

いつの間にか近くに居たようだ。

 

「出来るよ。誰とだって仲良くなれる」

 

「響の言う通りだ。最初は翼と響もダメだったのに、今は仲良くなれてる。それはきっと、クリスとも出来るはずだから」

 

「奏・・・」

 

クリスと繋いだ響。そこに奏が入ってきて、響と翼の手を取った。

 

「どうして私にはアームドギアがないんだろうってずっと考えてた。いつまでも半人前はやだなぁって。でも、今は思わない。何もこの手に握ってないからこうやって手を握り合える。仲良くなれるからね」

 

「誰かと手を繋ぎ合える。それはきっと、これからのあたしらに必要となる力でもあるんじゃないかな。少なくとも、あたしはもう許してる。クリスのことを」

 

そう笑顔で言ってのける二人を翼はしばらく見つめるが、やがてその手の剣を地面に突き立てる。そして突き立てる事で空いた手を、クリスに伸ばした。クリスは迷うように戸惑うが、恐る恐る手を伸ばす。

が、どうにもじれったいのか、ばっと掴んでしまいクリスはそれに驚いて手を引っ込めてしまう。

 

「こ、この馬鹿に当てられたのか!?」

 

「そうだと思う。そして、貴方もきっと」

 

「・・・冗談だろ」

 

あっさり肯定し、指摘する翼にクリスは白い頬を赤くしながら、消え入るような声で悪態を吐いた。

 

「・・・良いところだということは分かるんだけど、ちょっといいかな? 流石に僕一人じゃキツイんだけど・・・」

 

今まで何とか一人で抑えていた迅だったが、数が増えて抑えきれないと判断したのか申し訳なさそうに降りてきて四人に言う。

 

「あぁ、大丈夫だ。アタシに考えがある。イチイバルの特性は『長射程広域攻撃』。派手にブッ放してやるッ!」

 

「まさか、『絶唱』を?」

 

「馬鹿。アタシの命は安物じゃねえ」

 

響が知っている広範囲で強力な攻撃である絶唱。それを口にするのではと危惧するが、クリスは一瞬でそれを否定した。

 

「でもクリス、いくら僕たち二人でも上空のノイズを纏めて消し去ることは出来ないよ?」

 

「分かってる。だからこそギアの出力を引き上げつつも、放出を抑えることで行き場のなくなったエネルギーを臨界まで溜め込んで、一気に放出することで解き放つことを行う!」

 

「なるほど。だけどチャージ中は丸裸も同然。これだけの数を相手にする状況なら危険すぎる」

 

「それを守るのが、あたしらって訳だ。こっちは四人もいる。手分けすれば四方向から来ても守ることは出来るよ」

 

「そうですね! 行きましょう!」

 

頼まれてもいないこと。しかしこの場にいる者が頷き合い、うじゃうじゃと蠢き集まるノイズを見据えて飛び込んでいく。

そんな姿を見たクリスは自然と不敵な笑みを浮かべていた。まるで引き下がれないと言わんばかりに。

 

「本当に・・・良い人達ばかりだな。クリス、僕は空中から向かってくるノイズを倒すから託したよ!」

 

「分かってる。心配は要らないだろうけど、無茶だけはすんなよ」

 

「うん!」

 

迅も三人に続くように背中の翼を広げる。

空に今にでも突撃せんとばかりのノイズを見据え、地面を蹴ることで跳躍と共にノイズを蹴り飛ばす。

 

「---なんでなんだろ。心がグシャグシャだったのに、差し伸ばされた温もりは嫌じゃなかった・・・」

 

クリスが歌い始めると、ギアの出力を引き上げられていく。この場のノイズを殲滅するために、彼女の目的のために、守りたい者のために。

何よりも、彼女を信頼して共に戦ってくれる者の為にクリスは今---

 

「光が・・・力が・・・魂を---ぶっ放せッ!!」

 

クリスのシンフォギアが変形する。

三連四門のガトリング砲、小型ミサイルポッド、四基の巨大ロケットミサイル---彼女が持つ完全武装を使い、クリスはその身に溜め込んだエネルギーを解き放つつもりだった。

そんな彼女に対し、彼女らは---

 

「「「託したッ!」」」

 

「今だ!」

 

MEGA DETH QUARTET

 

放たれるのは大火力。

クリスの攻撃に合わせるように迅が空中から凄まじい速度で地面に降り立ち、羽を飛ばすことで邪魔をするノイズを消し去る。

そこに放たれた四基の大型ミサイルと小型のミサイル。小型ミサイルからはさらに同じように小型ミサイルが現れ、巨大ノイズへの道のりをガトリングと共にこじ開け、四基のミサイルはそれぞれ巨大ノイズ四体へと直撃し、爆発を起こす。

 

「---My song、未来の歌。やっと・・・見えたと・・・気づけたんだ。きっと届くさ、きっと---」

 

彼女の歌の終わりと同時に空中、地上のノイズを殲滅し終え、それぞれの得物で最後のノイズを倒した面々は増えてこないノイズに気づいて巨大ノイズを見た。

 

「やった、のか・・・?」

 

「みたいだな」

 

「ったりめーだろ!」

 

自信満々に言うクリス。そんな彼女の言葉を裏付けるように、空から風に乗って灰が落ちてきていた。

 

「やったやったーッ! 勝てたのはクリスちゃんのお陰だよー!」

 

戦いが終わると、ギアと変身を解除した響たちと迅は集まっていた。

そんな中、クリスに響が抱きつき、クリスは文句を言いながら引き離す。

 

「お前たちの仲間になった覚えはない! アタシはただフィーネと決着をつけて、やっと見つけた本当の夢を果たしたいだけだ!」

 

「夢!? どんな夢!? 聞かせてよー!」

 

「うるさいバカ! しつこいんだよ!」

 

鬱陶しそうに再び抱きつく響をクリスが引き離し、蚊帳の外にいる三人は微笑ましそうに見つめていたのだが、突如として響のポケットから着信音が聞こえる。

同時に翼は何か可笑しいと感じたのか、怪訝な表情をしていた。

 

「翼?」

 

「おかしい・・・。本部に繋がらない」

 

「は?」

 

「はい」

 

『響!?』

 

翼の言葉に思わず間抜けた返事をする奏だが、響は少し気になりつつも電話に出ていた。

響の耳から聞こえてきたのは、切羽詰まった未来の声。

 

『学校が、リディアンがノイズに襲われ---』

 

その声を最後に、プツンと通信が途切れた。

 

「・・・え」

 

次に聞こえたのは、響の茫然とした声だった。

 

「おい、何が---」

 

「・・・まさか。僕たちは罠にかかったんだ! フィーネの目的は別で、ここに居たノイズは僕たちをここに押し留めるための時間稼ぎ・・・!」

 

タダならぬ様子の二課の装者たちにクリスが何があったのかと聞こうとすると、迅が気づいたように声を上げる。

その迅の言葉にクリスも気づき、舌打ちした。

 

「とにかく、リディアンに戻るしかないね・・・!」

 

奏が苦虫を噛み潰したような表情をするが、流石年長者と言うべきか冷静な案を出し、この場にいる全員がリディアンに向かっていく。

---それぞれ無事であることを願いながら。

 

 

 

 

 

 

 





〇雪音クリス
ようやく仲間になった・・・。

〇迅
友達を守っている。そこはヒューマギアを守っていた本編と変わらず。

〇OTONA
人外。
櫻井了子の件について、既に気づいている。

〇石動惣一
少し気づいているらしい弦十郎に話そうとしたが、気づいているようなのでやめた。

〇亡
立場上、あまり出れない。
因みに了子は彼女が変身出来ることは知らない。

〇立花響、小日向未来
所々話してる時に闇を出してくる系キャラ。影響力受けすぎぃ!

〇ツヴァイウィング
何かと有能だし助かる。

セレナァァアアアアアァアァ!!(大人セレナだとアルトくんの歳上になっちゃうので少女版)生存させるか

  • 生存させろ
  • (しなくて)いいです
  • アークの意志のままに・・・
  • アークワンはよ
  • (いっそヒロインにしても)ええんやで
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