戦姫予測シンフォギア 〜未来へのREAL×EYEZ〜 作:絆蛙
ついにオーズ完結編ですねぇ! CSM再販してくれぇ!!
ちょっと見直すのもありかもですね! 是非ともまだの方は映像作品のみならば、オーズ本編(泣く)→運命のガイアメモリ(重要)→CORE(覚えてない)→単独映画(オーズのテーマを表してる)→お祭り(特別見なくてもOK)→MEGA MAX(重要)→Final(薔薇生える)→Forever(重い)で見てください!
えー、そしてすみません。ちょっと本編行く前にこれだけ言わせて頂いてもいいでしょうか。答えは聞いてないんですけど。
えっとですねぇ---
やっべえ詰め込みすぎた!(アニメ丸々一話分&約二万字)
黒いガングニールを纏ったマリア・カデンツァヴナ・イヴ。
その存在は、この場にいる翼や奏以外にも二課の面子全員を驚かせていた。
『我ら武装組織『フィーネ』は、各国政府に対して要求する』
マリアは全世界へ報道されている中継に向けて告げる。
「そうだな・・・差し当たっては、国土の割譲を求めようか?」
「馬鹿な・・・・」
「一体何を考えてるんだ・・・?」
その行動に、翼と奏は呆然と立ちすくむ。
『もしも二十四時間以内に、こちらの要求が果たされない場合は、各国の首都機能がノイズによって不全となるだろう』
「一体どこまでが本気なのか・・・」
『私が王道を敷き、私たちが住まうための楽土だ。素晴らしいとは思わないか?』
「アイドル大統領・・・ってか?」
「何を意図しての騙りか知らぬが・・・」
奏はマリアの意図を探るように見つめている中、翼がその手のマイクを握り締める。
「私が騙りだと?」
その言葉にマリアはマイクを使わずに応じる。
「そうだ! ガングニールのシンフォギアは、貴様のような輩に纏えるものではないと覚えろ!」
そう叫び、翼が聖詠を唱えようとする。
それに気づいた奏は慌てて翼を止めた。
「---Imyuteus amenohaba---ッ!」
「翼ダメだ! この状況で纏ってもただ被害が増える!」
「でも・・・!」
もちろんシンフォギア装者としてバレることは芳しくない。だが何よりも、奏の言う通り支配権は相手にあるのだ。仮にシンフォギアを纏って戦ったとして、相手がノイズを一斉にでも動かせば翼と奏は為す術なく大勢の観客が炭化---つまりは死んでしまう。
冷静に見極めていた奏はそれを理解しており、だからこそ止めるしかなかった。
翼自身も理解をしているのか理解はしているが、行動に移せないことに歯噛みする。
そんな時、一つの通信が二人に入った。それを聞いた二人は気づかれないように頷き合うが---
『会場にいるオーディエンスたちを開放する!ノイズたちに手出しはさせない・・・速やかにお引き取り願おうか!』
「なっ!?」
「何が狙いだ!?」
マリアの予想外の言葉に奏と翼が驚く番だった。
---もう一方で、マリアの方にも通信が入っていた。
『何が狙いですか? 此方の優位を放棄するなど筋書きにはなかったはず。説明してもらえますか?』
その厳しい口調に、マリアは装者に聞こえないよう小さな声で答える。
「このステージの主役は私・・・人質なんて、私の趣味じゃないわ」
『血に汚れる事を恐れないで』
強い口調で、相手が言う。しかし暫しの沈黙の後---
『・・・ふう、調と切歌、そして
「了解、マム。ありがとう」
その言葉を最後に、マリアはマムとの通信を終えた。
◆◆◆
マリアがオーディエンスたちを解放する少し前。
「ちょ、ちょっとシアちゃん!?」
セレナは困惑する未来の手を取って走っていた。
背後から聞こえる戸惑う未来に構うことなく、板場、安藤、寺島の全員が一緒に付いてきてるのを確かめ、会場の出口へと駆けていた。
---ノイズが自然出現したとすれば、出来すぎている・・・。つまりこれは何者かが狙って行動したこと・・・。シンさんはこれを知ってる? それとも知らない? 恐らくマリア・カデンツァヴナ・イヴという人と何者かはノイズを操る力を持っている。それはソロモンの杖を何らかの理由で所有していると暗に表しているということ---。
マリア・カデンツァヴナ・イヴの言葉に示し合わしたかの様な演技染みた出現の仕方。ノイズを操る力を以て全世界に対し国土の割譲を要求した生放送映像。
その二つの要因を考えると、ソロモンの杖の存在を知るものならば、簡単に辿り着けることの出来る答え。
ソロモンの杖は二課が所有していたはずなのをセレナは知っているため、それを理解したセレナは無意識に唇を噛み締めていた。
どういう経緯で盗んだかは分からないが、必ず荒事になったのに違いはない。そしてきっと犠牲が出たということも---。
「皆さん、あと少しで出口ですッ!」
しかし、セレナには今は戦うことは出来なかった。どれだけ怒りを抱こうが、この危険な状況から彼女達だけでも脱出させる為には自分が離れてはならないと理解したからだ。
しかし出口に近づくに合わせて、見えてきた光景に思考を中断せざるを得なくなった。
「はぁはぁ・・・どうしたの---ッ?」
セレナは未来の疑問に静かに、口に指を当て言葉なくそう伝えると同時に関係者でもない自分たちが唯一知っている出口に向かうための道を指差す。
そこには、ノイズが居た。
脱走防止の見張りだろうか? 数こそ少ないがノイズが数体確認できる。
セレナの背後からは息を飲む声が聞こえるが、それも当然だ。
数こそ少ないがあそこにいるのはノイズ。
人類だけを殺す事だけに特化した認定特異災害ノイズであり、ただの人間が敵うような相手ではない。ましてや、何の武器も持たぬうら若き少女たちにとってはよりそう思えるだろう。
---この場に、ノイズと戦える術を持つ者が居なければ、だが。
ファウストローブ、シンフォギア、ノイズに対抗出来る力としてこの二つを持つセレナにはそれが可能だった。
だが、仮に纏う場所を見られてしまえば、いずれキャロルやシンについて辿り着くかも知らない。
ならば、セレナにすることはただ一つ---
一度深呼吸したセレナは小さな声で伝える。
「皆さん、私が囮になって時間を稼いでいる間に逃げてください」
そんなセレナの言葉にいち早く飲み込んだ未来は、誰よりも早く返した。
「そんな危ないことさせられないよ。囮なら私が・・・」
危険だと分かっているはずなのに、自ら志願する未来。セレナは言いたいことを理解してから一度目を伏せ---覚悟を決めたように目を開いた。
「・・・私の連絡先です。未来お姉さん、ごめんなさい」
「え・・・」
ふとメモ用紙にペンを走らせたセレナはそれを未来に押し付け、謝罪と共に自らノイズに向かって走り出した。
「---ッ! ノイズの皆さん! こちらですッ!!」
大声を出し、自らに視線を集める。
一人の標的を見つけたノイズたちは一瞬で標的を捕捉し、ノイズの群れがセレナに襲いかかる。
かかった、と見れば未来たちが居た逆方向へと駆け出し、ノイズの群れを引き寄せていく。
「シアちゃんッ!」
その場に残ったのは、届くことのなかった手を伸ばした小日向未来の手と手に握られたメモ用紙。
そして動くことの出来なかった己の無力さと守られるしかない己に対して怒りと後悔。
(どうして・・・? 私に力があれば、力があったなら、守る事が出来る力があれば、今も昔も力があったら誰かを守ることが、大切な人たちを守ることが出来たのに。もう
---小日向未来の胸中にはその想いがより強く芽生えていた。
◆◆◆
一方で、世界中の視線に晒されている奏と翼を開放するために緒川は奔走していた。
彼女たちがシンフォギアを纏えないのは中継が行われているからであり、それは二課の者はみな理解していた。
だからこそ、それを阻止するために走っていた緒川だったのだが、ふと見えた人影に避難出来てない人がいるのかと思った緒川は時間がないと理解していながらもそちらへと向かった。
「やっべえアイツこっちにくるデスよ!」
小声で耳打ちする金髪の少女は、『
「大丈夫だよ切ちゃん。いざとなれば・・・」
そんな切歌に対して胸のペンダントを取り出して見せる黒髪ツインテールの少女が『
「待て。ここで騒ぎを起こしたら意味がねぇだろ。ここは穏やかに対応するしかねぇな・・・」
「でも、どうするの? 雷さん」
そして調に雷と呼ばれた成人してると思われる男性がもう一人いる。
「そりゃあ・・・何とかするしかないだろ」
「と、とにかく仕舞うのデス!」
まさかの全くの考え無しの発言に一度時間が止まったように固まるが、だんだんと近づいてる気配を感じたため、切歌が調が手に持つペンダントを慌てて仕舞わせると---
「どうしたんですか!?」
「うぇえ!?」
そうこうしている間に緒川に見つかる。
「早く避難を!」
「あーえっとデスね~」
切歌がどう言い訳しようかと考えていると、何故か調が緒川をじーっと見つめているため、切歌が体で隠す。
「あー・・・実は道に迷っちまって今から避難しようとしていたんだよ」
切歌が調の行動を防いでいる間に雷が誤魔化そうと嘘を言い放つ。
「そうでしたか・・・。では案内しますから一緒に行きましょう」
「い、いやそれはあんたにも迷惑が掛かるだろ」
「そ、そうデス! 私たちのことは気にしないで平気デスよ!」
しかしその嘘は逆効果である。
二課の職員たちはお人好しの集まりだ。そんな彼らがあっさりと見捨てるかどうかと言われれば---否である。しかも道に迷ってるということは道が分からないという証明なのだから。
「いえ、ですが---」
当然緒川も二課の一員であり、エージェントであることから彼女たちを何とかして出口へ連れていこうと言葉を述べる---前に新たな声が響いた。
「まだ避難が終えてない方が!?」
若い男の人と思わしき声が聞こえ、足音が二人分聞こえてくると、出てきた男の人が緒川に近づく。
そして男の人がちらりと切歌たちを見て、再び緒川を見つめた。
「この方たちは私が案内しますから、貴方はお先に」
「あなたは?」
「ただのアルバイトです。上からの指示でお客様の避難を誘導しろと言われて探していたら、見つけたんです。一般人である私にはこれくらいしか出来ませんが・・・場所は全て記憶してます。ノイズがまだ居ない道から行きますからお任せ下さい」
突如現れた男性の姿に緒川は聞くと、その者はアルバイトだという。
若さからして高校生くらいで服装も受付などの方と同じような服装なのだから、間違いはないのだろう。
「・・・分かりました。ここはお任せします。でも、気をつけてくださいね?」
「はい」
緒川は急いでいるのもあり、関係者であるなら大丈夫だろうと判断して男の人に任せるとその場を走り去っていった。
その姿を横目で男性は見つめ、完全に居なくなったのを見ると切歌たちに視線を送る。
切歌たちは結局何も変わってないことに気づき、調が言ってた通りに武力行使するしか---などとか物騒なことを諦めて考えていた。
「え、えっとデスね・・・? 私たちのことは気にしなくて---」
「うん、平気」
「あぁ。あんたも先に避難してくれ」
しかしながら出来る限り穏便に済ませたい三人は説得をしようと試みると---突如として男性の姿が黒いモヤに包まれる。
「意外と気づかれないものなのね・・・」
男性が黒いモヤに包まれている間に、ゆっくりと出てきた女性が隣に立つと、三人は誰が見ても分かるように動揺する。
「お前は・・・アズか?」
「ということは・・・」
「もしかしてお兄さんデスか!?」
女性の正体に雷が気づいたように声を出すと、二人はその隣にいる男性のことについて大声で驚き、男性を包んでいた黒いモヤは消えるのと同時に黒いパーカーを着たシンが姿を現した。
「正解だ。演技するのは初めてだが、意外と行けるものだな」
「気づかなかった・・・」
「デス・・・」
「・・・素顔見たことない俺には分からねぇよ。さっきは声も違ったしな」
そう、今のシンは珍しく素顔である。基本的には顔を隠していたりフードで隠していたりするのだが、今回は何も無く白髪と赤い瞳が思い切り見えていた。
「ふふん、シンさまの素顔はとてもかっこいいでしょう?」
「久しぶりに見たから覚えてなかったデスよ・・・」
「でも、確かに整ってる。かっこいい・・・と思う」
何故か胸を張ったアズによって、褒められたりして会話が何処かへ行きそうな雰囲気になっているのが分かったシンはため息を一つ着くと、額に手をやって注意する。
「・・・ほら、早く行け。装者たちがもう少しで到着するぞ」
「うげっ、それはマズイデス!?」
「悪いな。行くぞ、二人とも」
「うん。シンさん、また」
「ああ、頑張れよ」
慌ただしくマリアが居るであろう場所に走っていく姿を苦笑いで眺めたシンは再び額に手をやると---僅かながら表情を曇らせる。
「アークさま、何か悪い予測でも?」
「・・・いや、なんでもない。まったく、面倒な役割を押し付けられたもんだな・・・。とにかく、今回のオレたちは基本的には傍観者だ。帰るぞ」
「ん、はーい」
軽い返事をするアズを一瞥すると、シンは一度切歌や調たちが向かった方とは別の方向を見つめる。
その視線の先には一体何があるのか、それとも居るのか---それは彼にしか分からないが、シンとアズは会場から出ていった。
◆◆◆
「観客は皆退去した。もう被害者が出る事はない。それでも私と戦えないというのであれば、それは貴女たちの保身の為。貴女たちはその程度の覚悟しか出来てないのかしら?」
「言ってくれるな・・・ッ」
マリアに指摘され、歯噛みするしかない奏と翼。
奏が睨みつけるようにマリアを見つめるが、当の本人は気にした様子を見せない。ギアを纏わないただの人間には負けないという自信からか、それとも純粋に負けないという理由があるからか、それは奏や翼には知る由はない。
「・・・フッ!」
「翼ッ!」
そんな時、まるで抜刀するような動作を剣型のマイクでやり、構えたマリアがギアによって強化された脚力を持ってして翼に突きつける。
奏が呼びかけたの同時に、翼は瞬時にそれを逸らした。
「だったらあたしが・・・ッ!」
ギアを纏うにはステージ裏に行くしかない。
ガングニールならばステージ裏からでも正体を見られることなく槍で攻撃することは可能。
だからこそ向かおうとし---
「ッ!? 奏ッ!」
「うおわぁ!?」
マリアの攻撃を逸らしていた翼がふと見えた人影に反応し、名前を叫ぶ。
奏も気づいたようで、手に持つ剣型のマイクで弾くが圧倒的に相手の威力が高かったのか、ステージ内に吹き飛ばされる。
「なんだ!?」
コンクリートの粉塵が舞い、先ほどまで居た奏の位置にナニカの影が見える。
その影は起き上がると、こちらに向かって歩み始め、姿が見えるようになるとそこには---
『スティングスコーピオン!』
バイオレットをメインに、白銀と漆黒の装甲を衝撃が受けやすい部位のみに集中させた一人の戦士が居た。
さらに腰には見覚えのあるベルトと
その正体はまさに---
「別の・・・仮面ライダー!?」
「・・・ハッ!」
何も答えることなく、奏に斬り掛かる仮面ライダー。
その手に持つものは、アークゼロが使っていた武装と同じ弓の形状をした武器---即ち、アタッシュアローだ。
「くっ!?」
奏は転がるように躱して起き上がると、横目で翼を見る。
その翼は後退しながらマリアの連撃を防ぎ続けていたのだが、突如としてマリアがマントを翻した。
そのまま回転し、そのマントの裾を一陣の刃の如く振るう。
それを剣で受け止めるも、予想以上の切れ味に翼は思わず体を逸らして躱し、バク転して距離を離す。
それでどうにか距離を取るが、その手の剣はマイクだったのもあって折れて使えない。
「中継されている限り、翼さんと奏さんはギアを纏えない・・・!」
一方で翼と奏がいるライブを映した中継をヘリで見ながら、響はそう声を挙げる。
「僕たちと同じベルト!? 変身者は誰だ・・・? それにアレはもしかしてアークゼロが渡したのか・・・? くそっ! 結局辿り着けないと意味が無い!」
「おい! もっとスピードあがらないのか!?」
「あと十分もあれば到着よ!」
未だ何も出来ない事態に、彼らはただ戦いを見る事しか出来ない。
奏と翼はマイク型の剣が無くなったために逸らすことが出来なくなり、ただひたすらに剣筋を見極めて下がりながら避けていた。
猛攻を躱しながらも考えていることは同じなのか、互い左右のステージの端に辿り着いて視界にステージの裏側へ続く通路を見つける。
カメラの眼の外に出てしまえば、ギアを纏えると奏は右肩のマントを、翼は左肩のマントを目隠しのように脱ぎ捨てそれぞれに向かって投げる。
そして相手の視界が遮られると同時に、奏と翼はステージ裏に向かって走り出した。
マントを振り払い、それを見たマリアは翼に向かってその手のマイクを投げる。
仮面ライダーの方はマントを斬り落とし、即座に弓形に変形させて奏に対して矢を何発か放った。
翼は飛んで躱し、奏は身を捩りながら跳躍してそのままステージ裏に駆け込もうとする。
しかし踏み出した足の靴のヒールが---折れた。
「な・・・」
「ヒールが・・・!?」
「貴女たちはまだ、ステージを降りる事を許されない」
一瞬の動揺。それによって許してしまった、マリアと仮面ライダーの接近。
仮面ライダーの方は変わらず無言だが、奏に対して蹴りを放つ。
寸前のところで腕を挟み込んだが、仮面ライダーの力は常人が防ぎ切れるものではなく、奏は一瞬にしてステージの外へ身を投げ出される。
翼の方はシンフォギアを纏った脚力を横腹に受けることで大きく蹴り出され、ステージから出されてしまう。
そこで二人は吹き飛ばされたのが同タイミングだったのもあり、奏と翼は合流するがノイズが待ち構えていた。まるで二人に群がるように、だ。
「!?」
「ッ!? 勝手なことを!」
それを見て仮面ライダーとマリアは驚き、奏と翼はそのまま重力に従うように落ちていく。
その状況の中、刹那にも満たぬ時間で視線が交差した翼と奏は頷き合った。
それは歌女であることを決別することに、諦めることにしたということだ。
そして二人が叫ぶ。
「望み通り聴かせてやる!」
「防人の歌をッ!」
---翼と奏が落ちていく最中、突如として映像が切れ『NO SIGNAL』と表示される。
「ええ!? なんで消えちゃうんだよぉ!」
その瞬間を響たちは見ていた。
響は驚いてテレビの故障かなにかとテレビに齧りつく。
「現場からの中継が切断された?」
友里が携帯端末を見て、そう呟いた。
「待って。二人がギアを纏えなかったのは映像があったからだよね?」
「って事はつまり・・・?」
「ええ」
「え?え?」
響だけは唯一分かっておらず、他の者たちは不敵な笑みを浮かべていた。
映像が途切れ、誰も見ることが敵わない中、奏と翼が歌を唄う---
「---
「---
光が迸り、その身に夕焼けと蒼き鋼の装甲を纏う。
シンフォギア『ガングニール』と『天羽々斬』の起動である。
シンフォギアを纏うことで非装着という弱点を克服し、両翼揃ったツヴァイウイングに恐れるものは何もない。
自らノイズの集団を駆け巡り、その一陣の槍と刃を振るう。
会場を埋め尽くしていたノイズの集団を、洗練されたコンビネーションによって駆逐し尽くしていく。
「中継が遮断された・・・!?」
そしてマリアは今起きている事態に驚いていた。
奏と翼がシンフォギアを纏うためには世間の視線を断つ必要がある。
だからこそ、その優位性のままにマリアは翼を追い詰めようとしていたが、それが遮断された事によって翼は身軽に刃を振るう事が出来る。
さらに映像を管理している施設に、緒川はいた。
「シンフォギア装者だと、世界中に知られて、アーティスト活動が出来なくなってしまうなんて、天羽奏と風鳴翼のマネージャーとして、許せる筈がありません・・・!」
息を挙げて、緒川はそう言った。
そう、彼女たちがギアを纏っても誰にもバレることがなかった理由は彼が動いて映像を断ち切ったからだ。
そうして全てのノイズを殲滅後、再び二人がステージの上に立つ。
刀の切っ先を向け、翼はマリアに。奏は槍を構えて仮面ライダーと対峙していた。
翼と対峙しているマリアは笑いながら見つめる。
「いざ、推して参る!」
「行くぞ!」
声を張り上げた奏は先ほどとは打って変わった速度で仮面ライダーに接近する。
「来るぞ」
「ええ、分かってるわ」
冷静に見ていた仮面ライダーは初めて声を発すると、奏の槍を最小限の動きで避けていく。
翼の振るう剣の連撃を躱すマリア。
そして、攻撃の瞬間に生まれた隙にマントの一撃を叩き込んで下がらせる。
攻守優れる随分と使い勝手がいいマント。何より、翼の刃に叩きつけられた一撃に翼は思い知る。
「このガングニールは、本物!?」
「ようやくお墨をつけてもらった。そう、これが私のガングニール! なにものをも貫き通す、無双の一振り!!」
マリアが仕掛ける。
マリアのマントから繰り出される一撃一撃を、翼はその技量をもって凌ぎ、マントを回転させることによる連撃を受け止めながら威力によって一歩ほど下がらされる。
「だからとて、私が引き下がる道理など、ありはしない!!」
その一方で、奏と謎の仮面ライダーの戦いも熾烈を極めていた。
仮面ライダーとシンフォギアのスペックはそれぞれ別であり、シンフォギアにはシンフォギア。仮面ライダーには仮面ライダー。そんな目には目を歯には歯をのような対策方法が一番良く、少なくとも現状は奏が押されているのは目に見えてわかる。
なぜなら仮面ライダーは元々の決まったスペックと技量。シンフォギアには装者の技量と歌、適合係数が深く関わる。
つまり仮に適合係数が圧倒的にスペックを超えるほどに勝っていたとしても---
「コイツ・・・ッ!?」
「フッ・・・!」
変身者の技量によっては、押されるということ---。
槍と弓の刃でぶつかり合っていると、奏の動きを読んだかの如く突如として仮面ライダーの動きが変わった。
槍を逸らし、すぐさま矢を連続で放つ。それらは全て足元に集中しており、奏は慌てたように上空に高く跳ばざる終えなかった。
そこを狙うのは、弓を引っ張っている仮面ライダーだ。
迅も含め、彼が使うフォースライザーには本来は組み込まれていない相手をラーニングする機能が組み込まれている。それを上手く利用することが出来るのであれば、動きを読むことは容易くなる。
そして---チャージされた矢が弓から離れる。
「ぐうぅ!?」
刹那の間、ギリギリのところで槍を矢に這わせることに成功した奏は凄まじい貫通力に槍が手から離れそうになりながらも、逸らすことに成功する。
しかし完全に逸らせてなかったようで、頬から一筋の血液を流しながら奏は着地する。
そのまま追撃を---といったところで、仮面ライダーの動きが止まった。
『マリア、滅、お聞きなさい。フォニックゲインは、現在二二パーセント付近をマークしてします』
マムからの通信に滅は冷静にまだまだ足りないことを捉え、マリアは八十八パーセント足りないことに動揺して隙を見せてしまった。
「私を相手に気を取られるとは!」
取り出した二対の剣、その柄を連結させて双身刀にするや、掌の上で高速回転。その切っ先に炎を燃え上がらせ、まるで輪入道のように振るう。
そして足のブースターによって床を滑り、一気にマリアに突っ込む。
その回転と炎を纏ったまま、マリアを一刀の下斬り伏せた。
『風輪火斬』
それと同時に、動きが止まった仮面ライダーに対して奏が動いた。
「今だっ!」
「・・・! しまっ---」
気を取られていた仮面ライダーは奏の行動に一歩遅れ、槍による下からの攻撃に対して寸前のところで受け止めようとするが、当たる直前で槍の軌道が変わり、弓が横に向けさせられる。
そこに奏の拳が胸に当たり、その隙に槍による連撃を受けて最後の刺突で吹き飛んで床に転がる。
「話はベッドで聞かせてもらう!」
そして翼は止めを刺すべくマリアに二撃目を叩き込もうとするが---
「ッ!? 翼、後ろだ!」
「ッ!?」
背後から迫る無数の円盤。それらが翼に向かって襲い掛かる。
奏の警告によって翼は立ち止まり、その円盤を火炎纏う双身刀を回転させることで防ぐ。
「―――首を傾げて 指からするり 落ちてく愛をみたの」
『α式 百輪廻』
歌が、響き渡る。
それは静謐にして過激な歌。
薄紅と黒のシンフォギアを纏った少女の頭部に取り付けられたギアから放たれる無限軌道の鋸。
その少女の背後から、今度はダークグリーンと黒のシンフォギアを纏った少女が鎌を携えて飛び上がる。
そしてその刃を複数に分けて、構える。
「行くデス」
その刃を鎌を振るうのと同時に放たれる---
『切・呪リeッTぉ』
放たれる二つの刃。
それが弧を描いて鋸の乱射を防いでいる翼に迫る。攻撃を防いでいた翼は迫る攻撃に気づかず、当たると思われた時。
奏が横から翼を掻っ攫い、直撃を避けることに成功した。
「おい、大丈夫か?」
「あぁ」
そしてもう一人、ドードー鳥を模した頭部を持ち、同じベルトを付けている赤色の仮面ライダーが紫の仮面ライダーに手を貸して起き上がらせていた。
「装者が三人・・・!?」
「それに仮面ライダーが二人・・・か」
奏と翼は武器を構える。
戦力的に考えるのであれば五対二。客観的に見ても不利である。
しかし、実際には違う。LiNKERを介してギアを纏えているマリアたちにとって、制限時間が存在していた。
一見優勢に見えても内情では押されているのはマリア達であるのは明白である。
「・・・マズイデスね」
「・・・まだきてない」
計画では装者達との戦闘にて発生する膨大なフォニックゲインを以て眠れる巨人をーーーネフィリムを目覚めさせる事こそがマリア達がこの場で戦闘を始めた理由。
そう、響たちが居ない今、マリアたちの目的を達成することなど
逆に言えば、現状奏と翼を助けてくれる味方など居るはずがなく---
「やるしかねぇだろ」
「マリア」
「ええ---貴女たちの実力はこの程度なの!」
マリアたち装者の傍に向かった赤と紫の二人の仮面ライダーが言うと、マリアは頷き、煽るように言い放った。
「言ってくれるな・・・。まだ行けるか?」
「もちろんよ。次こそは終わらせるッ!」
敢えて乗る---否、逃走が許されない奏と翼には選択はなく、二人の言葉を聞いたマリアは笑みを浮かべ再び衝突---
「------♪」
ーー-今にも戦いを再開しそうになった時、聴こえてきた歌声にその場にいた全員が動きを止めた。
その歌声は優しく、温もりと美しさを兼ね備えている。だが何処か悲しさも含まれているような歌声。
「・・・後ろかッ!」
最初に気がついた紫の仮面ライダーが背後に向かって矢を放つ。
迷いなく、一瞬で放たれた矢を避けることなど容易いことではなく当たる---筈なのにも関わらず、その矢はあっさりと弾かれ、即座に接近した
ソレは黒。黒い軽装に黒い仮面、唯一手に持つ薄らと輝く剣だけが黒ではないが、身体の線から女性である事だけは分かる。
黒に染まったその人物はどちらにも反応出来るようにか、左右をマリアたちと奏と翼に向け、双方に視線を向けた。
そして---
「---初めまして。双方とも武器を収めてください。これ以上続けるのであれば---実力行使に出ます」
まるで戦いを止めに来た、と言わんばかりに宣言した。
◆◆◆
ふぅ、と小さく息をついたのは、未来たちを逃がすために自ら囮となり、ノイズを引き付けた後にファウストローブを纏うことで戦闘していたセレナである。
彼女の周囲に炭化したものが集まっていることから勝敗は分かるが、ただの蹂躙である。
そんな彼女は紫の仮面ライダーと戦う奏と先ほどまでツヴァイウイングと歌っていたマリア・カテンツァヴナ・イヴの戦いを見ていた。
そして、今二人の装者と赤の仮面ライダーが乱入したところも。
「・・・」
悩む。セレナ自身の想いに従うのであれば、一度遊んだだけとはいえ知り合いとなった翼と奏を助けたい。
しかしそれをするならば間違いなく迷惑をかけてしまう。
それでも、だがそれでも---セレナは知ってしまった。二人がどれだけ心優しく、心の底から歌が好きだと分かる歌声を。魅了されるほどの歌を。彼女たちがどれだけ親切で、お人好しなのかを。
そんな時、まるでタイミングを図ったかのようにファウストローブを解除したセレナのポケットから音がなり、携帯が震えるのを感じた。
セレナは携帯を取り出して---慌てて出た。
『セレナ』
携帯を耳に当てると、聞こえてくるのは男の声。しかし隠し切れない優しさを感じさせる声音だ。
その正体は---
『・・・シンさん?』
シン、すなわち---アークだ。
---先ほど離席した時に電話を掛けたのにも出なかったことから用事が済んで掛け直してきたのだろうか?
そう思ったセレナは口を開こうとして---次の言葉で驚く。
『セレナ。今回ばかりはお前の好きに動くといい。オレは大して関わらないしキャロルの計画に支障は出ない。だから自由に動け、いいな』
『ッ!? シンさん、それってどういう---ッ!』
まるで自身の思考を読んだような言葉に聞こうとしたセレナだったのだが、言いたいことはそれだったのかあっさりと着信が切れる。
携帯を見て切れたのを見ると、セレナは僅かに見つめ---ため息を吐いた。
「・・・本当に敵いませんね・・・。ありがとうございます、シンさん」
彼が誰よりも優しく、他人を思いやれる存在。
そのことをセレナは知っている。だからこそ、自身の迷いを断ち切るために言ってきたのだと考えると恐ろしさよりも先に感心を覚える。
そして、セレナはわざわざ電話を掛けて言ってきたシンの言葉を思い返し、覚悟を決めたように顔を上げる。
(もしかしたら、戦うことになるかもしれない。それでも、今のこの戦いを止めるために---)
顔を隠すために貰った黒い仮面を身につけ、セレナは戦場へと足を向ける。
例え誰と戦うことになったとしても、止めると誓って。
「ごめんなさい。そして・・・行きます!」
小さく謝り、完全に覚悟を決めたセレナは駆け出し---シンと一応錬金術を学んでることから、師匠であるキャロルが創った
◆◆◆
「さっきと話が違うじゃねぇか!」
「まだ着かないの!?」
「早くしないと翼さんと奏さんが・・・!」
本来ならあと数十分もあれば着いていたはずの響とクリス、そして迅。
三人は未だに会場に着くことは叶わず、ヘリに居た。
思わず叫び声に近い声を狭いヘリでクリスが挙げ、続くように迅と響も声を挙げる。
「無理ですよ!! 速くて後5分程度はかかります!!」
ヘリを操作するパイロットの返答にちぃッ!とぶつける先のない拳をクリスが握る。
何故遅れる羽目になったのかといえば、あくまで
そのままライブ会場に直進しようとしていたヘリだったのだが、向かう先で小規模とはいえ、大火事が起こっていたのである。
当然お人好し組織である二課のメンバーや装者と仮面ライダーが放っておけるはずがなく、避難が遅れた人たちを助け終わった後にヘリで向かうことになった。
つまりはまあ、運がなかったのだ。
これはノイズが関わっていることでも他者が関わっていることでもなく、純粋に事故みたいものだった。
「こんなことなら惣一おじさんにライブ居てもらった方が良かったかも・・・」
「今日は店が忙しいから行けないと言ってたけど・・・無理してお願いするべきかもね。二人とも大丈夫かな・・・」
「あの先輩たちだ! 簡単にやられっかよ!」
少し不安そうに口にする迅にそう語るクリスだが、内心では彼女も焦っていた。
映像が中断されてから既に結構な時間が経っている。だからこそ急行するヘリの中で彼女たちに出来ることは無事であることを祈るだけだった。
◆◆◆
「ッ・・・!」
迫る二人の攻撃。
その攻撃に対し、セレナは弓を弾き、拳を避ける。
戦いを止めるために介入したのは良かったものの、彼女は苦戦を強いられていた。
セレナは仮面ライダーを作った存在はアークゼロ、つまりはシンだということは知っている。そして二人が持っているということは、純粋にデータを盗まれたのかシンかアズのどちらかが渡したかに絞られるのだが、恐らくは何らかの目的があって渡された---つまりは後者なのだということは理解出来る。
その辺は正直セレナに出来ることはないが、予想外なのはそこではない。
赤の仮面ライダーはともかく、紫の仮面ライダーが厄介極まりないのだ。もちろん、今の半減しているアークゼロよりも弱い。
しかしラーニング機能を誰よりも上手く扱えているのか、それとも仮面ライダーのスペックに慣れたのか、二対一とはいえ本気を出していないセレナ相手にも戦えている。
彼女は彼女でアークゼロやオートスコアラーに鍛えられているため、かなり強いのだが・・・連携プレイもあって仮面ライダー二人を抑えるだけで精一杯だ。
最初はマリアや他の二人が攻撃を仕掛けてきたが、若干優勢に戦えていた。
しかし相手が仮面ライダーともなると想定して作られたファウストローブではないため、相性が悪かった。
近遠距離と分かれているのもあるが、これならばシンフォギアを纏った方が良かったかもしれない、とセレナは戦って思ったくらいだ。
このまま戦ったとしても、正直決着は着かない---それは両者とも分かっていた。
「厄介だ・・・」
「時間がねえ・・・」
「・・・」
互いに距離を離し、相手の出方を窺う。
そんな時---マリアたちと奏、翼が戦っている方向で変化が起きていた。
ガングニールとガングニール。二つの撃槍がぶつかりあい、鎌と鋸の連携に剣が拮抗する。
仮面ライダーと装者、双方とも含めてどの戦闘とも決め手に欠けていたのだが、ふと奏と翼が笑みを浮かべた。
「何が可笑しい!?」
「いいや、頼りある
奏がマントを大きく弾くと、すぐにマリアから距離を離す。翼は翼で千ノ落涙で鋸と刃を相殺すると、距離を引き離した。
「引いたデス・・・?」
「もしかして・・・」
「お前ら、上だ!」
気がついた赤の仮面ライダーが大声で叫ぶ。
マリアと調、切歌はいつの間にか集まらされていて、大声に反応して上空を見た。
すると---
「土砂降りな! 十億連発!」
『BILLION MAIDEN』
クリスから放たれるガトリング砲の嵐。
それを調と切歌は左右に避け、マリアはマントを硬質化させて弾丸の雨を防ぐ。
紫の仮面ライダーが弓で射撃しようとすると、凄まじい速度で飛んできた蹴りによって中止させられることになった。
「させないよ!」
「くっ・・・!」
その正体は仮面ライダー迅であり、紫の仮面ライダーを妨害するように突撃して互いに転がっていく。
「ようやくのお出ましってわけか・・・」
装者が来た、ということを理解した赤の仮面ライダーはそう呟き、マントで身を守っていたマリアが新たに降りてきた装者の拳を避けた瞬間にその装者に攻撃を仕掛けるが、防がれて奏と翼に合流させてしまう。
「・・・もう大丈夫そうですね」
誰にも聞こえないように小さく呟いたセレナは、戦況を見て、そしてこれ以上巻き込まれると離れるのが難しくなるからそろそろ帰還した方がいいとの通信が来たため、気配を消して誰にも気づかれることなくその場から姿を消す。
そして紫の仮面ライダーに吹き飛ばされる形で装者に合流した迅が地面に着地すると、響、奏、翼、クリスの四人の装者と仮面ライダーが一人、相手にはマリアと調、切歌の装者三人と仮面ライダー二人が向かい合う形になり、響が会話を切り出した。
「やめようよこんな戦い! 今日出会った私たちが争う理由なんてないよ!」
戦いではなく、説得を試みる響。
しかしその言葉が、調の琴線に触れた。
「ッ・・・そんな綺麗事を・・・」
「え・・・」
「綺麗事で戦う奴の言う事なんか、信じられるものかデス!」
調の言葉に響がふと発した合間に切歌が、刃を向けてそう叫ぶ。
「そんな、話せば分かり合えるよ! 戦う必要なんて---」
「---偽善者。この世には、貴方のような偽善者が多すぎる・・・!!」
あくまで話し合おうとする響の態度に調の怒りの籠った言葉が響く。
「---だからそんな世界は伐り刻んであげましょう!!」
調の歌が鳴り渡り、放たれた無限軌道の鋸の機関銃弾が放たれる。
茫然と立ち尽くす響に向かって放たれたそれを翼が響の前に立ち、両剣を回転させることで防ぐ。
「ぼさっとするな立花!」
クリスが右側に躍り出て銃弾を放つと、装者と仮面ライダーがそれぞれ分かれた。正面から向かってくる切歌にクリスの弾丸が防がれ、接近されたところで入れ替わるように奏が槍で鎌を弾く。
「こっちはあたしがやる!」
相性が悪いことを一瞬で判断した奏が切歌と打ち合い、クリスは即座にそれぞれの場所を把握。二人を相手に戦う迅の援護を行い、翼はマリアと再び戦闘に入る。
その最中、調は響を集中的に攻撃していた。
その頭のアームドギアを展開し、巨大な無限軌道の鋸を高速回転させて響を切り刻むべく振るう。
「わ、私は、困ってる皆を助けたいだけで、だから---」
「それこそが偽善・・・!」
何とか避けながらも戦わずに会話をしようとする響に調のなおも厳しい言葉が突き付けられる。
「痛みをしらない貴女に、誰かの為になんて言ってほしくない!!」
『γ式 卍火車』
今度放たれたのは巨大な円盤鋸。
「あ・・・」
それが響に向かって迫る。
その円盤鋸が響に直撃する寸前に奏と翼が割って入り、槍と剣で弾き飛ばす。
「考えるのは後だ!」
「気持ちを乱すな!」
「は、はい!」
二人に叱咤され、響が頷く。
「ああもう!」
「こいつら、戦い慣れてやがる・・・!」
その間にも、クリスと迅は苦戦していた。
紫と赤の仮面ライダーは上手くクリスに射撃されないように動き、近寄ることに成功すると近接攻撃をしてくる。クリスのシンフォギアは近距離も出来ないことは無いが、遠距離だからこそ真価を発揮する。
だからこそ近接に来られてしまうと使える武装は限られてしまい、クロスボウから矢を放つことで距離を離しながら、迅がフォローに入っていた。
しかし迅の拳を紫の仮面ライダーは顔を逸らすという最小限の動きで避け、逆に迅が胸に拳を受け、下がる羽目になる。
そこから赤の仮面ライダーが追撃して蹴りを放ち、迅が吹き飛ばされてしまう。
それ以上はさせまいとクリスの遠距離攻撃が飛んでくると、二人の仮面ライダーは追撃をするのをやめて躱す。
奏や翼たちの方もまた戦っていると、そこでステージ中央に緑色の光が迸った。
そして見るも大きなノイズが出現する。
「わぁぁあ・・・・何あのでっかいイボイボぉ!?」
「・・・増殖分裂タイプ・・・」
「こんなの使うなんて、聞いてないデスよ!」
「マム」
響たちが驚く中、相手側も何も聞いていなかったようで、マリアが指示を聞くように通信機に意識を集中させる。
『五人とも引きなさい』
「・・・分かったわ」
連絡を聞いたマリアが視線を張り巡らせると、理解したと言わんばかりに二人の仮面ライダーが頷き、マリアたちの方に跳躍して戻る。
そこでマリアが動いた。
その手のアームドパーツを変形させ、それを一振りの槍へと変形させる。
「アームドギアを温存していただと!?」
すかさず、マリアが槍を出現した巨大ノイズに向ける。
その槍の穂先から粒子の砲撃が放たれ、ノイズを穿った。
『HORIZON♰SPEAR』
貫かれたノイズは、そのままあっさりと爆発四散する。
「なんで!?」
「おいおい、自分らで出したノイズだろ!?」
何故そのような行動を取るのか分からずに迅とクリスが声を挙げるが、
四散したノイズは、その体を無数にばら撒く。
その最中で彼らは逃げていった。
「ここで撤退だと!?」
「だけど今なら---いや、そういうことか!」
散らばったノイズが増殖し、急速な細胞分裂でも行ってるかのようにどんどんと大きくなっていく。
そのノイズに対して奏と翼の攻撃が炸裂するが、炭化するより増殖する速度の方が速い。
「コイツの特性は、増殖分裂・・・!」
「際限なく溢れるってこと!?」
「放っておいたらそのうちここから溢れるぞ!」
「まずいね・・・まだ観客も残ってるはずだ!」
奏の言う通り、すぐに緒川から連絡が入る。
避難したばかりの観客がまだ居るという一つの連絡が。
「観客・・・皆が・・・!」
その連絡に響はこのライブに来ていた友達の事を思う。
「迂闊な攻撃では、いたずらに増殖と分裂を促進させるだけ」
「どうすりゃいいんだよ!」
「一番手っ取り早いのは一気に消し飛ばす高火力・・・か?」
「・・・絶唱」
装者たちが厄介な特性を持つノイズにどうすればいいか分からない中、響がふと呟いた。
「絶唱です!」
「あのコンビネーションは未完成なんだぞ!?」
「増殖力を上回る破壊力にて一揆殲滅・・・。理には叶っている」
「でもそれって、負担が大きいんだよね?」
「流石に慣れていない今、キツいと思う。あたしなら引き付け役にはもってこいだ。迅とあたしで抑え込むから、その間に響たちはアレを!」
奏の言葉にそれぞれが頷くと、響を中心にクリスと翼は手を繋ぐ。
その三人の邪魔をさせないように近づくノイズに対して分裂しない程度のギリギリを見極めて風圧で吹き飛ばす奏と、一つ一つ確実に倒せる全力で攻撃する迅。
「行きます!『S2CA・トライバースト』!」
そして彼女たちは、歌う。
『---Gatrandis babel ziggurat edenal』
S2CA---正式名称『Superb Song Combination Arts』---『超絶合唱技』。
『Emustolronzen fine el baral zizzl---』
『トライバースト』装者三人の絶唱を重ね合わせ、協奏曲として調律・制御するS2CAの最大の大技。
『Gatrandis babel ziggurat edenal---』
『手を繋ぐこと』を己がアームドギアとし、力を束ねる事に特化した響にしか出来ない必殺技。
『Emustolronzen fine el zizzl---』
だが、そんな強力な技---いや、強力な大技だからこそ一つ、欠点があった---
「---セット! ハーモニクス!」
ハーモニクス―――弦楽器の弦を正しく、絶妙な位置にて軽く押さえる事で発生する、超高音の名を冠し、その絶大な力を発動する。
三人の周囲を、絶唱の三段重ねによって引き起こされた虹色の光を纏った衝撃波が吹き荒れ、増殖しようとしていた増殖型ノイズを一気に吹き飛ばす。
その強大なエネルギーは、響一人だけから放たれている。
そう、その事から分かる通り、S2CAの欠点はその負荷が全て立花響に掛けられるという事。
「ぐ・・ぅ・・・あぁぁあああぁぁあああぁぁあぁぁああああ!!!!」
体中を苛む痛み。それに響は絶叫を挙げて悶え苦しむ。
「耐えろ、立花!」
「もう少しだ!」
翼とクリスが響に呼びかける。
「あれか!?」
「多分ね!」
中央辺りを指を差す迅。
衝撃波によって吹き飛んだことにより、分裂増殖型のノイズが居た場所がはっきりと見えるようになっている。
そこには、核と思われるノイズが佇んでいた。
「今だ!」
「レディ!」
響のギアに変化が生じ、まるでエネルギーを放出するための準備とでもいうように割れる。
そして両手のギアを合体させて、巨大なガントレットとして形成する。その瞬間、上空に突き上げられた右腕に虹色の光が響に収束していく。
「ぶちかませ!」
「これが私たちの---」
クリスの叫びを背中に受け、構えた響は飛ぶ。
バーニアによる加速を利用し、少しづつ大きくなっていっているノイズに急速に接近し、響がノイズに拳を叩きつける。
「---絶唱だぁぁぁぁぁぁあああ!!」
そして超速回転してエネルギーを増幅させた一撃が、ノイズに叩き込まれ、天に虹色の竜巻となって吹き荒れた。
その虹色の光は、星の輝く夜空に天高く昇って行った。
その様子を、『フィーネ』の装者たちは見ていた。
「なんデスか、あのトンデモは・・・!?」
「綺麗・・・」
「あんな技があるなんてなぁ・・・」
「こんな化け物もまた、私たちの戦う相手・・・」
それぞれ別の反応をしていると、紫の仮面ライダーは隣で歯噛みするマリアを見やり、もう一度光の竜巻が吹き荒れるステージの方を見た。
「・・・いつの間にか消えていた、か」
自身が戦った見た目は黒ばかりだというのに、武器である剣だけは光の剣だった少女。気がつけば姿を消しており、見失った相手でもある。
何処か違和感---いや、
そしてまた、『COMPLETE』という文字を前に、マムと呼ばれた女性はほくそ笑んだ。
「夜明けの光ね」
『ッ・・・そんな綺麗事を・・・』
『痛みをしらない貴女に、誰かの為になんて言ってほしくない!!』
その場で膝をついて空を仰ぎ見ている響が思い返すのは、薄紅と黒のシンフォギアを纏った少女の言葉。
「無事か!? 立花!」
そんな響に、翼たちが駆け寄る。
振り返った響は笑っていても、その双眸からは涙を流していた。
「へいき・・へっちゃらです・・・」
涙を拭い、響はなんでもないとでも言うように言った。
しかし、その様子から見ても明らかに大丈夫じゃない。
「へっちゃらなもんか!? 痛むのか? まさか、絶唱の負荷を中和しきれなくて・・・」
そんなクリスの憶測を、響は大きく、何かを振り払うかのように横に振った。
「・・・私のしてる事って、偽善なのかな・・・?」
そして胸の中にある想いを吐露する。今にも張り裂けそうなくらいに苦しく、締め付けられるようなその胸の内を。
「胸が痛くなることだって・・・知ってるのに・・・・う・・ひっぐ・・・」
「響・・・」
響の小さな嗚咽が、鳴り渡る。
奏は声をかけようとするが、なんと言うべきか分からずに悩ましそうに名を呼ぶしか出来なかった。
「・・・みなさん」
また一方でセレナたちもその光景を見ていた。
「あれが立花響が持つ特性・・・。まともに当たれば
「
フードを取った状態でシンは見上げていた。一方で、傍にいるアズは座り込んで眺めている。
『同じ人間なら、話し合うことできっと---』
シンが思い出すのは、デュランダルの時に立花響に言われた言葉。
「そろそろ、覚悟を決める時かもしれないな。---悪意を乗り越えてもなお変わらないのなら、託せる」
彼は手にしたモノはアークゼロ---いや、
〇セレナ
うっっわつっよ()
SANチェックならない? 大丈夫?
すぐ撤退したけど居なかったら奏と翼が詰んでました。
〇響
痛みを知らない(原作より幾分かマシとはいえバッシング+初恋相手が消息不明)
〇未来
ごめんね、とある回までに君の無力感を原作以上に強めなきゃならないんだ(クズ)
〇ツヴァイウイング
有能としか言えることがない
〇調
本編でもそうだと思うけど、純粋に救われなかったからこその八つ当たりでしょうね。
〇マリア
マリア・カデンツァヴナ・イヴゥ! 君が戦った相手はァ・・・亡くなったはずの妹だァ! ヴァハハハハ! みたいなこと言いたい(クソ野郎)
今のうちにダイス振っとこうね。
〇滅
現時点でゼロワンが持つあらゆるハイブリッドライズと互角以上に戦える(シャイニングには押し負けるかも?)くらい。
本編とは違って悩まないのでクソ有能。
〇雷
任務時は後半の姿。
日常は雷電。
▼余談
言ったか分からないので一応(自分用)
奏→あたし
クリス→アタシ
で分けてます。
作品知らない人にも分かるように違和感ない解説入れてこれからは投稿するから良かったら見てね。宣伝です。
『 https://syosetu.org/novel/272371/』
番外編(時系列にあったキャロルやオートスコアラー、他のキャラと主人公の日常)
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いる
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いらない
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二期行こう
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アークワンはよ
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うるせぇ、尊くさせろ。暗殺するぞ
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もっとイチャつけ
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息抜きは大事だからね仕方がないね
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で、IF編まだ?