戦姫予測シンフォギア 〜未来へのREAL×EYEZ〜 作:絆蛙
復活(一ヶ月投稿なし)とは一体・・・まぁどの小説も投稿してなかったんで許してください。
遅れた理由は後書きのせいです、ぶっちゃけこの話は復活して三日で書き上げてた。
それはともかく、色々衝撃でした。
アウトサイダーズ視聴前→そういえば5話になって今更だけどアウトサイダーズって扱い的にはアウトサイダーズなのにエボルト来てないよなぁ・・・まぁ、流石に扱いにくいんだろうな・・・。
視聴→くぁwせdrftgyふじこlp(感情の嵐)ラスト→しばらくいない内に、この星も随分変わり果てたようだ・・・。
ファッ!?マジで出てくるやつ居るかボケェ!しかもアイテムがジーニアスボトルと同じ形状してるし絶対強化されてるじゃんこわい!!ってなりました、なんやこいつ。さらっとトリガーの枠残してんじゃねーよ。
もちろんゼロスリーもかっこよかったです、創世の力をラーニングするとかやばすぎない? ただ玩具見た感じ万物を召喚出来るらしいからレジェンドライダーの武器も生成出来るんですかね、無理ならキー動作必要な時点で弱体化にしか見えないんですが(アークゼロ、アークワン、ゼロツーはいちいちそんなことせず可能)
とまあそんなことがあってアウトサイダーズのお陰で戻ってこれました、やったね。
ただ今思ったらこの小説、最初視点クソバラバラだな・・・今更修正出来ないので諦めますが、若かったということで。
はい、まあ語りたいことは山ほどあるんですが、ふと思ったのがナスターシャの病気ってなんだろう。どっかで明かされましたっけ、教えて、エロい人!
肺か気管支かなぁ・・・。
スカイタワーの上階が爆発した。
そこには未来が残っていた。
そのことから、爆発に巻き込まれたと考えるのが妥当だ。
「未来・・・」
あの場では手を離すべきではなかった。
結果論に過ぎない。
それでも一緒に居れば他に手段があったかもしれない。
ギアを纏える響には選択肢を多くすることが出来ていた。
「なんで・・・こんなことに・・・」
未来を助けられなかった響は悲しみ、膝を地面に着いて涙を流す。
精神状況が芳しく低下した影響でギアを維持できず、元の服装に戻っていく。
悲しみにくれようがくれまいがノイズはお構いなしに響に襲い掛かってくる。煙から飛び出してきた飛行型ノイズは彼女の辺りの地に突き刺さる。そして最後の一体が響を貫こうとした時、彼方から赤いエネルギーの矢がノイズを貫き、地に突き刺さるノイズは、刀と槍による斬撃とマゼンタの羽によって消滅する。
「立花!!」
「大丈夫か!?」
「そいつは任せた!」
『僕も行く!』
駆けつけた翼と奏に応えることなく響は俯いたままで、クリスがノイズの殲滅に向かったため、迅も援護すべく背部の翼を広げて空中のノイズに向かっていく。
「---挨拶無用のガトリング!ゴミ箱行きへのデスパーリィー!」
脚部ギアから小型ミサイルを展開、槍状となって今にも突撃してこようとするノイズを一気に放って殲滅する。
「---One,Two,Three・・・目ェ障りだぁぁぁああぁぁぁああぁああ!!!」
『MEGA DETH PRATY』
炸裂した小型ミサイルの放つ爆炎の中を突っ切ってくるノイズの攻撃を走って躱すと、旋回してきた迅がクリスが躱したノイズをすれ違いざまに切り裂く。
それを一瞥し、クリスは前方を睨みつける。
(少しづつ何かが壊れていきやがる・・・アタシの居場所を蝕んでいきやがる・・・!)
その手のボウガンからガトリングガンへと切り替える。
『BILLION MAIDEN』
その連射力をもって、ノイズを一気に殲滅していくと、迅は違和感を感じて着地と同時に足を止めた。
『クリス・・・?』
(やってくれるのはどこのどいつだ!?)
地面すれすれの低空飛行で飛んでくるノイズに向かってクリスは駆ける。
(お前か!?)
ノイズによる突進を飛んで躱し、すかさずガトリングガンで蜂の巣にする。
(お前らか!?)
そして今度は着地と同時に振り向きながらガトリングを向け、上空から落ちてくる敵を全て銃弾によって撃ち落としていく。
(ノイズ・・・アタシがソロモンの杖を起動させてしまったばっかりに・・・!)
攻撃の手をやめないまま、クリスは原因となった存在に、何より元凶となった物に行き着いた末に気づいた。
ノイズという存在。
その存在を操り、生み出すことが可能な完全聖遺物。
(なんだ、悪いのは全てアタシの所為じゃねえか・・・)
ガトリングを乱射して、その間にすぐさま巨大ミサイルを展開する。
(アタシは---)
「---もう逃げなぁぁぁぁあぁああぁぁぁあぁあああいぃッ!!!」
『MEGA DETH FUGA』
放たれる巨大ミサイル二基。それがを駆け抜け、上空の巨大ノイズを消し飛ばす。
その余波によって、他のノイズも消し飛ばされ---やがて、全てのノイズが消し炭へと変わり、戦いが終わったことを知らせるように静けさがやってきた。
「ハア・・・ハア・・・ハア・・・」
『クリス・・・』
無茶を敢行した為か、酷く疲労しているクリス。
しかしその表情は後悔が入り交じっているかのようで、変身を解いた迅はただ心配するように見つめていた。
エアキャリアに帰還したナスターシャとマリア、滅。
マリアはスカイタワーの出来事が思い起こされ、関係の無い一般人や自身の手を血で汚してしまったことを悔いるように窓に拳を叩きつけた。
「この手は血に穢れて・・・。セレナ・・・私はもう・・・」
マリアは力なく崩れ落ち、慟哭だけが木霊する。
何があったのか、起きたのか、それらを知らない調と切歌は心配するが雷はナスターシャとマリアと滅を見て何かを察したように苦虫を噛み潰したような顔を浮かべた。
「教えて、マム。一体何が・・・?」
マリアが答えられる状態ではなく、何があったのか分からない。
こうなった理由があるはずで、痺れを切らしたように説明を求めるもマムは沈黙を貫き、向かったであろう滅に関しては首を横に振るだけだ。
「それは僕からお話ししましょう」
そこへ、スカイタワーの惨状を生み出した張本人であるウェルがやってきて、2人の代わりに事態を話した。
「ナスターシャは10年を待たずに訪れる月の落下より、1つでも多くの命を救いたいという崇高な理念を米国政府に売ろうとしたのですよ」
「マム・・・?」
「本当なのデスか!?」
「それだけではありません。マリアにフィーネの魂が宿ったというのも、とんだデタラメ。ナスターシャとマリアが仕組んだ狂言芝居」
ウェルの説明は事情を知らない者を驚かせるには十分なものだった。
人類救済の理念を売る、そんなことナスターシャがするはずがないと思っている。
だが、本人たるナスターシャが否定をしない。調と切歌にはそれがウェルのデタラメを肯定しているようにしか見えなかった。
何よりも、マリアがフィーネではないとなると全ての前提が裏返る。
ナスターシャの計画、彼女たちの目的は月の落下から可能な限り人類を救うというもの。
しかしなんの発言力もない有象無象が言ったって誰も信じない。
故にマリアにフィーネの魂が宿ったと知らしめ、『月の落下の発表』や『事実を知る米国政府が弱者を切り捨てた一部特権階級の救済を優先させていることへの弾劾』。 可能な限り人命を救済すべく、『新たな策を提示する』といったことを行う手筈だった。
フィーネの言だからこそ、後ろめたい連中は白日の下に曝されることを恐れ、一般人はトップアーティストという立場であるマリアだからこそ、信じるものも多くなる。
虚言だと簡単に吐き捨てることが出来なくなる。
人間というのは発言力の強い者を信じるからだ。
それこそ、フィーネ以外ならばアークがいい例だろう。
未だに誰も掴んですらいない存在がどう動くかなんて分からないが、アークを信仰する者は多い。
悪意ある存在にとって、アークはまさしく神。現れた救世主のようなもの。表でも裏の世界でもアークを恐れ、怯え続けるものもいる。
なぜなら都市一つまるまる破壊するのに数分しかかけておらず、死者を一名も出さなかった。
それは『いつでも人類を滅ぼせるぞ』というメッセージそのものだ。
何もしていないのに『アークがいる』というだけで勝手に付け上がる。圧倒的な力のみで人類の共通の敵に一瞬にして成り上がった実力や時折拡散された際に見せたカリスマ性もあるだろう。
そもそもノイズを操るだなんて完全聖遺物以外で不可能だと思われることをやってのけるのだ、何が出来ないのか分からないくらいなのだから本人が何もしなくとも発言力は高まる。
閑話休題。
つまるところ、フィーネでもないただのトップアーティスト---否、もうただのテロリストでしかないマリアの言葉など一体誰が信じるのだろう。
前提が崩れた際に、全てが瓦解する。
「それは本当なの・・・?」
「・・・マリアはフィーネの器では無い。俺もそれは、偶然耳にした。ならばその話は全て本当なのだろう」
「じゃあ、そのフィーネの魂はどうなったんだ? 俺や滅はレセプターチルドレンじゃねぇ。つまり可能性があるとすりゃ・・・いや、まだ分からないか」
未だ呑み込めていない調と切歌に滅は自身が持つ情報からウェルの言葉を否定出来るようなものではないと判断する。
ならば、フィーネの魂はどうなったのか。
考えられる最悪の可能性に気づいた雷が一瞬二人に目を向けるもすぐに首を振る。
「僕を計画に加担させる為とは言え、貴方たちまで巻き込んだこの裏切りは、あんまりだと思いませんか? 折角手に入れたネフィリムの心臓も、無駄になる所でしたよ」
「マム・・・マリア・・・滅さん・・・ドクターの言っていることなんて嘘デスよね?」
「・・・・・・」
「ごめん・・・二人とも・・・」
「そんな・・・」
少し冷静となったのかマリアは落ち着きを取り戻したようだが、二人が欲しい言葉ではなく謝罪だけが返ってくる。
それから考えられるのはウェルの語ったことが真実であり、マリアはフィーネの器では無い。米国に計画を売ろうとしてたのも事実ということ---
その一方でとあるレストランにクリスと迅、翼と奏がいた。
ナポリタンを食するクリスはそれはもう、なんというか酷い。
ピーマンやらマッシュルームにスパゲティが皿から落ちて机を汚してたり口はソースで汚したままだったりマッシュルームが口についてたりと。
ただ食べてるのはクリスだけで、迅は慣れた様子で布巾で机を拭いていた。
「なんか食えよ。奢るぞ?」
「夜の九時以降は食事を控えている」
「そんなんだからそんなんなんだよ」
「何が言いたいッ!」
「まあまあ落ち着けって」
「もう、クリスもそういうことが言いたいわけじゃないでしょ?」
奏と迅が二人を宥める。
放っておけば翼は今にも帰りそうだった。
しかし他の誰も注文しようとしないことから、食べる気分ではないのだろう。
「・・・で、一体何の用だ? 要件がないなら帰らせてもらうが」
「・・・あ〜怒ってるのか?」
「愉快でいられる道理がない。私の不甲斐なさを思えば・・・」
相方である奏に免じてか、話は聞いてくれるらしい。
本題へ入らせようとする翼に、クリスがそっと問いかける。
いつまでも経っても全く分からないアークのことはまだしも、響のことやF.I.S のこと、問題は山積みだ。
「・・・呼び出したのは、一度一緒に飯を食ってみたかっただけさ。腹を割って色々話し合うのも悪くないと思ってな」
それはクリスも理解しているのか、この場を設けた理由を話す。
「アタシらいつからこうなんだ?目的は同じはずなのに、てんでバラバラになっちまってる。もっと連携を取り合って・・・」
「雪音」
尤もなことを言っているが、そんなクリスの言葉を遮って翼が厳しい言葉を言う。
「腹を割って話すというのなら、いい加減名前くらい呼んでもらいたいものだ」
「ハア!? それは・・・まあ・・・」
それにクリスは思わず声を挙げ、頬を赤く染める。
翼の言葉も一理ある。
クリスが名前を呼ぶのはフィーネと迅だけで、他の誰かを呼ぶようなことはしていない。
距離は縮まっている。だが名前で呼ばないというのは壁を作ってるようにも見えてしまうだろう。
本人にそんな気がなくとも友達同士では名前で呼びあったりする。
「でもさ、クリスの言ってることも翼が言ってることも間違ってないと僕は思うよ」
「ああ、翼は真面目すぎるんだよ。響のことは、誰も悪くない。誰かを悪いって言うならそれはあたしら全員のせいだ。一人で抱え込んだって出来ることは限られるだろ? 代わりに戦うことを選んだ、それでもひとりじゃなくたって、二人でも無理なもんは無理だ」
会話に入らないでいた迅と奏はどちらかの意見を否定はせず、客観的に見て思ったことを告げる。
そう、何をするにしたって少人数では不可能なものは不可能だ。
二課で支援してくれる者たちがいるから、奏や翼もクリスも迅だって戦える。
戦えるからといって、バラバラに戦っても守れるものは守れない。
惣一のようなアークと互角に渡り合えるならば話は別だろうが。
「それは・・・けど・・・」
「それともなんだ、翼はあたしが頼りにならないか? そりゃ、前まではLiNKERがなければ大した戦力にならなかったかもしれねぇけど---」
「そっ、そんなことはない! 奏はいつだって私を支えてくれていた。頼りにしてるけど・・・私自身、納得が出来なくて・・・」
頼りにならないと思っているわけではなく理解はしても心は納得がいっていないのだろう。
「それはさクリスも迅も、もちろんあたしだって同じ気持ちだよ。そもそもの話として響がああなったのはあたしが一番の原因なんだ」
元を辿れば、ライブ会場で奏がギアを破損させなければ問題なかった。
LiNKERさえ使ってれば、決断が早ければ、そんな後悔はいくらだって出せる。
「違う、あれは事故で奏一人のせいじゃ・・・!」
「ほら、そういうことだって。今回のことも翼一人のせいじゃない。こんなふうに周りに誰か居るんだ、一人で背負い続けたらいつか折れちまう。何より頼ってくれない方は寂しいぞ? だろ?」
「・・・まぁ」
「うん」
当時のことをよく知る翼だからこそ、否定する。
しかしそれは、今も同じなのだ。
翼が響が融合症例になったのは奏のせいではないというように、今回も同様だ。
さっき奏が言っていたが、悪いと決めつけろというならば全員だろう。
何より、一人で背負い込もうとする翼は仲間だと思っている者たちからすれば頼りないと思われてるとしか思えず、寂しい思いをする。
事実照れ臭そうに控えめに頷くクリスと寂しいような笑みで頷く迅を見れば明白だろう。
「・・・全く、奏にはどれだけ経っても敵わないな」
「へへ、翼が今より小さい頃から知ってるからな」
「そうだね・・・」
微笑みかける奏に、翼はようやく肩の力を抜いた。
悩んでいるのは翼だけではない。皆同じで、皆無力感を感じている。
それでも、一人で背負い込むものではないと頼るべき仲間たちがいたと、仲間たちに気付かされた。
だからこそ、翼はクリスに視線を向けると真剣な顔を作った。
「雪音、先ほどは済まなかった。少し気が立っていた」
「ああ・・・いや・・・あたしの方こそ・・・」
突然の謝罪に戸惑うクリス。
喧嘩をしていた、というわけではないが空気が少し良くなったのは事実で。
「ところで・・・名前の方は呼んでもらえるのか?」
「ぅえ!?」
「あ、それは気になってた。あたしも呼ばれてないんだよね」
「う・・・そ、そっちの方はもう少し・・・待ってくれ・・・」
「・・・ぷっ」
「っはは!」
「な、なんなんだよ!?」
掘り返されるとは思わず驚いたクリスは、翼と奏の視線を受けて顔を赤くしながら絞り出すように言うと、何がおかしいのか二人が噴き出した。
「いやぁ、なぁ?」
「ああ、こうやって改めて向き合って見ると雪音が可愛く思えてな」
「んな・・・で、デタラメ言ってんじゃねぇ!」
「そこは事実だと思うよ?」
「なっ・・・なんでお前も肯定すんだよ!」
「いたっ!? 本当のこと言っただけだろ!?」
「ああああぁ! うるさい!」
理不尽にも頭を叩かれた迅ではあるが、不思議と先ほどのような空気はなく明るくて、ちょっとの笑い声が響く。
「それにしても二人は仲が良いよな。なんというか、ベクトルは違うけどあたしや翼みたいだ」
「え、そうかな? クリス、仲が良いように見えてるんだって」
「なんで報告する!?」
「あはは、そうだクリス、こっち向いて」
嬉しそうにする迅とは対照的に、クリスはそっぽ向く。
照れているのだろう。
そんな彼女に笑いかけると、クリスは目だけを迅に送る。
迅は苦笑して、机を拭いた物とは別の新しい布巾でクリスの口元を拭った。
「ちょっ・・・おまっ!?」
「口元汚れたままだったからね、気になってたんだけど話を中断する訳にはいかなかったし」
あの空気の中で行動するのは控えてたが、今はもうだいぶ和やかになっている。
クリスとは違って、迅はそういったマナーはしっかりしている方だった。
人前でやられるクリスの気持ちは気づいてないようだが。
「にしては自然とするな・・・」
「慣れてるんだ。クリスはほら、こんな感じだし」
「それほど長く居たということか」
「月日自体はそれほどなんだけどね。二人っきりの時が多かったから一緒に過ごした時間は長いよ」
「・・・フィーネはあまり一緒に居なかったからな」
「けど今は一緒じゃないか」
「そうだけど、ただお互いに距離がまだ、ね・・・」
F.I.Sがフィーネを名乗っていたが、本人は生きてる上に否定してるので偽りだということは分かっている。
それはともかく、無事にフィーネは生きて関係は築けてるものの、やはりそう簡単に良い関係になれるはずもない。裏切られ、一度捨てられた上に殺し合ったのだ。
バラルの呪詛がなかろうとあろうと、簡単に寄りを戻せるはずがない。
少し、いやかなりよそよそしくなってしまっている。
「そういう奏だって、いいの?」
「あたしか?」
「聞いたよ、フィーネのせいで・・・その・・・」
言いづらいことで、迅は言葉を濁すが奏は何が言いたいのか察したようで、苦笑した。
かつて
そこの唯一の生き残りが、いまここにいる天羽奏。そしてフィーネに家族を奪われ、戦いに身を乗り出すきっかけとなったもの。
「ああ・・・まぁ・・・解決したってだけいっとくよ。そもそもあたしの命は、あるヤツに助けられたもんだしな。その命を復讐のためだとか怨みを晴らすために使おうものなら、あたしはもう合わせる顔がなくなっちまう」
「あるやつ・・・? 二課のヤツらじゃねぇのか?」
「・・・居たんだ、かつてこの世界に人知れずノイズと戦っていた者が。私たち二課よりも早くノイズの発生に気づいてな」
この話に関して、当時の者しか知らない。
一応響と未来も少しは知っているが、よく知っているのはフィーネを含めた当時二課に所属していた者たち。
仮面ライダーや装者で言えば、亡と奏と翼のみだ。
実は惣一は一から十まで知ってたりするのだが。
「それについては私から説明しましょうか」
「うお!?」
「亡? ここに居て大丈夫なの? 戦いに出る必要が出てきたから訓練するって聞いたけど・・・」
「・・・流石に司令と戦うのはちょっと」
「・・・あー」
「・・・うむ、叔父様相手ならば仕方があるまい」
やってきたのは中性的な見た目をしている人物で、二課所属の技術顧問。
亡だった。
よく知っている奏と翼は同情するしかなかった。
「それよりもお二人が話していたのは『ゼロワン』のことでしょう」
「なんだ、そいつ?」
「・・・ゼロワン?」
「知らないのも無理はないです。もう二年も前からずっと姿を消したままの存在ですから。そして『始まりの仮面ライダー』とも言うべき存在」
正確には二課が遭遇した最初の存在ですが、と付け加えた亡は席を開けてもらって座ると、デバイスから画像を出した。
そこにいるのは、一言で言うならば『人型のバッタ』である。
黒がメインに金色のラインが走り、蛍光イエローと黒の二色だけという少ない色で、胸部と両肩にはバッタの脚を思わせる意匠が施されたシンプルな見た目。
もうひとつは一枚目の画像の、足りない装甲部位を補うように蛍光イエローの装甲を挟むように深縹色の装甲が追加された見た目。
どちらかというと、二枚目が完成されたような姿をしていた。
「これがゼロワン・・・え?これって・・・」
ベルトの部位を見て、気づいたように迅はフォースライザーとプログライズキーを取り出して見比べた。
ベルトは全く違う。
画像のベルトはグラフィックボードみたいなベルトだが、迅が持つベルトは無骨な機械的なデザインで、変身の際にキーを挿し込んでレバーを引けば前面パーツが展開し、キーが展開される仕組みになっている。
画像とは明らかにベルトが違った。
それでもプログライズキーは、二枚目は少し違うが一枚目は同じように見える。
「迅が持つやつと同じだな・・・」
「元々それはゼロワンが使ってたものなんだ。迅や亡の物とは違ったけどな」
「ヤツは二年前のライブ会場に姿を現し、そして数ヶ月後に突如として姿を消した」
「けどゼロワンが居なけりゃあたしは絶唱を使ってた。あの頃はLiNKERが必要だったし、投与せず戦ってたから間違いなくフィードバックでこの世から居なくなってたろうな」
「奏・・・例え事実としてもあまりそう言われるのは・・・」
「悪い悪い。今はLiNKERも必要ないし、あたしはいつだって翼と一緒だよ」
実際問題、二年前のライブ会場で奏は絶唱を歌い切る寸前だった。
あの機械のような音声が流れてこなければ間違いなくこの場には居ないだろう。
翼としては力不足だと感じたのもあるが、唯一無二の存在が消えるかもしれなかったのだ。
たまったものではないだろう。
そんな翼の様子を感じ取った奏は翼の頭をぽんぽんと叩いて、翼は無言で顔を逸らした。
「話は戻しますが、このゼロワンは未だにどこにいるのか変身者が誰なのかすら分かってません。まぁ・・・すぐにアークが姿を現したので、調べる暇がなかったのもありますが」
「なるほど・・・結局分かるのは、僕たちよりも早く仮面ライダーが居たってことだけか。もし会えたら、一緒に戦えてたのかな」
ゼロワンの消失後、現れたのがアークだ。
もしゼロワンが今も居れば共に戦う
しかし迅の言葉に翼と奏は微妙な顔をした。
「それはどうだろうな」
「どういうことだ?あのおっさんなら勧誘しそうだが・・・」
「何度かあたしらも説得したんだけど・・・無理だったんだよ」
「だいたい職員が到着する頃には姿を消していましたね。何より速すぎてシンフォギアだろうと衛星だろうと姿を追うことが出来ず・・・強さ自体もかなりのものでした。機会があれば本部で映像を見てみるのもいいかもしれませんね」
アークゼロほど強いってわけではなかったが、当時の翼や奏では二人がかりで戦っても勝てないと思える強さだ。
それはもう、立派な戦力となっただろう。
「そっか・・・でもそれじゃあ、このアイテムってゼロワンが元なのかな?」
「どうでしょうか・・・」
「それに関してはアークはまだしもF.I.Sの・・・滅と雷だったっけ。同じく持ってたな・・・となると、アークから渡されたのか?」
「おそらく、可能性は高いだろう」
「・・・私はこれを、アズから渡されました。確証は得られないので、何とも言えませんね」
始まりのライダーがゼロワンなら、ベルトもアイテムもゼロワン誕生に由来するのではという予想には誰も肯定出来なかったが、F.I.Sの二人が持つのはアークからの提供かもしれないと予想をつけることは出来た・・・が、これも確定するには情報がなさすぎる。
「僕も確か、アズだったな」
「・・・アズって誰だよ?」
「ほら、アークの傍にいた女性」
「・・・うん?」
「待て、それはアークの仲間ということか?」
「・・・あれ、言ってなかったっけ? うん・・・?ちょっと待って、僕もなんだか記憶が結構曖昧のような・・・」
「ふむ・・・フィーネと同じく、アークに記憶を奪われたのかもしれません。ただ迅の言葉が正しいならば間違いなくアークの味方・・・ということでしょう。滅や雷までは・・・分かりませんけど」
頭を抑えて、唸る迅と見覚えがあるような、ないようなと小さい声で呟きながら眉を下げるクリス。
そんな二人を見て亡は可能性を提示すると、何となく納得した様子だった。
「そういや、滅と雷って亡さんが探してた人でもあるよな? 迅もだっけ・・・どんなやつらだったんだ?」
「元々私たち二課に協力するための条件が探し人を探す・・・というものでしたね」
「・・・そういえば、二人のことを共有してませんでしたね」
「・・・アタシも知らねぇな」
「あ・・・ちょうどいい機会だし、話しとこうか。僕たちは元々、どこかの施設・・・孤児院みたいなとこで育ったんだ」
亡は技術顧問として働く代わりに探し人の捜索、迅はクリスと行動することになっていたが探してたといえば探していた。
ただそれ以上のことは知らない。
その割には、迅の動揺や必死さからただの友人ではないというのが察することが出来るし、亡も亡でなんだかんだ動揺していた。
だからこそ、話題になったのもあって迅は昔話をするように語る。
「当然親が居なくて、僕にとって滅は・・・なんだろうな、お父さんみたいな感じだった。雷はお兄ちゃんって感じかな」
「そうですね、迅は今と違って子供っぽくて弟のようでしたし」
「それはもう恥ずかしいから言わないでよ」
「ふふ、すみません」
「・・・もー。まぁ詳しい話はいつかするけど、僕たちの目的は『世界の悪意を見張る』ことだった。簡単に言えば、争いを無くしたかったってことだね。けれどある日、僕たちは離れ離れになって・・・僕はフィーネに拾われ、気がつけばこんなふうになってた・・・だから分からないんだ、滅や雷が何をしたいのか、僕たちの誓いを忘れたのか」
せっかく戻った雰囲気を暗くしないためだろう。
重くなりそうな部分を端折って、必要そうな部分だけを語った。
正直情報量が少なすぎるが、迅自身今が詳しく語れる心情ではないのかもしれない。
「迅にとって父親代わりの人と兄貴分の人だったってことか・・・亡さんは?」
「私は・・・あまり考えたことはないですね。同志・・・といった感じでしょうか。ええ、家族であり志を共にする仲間。それがきっと、正しい表現かと」
「だが。今は敵同士・・・か」
「・・・」
深く語らなかったが、結局空気が少し重くなってしまった。
迅と亡のことを考えれば、そうかと終われることでもない。
「そんなやつらと・・・戦えるのか? 無理なら・・・その、アタシが・・・」
「そうだね・・・でも分からないなら聞くしかないじゃないか。きっと言葉じゃ通じないから、戦ってでも知るしかない。それに今は、もし僕が冷静じゃなくなってもクリスがいる。だから僕は安心して戦えるんだ」
「ッ!?」
気遣う様子のクリスに迅は僅かながら悲しみを見せるが、すぐに微笑む。
クリスに向ける信頼が感じられる言葉。
もし対峙すれば冷静に居られるかどうかなんて分からない。それは結局のところ、一人ならばだ。
真っ直ぐに向けられた信頼にクリスは顔を赤くする。
「どうやら心配する必要はなさそうだな」
「けど、もしもの時はあたしらも頼れよ。そのための仲間だろ?」
「うん、その時はそうするよ」
「ええ、私もお願い致します」
「みんなで頑張ろう! ね、クリス・・・クリス?」
こんなふうに助け合える関係。
それこそ仲間と呼ぶに相応しいだろう。
温かい感情を感じながら、迅は返事のないクリスの顔を覗き込むとクリスはバッと立ち上がった。
思わずこの場の全員が目を丸くする。
「もう行く!」
「え、どうしたの? って、ちょっと待って・・・ああ、ごめん、僕も行くね!」
何かを言う暇すらなく去っていく二人の姿を見送ると、残された三人は顔を見合わせた。
「・・・もし良ければ、訓練に付き合って頂いてよろしいでしょうか?」
「あ、ああ・・・そうだな。あたしでよけりゃ、いいよ」
「亡さんとはしたことありませんでしたし、私も異存はありません」
「ありがとうございます」
何も食べないのに居座ることは出来ないため、亡の提案に二人は承諾して三人はレストランを出ていった。
どこか緊迫したような空間の中でマリアは自分の言葉を告げる。
「マムは、フロンティアの情報を米国政府に供与し、協力を仰ごうとしたの」
それはウェルの言葉が偽りのものではなく、真実だということの証明でもあった。
「だって、米国政府とその経営者たちは自分たちだけが助かろうとしてるって・・・」
「それに切り捨てられる人たちを少しでも守るために私たちは世界に敵対してきたはずデス!」
そう、だからこそ世界に宣戦布告までした。
米国政府に情報を渡して人類の救済が出来るかと言われれば、それならば正直な話別の存在に協力を仰いだ方が確率は上がる。
それでも苦肉の策であろうと、協調路線にシフトすることでより現実的に対処に当たる方法を考えることが出来たのも事実。
「あのまま講和が結ばれてしまえば、私たちの優位性は失われてしまう・・・だからあなたはあの場にノイズを召喚し、会議の場をふみにじってみせた」
「嫌だなぁ・・・悪辣な米国の連中からあなたを守ってみせたというのにっ!」
ウェルの介入によって会議は破談となった。
ただ、これに関してはウェルも正しかった。
米国の目的は異端技術であり、それらを持つナスターシャたちの存在は邪魔でしかない。
だからこそ手に入れた上で抹殺しようとしていた。
もしウェルの介入がなければ、あの場で射殺されていてもおかしくはなかっただろう。
「このソロモンの杖で」
そう言ってソロモンの杖をナスターシャに向けるウェルに、調と切歌は咄嗟に戦闘態勢をとる。
まるで対立するかのような状況。目的は互いに同じであり、気持ちの問題だ。
唯一どちらにも関与しないのは雷とマリア、さらにウェルの近くで刀に手をかけている滅のみで、滅を一瞥したウェルは動かずに場が膠着する。
そんな時、靴音が鳴り響く。
マリアだ。
彼女は双方の間に立っていた。
ウェルの方につく筈がない。
いくらソロモンの杖を所持してるとはいえ装者三人も入ればソロモンの杖をウェルから奪い取ることが出来る。
つまり、無力化できる。
なのに---
「マリアッ!?」
「どうしてデスか!?」
「ウヒヒ・・・そうでなくっちゃッ!」
マリアはウェルに背を向け、調と切歌、ナスターシャとは真反対の方へ立っていた。
それはつまり、ウェルの方へつく。と存外に言っているようなものだ。
言葉で伝えられなくても、行動がそうとしか見えない。
「偽りの気持ちでは世界は守れない。セレナの思いを継ぐことなんてできやしない。全ては力。力を持って貫かなければ、正義を成すことなんてできやしない!世界を変えていけるのはドクターのやり方だけ!ならば私は---ドクターに賛同するッ!!」
凛とした表情で言い放つマリア。
その姿を見て、刀に手をかけていた滅は無言で手を降ろした。
マリアの決意は強い。しかし簡単に受け入れられる二人ではなかった。
「・・・そんなの嫌だよ・・・。だってそれじゃあ、力で弱い人たちを抑え込むってことだよ・・・」
「それじゃあ意味がないじゃないデスか・・・!あたし達はそういった人たちを護るためにやってきたんじゃないんデスか!? 二人だって、同じように・・・」
「悪いが、マリアがウェルに着くというならば俺も着いていこう」
「滅がそうするなら俺もそうするだけだ。お前らの言葉もマリアも間違っちゃいねぇよ。けど実際問題、今のままじゃ不可能だ。いずれ俺たちは二課に負けちまう」
圧倒的な戦力差。
二課には装者が四人、仮面ライダーが三人いる。
それを覆す術は彼らにはなく、特にその中でも仮面ライダーエボルに関しては歯が立たないほどの差があり、時間が無いのも事実。
計画に行き詰まったからこそ、ナスターシャは米国政府に売ろうとしたのだから。
並び立つ滅と雷は期待出来ないだろう。
調の訴えるような視線にもマリアは変わらず、調と切歌は思わずナスターシャを見た。
きっとマムならば説得してくれると。
「・・・解りました。それが偽りのフィーネでなく、マリア・カデンツァヴナ・イヴの選択なのですね?」
だがナスターシャの反応は真逆のものだった。
沈黙で答えるマリアに対し、この沈黙が肯定を意味しているとナスターシャには理解できた。
辺りを沈黙が支配する。
その沈黙を破るかのように、ナスターシャが激しく咳き込み、異変を訴える。
「大丈夫デスか!?」
慌てふためる切歌と調はナスターシャの容体を心配するが、彼女たちにできることは無い。
マリアは咄嗟に駆け寄りかけたが覚悟を証明した意味が無くなると思い、踏みとどまっている。
半ば無意識に切歌と調はマリアを見るが、マリアは顔を背けていた。
ナスターシャの身体を診られるのはマリアとウェル、そして多少ならば滅や雷も可能だろう。
しかし助けを求める視線に対して背けたことで、それがマリアの明確な意思表示であることを悟った切歌は顔が苦痛に歪んだ。
マリアがこうであるならあまり期待出来ないが、滅や雷にも視線を送って、二人は目を閉じたまま反応すらしてくれない。
ただ僅かに手に力が入ってることから、何も思っていないわけではなさそうだが。
どちらにせよ、この場において調や切歌にはナスターシャを心配するということしか出来ず。
「・・・ッ!?」
「滅? どうしたの---ッ!?」
ふと、滅が真っ先に刀を抜いた。
そんな彼の行動に気づいたマリアが疑問を溢した瞬間だった。
ほんの一瞬、
ここは二課にすら未だにバレておらず、エアキャリアのステルス機能は停止していない。
つまり誰にもバレないはずなのに、ナニカが走った。
そして何処からともなく、
人類の敵へと成り上がり、恐怖へ陥れた悪意の権化。
『それが、お前たちの結論か』
仮面ライダーアークゼロが、彼らの拠点へ侵入を果たしていた。
この場の全員から向けられる敵意に一切反応することなく、無機質に呟く。
「アーク!?」
「近づいてくるまで気配が全くしなかった・・・何をしに来た?」
「まさか俺らを始末しにきた・・・ってわけか? だったら抵抗させてもらうぜ?」
『・・・争うつもりはない。第一、お前たちが全員掛かってきたところで相手にはならない』
プログライズキーとゼツメライズキーを手にする滅や雷、シンフォギアを纏うためのペンダントを握りしめるマリアたちに興味を示すことなく、その存在は1歩、1歩と歩む。
『ウェル、お前は計画を進めろ』
「! ええ、もちろんです! アーク様の仰せのままに」
一言だけ声を掛ければ、ウェルは機嫌を良くして頭を垂れる。
さっきと打って変わったかのようなウェルの態度の変化にアーク以外が呆気に取られる。
まるでこれでは、信者のようだ。
「・・・ッ!」
「待て、今はヤツの言葉を信じるしかない」
「・・・くっ」
思わず動きそうになったマリアを、滅が静止した。
仮に後ろから攻撃しても、アークゼロは対処して見せるだろう。
というか、その程度で倒せるならもうアークゼロは倒されている。
そうこうしているうちに、当の本人たるアークゼロは何も言わずに調と切歌、ナスターシャの目の前に辿り着いていた。
「な・・・何・・・?」
「た、タダではやられないデスよ!?」
『好きにすればいい---邪魔にすらならないと思うが』
「な、なななあ・・・!?」
目の前にいるというだけで圧倒されるが、切歌は怒りが勝ったらしく相手にすらならないというような言動にぷるぷると肩を震わせる。
が、アークゼロはどうでもよさそうに一瞥し、ナスターシャに掌を向けた。
「・・・私を殺しに来た・・・といったところでしょうか」
『いいや、お前にはまだ仕事をしてもらわなければならない』
「! マム・・・!」
「お前、何を・・・ッ!」
その瞬間、アークゼロの掌から放たれた禍々しいオーラがナスターシャを包み込んだ。
近くに居た調や切歌がナスターシャを助けようとするとアークゼロは阻止するように二人の首根っこを掴んだ。
思わず睨む二人を無視し、二人が突如自由の身になると、金属音が辺りに響く。
『滅、不意を突くならばもう少し殺意を抑えろ。丸わかりだ』
「・・・なんのつもりだ」
指一本で刀を受け止めたアークゼロはあっさりと弾くと、そのまま歩いていく。
禍々しいオーラに包まれていたナスターシャだが、オーラが消えると外傷も何も無い状態だった。
それを見て、刀を戻した滅は背を向けて歩いていくアークゼロを見る。
「マム?」
「これは・・・私は大丈夫です。むしろ、さっきよりも体が軽く・・・」
「ど、どういうことデスか?」
明らか殺そうとしたようにしか見えなかったと言うのに、外傷がなかったどころが咳き込む様子もなく驚いた様子のナスターシャに調たちは安堵の息を吐く。
しかし、全く分からない。
助けた、わけではないだろう。言葉から察するに利用価値があると見られたといったところか。
それでも理解が追いつかなかった。
「どうなってやがる・・・? お前はナスターシャに何をした?」
『フロンティアを浮上させる。そのためにはまだ、そいつの力が必要・・・それだけだ』
「っ、待ちなさい! 目的は、なぜ味方する!?」
雷が代わりに聞いていたが、質問に対する回答になっていない。
それどころか分かるのは、何故か計画を知っていることと謎の行動ばかり。
『味方、というわけではない。だが、力を貸してやる。今のお前たちでは二課には勝てない。
---抗い、生き残ってみせろ。マリア・カデンツァヴナ・イヴ。そうすればお前の大切なものは・・・いずれ戻ってくる』
「それは、どういう・・・」
『話は終わりだ。少なくとも私はお前たちが攻撃しない限り、危害を加えない。信じるも信じないのも勝手だが、どう行動すべきか、これからどうするべきなのか、それらをよく考えるといい』
ほんのわずか、調と切歌に視線を送ると、二人は意図は理解してないが視線を向けてきた、ということだけは気づいた。
そのことに疑問視するも、予想通りというべきか何も喋らず。
アークゼロはそれだけを言い残してウェルを連れて部屋を出ていく。
いや正確にはウェルが勝手についていっただけなのだが。
何はともあれ、数分程度で場をかき乱されてしまった。
マリアと症状がマシになったナスターシャの視線が交差し、マリアはすぐに振り返ってその場を後にする。
滅と雷はとりあえず、アークゼロを警戒してマリアの方へ着いていくと残されたのは調と切歌とナスターシャ。
何が何だか分からない状況になってしまったが、アークゼロは一時協力者になってくれると思うべきか。
とにかくナスターシャを安静にさせるために二人はマリアたちとは別の扉から出ていく。
---エアキャリア内の一室の前。
アークゼロは変身解除をし、フードを被る少年の姿---シンとしての姿に戻る。
周りには誰も居ないからこそ変身を解いたわけだが、アークゼロの正体が実は食糧や援助してくれた者だとは誰が思うだろうか。
シンは扉の中に入ることはせず、ただ扉を見つめる。
「ここ、か・・・」
何を考えて、何を思って、どんな顔をしているのか。
フードを深く被っているせいで何も分からない。
扉には当然、ロックが掛かっている。
エアキャリアはあくまでヘリであり、機械だ。
無論、正体がアークゼロのシンにとって扉のロックを解除することなど片手間にもならない。息をするように無効化できる。
しかし開けるつもりはないのか、扉に背を預けたシンはその場で座り込んだ。
何も言わず、何も喋らず、何もせず、扉の中には何があるのか。
それをシンは知ってなお、少しの間座って休んでいた。
それが数分か、数秒だったか、時間を見ていないシンには分からなかったが、立ち上がったカレは扉を一瞥した後、上部の中央に存在する起動スイッチ、アークローダーと呼ばれる部分を押した。
「・・・」
悪意の文字がベルトから次々と流れていき、流体金属がベルトから溢れ、悪意に染まった黒いヘドロのようなものを形成し、構成されたライダモデルが構成と崩壊を繰り返した後、その体をアークゼロへと変身させた。
『・・・』
最後まで何かをすることも無く、アークゼロはいつものように歩みを進める。
その道筋には膨大な悪意の塊と全てを呑み込むような泥だけが一定の時間残っていた。
そして扉の中---
「響・・・アルくん・・・」
その手に握られた
彼女にとってのお守りで、大切な人の形見。ずっと肩身離さず持っていたのもあって、唯一手元に残っていたもの。
光の梯子の中に囚われているのは、スカイタワーの爆発に巻き込まれたと思われていた未来。
そんな彼女は親友と、どう望んでも話すことすら敵わない幼馴染のことだけを考えていた。
次回、戦姫予測シンフォギア
「これは・・・?」
「スカイタワーから少し離れた地点より回収された、未来君の通信機だ」
悲しみに昏れる響に伝えられる一縷の希望。
『さて・・・ここに来るのも随分と久しぶりだなァ』
そしてエボルトがついに動き出す!
「シンさん、実は私・・・」
「私、思い出したんです---」
蘇った、セレナの記憶---
「全てはお前の目で確かめろ」
「これが始まりだ」
明かされる過去とは、一体・・・?
『まさか・・・ゼアか!?』
『あ・・・申し遅れました。私はセレナ・カデンツァヴナ・イヴと申します。よろしくお願いしますね、えっと・・・』
第十五話『疑心と矛盾と真実の在処』
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遅れた原因。次回予告のために貯める必要があったワケですね。
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