戦姫予測シンフォギア 〜未来へのREAL×EYEZ〜   作:絆蛙

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このペースだと・・・多分合計15話ぐらいで終わりそうですね、長い。
そういやデモンズドライバー凄いですね、やっぱり買いますわ。それにリバイスが不穏すぎる空気から変わらない・・・流石ですね公式さん。
それとバルカン見ました! もうある意味BADENDだ! わーい! でもすき! だけど社長居ないとゼロワン世界終わるとかマ? この小説の行方が心配ですね・・・BADENDにならないか。
では本編どうぞ。





第四話 終焉を望む者、終焉の名を持つ者

 

次の日の夜。

前日にノイズと遭遇するという自体に見舞われた未来は響や他の二課の者に心配されたりはしたものの、無事だった。

そんな彼女は今、電話を掛けていた。

---二回目。既に一度かけても電話が通じることがなかったが、未来は心配な面持ちで待つ。だが、やはり反応はない。

 

「シアちゃん・・・」

 

掛けている相手は、自分たちの代わりに囮としてノイズを引き連れてどこかへ消えた少女。

未来はその先どうなったのか分からないため貰った電話番号で掛けていたのだが、留守電を求めるメッセージだけが返ってくるだけだ。

 

「無事だといいんだけど・・・」

 

前日にも掛けたが、同じ状況。

それで今日もこれだと()()()()()を考えなければならないのだが、未来は無事であることを願う。

もう誰かを失いたくない、という気持ちを抱きながら、三度掛けても出なかった携帯を机に置こうとして---

 

 

 

ピロロロロ、と着信が鳴る。

慌てて携帯を取り出した未来は表示された相手を見て、即座に出た。

 

『あ、もしもし・・・未来おね---』

 

「シアちゃん!? 無事なの!?」

 

思わず大声を立ててしまい、驚いたのかキャッと可愛いらしい声が未来に耳から聞こえる。

それで僅かに冷静に戻った未来は、シアに謝った。

 

「あっ・・・ご、ごめんね」

 

『い、いえ。今まで出れなかった私が悪いですから。それで・・・本題に入りますけど、怪我もなく無事です。ご心配をおかけしたようでしたなら、すみません』

 

「そっか・・・良かった。本当に心配したんだよ?」

 

返ってきた返答に未来はほっ、と安堵の息を吐く。

どうであれ、無事なら良かったのだろう。

 

『あはは・・・実は逃げてた時に突然ノイズが逃げていったんです。なんでかは分からないんですけど・・・』

 

「それは・・・不思議だね」

 

状況が知りたい気持ちを組み込んだのか、偶然なのかは分からないが、シアは起きた出来事を未来に説明する。

未来は響たちから聞いていた無くなったソロモンの杖でノイズを回収したのではないか---という考えが浮かぶが、それを一般人に言うことは禁じられてるため、そう返すしか無かった。

 

『そうなんですよね、未来お姉さんは無事ですか?』

 

「うん、おかげさまで」

 

無事であることを互いに確認したからか、話題を変えるように別の話に移っていく。

そして未来は響が帰ってくるまでシアと話続けたのだった---。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

フィーネという組織が世界に宣戦布告してから一週間がたった。

その間、各国への交渉、騒動、犯行などは一切無く、派手なパフォーマンスで自分たちの存在を知らしめただけで目的が全くと言って良い程見えてこなく、足取りすら掴めなかった。

そして突如現れた謎の少女のことすら。

 

「ことをあたる連中にしては似つかわしくない・・・か。了子くん、何か覚えていることは?」

 

「分からない。いや、正確には()()()()()()()なのに()()()()()が正しい。唯一分かるのは、私に関係してることは確実。分からない理由は恐らくはあの時、アークゼロの手によって消された・・・それしか考えられない」

 

フィーネという組織は先史文明期の巫女の名でもある。だからこそ、表では死んだ扱いになっているフィーネとして弦十郎は聞いた。

もし手がかりがあるなら知りたいからだ。しかし返ってきた答えはおおよそ予想通りの言葉。

仮に覚えているなら()()彼女ならば協力してくれると理解しているからだ。

 

「ただ、そうね・・・。きっと彼女たちも()()()()()()()()()ことがあるのだと思うわ。そうすることによって()にされたとしても、誰かがやらなくちゃいけないことを」

 

「そうか・・・それはどういった見解で?」

 

「女の勘よ。弦十郎くん」

 

フィーネではなく、()()()櫻井了子として答える。

その返答を聞いた弦十郎はならば納得、と言わんばかりに笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、極道の宅。

 

「風鳴司令」

 

『緒川か。そっちはどうなっている?』

 

そこで緒川は二課に連絡を繋げていた。

何故極道の宅に居るかというと、組織の方のフィーネが使っていたと思われる乗り捨てられていたトラックからその所在を突き止め、結果ヤクザの事務所に突入しているというわけである。

 

「この野郎ッ!」

 

「ちょちょ、やめろって! この服気に入ってんだよ。皺になっちゃうだろ!」

 

そして現在、調査に連れてこられた石動惣一は掴んできたヤクザを意識ごと体を叩き落としていた。

凄い音が聞こえるが、多分生きている。

 

「辿り着いたとある土建屋さんの出納帳に、架空の企業から大型医療機器や医薬品、計測機器などが大量発注された痕跡を発見しまして」

 

『医療機器が?』

 

ヤクザを相手している惣一をバックに書類を見ながら報告する緒川。

ここで重要なのは『医療機器』という単語だろう。

 

「くそ! なんだこいつら!?」

 

「本当に人間か!?」

 

「超能力使いだと・・・!」

 

「こいつに至っては忍術を使うぞ!?」

 

銃弾が防がれ、ナイフに至っては掠りもしない。

片方は若く見えないにも関わらず人間離れしたような力で薙ぎ払ってきたり片方は若いとはいえ忍者の如く分身したりして、ただの人間であるヤクザでは勝つことなど出来ず、全員伏せてしまった。

 

「日付はほぼ二ヶ月前になります。こちらの方々は資金洗浄に体よく使っていたようですが・・・。この記録、気になりませんか?」

 

ようやく見つけた手がかりらしきもの。

それを司令に報告しながら緒川は笑みを浮かべていた。追っていけば、近いうちに探し出せる可能性が生まれたからだ。

 

『追いかけてみる価値はありそうだな』

 

弦十郎も同じことを考えていたようで、緒川は返事を返してから通信を切る。

生きてるかどうかぺちぺちとヤクザを叩いていた惣一は通信を切ったのを見ると、緒川に近づいた。

 

「ったく。俺はただのカフェのマスターなんだがねぇ・・・」

 

「すみません。仮にノイズが出てきてしまえば、僕では民間人を守りきることは出来ませんから」

 

「ま、他が学校だし仕方がないか。唯一動けるのは迅と奏ちゃんくらいだが、奏ちゃんはアイドルだし迅は残っていれば機動力的に現場に駆けつけられるしな」

 

ただのカフェのマスターが生身で銃弾を防ぐのはおかしいのだが、忍者がいる時点でなんとも言えない。

それでも、緒川は自分のことを棚に上げて惣一は仮面ライダーとはいえども、おかしいと僅かばかりに思っていた。

同時に敵対してないことに安心すら。

 

「それで? アジトはわかったのか?」

 

「そこまでは至っていませんが、辿り着ける可能性は出てきました。それにしても、流石ですね」

 

基本的にヤクザの相手をしていたのは惣一だったため、情報を聞くと惣一は成果があっただけでもマシか、と頷く。

そこで緒川は倒れ伏している大量のヤクザを見ると、少しばかり苦笑いを浮かべた。

 

「最近の店の店長はこれくらいやるもんだ」

 

「・・・そ、そうですか」

 

流石にそれはないという考えを表に出さずに飲み込んだ緒川は正しくエージェントだった。

そんな彼は惣一と共にさらに情報を探りに向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

「でねッ! 信じられないのは、それをごはんにザバーッっとかけちゃったわけデスよッ! 絶対におかしいじゃないデスかッ! そしたらデスよ」

 

『それ』が一体なんなのかは分からないが、切歌が明るく軽快に喋っている。しかし調の方を向いた瞬間、切歌の言葉が途切れた。

シャワーから降りかかる温水に打たれながら、調は神妙な面持ちで俯いていたからだ。

 

「・・・まだ、アイツのことを、デスか?」

 

アイツとは、立花響のことだろう。

お世辞にも『甘い』としか言えない彼女の言葉が、つい最近の出来事なのあって再生される。

 

『話せば分かり合えるよ! 戦う必要なんて・・・!』

 

「何にも背負ってないアイツが、人類を救った英雄だなんて。私は認めたくない」

 

「うん。本当にやらなきゃならない事があるなら、例え悪いと分かっていても背負わなきゃいけない物だったり」

 

感情を押し殺すように聞こえたその言葉は、切歌にも痛いほど理解できる。

切歌がシャワーを止めると、ドン、と音が聞こえる。

声を荒げる代わりに、調が力の限り壁を叩いたのだ。溢れ出る感情を晴らすように。

 

「困っている人たちを助けるというのなら、どうして・・・ッ!」

 

込み上げてくる怒り。そして脳裏に浮かぶ()()()()()()()()()

調も彼女は関係なく、どうしようもないということは冷静な部分で理解している。それでも、感情というのは簡単なものではない。

そんな調を落ち着かせるように、切歌は自分が傍にいる事を誇示するかのように、切実に手を握る。

 

「神様でもない限り、全てを助けるなんて真似は不可能よ。それに()()()()()()()()()()()()()()もいるもの」

 

そこに話を聞いてただけで会話に一切入ってこなかったアズがただ現実を突きつけるように会話に参加する。

 

「助けたいのに、デスか・・・。それはお兄さんのことデスか?」

 

「さて、どうかしらね」

 

「・・・愛乃さんは、認めるの?」

 

何処か投げやり気味に答えるアズの姿に切歌は疑問を浮かべるが、調は真っ直ぐに見つめて聞く。

 

「私からすると、どうでもいいが正解ね。ア---シンさまさえ居れば何だっていいし。ただ、みんな何かを背負ってるんじゃない? 貴女たちも、向こうの装者も、ね。それとも、答えがあって知ったとして・・・貴女たちは止まる?」

 

「・・・そうね。止まることはないわ。私たちは私たちの正義とよろしくやっていくしかない。止まってる時間も、振り返ってる時間も残されていないのだから」

 

「マリア・・・」

 

そこへもう一人、マリアが温水を浴びながら言う。

調は二人の言葉を聞いてただ一言、名を呼ぶしか出来なかった。

 

 

 

 

 

そんな会話が成されていたシャワー室の前では、座り込みながら色んな道具を手にしているシンがこれはまた珍しいラフな格好で作業していた。

終えたのか、ふうと息をつくといつものパーカーを着てフードを深く被る。

 

「メンテは終わった。これでキーも問題無いはずだ」

 

「感謝する」

 

「それにしてもよく知らないものを手際よく弄れるな、お前」

 

「機械は得意なんだよ」

 

最低限礼を言う滅と珍しいものでも見るように見ていた雷。

一方で、シンからすると秘密にしてるだけで自身がアークでもあり、フォースライザーを人間用に調整した存在でもあるので、ドライバーを介さなくともこれくらいわけなかったりする。

 

「そういうものか。相変わらずよく分からねぇなぁ・・・」

 

「分からないと言われても、オレはただの協力者だ。アークが渡したものが機械なら多少は弄れる。その分、機械じゃなかったら協力しようにも出来ないからお手上げだが」

 

律儀に言葉を返すシンだが、ふと誰よりも早く()()()()を睨みつける。

警戒体勢に入ったシンに触発されるように滅と雷も警戒するが、突如として警報が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

施設内の鉄製のドアが次々に閉められ、厳重に封鎖させる。それを行ったのは、一人の車椅子に乗った初老の女。その右目には眼帯をしており、何か怪我のようなものを抱えている事が分かる。

彼女の名は『ナスターシャ・セルゲイヴナ・トルスタヤ』。

マリアたちフィーネの頭目にして科学者だ。

そんな彼女の目の前にあるモニターにて、何かを貪るこの世の生物とは思えない何かが映し出されていた。

その生物は、まさに異形、怪物。

伝承にも描かれた共食いすら厭わぬ飢餓浄土。自立型完全聖遺物だ。

今は()()をしているが、一心不乱に餌を食らう姿は人間に扱えるものなのか疑惑が浮かび上がる。

 

「人の身に過ぎた先史文明期の遺産・・・とかなんとか思わないでくださいよ」

 

部屋の暗闇から歩み出てきたのは、メガネを掛け、白衣を着た一人の男性だった。

 

「ドクターウェル・・・」

 

「例え人の身に過ぎていても、英雄たる者の身の丈にあっていればいいじゃないですか」

 

芝居がかった仕草と、やけに優し気な口調でウェルが言うと、部屋に駆け込んでくる者たちがいた。

 

「マム! さっきの警報は!?」

 

既に寝間着姿になっているマリア、切歌、調。

そして後からやってきたのはメンテが終わったらしいベルトを手に持つ滅と雷。

さらに後からゆっくりと歩いてきた顔を隠した状態のシンとアズもいるが、シンだけはフードの奥でネフィリムをひと睨みすると、どうでも良さそうに目を伏せた。

 

「次の花は未だ蕾故、大切に扱いたいものです」

 

「心配してくれたのね。でも大丈夫。ネフィリムが少し暴れただけ。隔壁を降ろして食事を与えているから、時期に収まる筈」

 

ウェルの言葉を聞き流してナスターシャが説明すると、大きな震動が起きる。

暴れている様子に、本当に大丈夫なのか、とでも言いたげな目線を送ってくるマリアをナスターシャは制した。

 

「対応措置は済んでいるので大丈夫です」

 

「それよりも、そろそろ視察の時間では?」

 

ウェルがふと『視察』の提案をする。

その提案はそう無視出来るものではなく、()()の視察に向かわねばならない。

もちろん決して今日しなければやらないという訳ではのだが、重要なことに違いはない。

 

「フロンティアは計画遂行のもう一つの要・・・。起動に先立って、その視察を怠る訳にはいきませんが」

 

「こちらの心配は無用。留守番がてらに、ネフィリムの食糧調達の算段でもしておきますよ」

 

「では、調と切歌を護衛につけましょう」

 

「こちらに荒事の予定はないから平気です。むしろそちらに戦力を集中させるべきでは?」

 

近いうち、特機部二の捜査が入る可能性が高いというのはウェルもナスターシャも理解している。

裏があるとも言いきれないため監視も含めての提案だったが簡単にあしらわれてしまう。

 

「こっちは五人---約六人はいる。もし襲撃を受けてしまえば、()()()()()()では対応しきれない可能性が高い。()()()()()()も考えて、俺と雷が残ろう」

 

「悪いが、オレたちは後で用事があるから別行動だ。だからお前たち二人は残った方がいいかもな」

 

滅の言葉は()()()としてはありえる。しかしそれだけでは足らないかもしれないため、シンがフォローするように言った。

そもそも、()()()()でわかっているのもあるが。

 

「別に大丈夫なんですがね」

 

「確かに、ここまでの大人数で行く必要はありません。では、滅と雷はここに残り、私は三人をつれて視察にいくとしましょう。貴方たち二人も、出来れば早く戻ってきていただけると助かります」

 

ウェルはやれやれ、と言った風に首を振る。

ここまで理由付けされてしまえば、断ることは出来ないと優秀な頭で理解しているからだろう。

 

「では後はお願いします」

 

ナスターシャは最後にそう言い、装者三人連れてを部屋を出ていく。

その様子を見送り、滅とウェルが見つめ合う。

 

「・・・貴方たちも行ってくればよかったのに」

 

「餌を巻いておいてよく言う。気付かれてないとでも思ったか?」

 

「・・・バレてるというわけですか」

 

「やっぱ荒事を起こすつもりだったのか」

 

確信した表情で言う滅に自白したウェル。

雷は冷めた表情で見る。

 

「どちらにしろ、僕の計画の邪魔にだけはならないでくださいよ」

 

「計画によるがな」

 

滅はウェルにそう返すと、思案する。

あの少女は来るのか、そして邪魔をしてきた仮面ライダーについて。

 

「・・・行くか」

 

それを黙って聞いていたシンは踵を返し、腰にアークドライバーゼロを出現させながらアズを連れて出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

夕方。

学校が終わり、これから少しずつ太陽が落ちてきて、徐々夜にやっていくであろう時間。

翼は久方ぶりの()()()日常、学生らしい日々を過ごせていた。

荷物を持ち、廊下を歩く。手に持つそれは秋桜祭の準備を手伝っており、その材料だ。

その材料を持ちながら歩いていると、曲がり角を曲がったところで飛び出してきた誰かとぶつかり、その衝撃で材料が飛び散る。

 

「脇見しつつ廊下を駆け抜けるとは、あまり関心できないな・・・」

 

勢いがあったためか、ぶつかった際に互いに尻もちをついてしまったようで翼は腰を軽く擦ると起き上がるのと同時にぶつかってきた相手を見る。

 

「雪音か・・・。何をそんなに慌てて?」

 

飛び出してきてぶつかった相手は、クリスだった。

リディアンの制服を立派に着こなしているが、汗を流して表情も戦いの場にいるかのように切羽詰まったような表情だ。

 

「奴らに・・・奴らに追われてるんだ。もうすぐそこにまで・・・!」

 

「何ッ!?」

 

そう言って壁を背にするクリス。

翼はもしやフィーネと名乗った組織がクリスを狙っているのではないかと周囲を素早く見回す。

だが、特に不審な人物がいるわけでもなく、いたって平和な光景しか目に映らない。

部活に励む生徒や、ベンチに座って話し込んでいる生徒。とても組織の刺客がいるとは思えない光景だ。

 

「・・・特に不審な輩は見当たらぬようだが」

 

「そうか・・・。上手く撒けたみたいだな」

 

「奴らとは一体?」

 

クリスがここまで警戒するような相手。

気になった翼は聞いてみることにした。

 

「なんやかんやと理由を付けて、アタシを学校行事に巻き込もうと一生懸命なクラスの連中だ」

 

脅威となる存在から逃げていた訳ではなく、なんとも可愛いらしい後輩の姿に翼は口元に笑みを浮かべていた。

すると、遠くでクリスを呼ぶ声が聞こえる。クラスメイトの人達だろうか、こちらを見ることなく何処か別の向こう側へと行ってしまった。どうやらクリスを見失ったらしい。

 

「フィーネを名乗る武装集団が現れたんだ、アタシらにそんな暇は・・・って、そっちこそ何やってんだ」

 

「見ての通り、雪音が巻き込まれかけている学校行事の準備だ」

 

散らばったビニールテープなどの材料を拾いながら答える。

翼がそんなことをしているとは思わなかったのか、呆気に取られたような表情で見上げてくるクリス。

そこで良いことを思いついた、というように翼が提案する。

 

「それでは、雪音にも手伝ってもらおうかな」

 

「何でだッ!?」

 

「戻った所でどうせ巻き込まれるのだ、ならば少しくらい付き合うのもいいだろう?」

 

「なッ・・・」

 

クリスは言い返すことができないからか、口を噤む。

これ幸いと翼はクリスの手を引き、教室まで連れて行くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

クリスを教室まで連れ込んだ翼は一緒に輪っかの飾りや花を紙で作っていた。開催まであと三日ということもあり、残っているのは細かい作業だけだ。

既に何個か完成しているようで、机に置かれている。作業するだけで沈黙が続く中、それをどう思ったのかクリスが話しかけてきた。

 

「なあ、アンタ。アークゼロのことどう思う?」

 

「どう思う、とは?」

 

「ほら、前回---フィーネの時とは違って、今回は全く姿を現してなかっただろ? いつもなら姿を現しても不思議じゃなかったのに。アタシもあんまり絡んでなかったから分からないだけどさ」

 

話題の対象となったのは、アークゼロについて。

組織ではないフィーネと共に一緒に活動していた時、クリスと迅は少し絡んだりしたことがあった。

といっても、一方的に言われたり言ったりしただけだが。

 

「まあ、常に把握している訳では無いということだろう。それと・・・やつに関しては未だに消えるはずだった櫻井女史---()()()()()()()()理由も正直分かっていない。・・・だが」

 

フィーネが未だに消滅していない理由。

それは了子自身も分かっておらず、対消滅で完全に消滅するはずが不安定になっているとはいえ、生きている。それはアークゼロが何かをしたんじゃないかと言われているのだ。

翼はそれを言うと、一度区切る。

 

「だが?」

 

「私と奏はアークゼロに何だか・・・少し、()()()()()()()気がするんだ。何者かまでは分からないけれど。ただ本当に世間で言われているほど人類の敵・・・といえる行動はしているようには見えない。真意が分からない今は判断出来ないだろう。少なくとも邪魔をしてくるのなら戦うしかない」

 

聞き返してきたクリスにそう返した翼は、何ともいえない表情をしていた。

未だに目的が見えない存在なのだ。それこそ、組織の方のフィーネよりも。

 

「後は・・・あの少女のことも気になる。私たちが知らないシンフォギア・・・にも見えるものを纏っていた」

 

「あぁ、アタシはあんま見てねぇけど、突然乱入してきたんだったか」

 

「実力も高く、あのような少女が居るならば知られていても不思議じゃないはず・・・しかしマリアたちとも敵対しているようだった」

 

「結局、分からないことが多いわけだな」

 

思い出すように話す二人だったが、その通りだ、と翼が頷くと話が終わったからか再び少しの間、沈黙が場を支配する。

しかし今度は翼からクリスに話しかけていた。

 

「そうだ、雪音。まだこの生活に馴染めていないのか?」

 

「急だな・・・。けど、まるで馴染んでない奴なんかに言われたく無いね」

 

「確かにそうだ。しかしだな・・・」

 

痛いところを突いてくるクリスに続く言葉を言おうとした途端、後ろの扉が勢いよく開かれた。

 

「あっ、翼さんいたいた! 材料取りにいったまま戻ってこないからみんな探してたんだよ?」

 

「でも心配して損した。いつの間にかかわいい下級生連れ込んでるし」

 

「皆、先に帰ったとばかり・・・」

 

「だって翼さん、学祭の準備が遅れてるの自分のせいだと思ってるし」

 

「だから私たちで手伝おうって」

 

「私を手伝って?」

 

翼のクラスメイトのようで、三人が翼とクリスが座っている場所に近づく。

どうやらなかなか戻ってこなかった翼を探していたらしい。

 

「なんだ、案外人気者じゃねえか」

 

その様子を見て、正面の翼に頬杖を突きながら呟くクリス。

クラスメイトたちは四角く合わせた机の残りの椅子に座ってくる。

 

「でも昔はちょっと近寄り難かったのも事実かな」

 

「そうそう。孤高の歌姫って言えば聞こえはいいけどね」

 

「初めはなんか、私たちの知らない世界の住人みたいだった。そりゃあ芸能人でトップアーティストだもん」

 

「でもね。思いかけて話しかけてみたら、私たちと同じなんだってよく分かったんだ」

 

一緒に残っている作業をしながら、今まで言えなかったこと本音を暴露するように本人の目の前で言うクラスメイトたち。

翼は自分自身がいるところで直に聞けて良かったと思う反面、はにかんでしまう。

 

「みんな・・・」

 

「特に最近はそう思うよ」

 

「ちぇっ、上手くやってらぁ」

 

「面目ない、気に障ったか?」

 

翼の言葉に頬杖を再び突きながらさてね、と言うクリス。

だが思うところがあったのか---

 

 

 

 

「・・・だけどあたしも、もうちょっとだけ頑張ってみようかな」

 

「・・・そうか」

 

視線を何処かに向けながら、消え入るような大きさで呟くクリス。

翼はクラスメイトたちと顔を見合わせ、その様子を微笑ましく思った。

そしてもうひと頑張り作業する五人だった---。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいか、今夜中に終わらせるぞ!」

 

通信の相手は弦十郎。その夜、響達はとある廃墟にいた。

 

「明日も学校があるのに、夜半の出動を敷いてしまいすみません,」

 

その廃墟とは、浜崎病院。

規制緩和にて外国企業の国内医療分野への参入が認められた直後に新設された医療更正施設。

医療費の価格破壊を掲げ、 開院当初こそ入院希望患者が後も絶たないい状態であったが、 度重なる医療ミスと、院長である浜崎・アマデウス・閼伽務という人物が事故に見せかけて患者を殺害するという凶行によって事件となり、 ほどなくして閉鎖となった経緯がある。

そこから廃病院となって久しいのだが、 近隣では怪人出没の噂の絶えない有名な心霊スポットとなり、 若いカップルや暴走族の新人メンバーの肝試しの場として利用されていたりもするとは余談であろう。

 

「気にする事は有りません。これが私達、防人の務めです」

 

「街のすぐ外れにあの子達が潜んでいたなんて・・・」

 

そう。ここは武装組織フィーネのアジトとも思われる場所。

緒川からの情報を元に割り出したこの施設。組織の伏魔殿である可能性が一番高いのだ。

 

『ここは、ずっと昔に閉鎖された病院なのですが、2ヶ月前から少しずつ物資が搬入されているみたいなんです』

 

「ただまぁ、現段階ではここまでの情報しか分からなかったんだがな。まったく、こんなおじいちゃんにそんなことさせるかね・・・」

 

「おじいちゃんって・・・。 そんなこと言ってる割には僕よりも強いじゃないか。まだ一勝も出来てないし」

 

「若者にあっさりとやられたら威厳がなくなるからな」

 

自分をおじいちゃんという惣一に対して、半分呆れを含んだ目で迅が突っ込んでいた。

威厳なんて既にコーヒーのせいで消えかけてることに惣一は気づいてないのだろうか。

 

「とにかく、尻尾が出てないからこちらから引き摺り出すまでだ!」

 

「そうだな、結局はやるしかない。行くよ!」

 

そう言うと先導するように奏が走り出し、その後クリスに続いて翼と響、迅とおじ---惣一も走り出す。

 

 

 

 

 

その様子を監視カメラで見ているウェルたちもいた。

 

「おい、滅。あれって・・・」

 

雷が気づいたように声を上げる。

その隣にいる滅は、誰がどう見ても僅かに動揺していた。

 

「何故お前が・・・迅」

 

「おもてなしと行きましょう」

 

拳を握る滅を他所に、ウェルはそう呟いてキーボードのEnterを押す。

すると、病院内に赤い霧状の何かが散布された。

 

 

 

 

 

 

 

病院の中は薄暗く、赤い煙のようなモノが立っている様子を、響たちは物陰に隠れながら見ていた。

 

「やっぱり、元病院ってのが雰囲気出してますよね・・・」

 

「なんだ? ビビってるのか?」

 

「そうじゃないけど、なんだか空気が重いような気がして・・・」

 

「まあ、確かにそうかもしれないな」

 

「とりあえず僕は変身出来るようにはしておこう・・・」

 

「・・・以外に早い出迎えだぞ」

 

会話をしていた響とクリス、奏と迅は翼の言葉に、通路の奥を見る。

すると、そこからノイズが何体か来ているのが見えた。

その中、惣一だけは一人だけ誰よりも気づいていたようで、サングラスを外す。

 

「さて、今回はこっちで行くか。お前は無理に突っ込むなよ?」

 

「流石に分かってるよ」

 

『エボルドライバー!』

 

フォースライザー

 

惣一と迅はそれぞれ違うベルトを腰に巻き付けると、これはまた別種のアイテムを取り出す。

一人は鳥が描かれた手のひらサイズの四角い物体、一人は二本のボトル。

起動するために必要な動作を迷いなく行う。

 

ウイング!

 

ドラゴン!ライダーシステム!』『エボリューション!』

 

惣一がフルボトルを二本差し込み、迅が勢いよくプログライズキーをベルトに差し込む。

そこで惣一はレバーを回し、迅はレバーを引く。そして---

 

『Are You Ready?』

 

フォースライズ!

 

「変身」

 

「変身!」

 

Balwisyall nescell gungnir tron(喪失までのカウントダウン)---」

 

Imyuteus amenohabakiri tron(羽撃きは鋭く、風切る如く)---」

 

Croitzal ronzell gungnir zizz(人と死しても、戦士と生きる)---」

 

Killiter Ichaival tron(銃爪にかけた指で夢をなぞる)---」

 

ドラゴン!ドラゴン!エボルドラゴン!

 

『フッハッハッハッハッハッハ!』

 

フライングファルコン!

 

Break Down・・・

 

気合いを入れるという意味も、戦うという意味も、戦う意志を纏うそれぞれの言葉と歌を呟いた。

それにより、纏われたのは仮面ライダーエボル、ドラゴンフォームとフライングファルコンで変身した仮面ライダー迅、四人のシンフォギア装者だ。

そして始まるのは、ノイズとの戦い。最初に仕掛けたのはクリスだった。

 

「---挨拶無用のガトリング! ゴミ箱行きへのデスパーリィー!」

 

クリスの放つ両手に握られる四門のガトリング砲。『BILLION MAIDEN』がノイズの群れへ殺到する。

何体かは直撃し、あっさりと炭化してしまう。

 

「やっぱり、このノイズは・・・」

 

「制御されているね・・・」

 

「という事は・・・」

 

「ここが正解だったってことか!」

 

順番に響、奏、翼、迅が確信したように言うと、奥の方からクリスが減らした数を補充するかのように緑色の光が新たなノイズを生み出されていた。

 

「とりあえずはクリスのカバーは迅と翼、響がやれ。俺と奏は囲まれないように対処だ」

 

「わかったよ!」

 

エボルの指示に従うように五人が前に出る。

襲い掛かるノイズをクリスが先陣を切って蹴散らし、そのフォローに迅と翼、響が。

背後と横をエボルと奏が警戒しつつ、援護するという形だ。

 

そしてクリスがアクロバティックに動きながらボウガンを撃ちまくり、そのクリスを死角から襲おうとしている敵を響が拳で叩きのめし、翼が斬り飛ばす。上空のノイズは飛べる迅が叩き落とし、エボルは格闘。

奏は槍を振りながらそれぞれの死角を守るように動く。

しかし響がいくら殴り、蹴り飛びそうが、翼が斬撃で吹き飛ばそうが、クリスが射撃しようが、威力が足りないようにノイズが再生して倒しきれない。

唯一まともに倒せているのは迅とエボルのみであり、奏は翼とクリスと同じなのに()()()二人よりかは倒せている感じだ。それもほんの少し程度であまり差はないのだが。

 

「これは・・・何らかの影響が発生してるのか? 仕方がない、俺たちが出るぞ」

 

「え? あ、うん。わかった!」

 

迅が疑問を浮かべてる間に判断したエボルの指示により、二人がノイズの群れに突っ込む。

奏は影響を受けている自覚があるため、自分より苦しそうにしている響たちの元でノイズの攻撃を防いでいた。

 

「何があったの!?」

 

「ハアッ・・・わかんねぇよ! なんでこんな手間取るんだ・・・!?」

 

「このようなことになろうとは・・・ッ」

 

「これは・・・ギアの出力が落ちてる? でもなんであたしだけマシなんだ?」

 

「ま、それなら仕方がないんじゃないか?」

 

「ハア・・・ハア・・・すみません・・・」

 

ノイズと戦いながら大声で迅が聞くが、何故こうなっているのかは分からない。

そして翼の剣が大剣から初期状態から戻る。いや、戻されたが正解だ。

その姿から分かる通り、この場にいる装者全員のギアの出力が低下している。即ち、適合係数の低下。

ノイズに苦戦する理由を理解した装者たちだったが、何が原因かまでは分からない。

それに奏は第一種適合者である翼とクリスはともかく、融合症例の響すら影響を受けているのにその響よりも、誰よりもマシなことに疑問が浮かぶ。

エボルは原因はここ(病院)にあるとは思っているが、やや疲れた様子で悔しそうに顔を歪ませる装者を見つつ迅の援護をしていた。

 

「これで最後ッ!」

 

迅が最後のノイズに蹴りの一撃を繰り出し、心配なのか装者たちの方を見る。

しかし、ふとこちらを見た響が叫んだ。

 

「気をつけて! 後ろ!」

 

迅の背後から何かが飛び掛かる。

エボルが真っ先に気づき、蒼炎を纏った一撃をアッパーカットの要領で上空に吹き飛ばす。

しかし、すかさず天井のパイプに足をついたかと思えば再度突撃。

それをエボルは冷静に対処し、回し蹴りで一気に吹き飛ばした。

 

「た、助かった・・・けど、こいつは!?」

 

「炭素になっていない・・・!」

 

「まさか、ノイズじゃない・・・?」

 

「しかもマスターの攻撃を受けてもダメージを受けるくらいで済んでる・・・!」

 

「あの化け物は一体なんなんだよ!?」

 

装者たちが驚いた相手はおおよそ、この世の生物とは思えない、四足歩行の化け物。

体色は灰色、体にマグマのような筋が通っており、そのサイズは大型犬以上。

あんな生物は彼らの記憶には存在しなかった。

そんな相手に戸惑っている中で、ふと誰かが拍手するような音が聞こえてきた。

それに全員が身構え、化け物の奥の暗闇に目を凝らす。

 

「え・・・!?」

 

「ウェル博士!?」

 

「なんで!? 確か岩国基地が襲われた時に・・・!」

 

現場にいた響とクリス、迅が驚愕する。

エボル以外が驚いているが、それでも三人が一番驚いていた。死んだと思われる存在が生きていたのだから、当然驚くだろう。

その間にもあの化け物はウェルの横にあったケージの中に入っていく。

 

「話を聞いた時から思っていたが、やっぱり生きていたみたいだなァ・・・。大方、ソロモンの杖はケースの中じゃなく、その服の下でも隠してたってことだろォ?」

 

「どうやらあなたは賢明な方のようですね。ええ、全くその通りです」

 

「そりゃあ、どーもォ」

 

一人驚いて居なかったのは予想していたからというらしく、何故か褒められたエボルは全く嬉しくなさそうに適当に返していた。

つまりはあのライブ時も、岩国基地の時も、全部強奪したソロモンの杖でノイズを呼び寄せた犯人がウェル博士ということだ。

 

「ソロモンの杖を奪うため、自分で制御し、自分を襲わせる芝居を打ったのか・・・?」

 

「バビロニアの宝物庫よりノイズを呼び出し、制御する事を可能にするなど、この杖をおいて他にありません」

 

翼の言葉を肯定するかのように言うウェル。

その間にも手に持つソロモンの杖からノイズを召喚していた。

 

「そしてこの杖の所有者は、今や自分こそが相応しい・・・そう思いませんか?」

 

「思うかよ!」

 

クリスが否定し、すぐさま小型ミサイルを展開、発射態勢に移る。

 

「ッ!? ダメだ! 今の状態では・・・!」

 

奏が気づいたように止めようとするが、クリスはそれを無視してミサイルを発射する。

その直後、侵攻するノイズに放たれたミサイルはいつものように全弾ノイズに炸裂するはずが---

 

「ぐ、ぅあぁぁあぁあああ!!!」

 

ミサイルを発射したと同時にクリスが顔を苦痛に歪め、悲鳴をあげる。

全身を駆け巡る衝撃は激痛へと転化し、予想だにしない痛みに狙いが外れた。

幸いなことにノイズは殲滅することが出来たようだが、室内の壁や天井が壊れて夜空が見える。

さらに崩れた瓦礫で機動力が下げられてしまう、という最悪とまでは行かないが、良い状況とは言えない状態にもなってしまった。

しかも目の前にいたウェルは無傷だった。

 

「クリス!?」

 

「クソっ! なんでこっちがズタボロなんだよ・・・!」

 

迅がすぐに近づいて肩を貸し、クリスは起き上がるがダメージが抜き切らない。

 

「バックファイアが高くなってるのか・・・」

 

「つまり、大技を使えば使うほど身を削るということ・・・。この状況で使い続けてしまえば身に纏うシンフォギアに殺されかねない・・・!」

 

奏と翼が気づいたように言うが、それを知ったところで変わることなどない。

それにクリスの場合は装者の中でも特に高い適合係数を有する『第一種適合者』。その分、バックファイアがより強くなっているのだろう。

 

「・・・! あれは!」

 

ふと響が何かに気付いて空を見上げれば、そこには、あの化け物が入ったケージを運ぶノイズの姿があった。

ウェルからすると、そのお陰で身軽になったのもあってもう少しデータを取りたい所だと考えていたが、

響と翼と奏の三人がウェルの方へ構えていた。

 

「仕方がない・・・あのケージは何とかする! 響、翼、マスターはそっちを頼んだ!」

 

「あ、おいッ!? ったく・・・一応これを持っとけ」

 

「うわっ!? あたしにも使えるのか・・・?」

 

槍を携えながらすぐに向かおうとする奏に対して投げたのは、トランスチームガンとフェニックスのフルボトル。

武器として使え、という意味だろう。

受け取った奏は頷くと、素早く走って逃走するノイズに向かっていく。

 

「おっと、そういえばあなた方には別のお相手がいるんでした」

 

「相手だと・・・?」

 

少々の黒煙が舞う中、二人の人影が見える。

黒煙が風に流され、その二人が見えるようになった瞬間、あからさまに動揺した人物が一人居た。

---いや、正確には()()だ。二課のモニターで見ている一人の人物も動揺していた。

 

「なんで・・・なんで二人がそっち側についてるんだよ!? 雷・・・滅・・・!!」

 

そう、その正体とは滅と雷。

迅や亡にとって探していた人物でもあり、友であり家族のような存在。孤児院に居た時から、例え離れ離れになったとしても決して消えぬ絆で結ばれていたはずのグループだ。

そして---

 

「行くぜ、滅」

 

「ああ、分かっている」

 

二人が取り出したのは、フォースライザー。正式名称、滅亡迅雷フォースライザーを腰に巻き付ける。

 

フォースライザー

 

さらに雷は鳥類の絶滅種(ドードー)のスカーレット色の データイメージ(ロストモデル)が保存されているゼツメライズキーを手にし、右下に手を向けながら親指で起動スイッチ(ライズスターター)を押す。

滅の方はパープル色のサソリがデータイメージ(ライダモデル)として保存されているプログライズキーを手にし、刀で斬るように右手を横に向ける。

そこで横向きから表側にし、親指で起動スイッチ(ライズスターター)を押した。

 

ドードー!

 

ポイズン・・・

 

雷が右下に向けていた腕を頭より斜め上に上げ、同時にドードーゼツメライズキーの向きを変える。

そして自身の名の通り雷、つまりは『稲妻』描くように動かすとフォースライザーにドードーゼツメライズキーを差し込む。

滅の方は無駄のない最低限の動きなのか、スティングスコーピオンプログライズキーを直線的に動かすことでフォースライザーに差し込んだ。

その瞬間、ベルトから発せられるのは警告音のようなもの。

 

「「変身」」

 

二人が同時にフォースライザーの右手側のレバーを引くと、プログライズキーが強引に開かれることで展開される。

 

フォースライズ!

 

スティングスコーピオン!

 

露出した接続ポートに強制接続されると、雷は右手を横に向けながら手のひらを開き、ロストモデルは出ずに雷のようなエフェクトを纏いながらアーマーが装着される。

滅の方は滅亡迅雷フォースライザーから出現した色のない灰色のサソリのデータイメージ(ライダモデル)が滅の胸を刺し、そのまま尾を軸にして背後から覆い被さり、鎧として分解されてアーマーが装着された。

 

Break Down・・・

 

現れたのは、先日のライブでも現れた仮面ライダー。

迅と同じく、胴体や脛等の攻撃を受けやすい部位のみに集中させるという割り切った配置により最低限の防御力を確保しつつ機動性と追従性を極限まで高めた白銀と漆黒のアーマーであり、ドードー鳥を模した頭部を持つ赤色の仮面ライダーとバイオレットをメインに、同じく白銀と漆黒の装甲が最低限にアーマーとして装着されていて、左腕に蠍の毒針を思わせる武装がついている紫の仮面ライダーが姿を現した。

その名を、『仮面ライダー雷』と『仮面ライダー滅』だ。

 

「雷落としてやるぜ!」

 

「聖戦の時だ・・・」

 

「そんな・・・ッ!」

 

二人の正体が仮面ライダーであることを知った迅はクリスを休ませるように傍に置いた後、仮面の下でショックを受けたような動揺と表情が現れていた。

 

「新たな仮面ライダー、ねェ・・・?」

 

その一方で、一体誰がこんなことをさせたのか見当がついたエボルはやれやれ、と両手を振った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雷と滅が仮面ライダーになる少し前、奏はケージを持って逃げ去ろうとしているノイズを必死に追っていた。

誰よりも負荷が少なかった自分が行くべきだと判断してのことだったが、このままではまずい。

奏の心象を歌にした音楽がコンバーターから流れており、歌を口ずさむことで低下したフォニックスゲインも上昇する。

だからいずれ追いつけることは出来るだろうが、海上に出られてしまうとXD(エクスドライブ)を発動できない今、手出しの仕様がない。

しかし今跳躍したところで海。届くかどうかと言われるとまだ届かないし、仮に外してしまえば終わりだ。

足場がなければ何も出来ないことには変わらず、二人いるなら協力出来ただろうが、ここまで追いつけているのは奏のみ。

であるならばどうするか、と思考しようとした時---

 

 

 

 

 

『そのまま飛べ! 奏ッ!』

 

『奏さん、僕たちを信じて海に向かって飛んでください!』

 

「飛ぶ!? だけど---いいやッ!」

 

そんなとき、耳元から聞こえてきたのは頼りになる大人の声。

海に飛び込む理由について一瞬疑念が過ぎるが、奏は信じる。

こんなときに限って、彼らは無駄なことを、無意味なことをしないと知っているからだ。

 

「いつだって信じてるさ・・・頼んだ!」

 

地面と海面の境目。少しでも足を踏み外せば海面へ転落するギリギリを見極め、両足に全力込めて跳躍した。

同時にスラスターを展開することで滑空を試みるが、一手足りない。

そんなときこそ、どうにしかしてみせるのが二課という頼れる存在なのだ---

 

 

『---仮設本部、急速浮上ッ!』

 

海中から轟音と共に飛び出してきたのは、巨大な潜水艦。

三ヶ月前の激闘によって消えてしまった二課の本部に変わる新たな特異災害対策機動部二課の人類守護の最後の砦『移動式仮設本部』だ。

奏は突き出してきた潜水艦の艦首に落下し、高さも地上とは比べ物にならないほど十分となった艦首から再び大跳躍する。

 

『フルボトル!』

 

先ほど、エボルが渡されたトランスチームガン。

使い方を以前説明された奏は迷いなくフルボトルを装填し、トランスチームガンと槍を二つ同時に構える。

槍は矛先が凄まじい回転を起こし、トランスチームガンのトリガーを押した。

 

『スチームアタック!』

 

放たれたのは不死鳥の弾丸。

さらには奏自身の竜巻がより弾丸を加速させ、音速の域に達した不死鳥の弾丸がノイズを一気に焼き払う。

焼き払われたノイズは炭化し、当然支えがなくなったケージが落ちていくが、奏は海に落ちる前にそれを回収しようと追いかけ、あと少しというところで手を伸ばし---

 

 

 

言い寄らぬ悪寒を感じ取り、奏が思わず身を翻す。そして、彼女の目の前を何かが横切り、吹き飛ばした。

 

「うわぁ!?」

 

吹き飛ばされた奏は海面に落下してしまい、すぐに海面から顔を出す。

一瞬、海面に落下する刹那で奏はソレを見た。いや、正確には()()()()()()()からこそ、理解していた。

そう、奏がよく知っている得物といえばただひとつ、そして先の戦いの終盤に満を持して開帳されたアームドギア。

夜が明け、昇る太陽の輝きを背に海面に浮き立つ槍の上に佇む一人の女性。

 

「アイツは・・・ッ!?」

 

「マリア・・・!」

 

「あたしと同じ、ガングニール・・・!」

 

地上で彼女の姿を見たクリスと翼は目を見開いた。

その女性の名は---『マリア・カデンツァヴナ・イヴ』。

そして女性の足元にある武器は奏の言う通り、紛うことなき---ガングニールに他ならないのだから。

 

「時間通りですよ。フィーネ」

 

「・・・フィーネ?」

 

地上から様子を見ていたウェルが、衝撃的な言葉を漏らす。

二課の一同は疑問が浮かび上がるが、ウェルは関係なしと言わんばかりに言葉を続ける。

 

「終わりを意味する名は、我々組織の象徴であり彼女の二つ名でもある」

 

「フィーネって・・・え? あの人が・・・?」

 

こちらの動揺を誘っているのかどうかは分からないが、少なくともここにいる装者はウェルが言っている意味が分からなかった。

反射する眼鏡のせいでその瞳に映る感情は計り知れないが、彼は間違いなくフィーネと言った。

 

 

「新たに目覚めし、再誕したフィーネですッ!」

 

そう高らかに宣言するように嘯いたウェルだったが、ここに居る装者と迅に浮かんだのは間違いなく---クエスチョンマークであることに違いない。

なぜなら、フィーネが生きているということを彼女たちは知っているからだ。

ただまあ---

 

 

 

 

 

 

 

 

「あァ〜・・・」

 

一人だけ、察したようなドラゴンが居たことは余談なのかもしれない。

 





〇エボルト
(人間態で無茶苦茶し出して、もう色々と)なんだこいつ

〇翼
こいつ一期から有能なことしかしてねぇなぁ! もう安定期間なので五期まで有能のままでいそう。
アークゼロのことはフィーネとの最終決戦で怪しんでいて、本当に敵なのか?と思ってはいる

〇響
融合症例なので出力低下は翼とクリスよりはマシ

〇奏
響よりも()()()マシ。
果たしてその理由とは・・・?

〇クリス
この回の文化祭準備はいるかどうか悩んだけど後々考えるとやらないとね・・・?

〇フィーネ
アークによって記憶が消されたため、F.I.Sのことを覚えていない。朧気に関わっていた気がする・・・くらい。

〇滅亡迅雷
孤児院でグループとして存在していた。
なんやかんや親しくなっていたが、何故かそれぞれ別れることになってしまい、現在に至る。
滅亡迅雷の過去編は正直存在してることが重要なだけで、そこまで重要じゃないのでやるならVシネ編

番外編(時系列にあったキャロルやオートスコアラー、他のキャラと主人公の日常)

  • いる
  • いらない
  • 二期行こう
  • アークワンはよ
  • うるせぇ、尊くさせろ。暗殺するぞ
  • もっとイチャつけ
  • 息抜きは大事だからね仕方がないね
  • で、IF編まだ?
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