無敵の超能力者が異世界から来るそうですよ?   作:フォルテピアノ

10 / 13
~前回のあらすじ~
ハプルボッカ

平均だと思って安心している奴らの為の小説


"無限の超能力"

「あっはっはっは!!!いっーひひひひ!!」

 

やめろ、笑うな。やめてくれ

 

「ひひっ…これが笑わずにいられるか!!あんなギフトを持つ童が虫に怯えて瞬間移動など……くくくくっ!!」

 

いや本当にやめてください白夜叉様

 

*****

 

時は遡ること半刻前

 

三毛猫が(恐らく善意)で捕まえてきたGを見て、僕は反射的に瞬間移動を誤爆させてしまった。

 

……いや、誰だって至近距離で黒光りを落とされたらビビるだろう

 

しかし、その瞬間移動の転移先が不味かった。

思えば異世界に来てから数える程の場所しか訪れてないし、見てもいないのだ。

 

 

瞬間移動

 

一度見たり行ったことのある場所へ瞬間的に移動出来る超能力。

 

 

よりにもよって異世界初の瞬間移動先が白夜叉の私室とは……完全に不覚だった。

 

 

あの白夜叉の実力だ。現れた瞬間に切り捨てられなかったのは本当に運が良かったと言える。

 

とはいえ、流石に恐い顔で尋問され、仕方なく瞬間移動及びそれを発動させるに至った理由、そしてついでに使える超能力のほとんどを素直に吐かざるおえなかったのだが。

 

それを聞いた白夜叉の反応は冒頭の通りである。

 

いや、確かに笑われても仕方ないのだが。確かに仕方ないのだが!!

 

素直に逃げれば良かったじゃないかと言われそうだが、この超能力には3分のインターバルを挟まないと再度使用出来ないデメリットがあるのだ。それに、あの白夜叉から逃げるなんてとても恐れ多くて出来ない。

 

 

「くくっ……いや、笑ってすまなかったな」

 

絶対そう思ってないだろ。というか、今も内心爆笑しまくってるし

 

「にしても、聞けば巨体の獣人を押さえつけたというおんしの力なら、虫であろうとも一捻りだろうに。何故にそれ程まで怯えるのだ?」

 

そこまで説明しないと駄目なのか。いや、勘違いされたままよりはずっとマシか……

 

 

基本的に無敵な僕が苦手なもの。それが『虫』だ。

 

勿論、あの独特のフォルムとか動き方が気持ち悪いとかそういった理由も少しはあるが……

 

 

僕が虫を苦手とする本当の理由。それはズバリ【テレパシーが通用しない】からである

 

 

基本、生物は何かを考えている。それは人間から始まり猫や犬や馬、ナマケモノだって必ず思考をしているのだ。

だが、体のサイズが小さければ小さいほど思考は拾えなくなる。そうなると僕は相手の行動が読めなくなってしまうのである。

 

何をするか予測不能。Gなんていきなり飛び上がったり走ったり死んだと思っても動いたりするから不気味なことこの上ない。正直、白夜叉と同じくらい怖い

 

だからここまで瞬間移動したあげく、取り乱してしまったのだが。

 

……もういっそ笑い飛ばせば良い。僕でも切羽詰まったとはいえくだらないことをしたと思ってるからな

 

「………」

 

なんだ?急に黙り込んで

 

「……いや、そういえばおんしのギフトについて少し気になった点があってのう…。また機会があったら話そうと思っとったが丁度良い。少しゆっくり話そうか」

 

!それは……

 

「…取り敢えず、その菓子を食べながらでどうだ?私への迷惑料もかねて、のう?」

 

 

……………おっふ

 

 

*****

 

僕は泣く泣く白夜叉へコーヒーゼリーを一つ明け渡し、彼女と向かい合って座った。

 

いや、仕方ない。またコーヒーゼリーは買いにいけば良いじゃないか。別にこれで終わりじゃないし。ああ。それに一つは食べられるし問題ない。ああ

 

 

「まずは、だ。おんしのギフト"無限の超能力"がどのようなモノかは自身でわかっておるか?」

 

……微妙に、だな。

 

僕が使える様々な超能力。

サイコキネシス、テレパシー、透視、千里眼、瞬間移動、パイロキネシス、etc.

 

これらの超能力を扱えるギフトだと僕は考えているが…

 

「そうさな。だが、それだとギフトネームに違和感が生じる」

 

ギフトネーム?

 

「ああ。発火能力にしろ瞬間移動にしろ、超能力という括りではあるがそもそも別物だ。本来なら"テレパシー""サイコキネシス"といった様に単一に記載されておるのが普通なのだ」

 

そうなのか?あれはただ単に超能力をまとめて呼称したものかと思ったんだが。

 

「"超能力をまとめて"というのが重要だな。私はおんしのギフトが"超能力と定義される能力全てを操れるギフト"と解釈しておる」

 

……つまり、どういうことだってばよ?

 

 

「…要するに、おんしは"今日の科学では説明出来ない超自然の能力を全て使用出来る"ということだよ」

 

 

わーお

 

「全て、ということはおんしが知らないだけで他にも使える超能力があるかもしれんぞ?いやはや、これだけ幅の広いギフトを見たのは私も初めてだ」

 

…ちょっと待て。まだ把握してない超能力の可能性だと?

 

勘弁してくれ……いくら万能に近い超能力と言っても欠陥だらけのクソ能力ばかりなんだ。また増えられても

 

「待て。おんし、今『欠陥だらけ』と言ったか?」

 

ああ、そうだが?

 

「…そういえば、おんしは以前自分のギフトを"使いにくいクソ"と言っておったな。あの時は恩恵をあれ程貶すなどと思っとったが……。ふむ、もう少しおんしのギフトについて詳しく説明しとくれないか?」

 

…やれやれ、仕方がないか

もしかしたら白夜叉なら僕の超能力について何か気づいてくれるかもしれない

 

 

**

 

僕の超能力には基本、何かしらの制約やデメリットが存在する。

 

千里眼…遠くを見通せる超能力。これは一度行った事のある場所や会ったことのある人間しか見ることが出来ない。そして使用中は常に寄り目になる

 

パイロキネシス…発火能力と呼ばれる超能力。火力の制御がサイコキネシス同様難しい。

 

テレポート&アポート…本来なら別々の能力が同時発動するという厄介な超能力。俗にいう等価交換(±10円の誤差まで)で物体を入れ替える事が出来る。

 

透視…相手を見透かす事が出来るが、常時発動状態の為に自由が効かない。その上見続ける限り筋肉、そして骨まで透けて見えてしまうという素敵仕様

 

その他まだまだ……上げ続ければ本当にキリがない。

取り敢えず僕が日常的に使う機会が多い超能力だけざっくばらんに説明しておいた。

 

 

それを聞いた白夜叉は流石に唖然としたようだ。

な?言っただろ。クソみたいな能力って

 

「…まさか、おんしはその様な世界に身を置き続けていたと言うのか」

 

ああ、そうだ。

今はもう慣れたもんだがな。慣れというのはつくづく恐ろしい

 

「うむ……いや、しかし」

 

僕の話を聞いた白夜叉は再び考え込んでしまった。

 

…どうでも良いが、そのコーヒーゼリー、食べないなら僕が頂くぞ?

 

「これは私が食している最中だ!おんしはどんだけこの菓子が……と、そうではないな」

 

白夜叉は座り直すと真剣な目で僕を見据えた。

 

 

「単刀直入に言おう。……おんしの超能力に不都合が起こる原因、それがわかったかもしれん」

 

 

…………

 

マジか!?

 

「ああ、マジのマジ。大マジだとも。ついでに、おんしの超能力の制約やデメリットを解決する方法もわかった」

 

素晴らしいじゃないか!!

ということはアレか。透視やテレパシーは…

 

「おんしの力で発動を自由に決められる」

 

テレポートとアポートは…

 

「別々に発動可能。等価交換など踏まなくても何でも扱える」

 

YES!!!!

 

「…相当嬉しいようだのう」

 

当たり前だ!この能力のせいで長年どれだけ僕が苦労して来たことか!

しかし、これを制御出来る方法を簡単に見つけるとは…流石星霊というだけはあるな

 

 

「ああ、違う違う。私が気づいたのは制御方法などではない」

 

……?どういうことだ、それは

 

「私が気づいたのは、『おんしの超能力にある制約やデメリットを消す』方法。そして、その方法は至って単純」

 

 

「おんしが神となれば良い話よ」

 

 

 

**

 

 

あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!

「超能力の不都合を消す方法」を聞いたのに「神になれ」と言われた。

な… 何を言っているのか わからねーと思うが 僕ですら良くわか

 

「良いからはよ現実に戻ってこい」

 

…………

 

そもそも、超能力に不都合が起こる原因を解消する為に神になれとか飛躍しすぎだろう

 

「いんや。飛躍などしとらん。…そもそもな。これは考えればすぐにわかることだったのだ」

 

…もう少しわかりやすく頼む

 

「あいわかった。……おんしのギフトは、文字通り神にもなれる力なのは自覚しておるな?」

 

ああ、それはわかってる。だがそこに制約やデメリットが存在するからこそ…

 

「そこなのだ。それほどのギフトにそんな不具合が起こるなどありえん。神になれるは比喩にあらず。それは正真正銘、神格が持つべきギフトと言える」

 

……神格が?

 

「そうだ。その様なギフトがなんの因果か、ただの人であるおんしに宿った。おんしの人の身に修羅神仏が持つべきギフトはあまりにも強大すぎた訳だ。……一度、完全に制御が効かなくなった時期があったろう」

 

…確かに。小学5年生の頃は今より力が強大だった。そのせいで家を吹き飛ばしたりといった被害が頻発した程に。

今は制御装置で抑えてはいるものの、いつかはまた小5の頃の僕に戻ってしまうだろう。

 

「やはりな。そもそも、おんしが世界を変える程のマインドコントロールを使用出来る時点で、人が神になっていると言わざるを得ないのだよ」

 

 

…白夜叉の言わんとすることはわかった。

だから僕に『神になれ』と言ったのか

 

 

「そうだ。正確には神格を得て現人神になれ、ということだがな。そうすればおんしの身はギフトに相応しいモノとなり、その超能力を完璧に使いこなせるようになるだろう。……という訳で、だ」

 

白夜叉がスッと立ち上がり、僕を見下ろして言い放った

 

 

「選べ。神になるか、人に留まるか」

 

 

 

 

 

 

*****

 

<Side:三人称>

 

「ふぅ…今日は嵐の様な日だのう」

 

つい先程までいた少年に「自分で片付けて下さい」と言われたコーヒーゼリーのカップを持ちながら白夜叉は溜息をついた。

 

彼女が会った四人の新人。

取り分け気になったのは二人の子どもだった。

 

一人、逆廻十六夜。ギフトネーム"正体不明(コード・アンノウン)"

全知の"ラプラスの紙片"にエラーを起こさせる程の規格外の持ち主。人でありながら神格を倒せる程の力量を持つ。

 

そしてもう一人

 

斉木楠雄。ギフトネーム"無限の超能力"

今日の科学では説明出来ない超自然の能力を全て使用出来るというこれまた規格外のギフトを有する。

しかし、ギフトが強大でありすぎるが故に様々な障害を恩恵(ギフト)自身が生み出すという異常が起こっていた。

 

(結局、あやつの心は最初から決まっていたようだな…)

 

神になるか人に留まるかと問うたあの時。

斉木はあっさり人のままでいることを選択した。

 

 

曰く、今までも人で生きてこれたのだから、この先も神になる必要性は感じない。…何より面倒だ。だとか

 

 

(……まあ、今の私に神格を与える力は無いから、神になりたいと言われても当然しなかったがの)

 

そう。あのようなことを問いながら白夜叉には斉木を神にさせる気はなかった。それどころか

 

 

(もし、あやつがさらなる力を求めて神格を欲したら……。最悪、私はあやつを殺めていた(・・・・・)かもしれん)

 

 

一つだけ、白夜叉が斉木に言わなかった事がある。

 

 

それは"無限の超能力"が箱庭の中でも最上位のギフトであること。

それ故に、もし神格を手にいれれば瞬く間に箱庭の上層に食い込める程の実力者になれるという事

 

(それ程までに、あのギフトは強大で、そして危険だ)

 

白夜叉は初めて彼と会った時を回想する。

四人の新人の中でやけに冷めた瞳をした彼は、一体今までの人生でどれほどこのギフトに翻弄されてきたのだろうか。

 

(しかし、本人がああ言うのだ。私は大人しく見守っておくのが筋だろうなぁ)

 

強大なギフトを持つ二人の子ども

"ノーネーム"にはこれから先、数々の試練が襲いかかるだろう。だが

 

(……大丈夫。あやつらは早々に道を踏み外したりはしまい)

 

 

白夜叉は遠くない未来を思いながら静かに笑った




本誌が超展開だったので、こちらも超展開っぽくなった真面目解説回。斉木の超能力は独自解釈が入っております。
(普通だと思った)その幻想を打ち砕く

この超能力問題は後々の伏線に・・・なるのでしょうか?

明日から新学期なので更新が遅くなります。出来て1日1回ほど
そして次回、いよいよガルドとのギフトゲームです

【4/9】誤字修正
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。